(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114985
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品、及びその外側部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G04B 19/06 20060101AFI20230810BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G04B19/06 R
G04B19/06 B
H04M1/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023009299
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】22155491.8
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22191546.5
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・リンティメル
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ジリー
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・リティネ
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ・ヴュイユ
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023BB01
5K023MM03
(57)【要約】
【課題】 透光性基材を介して見ることができる並置された薄層の視覚的外観を向上させる。
【解決手段】 本発明は、透光性材料によって作られた基材(11)を含む、携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品(10)に関する。基材(11)には、下面(111)の反対側に上面(110)があり、外側部品(10)は、上面(110)の第1の部分(1101)上に堆積されるベース層(12)と、ベース層(12)上に、かつ、上面(110)の第2の部分(1102)上に堆積される少なくとも1つの副次層(13)とを含み、上面(110)の第1及び第2の部分(1101、1102)どうしは、異なる面状態を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料によって作られた基材(11)を含む、携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品(10)であって、
前記基材(11)には、研磨される下面(111)の反対側に上面(110)があり、
前記外側部品(10)は、前記上面(110)の第1の部分(1101)上に堆積されるベース層(12)と、前記上面(110)の第2の部分(1102)上に堆積される少なくとも1つの副次層(13)とを含み、
前記上面(110)の前記第1及び第2の部分(1101、1102)どうしは、異なる面状態を有する
ことを特徴とする外側部品(10)
【請求項2】
前記上面(110)の前記第1の部分(1101)は、研磨され、
前記上面(110)の前記第2の部分(1102)には、少なくとも1つの構造化組織(112)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の外側部品(10)。
【請求項3】
前記ベース層(12)と前記副次層(13)は、異なる組成を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の外側部品(10)。
【請求項4】
前記ベース層(12)と前記副次層(13)には、前記基材(11)の前記上面(110)の第3の部分(1103)に達する貫通開口(15)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の外側部品(10)。
【請求項5】
前記下面(111)の第1の部分(1111)上にて堆積される下側ベース層(12')を含み、
前記外側部品(10)は、さらに、前記下面(111)の構造化された第2の部分(1112)上にて堆積される下側副次層(13')を含み、
前記下側ベース層(12')と前記下側副次層(13')には、前記下面(111)の第3の部分(1113)に達しており、少なくとも、前記上面(110)の前記第1及び第2の部分(1101、1102)の反対側に形成される、下側貫通開口(15')がある
ことを特徴とする請求項1に記載の外側部品(10)。
【請求項6】
請求項1に記載の外側部品(10)によって形成される
ことを特徴とする携行型時計用表盤。
【請求項7】
請求項1に記載の外側部品(10)によって形成される
ことを特徴とする電話ケースの装飾性要素。
【請求項8】
携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品(10)を製造する方法であって、
透光性材料によって作られた基材(11)の下面(111)を研磨するステップと、
前記基材(11)の上面(110)の面の全部又は一部上にてベース層(12)を堆積させるステップと、
前記ベース層(12)を局所的に除去するステップであって、前記ベース層(12)においては、前記基材(11)の前記上面(110)の第1の部分(1101)上にて、前記ベース層(12)の一部が保持され、前記除去は、前記基材(11)の前記上面(110)の第2の部分(1102)に達する少なくとも1つのポケット(14)を形成し、前記基材(11)の前記上面(110)の前記第2の部分(1102)を構造化するように行う、ステップと、
前記ベース層(12)上及び前記基材(11)の前記上面(110)の前記第2の部分(1102)上にて、副次層(13)を堆積させるステップとを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記基材(11)の前記上面(110)を予備的に研磨するステップを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基材(11)に影響を与えずに、前記ベース層(12)の一部と前記副次層(13)の一部が、それらの厚み全体にわたって除去されるようにエッチングを行うステップを含み、
これによって、前記基材(11)の前記上面(110)の第3の部分(1103)に達する少なくとも1つの貫通開口(15)を形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記下面(111)の面の全部又は一部上にて下側ベース層(12')を堆積させるステップと、
前記基材(11)の前記下面(111)の第2の部分(1112)上にて構造化して下側構造化組織(112')を形成するように、前記下側ベース層(12')を局所的に除去して、前記下側ベース層(12')の残りが前記下面(111)の第1の部分(1111)に対向するように配置されるようにするステップと、
前記下側ベース層(12')及び前記下側構造化組織(112')上にて下側副次層(13')を堆積させるステップと、
前記下面(111)の第3の部分(1113)が、少なくとも、前記上面(110)の前記第1の部分及び第2の部分(1101、1102)の反対側に延在するように、前記基材(11)の前記下面(111)の前記第3の部分(1113)に達する一又は複数の下側貫通開口(15')を形成するようにエッチングするステップとを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
最後に、前記基材(11)の前記上面(110)と前記下面(111)の一方又は双方上にて反射防止被覆を堆積させるステップを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、ファッション物品又は宝飾品の分野に関し、特に、携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品、及びこのような外側部品を製造する方法に関する。
【0002】
本文書において、「ファッション物品」の概念は、ベルト、靴、衣服のような衣類ないしアクセサリーを含み、さらに、アイウェア(eyewear)物品、電話物品、又は任意の装飾性物品を含む。
【背景技術】
【0003】
特に携行型時計の分野において、フランジ、ベゼルのような携行型時計の外側部品に、基材の面上に堆積される薄い層によって作られた装飾があることがある。
【0004】
外側部品の装飾の寸法構や細部の数に応じて、外側部品を作ることが比較的複雑になることがある。特に、薄い層どうしのアライメント公差を遵守することが特に難しくなることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに関連して、本発明は、携行型時計の外側部品の装飾の精度及び品質、特に、透光性基材を介して見ることができる並置された薄層の視覚的外観、を向上させることを目的とする。
【0006】
特に、本発明は、外側部品における装飾のアライメント、特に、薄層どうしのアライメント及び前記薄層が堆積される構造化組織(structuration)に対する薄層のアライメント、の公差に適合させるという課題を解決するものである。
【0007】
一般的には、上述の問題は、ファッション物品又は宝飾品の分野において発生する。
【0008】
このような状況で、本発明は、透光性材料によって作られた基材を含む、携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品に関し、前記基材には、研磨される下面の反対側に上面がある。前記外側部品は、さらに、前記上面の第1の部分上に堆積されるベース層と、前記上面の第2の部分上に堆積される少なくとも1つの副次層とを含む。前記上面の前記第1及び第2の部分どうしは、異なる面状態を有する。
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有することができる。これらは、別々に考えられ、又は技術的に可能な組み合わせに従って考えられる。
【0010】
特定の実施形態において、前記上面の前記第1の部分は、研磨され、前記上面の前記第2の部分には、少なくとも1つの構造化組織がある。
【0011】
特定の実施形態において、前記ベース層と前記副次層は、異なる組成を有する。
【0012】
特定の実施形態において、前記ベース層と前記副次層には、前記基材の前記上面の第3の部分に達する貫通開口がある。
【0013】
特定の実施形態において、前記下面の第1の部分上にて堆積される下側ベース層を含み、前記外側部品は、さらに、前記下面の構造化された第2の部分上にて堆積される下側副次層を含む。前記下側ベース層と前記下側副次層には、前記下面の第3の部分に達しており、少なくとも、前記上面の前記第1及び第2の部分の反対側に形成される、下側貫通開口がある。
【0014】
本発明は、別の態様において、前記外側部品によって形成される携行型時計用表盤に関する。
【0015】
本発明は、別の態様において、前記外側部品によって形成される電話ケースの装飾性要素に関する。
【0016】
本発明は、別の態様において、本発明は、携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の外側部品を製造する方法に関し、
透光性材料によって作られた基材の下面を研磨するステップと、
前記基材の上面の面の全部又は一部上にてベース層を堆積させるステップと、
前記ベース層を局所的に除去するステップであって、前記ベース層においては、前記基材の前記上面の第1の部分上にて、前記ベース層の一部が保持され、前記除去は、前記基材の前記上面の第2の部分に達する少なくとも1つのポケットを形成し、前記基材の前記上面の前記第2の部分を構造化するように行う、ステップと、
前記ベース層上及び前記基材の前記上面の前記第2の部分上にて、副次層を堆積させるステップとを含む。
【0017】
特定の実施形態において、本方法は、前記基材の前記上面を予備的に研磨するステップを含む。
【0018】
特定の実施形態において、本方法は、前記基材に影響を与えずに、前記ベース層の一部と前記副次層の一部が、それらの厚み全体にわたって除去されるようにエッチングを行うステップを含み、これによって、前記基材の前記上面の第3の部分に達する少なくとも1つの貫通開口を形成する。
【0019】
特定の実施形態において、本方法は、
前記下面の面の全部又は一部上にて下側ベース層を堆積させるステップと、
前記基材の前記下面の第2の部分上にて構造化して下側構造化組織を形成するように、前記下側ベース層を局所的に除去するステップと、
前記下側ベース層及び前記下側構造化組織上にて下側副次層を堆積させるステップと、
前記下面の第3の部分が、少なくとも、前記上面の前記第1の部分及び第2の部分の反対側に延在するように、前記基材の前記下面の前記第3の部分に達する一又は複数の下側貫通開口を形成するようにエッチングするステップとを含む。
【0020】
特定の実施形態において、本方法は、最後に、前記基材の前記上面と前記下面の一方又は双方上にて反射防止被覆を堆積させるステップを含む
【0021】
いくつかの特定の実施形態において、ベース層を局所的に除去する前記ステップは、レーザービームによって行う。
【0022】
添付の図面を参照しながら例として与えられる下記の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点を理解することができる。なお、図面において、縮尺は適宜変更しており参考にすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係る製造方法のいくつかのステップを実行することによって作られる外側部品を製造する際の外側部品の断面図を概略的に示している。
【
図2】本発明の好ましい実施形態に係る製造方法のいくつかのステップを実行することによって作られる外側部品を製造する際の外側部品の断面図を概略的に示している。
【
図3】本発明の実施形態に係る、本発明に係る製造方法を実行することによって得られる外側部品の断面図を概略的に示している。
【
図4】本発明の実施形態に係る、本発明に係る製造方法を実行することによって得られる外側部品の断面図を概略的に示している。
【
図5】本発明の実施形態に係る、本発明に係る製造方法を実行することによって得られる外側部品の断面図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、
図3~5においていくつかの異なる実施形態において示しているような外側部品10に関し、また、
図1及び2においてその製造ステップを示している。
【0025】
本発明は、携行型時計、ファッション物品又は宝飾品の装飾性要素からなることができる。
【0026】
用語「ファッション物品」は、ベルト、靴、衣服のような任意の衣類又はアクセサリーを含み、さらに、アイウェア物品、電話ケースのような電話物品、又は任意の装飾性物品を含む。
【0027】
外側部品10は、透光性材料によって作られた基材11を含む。なお、用語「透光性」は、本文書において、光放射の全部又は一部、特に、肉眼で見ることができる光、を通過させる材料の性質を意味する。このような透光性材料としては、サファイア、ガラスなどがある。
【0028】
基材11には、下面111の反対側に上面110があり、少なくとも
図3及び4に示している本発明の実施形態において、ユーザーが下面111から前記基材11を通して外側部品10の装飾を見るように意図されている。したがって、基材11の下面111は、好ましくは、研磨される。
【0029】
特に、これらの実施形態において、下面111が外部環境の方を向くように意図されており、上面110が、外側部品10が携行型時計のコンポーネントである場合、例えば計時器用ムーブメントに対向するように、内部環境の方を向くように意図されている。
【0030】
本文書において、相対的な用語である「下側」及び「上側」は、図面に示している構成に関して要素を説明するために用いており、必ずしもこのような要素の絶対的な位置を説明するものではない。したがって、当業者であれば、このような用語が他の用語と交換可能であり、本明細書において説明している実施形態が、図面に示しており説明している向きとは異なる向きで動作可能であることを理解することができる。
【0031】
外側部品10は、上面110の第1の部分1101上に堆積されるベース層12と、ベース層12上に堆積され前記ベース層12によって覆われていない上面110の第2の部分1102上に堆積される少なくとも1つの副次層13とを含む。
図3~5に示しているように、上面110の第1及び第2の部分1101、1102は、互いに隣接している。
【0032】
好ましいことに、上面110の第1及び第2の部分1101及び1102は、異なる面状態を有する。
【0033】
特に、上面110の第1の部分1101は、好ましくは、研磨され、上面110の第2の部分1102には、好ましくは、少なくとも1つの構造化組織112がある。以下、本明細書において、読みやすくするために、第2の部分1102が1つ、したがって、構造化組織112が1つ、あるものとして説明する。本明細書における「構造化組織」の概念は、トポグラフィーが変更された面を意味し、これには、サテン仕上げ、テクスチャリング、エッチングなどを含む。好ましいことに、ベース層12、副次層13、及び基材11の上面110の異なる面状態が組み合わさることによって、特に魅力的な装飾を形成することができる。
【0034】
図3~5に示しているように、副次層13は、上面110の第2の部分1102に対向する面の部分上にて構造形状112と形が合致する。したがって、副次層13は、その外面上にて、すなわち、基材の反対側を向く面上にて、構造化組織112の形を複製する。
【0035】
好ましくは、ベース層12と副次層13は、異なる組成を有する。これらは、クロム、金、チタン、ジルコニウムのような金属、セラミックス、又は任意の適切な材料によって作ることができる。ベース層12と副次層13の一方又は双方は、当業者によく知られた形態で、薄い層の積層体によって形成することができる。ベース層12及び/又は副次層13は、不透明又は半透明であることができる。
【0036】
図4に示している実施形態において、ベース層12と副次層13には、上面110の第3の部分1103に達する貫通開口15があることができる。
【0037】
したがって、ユーザーは、ベース層12と副次層13に貫通開口15がある場合、外側部品10を通して透かして見ることができる。
【0038】
この場合、外側部品10は、基材11の下面111上にて、かつ/又は副次層13上にて、そして、基材11の上面110の第3の部分1103上にて、堆積される反射防止被覆(図示せず)を含むことができる。
【0039】
図5に示している実施形態において、外側部品10は、基材11の下面111の第1の部分1111上に、上面110と同様の形態で、「下側ベース層」12'と呼ばれるベース層を含む。また、「下側副次層13'と呼ばれる副次層」が、「下側構造化組織」112'と呼ばれる下面111の構造化された第2の部分1112上にて、そして、下側ベース層12'上にて、堆積される。ベース層12と副次層13と同様の形態で、下側ベース層12'と下側副次層13'は、金属性材料又はセラミックス材料、又は任意の他の適切な材料、好ましくは異なる組成を有するもの、によって作ることができる。これらの下側ベース層12'と下側副次層13'の一方又は双方は、当業者によく知られている形態で、薄い層の積層体によって形成されることができる。
【0040】
図4に示している実施形態と同様に、下側ベース層12'と下側副次層13'には、少なくとも1つの下側貫通開口15'があることができる。
図5に示しているように、この下側貫通開口15'は、下面111の第3の部分1113に達しており、少なくとも、上面110の第1及び第2の部分1101及び1102の反対側にて延在している。これは、ベース層12と、副次層13と、基材11の上面110の異なる面状態とが組み合わさって発生する装飾を、下面111から基材11を通してユーザーが見ることができるようにされる。
【0041】
また、
図3及び4に示している実施形態と同様に、下側副次層13'は、下面111の第2の下側部分1102に対向する下側副次層13'の面の部分上にて下側構造化組織112'と形が合致する。したがって、
図5に示しているように、下側副次層13'は、その外面上にて、すなわち、基材11の反対側を向く面上にて、下側構造化組織112'の形を複製する。
【0042】
また、外側部品10は、好ましくは、
図1~3において、そして場合によっては他の実施例において
図1~4や
図1~5において、いくつかのステップを時系列的に示した製造方法によって作られる。
【0043】
具体的には、この製造方法は、基材11の下面111を研磨するステップと、
図1に示しているように、その後における、基材11の上面110の面の全部又は一部上にてベース層12を堆積させるステップとを含む。
【0044】
このような堆積は、物理的蒸着法、化学的蒸着法、又は他の任意の適切な方法によって行うことができる。
【0045】
好ましくは、上面110は、ベース層12の堆積の前に、予備研磨ステップにおいて予備的に研磨される。
【0046】
次に、本方法は、
図2に示しているように、ベース層12を局所的に除去するステップを含み、これによって、基材11の上面110に達する一又は複数のポケット14を形成し、同時に、構造化組織112を形成するために前記ポケット14又は各ポケット14において前記上面110を構造化する。
【0047】
特に、局所的除去ステップの完了の際に、その除去によって影響を受けないベース層12の部分は、基材11の上面110の第1の部分1101上に載置されており、ポケット14は、上面110の第2の部分1102に達し、上面110の第2の部分1102は、構造化される。このように、前記構造化組織112又は各構造化組織112は、それが形成されたポケット14、したがって、ベース層12と、完全に形が合致する。
【0048】
ベース層12の局所的除去、及びそれに起因する上面110の第2の部分1102の構造化組織112の構造化は、好ましくは、レーザー加工によって行われる。代わりに、局所的除去ステップは、ダイヤモンドビットを用いたロボット化エッチング、機械加工、化学的加工などによって行うこともできる。
【0049】
次に、
図3に示しているように、外側部品10を得るために、ベース層12上にて、そして、ポケット14内にて、すなわち、基材11の上面110の第2の部分1102にて、副次層13を堆積させるステップを行う。したがって、異なる面状態を有する上面110の第1及び第2の部分1101及び1102と、ベース層12と副次層13とのアライメント公差の適合が確実になる。
【0050】
なお、本発明の特徴のおかげで、ベース層12と副次層13の色の差の可能性に加えて、これらのベース層12と副次層13がそれぞれ堆積される上面110の異なる部分の異なる面状態どうしが対照的であるという点で、外側部品10の装飾の視覚的外観が格別に魅力的になる。
【0051】
また、副次層13の堆積は、物理的蒸着法、化学的蒸着法、又は任意の他の適切な方法によって行うことができる。
【0052】
最後に、本方法は、
図4に示しているように、ベース層12の一部及び副次層13の一部をその厚み全体にわたって除去して、基材11が影響を受けることなく所定の形状に従って前記ベース層12と副次層13を成形するエッチングステップを含むことができる。
【0053】
このエッチングステップのおかげで、基材11の上面110の第3の部分1103に達する少なくとも1つの貫通開口15を形成することができる。
【0054】
このようなエッチングステップは、フォトリソグラフィー、レーザー加工などによって行うことができる。
【0055】
この最終ステップの代わりに、
図5に示している実施形態に係る外側部品を作るために、本方法は、順次的に、下面111の面の全部又は一部上にて下側ベース層12'を堆積させるステップと、そして、ベース層12の局所的除去ステップと同様に、下側ベース層12'を局所的に除去するステップとを含むことができる。特に、下側ベース層12'の局所的除去ステップの間に、基材11の下面111の第2の部分1112上にて構造化して下側構造化組織112'を形成し、下側ベース層12'の残りは、前記下面111の第1の部分1111上に載置されている。次に、下側ベース層12'と下側構造化組織112'上にて下側副次層13'を堆積させるステップを行う。
【0056】
その後で、
図5に示しているように、基材11の下面111の第3の部分1111に達する一又は複数の下側貫通開口15'を形成するように意図されているエッチングステップを行う。好ましいことに、この下側貫通開口15'は、下面111の前記第3の部分1111が、少なくとも、上面110の第1及び第2の部分1101及び1102の反対側に、延在するように、形成される。
【0057】
この
図5に示している実施形態は、外側部品10がツールビヨン携行型時計やスケルトン携行型時計などに搭載されている場合に、外側部品10が全方向にて視認可能であるような用途に特に有利である。
【0058】
これらのステップの後に、可能性としては最終ステップである、基材11の上面110と下面111の一方又は双方上にて反射防止被覆を堆積させるステップを行うことができる。
【0059】
一般的には、上述した実装及び実施形態は、例として説明したものであり、他の変異形態が可能である。
【0060】
特に、本製造方法は、副次層13を堆積させるステップと同様の形態で、副次層13上にて前記ポケット内に堆積させることがある第3の層を堆積させることを含むことができる。
【0061】
一般的には、本方法は、いくつかの局所的除去ステップを含み、その各ステップの後に、所望の装飾に応じて追加の層を堆積させるステップを行うことが考えられる。
【0062】
なお、下面111が内部環境の方を向くように意図することができ、上面110が、外部環境の方、すなわち、ユーザーの方、を向くように意図することができる。
【0063】
好ましくは、本発明に係る外側部品10は、携行型時計の表盤、風防、ベゼル又はフランジを形成する。なお、これらに限定されない。
【0064】
別の好ましい変異形態において、外側部品10は、電話ケースの装飾性要素を形成する。装飾性要素は、電話ケースの可視面の全部又は一部上にて延在することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 外側部品
11 基材
12 ベース層
12’ 下側ベース層
13 副次層
13’ 下側副次層
14 ポケット
15 貫通開口
15’ 下側貫通開口
110 上面
111 下面
112 構造化組織
112’ 下側構造化組織
【外国語明細書】