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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114885
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】食物玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20230810BHJP
   A63H 3/52 20220101ALI20230810BHJP
   A63H 33/42 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
A63H33/00 Z
A63H3/52 Z
A63H33/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017457
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 菜摘子
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 あい
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA30
2C150DC03
2C150FB43
(57)【要約】
【課題】食べさせ遊びが複雑になったり、パーツが紛失したりすることを抑制できる食物玩具を提供する。
【解決手段】食物の外形形状を有する食物玩具10であって、開口部2を有する玩具本体1と、玩具本体1に保持され、開口部2に配置される押込み部3と、を備え、押込み部3は、開口部2から玩具本体1の外側に突出する前進位置と、開口部2を通して玩具本体1の内側に押し込まれた後退位置と、の間で移動可能である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物の外形形状を有する食物玩具であって、
開口部を有する玩具本体と、
前記玩具本体に保持され、前記開口部に配置される押込み部と、を備え、
前記押込み部は、
前記開口部から前記玩具本体の外側に突出する前進位置と、
前記開口部を通して前記玩具本体の内側に押し込まれた後退位置と、の間で移動可能である、
食物玩具。
【請求項2】
前記押込み部は、複数の分割体を有し、
前記複数の分割体は、前記前進位置では互いに接触し、前記後退位置では互いに離れて配置される、
請求項1に記載の食物玩具。
【請求項3】
前記玩具本体の内部に配置される内蔵部を備え、
前記内蔵部は、
前記押込み部が前記前進位置に配置された状態では、前記押込み部により覆われ、
前記押込み部が前記後退位置に配置された状態では、前記開口部を通して外部に露出される、
請求項1または2に記載の食物玩具。
【請求項4】
前記押込み部を前記前進位置で保持する前進保持部を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の食物玩具。
【請求項5】
前記押込み部を前記後退位置で保持する後退保持部を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の食物玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人形などに食べさせ遊びをするための玩具が知られている。例えば特許文献1には、スプーン体と容器体との組合せからなる食器玩具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3079171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数のパーツの組合せによって食べさせ遊びをするため、遊びが複雑になったり、パーツを紛失しやすい。
【0005】
本発明は、食べさせ遊びが複雑になったり、パーツが紛失したりすることを抑制できる食物玩具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、食物の外形形状を有する食物玩具であって、開口部を有する玩具本体と、前記玩具本体に保持され、前記開口部に配置される押込み部と、を備え、前記押込み部は、前記開口部から前記玩具本体の外側に突出する前進位置と、前記開口部を通して前記玩具本体の内側に押し込まれた後退位置と、の間で移動可能である。
【0007】
本発明の食物玩具では、押込み部を玩具本体の内側へ押し込むというシンプルな操作により、あたかも人形等が食物をかじって食べたように見せることができる。具体的には、使用者が、例えば人形の口部に押込み部を押し当てて、前進位置の押込み部を後退位置へ移動させればよい。押込み部を、前進位置と後退位置との間で繰り返し移動させることにより、繰り返し、食べさせ遊びをすることができる。
【0008】
また押込み部は、玩具本体に保持されているため、単品の玩具で食べさせ遊びをすることが可能である。このため、パーツの紛失が抑えられる。
したがって、本発明の食物玩具によれば、食べさせ遊びが複雑になったり、パーツが紛失したりすることを抑制できる。
【0009】
前記食物玩具において、前記押込み部は、複数の分割体を有し、前記複数の分割体は、前記前進位置では互いに接触し、前記後退位置では互いに離れて配置されることが好ましい。
【0010】
この場合、押込み部が前進位置にある場合と後退位置にある場合とで、押込み部の形状を変化させることができる。このため、食物玩具の押込み部を、人形等に食べさせる前の状態(前進位置)と、食べさせた後の状態(後退位置)とで、それぞれ好適な形状を付与するなどにより、趣向性の高い食べさせ遊びを提供することができる。
【0011】
前記食物玩具は、前記玩具本体の内部に配置される内蔵部を備え、前記内蔵部は、前記押込み部が前記前進位置に配置された状態では、前記押込み部により覆われ、前記押込み部が前記後退位置に配置された状態では、前記開口部を通して外部に露出されることが好ましい。
【0012】
この場合、食物玩具の押込み部を人形等に食べさせる前の状態(前進位置)では、押込み部によって内蔵部を隠すことができる。また、食物玩具の押込み部を人形等に食べさせた後の状態(後退位置)では、開口部を通して内蔵部を外部に露出できる。
このため、内蔵部に食物の内部(例えば具材や果肉など)の色彩、形状、模様、図形などを付与することで、あたかも実際の食物を人形等に食べさせたような、趣向性の高い食べさせ遊びを提供することができる。
【0013】
前記食物玩具は、前記押込み部を前記前進位置で保持する前進保持部を備えることが好ましい。
【0014】
この場合、前進保持部により、食物玩具の押込み部を人形等に食べさせる前の状態(前進位置)が保持される。このため、使用者が、前進保持部による押込み部の保持力を上回る力で、押込み部を人形の口部に押し当てることにより、適切なタイミングで食べさせ遊びをすることができる。
【0015】
前記食物玩具は、前記押込み部を前記後退位置で保持する後退保持部を備えることが好ましい。
【0016】
この場合、後退保持部により、食物玩具の押込み部を人形等に食べさせた後の状態(後退位置)が保持される。このため、よりバリエーション豊かな食べさせ遊びを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の前記態様の食物玩具によれば、食べさせ遊びが複雑になったり、パーツが紛失したりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の食物玩具を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の食物玩具を示す背面図である。
図3図3は、第1実施形態の食物玩具を示す断面図(縦断面図)である。
図4図4は、図3のIV-IV断面を示す断面図(縦断面図)である。
図5図5は、図4のV-V断面を示す断面図(横断面図)である。
図6図6は、図4のVI-VI断面を示す断面図(横断面図)である。
図7図7は、第1実施形態の食物玩具を示す斜視図である。
図8図8は、第1実施形態の食物玩具を示す背面図である。
図9図9は、第1実施形態の食物玩具を示す断面図(縦断面図)である。
図10図10は、図9のX-X断面を示す断面図(縦断面図)である。
図11図11は、第2実施形態の食物玩具を示す断面図(縦断面図)である。
図12図12は、第2実施形態の食物玩具を示す断面図(縦断面図)である。
図13図13は、第3実施形態の食物玩具を示す背面図である。
図14図14は、第3実施形態の食物玩具を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の食物玩具10について、図1図10を参照して説明する。
食物玩具10は、例えば人形などに食べさせ遊びをするための玩具であり、食物の外形形状を有する。図1及び図2に示すように、本実施形態の食物玩具10は、おにぎりの外形形状を有する。なお本実施形態では、食物玩具10を単に玩具と呼ぶ場合がある。玩具を使用する使用者は、例えば子供等である。
【0020】
本実施形態では、食物玩具10が、中心軸Cを中心とする略多角形柱状をなしており、具体的には、略三角形柱状をなす。図1図6に示すように、食物玩具10は、開口部2を有する玩具本体1と、玩具本体1に保持され、開口部2に配置される押込み部3と、玩具本体1の内部に配置される内蔵部4と、前進保持部5と、ケース6と、を備える。なお、図1及び図3以外の各図については、ケース6の図示を省略している。玩具本体1、押込み部3、内蔵部4及びケース6は、例えば、樹脂製である。
【0021】
図2図5及び図6等に示すように、本実施形態では、食物玩具10の中心軸Cが延びる方向を、前後方向と呼ぶ。各図に示すXYZ直交座標系(3次元直交座標系)において、前後方向は、X軸方向に相当する。前後方向のうち一方側(+X側)を前側と呼び、他方側(-X側)を後側と呼ぶ。なお前後方向は、軸方向と言い換えてもよい。この場合、前側(+X側)は軸方向一方側に相当し、後側(-X側)は軸方向他方側に相当する。
【0022】
図2に示すように、開口部2は、食物玩具10の複数(本実施形態では3つ)のコーナ部のうち、所定のコーナ部に配置される。本実施形態では、食物玩具10を前後方向から見て、中心軸Cと開口部2(所定のコーナ部)とを結ぶ方向を、上下方向と呼ぶ。各図において上下方向は、Z軸方向に相当する。上下方向のうち、中心軸Cから開口部2へ向かう方向(+Z側)を上側と呼び、開口部2から中心軸Cへ向かう方向(-Z側)を下側と呼ぶ。
【0023】
前後方向及び上下方向と直交する方向を、左右方向と呼ぶ。各図において左右方向は、Y軸方向に相当する。左右方向のうち一方側(+Y側)を右側と呼び、他方側(-Y側)を左側と呼ぶ。詳しくは、各図において+Y側は、使用者が食物玩具10を前側から見たときの右側に相当し、-Y側は、使用者が食物玩具10を前側から見たときの左側に相当する。
【0024】
また、中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
また、中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0025】
食物玩具10の各構成要素について、詳しく説明する。
玩具本体1は、上端部に開口部2が配置されることで上側に向けて開口された、有底の筒状である。玩具本体1のうち下端部以外の部分は、上側へ向かうに従い、左右方向の寸法が小さくなる。図5に示すように、玩具本体1の前後方向の寸法は、左右方向に沿って略一定である。図3に示すように、玩具本体1の前後方向の寸法は、上下方向に沿って略一定である。
【0026】
玩具本体1は、前壁11と、後壁12と、左壁13と、右壁14と、底壁15と、開口部2と、を有する。
図1に示すように、前壁11は、玩具本体1の前端部に配置される。前壁11は、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状である。本実施形態では前後方向から見て、前壁11が、上底と下底を有する台形状である。前壁11の上底に相当する上辺は、下側に向けて凹となる曲線状である。
【0027】
図2に示すように、後壁12は、玩具本体1の後端部に配置される。後壁12は、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状である。本実施形態では前後方向から見て、後壁12が、台形状である。後壁12の上底に相当する上辺は、下側に向けて凹となる曲線状である。
【0028】
左壁13は、玩具本体1の左端部に配置される。左壁13は、四角形板状である。左壁13のうち下端部以外の部分は、上側へ向かうに従い右側(+Y側)に向けて延びる。左壁13の前端部は、前壁11の左端部と接続される。左壁13の後端部は、後壁12の左端部と接続される。
【0029】
図1に示すように、右壁14は、玩具本体1の右端部に配置される。右壁14は、四角形板状である。右壁14のうち下端部以外の部分は、上側へ向かうに従い左側(-Y側)に向けて延びる。右壁14の前端部は、前壁11の右端部と接続される。右壁14の後端部は、後壁12の右端部と接続される。
【0030】
図2及び図3に示すように、底壁15は、玩具本体1の下端部に配置される。底壁15は、上下方向と垂直な方向に広がる四角形板状である。底壁15は、左右方向に延びる。底壁15の前端部は、前壁11の下端部と接続される。底壁15の後端部は、後壁12の下端部と接続される。底壁15の左端部は、左壁13の下端部と接続される。底壁15の右端部は、右壁14の下端部と接続される。
【0031】
開口部2は、玩具本体1の径方向外側の端部に配置されており、具体的には、玩具本体1の上端部に位置する。開口部2は、玩具本体1の中心軸C回りの外周部のうち、周方向の一部に位置している。開口部2は、図5に示すように上側から見て、四角形状の開口孔である。開口部2は、前壁11の上辺と、後壁12の上辺と、左壁13の上辺と、右壁14の上辺とにより、四角形枠状に形成される。開口部2は、玩具本体1の内部と外部とを連通させる。
【0032】
また、図3及び図6に示すように、玩具本体1は、前側部材16と、後側部材17と、嵌合構造18と、を有する。
前側部材16は、前壁11と、左壁13のうち前側部分と、右壁14のうち前側部分と、底壁15のうち前側部分と、を含む。前側部材16は、単一の部材により一体に形成される。
【0033】
後側部材17は、後壁12と、左壁13のうち後側部分と、右壁14のうち後側部分と、底壁15のうち後側部分と、を含む。後側部材17は、単一の部材により一体に形成される。
前側部材16と後側部材17とは、嵌合、ネジ止め等により互いに固定される。
【0034】
嵌合構造18は、前側部材16の後端部に位置して後側に開口する開口縁と、後側部材17の前端部に位置して前側に開口する開口縁と、の接触部分に設けられる。嵌合構造18は、玩具本体1の中心軸C回りの外周部のうち開口部2以外の部分に、周方向に延びて配置される。嵌合構造18は、前側部材16と後側部材17との少なくとも径方向への相対移動を規制する。
【0035】
図2及び図4に示すように、押込み部3は、開口部2を通して、玩具本体1の内部と外部とにわたって延びる。押込み部3は、全体として、上側に凸となるドーム状をなしている。
【0036】
押込み部3は、開口部2から玩具本体1の外側(径方向外側。本実施形態では上側)に突出する前進位置と、開口部2を通して玩具本体1の内側(径方向内側。本実施形態では下側)に押し込まれた後退位置と、の間で移動可能である。押込み部3は、玩具本体1に対して移動可能に、かつ離脱不能に、玩具本体1によって保持される。本実施形態において、図1図6は、押込み部3の前進位置を示しており、図7図10は、押込み部3の後退位置を示している。押込み部3の動作の詳細については、別途後述する。
【0037】
図4に示すように、押込み部3は、互いに別体として設けられた複数の分割体31,32を有する。本実施形態では押込み部3が、2つの分割体31,32を有する。複数の分割体31,32は、第1分割体31と、第2分割体32と、を含む。第1分割体31と第2分割体32とは、互いに左右反転対称形状である。
【0038】
第1分割体31は、押込み部3のうち左側部分を構成する。第1分割体31は、左分割体31と言い換えてもよい。図5に示すように、第1分割体31は、上下方向と垂直な断面(横断面)の形状が、右側(+Y側)に開口するU字状をなす。また、第1分割体31は、左右方向と垂直な断面(縦断面)の形状が、下側(-Z側)に開口するU字状をなす(図3を参照)。
【0039】
図2図5に示すように、第1分割体31は、第1前板31aと、第1後板31bと、第1側板31cと、第1マグネット保持部31dと、第1ガイドピン31eと、を有する。
【0040】
第1前板31aは、第1分割体31の前端部に配置される。第1前板31aは、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状であり、具体的には、上側に向けて凸となる三角形板状である。
【0041】
第1後板31bは、第1分割体31の後端部に配置される。第1後板31bは、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状であり、具体的には、上側に向けて凸となる三角形板状である。
【0042】
図4に示すように、第1側板31cは、第1分割体31の上端部から左端部にわたって配置される。第1側板31cは、四角形板状である。第1側板31cは、上側へ向かうに従い右側(+Y側)に向けて延びる。第1側板31cの上端部の板厚寸法は、上端部以外の部分の板厚寸法よりも大きい。第1側板31cの前端部は、第1前板31aの上端部から左端部にわたる端部と接続される。第1側板31cの後端部は、第1後板31bの上端部から左端部にわたる端部と接続される。
【0043】
第1マグネット保持部31dは、第1側板31cの上端部かつ右端部に配置される。第1マグネット保持部31dは、第1側板31cの右側(+Y側)を向く端面に開口し前後方向に延びる溝状の第1マグネット収容穴31fと、第1マグネット収容穴31fの開口を塞ぎ前後方向に延びる板状の第1マグネットカバー31gと、を有する。
【0044】
図4及び図6に示すように、第1ガイドピン31eは、前後方向に延びる柱状であり、本実施形態では円柱状である。第1ガイドピン31eは、第1分割体31に一対設けられる。一対の第1ガイドピン31eのうち、一方の第1ガイドピン31eは、第1前板31aの下端部に配置され、第1前板31aから後側(-X側)に突出する。一対の第1ガイドピン31eのうち、他方の第1ガイドピン31eは、第1後板31bの下端部に配置され、第1後板31bから前側(+X側)に突出する。
【0045】
本実施形態では、一対の第1ガイドピン31eの外径寸法が、互いに異なる。詳しくは、第1前板31aに接続される一方の第1ガイドピン31eの外径寸法が、第1後板31bに接続される他方の第1ガイドピン31eの外径寸法よりも大きい。
【0046】
第2分割体32は、押込み部3のうち右側部分を構成する。第2分割体32は、右分割体32と言い換えてもよい。図5に示すように、第2分割体32は、上下方向と垂直な断面(横断面)の形状が、左側(-Y側)に開口するU字状をなす。また、第2分割体32は、左右方向と垂直な断面(縦断面)の形状が、下側(-Z側)に開口するU字状をなす。
【0047】
図2図4及び図5に示すように、第2分割体32は、第2前板32aと、第2後板32bと、第2側板32cと、第2マグネット保持部32dと、第2ガイドピン32eと、を有する。
【0048】
第2前板32aは、第2分割体32の前端部に配置される。第2前板32aは、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状であり、具体的には、上側に向けて凸となる三角形板状である。
【0049】
第2後板32bは、第2分割体32の後端部に配置される。第2後板32bは、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状であり、具体的には、上側に向けて凸となる三角形板状である。
【0050】
図4に示すように、第2側板32cは、第2分割体32の上端部から右端部にわたって配置される。第2側板32cは、四角形板状である。第2側板32cは、上側へ向かうに従い左側(-Y側)に向けて延びる。第2側板32cの上端部の板厚寸法は、上端部以外の部分の板厚寸法よりも大きい。第2側板32cの前端部は、第2前板32aの上端部から右端部にわたる端部と接続される。第2側板32cの後端部は、第2後板32bの上端部から右端部にわたる端部と接続される。
【0051】
第2マグネット保持部32dは、第2側板32cの上端部かつ左端部に配置される。第2マグネット保持部32dは、第2側板32cの左側(-Y側)を向く端面に開口し前後方向に延びる溝状の第2マグネット収容穴32fと、第2マグネット収容穴32fの開口を塞ぎ前後方向に延びる板状の第2マグネットカバー32gと、を有する。
【0052】
図4及び図6に示すように、第2ガイドピン32eは、前後方向に延びる柱状であり、本実施形態では円柱状である。第2ガイドピン32eは、第2分割体32に一対設けられる。一対の第2ガイドピン32eのうち、一方の第2ガイドピン32eは、第2前板32aの下端部に配置され、第2前板32aから後側(-X側)に突出する。一対の第2ガイドピン32eのうち、他方の第2ガイドピン32eは、第2後板32bの下端部に配置され、第2後板32bから前側(+X側)に突出する。
【0053】
本実施形態では、一対の第2ガイドピン32eの外径寸法が、互いに異なる。詳しくは、第2前板32aに接続される一方の第2ガイドピン32eの外径寸法が、第2後板32bに接続される他方の第2ガイドピン32eの外径寸法よりも大きい。
【0054】
図3及び図4に示すように、内蔵部4は、箱状または容器状をなしており、玩具本体1の内部に収容される。内蔵部4は、嵌合、押圧、ネジ止め等により、玩具本体1と固定される。内蔵部4の少なくとも一部には、食物の内部を模した色彩、形状、模様、図形等(以下、色彩等と省略)が付与されている。具体的に、色彩等が付与される部分は、内蔵部4のうち、開口部2を通して玩具本体1の外部に露出される箇所に配置される。なお本実施形態では、内蔵部4の少なくとも一部に、おにぎりの具材などを模した色彩等が付与される。
【0055】
図3図6に示すように、内蔵部4は、前内壁41と、後内壁42と、左内壁43と、右内壁44と、上壁45と、下壁46と、前スリット47と、後スリット48と、を有する。前内壁41、後内壁42、左内壁43、右内壁44、上壁45及び下壁46は、互いに直接的にまたは間接的に接続される。本実施形態では、内蔵部4のうち少なくとも上壁45(の上面)に、色彩等が付与されている。
【0056】
前内壁41は、内蔵部4の前端部に配置される。前内壁41は、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状である。前内壁41は、玩具本体1の前壁11の後側に、前壁11と略平行に配置される。前内壁41と前壁11との間には、前後方向において隙間が設けられる。この隙間には、第1前板31aの一部と、第2前板32aの一部とが、左右方向に並んで配置される。
【0057】
後内壁42は、内蔵部4の後端部に配置される。後内壁42は、中心軸Cと垂直な方向に広がる板状である。後内壁42は、玩具本体1の後壁12の前側に、後壁12と略平行に配置される。後内壁42と後壁12との間には、前後方向において隙間が設けられる。この隙間には、第1後板31bの一部と、第2後板32bの一部とが、左右方向に並んで配置される。
【0058】
左内壁43は、内蔵部4の左端部に配置される。左内壁43は、上側へ向かうに従い右側(+Y側)に向けて延びる。左内壁43は、玩具本体1の左壁13の右側に配置される。左内壁43は、左壁13と略平行に広がる板状である。左内壁43と左壁13との間には、左右方向において隙間が設けられる。この隙間には、第1側板31cの一部が配置される。
【0059】
右内壁44は、内蔵部4の右端部に配置される。右内壁44は、上側へ向かうに従い左側(-Y側)に向けて延びる。右内壁44は、玩具本体1の右壁14の左側に配置される。右内壁44は、右壁14と略平行に広がる板状である。右内壁44と右壁14との間には、左右方向において隙間が設けられる。この隙間には、第2側板32cの一部が配置される。
【0060】
上壁45は、内蔵部4の上端部に配置される。上壁45は、上下方向と垂直な方向に広がる板状である。図5に示すように上側から見て、上壁45は、開口部2内に位置する部分を有する。本実施形態では上側から見て、上壁45の全体が、開口部2内に配置される。
【0061】
図3及び図4に示すように、下壁46は、内蔵部4の下端部に配置される。下壁46は、玩具本体1の底壁15の上側に配置される。下壁46は、底壁15と略平行に広がる板状である。本実施形態では下壁46が、左右方向の両端部と、左右方向において両端部間に位置する中間部分と、を有する。下壁46の左右方向の両端部は、中間部分よりも上側に配置される。
【0062】
図4及び図6に示すように、前スリット47は、前内壁41を前後方向に貫通する。前スリット47は、前内壁41の左右方向の両端部に一対設けられる。
【0063】
一対の前スリット47のうち、前内壁41の左端部に配置される一方の前スリット47は、上側へ向かうに従い右側(+Y側)に向けて延びる長孔状である。一方の前スリット47は、左内壁43と平行に延びる。一方の前スリット47には、第1前板31aに配置される一方の第1ガイドピン31eが挿入される。
【0064】
一対の前スリット47のうち、前内壁41の右端部に配置される他方の前スリット47は、上側へ向かうに従い左側(-Y側)に向けて延びる長孔状である。他方の前スリット47は、右内壁44と平行に延びる。他方の前スリット47には、第2前板32aに配置される一方の第2ガイドピン32eが挿入される。
【0065】
後スリット48は、後内壁42を前後方向に貫通する。後スリット48は、後内壁42の左右方向の両端部に一対設けられる。
【0066】
一対の後スリット48のうち、後内壁42の左端部に配置される一方の後スリット48は、特に図示しないが、上側へ向かうに従い右側(+Y側)に向けて延びる長孔状である。一方の後スリット48は、左内壁43と平行に延びる。一方の後スリット48には、第1後板31bに配置される他方の第1ガイドピン31eが挿入される。
【0067】
一対の後スリット48のうち、後内壁42の右端部に配置される他方の後スリット48は、特に図示しないが、上側へ向かうに従い左側(-Y側)に向けて延びる長孔状である。他方の後スリット48は、右内壁44と平行に延びる。他方の後スリット48には、第2後板32bに配置される他方の第2ガイドピン32eが挿入される。
【0068】
後スリット48の幅寸法(スリット幅)、すなわち短手方向の寸法は、一方の第1ガイドピン31eの外径寸法よりも小さく、かつ、一方の第2ガイドピン32eの外径寸法よりも小さい。このため、後スリット48には、一方の第1ガイドピン31e及び一方の第2ガイドピン32eを挿入することはできない。したがって、食物玩具10の組立時において、第1分割体31と第2分割体32を左右反対(逆向き)に組み付けてしまうような組み立てミスの発生が防止される。
【0069】
また、図3及び図6に示すように、内蔵部4は、内前側部材21と、内後側部材22と、内嵌合構造23と、を有する。
内前側部材21は、前内壁41と、左内壁43のうち前側部分と、右内壁44のうち前側部分と、上壁45のうち前側部分と、下壁46のうち前側部分と、前スリット47と、を含む。内前側部材21は、単一の部材により一体に形成される。
【0070】
内後側部材22は、後内壁42と、左内壁43のうち後側部分と、右内壁44のうち後側部分と、上壁45のうち後側部分と、下壁46のうち後側部分と、後スリット48と、を含む。内後側部材22は、単一の部材により一体に形成される。
内前側部材21と内後側部材22とは、嵌合、押圧、ネジ止め等により互いに固定される。
【0071】
内嵌合構造23は、内前側部材21の後端部に位置して後側に開口する開口縁と、内後側部材22の前端部に位置して前側に開口する開口縁と、の接触部分に設けられる。内嵌合構造23は、内蔵部4の中心軸C回りの外周部に、周方向に延びて配置される。内嵌合構造23は、内前側部材21と内後側部材22との少なくとも径方向への相対移動を規制する。
【0072】
図4に示すように、前進保持部5は、押込み部3を前進位置で保持する。本実施形態では、前進保持部5が複数のマグネット51,52を有する。マグネット51,52の数は、分割体31,32の数と同じであり、本実施形態では一対設けられる。複数のマグネット51,52は、第1分割体31に配置される第1マグネット51と、第2分割体32に配置される第2マグネット52と、を含む。すなわち本実施形態では、前進保持部5が、押込み部3に配置される。前進保持部5は、複数の分割体31,32同士を磁力により吸着させて、前進位置に保持する。
【0073】
第1マグネット51は、第1分割体31の第1マグネット収容穴31fに収容される。第1マグネット51は、第1マグネットカバー31gにより覆われる。
第2マグネット52は、第2分割体32の第2マグネット収容穴32fに収容される。第2マグネット52は、第2マグネットカバー32gにより覆われる。
【0074】
第1マグネット51と第2マグネット52とは、左右方向において互いに対向する。第1マグネット51と第2マグネット52の対向する各磁極(N極、S極)は、互いに異なる。このため、押込み部3が前進位置にある状態では、マグネット51,52の磁力により、分割体31,32同士は互いに吸着され、押込み部3の前進位置が保持される。
【0075】
図1及び図3に示すように、ケース6は、玩具本体1を収容する。ケース6は、開口を有する容器状のケース本体61と、ケース本体61の開口を塞ぐケース蓋62と、を有する。
【0076】
次に、押込み部3の動作について、詳しく説明する。
押込み部3は、図1図6に示す前進位置と、図7図10に示す後退位置との間で、繰り返し移動可能である。図4及び図10に示すように、押込み部3の複数の分割体31,32は、前進位置では互いに接触し、後退位置では互いに離れて配置される。
【0077】
具体的に、図4に示す押込み部3の前進位置では、第1分割体31の右側(+Y側)の端面(右側開口縁)と、第2分割体32の左側(-Y側)の端面(左側開口縁)とが、互いに接触する。このため、内蔵部4の上壁45は、前進位置の分割体31,32により上側から覆われて、玩具本体1の外部には露出されない。すなわち、内蔵部4は、押込み部3が前進位置に配置された状態では、押込み部3により覆われる。
【0078】
また、図10に示す押込み部3の後退位置では、第1分割体31の右側(+Y側)の端面(右側開口縁)と、第2分割体32の左側(-Y側)の端面(左側開口縁)とが、左右方向において互いに離間する。このため、内蔵部4の上壁45の少なくとも一部(本実施形態では、上壁45の左右方向の中央部)は、後退位置の分割体31,32によって覆われずに、開口部2を通して玩具本体1の上側つまり外部に露出される。すなわち、内蔵部4は、押込み部3が後退位置に配置された状態では、開口部2を通して外部に露出される。
【0079】
より詳しくは、複数の分割体31,32は、前進位置と後退位置との間でスライド移動する。すなわち、押込み部3は、スライド移動する。また、各分割体31,32のスライド移動の方向は、互いに異なる。
【0080】
図4及び図10に示すように、第1分割体31が前進位置から後退位置に移動するとき、一対の第1ガイドピン31eが左側(-Y側)の一方の前スリット47と、左側の一方の後スリット48とに案内されることにより(図6を参照)、第1分割体31は、下側へ向かうに従い左側に向けて、すなわち上下方向に対して左斜め下へ傾斜する方向に、スライド移動する。
【0081】
また、第1分割体31が後退位置から前進位置に移動するとき、第1分割体31は、上側へ向かうに従い右側(+Y側)に向けて、すなわち上下方向に対して右斜め上へ傾斜する方向に、スライド移動する。
【0082】
第1分割体31が前進位置と後退位置との間で移動する際、第1前板31aは、前壁11と前内壁41との間でガイドされる。また、第1後板31bは、後壁12と後内壁42との間でガイドされる。また、第1側板31cは、左壁13と左内壁43との間でガイドされる。
【0083】
第2分割体32が前進位置から後退位置に移動するとき、一対の第2ガイドピン32eが右側(+Y側)の他方の前スリット47と、右側の他方の後スリット48とに案内されることにより、第2分割体32は、下側へ向かうに従い右側に向けて、すなわち上下方向に対して右斜め下へ傾斜する方向に、スライド移動する。
【0084】
また、第2分割体32が後退位置から前進位置に移動するとき、第2分割体32は、上側へ向かうに従い左側(-Y側)に向けて、すなわち上下方向に対して左斜め上へ傾斜する方向に、スライド移動する。
【0085】
第2分割体32が前進位置と後退位置との間で移動する際、第2前板32aは、前壁11と前内壁41との間でガイドされる。また、第2後板32bは、後壁12と後内壁42との間でガイドされる。また、第2側板32cは、右壁14と右内壁44との間でガイドされる。
【0086】
また、図10に示すように本実施形態では、押込み部3が後退位置とされたときに、第1側板31cの上端部(第1マグネット保持部31d)が、上壁45の左端部に上側から接触する。また、第2側板32cの上端部(第2マグネット保持部32d)が、上壁45の右端部に上側から接触する。これにより、押込み部3の後退位置での姿勢が安定する。後退位置に配置された押込み部3は、重力(自重)により、後退位置に保持される。
【0087】
また、食物玩具10を、正立姿勢(開口部2が鉛直方向の上側に開口された姿勢)から上下反転させた倒立姿勢(開口部2が鉛直方向の下側に開口された姿勢)とすることで、後退位置の押込み部3は、重力(自重)や振出し操作等によって開口部2から突出し(振り出され)、前進位置へと戻る。前進位置に戻された押込み部3は、マグネット51,52の吸着力により、前進位置に維持される。このため、食物玩具10を倒立姿勢から再び正立姿勢に戻しても、押込み部3の前進位置は保持される。
【0088】
以上説明した本実施形態の食物玩具10では、押込み部3を玩具本体1の内側へ押し込むというシンプルな操作により、あたかも人形等が食物をかじって食べたように見せることができる。具体的には、使用者が、例えば人形の口部に押込み部3を押し当てて、マグネット51,52間の吸着力よりも大きな力を付与することにより、前進位置の押込み部3を後退位置へ移動させればよい。押込み部3を、前進位置と後退位置との間で繰り返し移動させることにより、繰り返し、食べさせ遊びをすることができる。
【0089】
また押込み部3は、玩具本体1に離脱不能に保持されているため、単品の玩具で食べさせ遊びをすることが可能である。このため、パーツの紛失が抑えられる。
したがって、本実施形態の食物玩具10によれば、食べさせ遊びが複雑になったり、パーツが紛失したりすることを抑制できる。
【0090】
また本実施形態では、押込み部3が、複数の分割体31,32を有しており、複数の分割体31、32は、前進位置では互いに接触し、後退位置では互いに離れて配置される。
この場合、押込み部3が前進位置にある場合と後退位置にある場合とで、押込み部3の形状を変化させることができる。このため、食物玩具10の押込み部3を、人形等に食べさせる前の状態(前進位置)と、食べさせた後の状態(後退位置)とで、それぞれ好適な形状を付与するなどにより、趣向性の高い食べさせ遊びを提供することができる。
【0091】
また本実施形態において、内蔵部4は、押込み部3が前進位置に配置された状態では、押込み部3により覆われ、押込み部3が後退位置に配置された状態では、開口部2を通して外部に露出される。
この場合、食物玩具10の押込み部3を人形等に食べさせる前の状態(前進位置)では、押込み部3によって内蔵部4を隠すことができる。また、食物玩具10の押込み部3を人形等に食べさせた後の状態(後退位置)では、開口部2を通して内蔵部4を外部に露出できる。
このため、内蔵部4に食物の内部の色彩、形状、模様、図形などを付与することで、あたかも実際の食物を人形等に食べさせたような、趣向性の高い食べさせ遊びを提供することができる。
【0092】
また本実施形態では、押込み部3を前進位置で保持する前進保持部5が備えられる。
この場合、前進保持部5により、食物玩具10の押込み部3を人形等に食べさせる前の状態(前進位置)が保持される。このため、使用者が、前進保持部5による押込み部3の保持力を上回る力で、押込み部3を人形の口部に押し当てることにより、適切なタイミングで食べさせ遊びをすることができる。
【0093】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の食物玩具20について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、押込み部3の前進位置を示しており、図12は、押込み部3の後退位置を示している。なお本実施形態では、前述の実施形態と同じ構成については、同じ名称や符号を付すなどしてその説明を省略する。
【0094】
図11に示すように、本実施形態の食物玩具20は、前述の実施形態の食物玩具10とは、前進保持部5の構成等が異なる。本実施形態では前進保持部5が、玩具本体1の内部に配置される。
【0095】
本実施形態の前進保持部5は、内蔵部4または玩具本体1に固定される固定部53と、固定部53から延びる弾性変形可能なアーム部54と、アーム部54の先端に配置される係止部55と、を有する。
【0096】
係止部55は、内蔵部4の左内壁43または右内壁44を貫通する窓孔49を通して、分割体31,32の被係止部33に下側から接触する。これにより、前進保持部5は、分割体31,32すなわち押込み部3を、前進位置で保持する。
【0097】
本実施形態では、被係止部33が、第1側板31cまたは第2側板32cから玩具本体1の内側(径方向内側)に突出する突起状である。被係止部33は、窓孔49内に配置される。
【0098】
使用者が、人形の口部などに前進位置の押込み部3を押し当てて、押込み部3を玩具本体1の内側に押し込むことで、被係止部33は、アーム部54を弾性変形させつつ、係止部55を下側に乗り越える。これにより、図12に示すように、押込み部3は後退位置とされる。なお本実施形態では、被係止部33が、窓孔49の下縁に上側から接触することにより、押込み部3の後退位置での姿勢が安定する。
【0099】
以上説明した本実施形態の食物玩具20によれば、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0100】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態の食物玩具30について、図13及び図14を参照して説明する。図13は、押込み部3の前進位置を示しており、図14は、押込み部3の後退位置を示している。なお本実施形態では、前述の実施形態と同じ構成については、同じ名称や符号を付すなどしてその説明を省略する。
【0101】
図13に示すように、本実施形態の食物玩具30は、押込み部3が分割体31,32を有しておらず、押込み部3は単一の部材からなる。押込み部3は、例えば、上側に向けて凸となるドーム状をなす。また本実施形態の食物玩具30は、内蔵部4を備えていない。
【0102】
本実施形態において、押込み部3は、図13に示すように開口部2から玩具本体1の外側に突出する前進位置と、図14に示すように開口部2を通して玩具本体1の内側に押し込まれた後退位置と、の間で移動可能である。
したがって、本実施形態の食物玩具30においても、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0103】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0104】
特に図示しないが、食物玩具は、押込み部を後退位置で保持する後退保持部を備えることとしてもよい。この後退保持部としては、例えば、磁力を用いた構成や、係止部と被係止部との組合せを用いた構成などが挙げられる。
この場合、後退保持部により、食物玩具の押込み部を人形等に食べさせた後の状態(後退位置)が保持される。このため、よりバリエーション豊かな食べさせ遊びを提供することができる。
【0105】
前述の実施形態では、食物玩具10,20,30が、中心軸Cを中心とする略三角形柱状である例を挙げたが、これに限らない。食物玩具10,20,30は、例えば、略三角形柱状以外の略多角形柱状や、中心軸Cを中心とする略円柱状等であってもよい。
【0106】
前述の第1、第2実施形態では、押込み部3が、2つの分割体31,32を有する例を挙げたが、これに限らない。押込み部は、3つ以上の分割体を有することとしてもよい。
【0107】
前述の第1実施形態では、前進保持部5が、一対のマグネット51,52を有する例を挙げたが、これに限らない。前進保持部5は、例えば、1つのマグネットと、1つの鉄製等の磁性体と、を有していてもよい。
【0108】
前述の第1、第2実施形態では、各分割体31,32が、前進位置と後退位置との間でスライド移動する例を挙げたが、これに限らない。例えば、各分割体が、前進位置と後退位置との間で、回転移動する構成を用いてもよい。
【0109】
内蔵部4は、玩具本体1に着脱可能に装着されていてもよい。また、ケース6は、食べさせ遊びと直接的には関係がないことから、設けられなくてもよい。
【0110】
また食物玩具は、おにぎりの外形形状を有するものに限らない。例えば、パン、ドーナツ、菓子、アイスキャンデー、果物(リンゴ、みかん、ぶどう等)などの外形形状を有していてもよい。
また内蔵部は、具材部、果肉部、中身部などと言い換えてもよい。
【0111】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態及び変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の食物玩具によれば、食べさせ遊びが複雑になったり、パーツが紛失したりすることを抑制できる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0113】
1…玩具本体、2…開口部、3…押込み部、4…内蔵部、5…前進保持部、10,20,30…食物玩具、31…分割体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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