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特開2023-114972モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114972
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230810BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20230810BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230810BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20230810BHJP
   B60L 53/24 20190101ALI20230810BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230810BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20230810BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230810BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 L
B60L9/18 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/24
B60L58/12
H02M7/12 601A
H02M7/12 M
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172680
(22)【出願日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0015595
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョンホ
(72)【発明者】
【氏名】リム、ヨンソル
(72)【発明者】
【氏名】シン、サンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、カンホ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H006
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD06
5H006CA01
5H006CB01
5H006DB01
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BB05
5H125BB07
5H125BC21
5H125CD04
5H125DD02
5H125EE23
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA27
5H770DA30
5H770DA41
5H770EA01
5H770JA17Z
(57)【要約】
【課題】モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの提供。
【解決手段】本発明の車両用バッテリー充電システムは、複数の第1スイッチング素子及び複数の第2スイッチング素子をそれぞれ含み、バッテリーに接続された直流端と、複数の巻線の一端及び多端にそれぞれ接続された交流端とを有する第1及び第2インバーター;複数の巻線の他端にそれぞれ接続された一端と、相互接続された他端とを有する複数の第3スイッチング素子;複数の第3スイッチング素子の他端とバッテリーの負端子との間に配置され、バッテリーを充電する充電モードで直流充電電圧が印加される充電用キャパシタ;充電用キャパシタと直列に接続された第4スイッチング素子;及び充電モードで第4スイッチング素子をオンにし、直流充電電圧及びバッテリーの電圧の大きさに基づいて、第1、第2、及び第3スイッチング素子の開放/短絡状態を制御するコントローラ;を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相にそれぞれ対応する複数の巻線を有するモーターを駆動するモーター駆動システムを用いてバッテリーを充電するバッテリー充電システムであって、
複数の第1スイッチング素子を含み、前記バッテリーに接続された直流端と、前記複数の巻線の一端に接続された交流端とを有する第1インバーター;
複数の第2スイッチング素子を含み、前記バッテリーに接続された直流端と、前記複数の巻線の他端に接続された交流端とを有する第2インバーター;
前記複数の巻線の他端にそれぞれ接続された一端と、相互接続された他端とを有する複数の第3スイッチング素子;
前記複数の第3スイッチング素子の他端と前記バッテリーの負端子との間に配置され、前記バッテリーを充電する充電モードで直流充電電圧が印加される充電用キャパシタ;
前記充電用キャパシタと直列に接続された第4スイッチング素子;及び
前記充電モードで前記第4スイッチング素子をオンにし、前記直流充電電圧の大きさ及び前記バッテリーの電圧の大きさに基づいて、前記複数の第1スイッチング素子、前記複数の第2スイッチング素子、及び前記複数の第3スイッチング素子の開放/短絡状態を制御するコントローラ;を含む、モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項2】
前記複数の第3スイッチング素子の他端に一端が接続され、前記直流充電電圧の高電位が他端に印加される第1充電電力印加スイッチ、及び前記バッテリーの負端子に一端が接続され、前記直流充電電圧の低電位が他端に印加される第2充電電力印加スイッチをさらに含み、
前記コントローラは、前記充電モードで前記第1充電電力印加スイッチ及び第2充電電力印加スイッチを短絡状態となるように制御する、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記モーターを駆動する駆動モードで前記第4スイッチング素子をオフにする、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項4】
前記充電用キャパシタは、
前記第4スイッチング素子がオフになることにより、前記複数の第3スイッチング素子の他端に形成された前記モーターの中性端と電気的に分離される、請求項3に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項5】
前記第4スイッチング素子は、FETを含む、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項6】
前記第4スイッチング素子は、前記第1インバーター及び前記第2インバーターが実装されるインバーターボード上に実装される、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項7】
前記充電用キャパシタは、前記複数の第3スイッチング素子の他端と前記第4スイッチング素子との間に配置された、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項8】
前記第4スイッチング素子は、前記複数の第3スイッチング素子の他端と前記充電用キャパシタとの間に配置された、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項9】
前記直流充電電圧が前記バッテリーの電圧よりも低い場合、
前記コントローラは、前記充電モードで、前記複数の第3スイッチング素子を全て短絡状態に制御し、前記第1インバーターのロアスイッチング素子-前記第1インバーターのロアスイッチング素子は、前記第1インバーターに含まれているスイッチング素子のうち、前記直流端の低電位端に接続されたスイッチング素子-をパルス幅変調制御して前記直流充電電圧を昇圧する、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【請求項10】
前記直流充電電圧が前記バッテリーの電圧に一致する場合、
前記コントローラは、前記充電モードで、前記複数の第3スイッチング素子を全て短絡状態に制御し、前記第2インバーターのアッパースイッチング素子-前記第2インバーターのアッパースイッチング素子は、前記第2インバーターに含まれているスイッチング素子のうち、前記直流端の高電位端に接続されたスイッチング素子-を介して、充電電流が前記バッテリーへ伝達されるように制御する、請求項1に記載のモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムに係り、さらに詳細には、モーター内の巻線の両端にそれぞれ連結された複数のインバーターを用いてモーターを駆動するオープンエンドワインディングモーター駆動システムを用いて車両内のバッテリーを充電することができる、モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モーターにより発生するトルクを動力として用いる電気自動車などの環境調和型車両の燃費(又は電費)は、インバーター-モーターの電力変換効率によって決定されるので、燃費向上のためには、インバーターの電力変換効率とモーターの効率を極大化することが重要である。
【0003】
このため、車両の駆動モーター内の巻線の一端を互いに連結してY結線を形成した後、モーターを駆動するクローズドエンドワインディング(Closed End Winding)モードと、モーター巻線の両端にそれぞれインバーターを連結してモーター巻線の両端が開放された状態でモーターを駆動するオープンエンドワインディング(Open End Winding)モードを選択的に決定してモーターを駆動することができる技術が提案されている。
【0004】
一方、一般的に電気自動車(EV:Electric Vehicle)又はプラグインハイブリッド自動車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)は、外部の充電設備で提供される電力を車両内のバッテリー充電に適した状態に変換してバッテリーへ提供してバッテリー充電を行っている。
【0005】
従来、急速充電のための充電設備は、400Vの単一の電圧規格を出力するように製作されたが、車両内で使用されるバッテリーは、効率、走行可能距離向上のために800V或いはそれ以上の電圧を有するようにバッテリーが設計される傾向にある。このため、様々な電圧の大きさを有する車両のバッテリー充電のためには、バッテリー電圧の仕様に適合する様々な電圧帯の充電設備が備えられるか、或いは1つの充電設備が複数の電圧帯を出力することができるように実現されなければならない。
【0006】
このような充電インフラストラクチャを構築するには多くの費用がかかるという問題が発生するだけでなく、充電設備が持つ充電電流制限により電圧を下げて出力する場合、充電電力が減少するにつれて充電時間が増加するという問題が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、当技術分野では、複数のインバーターを用いてオープンエンドワインディングモードでモーターを駆動するモーター駆動システムにおいて、既存のインフラストラクチャで構築されている充電設備で提供する充電電圧の大きさを追加的装置及び追加的費用上昇なしに変換してバッテリーを充電することができるバッテリー充電技法が求められている。
【0008】
さらに、急速充電の際に外部充電器の入力電圧リップルを減らし、安定的な電圧維持のために充電用キャパシタをモーターのY結線の中性端に連結するが、このような充電用キャパシタは、走行のためのモーターを駆動する場合には、中性端とは分離される必要がある。このために、従来のモーター駆動システムでは、充電電流の導通経路上にリレーを適用したが、大電流である充電電流によりリレーの発熱、劣化や焼損の問題がある。
【0009】
上記の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進するためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならないだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、外部の充電設備で提供する充電電圧の大きさを、別途の専用変換装置なしに、オープンエンドワインディングモードでモーターを駆動するためのモーター駆動システムを用いて適宜変換してバッテリーを充電することができる、モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、充電用キャパシタとモーター巻線の中性点との効果的な接続及び遮断が可能なモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の目的は、上述した目的に限定されず、上述していない別の目的は、以降の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための手段として、本発明の一実施形態による複数の相にそれぞれ対応する複数の巻線を有するモーターを駆動するモーター駆動システムを用いてバッテリーを充電するバッテリー充電システムは、複数の第1スイッチング素子を含み、前記バッテリーに接続された直流端と、前記複数の巻線の一端に接続された交流端とを有する第1インバーター;複数の第2スイッチング素子を含み、前記バッテリーに接続された直流端と、前記複数の巻線の他端に接続された交流端とを有する第2インバーター;前記複数の巻線の他端にそれぞれ接続された一端と、互いに接続された他端とを有する複数の第3スイッチング素子;前記複数の第3スイッチング素子の他端と前記バッテリーの負端子との間に配置され、前記バッテリーを充電する充電モードで直流充電電圧が印加される充電用キャパシタ;前記充電用キャパシタと直列に接続された第4スイッチング素子;及び前記充電モードで前記第4スイッチング素子をオンにし、前記直流充電電圧の大きさ及び前記バッテリーの電圧の大きさに基づいて、前記複数の第1スイッチング素子、前記複数の第2スイッチング素子及び前記複数の第3スイッチング素子の開放/短絡状態を制御するコントローラ;を含むことができる。
【0014】
例えば、前記バッテリー充電システムは、前記複数の第3スイッチング素子の他端に一端が接続され、前記直流充電電圧の高電位が他端に印加される第1充電電力印加スイッチ、及び前記バッテリーの負端子に一端が接続され、前記直流充電電圧の低電位が他端に印加される第2充電電力印加スイッチをさらに含み、前記コントローラは、前記充電モードで前記第1充電電力印加スイッチ及び第2充電電力印加スイッチを短絡状態となるように制御することができる。
【0015】
例えば、前記コントローラは、前記モーターを駆動する駆動モードで前記第4スイッチング素子をオフにすることができる。
【0016】
例えば、前記充電用キャパシタは、前記第4スイッチング素子がオフになることにより、前記複数の第3スイッチング素子の他端に形成された前記モーターの中性端と電気的に分離されることができる。
【0017】
例えば、前記第4スイッチング素子は、FETを含むことができる。
【0018】
例えば、前記第4スイッチング素子は、前記第1インバーター及び前記第2インバーターが実装されるインバーターボード上に実装されることができる。
【0019】
例えば、前記充電用キャパシタは、前記複数の第3スイッチング素子の他端と前記第4スイッチング素子との間に配置されることができる。
【0020】
例えば、前記第4スイッチング素子は、前記複数の第3スイッチング素子の他端と前記充電用キャパシタとの間に配置されることができる。
【0021】
例えば、前記直流充電電圧が前記バッテリーの電圧よりも低い場合、前記コントローラは、前記充電モードで、前記複数の第3スイッチング素子を全て短絡状態に制御し、前記第1インバーターのロアスイッチング素子-前記第1インバーターのロアスイッチング素子は、前記第1インバーターに含まれているスイッチング素子のうち、前記直流端の低電位端に接続されたスイッチング素子-をパルス幅変調制御して前記直流充電電圧を昇圧することができる。
【0022】
例えば、前記直流充電電圧が前記バッテリーの電圧に一致する場合、前記コントローラは、前記充電モードにおいて、前記複数の第3スイッチング素子を全て短絡状態に制御し、前記第2インバーターのアッパースイッチング素子-前記第2インバーターのアッパースイッチング素子は、前記第2インバーターに含まれているスイッチング素子のうち、前記直流端の高電位端に接続されたスイッチング素子-を介して、充電電流が前記バッテリーへ伝達されるように制御することができる。
【発明の効果】
【0023】
前記モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムによれば、モーターのオープンエンドワインディング駆動のために備えられるモーター駆動システムを活用して、外部充電器で提供される充電電圧の大きさに応じて適切に充電電圧の大きさを変換してバッテリーの充電が可能となる。
【0024】
これにより、前記モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、車両バッテリーの高電圧化に伴い、追加的に高電圧の充電設備のための追加のインフラストラクチャを構築する必要をなくして、インフラストラクチャの構築による社会的費用の発生を防止することができる。
【0025】
また、前記モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、高効率のオープンエンドワインディング方式のモーター駆動と共に、様々な外部充電電圧に対応したバッテリー充電を可能にすることができる。
【0026】
また、前記モーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、半導体スイッチング素子を介して、モーター巻線の中性点と充電用キャパシタとを接続するか否かを制御するので、リレーの場合に比べて発熱、冷却、耐衝撃、焼損の面で優れる。
【0027】
本発明で得られる効果は、上述した効果に限定されず、上述していない別の効果は、以降の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの回路図である。
図2】本発明の一実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの動作状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの動作状態を示す図である。
図4】本発明の一実施形態の他の態様によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの回路図である。
図5】本発明の一実施形態によるモーター駆動システムの制御過程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムについて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの回路図である。
【0031】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、複数の相に対応する複数の巻線L1~L3を有するモーター100へ駆動電力を供給するモーター駆動システムを用いた充電システムである。
【0032】
まず、モーター駆動システムは、複数の第1スイッチング素子S11~S16を含み、モーター100の巻線それぞれの一端に接続された第1インバーター10と、複数の第2スイッチング素子S21~S26とを含み、モーター100の巻線それぞれの他端に接続された第2インバーター20と、モーター100の巻線それぞれの他端に一端が接続され、他端が互いに短絡した複数の第3スイッチング素子S31~S33と、を含むことができる。
【0033】
第1インバーター10は、バッテリー200の正端子と負端子との間に形成される直流電圧が印加される直流端と、モーター100の各巻線L1~L3に接続される交流端とを有することができる。第1インバーター10がバッテリー200の正端子又は負端子に接続される2つのノードが直流端になることができ、第1インバーター10がモーター100の各巻線の一端に接続される3つのノートが交流端になることができる。
【0034】
これと同様に、第2インバーター20は、第1インバーター10の直流端に選択的に接続される直流端と、モーター100の各巻線L1~L3に接続される交流端とを有することができる。第2インバーター20が第1インバーター10の直流端と選択的に接続される1つのノードを含む2つのノードが直流端になることができ、第2インバーター20がモーター100の各巻線の他端に接続される3つのノートが交流端になることができる
モーターで車両を駆動させるための動力を生成するモーター駆動モードで、第1インバーター10と第2インバーター20は、バッテリー200に共通に直流端が接続され、バッテリー200に蓄積された直流電力を三相の交流電力に変換してモーター100へ提供するか、或いは回生制動の際にモーター100の回生制動トルクの発生により生成される回生制動エネルギーを直流に変換してバッテリー200へ提供することができる。このような直流電力と交流電力との変換は、第1インバーター10と第2インバーター20にそれぞれ設けられた複数の第1スイッチング素子S11~S16及び複数の第2スイッチング素子S21~S26のパルス幅変調制御によって行われることができる。
【0035】
第1インバーター10は、直流端に形成された直流電圧が印加される複数のレッグ11~13を含むことができる。各レッグ11~13は、モーター100の複数の相にそれぞれ対応して電気的接続が形成されることができる。
【0036】
さらに具体的には、第1レッグ11は、直流端を形成する2つのノードの間に相互直列に接続された2つのスイッチング素子S11、S12を含み、2つのスイッチング素子S11、S12の接続ノードは、モーター100の複数の相のうち、1つの相に該当する交流電力が入出力されるように、モーター100内の1相の巻線L1の一端に接続されることができる。
【0037】
同様に、第2レッグ12は、直流端を形成する2つのノードの間に相互直列に接続された2つのスイッチング素子S13、S14を含み、2つのスイッチング素子S13、S14の接続ノードは、モーター100の複数の相のうち、1つの相に該当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の1相の巻線L2の一端に接続されることができる。
【0038】
また、第3レッグ13は、直流端を形成する2つのノードの間に相互直列に接続された2つのスイッチング素子S15、S16を含み、2つのスイッチング素子S15、S16の接続ノードは、モーター100の複数の相のうち、1つの相に該当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の1相の巻線L3の一端に接続されることができる。
【0039】
第2インバーター20も、第1インバーター10と同様の構成を有することができる。第2インバーター20は、バッテリー200の2つの端子の間の直流電圧が印加される直流端の直流電圧が印加される複数のレッグ21~23を含むことができる。各レッグ21~23は、モーター100の複数の相に対応して電気的接続が形成されることができる。
【0040】
より具体的には、第1レッグ21は、直流端を形成する2つのノードの間に相互直列に接続された2つのスイッチング素子S21、S22を含み、2つのスイッチング素子S21、S22の接続ノードは、モーター100の複数の相のうち、1つの相に該当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の1相の巻線L1の他端に接続されることができる。
【0041】
同様に、第2レッグ22は、直流端を形成する2つのノードの間に相互直列に接続された2つのスイッチング素子S23、S24を含み、2つのスイッチング素子S23、S24の接続ノードは、モーター100の複数の相のうち、1つの相に該当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の1相の巻線L2の他端に接続されることができる。
【0042】
また、第3レッグ23は、直流端を形成する2つのノードの間に相互直列に接続された2つのスイッチング素子S25、S26を含み、2つのスイッチング素子S25、S26の接続ノードは、モーター100の複数の相のうち、1つの相に該当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の1相の巻線L3の一端に接続されることができる。
【0043】
第1インバーター10は、モーター100の巻線L1~L3の一端に接続され、第2インバーター20は、モーター100の巻線L1~L3の他端に接続される。すなわち、モーター100の巻線L1~L3の両端は、第1インバーター10と第2インバーター20にそれぞれ接続されるオープンエンドワインディング構造の電気的接続が形成されることができる。
【0044】
第1インバーター10及び第2インバーター20に含まれているスイッチング素子S11~S16、S21~S26は、モーター駆動のための通常のインバーター内に含まれるスイッチング素子であって、実際スイッチングが行われるIGBT又はFETと、IGBT又はFETのソースとドレインとの間に逆方向に接続されたダイオードを含む概念として理解されるべきである。
【0045】
複数の第3スイッチング素子S31~S33がモーター100の巻線L1~L3の他端(第2インバーターの交流端)に接続されることができる。第3スイッチング素子S31~S33は「切替スイッチ」と呼ぶこともある。複数の切替スイッチS31~S33は、一端がモーター100の巻線L1~L3の一端に接続され、他端は互いに接続されて電気的短絡が形成されることができる。
【0046】
複数の切替スイッチS31~S33が開放される場合には、モーター100の巻線L1~L3の両端は、それぞれ第1インバーター10と第2インバーター20に接続され、オープンエンドワインディング構造が形成されることができる。また、複数の切替スイッチS31~S33が短絡する場合には、モーター100の巻線L1~L3の他端が相互電気的に短絡して、モーター100の巻線L1~L3は、Y結線を形成するクローズドエンドワインディング構造の電気的接続が形成されることができる。クローズエンドワインディング構造の電気的接続が形成された場合、第1インバーター10のスイッチング素子S11~S16をパルス幅変調制御してモーター100が駆動(すなわち、CEW駆動モード)することができ、第2インバーター20のスイッチング素子S21~S26はいずれも常に開放された状態を維持することができる。
【0047】
複数の切替スイッチS31~S33は、モーター駆動のための回路接続構造をオープンエンドワインディング構造とクローズドエンドワインディング構造との間で切り替える役割を果たすので、切替スイッチ部30と呼ばれることもある。
【0048】
コントローラ40は、モーター駆動モードでモーター100に要求される要求出力に基づいてモーター100が駆動できるように、第1インバーター10及び第2インバーター20に含まれているスイッチング素子S11~S16、S21~S21をパルス幅変調制御することができる。
【0049】
より具体的には、コントローラ40は、モーター100の要求出力に基づいてモーターの駆動に使用されるインバーターを決定し、それにより切替スイッチ部30の複数の切替スイッチS31~S33のオン/オフ状態を決定し、駆動が決定されたコンバータのスイッチング素子をパルス幅変調制御することができる。
【0050】
例えば、モーター100に要求される出力が所定の基準値よりも小さい場合、コントローラ40は、切替スイッチ部30の複数の切替スイッチS31~S33を全て短絡状態に設定し、第2インバーター20を作動させることなく、第1インバーター10のスイッチング素子S11~S16をパルス幅変調制御してモーター100を駆動させることができる(すなわち、クローズドエンドワインディングモード)。
【0051】
クローズドエンドワインディング(CEW)モードでのモーター駆動は、コントローラ40が第1インバーター10の直流端に印加される直流電圧、インバーター10の交流端からモーター100に提供される相電流、及びモーター100に設置されたモーター回転子センサー(図示せず)によって検出されたモーター回転角などに基づいて、第1インバーター10のスイッチング素子S11~S16をパルス幅変調制御することにより達成できる。インバーター内の複数のスイッチング素子をパルス幅変調制御してモーター100を駆動するための様々な技法は、当技術分野における公知のものなので、インバーターのパルス幅変調制御技法については、さらなる詳細な説明を省略する。
【0052】
一方、モーター100に要求される出力が所定の基準値よりも大きい場合、コントローラ100は、切替スイッチ部30の複数の切替スイッチS31~S33を全て開放状態に設定し、第1インバーター10と第2インバーター20の両方を作動させてモーター100を駆動することができる(すなわち、オープンエンドワインディングモード)。オープンエンドワインディング(OEW)モードで、モーター100は、複数の巻線L1~L3の一端が互いに開放状態となり、その他端も互いに開放状態となり、巻線L1~L3の両端にそれぞれ接続された2つインバーター10、20をパルス幅変調制御して駆動できる。
【0053】
オープンエンドワインディングモードでのモーターの駆動は、コントローラ100が第1インバーター10及び第2インバーター20の直流電圧とモーター100の各相に該当する複数の巻線へそれぞれ提供される相電流、及びモーター100に設置されたモーター回転子センサー(図示せず)で検出されたモーター角などの入力を受け、第1インバーター10の第1スイッチング素子S11~S16及び第2インバーター20の第2スイッチング素子S21~S26を一緒にパルス幅変調制御することにより達成できる。
【0054】
オープンエンドワインディングモードでの巻線の両端に接続された2つのインバーターをパルス幅変調制御してモーターを駆動するための様々な技法は、当技術分野における公知のものなので、さらなる詳細な説明は省略する。
【0055】
バッテリーを充電する充電モードで、コントローラ40は、複数の切替スイッチS31~S33の他端とバッテリー200の負端子との間に直流充電電圧が印加されるようにし、直流充電電圧の大きさに基づいて流充電電圧の大きさを変換してバッテリーに提供されるように、第1インバーター10及び第2インバーター20に含まれているスイッチング素子S11~S16、S21~S26、スイッチS31~S33及び第4スイッチング素子S4を制御することができる。
【0056】
外部充電器300から提供される直流電力は、切替スイッチ部30の複数の切替スイッチS31~S33が相互接続されたノードと、バッテリー200の負端子に接続されたノードとの間に印加されることができる。すなわち、外部充電器300から提供される充電電圧が、複数の切替スイッチS31~S33が相互接続されたノードとバッテリー200の負端子に接続されたノードとの間に印加されることができる。
【0057】
外部充電器300とモーター駆動システムとの電気的接続を形成/遮断するために、本発明の一実施形態は、充電電力印加スイッチR1、R2と第4スイッチング素子S4をさらに含むことができる。
【0058】
車両は、外部充電器300が接続される充電インレットを備えることができ、充電の際に、充電インレットは、外部充電器300の充電アウトレットに締結されることができる。外部充電器300の充電アウトレットは、充電電圧を形成する高電位端子(正端子)と低電位端子(負端子)を有し、これらの端子は、充電インレットの高電位端子及び低電位端子とそれぞれ接続されることができる。第1充電電力印加スイッチR1は、充電インレットの高電位端子と複数の切替スイッチS31~S33が相互接続されたノードとの間に接続されることができ、第2充電電力印加スイッチR2は、充電インレットの低電位端子とバッテリー200の負端子との間に接続されることができる。
【0059】
切替スイッチ部30の他端とバッテリーの負端子との間には、充電用キャパシタCが接続されることができる。また、充電用キャパシタCと直列に第4スイッチング素子S4が接続されることができる。すなわち、充電用キャパシタCの一端は、切替スイッチ部30と第1充電電力印加スイッチが相互接続されたノードとの間に接続され、充電用キャパシタCの他端は、バッテリー200の負端子が接続されたノードに接続されることができる。
【0060】
このように、第4スイッチング素子S4が充電用キャパシタCと直列に接続されることにより、大電流(数百A)の充電電流が導通する経路上にリレーを用いる場合とは異なり、大電流の導通を想定した性能が確保されなくてもよい。したがって、大電流に備えるためのサイズ増加や材料費の上昇なしにも、半導体タイプのスイッチング素子でも効果的に充電用キャパシタCと中性端Nとの接続制御が可能となる。例えば、大電流の導通が可能なリレーに比べて相対的にサイズが小さく且つ安価なFETが第4スイッチング素子S4に適用されることができる。このような場合、材料費低減だけでなく、インバーターモジュールの全体的なサイズも減少するので、出力密度向上効果まで得ることができる。さらに、リレー用FETをPCB設計によってインバーターボード内に実装することにより、別途の追加空間なしにも実現が可能であり、FETのPinがボードにはんだ付けされて車両駆動の際に振動による信頼性悪化の欠点も補うことができる。さらに、FETの位置をハウジング冷却範囲内に設計することにより、インバーターボードの冷却のための冷却水循環の際にFETも一緒に冷却させることができるという効果がある。但し、FETは、第4スイッチング素子S4の一実施形態であって、必ずしもこれに限定されるものではなく、様々な半導体タイプのスイッチング素子が適用できることは当業者に自明である。
【0061】
したがって、外部充電器300が車両に接続されて充電を行う場合、コントローラ40が切替スイッチ部30と第4スイッチング素子S4をオンにすると、切替スイッチ部30の他端でモーター巻線C1~C3の中性端Nが形成され、充電用キャパシタCは中性端Nに接続されることができる。充電用キャパシタCが中性端Nに接続されると、外部充電器300の入力電圧リップルを低減し、安定的に電圧を維持することができる。
【0062】
ただし、充電用キャパシタCは、モーター100の駆動時にインバーター10、20の正常作動のために中性端Nとは電気的に分離される必要がある。したがって、モーター100の駆動時には、コントローラ40が第4スイッチング素子S4をオフにすると、充電用キャパシタCの(-)端とグランドが分離されるので、充電用キャパシタCがモーター100の中性端Nと電気的に分離されることができる。
【0063】
一方、コントローラ40は、モーター駆動モードで第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2を常に開放状態となるように制御することができる。また、コントローラ40は、バッテリー充電モードで第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2を常に短絡状態となるように制御することができる。
【0064】
第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2は、当技術分野における公知の様々なスイッチング手段が適用できるが、第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2は、モード切替又は昇圧/降圧決定の際に開放/短絡状態が決定され、決定された状態をモードが持続される間に維持する用途で使用されるので、高速スイッチングが要求されない。したがって、第1充電電力印加スイッチR1と第2充電電力印加スイッチR2は、リレーで実現されることが好ましい。
【0065】
ここで、第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2は、回路内の電気的接続関係を形成するためのジャンクションボックス400の形態で実現されることができる。例えば、ジャンクションボックス400は、バッテリー200の高電圧端子及び低電圧端子とインバーターの直流端の2端子との間に電気的接続を形成するための結線、第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2と外部充電器との結線、並びに、第1充電電力印加スイッチR1及び第2充電電力印加スイッチR2と切替スイッチ部30及びインバーター10、20の直流端との結線などを含むハードウェアの形態で実現されることができる。
【0066】
図2及び図3は、本発明の一実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの動作状態を示す図である。
【0067】
まず、図2は、充電モードで外部充電器300から供給される充電電圧が車両内のバッテリー200の電圧(例えば、800V)よりも低い場合(例えば、400V)の一例を示す。
【0068】
図2に示すように、コントローラ40は、充電モードで充電電力印加スイッチR1、R2を全て短絡状態に制御し、切替スイッチ部30のスイッチS31、S32、S33が短絡状態を維持するように制御することができる。また、コントローラ40は、第2インバーター20のスイッチング素子S21~S26を、全て開放状態を維持するように制御することができる。
【0069】
それにより、モーター100の巻線L1-L3、巻線L1-L3の一端に接続された第1インバーター10のアッパースイッチング素子S11、S13、S15のダイオード、及び第1インバーター10のロアスイッチング素子S12、S14、S16は、外部充電器300からバッテリー200に向かう方向に電圧を昇圧させることができるブーストコンバータのトポロジを形成することができる。このようなブーストコンバータのトポロジを用いて、外部充電器300から提供される充電電圧を昇圧させてバッテリー200へ提供してバッテリー200の充電が行われるようにすることができる。
【0070】
この場合、第2インバーター20の直流端の電圧は、外部充電器300から提供される電圧よりも大きいため、第2インバーター20のアッパースイッチング素子S21、S23、S25の逆方向ダイオードによって、第2インバーター20へ流れる電流は遮断されることができる。
【0071】
ここで、アッパースイッチング素子S11、S13、S15は、インバーター内のレッグに含まれている2つのスイッチング素子のうち、直流端の高電位端子に接続されたスイッチング素子を意味し、ロアスイッチング素子は、直流端の低電位端子に接続されたスイッチング素子を意味する。
【0072】
また、図2では、切替用スイッチ部30のスイッチS31~S33が全て短絡状態を維持させた後に昇圧する例を示すが、コントローラ40は、切替用スイッチ部30のスイッチS31~S33の一部のみを選択的に短絡状態となるようにした後、短絡状態を維持するスイッチに接続されたロアスイッチング素子をパルス幅変調制御して昇圧が行われるようにすることもできる。
【0073】
昇圧の際に、モーターの各相に対応する切替用スイッチ部30のスイッチS31~S33が全て短絡状態を維持するようにし、第1インバーター10のロアスイッチS12、S14、S16を全てスイッチングして昇圧する場合、コントローラ40の各相に対応する昇圧コンバータをインターリーブド(Interleaved)方式で制御することもできる。
【0074】
コイル(インダクター)、ダイオード及びスイッチで構成されてスイッチのパルス幅変調制御によって電圧の大きさを上昇させる昇圧コンバータ、及び複数の昇圧コンバータを用いたインターリーブド制御技法は、当技術分野における公知のものであるので、これについての追加説明は省略する。
【0075】
次に、図3は、充電モードで外部充電器300から供給される充電電圧が車両内バッテリー200の電圧(例えば、800V)に一致する場合(例えば、800V)の例を示す。このような場合、充電電圧の昇圧や降圧が不要であり、充電電流が直ちにバッテリー200に供給されることでバッテリー200の充電が可能である。
【0076】
図3に示すように、コントローラ40は、充電モードで充電電力印加スイッチR1、R2を全て短絡状態に制御し、切替スイッチ部30のスイッチS31、S32、S33が短絡状態を維持するように制御することができる。また、コントローラ40は、第1インバーター10のスイッチング素子S11~S16を全て開放状態に維持するように制御することができる。
【0077】
それにより、充電電流は、第2インバーター20のアッパースイッチS21、S23、S25を介してバッテリー200へ伝達されることができる。
【0078】
図4は、本発明の一実施形態の他の態様によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムの回路図である。
【0079】
図4に示されているモーター駆動システムは、図1に示されているモーター駆動システムと比較して、切替スイッチ部30の他端とバッテリーの負端子との間で相互直列接続された充電用キャパシタC’と第4スイッチング素子S4’の接続順序が変更された。このような変更によっても、同様にバッテリー充電とモーター駆動如何に応じて充電用キャパシタC’と中性端Nとを電気的に接続するか否かが第4スイッチング素子S4’の制御によって決定されることができるので、インバーターハウジング(図示せず)の設計に基づいて適切な素子配置が可能である。
【0080】
図5は、本発明の一実施形態によるモーター駆動システムの制御過程の一例を示すフローチャートである。
【0081】
図5を参照すると、まず、コントローラ40は、車両の現在状態がモーター駆動モードであるか急速充電モードであるかを判断することができる(S510)。
【0082】
車両が現在モーター駆動モードである場合、コントローラ40は、第4スイッチング素子S4をオフにして、モーター巻線C1~C3の中性端Nを充電用キャパシタCとは電気的に分離させる(S520A)。
【0083】
また、コントローラ40は、モーター100の要求出力に応じてCEW駆動モード又はOEW駆動モードを決定して、決定された駆動モードに応じてモーター駆動のための電圧及び電流指令を生成することができる(S530)。
【0084】
電圧及び電流指令に基づいて、コントローラ40は、第1~第3スイッチング素子を制御してモーターを駆動することができる(S540)。
【0085】
一方、車両が現在バッテリー充電モードである場合、コントローラ40は、第4スイッチング素子S4をオンにして、モーター巻線C1~C3の中性端Nを充電用キャパシタCと電気的に接続させる(S520B)。
【0086】
コントローラ40は、充電器接続認識を介して充電電圧を判断し(S550)、判断された充電電圧に応じて、図2又は図3を参照して前述したように第1スイッチング素子~第3スイッチング素子を制御して、昇圧を経て充電電流がバッテリーへ伝達されるようにするか、或いは充電電流が直ちにバッテリーへ伝達されるようにすることができる(S560)。
【0087】
以上説明したように、本発明の様々な実施形態に係るモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、モーターのオープンエンドワインディング駆動のために備えられるモーター駆動システムを利用して、外部充電器から提供される充電電圧の大きさに応じて適切に充電電圧の大きさを変換してバッテリーの充電を可能にする。
【0088】
したがって、本発明の様々な実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、車両バッテリーの高電圧化に伴って追加的に高電圧の充電設備のための追加のインフラストラクチャを構築する必要をなくして、インフラストラクチャの構築による社会的費用の発生を防止することができる。
【0089】
また、本発明の様々な実施形態によるモーター駆動システムを用いた車両用バッテリー充電システムは、高効率のオープンエンドワインディング方式のモーター駆動とともに、様々な外部充電電圧に対応したバッテリー充電を可能にすることができる。
【0090】
さらに、第4スイッチング素子に充電電流が直接導通しないため、第4スイッチング素子を半導体タイプのスイッチング素子で実現することができるので、インバーターモジュールの小型化が可能であり、第4スイッチング素子の冷却も容易になる。
【0091】
以上、本発明の特定の実施形態に関連して図示及び説明したが、請求の範囲の限度内で、本発明に多様な改良及び変更を加え得ることは、当技術分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0092】
10 第1インバーター
11~13 レッグ
20 第2インバーター
21~23 レッグ
30 切替スイッチ部
40 コントローラ
100 モーター
200 バッテリー
300 外部充電器
400 ジャンクションボックス
S11~S16 第1スイッチング素子
S21~S26 第2スイッチング素子
S31~S33 第3スイッチング素子
S4 第4スイッチング素子
L1~L3 モーター巻線
R1、R2 スイッチング手段(リレー)
図1
図2
図3
図4
図5