(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114897
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】紙葉類搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/22 20060101AFI20230810BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20230810BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B65H5/22 A
B65H5/06 F
B65H29/52
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017474
(22)【出願日】2022-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 国明
【テーマコード(参考)】
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
3F049AA01
3F049DA12
3F049DB11
3F049FA02
3F049FA05
3F049LA16
3F049LB04
3F101FA01
3F101FC03
3F101LA16
3F101LB04
(57)【要約】
【課題】ダクトの中に発生させた空気流によりキャリアを介して紙幣を搬送する装置において、空気流の逆流を防止する。
【解決手段】紙幣通路(240A)の内部には遮蔽板(510)が配置されている。遮蔽板(510)は長孔(241A)の中をスライドするとともに回動しながら移動する。空気流の逆流(Wa)が紙幣通路(240A)の内部に進入すると、遮蔽板(510)は逆流した空気流(Wa)の風圧を受けて回動し、紙幣通路(240A)を遮蔽する。これにより、逆流した空気流(Wa)を遮蔽板(510)で止めることができる。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクト内を走行するキャリアと、
前記ダクト内において一方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記一方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記紙葉類が通過する紙葉類通路に配置された空気流逆流装置を備え、
前記空気流逆流装置は、
鉛直方向に延びる遮蔽板と、
前記遮蔽板の上端及び下端からそれぞれ上方及び下方に延びる円柱状の突起と、
前記遮蔽板の上下に配置され、前記遮蔽板を上下において支持する一対の支持部材と、
を備え、
前記一対の支持部材の各々には前記紙葉類通路が延びる方向に延びる長孔が形成されており、
前記突起は前記長孔に対して回動可能かつスライド可能であるように篏合可能であり、
前記遮蔽板は、前記突起が前記長孔の一端に位置し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽しない第一位置と、前記第一位置から前記突起が前記長孔内を回動するとともに前記長孔内をスライドして前記長孔の他端に移動し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽する第二位置との間を回動することを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記紙葉類通路には、前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに、前記遮蔽板の先端との間に前記空気流が流れる隙間ができるような第一拡張部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記遮蔽板の表面には当該表面から延びる突出部が形成されており、前記突出部が前記第一拡張部の内壁に当接することにより前記隙間が形成されることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記遮蔽板は、一方向に延びる第一部分と、前記第一部分に対して角度をなして屈曲している第二部分と、からなり、
前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに前記第一部分は前記第一拡張部の内壁に当接していることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記紙葉類通路は、前記遮蔽板が前記第一位置から前記第二位置に移行するときに前記遮蔽板の先端が前記紙葉類通路と干渉しないように拡張された第二拡張部を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
前記空気流逆流装置は、紙葉類が投入される紙葉類投入装置と前記ダクトとの間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項7】
前記紙葉類搬送装置は第二のダクトを備えており、
前記空気流逆流装置は前記ダクトと前記第二のダクトとの間に配置されていることを特徴とする1乃至6の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト内に発生させた空気流により紙幣その他のシート状の紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような紙葉類搬送装置の一例として特開2016-160038号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
図66乃至
図71は同公報に記載された紙葉類搬送装置を示す。
図66は紙葉類搬送装置の構造及び紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
この紙葉類搬送装置は、
図66に示すように、紙幣などの紙葉類をその前面で押すことにより当該紙葉類を搬送するキャリア10と、キャリア10の外形と相似し、かつ、キャリア10が走行可能な内部空間を有するダクト11と、キャリア10が搬送してきた紙葉類を収容する紙幣収容室14と、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14に向かう方向に走行させる第一送風機12aと、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14から離れる方向に走行させる第二送風機12bと、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置で停止させるストッパー13a及び13bと、を備えている。
【0003】
図66に示すように、複数個のパチンコ台20その他の遊戯機器が
図66の左右方向に一列に配置されており(
図66においては、単純化するため1個のパチンコ台20のみを示している)、パチンコ台20の横には紙幣を投入するための紙幣投入装置21が設置されている。紙幣投入装置21に投入された紙幣の額に応じて遊技媒体(パチンコ玉やメダルなど)が払い出される。
パチンコ台20の裏側には、当該紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクト11がパチンコ台20の配列方向と平行に延びるように設置されている。
図67はダクト11の部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図67に示すように、ダクト11は直線状に延びる中空構造を有しており、その縦断面は、上下方向に長い長方形において上下方向の中央部が内側に突出する形状をなしている。すなわち、上下方向の中央の部分が矩形状にダクト11の内側に突出する突出部11aを構成している。
【0004】
さらに、ダクト11の側壁には、紙幣投入装置21の位置に対応して、スリット11bが形成されている。後述するように、各紙幣投入装置21に投入された紙幣はスリット11bを通過してダクト11の内部に送られる。
図68はキャリア10の斜視図である。
キャリア10は、上下方向に延びる中心軸10aと、中心軸10aの一方の側に配置された4個の第一ウィング10bと、中心軸10aの他方の側に配置された4個の第二ウィング10cと、からなる。
第一ウィング10bは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第一ウィング10bがV字型になるように、それぞれ配置されている。同様に、第二ウィング10cは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第二ウィング10cがV字型になるように、それぞれ配置されている。後述するように、ダクト11の内部に送られた紙幣は4個の第一ウィング10bにその外縁を押されて搬送される。
【0005】
図69はキャリア10がダクト11の内部に収納された状態を示す斜視図である。
図69に示すように、ダクト11の突出部11aが、上下の第一ウィング10bの間に形成された空間10d及び上下の第二ウィング10cの間に形成された空間10d(
図68参照)に嵌まり込む。
図66に示すように、紙幣収容室14はダクト11の一端(
図66の右端)に配置されている。紙幣収容室14には、紙幣投入装置21から投入され、キャリア10によって搬送された紙幣が収容される。
ダクト11の内部に空気流(風)を送り込む第一送風機12a及び第二送風機12bはダクト11の両端に配置されている。
【0006】
第一送風機12a及び第二送風機12bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機12aが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第二ウィング10cが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機12bが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第一ウィング10bが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
なお、ダクト11の一方の端部(
図66の右端)に連続して紙幣収容室14が配置されているため、第二送風機12bは紙幣収容室14に隣接して配置され、バイパス通路12cを介してダクト11と連結している。
図70は紙幣投入装置21の内部構造を示す概略図である。
【0007】
図70に示すように、紙幣投入装置21は、ローラーユニット21bと、ダクト11に対して斜めの方向に延びる搬送路21cと、を備えている。
紙幣投入装置21の紙幣投入口21aから投入された紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、真贋や額面などの検査を経て、搬送路21cを介して、ダクト11の内部に投入される。
図71は、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置(具体的には、ダクト11の両端の近傍)で停止させるストッパー13a及び13bを示す。
ストッパー13a及び13bは、ダクト11の内部に延びるフック状の部材からなる。キャリア10の第一ウィング10bがストッパー13aに引っ掛かることによって、キャリア10は紙幣収容室14の手前で停止する。また、キャリア10の第二ウィング10cがストッパー13bに引っ掛かることによって、キャリア10は第一送風機12aの手前で停止する。
【0008】
上記の構造を有する紙葉類搬送装置は以下のように作動する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣を投入すると、紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11のスリット11bからダクト11の内部に投入される。
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト11の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第二ウィング10cがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。キャリア10は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト11に投入された紙幣を第一ウィング10bで捕捉する。紙幣を捕捉したキャリア10は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、次いで、ストッパー13aにより停止させられる。キャリア10が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア10から離れ、紙幣収容室14に収容される。
【0009】
紙幣は、その紙面がキャリア10の走行方向(ダクト11の長さ方向)と平行であり、かつ、その短辺がキャリア10の中心軸10aと平行になる姿勢を維持してキャリア10により搬送される。
ストッパー13aの近傍にはキャリア10を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア10がストッパー13aによって停止すると、センサーは、キャリア10がストッパー13aによって停止したことを示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を停止するとともに、キャリア10がストッパー13aによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室14に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機12bを作動させる。
【0010】
第二送風機12bが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第一ウィング10bがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
その後、キャリア10はストッパー13bに引っ掛かり、停止する。このようにして、キャリア10は当初の位置に復帰する。
以上の動作が、紙幣が紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図66乃至
図71に示した従来の紙葉類搬送装置においては、紙幣は紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに投入された後にローラーユニット21bにより搬送路21cを介してダクト11の内部に送り出される。
ダクト11の内部には第一送風機12aまたは第二送風機12bからの空気流が流れており、紙幣が紙幣投入装置21に投入され、ダクト11に送り出されるまでの間においても、これらの空気流は必ずしも止まる訳ではない。
このため、ダクト11の内部の空気流が搬送路21cから逆流して紙幣投入装置21の内部に流れ込むことがあった。空気流が紙幣投入装置21の内部に流れ込むと、空気流は紙幣の搬送方向とは逆の方向に流れるので、幣投入装置21の内部における紙幣の円滑な搬送の阻害要因となっていた。
本発明は以上のような従来の紙葉類搬送装置における問題点に鑑みてなされたものであり、ダクト11の内部の空気流が紙幣投入装置21の内部へ逆流することを防止することが可能な紙葉類搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクト内を走行するキャリアと、前記ダクト内において一方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記一方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記紙葉類が通過する紙葉類通路に配置された空気流逆流装置を備え、前記空気流逆流装置は、鉛直方向に延びる遮蔽板と、前記遮蔽板の上端及び下端からそれぞれ上方及び下方に延びる円柱状の突起と、前記遮蔽板の上下に配置され、前記遮蔽板を上下において支持する一対の支持部材と、を備え、前記一対の支持部材の各々には前記紙葉類通路が延びる方向に延びる長孔が形成されており、前記突起は前記長孔に対して回動可能かつスライド可能であるように篏合可能であり、前記遮蔽板は、前記突起が前記長孔の一端に位置し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽しない第一位置と、前記第一位置から前記突起が前記長孔内を回動するとともに前記長孔内をスライドして前記長孔の他端に移動し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽する第二位置との間を回動することを特徴とする紙葉類搬送装置を提供する。
【0014】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類通路には、前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに、前記遮蔽板の先端との間に前記空気流が流れる隙間ができるような第一拡張部が形成されていることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記遮蔽板の表面には当該表面から延びる突出部が形成されており、前記突出部が前記第一拡張部の内壁に当接することにより前記隙間が形成されることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記遮蔽板は、一方向に延びる第一部分と、前記第一部分に対して角度をなして屈曲している第二部分と、からなり、前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに前記第一部分は前記第一拡張部の内壁に当接していることが好ましい。
【0015】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類通路は、前記遮蔽板が前記第一位置から前記第二位置に移行するときに前記遮蔽板の先端が前記紙葉類通路と干渉しないように拡張された第二拡張部を備えることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記空気流逆流装置は、紙葉類が投入される紙葉類投入装置と前記ダクトとの間に配置されていることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類搬送装置は第二のダクトを備えており、前記空気流逆流装置は前記ダクトと前記第二のダクトとの間に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る紙葉類搬送装置においては、紙幣をダクトに送り出した後にダクトの内部の空気流が紙葉類通路を逆流してきたとしても、遮蔽板が逆流してきた空気流の風圧により第一位置から第二位置に移行し、紙葉類通路を遮蔽するに至る。このため、逆流してきた空気流は遮蔽板によってそれ以上の逆流が停止される。
このため、次に投入された紙幣が紙葉類通路を通過していても、この紙幣が逆流してきた空気流の影響を受けることはなく、紙幣の円滑な搬送を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるキャリアを正面側から見たときの斜視図である。
【
図3】
図2のキャリアを背面側から見たときの斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるダクトの斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
【
図6】
図6(A)は本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の横断面図、
図6(B)は水平方向から見たときの紙幣整形装置の正面図、
図6(C)は
図6(B)のA-A線における縦断面図である。
【
図7】
図6(A)―
図6(C)に示した紙幣整形装置の分解斜視図である。
【0018】
【
図8】
図6(A)―
図6(C)に示した紙幣整形装置の第一紙幣通路及び第二紙幣通路を取り外した場合の幣整形装置の分解斜視図である。
【
図9】
図8には示さなかった第一紙幣通路及び第二紙幣通路のみの分解斜視図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における一対の紙幣整形ローラーの正面図である。
【
図11】
図10に示した一対の紙幣整形ローラーの斜視図である。
【
図12】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における第二紙幣通路の斜視図である。
【
図14】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣送り出しローラー及び一対の紙幣押さえ板の斜視図である。
【
図15】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における空気流逆流防止装置の斜視図である。
【0019】
【
図16】
図15に示した空気流逆流防止装置の遮蔽板の取り付け状態を示す一部分解斜視図である。
【
図17】
図15に示した空気流逆流防止装置の遮蔽板の取り付け状態を示す一部分解斜視図である。
【
図18】
図16に示した遮蔽板及びその周囲の横断面図である。
【
図19】
図17に示した遮蔽板及びその周囲の横断面図である。
【
図20】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図21】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図22】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【0020】
【
図23】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図24】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図25】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図26】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における一対の紙幣整形ローラーの紙幣矯正機能を示す斜視図である。
【
図27】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における一対の紙幣整形ローラーの紙幣矯正機能を示す斜視図である。
【
図28】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における一対の紙幣整形ローラーの紙幣矯正機能を示す斜視図である。
【
図29】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置における一対の紙幣整形ローラーの紙幣矯正機能を示す斜視図である。
【0021】
【
図30】本発明の第一の実施形態における遮蔽板の第一の変形例に係る遮蔽板の斜視図である。
【
図33】本発明の第一の実施形態における遮蔽板の第二の変形例に係る遮蔽板の斜視図である。
【
図36】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置の概略図である。
【
図37】
図37(A)は本発明の第二の実施形態における紙幣整形装置の横断面図、
図37(B)は紙幣整形装置の縦断面図、
図37(C)は
図37(B)のA方向から見た紙幣整形装置の側面図である。
【0022】
【
図40】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における第一のダクト及び第一のダクトから分岐したキャリア収納用ダクトの部分的横断面図である。
【
図41】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア収納用ダクト側から見たときの第一のダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【
図42】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における第一のダクト側から見たときの第一のダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【0023】
【
図43】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の部分的な斜視図である。
【
図44】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形ローラーの第二ローラー及び連結部材の分解斜視図である。
【
図45】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形ローラーの第二ローラーに連結部材を取り付けたときの斜視図である。
【
図46】
図46(A)は本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形ローラーの第二ローラーの縦断面図、
図46(B)は連結部材の縦断面図、
図46(C)は紙幣整形ローラーの第二ローラーに連結部材を取り付けたときの縦断面図である。
【
図47】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における連結部材の動作を示す斜視図である。
【
図48】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における連結部材の動作を示す斜視図である。
【0024】
【
図49】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における空気流逆流防止装置の斜視図である。
【
図50】
図49に示した空気流逆流防止装置の遮蔽板の取り付け状態を示す一部分解斜視図である。
【
図51】
図49に示した空気流逆流防止装置の遮蔽板の取り付け状態を示す一部分解斜視図である。
【
図52】
図50に示した遮蔽板及びその周囲の横断面図である。
【
図53】
図51に示した遮蔽板及びその周囲の横断面図である。
【
図54】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【0025】
【
図55】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図56】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図57】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図58】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図59】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図60】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【0026】
【
図61】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図62】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図63】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における紙幣整形装置の動作を示す断面図である。
【
図64】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置における一対の紙幣整形ローラーの間に紙幣が挟み込まれている状態を示す正面図である。
【
図65】紙幣が一対の紙幣整形ローラーを通過する前と後の状態を示す斜視図である。
【0027】
【
図66】従来の紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
【
図67】
図66に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクトの部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
【
図68】
図66に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるキャリアの斜視図である。
【
図69】
図68に示したキャリアが
図67に示したダクトの内部に収納された状態を示す斜視図である。
【
図70】
図66に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素である紙幣投入装置の内部構造を示す概略図である。
【
図71】
図66に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるストッパーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100において用いられるキャリア110を正面側から見たときの斜視図、
図2はキャリア110を背面側から見たときの斜視図である。
図1及び
図2に示すように、キャリア110は「砲弾」型をなしており、具体的には、円柱形状の本体部分110aと、本体部分110aの背面側に本体部分110aと連続して形成された半球形状の後方部分110bと、から構成されている。
キャリア110は軽量化を図るために中空構造とされている。
【0029】
キャリア110は本体部分110aの前面110cにおいて紙幣を押して紙幣を搬送する。本体部分110aの前面110cには円周に沿って同一形状の複数個の突起110dが等間隔に形成されている。相互に隣接する2個の突起110dの間に紙幣を挟み込み、紙幣を保持するようになっている。突起110dは、例えば、半球形状をなしている。
キャリア110の本体部分110aの中心軸方向における長さは可能な限り短く設定されている。本体部分110aの長さを短くすることにより、カーブしているダクトをスムーズに曲がることが可能になる。
キャリア110は後方部分110bにおいて第一送風機12aからの空気流(風)を受けることにより前進する。
図3は本実施形態に係る紙葉類搬送装置100において用いられるダクト120の斜視図である。
図4及び
図5はキャリア110、紙幣50及びダクト120の相互の位置関係を示す斜視図である。
ダクト120は、
図3に示すように、第一領域120aと第二領域120bとから構成されている。
【0030】
第一領域120aは上下に長い長方形の形状をなしており、その高さは紙幣50の短辺50a(
図4参照)が通過できる高さである。
第二領域120bは円形の縦断面を有しており、キャリア110が通過できるような大きさ(半径)に設定されている。
第一領域120aと第二領域120bとは部分的に重なり合っており、第一領域120aが第二領域120bの中心を通り、第二領域120bから上下の方向に突出している。
図4及び
図5に示すように、キャリア110はその前面110cにおいて紙幣50の短辺50aを押し、ダクト120の内部において紙幣50を搬送する。紙幣50はダクト120の第一領域120aを通過し、キャリア110はダクト120の第二領域120bを通過する。
【0031】
このように、第一領域120aは紙幣50のみが通過可能であり、キャリア110は第一領域120aを通過することはできない(正確には、キャリア110は第二領域120bから上下の方向に突出している第一領域120aの部分を通過することはできない)。
従来の紙葉類搬送装置と比較して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は紙幣整形装置200を追加的に備えている。紙幣整形装置200は、湾曲し、または、折れ曲がっている紙幣の湾曲または折れ曲がりを矯正し、平面状の(真っ直ぐな)紙幣に整形する装置である。
図6(A)は紙幣整形装置200の横断面図、
図6(B)は水平方向から見たときの紙幣整形装置200の正面図、
図6(C)は
図6(B)のA-A線における縦断面図である。
図7は紙幣整形装置200の分解斜視図である。
図6(A)に示すように、紙幣整形装置200は紙幣投入装置21(
図52参照)とダクト120との間に配置されている。
【0032】
紙幣整形装置200は、紙幣投入装置21から搬送されてきた紙幣を紙幣整形装置200の内部に取り込む一対の紙幣取り込みローラー210と、紙幣の湾曲や曲がりなどを矯正する一対の紙幣整形ローラー220と、紙幣取り込みローラー210から紙幣整形ローラー220に向かって紙幣が通過するための第一紙幣通路230と、紙幣整形ローラー220からダクト120に向かって紙幣が通過するための第二紙幣通路240と、第二紙幣通路240の出口の手前に配置され、紙幣をダクト120に送り出す紙幣送り出しローラー250と、紙幣送り出しローラー250に対して紙幣を押さえ付ける一対の紙幣押さえ板260と、一対の紙幣取り込みローラー210、一対の紙幣整形ローラー220及び紙幣送り出しローラー250を駆動する駆動モーター270と,空気流逆流防止装置500と、から構成されている。
図8は第一紙幣通路230及び第二紙幣通路240を取り外した場合の紙幣整形装置200の分解斜視図、
図9は第一紙幣通路230及び第二紙幣通路240のみの分解斜視図である。
【0033】
図6(A)、
図7及び
図8に示すように、一対の紙幣取り込みローラー210は紙幣投入装置21から送り出されてくる紙幣の進行方向上に配置されており、紙幣投入装置21から送り出されてくる紙幣を挟み込み、第一紙幣通路230を介して一対の紙幣整形ローラー220に紙幣を送り込む。
図9に示すように、第一紙幣通路230は相互に平行に直立している一対の壁からなり、一対の紙幣取り込みローラー210から送り出された紙幣は第一紙幣通路230を通って一対の紙幣整形ローラー220に送られる。
図10は一対の紙幣整形ローラー220の正面図、
図11は一対の紙幣整形ローラー220の斜視図である。
一対の紙幣整形ローラー220は第一ローラー220Aと第二ローラー220Bとからなり、これらの二つのローラー220A、220Bは軸線が相互に平行になるように、具体的には、どちらの軸線も鉛直方向になるように配置されている。
【0034】
第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの各表面にはそれぞれ断面が三角形形状の複数個の凹凸221が形成されている。複数個の凹凸221は二つのローラー220A、220Bの各軸線方向に一定間隔で並列されている。第一ローラー220A及び第二ローラー220Bは二つのローラー220A、220Bの各凹凸221が相互に噛み合うように隣接して配置されている。第一ローラー220Aの凸は第二ローラー220Bの凹に噛み合い、第一ローラー220Aの凹は第二ローラー220Bの凸に噛み合っている。
図10に示すように、真っ直ぐではない紙幣50は第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの各凹凸221の間に挟み込まれた状態で二つのローラー220A、220Bを通過する。これにより、紙幣50の湾曲、曲がり、折れなどが解消される。
図12は第二紙幣通路240の斜視図、
図13は第二紙幣通路240の部分的な分解図である。
【0035】
図12及び
図13に示すように、第二紙幣通路240は相互に平行に直立し、間に通路を構成している一対の第一壁部240Aと、一対の第一壁部240Aへの入り口240Bから一対の第一壁部240Aと直交して外側に延びる一対の第二壁部240Cと、からなる。
一対の紙幣整形ローラー220を通過した紙幣は入り口240Bから一対の第一壁部240Aの間の通路を通り、
図6(A)に示すように、ダクト120の第二領域120bに向かって送られる。
図14は紙幣送り出しローラー250及び一対の紙幣押さえ板260の斜視図である。
紙幣送り出しローラー250は、
図14に示すように、軸線方向に相互に離れて配置された二つの同心の小ローラー250A、250Bからなり、第二紙幣通路240の一対の第一壁部240Aの一方の壁部(ダクト120から遠い方の壁部)は二つの小ローラー250A、250Bの間のスペースに入り込むように延びている。
【0036】
一対の紙幣押さえ板260の各々は、押さえ板260Aと、バネ260Bとから構成されている。
押さえ板260Aの先端は櫛の歯状に分かれているとともに、紙幣送り出しローラー250の小ローラー250A、250Bの外周形状に合わせて円弧形状に形成されている。先端が円弧形状であることにより、押さえ板260Aの先端は小ローラー250A、250Bの外周に密接可能になっている。
押さえ板260Aはピン260Cを介して一対の第一壁部240Aの他方の壁部(ダクト120に近い方の壁部)に回動可能に取り付けられている。
押さえ板260Aの後端と一対の第一壁部240Aの他方の壁部との間にはバネ260Bが挟み込まれている。バネ260Bは押さえ板260Aの後端を一対の第一壁部240Aの他方の壁部から離す方向の弾性力を押さえ板260Aに作用させる。このため、ピン260Cを中心として回動可能な各押さえ板260Aはその先端において常に紙幣送り出しローラー250の小ローラー250A、250Bに押さえ付けられている。
【0037】
図6(B)及び
図8に示すように、駆動モーター270はベルト271を介して紙幣送り出しローラー250を駆動するとともに、ベルト272を介して一対の紙幣整形ローラー220の第一ローラー220Aを駆動する。一対の紙幣取り込みローラー210の一方のローラー(駆動モーター270に近い方のローラー)は第一ローラー220A及びベルト273を介して駆動モーター270により駆動される。
図15は空気流逆流防止装置500の斜視図である。
空気流逆流防止装置500は紙幣が紙幣整形装置200の内部を通過するときに、ダクト120を流れる空気流が第二紙幣通路240及び第一紙幣通路230を逆流することを防止する装置である。
【0038】
図15に示すように、空気流逆流防止装置500は、鉛直方向に延びる遮蔽板510と、遮蔽板510の上端及び下端からそれぞれ上方及び下方に延びる円柱状の突起520と、長孔241Aが形成されている水平部240D(後述)と、長孔241Bが形成されている支持台242と、から構成されている。
図15に示すように、第二紙幣通路240は第二紙幣通路240を構成する一対の第一壁部240Aのうちダクト120に近い方の第一壁部240AAと一対の第二壁部240Cのうちダクト120に近い方の第二壁部240CAの各上縁に渡って延びる水平部240Dを備えている。
水平部240Dには、第二紙幣通路240が延びる方向に延びる長孔241Aが形成されている。
第二紙幣通路240は支持台242上に支持されており、支持台242には長孔241Aに対応する位置に長孔241Aと同一形状の長孔241Bが形成されている。
【0039】
二つの突起520はそれぞれ長孔241A、241Bに嵌め込まれている。このため、突起520ひいては遮蔽板510は長孔241A、241Bに対して回動可能であるとともに、長孔241A、241Bの内部をスライド可能である。
図16及び
図17は遮蔽板510が長孔241A、241Bに取り付けられた状態を示す一部分解斜視図、
図18及び
図19はそれぞれ
図16及び
図17の横断面図である。
図18及び
図19に示すように、一対の第一壁部240Aのうちダクト120に近い方の第一壁部240AAにはその終端、すなわち、第一壁部240AAが第二壁部240CAと交差する箇所において第二紙幣通路240の平均的な幅よりも大きい幅を有する第一拡張部243Aが形成されている。
【0040】
第一拡張部243Aは、
図18及び
図19に示すように、第一壁部240AAから外側に斜めに延びる傾斜部分2401と、傾斜部分2401の先端から第二壁部240CAに直交するように直線的に延びる直線部分2402と、からなる。
さらに、一対の第一壁部240Aのうちダクト120から遠い方の第一壁部240ABにはその終端、すなわち、第一壁部240ABが一対の第二壁部240Cのうちダクト120から遠い方の第二壁部240CBと交差する箇所において第二拡張部243Bが形成されている。
第二拡張部243Bは、
図18及び
図19に示すように、第一壁部240ABから外側に斜めに延びる第一傾斜部分2403と、第一傾斜部分2403の先端から第一壁部240ABまで傾斜して延びる第二傾斜部分2404と、からなる。
【0041】
遮蔽板510は第一位置(
図18に示す位置)と第二位置(
図19に示す位置)との間をスライドしながら回動する。
図18に示すように、遮蔽板510が第一位置にあるときには、突起520は長孔241A、241Bの一方の端部(第二紙幣通路240の出口に近い方の端部、
図18においては左端)に位置しており、かつ、遮蔽板510の先端と第一拡張部243A(傾斜部分2401及び直線部分2402)の内壁との間には空気流Wbが通過し得る隙間Tが形成されている。
図19に示すように、遮蔽板510が第二位置にあるときには、突起520は長孔241A、241Bの他方の端部(第二紙幣通路240の出口から遠い方の端部、
図19においては右端)に位置しており、かつ、遮蔽板510は第二拡張部243Bの第二傾斜部分2404の内壁上に接している。
【0042】
以上のように、遮蔽板510が第一位置(
図18)にあるときには、遮蔽板510は第二紙幣通路240を遮蔽することなく開放状態に維持しており、遮蔽板510が第二位置(
図19)にあるときには、遮蔽板510は第二紙幣通路240を遮蔽している。第二拡張部243Bは遮蔽板510が第一位置から第二位置に移行するときに遮蔽板510の先端が回動しても遮蔽板510が第二紙幣通路240の内壁と干渉しないように形成されたものである。
図20乃至
図24は本実施形態における紙幣整形装置200の動作を示す断面図である。以下、
図20乃至
図24を参照して紙幣整形装置200の動作を説明する。
図20に示すように、紙幣投入装置21から送られてきた紙幣50は一対の紙幣取り込みローラー210に挟み込まれ、紙幣整形装置200の内部に取り込まれる。この段階においては、遮蔽板510は第一位置(
図18の位置)にある。
【0043】
次いで、
図21に示すように、紙幣50は一対の紙幣取り込みローラー210によって第一紙幣通路230の内部を一対の紙幣整形ローラー220まで送られる。
図26乃至
図29は一対の紙幣整形ローラー220によって紙幣50がどのように矯正されるかを示す斜視図である。
例えば、湾曲し、あるいは、曲がっていた紙幣50は一対の紙幣整形ローラー220を構成する第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの間を通過する間に二つのローラー220A、220Bのそれぞれの凹凸221から相互に異なる方向に押圧力を受ける。具体的には、第一ローラー220Aは凹凸221のうちの凸によって右から左に向かう方向に紙幣50に押圧力を作用させ、第二ローラー220Bは凹凸221のうちの凸によって左から右に向かう方向に紙幣50に押圧力を作用させる。このように、紙幣50は右から左に向かう押圧力と左から右に向かう押圧力をジグザグに受けることによって、紙幣50の湾曲や曲がりが解消され、ダクト120の内部を走行するのには支障がない程度までほぼ真っ直ぐな状態になる。
【0044】
例えば、
図26に示すように、曲げ線が紙幣50の長辺50bに平行になるように四つ折りされた紙幣50Aは、折られた状態から広げたとしても、折り曲げの痕が残った紙幣50Bになる。紙幣50Bはこの状態で紙幣投入装置21に投入され、次いで、紙幣整形装置200に送られる。紙幣50Bは一対の紙幣整形ローラー220を通過することにより、その曲げ痕が矯正され、ほぼ真っ直ぐな紙幣50Cとなる。この紙幣50Cが第二紙幣通路240を介してダクト120の内部に送られる。
また、
図27に示すように、曲げ線が紙幣50の短辺50aに平行になるように四つ折りされた紙幣50Dは、折られた状態から広げたとしても、折り曲げの痕が残った紙幣50Eになる。
図26に示した紙幣50Bの場合と同様に、紙幣50Eは一対の紙幣整形ローラー220を通過することにより、その曲げ痕が矯正され、ほぼ真っ直ぐな紙幣50Fとなる。この紙幣50Fが第二紙幣通路240を介してダクト120の内部に送られる。
【0045】
図28は長辺50bが湾曲(カール)している紙幣50G、
図29は短辺50aが湾曲(カール)している紙幣50Hをそれぞれ示す。
このように何れかの方向に湾曲している紙幣50G、50Hであっても、一対の紙幣整形ローラー220を通過することにより、その湾曲が矯正され、ほぼ真っ直ぐな紙幣50Jとなる。
一対の紙幣整形ローラー220によってほぼ真っ直ぐな状態に矯正された紙幣50は、
図22に示すように、一対の紙幣整形ローラー220から第二紙幣通路240を介して紙幣送り出しローラー250に送られる。
紙幣送り出しローラー250に送られた紙幣50は、
図23に示すように、紙幣送り出しローラー250と一対の紙幣押さえ板260の各押さえ板260Aとの間に挟み込まれ、その状態のままダクト120に向かって送られる。
【0046】
次いで、
図24に示すように、紙幣50はダクト120の第二領域120bの内部に送り込まれる。この後、紙幣50はキャリア110に捕捉され、紙幣収容室14に搬送される。
ダクト120の内部にはキャリア110を送るための空気流Wが紙幣収容室14に向かって流れている。
図25に示すように、この空気流Wの一部が第二紙幣通路240に進入し、空気流Waとして第二紙幣通路240を逆流することがある。
図18に示すように、逆流してきた空気流Waの一部である空気流Wbは遮蔽板510と第一拡張部243Aの内壁との間に形成されている隙間Tに入り込む。隙間Tに入り込んだ空気流Wbは他に逃げ場がないため、遮蔽板510を左から右に、同時に、上から下に押し込む風圧となって遮蔽板510に作用する。
【0047】
空気流Wbによる風圧を受けた遮蔽板510は長孔241A、241Bを左から右にスライドすると同時に突起520を中心として反時計回りに回動する。この結果として、
図19に示すように、遮蔽板510は長孔241A、241Bの左端から右端に移動するとともに第二拡張部243Bの第二傾斜部分2404に当たって停止する。
以上のように、
図25に示すように、遮蔽板510は逆流してきた空気流Waの一部である空気流Wbによって第一位置(
図18の位置)から第二位置(
図19の位置)に移行し、第二紙幣通路240を遮蔽する。このため、逆流してきた空気流Waは遮蔽板510によって遮蔽され、それ以後の逆流を停止させることができる。
第二位置に移行した遮蔽板510は次に搬送されてきた紙幣に押されて第一位置に戻る。
【0048】
以上の動作が紙幣投入装置21に投入された紙幣50が紙幣整形装置200を経てダクト120に送り込まれるまでの1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は以下の効果を奏する。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100においては、紙幣50をダクト120に送り出した後にダクト120の内部の空気流Waが第二紙幣通路240を逆流してきたとしても、遮蔽板510が逆流してきた空気流Waの風圧により第一位置から第二位置に移行し、第二紙幣通路240を遮蔽するに至る。このため、逆流してきた空気流Waは遮蔽板510によってそれ以上の逆流が停止される。
このため、次に投入された紙幣が第一紙幣通路230を通過していても、この紙幣が空気流Waの影響を受けることはない。
【0049】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
図30は第一の実施形態における遮蔽板510の第一の変形例に係る遮蔽板510Aの斜視図である。
図30に示すように、遮蔽板510Aの表面からは二つの同一長さの棒状の突出部511が延びている。
図31及び
図32は遮蔽板510Aの動作を示す断面図である。
図31に示すように、遮蔽板510Aが第一位置にあるときには、各突出部511の先端が第一拡張部243Aの内壁に当接しており、このため、遮蔽板510Aと第一拡張部243Aの内壁との間に隙間Tが強制的に形成されている。
【0050】
図32に示すように、遮蔽板510Aが第二位置に移行した後においても、突出部511が紙幣の搬送や紙幣整形装置200の各構成要素の動作の阻害要因になることはない。
突出部511の個数は2に限定されるものではなく、1以上の任意の数を選択することができる。
図33は第一の実施形態における遮蔽板510の第二の変形例に係る遮蔽板510Bの斜視図である。
図33に示すように、遮蔽板510Bは、一方向(
図33においては水平方向)に延びる第一部分510Cと、第一部分510Cに対して角度をなして第一部分510Cの先端から屈曲している(
図33においては下方に屈曲している)第二部分510Dと、からなる。
図34及び
図35は遮蔽板510Bの動作を示す断面図である。
【0051】
図34に示すように、遮蔽板510Bが第一位置にあるときには、第一部分510Cの上側面510CAが第一拡張部243Aの内壁に当接しており、このため、遮蔽板510Bの第二部分510Dと第一拡張部243Aの内壁との間に隙間Tが自動的に形成されている。
図35に示すように、遮蔽板510Bが第二位置に移行した後においても、遮蔽板510Bが紙幣の搬送や紙幣整形装置200の各構成要素の動作の阻害要因になることはない。
【0052】
(第二の実施形態)
上述の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100においては、
図6(A)に示したように、紙幣整形装置200は紙幣投入装置21とダクト120との間に配置されていたが、紙幣整形装置200が配置される位置はこれに限定されるものではない。以下に述べるように、第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置300においては、紙幣整形装置は二つのダクト(第一のダクト及び第二のダクト)の間に配置される。
図36は本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置300の概略図である。
図36に示すように、各パチンコ台(図示せず)の紙幣投入装置21に投入された紙幣は第一のダクト1201(第一の実施形態におけるダクト120に対応するダクト)と第二のダクト1202とを通って紙幣収容室14に搬送される。本実施形態における紙幣整形装置400は第一のダクト1201と第二のダクト1202との間に配置される。
【0053】
図37(A)は本実施形態における紙幣整形装置400の横断面図、
図37(B)は紙幣整形装置400の縦断面図、
図37(C)は
図37(B)のA方向から見た紙幣整形装置400の側面図である。
図38は紙幣整形装置400の斜視図、
図39は紙幣整形装置400の部分的斜視図である。
図37(A)、
図38及び
図39に示すように、本実施形態に係る紙葉類搬送装置300においては、紙幣整形装置400の手前で第一のダクト1201から分岐するキャリア収納用ダクト130が形成されている。
図40は第一のダクト1201及び第一のダクト1201から分岐したキャリア収納用ダクト130の部分的横断面図、
図41はキャリア収納用ダクト130側から見たときの第一のダクト1201及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図、
図42は第一のダクト1201側から見たときの第一のダクト1201及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図である。
【0054】
図40乃至
図42に示すように、第一のダクト1201を構成する第一領域120a及び第二領域120bのうち、第一領域120aは紙幣整形装置400まで延びており、第二領域120bは紙幣整形装置400の手前で第一領域120aから左側に分岐している。この分岐した第二領域120bがキャリア収納用ダクト130を構成している。
図37(B)に示すように、キャリア収納用ダクト130はその先端において第二送風機12bに接続されている。
図43は紙幣整形装置400の部分的な斜視図である。
図37(A)、
図38及び
図43に示すように、紙幣整形装置400は、一対の搬送ローラー410と、一対の紙幣整形ローラー420と、紙幣通路430と、連結部材440と、紙幣送り出しローラー450と、一対の紙幣押さえ板460と、駆動モーター470と、空気流逆流防止装置550と、から構成されている。
【0055】
一対の搬送ローラー410は、
図43に示すように、表面に凹凸221が形成されている円柱形状の第一ローラー410Aと、表面に凹凸221は形成されていない円柱形状の第二ローラー410Bと、からなる。第一ローラー410A及び第二ローラー410Bは同一半径及び同一高さを有している。
一対の紙幣整形ローラー420は第一ローラー420Aと第二ローラー420Bとからなる。
第一ローラー420Aは、上方から順に、いずれも表面に凹凸221が形成されている円柱形状の第一部分421A、第二部分421B及び第三部分421Cからなる。第一部分421A、第二部分421B及び第三部分421Cの各々の間にはスペースが設けられている。第一部分421A、第二部分421B及び第三部分421Cは同一半径を有しており、同心に配置されている。第一部分421Aと第三部分421Cは同一の高さを有しており、第二部分421Bの高さは第一部分421Aと第三部分421Cの高さより小さい。
【0056】
第二ローラー420Bは、上方から順に、第一部分422A、第二部分422B、第三部分422C及び第四部分422Dからなる。第二部分422Bの表面には凹凸が形成されていない点及び第四部分422Dが設けられている点を除いて、第二ローラー420Bは第一ローラー420Aと同様の構造を有している。第四部分422Dは第一乃至第三部分422A―422Cよりも小径の円柱形状を有している。
第一ローラー420A及び第二ローラー420Bは、それぞれの第一部分421A、422Aが対向し、第二部分421B、422Bが対向し、第三部分421C、第三部分422Cが対向するように配置されている。
紙幣通路430は紙幣整形装置400まで延びてきている第一のダクト1201の第一領域120aと連通しており、
図37(A)に示すように、その先端は第二のダクト1202に連通している。
【0057】
図39に示すように、紙幣通路430には、一対の搬送ローラー410及び一対の紙幣整形ローラー420との干渉を避けるための開口430Aが設けられている。
紙幣送り出しローラー450及び紙幣押さえ板460は第一の実施形態における紙幣送り出しローラー250及び紙幣押さえ板260とそれぞれ同一のものである。
駆動モーター470はベルト471を介して紙幣送り出しローラー450及び紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bを駆動する。紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bの第二部分422Bと搬送ローラー410の第二ローラー410Bとの間にはベルト472が掛け渡されており、駆動モーター470に駆動される紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bはベルト472を介して搬送ローラー410の第二ローラー410Bを駆動する。
【0058】
図44は紙幣整形ローラー420の第二ローラー420B及び連結部材440の分解斜視図、
図45は紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bに連結部材440を取り付けたときの斜視図、
図46(A)は紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bの縦断面図、
図46(B)は連結部材440の縦断面図、
図46(C)は紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bに連結部材440を取り付けたときの縦断面図である。
図44及び
図46(B)に示すように、連結部材440は、鉛直面内に広がる長方形の平板状の第一部分440Aと、第一部分440Aの上縁から第一部分440Aと直交して延びる長方形の平板状の第二部分440Bと、第一部分440Aの下縁から第一部分440Aと直交して第二部分440Bと同じ方向に延びる長方形の平板状の第三部分440Cと、第三部分440Cの下面から下方に延びる中空の円柱形状の第四部分440Dと、からなる。
【0059】
第二部分440Bと第三部分440Cとの間の間隔は、
図45及び
図46(C)に示すように、第二ローラー420Bの第二部分422B及び搬送ローラー410の第二ローラー410Bが第二部分440Bと第三部分440Cとの間に篏合可能な間隔に設定されている。
第二部分440B及び第三部分440Cには貫通孔441,442が形成されている。貫通孔441と搬送ローラー410の第二ローラー410Bとを同心に配置し、ピンを通すことにより、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440に対して回動自在に連結される。
貫通孔442は円柱形状の第四部分440Dと同心になるように形成されている。
【0060】
図46(A)に示すように、第二ローラー420Bの第三部分422Cには第四部分440Dが篏合可能なリング状の溝422Eが形成されている。第四部分440Dを溝422Eに嵌め込んだ状態においては、連結部材440は第二ローラー420Bの第三部分422Cに対して回動可能である。第四部分440Dを溝422Eに嵌め込み、貫通孔442と第二ローラー420Bの第一部分422A及び第二部分422Bにピンを通すことにより、連結部材440と紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bとは相互に回動自在に連結され、連結された状態においては、
図45に示すように、第二部分422Bは搬送ローラー410の第二ローラー410Bとともに連結部材440の内部に収容されている状態にある。
第四部分440Dは鉄製であり、第二ローラー420Bの第三部分422Cは磁石その他の磁力を発する素材で作られている。このため、第四部分440Dひいては連結部材440は紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bとともに回転する。このように、第四部分440Dは磁力式クラッチとしての機能を有している。
【0061】
図47及び
図48は連結部材440の動作を示す斜視図である。
第一のダクト1201から紙幣通路430に紙幣50が送られてこないときには、紙幣整形ローラー420の第一ローラー420A及び第二ローラー420Bを正転方向S1(挟み込んだ紙幣50を第一のダクト1201に送り返す方向)に回転させる。これにより、
図47に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー420Aからは離れた状態となる。
第一のダクト1201から紙幣通路430に紙幣50が送られ、紙幣50が一対の紙幣整形ローラー420の間に挟み込まれると、紙幣整形ローラー420の第二ローラー420Bを逆転方向S2(紙幣50を一対の紙幣整形ローラー420に挟み込む方向)に回転させる。これにより、
図48に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー410Aと接触した状態となる。紙幣50は搬送ローラー410の第一ローラー410Aと第二ローラー410Bとの間に挟み込まれ、搬送ローラー410及び紙幣整形ローラー420が回転すると、紙幣50は一対の紙幣整形ローラー420を通過する。
【0062】
図49は本実施形態における空気流逆流防止装置550の斜視図である。
空気流逆流防止装置550は紙幣が紙幣整形装置400の内部を通過するときに、第二のダクト1202を流れる空気流が紙幣通路430を逆流することを防止する装置である。
図49に示すように、空気流逆流防止装置550は、鉛直方向に延びる遮蔽板560と、遮蔽板560の上端及び下端からそれぞれ上方及び下方に延びる円柱状の突起570と、遮蔽板560の上下に形成され、それぞれ長孔241A、241Bが形成されている支持部材(水平部240D及び支持台242)と、から構成されている。
図50及び
図51は遮蔽板560が長孔241A、241Bに取り付けられた状態を示す一部分解斜視図、
図52及び
図53はそれぞれ
図50及び
図51の横断面図である。
【0063】
空気流逆流防止装置550の構造及び動作は基本的には第一の実施形態における空気流逆流防止装置500の構造及び動作と同一である。
図54乃至
図63は本実施形態における紙幣整形装置400の動作を示す断面図である。以下、
図54乃至
図63を参照して、紙幣整形装置400の動作を説明する。
第一のダクト1201の内部に紙幣50が投入されると、第一送風機12aが作動し、第一のダクト1201の内部において第二のダクト1202に向かう方向に空気流(風)Wを発生させる。
図54に示すように、この空気流Wに押されたキャリア110は第一のダクト1201の内部で紙幣50を捕捉し、紙幣整形装置400に向かって紙幣50を搬送する。
【0064】
この状態においては、
図54に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは第一ローラー410Aからは離れた状態(
図47に示す状態)にある。一対の搬送ローラー410及び一対の紙幣整形ローラー420は何れも作動しておらず、静止状態にある。遮蔽板560は第一位置(
図52の位置)にある。
第一のダクト1201の第二領域120bを通過してきた紙幣50は紙幣通路430に進入し、
図55に示すように、相互に離れている一対の搬送ローラー410の間を通過し、一対の紙幣整形ローラー420に当たって、一対の紙幣整形ローラー420の間に挟み込まれた状態となる。
図55に示すように、紙幣50を搬送してきたキャリア110は第一のダクト1201からキャリア収納用ダクト130に進入し、キャリア収納用ダクト130の内部で停止する。
【0065】
紙幣50が一対の紙幣整形ローラー420に到達すると、紙幣検知センサー(図示せず)がこれを検知し、紙幣到達信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣到達信号を受信した中央制御装置は、
図56に示すように、第一送風機12aの作動を停止させるとともに、紙幣整形ローラー420を逆転方向S2(
図48参照)に回転させる。これによって、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー420Aと接触した状態(
図48に示す状態)となる。この状態においては、紙幣50はその前方を一対の紙幣整形ローラー420に、その後方を一対の搬送ローラー410の間に挟み込まれている。
【0066】
次いで、中央制御装置は駆動モーター470を作動させる。これにより、
図57に示すように、紙幣50は搬送ローラー410及びベルト472により前方に搬送され、一対の紙幣整形ローラー420を通過し始める。
紙幣50がさらに進むと、
図58に示すように、紙幣50の後縁は搬送ローラー410を離れ、前縁は紙幣送り出しローラー450及び紙幣押さえ板460を介して第二のダクト1202の内部に進み始める。
次いで、
図59に示すように、紙幣50は一対の紙幣整形ローラー420を離れ、紙幣送り出しローラー450及び紙幣押さえ板460に送られて、紙幣50の大部分が第二のダクト1202の内部に進入する。
次いで、
図60に示すように、紙幣50の全体が第二のダクト1202の内部に進入する。この後、紙幣50は第二のダクト1202の内部においてキャリア110に捕捉され、紙幣収容室14に搬送される(
図36参照)。
【0067】
紙幣50が第二のダクト1202に進入したことを紙幣センサー(図示せず)が検知すると、紙幣センサーは検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は紙幣整形ローラー420の第一ローラー420A及び第二ローラー420Bを正転方向S1(
図47参照)に回転させる。これにより、
図61に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー420Aからは離れた状態(
図47に示す状態)となる。
この後、
図62に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは第一ローラー410Aから離れた状態に維持される。このように、紙幣整形装置400は紙幣50を受け入れる前の状態(
図54に示す状態)に戻る。
【0068】
複数個のキャリア110がキャリア収納用ダクト130に収納されると、これを検知したセンサー(図示せず)が検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は第二送風機12b(
図37(B)参照)を作動させる。これにより、キャリア収納用ダクト130内に収納されている複数個のキャリア110は第二送風機12bが発生させた空気流(風)の風圧を受けて第一のダクト1201の内部を第一送風機12aに向かって送り返される。
第二のダクト1202の内部にはキャリア110を送るための空気流Wが紙幣収容室14に向かって流れている。この空気流Wの一部が紙幣通路430に進入し、第二紙幣通路430を逆流することがある。
【0069】
このような場合であっても、第一の実施形態における遮蔽板510と同様に、
図63に示すように、遮蔽板560は逆流してきた空気流の風圧によって第一位置(
図52に示す位置)から第二位置(
図53に示す位置)に移行し、逆流空気流が紙幣通路430の内部に進入することを防止する。
第二位置に移行した遮蔽板560は次に搬送されてきた紙幣に押されて第一位置に復帰する。
図64は一対の紙幣整形ローラー420の間に紙幣50が挟み込まれている状態を示す正面図、
図65は紙幣50が一対の紙幣整形ローラー420を通過する前と後の状態を示す斜視図である。
一対の紙幣整形ローラー420は第一の実施形態における一対の紙幣整形ローラー220と同様の機能を奏する。具体的には、
図26乃至
図29に示したように、湾曲し、あるいは、曲がっていた紙幣50は一対の紙幣整形ローラー420を通過することにより、紙幣50の湾曲や曲がりが解消され、第二のダクト1202の内部を走行するのには支障がない程度までほぼ真っ直ぐな状態になる。
【0070】
以上の動作が紙幣投入装置21に投入された紙幣50が第一のダクト1201から紙幣整形装置400を経て第二のダクト1202に送り込まれるまでの1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置400は第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と同様の効果を奏する。
紙幣通路430は第二のダクト1202からの空気流が流れ込みやすい位置にあるため、空気流逆流防止装置550は特に有効である。
【符号の説明】
【0071】
100 本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置
110 キャリア
120 ダクト
130 キャリア収納用ダクト
200 紙幣整形装置
500 空気流逆流防止装置
510,510A、510B 遮蔽板
511 突出部
520 突起
300 本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置
400 紙幣整形装置
550 空気流逆流防止装置
560 遮蔽板
570 突起
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクト内を走行するキャリアと、
前記ダクト内において一方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記一方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記紙葉類が通過する紙葉類通路に配置された空気流逆流防止装置を備え、
前記空気流逆流防止装置は、
鉛直方向に延びる遮蔽板と、
前記遮蔽板の上端及び下端からそれぞれ上方及び下方に延びる円柱状の突起と、
前記遮蔽板の上下に配置され、前記遮蔽板を上下において支持する一対の支持部材と、
を備え、
前記一対の支持部材の各々には前記紙葉類通路が延びる方向に延びる長孔が形成されており、
前記突起は前記長孔に対して回動可能かつスライド可能であるように篏合可能であり、
前記遮蔽板は、前記突起が前記長孔の一端に位置し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽しない第一位置と、前記第一位置から前記突起が前記長孔内を回動するとともに前記長孔内をスライドして前記長孔の他端に移動し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽する第二位置との間を回動し、
前記紙葉類通路には、前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに、前記遮蔽板の先端との間に前記空気流が流れる隙間ができるような第一拡張部が形成されていることを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記遮蔽板の表面には当該表面から延びる突出部が形成されており、前記突出部が前記第一拡張部の内壁に当接することにより前記隙間が形成されることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、一方向に延びる第一部分と、前記第一部分に対して角度をなして屈曲している第二部分と、からなり、
前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに前記第一部分は前記第一拡張部の内壁に当接していることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記紙葉類通路は、前記遮蔽板が前記第一位置から前記第二位置に移行するときに前記遮蔽板の先端が前記紙葉類通路と干渉しないように拡張された第二拡張部を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記空気流逆流防止装置は、紙葉類が投入される紙葉類投入装置と前記ダクトとの間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
前記紙葉類搬送装置は第二のダクトを備えており、
前記空気流逆流防止装置は前記ダクトと前記第二のダクトとの間に配置されていることを特徴とする1乃至5の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクト内を走行するキャリアと、前記ダクト内において一方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記一方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記紙葉類が通過する紙葉類通路に配置された空気流逆流防止装置を備え、前記空気流逆流防止装置は、鉛直方向に延びる遮蔽板と、前記遮蔽板の上端及び下端からそれぞれ上方及び下方に延びる円柱状の突起と、前記遮蔽板の上下に配置され、前記遮蔽板を上下において支持する一対の支持部材と、を備え、前記一対の支持部材の各々には前記紙葉類通路が延びる方向に延びる長孔が形成されており、前記突起は前記長孔に対して回動可能かつスライド可能であるように篏合可能であり、前記遮蔽板は、前記突起が前記長孔の一端に位置し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽しない第一位置と、前記第一位置から前記突起が前記長孔内を回動するとともに前記長孔内をスライドして前記長孔の他端に移動し、前記遮蔽板が前記紙葉類通路を遮蔽する第二位置との間を回動し、前記紙葉類通路には、前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに、前記遮蔽板の先端との間に前記空気流が流れる隙間ができるような第一拡張部が形成されていることを特徴とする紙葉類搬送装置を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記遮蔽板の表面には当該表面から延びる突出部が形成されており、前記突出部が前記第一拡張部の内壁に当接することにより前記隙間が形成されることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記遮蔽板は、一方向に延びる第一部分と、前記第一部分に対して角度をなして屈曲している第二部分と、からなり、前記遮蔽板が前記第一位置にあるときに前記第一部分は前記第一拡張部の内壁に当接していることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類通路は、前記遮蔽板が前記第一位置から前記第二位置に移行するときに前記遮蔽板の先端が前記紙葉類通路と干渉しないように拡張された第二拡張部を備えることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記空気流逆流防止装置は、紙葉類が投入される紙葉類投入装置と前記ダクトとの間に配置されていることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類搬送装置は第二のダクトを備えており、前記空気流逆流防止装置は前記ダクトと前記第二のダクトとの間に配置されていることが好ましい。