(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114893
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】紙葉類搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 51/02 20060101AFI20230810BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20230810BHJP
B65H 5/22 20060101ALI20230810BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B65G51/02 J
B65H29/52
B65H5/22 A
A63F7/02 352F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017470
(22)【出願日】2022-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 国明
【テーマコード(参考)】
2C088
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
2C088BC79
3F049AA10
3F049FA02
3F049LA16
3F049LB04
3F101FA00
3F101FC03
3F101FC11
3F101LA16
3F101LB04
(57)【要約】
【課題】ダクトの中に発生させた空気流によりキャリアを介して紙幣を搬送する装置において、紙幣の搬送効率を向上させる。
【解決手段】ダクト(120)は、紙幣のみが通過可能な第一領域と、キャリアが通過可能な第二領域と、から構成される。第一領域は紙葉類収容室(14)まで延びており、第二領域は紙葉類収容室(14)の手前で第一領域から分岐し、キャリア収納用ダクト(130)を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、
前記ダクト内を走行するキャリアと、
前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記紙葉類収容室の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトが形成されており、
前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、
前記第一領域は前記紙葉類収容室まで延びており、
前記第二領域は前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであることを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記キャリアは円形状の縦断面を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記紙葉類を押す前記キャリアの前面には円周に沿って突起が一定間隔に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記キャリア収納用ダクトには前記キャリアの通過を検出するセンサーが配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
複数個の前記キャリア収納用ダクトを備えており、
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトのうちの何れか一つを選択し、選択されたキャリア収納用ダクトにのみ前記キャリアを通過させるダクト切り替え装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項7】
前記ダクト切り替え装置は、
前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々において当該キャリア収納用ダクトと一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する仕切り壁と、
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの各々に収納されている前記キャリアの数に応じて前記仕切り壁の開閉を制御する制御装置と、
からなるものであることを特徴とする請求項6に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項8】
前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々には前記仕切り壁が進入可能なスリットが両側に形成されており、
前記仕切り壁は両側から前記キャリア収納用ダクトに進入し、前記第二領域のうち前記第一領域と重なり合っていない部分を塞ぐものであることを特徴とする請求項7に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項9】
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトは、前記ダクトの長さ方向の中心線を含む水平面において、前記ダクトに対して同じ側に配列されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項10】
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの少なくとも何れか一つは、前記ダクトの長さ方向の中心線を含む水平面において、前記ダクトに対して反対側に配列されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項11】
前記キャリア収納用ダクトは前記第二送風機に接続されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項12】
前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐した前記第二領域は前記第一送風機の手前で前記ダクトに合流するように延びて前記キャリア収納用ダクトを形成しており、
前記第二送風機は前記キャリア収納用ダクトに収納された全ての前記キャリアを前記キャリア収納用ダクトと前記ダクトとの合流地点に向かって走行させる空気流を発生するものであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項13】
前記キャリア収納用ダクトの内壁に形成された開閉可能なシャッターを備えており、
前記シャッターは前記第二送風機が発生させた空気流を受けている間は開き、受けていない間は閉じるように構成されており、
前記シャッターは前記キャリア収納用ダクトに全ての前記キャリアが収納された場合の最後に収納された前記キャリアよりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の紙葉類搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト内に発生させた空気流により紙幣その他のシート状の紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような紙葉類搬送装置の一例として特開2016-160038号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
図23乃至
図28は同公報に記載された紙葉類搬送装置を示す。
図23は紙葉類搬送装置の構造及び紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
【0003】
この紙葉類搬送装置は、
図23に示すように、紙幣などの紙葉類をその前面で押すことにより当該紙葉類を搬送するキャリア10と、キャリア10の外形と相似し、かつ、キャリア10が走行可能な内部空間を有するダクト11と、キャリア10が搬送してきた紙葉類を収容する紙幣収容室14と、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14に向かう方向に走行させる第一送風機12aと、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14から離れる方向に走行させる第二送風機12bと、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置で停止させるストッパー13a及び13bと、を備えている。
図23に示すように、複数個のパチンコ台20その他の遊戯機器が
図23の左右方向に一列に配置されており(
図23においては、単純化するため1個のパチンコ台20のみを示している)、パチンコ台20の横には紙幣を投入するための紙幣投入装置21が設置されている。紙幣投入装置21に投入された紙幣の額に応じて遊技媒体(パチンコ玉やメダルなど)が払い出される。
【0004】
パチンコ台20の裏側には、当該紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクト11がパチンコ台20の配列方向と平行に延びるように設置されている。
図24はダクト11の部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図24に示すように、ダクト11は直線状に延びる中空構造を有しており、その縦断面は、上下方向に長い長方形において上下方向の中央部が内側に突出する形状をなしている。すなわち、上下方向の中央の部分が矩形状にダクト11の内側に突出する突出部11aを構成している。
さらに、ダクト11の側壁には、紙幣投入装置21の位置に対応して、スリット11bが形成されている。後述するように、各紙幣投入装置21に投入された紙幣はスリット11bを通過してダクト11の内部に送られる。
【0005】
図25はキャリア10の斜視図である。
キャリア10は、上下方向に延びる中心軸10aと、中心軸10aの一方の側に配置された4個の第一ウィング10bと、中心軸10aの他方の側に配置された4個の第二ウィング10cと、からなる。
第一ウィング10bは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第一ウィング10bがV字型になるように、それぞれ配置されている。同様に、第二ウィング10cは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第二ウィング10cがV字型になるように、それぞれ配置されている。後述するように、ダクト11の内部に送られた紙幣は4個の第一ウィング10bにその外縁を押されて搬送される。
【0006】
図26はキャリア10がダクト11の内部に収納された状態を示す斜視図である。
図26に示すように、ダクト11の突出部11aが、上下の第一ウィング10bの間に形成された空間10d及び上下の第二ウィング10cの間に形成された空間10d(
図25参照)に嵌まり込む。
図23に示すように、紙幣収容室14はダクト11の一端(
図23の右端)に配置されている。紙幣収容室14には、紙幣投入装置21から投入され、キャリア10によって搬送された紙幣が収容される。
ダクト11の内部に空気流(風)を送り込む第一送風機12a及び第二送風機12bはダクト11の両端に配置されている。
【0007】
第一送風機12a及び第二送風機12bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機12aが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第二ウィング10cが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機12bが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第一ウィング10bが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
なお、ダクト11の一方の端部(
図23の右端)に連続して紙幣収容室14が配置されているため、第二送風機12bは紙幣収容室14に隣接して配置され、バイパス通路12cを介してダクト11と連結している。
【0008】
図27は紙幣投入装置21の内部構造を示す概略図である。
図27に示すように、紙幣投入装置21は、ローラーユニット21bと、ダクト11に対して斜めの方向に延びる搬送路21cと、を備えている。
紙幣投入装置21の紙幣投入口21aから投入された紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、真贋や額面などの検査を経て、搬送路21cを介して、ダクト11の内部に投入される。
図28は、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置(具体的には、ダクト11の両端の近傍)で停止させるストッパー13a及び13bを示す。
【0009】
ストッパー13a及び13bは、ダクト11の内部に延びるフック状の部材からなる。キャリア10の第一ウィング10bがストッパー13aに引っ掛かることによって、キャリア10は紙幣収容室14の手前で停止する。また、キャリア10の第二ウィング10cがストッパー13bに引っ掛かることによって、キャリア10は第一送風機12aの手前で停止する。
上記の構造を有する紙葉類搬送装置は以下のように作動する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣を投入すると、紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11のスリット11bからダクト11の内部に投入される。
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト11の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
【0010】
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第二ウィング10cがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。キャリア10は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト11に投入された紙幣を第一ウィング10bで捕捉する。紙幣を捕捉したキャリア10は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、次いで、ストッパー13aにより停止させられる。キャリア10が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア10から離れ、紙幣収容室14に収容される。
【0011】
紙幣は、その紙面がキャリア10の走行方向(ダクト11の長さ方向)と平行であり、かつ、その短辺がキャリア10の中心軸10aと平行になる姿勢を維持してキャリア10により搬送される。
ストッパー13aの近傍にはキャリア10を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア10がストッパー13aによって停止すると、センサーは、キャリア10がストッパー13aによって停止したことを示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を停止するとともに、キャリア10がストッパー13aによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室14に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機12bを作動させる。
【0012】
第二送風機12bが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第一ウィング10bがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
その後、キャリア10はストッパー13bに引っ掛かり、停止する。このようにして、キャリア10は当初の位置に復帰する。
以上の動作が、紙幣が紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図23乃至
図28に示された従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するまでに、キャリア10はダクト11を一往復することが必要である。具体的には、キャリア10は当初の待機位置であるダクト11の一端(
図23の左端)すなわち第一送風機12aの前方の位置から出発し、ダクト11の途中で紙幣を捕捉し、ダクト11の他端(
図23の右端)にある紙幣収容室14に紙幣を収容した後に当初の待機位置であるダクト11の一端(
図23の左端)まで戻ってくる。このように、キャリア10はダクト11の一往復で一枚の紙幣を紙幣収容室14に搬送する。
【0015】
しかしながら、キャリア10のダクト11の一往復で紙幣一枚の搬送では搬送効率は極めて低い。特に、ダクト11が長くなればなるほど、搬送効率は低くなる。また、各紙幣投入装置21への紙幣の投入枚数が多くなる(パチンコ台20の利用者が増える)と、キャリア10がフル稼働しても紙幣収容室14への紙幣の搬送処理が間に合わなくなり、各紙幣投入装置21に紙幣が溜まりっぱなしという事態が起こり、セキュリティ上の問題に直結する。
本発明は以上のような従来の紙葉類搬送装置における問題点に鑑みてなされたものであり、各紙幣投入装置に投入された紙幣を紙幣収容室に搬送する搬送効率を向上させることが可能な紙葉類搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、前記ダクト内を走行するキャリアと、前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記紙葉類収容室の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトが形成されており、前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、前記第一領域は前記紙葉類収容室まで延びており、前記第二領域は前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであることを特徴とする紙葉類搬送装置を提供する。
【0017】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリアは円形状の縦断面を有する形状であることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類を押す前記キャリアの前面には円周に沿って突起が一定間隔に形成されていることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトには前記キャリアの通過を検出するセンサーが配置されていることが好ましい。
【0018】
上記の紙葉類搬送装置においては、複数個の前記キャリア収納用ダクトを備えており、前記複数個の前記キャリア収納用ダクトのうちの何れか一つを選択し、選択されたキャリア収納用ダクトにのみ前記キャリアを通過させるダクト切り替え装置を備えることが好ましい。
前記ダクト切り替え装置は、例えば、前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々において当該キャリア収納用ダクトと一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する仕切り壁と、前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの各々に収納されている前記キャリアの数に応じて前記仕切り壁の開閉を制御する制御装置と、からなるものであることが好ましい。
【0019】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々には前記仕切り壁が進入可能なスリットが両側に形成されており、前記仕切り壁は両側から前記キャリア収納用ダクトに進入し、前記第二領域のうち前記第一領域と重なり合っていない部分を塞ぐものであることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記複数個の前記キャリア収納用ダクトは、前記ダクトの長さ方向の中心線を含む水平面において、前記ダクトに対して同じ側に配列されていることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの少なくとも何れか一つは、前記ダクトの長さ方向の中心線を含む水平面において、前記ダクトに対して反対側に配列されていることが好ましい。
【0020】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは前記第二送風機に接続されていることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐した前記第二領域は前記第一送風機の手前で前記ダクトに合流するように延びて前記キャリア収納用ダクトを形成しており、前記第二送風機は前記キャリア収納用ダクトに収納された全ての前記キャリアを前記キャリア収納用ダクトと前記ダクトとの合流地点に向かって走行させる空気流を発生するものであることが好ましい。
【0021】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトの内壁に形成された開閉可能なシャッターを備えており、前記シャッターは前記第二送風機が発生させた空気流を受けている間は開き、受けていない間は閉じるように構成されており、前記シャッターは前記キャリア収納用ダクトに全ての前記キャリアが収納された場合の最後に収納された前記キャリアよりも上流側に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を一往復することが必要であった。例えば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を6回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)6回、片道(戻り)6回である。
【0023】
これに対して、本発明に係る紙葉類搬送装置によれば、6枚の紙幣を紙幣収容室に収容するためにはキャリアがダクトを6回往復する必要はない。キャリアがダクトの内部で紙幣を捕捉すると、捕捉された紙幣は第一領域を通って紙幣収容室まで送られ、キャリアは第二領域を通ってキャリア収納用ダクトに収容される。このように、捕捉した紙幣を紙幣収容室まで搬送したキャリアは、従来の紙葉類搬送装置とは異なり、そのつど当初の位置までは戻されずに一旦キャリア収納用ダクトに収容される。6個のキャリアが各1枚の紙幣を搬送した後にキャリア収納用ダクトに収納されると、これら6個のキャリアは一度に当初の位置に送り返される。このように、本発明に係る紙葉類搬送装置によれば、キャリアは片道(行き)6回、片道(戻り)1回の走行を行えば、6枚の紙幣を紙幣収容室に収容することが可能である。
このように、本発明に係る紙葉類搬送装置は、従来の紙葉類搬送装置と比較して、より効率的に、具体的には、より短時間で複数枚の紙幣を紙幣収容室に搬送することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるキャリアを正面側から見たときの斜視図である。
【
図3】
図2のキャリアを背面側から見たときの斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるダクトの斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
【
図7】ダクト及びダクトから分岐したキャリア収納用ダクトの部分的横断面図である。
【0025】
【
図8】キャリア収納用ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【
図9】ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図12】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図13】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図14】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【0026】
【
図15】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【
図16】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【
図17】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【
図18】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるダクト及び複数個のキャリア収納用ダクトの部分的な横断面図である。
【
図19】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【0027】
【
図20】
図20(A)は本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図、
図20(B)はダクト及びキャリア収納用ダクトの分岐点における断面図である。
【
図21】
図18と同様の第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置の部分的な横断面図である。
【
図22】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置の部分的な横断面図である。
【
図23】従来の紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
【0028】
【
図24】
図23に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクトの部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
【
図25】
図23に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるキャリアの斜視図である。
【
図26】
図25に示したキャリアが
図24に示したダクトの内部に収納された状態を示す斜視図である。
【
図27】
図23に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素である紙幣投入装置の内部構造を示す概略図である。
【
図28】
図23に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるストッパーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は
図23乃至
図28に示した従来の紙葉類搬送装置と比較して次の点が構造的に相違している。
(1)キャリアの形状が相違している。
(2)キャリアの形状が相違していることに伴い、ダクトの形状が相違している。
(3)バイパス通路12cは設けられておらず、キャリア収納用ダクトが設けられている。
(4)紙幣収容室の手前のストッパー13aは設けられていない。
以下、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100の構造を説明する。以下に述べる点以外の構造は従来の紙葉類搬送装置と同様である。
【0030】
図2は紙葉類搬送装置100において用いられるキャリア110を正面側から見たときの斜視図、
図3はキャリア110を背面側から見たときの斜視図である。
図2及び
図3に示すように、キャリア110は「砲弾」型をなしており、具体的には、円柱形状の本体部分110aと、本体部分110aの背面側に本体部分110aと連続して形成された半球形状の後方部分110bと、から構成されている。
キャリア110は軽量化を図るために中空構造とされている。
【0031】
キャリア110は本体部分110aの前面110cにおいて紙幣を押して紙幣を搬送する。本体部分110aの前面110cには円周に沿って同一形状の複数個の突起110dが等間隔に形成されている。相互に隣接する2個の突起110dの間に紙幣を挟み込み、紙幣を保持するようになっている。突起110dは、例えば、半球形状をなしている。
キャリア110の本体部分110aの中心軸方向における長さは可能な限り短く設定されている。本体部分110aの長さを短くすることにより、カーブしているダクトをスムーズに曲がることが可能になる。
キャリア110は後方部分110bにおいて第一送風機12aからの空気流(風)を受けることにより前進する。
【0032】
図4は本実施形態に係る紙葉類搬送装置100において用いられるダクト120の斜視図である。
図5及び
図6はキャリア110、紙幣50及びダクト120の相互の位置関係を示す斜視図である。
ダクト120は、
図4に示すように、第一領域120aと第二領域120bとから構成されている。
第一領域120aは上下に長い長方形の形状をなしており、その高さは紙幣50の短辺50a(
図5参照)が通過できる高さであり、その幅は紙幣50が折り曲がっていたり、あるいは、湾曲している場合であっても、紙幣50が十分に通過できる幅である。
第二領域120bは円形の縦断面を有しており、キャリア110が通過できるような大きさ(半径)に設定されている。
【0033】
第一領域120aと第二領域120bとは部分的に重なり合っており、第一領域120aが第二領域120bの中心を通り、第二領域120bから上下の方向に突出している。
図5及び
図6に示すように、キャリア110はその前面110cにおいて紙幣50の短辺50aを押し、ダクト120の内部において紙幣50を搬送する。紙幣50はダクト120の第一領域120aを通過し、キャリア110はダクト120の第二領域120bを通過する。
このように、第一領域120aは紙幣50のみが通過可能であり、キャリア110は第一領域120aを通過することはできない(正確には、キャリア110は第二領域120bから上下の方向に突出している第一領域120aの部分を通過することはできない)。
【0034】
後述する
図10乃至
図17に示すように、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100においては、紙幣収容室14の手前でダクト120から分岐するキャリア収納用ダクト130が形成されている。
図7はダクト120及びダクト120から分岐したキャリア収納用ダクト130の部分的横断面図、
図8はキャリア収納用ダクト130側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図、
図9はダクト120側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図である。
【0035】
図7乃至
図9に示すように、ダクト120を構成する第一領域120a及び第二領域120bのうち、第一領域120aは紙幣収容室14まで延びており、第二領域120bは紙幣収容室14の手前で第一領域120aから左側に分岐している。この分岐した第二領域120bがキャリア収納用ダクト130を構成している。
キャリア収納用ダクト130(第二領域120b)は紙幣収容室14に向かう方向に対して90度を超える角度(鈍角)でダクト120から湾曲することにより(Θ>90°)、第一領域120aから分岐している。キャリア収納用ダクト130はその先端において第二送風機12bに接続されている。
【0036】
図10乃至
図14はキャリア収納用ダクト130にキャリア110が収納される状態を示す断面図であり、
図15乃至
図17はキャリア収納用ダクト130からキャリア110が排出される状態を示す断面図である。
図10に示すように、キャリア収納用ダクト130は、ダクト120から湾曲した後に直線的に延びる第一部分130aと、第一部分130aから湾曲した後に直線的に延びる第二部分130bと、から構成されている。第二部分130bは第一領域120aに対してほぼ直交する方向に延びている。
第二部分130bの内部にはキャリア110を停止させる円形状のストッパー130cが嵌め込まれている。キャリア110はダクト120からキャリア収納用ダクト130の第一部分130a及び第二部分130bを通過した後にストッパー130cに当たって停止する。
【0037】
図7に示すように、キャリア収納用ダクト130がダクト120から湾曲を開始する位置にはキャリア110の通過を検知し、キャリア通過信号を中央制御装置に発信するセンサー131が配置されている。
以下、
図1及び
図10乃至
図17を参照して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100の動作を説明する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣50を投入すると、紙幣50はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト120の内部に投入される。
【0038】
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣50がダクト120の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト120の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア110は、後方部分110bがこの空気流による風圧を受けることにより、本体部分110aを前にして紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。
【0039】
キャリア110は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト120に投入された紙幣を前面110cで捕捉する。キャリア110は、紙幣50の短辺50aの上下を突起110dで挟み込むので、紙幣50を安定した状態で搬送することができる。
紙幣50を捕捉したキャリア110は捕捉した紙幣50を前面110cで押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、
図10に示すように、キャリア収納用ダクト130の手前に到達する。
キャリア110がさらに走行を続けると、
図11に示すように、キャリア110はキャリア収納用ダクト130に到達する。ダクト120の第一領域120a内を走行していた紙幣50は第一領域120aが続く方向にそのまま走行を続ける。すなわち、紙幣50は紙幣収容室14に向かって走行を継続し、最終的には、紙幣収容室14に収容される。
【0040】
これに対して、ダクト120の第二領域120bは紙幣収容室14の手前で湾曲しており、キャリア110は第二領域120b内のみを通過可能であるので、
図12に示すように、キャリア110は湾曲している第二領域120b(キャリア収納用ダクト130)にガイドされてキャリア収納用ダクト130の内部を走行する。この際、センサー131がキャリア110の通過を検知し、中央制御装置に1個目のキャリア通過信号を発信する。キャリア通過信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を一旦停止する。
その後、
図13に示すように、キャリア110はストッパー130cに当たって停止する。後述するように、キャリア110はこの停止位置にそのまま止め置かれる。
【0041】
キャリア110が紙幣50を紙幣収容室14に搬送している間にも、各紙幣投入装置21には新たな紙幣50が投入され続けており、投入された紙幣50は紙幣収容室14への搬送を待って紙幣投入装置21の内部に待機している。
図10乃至
図13に示したように、1枚目の紙幣50の紙幣収容室14への搬送が完了すると、1個目のキャリア110をキャリア収納用ダクト130の内部に残したまま、中央制御装置は第一送風機12aを作動させ、2個目のキャリア110を紙幣収容室14に向かって走行させる。1個目のキャリア110と同様に、2個目のキャリア110も途中で紙幣50を捕捉し、紙幣収容室14に向かって紙幣50を搬送する。
【0042】
2個目のキャリア110がキャリア収納用ダクト130に到達すると、1個目のキャリア110と同様に、紙幣50のみがダクト120の第一領域120aを紙幣収容室14に向かって走行し、最終的には紙幣収容室14に収容される。キャリア110は分岐した第二領域120b(キャリア収納用ダクト130)にガイドされキャリア収納用ダクト130の内部を走行し、停止している1個目のキャリア110に当たって停止する。
これ以降、3個目から6個目までのキャリア110が1個目のキャリア110と同様に紙幣50を紙幣収容室14に搬送する。この時点では、
図14に示すように、6個のキャリア110がキャリア収納用ダクト130の内部に収納された状態になっており、センサー131はこれまでに6個のキャリア通過信号を中央制御装置に送信している。また、紙幣収容室14には6枚の紙幣50が収容されている。
【0043】
中央制御装置はセンサー131から6個目のキャリア通過信号を受信すると、第二送風機12bを作動させる。ストッパー130cには空気流を通す孔が形成されており、第二送風機12bが作動すると、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア110に風圧を及ぼす。
図15及び
図16に示すように、第二送風機12bからの空気流(風)の風圧を受けた6個のキャリア110は一団となってキャリア収納用ダクト130からダクト120を経て第一送風機12aに向かって送り返される。
先頭のキャリア110(1個目のキャリア110)が第一送風機12aの手前に到達すると、センサー(図示せず)がキャリア110の到達を検出し、中央制御装置にキャリア到達信号を送信する。
【0044】
中央制御装置はキャリア到達信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止する。この時点では、
図17に示すように、キャリア収納用ダクト130にはキャリア110は残っていない。
第一送風機12aの手前まで到達した6個のキャリア110は1個ずつ所定の格納スペースに格納される。キャリア110を紙幣収容室14に向かって送り込むときには、キャリア110は格納スペースから1個ずつ取り出され、第一送風機12aの空気流による風圧を受けて1個ずつ順番にダクト120の内部を紙幣収容室14に向かって発進して行く。
以上の動作が、複数枚の紙幣50が複数個の紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【0045】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は以下の効果を奏する。
図23乃至
図28に示した従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するまでに、キャリア10はダクト11を一往復することが必要であった。従って、例えば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を6回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)6回、片道(戻り)6回である。
これに対して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100によれば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア110はダクト120を6回往復することは必要ではない。前述の紙葉類搬送装置100の動作から明らかであるように、キャリア110は片道(行き)6回、片道(戻り)1回の走行を行えば、6枚の紙幣50を紙幣収容室14に収容することができる。
【0046】
このように、従来の紙葉類搬送装置と比較して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は、より効率的に、具体的には、より短時間で複数枚の紙幣50を紙幣収容室14に搬送することが可能である。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
キャリアの形状は本実施形態におけるキャリア110の形状には限定されない。任意の形状のキャリアを選択することができ、そのキャリアの形状に応じてダクト120の形状を変えることができる。ただし、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100においては、キャリア110はダクト120からキャリア収納用ダクト130に進路を変える際にカーブ(湾曲路)を曲がる必要があるため、円形の縦断面を有する形状が適している。
【0047】
本実施形態においては、キャリア収納用ダクト130は6個のキャリア110を収納できる長さに設定されているが、キャリア収納用ダクト130の長さはこれには限定されない。例えば、7個以上のキャリア110を収納できる長さに設定することが可能である。キャリア収納用ダクト130は少なくとも2個のキャリア110を収納できる長さに設定することが必要である。
キャリア110の本体部分110aの内壁に金属箔や金属製テープなどの磁気媒体を取り付け、キャリア110の位置を磁気センサーで検知することも可能である。キャリア110の位置を把握できれば、キャリア110の現在位置に最も近い紙幣投入装置21から投入された紙幣50を最短時間で捕捉することができるようになる。
【0048】
(第二の実施形態)
第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100は単一のキャリア収納用ダクト130を有するものとして構成されているが、形成可能なキャリア収納用ダクト130の数は1に限定されるものではなく、2個以上のキャリア収納用ダクト130を形成することも可能である。
図18は第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置200におけるダクト120及び複数個のキャリア収納用ダクトの部分的な横断面図である。
図19はキャリア収納用ダクト側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図、
図20(A)はダクト120側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図、
図20(B)はダクト120とキャリア収納用ダクトとの分岐点における断面図である。
【0049】
図18及び
図19に示すように、本実施形態に係る紙葉類搬送装置200は3個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bを有するものとして構成されている。
キャリア収納用ダクト130は第一の実施形態におけるキャリア収納用ダクト130と同一構造のものである。
キャリア収納用ダクト130Aは紙幣収容室14から遠い側においてキャリア収納用ダクト130に隣接して形成され、キャリア収納用ダクト130Bは紙幣収容室14から遠い側においてキャリア収納用ダクト130Aに隣接して形成されている。
【0050】
キャリア収納用ダクト130A、130Bは後述するスリットが形成されている点を除いてキャリア収納用ダクト130と同一の構造である。
キャリア収納用ダクト130A及び130B、すなわち、紙幣収容室14に最も近いキャリア収納用ダクト130を除くキャリア収納用ダクト130A、130Bの各々にはダクト切り替え装置が形成されている。
ダクト切り替え装置は、
図20(A)に示すように、第一仕切り壁133a、133bと、第二仕切り壁133c、133dと、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dの開閉を制御する制御装置134と、から構成されている。
【0051】
図19及び
図20に示すように、キャリア収納用ダクト130A、130Bには、ダクト120とキャリア収納用ダクト130A、130Bとの分岐点において各キャリア収納用ダクト130A、130Bの両側にはスリット132a、132bがそれぞれ形成されている。キャリア収納用ダクト130Aに対応するスリット132aはキャリア収納用ダクト130B及び130Aの双方を貫通し、さらに、ダクト120を貫通している。キャリア収納用ダクト130Bに対応するスリット132aはキャリア収納用ダクト130Bを貫通し、さらに、ダクト120を貫通している。
第一仕切り壁133a、133bはダクト120の第一領域120aの外側からスリット132a、132bにそれぞれ挿入可能であり、第二仕切り壁133c、133dはキャリア収納用ダクト130A、130Bの外側からスリット132a、132bにそれぞれ挿入可能であるようになっている。
【0052】
第二仕切り壁133c、133dの幅(
図20(B)の鉛直方向における長さ)は第一仕切り壁133a、133bの幅よりキャリア収納用ダクト130A、130B、130の肉厚の分だけ小さく設定されている。
図20(B)に示すように、第一仕切り壁133aと第二仕切り壁133dとがスリット132aを介してキャリア収納用ダクト130Aの両側からキャリア収納用ダクト130Aの内部に挿入されると、第二領域120bのうち第一領域120aと重なり合っている部分を除き、第一領域120aと重なり合っていない部分(斜線部分)が第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dによって塞がれ、第一領域120aのみが開口している状態になる。
【0053】
このため、ダクト120の内部空間は第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dによってキャリア収納用ダクト130への導通が妨げられ、ダクト120の内部空間はキャリア収納用ダクト130Aにのみ導通する。上流側から送られてきたキャリア110及び紙幣50のうち、キャリア110は第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dによってキャリア収納用ダクト130ではなくキャリア収納用ダクト130Aに送り込まれ、紙幣50はダクト120の第一領域120aを通って紙幣収容室14に送り込まれる。
【0054】
同様に、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cがスリット132bに挿入されると、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cによってキャリア収納用ダクト130,130Aへの導通が妨げられ、ダクト120の内部空間はキャリア収納用ダクト130Bにのみ導通する。上流側から送られてきたキャリア110及び紙幣50のうち、キャリア110は、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cによってキャリア収納用ダクト130,130Aではなくキャリア収納用ダクト130Bに送り込まれ、紙幣50は第一領域120aを通って紙幣収容室14に送り込まれる。
第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dは、例えば、ラック&ピニオンなどの機構を介して、スリット132a、132bを介してダクト120の外部と内部との間で移動可能であるように構成されており、各仕切り壁の移動は制御装置134によって制御される。
【0055】
以上のように、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dはそれらに対応するキャリア収納用ダクトとそこから一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する機能を有している。
制御装置134はキャリア収納用ダクト130、130A、130Bの各々に設けられたセンサー131からキャリア通過信号を受信し、キャリア収納用ダクト130、130A、130Bの各々に収容されたキャリア110の個数に応じて、キャリア110を収納すべきキャリア収納用ダクトを3個のキャリア収納用ダクト130、130A、130Bの中から決定する。次いで、制御装置134はこの決定に従って、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dをダクト120の外部から内部へ、あるいは、ダクト120の内部から外部への移動を行い、キャリア110が決められたキャリア収納用ダクトに収納されるようにする。
【0056】
また、
図18に示すように、キャリア収納用ダクト130、130A、130Bの各々はそれぞれ開閉バルブ135,135A,135Bを介して第二送風機12bと接続されている。開閉バルブ135,135A,135Bの開閉は中央制御装置によって制御される。
以下、本実施形態に係る紙葉類搬送装置200の動作を説明する。
紙葉類搬送装置200が作動を開始する前の段階においては、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dはダクト120の外部に位置している。また、開閉バルブ135,135A,135Bは何れも閉じられている。
【0057】
キャリア110がダクト120の内部に紙幣投入装置21を介して投入された紙幣50を捕捉すると、キャリア110はダクト120の内部を紙幣収容室14に向かって進み、キャリア110が搬送してきた紙幣50は第一領域120aを通って紙幣収容室14に収納され、キャリア110はキャリア収納用ダクト130に収納される。第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dはダクト120の外部に位置しているため、さらには、キャリア110は慣性力の影響により直進するため、キャリア110はキャリア収納用ダクト130A、130Bを通過し、キャリア収納用ダクト130A、130Bに進入することはない。
【0058】
キャリア収納用ダクト130に6個のキャリア110が収納されると、すなわち、制御装置134がキャリア収納用ダクト130のセンサー131から6回のキャリア通過信号を受信すると、制御装置134はキャリア収納用ダクト130がキャリア110で満杯になったと判定して、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の外部から内部に移動させる。これにより、キャリア収納用ダクト130への通路は塞がれ、これ以降に送られてくるキャリア110は全てキャリア収納用ダクト130Aに収納される。
【0059】
キャリア収納用ダクト130Aに6個のキャリア110が収納されると、すなわち、制御装置134がキャリア収納用ダクト130Aのセンサー131から6回のキャリア通過信号を受信すると、制御装置134はキャリア収納用ダクト130Aがキャリア110で満杯になったと判定して、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の外部から内部に移動させるとともに、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の内部から外部に移動させる。これにより、ダクト120からキャリア収納用ダクト130及びキャリア収納用ダクト130Aへの通路は塞がれ、これ以降に送られてくるキャリア110は全てキャリア収納用ダクト130Bに収納される。
【0060】
キャリア収納用ダクト130Bに6個のキャリア110が収納されると、すなわち、制御装置134がキャリア収納用ダクト130Bのセンサー131から6回のキャリア通過信号を受信すると、制御装置134はキャリア収納用ダクト130Bがキャリア110で満杯になったと判定して、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の外部に移動させる。これにより、全ての仕切り壁133a―133dは何れもダクト120の外部に移動した状態となり、ダクト120の内部は遮蔽物のない状態となる。
この後、中央制御装置は第二送風機12bを作動させるとともに、開閉バルブ135を開く。これにより、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア収納用ダクト130の内部に進入する。キャリア収納用ダクト130の内部に収納されている6個のキャリア110はこの空気流の風圧によって第一送風機12aに向かって送り返される。
【0061】
送り返された6個のキャリア110は所定の格納スペースに格納される。格納スペースにはセンサー(図示せず)が配置されており、6個のキャリア110が格納スペースに格納され終わると、格納完了信号を中央制御装置に送信する。
中央制御装置は格納完了信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止させるとともに、開閉バルブ135を閉じる。その後、中央制御装置は制御装置134に信号を送り、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の外部から内部に移動させる。次いで、中央制御装置は第二送風機12bを作動させるとともに、開閉バルブ135Aを開く。これにより、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア収納用ダクト130Aの内部に進入する。キャリア収納用ダクト130Aの内部に収納されている6個のキャリア110はこの空気流の風圧によって第一送風機12aに向かって送り返される。
【0062】
送り返された6個のキャリア110はキャリア収納用ダクト130から送り返されたキャリア110が格納されている格納スペースとは別の格納スペースに格納される。6個のキャリア110の格納が完了すると、センサーは格納完了信号を中央制御装置に送信する。
中央制御装置は格納完了信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止させるとともに、開閉バルブ135Aを閉じる。その後、中央制御装置は制御装置134に信号を送り、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の内部から外部に移動させるとともに、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の外部から内部に移動させる。次いで、中央制御装置は第二送風機12bを作動させるとともに、開閉バルブ135Bを開く。これにより、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア収納用ダクト130Bの内部に進入する。キャリア収納用ダクト130Bの内部に収納されている6個のキャリア110はこの空気流の風圧によって第一送風機12aに向かって送り返される。
【0063】
送り返された6個のキャリア110はキャリア収納用ダクト130及び130Aから送り返されたキャリア110が格納されている各格納スペースとは別の格納スペースに格納される。6個のキャリア110の格納が完了すると、センサーは格納完了信号を中央制御装置に送信する。
中央制御装置は格納完了信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止させるとともに、開閉バルブ135Bを閉じる。その後、中央制御装置は制御装置134に信号を送り、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の内部から外部に移動させる。
以上の動作が紙葉類搬送装置200の1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
【0064】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置200によれば、第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と比較して、より多くのキャリア110を複数個のキャリア収納用ダクトの内部に収納しておくことが可能であるため、より多くの紙幣50をより効率的に搬送することができる。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置200は3個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bを有するものとして構成されているが、紙葉類搬送装置が有し得るキャリア収納用ダクトの個数は3には限定されない。2または4以上の数を選択することも可能である。
【0065】
(第三の実施形態)
第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置200においては、複数個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bは、ダクト120の長さ方向の中心線を含む水平面において、ダクト120に対して同じ側(
図18では右側)に配列されているが、複数個のキャリア収納用ダクトの配列の仕方はこれには限定されない。
複数個のキャリア収納用ダクトの少なくとも何れか一つを、ダクト120の長さ方向の中心線を含む水平面において、ダクト120に対して反対側に配列することも可能である。
図21は
図18と同様の第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置300の部分的な横断面図である。
【0066】
図21に示すように、3個のキャリア収納用ダクト130,130B、130Cのうち2個のキャリア収納用ダクト130,130Bはダクト120に対して同一の側(
図21では右側)に、残りの1個のキャリア収納用ダクト130Cはダクト120に対して反対側(
図21では左側)に配置されている。
このように、複数個のキャリア収納用ダクトを形成する場合には各キャリア収納用ダクトの配置の位置は任意である。
さらに、第二及び第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置200,300においては、複数個のキャリア収納用ダクトは何れもダクト120の長さ方向の中心線を含む水平面内に配置されているが、ダクト120の長さ方向の中心線と直交する鉛直面内において各キャリア収納用ダクトを任意の方向に延ばすことも可能である。例えば、複数個のキャリア収納用ダクトをダクト120の長さ方向の中心線の周囲に放射状に延ばすことも可能である。
【0067】
紙葉類搬送装置を設置する場所(パチンコ店など)のスペースに応じて各キャリア収納用ダクトの配置位置及び延伸方向を決めることができる。
(第四の実施形態)
図22は本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置400の部分的な横断面図である。
以下、第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と比較して、紙葉類搬送装置400が相違する点を述べる。
第一の実施形態においては、キャリア収納用ダクト130は複数個のキャリア110を収納し得る長さを有し、最終的には第二送風機12bに接続されているものとして構成されているが、本実施形態においては、キャリア収納用ダクト130は第一送風機12aの手前でダクト120に合流するようにループ状に形成されている。ダクト120からキャリア収納用ダクト130に進入したキャリア110はループ状のキャリア収納用ダクト130を一周して第一送風機12aの手前で再度ダクト120の内部に戻るようになっている。
【0068】
キャリア収納用ダクト130の内壁には開閉可能なシャッター136が形成されている。シャッター136の一端136aはキャリア収納用ダクト130の内壁よりやや下の位置にあり、シャッター136は一端136aを中心としてダクト120の内部において回動可能であるようになっている。
具体的には、
図22に示すように、シャッター136は、キャリア収納用ダクト130の内壁に沿って位置し、キャリア収納用ダクト130の内部を密閉状態に維持するとともにキャリア収納用ダクト130の内部空間を遮蔽物のない状態にする第一位置(実線で示す位置)と、第一位置から反時計周りの方向に約70度回動し、キャリア収納用ダクト130の内壁に形成されている凸部136bに当接し、キャリア収納用ダクト130の内部空間を遮蔽する第二位置(破線で示す位置)との間を回動する。
【0069】
第二送風機12bはシャッター136に空気流を送るように配置されており、第二送風機12bが作動しないとき(空気流が発生していないとき)にはシャッター136は第一位置(実線で示す位置)にとどまっており、第二送風機12bが作動しているとき(空気流が発生しているとき)にはシャッター136は空気流の圧力を受けて第二位置(破線で示す位置)に移行した状態に維持される。すなわち、シャッター136は第二送風機12bが作動しないときには閉じ、第二送風機12bが作動しているときにのみ開いた状態を維持する。
キャリア収納用ダクト130の内部にはストッパー137Aが形成されている。キャリア収納用ダクト130に送り込まれたキャリア110はストッパー137Aに当たって停止し、以後、複数個(
図22では3個)のキャリア110が列をなして停止する。
【0070】
ストッパー137Aは、第二の実施形態における第一及び第二仕切り壁133a―133dと同様に、ダクト120の内部と外部との間で移動可能であるように構成されている。ストッパー137Aの移動は中央制御装置によって制御される。
シャッター136は、先頭のキャリア110がストッパー137Aに当たって停止し、キャリア収納用ダクト130に3個のキャリア110が収納された場合の最後に収納されたキャリア110Xよりも上流側(ダクト120により近い側)に配置されている。シャッター136をこのような位置に配置することにより、第二送風機12bからの空気流を全てのキャリア110に作用させることができる。
【0071】
キャリア収納用ダクト130の終点付近(第一送風機12aの手前の付近)にはストッパー137Aと同様のストッパー137Bが設けられている。第一送風機12aの手前まで到達したキャリア110はストッパー137Bに当たって停止する。ストッパー137Bも、ストッパー137Aと同様に、中央制御装置の制御によってダクト120の内部と外部との間を移動する。
以下、本実施形態に係る紙葉類搬送装置400の動作を説明する。
紙幣50の紙幣収容室14への搬送開始前の段階においては、中央制御装置はストッパー137A、137Bはダクト120の内部に位置させておくとともに、第二送風機12bの作動は停止しておく。このため、シャッター136は第一位置(実線で示す位置)にあり、キャリア収納用ダクト130の内部におけるキャリア110の走行はシャッター136によって阻害されることはない。
【0072】
ダクト120の内部に紙幣50が投入されると、第一の実施形態の場合と同様に、キャリア110が紙幣50を捕捉し、捕捉した紙幣50を紙幣収容室14に送り込むとともに、キャリア110自身はキャリア収納用ダクト130に導かれ、ストッパー137Aに当たって停止する。
1個目のキャリア110と同様にして、3個目のキャリア110Xがキャリア収納用ダクト130の内部に導かれ停止すると、キャリア110Xの通過を検知したセンサー131が3回目のキャリア通過信号を中央制御装置に送信する。
このキャリア通過信号を受信した中央制御装置はストッパー137Aをダクト120の内部から外部に移動させるとともに、第二送風機12bを作動させる。
【0073】
第二送風機12bが作動を開始すると、発生した空気流はシャッター136を第一位置(実線で示す位置)から第二位置(破線で示す位置)へ回動させ、さらに、最後尾のキャリア110Xを、ひいては、3個の全キャリア110を前方へ押す。第二送風機12bからの空気流で押されたキャリア110はキャリア収納用ダクト130の内部を矢印X3の方向に走行し、最終的にはストッパー137Bに当たって停止する。キャリア110はこのようにして当初の位置に戻ってくる。
センサー(図示せず)がストッパー137Bに到達したキャリア110を検知すると、キャリア検知信号を中央制御装置に送信し、このキャリア検知信号を受信した中央制御装置は第二送風機12bの作動を停止する。
【0074】
シャッター136の第二位置(破線で示す位置)はシャッター136が水平方向に対して鋭角になるような位置であるので、空気流の圧力がなくなると、シャッター136はその自重で第一位置(実線で示す位置)に回動する。
この後、キャリア110はダクト移動機構(図示せず)によってダクト120の内部に引き出され、第一送風機12aからの空気流による風圧を受けて紙幣収容室14に向かって再び送り出される。
以上が本実施形態に係る紙葉類搬送装置400の動作の1サイクルであり、この動作が繰り返される。すなわち、キャリア110がダクト120に投入された紙幣50を捕捉し、紙幣収容室14に搬送する動作が繰り返される。
【0075】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置400によれば、以下の効果を得ることができる。
第一乃至第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置100、200,300においては、紙幣50を捕捉した後のキャリア110を当初の位置に戻すのはダクト120を用いて行っていた。このため、紙幣50の捕捉を終えたキャリア110を当初の位置に戻している間においては、紙幣50を紙幣収容室14に搬送する動作は行うことができなかった。
これに対して、本実施形態においては、紙幣50の捕捉を終えたキャリア110は帰還専用のキャリア収納用ダクト130を通って当初の位置に戻ることができる。キャリア110の帰還にダクト120は使用されない。このため、キャリア110を当初の位置に戻している間においても、ダクト120を使用することができ、他のキャリア110を用いて紙幣50を紙幣収容室14に搬送する動作を行うことが可能である。
【0076】
このように、本実施形態においては、キャリア110による紙幣50の捕捉専用のダクト120と、キャリア110の当初の位置への帰還専用のダクト(キャリア収納用ダクト130)とを分けて設けているため、キャリア110を当初の位置に戻すためにダクト120を使用する時間を省くことができ、紙幣50の紙幣収容室14への搬送を効率的に行うことができる。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置400は、第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100の他に、第二及び第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置200,300にも応用することが可能である。複数個のキャリア収納用ダクトのうちの1個またはそれ以上のキャリア収納用ダクトを本実施形態と同様に構成することが可能である。
第一送風機12aは
図22に実線で示した位置のみならず破線で示した位置、すなわち、帰還してきたキャリア110に後方から空気流を作用させる位置に置くことも可能である。
【符号の説明】
【0077】
100 本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置
110 キャリア
120 ダクト
130 キャリア収納用ダクト
131 センサー
132a、132b スリット
133a、133b 仕切り壁
134 制御装置
200 本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置
300 本発明の第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置
400 本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、
前記ダクト内を走行する複数個のキャリアと、
前記ダクトの他端に配置され、前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記第一送風機から前記紙葉類収容室に向かう方向において前記紙葉類収容室の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトが形成されており、
前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、
前記第一領域は前記紙葉類収容室まで延びており、
前記第二領域は前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであり、
前記キャリア収納用ダクトの先端は前記第二送風機に接続されており、
前記複数個のキャリアの各々は円形状の縦断面を有する形状であり、前記紙葉類を押す前記キャリアの前面には円周に沿って突起が一定間隔に形成されていることを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記キャリア収納用ダクトには前記キャリアの通過を検出するセンサーが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
複数個の前記キャリア収納用ダクトを備えており、
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトのうちの何れか一つを選択し、選択されたキャリア収納用ダクトにのみ前記キャリアを通過させるダクト切り替え装置を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記ダクト切り替え装置は、
前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々において当該キャリア収納用ダクトと一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する仕切り壁と、
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの各々に収納されている前記キャリアの数に応じて前記仕切り壁の開閉を制御する制御装置と、
からなるものであることを特徴とする請求項4に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々には前記仕切り壁が進入可能なスリットが両側に形成されており、
前記仕切り壁は両側から前記キャリア収納用ダクトに進入し、前記第二領域のうち前記第一領域と重なり合っていない部分を塞ぐものであることを特徴とする請求項5に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項7】
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトは、前記ダクトの長さ方向の中心線を含む水平面において、前記ダクトに対して同じ側に配列されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項8】
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの少なくとも何れか一つは、前記ダクトの長さ方向の中心線を含む水平面において、前記ダクトに対して反対側に配列されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、前記ダクト内を走行する複数個のキャリアと、前記ダクトの他端に配置され、前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記第一送風機から前記紙葉類収容室に向かう方向において前記紙葉類収容室の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトが形成されており、前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、前記第一領域は前記紙葉類収容室まで延びており、前記第二領域は前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであり、前記キャリア収納用ダクトの先端は前記第二送風機に接続されており、前記複数個のキャリアの各々は円形状の縦断面を有する形状であり、前記紙葉類を押す前記キャリアの前面には円周に沿って突起が一定間隔に形成されていることを特徴とする紙葉類搬送装置を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトには前記キャリアの通過を検出するセンサーが配置されていることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】