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特開2023-114903エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法
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  • 特開-エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法 図1
  • 特開-エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114903
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20230810BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230810BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61P1/04
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/36
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/12
A61K47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017480
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中道 克樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 悠作
(72)【発明者】
【氏名】中谷 匡利
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA32
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD08
4C076DD09
4C076DD27
4C076DD29
4C076DD30
4C076DD41
4C076DD43
4C076EE09J
4C076EE10J
4C076EE12J
4C076EE23J
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE48J
4C076FF06
4C076GG13
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC39
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA68
(57)【要約】
【課題】一実施形態において、含量均一性を有する腸溶性のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によると、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法は、核粒子と、前記核粒子の表面に配置されたエソメプラゾール含有層と、前記エソメプラゾール含有層上に配置された腸溶層と、を有するエソメプラゾール含有顆粒を準備し、前記エソメプラゾール含有顆粒と、1種以上の添加剤と、を混合して、打錠することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核粒子と、前記核粒子の表面に配置されたエソメプラゾール含有層と、前記エソメプラゾール含有層上に配置された腸溶層と、を有するエソメプラゾール含有顆粒を準備し、
前記エソメプラゾール含有顆粒と、1種以上の添加剤と、を混合して、打錠する、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項2】
前記添加剤は、造粒工程を経ることなく、前記エソメプラゾール含有顆粒と、混合される、請求項1に記載のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エソメプラゾール(Bis{5-methoxy-2-[(S)-(4-methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl)methanesulfinyl]-1H-benzimidazol-1-yl}monomagnesium trihydrate)は、胃潰瘍等に効能効果を示すプロトンポンプ阻害剤である。日本国内においては、ネキシウム(登録商標)カプセル及びネキシウム(登録商標)懸濁用顆粒分包が第一三共株式会社より販売されている。エソメプラゾールは酸により分解されるため、エソメプラゾール含有製剤は、腸溶性製剤として提供される必要がある。
【0003】
一方、服用性向上等の目的から、エソメプラゾール含有製剤を高齢者や嚥下困難な患者等に飲みやすい剤形である口腔内崩壊錠とすることが望まれている。腸溶性製剤を口腔内崩壊錠とする場合、原薬含有腸溶性顆粒と、速崩壊性顆粒とを混合し、打錠することで製造される。また、2種類以上の顆粒を含む造粒物の含量均一性を確保するためには、2種類以上の顆粒の粉体物性(粒度、かさ、及び安息角等)を合わせることが一般的である。しかし、エソメプラゾールは酸に非常に弱く、また、熱や湿度によっても分解されるため、エソメプラゾール含有腸溶性顆粒は、原薬がむき出しにならないように腸溶性皮膜を厚く配置する必要があり、エソメプラゾール含有腸溶性顆粒の粒子径及びかさ密度は通常の顆粒より大きくなる。そのため、エソメプラゾール含有腸溶性顆粒と速崩壊性顆粒の粉体物性を合わせることが難しく、製剤の含量均一性が損なわれる恐れがある。また、粒子径が大きく、かさ密度も高いエソメプラゾール含有腸溶性顆粒と同様の粉体物性を有する速崩壊性顆粒を製造することは困難であった。
【0004】
含量均一性を高める手段として、例えば、特許文献1には、有効成分の平均粒子径に対して15倍以上の平均粒子径を有する賦形剤を有効成分と混合し、直接打錠する方法が知られている。
【0005】
しかし、エソメプラゾール含有腸溶性顆粒は、数百μmの粒子径を有する。このため、特許文献1に記載されたような技術を適用しようとした場合、数mmの平均粒子径を有する賦形剤が必要となるため、特許文献1に記載された技術を用いることは現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/124062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態は、含量均一性を有する腸溶性のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、核粒子と、前記核粒子の表面に配置されたエソメプラゾール含有層と、エソメプラゾール含有層上に配置された腸溶層と、を有するエソメプラゾール含有顆粒を準備し、エソメプラゾール含有顆粒と、1種以上の添加剤と、を混合して、打錠する、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法が提供される。
【0009】
添加剤は、造粒工程を経ることなく、エソメプラゾール含有顆粒と、混合されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によると、含量均一性を有する腸溶性のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法を示すフロー図である。
図2】(a)は本発明の一実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠100の断面部端面図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るエソメプラゾール含有顆粒10の断面部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠及びその製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠及びその製造方法は、以下に示す実施形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0013】
[エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法]
図1は、本実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法を示すフロー図である。本実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠は、直打法を用いて製造される。エソメプラゾール含有顆粒を準備する(S101)。また、添加剤組成物を準備する(S103)。本実施形態において、添加剤組成物は、1種以上の崩壊剤を含み、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠において、速崩壊性部として機能する。添加剤組成物は、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠に速やかな崩壊性を付与する組成物である。
【0014】
エソメプラゾール含有顆粒と、添加剤組成物と、を混合する(S105)。本実施形態においては、添加剤組成物は造粒することなく、エソメプラゾール含有顆粒と混合される。エソメプラゾール含有顆粒と、添加剤組成物との混合物は、通常用いられる打錠機で圧縮成形(打錠)され、本実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠を製造することができる(S107)。
【0015】
本実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法においては、添加剤組成物を造粒物にすることなく、エソメプラゾール含有顆粒と混合することにより、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の含量均一性を得ることができる。添加剤組成物が造粒物ではないことにより、エソメプラゾール含有顆粒と混合する際の添加剤組成物の流動性が高くはならない。このため、エソメプラゾール含有顆粒に間に入り込んだ添加剤組成物がエソメプラゾール含有顆粒に適度な摩擦を与えることにより、混合時のエソメプラゾール含有顆粒の自由な運動を制御して、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の含量均一性を得ることができる。
【0016】
また、本実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法においては、添加剤組成物は造粒されないため、乾燥工程を経ることはない。エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠において、添加剤組成物は適度な水分を含むため、加湿下における錠剤の物性変化を抑制することができる。
【0017】
[エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠]
図2(a)は、本発明の一実施形態に係るエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠100の切断部端面図である。一実施形態において、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠100は、エソメプラゾール含有顆粒10と、1種以上の崩壊剤を含む添加剤組成物101と、を含む。エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠100に含まれるエソメプラゾールは、1錠あたり10mg又は20mgであるが、これらに限定されず、必要に応じて処方を変更することも可能である。
【0018】
エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠100は、崩壊剤の他に、医薬的に許容される1種以上の添加剤を含むことができる。医薬的に許容される添加剤としては、賦形剤、結合剤、安定化剤、矯味剤、滑沢剤及び香料等が挙げられる。上述したように、本実施形態においては、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠100に含まれる、1種以上の崩壊剤及び医薬的に許容される1種以上の添加剤は造粒物ではなく、粉末状の添加剤である。
【0019】
崩壊剤は、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム及びメチルセルロース等のセルロース類、部分アルファー化デンプン及びトウモロコシデンプン等のデンプン類、クロスポビドン等から選択することができる。
【0020】
賦形剤は、例えば、糖類、糖アルコール類、デンプン類、セルロース類、カルメロース類、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、ケイ酸塩類、リン酸塩、炭酸塩及び硫酸塩等から選択することができる。糖類としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、トレハロース、マルトース等が挙げられる。糖アルコール類としては、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト等が挙げられる。また、デンプン類としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デキストリン等が挙げられる。セルロース類としては、結晶セルロー
ス、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。カルメロース類としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。ケイ酸塩類としては、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。リン酸塩としては、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸カルシウム等が挙げられる。これらの賦形剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0021】
結合剤は、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース類、ポビドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール完全けん化物、ポリビニルアルコール部分けん化物、カルボキシビニルポリマー、ポリ塩化ビニル等のビニル系高分子物質、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、S、LD)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液等のアクリル系高分子物質、ステアリルアルコール、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム、プルラン、マクロゴール、デンプン等から選択することができる。
【0022】
安定化剤は、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アルギニン、エデト酸ナトリウム、無水クエン酸、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム等から選択することができる。
【0023】
矯味剤は、例えば、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アスパルテーム、カラメル、還元麦芽糖水アメ、グリチルリチン酸、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出精製物、精製白糖、メントール等から選択することができる。
【0024】
滑沢剤は、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ロイシン等から選択することができる。
【0025】
[エソメプラゾール含有顆粒]
図2(b)は、本発明の一実施形態に係るエソメプラゾール含有顆粒10の断面部端面図を示す。一実施形態において、エソメプラゾール含有顆粒10は、核粒子11、核粒子11の表面に配置されたエソメプラゾール含有層13、エソメプラゾール含有層13上に配置された第1の腸溶層17a、及び第1の腸溶層17aの表面に配置された第2の腸溶層17bを有する。また、エソメプラゾール含有顆粒10は、エソメプラゾール含有層13と第1の腸溶層17aとの間に配置された第1の遮断層15a及び第2の遮断層15bをさらに含む。第2の腸溶層の表面には、オーバーコート層19がさらに配置される。
【0026】
第1の遮断層15aは、エソメプラゾール含有層13の表面に配置され、第2の遮断層15bは、第1の遮断層15aの表面に配置される。第1の腸溶層17aは、第2の遮断層15bの表面に配置される。したがって、エソメプラゾール含有顆粒10は、核粒子11の表面にエソメプラゾール含有層13、第1の遮断層15a、第2の遮断層15b、第1の腸溶層17a、第2の腸溶層17b及びオーバーコート層19が順次積層した構造を有する。なお、本実施形態において、オーバーコート層19は、必須の構成ではなく、任意に配置可能な被膜である。また、エソメプラゾール含有顆粒10は、腸溶性を得られる範囲で、上記の層構成に加えて、追加の層を有してもよい。
【0027】
核粒子11は、エソメプラゾール含有層13と接するため、エソメプラゾールに対して不活性な物質で構成された粒子である。「エソメプラゾールに対して不活性な物質」とは、エソメプラゾールと接触しても、エソメプラゾールの類縁物質が生成しない、又はほとんど生成しない物質である。核粒子11としては、例えば、結晶セルロース、有機ポリマー、無機塩、乳糖を除く糖類、及びノンパレイユから選択される粒子を用いることができる。結晶セルロース粒子は、核粒子11として好ましい例である。また、エソメプラゾール含有顆粒10を含む口腔内崩壊錠の服用感の観点から、平均粒子径(D50)が400μm程度であることが好ましい。このため、核粒子11は、平均粒子径(D50)が50μm以上300μm以下であることが好ましい。なお、核粒子11の平均粒子径(D50)は、レーザー回折法により評価することとする。より具体的には、平均粒子径(D50)は、気流式分散器を用いた乾式法に基づいて測定した粒度分布における50%累積粒径である。
【0028】
エソメプラゾール含有層13は、原薬であるエソメプラゾールと、結合剤を含む。本明細書において、エソメプラゾールは、エソメプラゾールマグネシウム水和物を示す。エソメプラゾール含有層13に含まれるエソメプラゾールは、例えば、口腔内崩壊錠1錠当たり、10mg又は20mgとなるように調整可能な量であり、原薬の含有量は、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、好ましくは5重量%以上30重量%以下である。
【0029】
また、エソメプラゾール含有層13に含まれる結合剤は、エソメプラゾールに対して不活性な物質から選択され、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコ-ル、ポリビニルアルコール、乳糖を除く糖類、及びデンプンから選択される1つ以上の結合剤を用いることができる。ヒドロキシプロピルセルロースは、エソメプラゾール含有層13に含まれる結合剤の好ましい例である。エソメプラゾール含有層13に含まれる結合剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上5重量%以下である。
【0030】
第1の遮断層15aは、エソメプラゾールの類縁物質の生成を抑制するための被膜である。第1の遮断層15aは、例えば、結合剤と、滑沢剤と、制酸剤とを含む。第1の遮断層15aに含まれる結合剤は、エソメプラゾールに対して不活性な物質から選択され、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及び糖類から選択される1つ以上の結合剤を用いることができる。ヒプロメロースは、第1の遮断層15aに含まれる結合剤の好ましい例である。第1の遮断層15aに含まれる結合剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して。1重量%以上5重量%以下である。
【0031】
また、第1の遮断層15aに含まれる滑沢剤は、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、及び含水二酸化ケイ素から選択される1つ以上の滑沢剤を用いることができる。タルク及びステアリン酸マグネシウムは、第1の遮断層15aに含まれる滑沢剤の好ましい例である。第1の遮断層15aに含まれる滑沢剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0032】
また、第1の遮断層15aに含まれる制酸剤は、例えば、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸塩、クエン酸塩、及びアミンから選択される1つ以上の制酸剤を用いることができる。水酸化マグネシウムは、第1の遮断層15aに含まれる制酸剤の好ましい例である。第1の遮断層15aに含まれる制酸剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量以下である。
【0033】
第2の遮断層15bは、エソメプラゾール色調変化を抑制するための被膜である。第2の遮断層15bは、例えば、結合剤と、滑沢剤とを含む。第2の遮断層15bに含まれる結合剤は、エソメプラゾールに対して不活性な物質から選択され、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及び糖類から選択される1つ以上の結合剤を用いることができる。ヒドロキシプロピルセルロースは、第2の遮断層15bに含まれる結合剤の好ましい例である。第2の遮断層15bに含まれる結合剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上5重量%以下である。
【0034】
また、第2の遮断層15bに含まれる滑沢剤は、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、及び含水二酸化ケイ素から選択される1つ以上の滑沢剤を用いることができる。タルク、ステアリン酸マグネシウム及び含水二酸化ケイ素は、第2の遮断層15bに含まれる滑沢剤の好ましい例である。第2の遮断層15bに含まれる滑沢剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0035】
第1の腸溶層17aは、腸溶性を有する層であるが、第2の腸溶層17bよりもエソメプラゾール含有層13に近接して配置されるため、エソメプラゾールの安定性の向上に寄与する被膜である。第1の腸溶層17aは、例えば、腸溶性コーティング基剤と、可塑剤と、滑沢剤とを含む。また、第1の腸溶層17aには、任意の添加剤として、界面活性剤、着色剤、pH調節剤及びアルカリ化剤から選択される1つ以上の添加剤を添加することができる。
【0036】
第1の腸溶層17aに含まれる腸溶性コーティング基剤は、エソメプラゾールの安定性を損なわない添加剤から選択され、例えば、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセトフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセトスクシネート、及びポリ酢酸ビニルフタレートから選択される1つ以上の腸溶性コーティング基剤を用いることができる。メタクリル酸コポリマーは、第1の腸溶層17aに含まれる腸溶性コーティング基剤の好ましい例である。第1の腸溶層17aに含まれる腸溶性コーティング基剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上25重量%以下である。
【0037】
第1の腸溶層17aに含まれる可塑剤は、エソメプラゾールの安定性を向上させる添加剤から選択され、例えば、ポリエチレングリコール(マクロゴールとも称する。)、ポリオキシエチレン及びプロピレングリコールから選択される1つ以上の可塑剤を用いることができる。ポリエチレングリコールとしては、例えば、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、及びマクロゴール35000から選択される1つ以上を用いることができる。また、ポリオキシエチレンとしては、例えば、ラウロマクロゴール、ポリエチレンオキシド、及びポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールから選択される1つ以上を用いることができる。マクロゴール6000及びラウロマクロゴールは、第1の腸溶層17aに含まれる可塑剤の好ましい例である。第1の腸溶層17aに含まれる可塑剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0038】
第1の腸溶層17aに含まれる滑沢剤は、エソメプラゾールの安定性を向上させる添加剤から選択され、例えば、タルク、ステアリン酸塩及びラウリル硫酸ナトリウムから選択される1つ以上の滑沢剤を用いることができる。タルクは、第1の腸溶層17aに含まれる滑沢剤の好ましい例である。第1の腸溶層17aに含まれる滑沢剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0039】
第1の腸溶層17aに含まれる界面活性剤としては、例えば、ポリソルベートを用いることができる。ポリソルベートとしては、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、及びポリソルベート80から選択される1つ以上を用いることができる。ポリソルベート80は、第1の腸溶層17aに含まれる界面活性剤の好ましい例である。第1の腸溶層17aに含まれる界面活性剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、0.1重量%以上5重量%以下である。
【0040】
第1の腸溶層17aに含まれる着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、及び黄色三二酸化鉄から選択される1つ以上の着色剤を用いることができる。また、pH調節剤としては、例えば、無水クエン酸を用いることができる。また、アルカリ化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムを用いることができる。
【0041】
第2の腸溶層17bは、腸溶性を有する被膜であり、打錠による腸溶層の破損を防止するための被膜である。第2の腸溶層17bは、第1の腸溶層17aよりも外側に配置されるため、耐酸性が大きいことが好ましい。第2の腸溶層17bは、例えば、腸溶性コーティング基剤と、可塑剤と、滑沢剤とを含む。また、第2の腸溶層17bには、任意の添加剤として、界面活性剤、着色剤、pH調節剤及びアルカリ化剤から選択される1つ以上の添加剤を添加することができる。
【0042】
第2の腸溶層17bに含まれる腸溶性コーティング基剤は、第1の腸溶層17aに含まれる腸溶性コーティング基剤として例示した腸溶性コーティング基剤から選択することができる。メタクリル酸コポリマーは、第2の腸溶層17bに含まれる腸溶性コーティング基剤の好ましい例である。第2の腸溶層17bに含まれる腸溶性コーティング基剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上25重量%以下である。
【0043】
第2の腸溶層17bは、第1の腸溶層17aよりも耐酸性が大きいことが好ましく、第2の腸溶層17bに含まれる可塑剤は、例えば、クエン酸トリエチル、トリアセチン、及びアセチルクエン酸トリエチルから選択される1つの可塑剤を用いることができる。クエン酸トリエチルは、第2の腸溶層17bに含まれる可塑剤の好ましい例である。第2の腸溶層17bに含まれる可塑剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0044】
また、耐酸性の観点から、第2の腸溶層17bに含まれる滑沢剤は、例えば、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、カルナウバロウ、硬化油、及びショ糖脂肪酸エステルから選択される1つの滑沢剤を用いることができる。モノステアリン酸グリセリンは、第2の腸溶層17bに含まれる滑沢剤の好ましい例である。第2の腸溶層17bに含まれる滑沢剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0045】
本実施形態に係るエソメプラゾール含有顆粒10にオーバーコート層19を配置する場合、コーティング基剤として、例えば、乳糖及びD-マンニトールを用いることができる。オーバーコート層19に含まれるコーティング基剤は、例えば、エソメプラゾール含有顆粒10の全重量に対して、1重量%以上10重量%以下である。
【0046】
[エソメプラゾール含有顆粒の製造方法]
本実施形態に係るエソメプラゾール含有顆粒10は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、エソメプラゾールと結合剤を精製水に懸濁させ、エソメプラゾール懸濁液を調製する。核粒子11を転動流動層造粒機に入れ、エソメプラゾール懸濁液をスプレーしてレイヤリングを行った後に、乾燥させて、エソメプラゾール含有層13を核粒子11の表面に配置した第1の顆粒を得る。
【0047】
次に、上述した結合剤、滑沢剤、及び制酸剤を精製水に懸濁させ、第1の遮断層15aのための第1のコーティング液を調製する。第1の顆粒を転動流動層造粒機に入れ、第1のコーティング液をスプレーして、コーティングを行った後に、乾燥させて、エソメプラゾール含有層13の表面に第1の遮断層15aを配置した第2の顆粒を得る。
【0048】
次に、上述した結合剤及び滑沢剤を精製水に懸濁させ、第2の遮断層15bのための第2のコーティング液を調製する。第2の顆粒を転動流動層造粒機に入れ、第2のコーティング液をスプレーして、コーティングを行った後に、乾燥させて、第1の遮断層15aの表面に第2の遮断層15bを配置した第3の顆粒を得る。
【0049】
次に、上述した腸溶性コーティング基剤、可塑剤及び滑沢剤、任意で界面活性剤、着色剤、pH調節剤及びアルカリ化剤から選択される1つ以上の添加剤を精製水に懸濁させ、第1の腸溶層17aのための第3のコーティング液を調製する。第3の顆粒を転動流動層造粒機に入れ、第3のコーティング液をスプレーして、コーティングを行った後に、乾燥させて、第2の遮断層15bの表面に第1の腸溶層17aを配置した第4の顆粒を得る。
【0050】
次に、上述した腸溶性コーティング基剤、可塑剤及び滑沢剤、任意で界面活性剤、着色剤、pH調節剤及びアルカリ化剤から選択される1つ以上の添加剤を精製水に懸濁させ、第2の腸溶層17bのための第4のコーティング液を調製する。第4の顆粒を転動流動層造粒機に入れ、第4のコーティング液をスプレーして、コーティングを行った後に、乾燥させて、第1の腸溶層17aの表面に第2の腸溶層17bを配置した第5の顆粒を得る。
【0051】
一実施形態において、第5の顆粒を篩に通して分級し、エソメプラゾール含有顆粒10とすることができる。また、第5の顆粒の表面にオーバーコート層19をさらに配置してもよい。オーバーコート層19を配置する場合、上述したコーティング基剤を精製水に溶解し、第5のコーティング液を調製する。第5の顆粒を転動流動層造粒機に入れ、第5のコーティング液をスプレーして、コーティングを行った後に、乾燥させて、第2の腸溶層17bの表面にオーバーコート層19を配置した第6の顆粒を得る。得られた顆粒を篩に通して分級し、エソメプラゾール含有顆粒10を得ることができる。
【0052】
[含量均一性]
本明細書において、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠におけるエソメプラゾール含有顆粒の含量均一性は、第17改正日本薬局方の「製剤均一性試験法」の項の「含量均一性試験」に準じて測定することができる。一実施形態において、エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠においてエソメプラゾール含有顆粒は、「含量均一性試験」に準じて測定された判定値が8以下であることが好ましい。
【実施例0053】
[比較例1]
エソメプラゾール 555g、トヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF、Ashland) 85gを精製水 2135gに懸濁させ、エソメプラゾール懸濁液を調製した。核粒子として結晶セルロース粒子(セルフィア(登録商標)CP-102(平均粒子径106μm~212μm、旭化成株式会社)375gを転動流動層造粒機(FD-MP-01、株式会社パウレック)に入れ、エソメプラゾール懸濁液をスプレーしてレイヤリングを行い、60℃で乾燥させて、第1の顆粒を得た。
【0054】
ヒプロメロース(TC-5(登録商標)R、信越化学工業株式会社) 100g、タルク(富士タルク株式会社) 50g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社)20g、水酸化マグネシウム(キョーワスイマグ、協和化学工業株式会社) 220gを精製水 1560gに懸濁させ、第1のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第1のコーティング液を第1の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第2の顆粒を得た。
【0055】
ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF、Ashland) 130g、タルク(富士タルク株式会社) 390g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社) 30gを精製水 2200gに懸濁させ、第2のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第2のコーティング液を第2の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第3の顆粒を得た。
【0056】
メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギット(登録商標)L30D-55、Evonik Roehm GmbH) 750g、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(オイドラギット(登録商標)NE30D、Evonik Roehm GmbH) 85.0g、クエン酸トリエチルに代えてマクロゴール6000(日油株式会社) 150gを用い、モノステアリン酸グリセリン(理研ビタミン株式会社) 75.0g、ポリソルベート80(NIKKOL TO-10M(日光ケミカルズ株式会社) 30.0g、無水クエン酸(小松屋) 1.25g、三二酸化鉄 0.750g、黄色三二酸化鉄 0.750gを精製水 5788.3gに懸濁させ、第3のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第3のコーティング液を第3の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第1の腸溶層を有する第4の顆粒を得た。
【0057】
メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギット(登録商標)L30D-55、Evonik Roehm GmbH) 750g、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(オイドラギット(登録商標)NE30D、Evonik Roehm GmbH) 85g、クエン酸トリエチル(森村商事株式会社) 150g、モノステアリン酸グリセリン(理研ビタミン株式会社) 75g、ポリソルベート80(NIKKOL TO-10M(日光ケミカルズ株式会社) 30g、無水クエン酸(小松屋) 1.25g、三二酸化鉄 0.75g、黄色三二酸化鉄 0.75gを精製水 5788.3gに懸濁させ、第4のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第4のコーティング液を第4の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第2の腸溶層を有する第5の顆粒を得た。
【0058】
乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma) 415gを精製水 6500gに溶解させ、第5のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第5のコーティング液を第5の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、オーバーコート層を有する第6の顆粒を得た。篩を用いて第6の顆粒を整粒し、比較例1のエソメプラゾール含有顆粒を得た。
【0059】
乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma) 225gを精製水 3525gに溶解させて、造粒液を調製した。乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma) 1293.9g、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG-802、旭化成株式会社) 2240g、トウモロコシデンプン(xx16、日本食品化工株式会社) 2240g、アスパルテーム(味の素株式会社) 180gを流動層造粒機(株式会社パウレック、MP-01型)に投入し、造粒液を噴霧して、造粒物を得た。得られた造粒物を篩22号で整粒した。
【0060】
比較例1のエソメプラゾール含有顆粒 4563.6g、及び整粒した比較例1の造粒物 6178.9gを、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)CL-M、BASF) 225g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン(登録商標)UFL2、富士化学工業株式会社) 225g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社) 57.5gと混合し、打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所社製)を用い、重量450mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、比較例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠を得た。
【0061】
[比較例2]
比較例1で得た第2の顆粒を用いた。ステアリン酸マグネシウムの代わりに含水二酸化ケイ素(カープレックス(登録商標)♯80(DSL.ジャパン株式会社) 30gを用いたこと以外は比較例1と同様の方法により、第2のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第2のコーティング液を第2の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第3の顆粒を得た。
【0062】
マクロゴール6000の代わりにラウロマクロゴール(NIKKOL BL-25(日光ケミカルズ株式会社) 150gを用いたこと以外は比較例1と同様の方法により、第3のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第3のコーティング液を第3の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第1の腸溶層を有する第4の顆粒を得た。
【0063】
比較例2の第4の顆粒を用いて、以下、比較例1と同様の方法により、第2の腸溶層及びオーバーコート層を形成して、整粒し、比較例2のエソメプラゾール含有顆粒を得た。
【0064】
比較例2のエソメプラゾール含有顆粒 937g、乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma) 241g、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG-802、旭化成株式会社) 364g、トウモロコシデンプン(xx16、日本食品化工株式会社) 332g、アスパルテーム(味の素株式会社)26g、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)CL-M、BASF) 20g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン(登録商標)UFL2、富士化学工業株式会社) 48g、香料 2.0g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社) 6.8gを混合し、打錠前粉末を得た。乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma) 134gを精製水 2099mlに溶解させて、造粒液を調製した。乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma)を769.4gに変更し、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG-802、旭化成株式会社)を1322gに変更し、トウモロコシデンプン(xx16、日本食品化工株式会社)を1322gに変更し、アスパルテーム(味の素株式会社)を107gに変更して流動層造粒機(株式会社パウレック、MP-01型)に投入し、造粒液を噴霧して、造粒物を得た。得られた造粒物を篩22号で整粒した。
【0065】
比較例2のエソメプラゾール含有顆粒 937g、及び整粒した比較例2の造粒物 759gを、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG-1000、旭化成株式会社)を195.7g、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)CL-M、BASF) 19.6g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン(登録商標)UFL2、富士化学工業株式会社) 47.4g、香料 2g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社) 6.7gと混合し、打錠前粉末を得た。打錠機(VIRGO-0512SS、菊水製作所社製)を用い、重量380mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、比較例2のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠を得た。
【0066】
[実施例1]
比較例1で得た第3の顆粒を用いた。含水二酸化ケイ素(カープレックス(登録商標)(DSL.ジャパン株式会社) 30gをさらに添加したこと以外は比較例1と同様の方法により、第3のコーティング液を調製した。上述の転動流動層造粒機を用いて、第3のコーティング液を第3の顆粒にスプレーしてコーティングを行い、70℃で乾燥させて、第1の腸溶層を有する第4の顆粒を得た。
【0067】
実施例1の第4の顆粒を用いて、以下、比較例1と同様の方法により、第2の腸溶層及びオーバーコート層を形成して、整粒し、実施例1のエソメプラゾール含有顆粒を得た。
【0068】
実施例1のエソメプラゾール含有顆粒 9000g、乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M、DEF Pharma) 4162g、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG-802、旭化成株式会社) 7600g、トウモロコシデンプン(xx16、日本食品化工株式会社) 6600g、アスパルテーム(味の素株式会社) 520g、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)CL-M、BASF) 400g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン(登録商標)UFL2、富士化学工業株式会社) 960g、香料 38g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社) 120gを混合し、打錠前粉末を得た。
【0069】
[含量均一性]
第17改正日本薬局方の「製剤均一性試験法」の項の「含量均一性試験」に準じて、実施例1、比較例1及び2のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠におけるエソメプラゾール含有顆粒の含量均一性を評価した。具体的には、比較例1、比較例2、実施例1の各錠剤を10錠用いてHPLCで原薬含量を測定した。測定結果を表1に示す。
【表1】
【0070】
実施例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠においては、判定値が比較例1及び2のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠よりも有意に低く、含量均一性が良好であることが明らかとなった。
【0071】
[保存時の製剤の物性変化の評価]
実施例1及び比較例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠を25℃、湿度75%で保存して、保存前後での製剤の物性変化を評価した。それぞれのエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠3錠について、質量、錠厚及び硬度を測定し、その平均値を求めた。質量及び錠厚は、常法により測定した。また、硬度は、シュロイニゲル錠剤硬度計(MODEL6D、Dr.Schleuniger Pharmatron AG)を用いて、測定した。
【0072】
質量、錠厚及び硬度の測定結果を表2に示す。
【表2】
【0073】
表2の結果より、実施例1及び比較例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠ともに、経時的な質量及び錠厚の増加、並びに経時的な硬度の低下が認められた。しかし、実施例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠においては、添加剤組成物を造粒物とした比較例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠よりも変化量が小さかった。これらの結果は、添加剤組成物を造粒した後に乾燥させたことにより、比較例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠においては、吸湿性が高くなったものと推察される。一方、実施例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠の製造方法においては、添加剤組成物を乾燥させる工程がないため、実施例1のエソメプラゾール含有口腔内崩壊錠においては、適度な水分が保持され、吸湿性が低く抑えられたものと推察される。
【符号の説明】
【0074】
10 エソメプラゾール含有顆粒、11 核粒子、13 エソメプラゾール含有層、15a 第1の遮断層、15b 第2の遮断層、17a 第1の腸溶層、17b 第2の腸溶層、19 オーバーコート層、100 エソメプラゾール含有口腔内崩壊錠、101 添加剤組成物
図1
図2