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  • 特開-歯間清掃具 図1
  • 特開-歯間清掃具 図2
  • 特開-歯間清掃具 図3
  • 特開-歯間清掃具 図4
  • 特開-歯間清掃具 図5
  • 特開-歯間清掃具 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114957
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】歯間清掃具
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/04 20060101AFI20230810BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
A61C15/04 502
A46B15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022044621
(22)【出願日】2022-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】504078187
【氏名又は名称】竹内 俊文
(72)【発明者】
【氏名】竹内 俊文
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA05
3B202AB15
(57)【要約】
【課題】個人差が大きい複雑形状の歯間部に、指をもってフロスを挿入するような微妙な力の変動に対応でき且、フロスの歯間部からの抜き取りも、スムーズにできる歯間清掃具の開発を本願発明の課題とした。
【解決手段】1対の長く延伸する挟持部を設け、その挟持部先端が閉じるピンセット構造の本体両先端部が、外側に向って反発力を有する状態をもって、その間にフロスを架け渡し、前記フロスを本体両先端部に固定した歯間清掃具を解決手段とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の長く延伸する挟持部を設け、その挟持部先端が閉じるピンセット構造の本体両先端部が、外側に向って反発力を有する状態をもって、その間にフロスを架け渡し、前記フロスを本体両先端部に固定したことを特徴とする歯間清掃具。
【請求項2】
請求項1に記載の歯間清掃具であって、前記フロスを本体両先端部に固定する手段として、その1対の本体両先端部側面に、前記フロスが余裕をもって挿入できる形状の貫通小孔を設け、前記フロスを挿入後その両端に、前記貫通小孔より大形のストッパーを挿入、前記ピンセット構造の本体両先端部が外側に向かって反発力を有する状態をもって、前記ストッパーを固定したことを特徴とする歯間清掃具。
【請求項3】
請求項1または2の何れかの歯間清掃具であって、1対の長く延伸する挟持部を有するピンセット形状の本体両先端部がL字形状であることを特徴とする歯間清掃具。
【請求項4】
請求項1~3の何れかの歯間清掃具であって、本体両先端部間に架け渡し固定したフロスに、弾性材料で成形されたブラシ部を設けたことを特徴とする歯間清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、歯間清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販され広く使用されているデンタルフロス商品は、強靭な1対のアーム部を有するハンドル先端部に設けたフロス保持部間に、フロスを架け渡し固定した商品や、前記フロス引張部を歯間挿入を容易にする目的から、図2に示すように「ゆるみ」を設けた商品が主流である。
【0003】
また、文献においては、前記フロス延長線上に、成形ブラシ部を設けた文献や、前記強靭な1対の本体、アーム部を湾曲、微動させる構造を示す文献もあり下記した。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3199137
【特許文献2】特開2016-147191
【特許文献3】特開2020-049210
【特許文献4】特開2020-081087
【特許文献5】特許6524757
【発明が解決しょうとする課題】
【0005】
ところで、前記背景技術に示した歯間清掃具においては、歯間を効果的に清掃することについて改善の余地があった。
【0006】
本願発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであって、その課題を列記すると、
1、個人差が大きい複雑形状の歯間部に、指をもってフロスを挿入するような微妙な力の変動に対応できる歯間清掃具の商品化。
2、フロスを歯間に挿入及び、抜き取る際、フロスに傷がつきにくいフロスの固定手段。
3、上下歯列歯間部が、1本の歯間清掃具において清掃できる形状を考える。
4、1本の歯間清掃具において、デンタルフロス、歯間ブラシの2役が可能である。
5、歯間清掃具の構造が簡単であり、容易に国内においても量産可能である。
上記、1~5を本願の課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記、1を解決するための手段は、[請求項1]に示す方法であり、指をもってフロスを挿入するような微妙な力の変動に対応できる、ピンセット構造の1対の本体両先端部にフロスを張力をもって固定する方法を用いた。
【0008】
前記、2を解決するための手段は、[請求項2]に示す方法であり、ピンセット構造の1対の本体両先端部側面に、フロスが余裕をもって挿入できる形状の貫通小孔を設け、フロスを挿入後その両端に、貫通小孔より大形のストッパーを挿入、ピンセット構造の本体両先端部が、外側に向かって反発力を有する状態をもって、ストッパーを固定する。
すると、フロスは他の文献と異なり、本体アーム部に固定されるのではなく、自由な空間に保持固定されることとなる。この微妙な「遊び」により、本体固定部のフロスのダメージが減少する。それに加え、歯間よりフロスを抜き取る際、図5に示すように、ピンセット構造の本体先端部を閉じフロスを抜き取ることで、余分なフロスは左右に逃げ、抜き取るフロスが少なくなることで容易となった。更に本体先端部を閉じたまま軽く捩じることで歯間部からフロスが容易に抜き取れる。
【0009】
前記、3・4を解決するための手段は、[請求項3]、[請求項4]に示され、図6からも理解できるように、1対の長く延伸する挟持部を有するピンセット形状の本体両先端部をL字形状とし、反転することで図6に示したように、上下歯列歯間の清掃が容易にできるようになった。
また、図6のように引張するフロス間に、弾性材料で成形されたブラシ部を設けることで、前記フロスを歯間に挿入し、歯間下部に位置する三角形状の空間に到着後、1対の長く延伸する挟持部を開閉することで、デンタルフロスと歯間ブラシの2役の清掃を実行することとなる。
【0010】
そして、前記した本願発明は、日本人が食事の際に使用する「箸」の動きから連想したものであり構造が簡単であるため、前記5の課題である国内においても量産可能である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明に係る歯間清掃具は、今迄の歯間清掃具(デンタルフロス)の概念を変えるものであり、使い勝手を更に良好なものとしつつ歯間を効果的に清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を図をもって説明する。
【0013】
まず最初に、図2は強靭な1対のアーム部を有する市販デンタルフロス6において、前記アーム部に架け渡し固定したフロス1に、歯間挿入を容易にする目的から「ゆるみ」を設けた商品であり、図1は、本願発明の1対の長く延伸する挟持部を設け、その挟持部先端が閉じるピンセット構造の本体両先端部が、外側に向って反発力を有する状態をもって、その間にフロスを架け渡し、前記フロスを本体両先端部に固定れた歯間清掃具であって、前記歯間清掃具本体を2とし、その先端部の歯間清掃具引張部を2Aとし、前記引張部間に反発力を有する状態をもって引張されるフロスをフロス1と示した。
【0014】
そして、本願発明の図1に示した歯間清掃具と、図2に示した市販デンタルフロス6を使用感のみを考え比較すると、
1、本願発明の図1に示した歯間清掃具においては、指でフロスを操作するときのように、個人差が大きい歯間形状、隙間空間に合わせて微妙なフロス引張ができるため、痛み等を感じることが少なくなった。
2、図1と、図2の比較から理解できるように、本体先端の歯間清掃部の形状が本願発明品はコンパクトであるため、口腔内において操作性に優れている。
などの特徴がある。
【0015】
次に、図4は本願発の歯間清掃具先端に、反発力を有する引張状態をもってフロス1を固定し、歯間にフロス1を挿入した場合のフロス1の形状を示した図であり、挿入時のフロス1の形状は、フロス挿入形状(一点斜線)Yとなり、抜き取り時のフロス1の形状は、フロス引き抜き形状(点線)Xとなる。そして、同時に歯間清掃具引張部2Aは矢印で示すように、内側に引っ張られることとなる。
【0016】
そして次に、図1に示すフロス1の固定方法と異なり、歯間からフロス1を引き抜くことが容易にできる構造を図3に示した。
【0017】
その方法とは、1対の長く延伸する挟持部を設けた歯間清掃具本体2の先端に位置する歯間清掃具引張部2Aに、前記フロス1が余裕をもって挿入できる形状の貫通小孔2Bを設け、その中にフロス1を挿入後その両端に、前記貫通小孔より大形状のストッパー3を挿入、前記1対の長く延伸する挟持部が外側に向かって反発力を有する状態をもって、前記ストッパー3を固定した図である。
【0018】
前記、図3に示された構造の歯間清掃具を、歯4の歯間面からフロス1を引き抜く場合の形状を実線(小さい輪)で示し、図1に示したような通常のフロス1固定方法の場合の形状(大きい輪)を、フロス最終引き抜き形状Zとして示したものが図5である。
【0019】
本願発明の1対の長く延伸する挟持部を設けたピンセット型の歯間清掃具の歯間えの挿入方法は、図2に示した市販デンタルフロス6と同様であるが、歯間底部(三角形状の空間)に到達したフロス1を、引き抜く際に一工夫がある。そして、その工夫を図5をもって説明する。
【0020】
前記したように、歯間底部(三角形状の空間)に到達したフロス1は、空間に到達したことで一際の抵抗から解放され、ピンセット形状の本体の反発力によりフロス1は瞬時に1直線状となる。
そして次に、ピンセット形状の挟持部先端を歯4を挟持するよう歯側面に添わせるように当てると、フロス1は、歯間清掃具引張部2Aの先端に設けた貫通小孔が大形状であり余裕があることから、余分となったフロス1は微量であるが外側に排出される。
そして、ピンセット形状の挟持部先端を歯4に添って引き上げ、歯4上部において歯間清掃具引張部2Aの先端を図5で示したように合わせ、軽く捩るようにフロス1を引き抜くことで、歯間からフロス1を容易に抜きとることができる。
この構造により、図5で示したように、歯間に残るフロス最終引き抜き形状Zが、図1の構造の場合は点線で示すように大きく(大きい輪)、図3の構造とすることで実線で示すよう(小さい輪)になった。その結果、フロス1の引き抜きが容易となる。
【0021】
そして、図6は前記ピンセット形状の先端部に位置する歯間清掃具引張部2Aを、L字形状とし、それを反転させることで上下歯列歯間部の清掃も容易となる。
また、歯間清掃具引張部2Aに反発力をもって引張されるフロス1の延長線上に、熱可塑性エラストマー樹脂からなるブラシ部5を成形により設け、前記ピンセット形状の本体の開閉動作により、歯間底部(三角形状)の清掃も同時に可能となった。
【0022】
今迄、フロスによる歯間清掃は欧米では盛んに行なわれてきたが、両手指を口腔内に挿入して行なう行為が日本国内では文化の違いと、口のサイズが小さいことなどの理由から普及が遅れることとなった。
しかし、現在においても、歯間上部を清掃する方法はこのフロスしかないのが現状であることに鑑み、前記した指を使用した場合のように、微妙な歯間の変化に対応できる力加減が容易(自動的)に変えられる、ピンセット型とした。
【0023】
そして、前記したピンセット型を思い浮かんだ理由は、日本人が食事の際に器用に「箸」を使用することから、その行為よりも遥かに容易であり万人ができることと、微妙な力の加減が容易などと優れた要因にある。
これにより、日本国内における歯間清掃においてフロスが使用されることを本願発明者は切望する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本願発明の歯間清掃具の全体を示した斜視図である。
図2】現在市販される横型タイプのデンタルフロスの全体を示した斜視図である。
図3】本願発明、請求項2に示すフロス引張方法を図解した斜視図である。
図4】本願発明の歯間清掃具先端形状拡大と、歯間にフロスを挿入した場合のフロスの形状と、歯間清掃具先端の動きを示した斜視図である。
図5】本願発明の歯間清掃具先端形状拡大と、歯間フロス引き抜きの最終フロス形状と、歯間清掃具引張部形状を示した斜視図である。
図6】本願発明の歯間清掃具先端形状拡大と、その先端部分に張られたデントフロス片方端部に、歯間底部に位置する三角溝を清掃するためのブラシ部を設け、上下歯列歯間部に挿入することを示した斜視図である。
【符合の説明】
【0025】
1、 フロス、
2、 歯間清掃具本体、
2A、歯間清掃具引張部、
2B、貫通小孔、
3、 ストッパー、
4、 歯、
5、 ブラシ部、
6、 市販デンタルフロス、
X、 フロス引き抜き形状(点線)、
Y、 フロス挿入形状(一点斜線)、
Z、 フロス最終引き抜き形状、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の長く延伸する挟持部を設け、その挟持部先端が閉じるピンセット構造の本体両先端部が、外側に向かって反発力を有する状態をもって、前記1対の長く延伸する挟持部両先端に貫通小孔を設け、その貫通小孔中にフロスを通し、その貫通小孔を通らない大型ストッパーを外側からのみ設けフロスを固定し、前記ピンセット構造の本体を閉めると、前記本体と連結していないフロスが、前記貫通小孔内をフリーに動くことを特徴とする歯間清掃具。
【請求項2】
請求項1の歯間清掃具であって、1対の長く延伸する挟持部を有するピンセット形状の本体両先端部がL字形状であることを特徴とする歯間清掃具。
【請求項3】
請求項1または2の何れかの歯間清掃具であって、本体両先端部間に架け渡したフロスに弾性材料で成形されたブラシ部を設けたことを特徴とする歯間清掃具。