(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114987
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】基準マーカを有するバッテリ電極の改善されたトレーサビリティ
(51)【国際特許分類】
B65H 26/02 20060101AFI20230810BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20230810BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20230810BHJP
【FI】
B65H26/02
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010596
(22)【出願日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】17/666,505
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】スディール、タロレ
【テーマコード(参考)】
3F105
5H050
【Fターム(参考)】
3F105AA08
3F105AB00
3F105CC01
3F105DA25
3F105DA55
3F105DA57
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA07
5H050CB08
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極の生産中に行われたオンライン測定を、組み立てられた電気化学セル及びバッテリまで購入者が追跡できる方法を提供する。
【解決手段】基準マーカ(参照マーク及び関連する追跡コード)は、シート材料に付与され、機械方向に沿った参照点として機能する。シートが前進するにつれて、追跡コードが記録されて追跡コードのデータベースを作成し、シート材料の物理的特性が測定されるにつれて、測定プロファイルが記録され、測定プロファイルの異なる部分が1つ以上の付随する追跡コードと関連付けられるように、物理的特性の測定がデータベースからの追跡コードと同期される。顧客は、生産中に行われた測定を電気化学バッテリなどの完成品に整合させることができ、その結果、生産の後の段階で発見された欠陥を大元の測定まで追跡して、改善された品質保証を達成することができる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向(MD)に動く材料シートと、
前記MDに沿って前記材料シート上に一連のマーカ及び関連する追跡コードを付与するマーキング手段と、
前記材料シート上に付与される一連の追跡コードを記録するように構成されたコンピュータと、
前記材料シート上のマーカ及び関連する追跡コードを読み取る読み取り手段と、
前記材料シートの特徴プロファイルを生成するために、前記MDに沿って異なる場所で前記材料シートの特徴を感知するセンサ手段と、
前記特徴プロファイルを前記材料シート上の連続追跡コードと相関させる相関手段と、を備える、シート生産システム。
【請求項2】
機械方向(MD)に動く金属基材シートと、
前記動く金属基材シート上に電極材料のコーティングを塗布して、1つ以上のコーティング領域及び1つ以上の非コーティング領域を有するコーティングされた動く金属基材シートを形成するように構成されたコータと、
非コーティング領域、コーティング領域、又は非コーティング領域及びコーティング領域の両方に一連のマーカ及び関連する追跡コードを付与するマーキング手段であって、前記マーカ及び関連する追跡コードは前記MDに沿って整列され、前記マーキング手段は前記コータの下流又は上流のいずれかに配置され、上流に位置する場合、前記マーキング手段は前記一連のマーカ及び関連する追跡コードを前記金属基材上に付与するように構成されるが、下流に位置する場合、前記マーキング手段は前記一連のマーカ及び関連する追跡コードを前記非コーティング領域の前記金属基材上、前記コーティング領域上、又は前記非コーティング領域の前記金属基材上及び前記コーティング領域上の両方に付与するように構成される、マーキング手段と、
付与される一連の追跡コードを記録するように構成されたコンピュータと、を備える、金属シートを電極材料でコーティングするための、シート生産システム。
【請求項3】
機械方向(MD)に動く材料シートと、
前記MDに沿って前記材料シート上に一連のMD位置マーク及び対応する位置コードを付与するマーキング手段と、
前記材料シート上の位置コードのための読み取り手段と、
前記材料シートの特徴プロファイルを生成するために、前記MDに沿って異なる場所で前記材料シートの特徴を感知するセンサ手段と、
前記特徴プロファイルを前記材料シート上の前記と相関させる相関手段と、を備える、シート生産システム。
【請求項4】
電極を調製する方法であって、
(i)機械方向(MD)に動く金属基材シートを提供することと、
(ii)前記金属基材シート上に電極材料の1つ以上のコーティングを塗布して、1つ以上のコーティング領域及び1つ以上の非コーティング領域を有する動く金属基材シートを形成することと、
(iii)前記金属基材シート上に一連の参照マーカ及び関連する追跡コードを付与することであって、工程(ii)は工程(iii)の前又は後に行われて、1つ以上のコーティング領域及び1つ以上の非コーティング領域を有する動く金属基材シートを形成し、(a)工程(ii)が工程(iii)の前に行われる場合、前記一連の参照マーカ及び関連する追跡コードは1つ以上の非コーティング領域上に付与されるが、(b)工程(iii)が工程(ii)の後に行われる場合、前記一連の参照マーカ及び関連する追跡コードは1つ以上の非コーティング領域上及び/又は1つ以上のコーティング領域上に付与される、付与することと、
(iv)追跡コードのデータベースを作成するために付与された追跡コードを記録することと、
(v)前記MDに沿って前記コーティング領域のうちの1つ以上の物理的特性を測定して、記録される測定プロファイルを生成することであって、前記測定プロファイルの異なる部分が1つ以上の付随する追跡コードと関連付けられるように、前記物理的特性の測定が前記データベースからの前記追跡コードと同期される、測定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、シート材料を製作するための品質制御技術に関し、より詳細には、電気化学セル電極などのコーティングされたシート製品の生産中に行われた測定を、アノード及びカソードを組み込んでいる電気化学バッテリなどの完成品に正確に整合させて、生産の後の段階で発見された欠陥を、測定された特性の大元まで追跡することを可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オンライン測定は、製造中にシート材料の特性を検出して、シート作製プロセスの促進制御を可能にし、ひいては、生産される規格外のシート材料の量を低減しながらシート品質を保証するために使用される。シート作製中のオンライン測定を行う際の主な問題のうちの1つは、シート材料の物理的特性が、通常、機械方向及び横方向において変化することである。(「機械方向」とは、製造中のシート材料の移動方向を指し、「横方向」という用語は、機械方向に垂直なシートの表面を横切る方向を指す。)
【0003】
シート材料のばらつきを検出するために、各走査に沿った坪量又はキャリパなどの選択されたシート特性の値を検出しながら、横方向にシート作製機械を横切って周期的に前後に横断する走査センサが用いられる。通常、生産されているシートは、各走査中に縁から縁まで横断する。典型的な走査に必要な時間は、概して、数メートルにもなり得る横方向の長さに応じて、約数秒~数十秒である。測定読み取り値がそのようなスキャナによって提供される速度は、通常調整可能であり、典型的な速度は、ミリ秒ごとに約1回の測定読み取り値である。
【0004】
実際には、走査センサによって提供された測定情報は、通常、各走査の後に組み立てられて、横方向で検出されたシート特性の「プロファイル」を提供する。言い換えれば、各プロファイルは、横方向の隣接する場所での一連のシート測定値で構成される。プロファイルの目的は、シート特性の横方向のばらつきを容易に検出することを可能にすることである。検出されたシート特性における検出された横方向のばらつきに基づいて、横方向及び機械方向の両方のプロファイルのばらつきを低減することを目的として、適切な制御調整をシート作製機械に行うことができる。
【0005】
一定の速度でシートを周期的に横断する走査センサは、シートの長手方向縁部に正確に垂直に整列される場所で選択されたシート特性を測定することができない。シート速度のために、走査センサは、実際にシート表面を横切って斜めに移動し、結果として、連続する走査経路は、シートの長手方向縁部に垂直な方向に対してジグザグパターンを有する。実際には、各走査にわたるプロファイル測定の平均を計算することが典型的である。
【0006】
アノード電極又はカソード電極の製作において、金属ロールからの金属箔は、活性材料の混合物で連続的にコーティングされる。電極の連続的なロールツーロール生産の品質を達成及び維持するために、バッテリ性能に強く関連する品質係数の一定のオンライン測定がある。切断機械は、完成したコーティングされた金属箔を、セル及びバッテリに組み立てられる電極シートに切断する。現在の製造技術では、バッテリが組み立てられると、特定のバッテリに組み込まれる電極に関連する特定のデータを識別し、アクセスする容易に利用可能な手段がない。当技術分野では、電極の生産中に行われたオンライン測定を、組み立てられた電気化学セル及びバッテリまでずっと購入者が追跡できるように、製品トレーサビリティの改善が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、電極、紙、プラスチック、及び布などのシート材料を製造する際の使用参照マーク又はマーキング及び関連する追跡コード(集合的に「基準マーカ」と称される)に部分的に基づく。基準マーカは、動く材料シートの機械方向(machine direction、MD)に沿った参照点として機能する。一態様では、本発明は、
機械方向(MD)に動く材料シートと、
MDに沿って材料シート上に一連のマーカ及び関連する追跡コードを付与するマーキング手段と、
材料シート上に付与される一連の追跡コードを記録するように構成されたコンピュータと、
材料シート上のマーカ及び関連する追跡コードを読み取る読み取り手段と、
材料シートの特徴プロファイルを生成するために、MDに沿って異なる場所で材料シートの特徴を感知するセンサ手段と、
特徴プロファイルを材料シート上の連続追跡コードと相関させる相関手段と、を備えるシート生産システムに関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、材料シートを監視する方法であって、
(i)機械方向(MD)に動く金属基材シートを提供することと、
(ii)金属基材シート上に電極材料の1つ以上のコーティングを塗布して、1つ以上のコーティング領域及び1つ以上の非コーティング領域を有する動く金属基材シートを形成することと、
(iii)金属基材シート上に一連の参照マーカ及び関連する追跡コードを付与することであって、工程(ii)は工程(iii)の前又は後に行われて、1つ以上のコーティング領域及び1つ以上の非コーティング領域を有する動く金属基材シートを形成し、(a)工程(ii)が工程(iii)の前に行われる場合、一連の参照マーカ及び関連する追跡コードは1つ以上の非コーティング領域上に付与されるが、(b)工程(iii)が工程(ii)の後に行われる場合、一連の参照マーカ及び関連する追跡コードは1つ以上の非コーティング領域上及び/又は1つ以上のコーティング領域上に付与される、付与することと、
(iv)追跡コードのデータベースを作成するために付与された追跡コードを記録することと、
(v)MDに沿ってコーティング領域のうちの1つ以上の物理的特性を測定して、記録される測定プロファイルを生成することであって、測定プロファイルの異なる部分が1つ以上の付随する追跡コードと関連付けられるように、物理的特性の測定がデータベースからの追跡コードと同期される、測定することと、を含む、方法に関する。
【0009】
本発明は、顧客が、生産中に行われた測定を完成品に正確に整合させることを可能にし、その結果、生産の後の段階で発見された欠陥を大元の測定まで追跡して、改善された品質保証を達成することができる。本発明は、特に不連続バッチプロセスにおいて、異なるスキャナによって行われた測定間のより良好な位置合わせを可能にする。
【0010】
本発明は、追加の下流の従動スキャナが第1の(上流)スキャナの正確な測定経路を追跡するようにセットアップされる、正確な同一スポット走査を可能にする。例えば、第1及び第2のスキャナは、それぞれ、コーティングプロセスの前及び後に配置されて、総厚さから箔のコーティングされていない厚さを減算することによってコーティング厚さを測定し得る。
【0011】
本発明はまた、製品ロールが第1のスキャナから離れて位置した従動スキャナに移送されるときなど、製造の異なる段階で複数の測定が実行されるバッチタイプの非連続操作において、正確な同一スポット走査を可能にする。例えば、製品材料は、第1のスキャナの後に巻き上げられ、後で又は保管後に従動スキャナに供給され得る。
【0012】
更なる態様では、本発明は、
機械方向(MD)に動く材料シートと、
MDに沿って材料シート上に一連のMD位置マーク及び対応する位置コード又は番号を付与するマーキング手段と、
材料シート上の位置コードのための読み取り手段と、
材料シートの特徴プロファイルを生成するために、MDに沿った異なる場所で材料シートの特徴を感知するためのセンサ手段と、
特徴プロファイルを材料シート上の一連の位置コードと相関させる相関手段と、を含むシート生産システムに関する。
【0013】
更に別の態様では、本発明は、
(i)機械方向(MD)に動く材料シートを前進させることと、
(ii)MDに沿って材料シート上に一連のMD位置マーク及び対応する位置コード又は番号を付与することと、
(iii)位置コードのデータベースを作成するために付与された位置コードを記録することと、
(iv)MDに沿って材料シートの物理的特性を測定して、記録される測定プロファイルを生成することであって、物理的特性の測定は、測定プロファイルの異なる部分が1つ以上の付随する位置コードと関連付けられるように、データベースからの位置コードと同期される、測定することと、を含む、材料シートを監視する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】アノード材料又はカソード材料で金属基材を連続的にコーティングするためのロールツーロールシート生産システムを示す。
【
図2A】金属基材上への連続ストリップコーティングを示す平面図である。
【
図2B】金属基材上へのパッチコーティングを示す平面図である。
【
図3A】連続的に動くシート上に基準マークを付与するためのシステムを示す平面図である。
【
図3B】連続的に動くシート上に基準マークを付与するためのシステムを示す平面図である。
【
図4】連続的に動くシート上の基準マークを読み取り、マークを使用して測定を調整することによって測定のトレーサビリティを確立するために、基準マーカを用いる電極製作を示す平面図である。
【
図5】坪量及び温度センサを備えるデュアル走査ヘッドを示す。
【
図6】デュアル走査ヘッドを有するオンライン走査システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、リチウムイオン電気化学セル及びバッテリ用の電極を製作する際に使用される金属ウェブ又はシートをコーティングするためのプロセスを示す。アノードを作製するために、電極コーティングは、黒鉛などのアノード活性材料を含み、カソードを作製するために、電極コーティングは、リチウム金属酸化物などのカソード活性材料を含む。電極は電流コレクタ金属箔を含み、電流コレクタ金属箔の片面又は両面が、カーボンブラック、バインダー、及び溶媒も含み得る電極スラリーでコーティングされている。電極スラリーを箔の側面上に塗布した後、湿式コーティングされた箔を乾燥機で加熱して溶媒を抽出して、金属箔に付着する電極材料の固体層を残す。銅箔は、好ましいアノード電流コレクタ材料であり、アルミニウム箔は、好ましいカソード電流コレクタ材料である。箔は、典型的には、9~50μmの厚さであり、電極コーティングは、箔の一方又両方の側上で厚さが75~400μmの範囲であり、その結果、両面コーティング電極は、最も典型的には厚さが約250μmである、最大850μmのキャリパを有し得る。
【0016】
図1に示すように、ロール2は、巻き出し機によって巻き出され、当該シートは上(又は第1の)表面がテープ鋳造コーティングデバイスを含み得るコータ4によって電極スラリーの層でコーティングされている、金属ウェブ又はシート30の連続シートを供給する。ロール2からの金属ウェブ30のシートの坪量、厚さ、及び他の特徴は、通常知られている。マーキングデバイス6は、上側のコーティング領域及び/又は非コーティング領域に基準マーカを付与し、マーキングデバイス20は、コーティングされていない下側(又は第2の)表面の領域に基準マーカを付与する。あるいは、マーキングデバイス20は、コーティング領域上に基準マーカを付与するように、コータの後の下流に配置され得る。読み取り機22は基準マーカを読み取り、走査ゲージ8は電極スラリーの坪量、厚さ、又は他の特性を測定する。シート30の両面に基準マーカを付与することは任意である。
【0017】
コータ4は、シート30上に押し出されるスラリーの量を調整するためにドクターブレードを制御するアクチュエータを含む。乾燥機10は、過剰な溶媒を除去し、動くコーティングされたシート32上にあるスラリーを硬化させて、シート上に電極層を形成する。読み取り機56は基準マーカを読み取り、ゲージ12は乾燥機10を出る動くコーティングされたシートの1つ以上の特性を測定する。読み取り機56によって得られたマーカ位置読み取り値は、ゲージ8の測定経路を正確に追跡するように、ゲージ12の走査開始及び走査位置並びに速度を調整するために用いられる。その後、ローリング支持体34、36は、動くシートの向きを反対にして、第2の表面がコーティングされていない上面となるようにし、その後直ちに、コータ14が、動くシート38の上すなわち第2の表面上に電極スラリーの層を塗布する。読み取り機46及び60は、それぞれ第2及び第1の表面上の基準マーカを読み取る。両面コーティングされたシート40の特性は、乾燥機18に入る前にゲージ16で測定される。同様に、読み取り機46及び/又は60によって得られたマーカ位置読み取り値は、ゲージ8の測定経路を正確に追跡するように、ゲージ16の走査開始及び走査位置並びに速度を調整するために用いられる。
【0018】
読み取り機48及び62は、それぞれ、乾燥機18の後に第2及び第1の表面上の基準マーカを読み取り、デバイス24は、第1及び第2の表面上の電極層の特性を測定する。デバイス24は、読み取り機48及び/又は62からのマーカ位置読み取り値を使用して、ゲージ8の測定経路を正確に追跡するように、その走査開始及び走査位置並びに速度を調整する。基準マーカ読み取りは、測定/スキャナに非常に近接して行われる。加えて、基準マーカから測定/スキャナまでの距離は固定され、既知であるので、走査プロファイルを計算して、任意の位置誤差を調整するために使用することができる。最後に、読み取り機50及び54が、それぞれ、電極層を圧縮及び平滑化するカレンダ52の上流及び下流に配置される。読み取り機50及び54は、カレンダ52の前後で基準マーカ間の距離を測定して、シート42が伸張したかどうかを判定する。巻き取り機は、両面コーティングされたシート42をロール44に取り込む。コーティング上の表面欠陥は、カメラベースのウェブ検査システム26、28によって監視される。プロセスは連続的であるように図示されているが、様々な工程及び付随する測定は、別個の不連続バッチ操作において別々に実施され得ることが理解される。例えば、ロール44は、その後、セル及びバッテリに組み立てるのに適した個々の電極を形成するために、切断操作にかけられる。基準マーカは、セットアップ及びねじ切りプロセスにおいて使用される。
【0019】
図2Aは、箔をコーティングするためのストリップコーティング技術を示す。金属基材118がMDに動くとき、連続コーティングプロセスは、2つ以上のレーンの電極活性材料を含むスラリーを電流コレクタ上に塗布する。この場合、非コーティング領域106を間にして隔てられる2つのレーン100、102が形成される。MDに沿った金属基材の縁部又は面104、108は、通常、コーティングされないままである。金属基材の反対側すなわち下側表面も同様にコーティングされる。第1の面のスラリーの2つのレーンは、第2の面の2つのレーンと重なることが好ましい。ブレード112を有する切断機110は、MDに沿って領域106を切断して、各々が単一の連続コーティング層を有する2つのより狭い金属基材シート114、116を形成する。シート114、116をCDに沿って切断して、個々の両面コーティング電極を形成することができる。
【0020】
図2Bは、箔をコーティングするためのパッチコーティング技術を示す。金属基材130がMDに動くにつれて、間欠的なコーティングプロセスが、電極活性材料を含むスラリーのコーティングを電流コレクタ上に塗布して、CDに沿って非コーティングスペース128によって隔てられたスラリーの複数の第1のパッチ120、122を形成する。MDに沿った金属基材の縁部又は面124、126は、通常、コーティングされないままである。両面コーティング電極を作製するために、金属基材の反対面すなわち下側表面も同様に複数の第2のパッチでコーティングされる。第1のパッチ及び第2のパッチは、好ましくは重なり合う。第1のパッチの各々の寸法は、第2のパッチの寸法と異なってよい。個々の両面コーティング電極は、非コーティングスペース128に沿って金属基材を切断することによって形成される。
【0021】
図3Aは、参照マーク又はマーキング及び関連する追跡コードを含む一連の基準マーカを動く材料シート140上に付与するためのシステムを示す。静止マーカデバイス142は、動くシートの一方の縁部に沿って一連の基準マーカ146を付与するためにシート上方に配置され、静止マーカデバイス144は、動くシートの反対側の縁部に沿って別の一連の基準マーカ148を付与するためにシート上方に配置される。各一連の基準マーカは、MDに沿って整列される。シートがMDに沿って切断される場合、一連の基準マーカの各々を別々に用いることができる。参照マーク又はマーキングは、MDに垂直な水平線及びMDに平行な垂直線として構成される。参照マークの好ましい構成は、十字形又はプラス「+」記号である。参照マークの連続する水平要素又は構成要素は、距離Dだけ隔てられる。参照マークの垂直要素又は構成要素は、隣接するシート縁部から特定の既知の距離に形成される。追跡コードは、各関連する参照マークを一意に識別する。シート140はローラ154によって支持及び搬送され、その速度はエンコーダ158によって監視される。マーカデバイスは、金属基材及び/又はコーティング上に十分に永久的なマークを生成する任意の好適なデバイスであり得る。レーザーを用いて金属にマークを付けることができ、インクジェットプリンターを用いて紙、プラスチック、及び布にマークを印刷することができる。
【0022】
操作中、コンピュータ160はモータ156を調整してMD速度を制御する。シートをMDに前進させるモータは、巻き出し機ローラ及び巻き取り機ローラにおいて、又はカレンダでなど、プロセスの他の場所に配置することができることを理解されたい。ラップトップコンピュータなどのプロセッサ及びストレージ(メモリ)を含む従来のコンピュータを使用することができる。マーカ142及び144はそれぞれ、基準マーカを用いてシートの非コーティング領域を周期的にマークし、基準マーカは、エンコーダ158によって生成された時間又はロールエンコーダ測定値まで追跡される。エンコーダからのコードは、例えば、エンコーダカウント、ミリ秒時間、又はそのような量に関連付けられる数若しくはコンピュータ可読コードであり得る。コードはデータベース162に格納される。コードは一意であるので、複製することはできない。本明細書で更に説明するように、光学式文字認識検出器などの読み取り機150、152は、基準マーカを走査する。基準マーカは、非コーティング領域及び/又はコーティング領域を含む動くシート140の任意の部分に付与することができることが理解される。
【0023】
図3Bは、動く材料シート170上に一連の基準マーカを付与するための別のシステムを示す。フレーム174に固定されている走査マーカ172は、シート上を横方向(cross direction、CD)に沿って移動して、動くシートの一方の縁部に沿って一連の基準マーカ176を付与し、動くシートの反対側の縁部に沿って別の一連の基準マーカ178を付与する。各一連の基準マーカは、MDに沿って整列される。シート170は、モータ184によって制御されるローラ188によって支持され、搬送される。
【0024】
コンピュータ190はマーカデバイスに172に命令して、基準マーカを用いてシートの非コーティング領域を周期的にマークさせ、基準マーカは、エンコーダ186によって生成される時間又はロールエンコーダ測定値まで追跡される。エンコーダからのコードは、データベース192に格納することができる。本明細書で更に説明するように、読み取り機180、182は、基準マーカを検出する。
【0025】
図4は、バッテリ電極のトレーサビリティを改善するために、動くシート上の電極層の異なる測定値を追跡する際の基準マーカの使用を示す。電極層200は、モータ204によって操作されるローラ202によって支持されてMDに搬送される動く基材(箔)上にコーティングされる。エンコーダ206はローラ202の速度を監視する。読み取り機208は、動くシートのコーティングされていない面の基準マーカ特徴216を認識する。フレーム210は、コーティングされたシートの坪量及び/又は厚さを測定するゲージを含む走査デバイス212を支持する。走査デバイスは、概して一定の速度で、コーティングされたシート200を周期的に横断する。コーティングされたシート200のスポット又は領域214を測定するゲージが示されている。ゲージは、シートの長手方向縁部に正確に垂直に整列される場所で選択されたシート特性を測定しない。代わりに、シート速度のために、走査デバイスは、コーティングされたシート表面を横切って斜めに移動し、結果として、連続する走査経路は、コーティングされたシート200の長手方向縁部に垂直な方向に対してジグザグパターンを有する。そのようなジグザグパターンの例は、走査デバイス212が前後の連続走査中にシートの表面を横断するときにゲージによって追跡される走査経路218である。真のCDに対する走査経路の角度は、走査デバイスの横方向速度、及び既知のコーティングされたシート200の機械方向速度に依存する。調査スポットのジグザグパターンは、コーティングされたシート200表面の比較的小さい部分をカバーする。
【0026】
コンピュータ220は、走査デバイス212による測定を調整して、パターン218内の調査スポットの場所が、対応する基準マーカと共にデータベース222に記録されるようにする。このようにして、コーティングされたシート200が個々の電極に切断されるとき、各電極上で行われた測定値がわかり、更に、これらの電極を組み込んでいる電気化学セル及びバッテリは、測定値を検索することを可能にするシリアル番号によって識別することができる。
【0027】
本発明の別の特徴は、基準マーカを用いて後続の測定を前の測定に同期させることができることである。例えば、
図4のコーティングされたシート200は、センサ212によって測定された後、乾燥又はカレンダリングなどの更なる処理のために別のラインに移動させることができる。その後、そのように処理されたコーティングされたシート230が形成され、第2の測定にかけられる。シートの移動は、ローラ232及び第2のスキャナデバイス242に固定されたフレーム240上で支持される。コンピュータ220は、スキャナデバイス242による第2の測定を、スキャナデバイス212によって下流で実行される第1の測定と同期させるように、モータ234、エンコーダ236、及びスキャナデバイス242を制御する。読み取り機238は基準マーカ246を検出し、走査デバイス242は、パターン248内の調査スポットがジグザグパターン218内の調査スポットと一致するように、調査スポット244で測定を開始するようにリセットされ得る。
【0028】
スキャナ212がCDに沿った第1のスキャナ位置にあり、特定の基準マーカを検出するときに、コーティングされたシートの縁部が両方のスキャナ上の同じスキャナビンで測定されるように、スキャナ212及び242が十分に整列されている場合、スキャナ242が同じ特定の基準マーカを検出するとき、スキャナ242もCDに沿った同じ第1のスキャナ位置にあるべきである。しかしながら、実際には、スキャナが良好に整列されている場合であっても、動くコーティングされたシートは、CDにおいて左右にふらつく可能性があり、したがって、縁部検出を使用することによってこの動きを考慮するように操作を調整する必要がある。動くシートの縁部は、特定の基準マーカxxx+エンコーダカウント数で検出されるものとして指定することができる。特に、コンピュータは、基準マーカの1つが読み取られたときに信号を受信することになる。しかしながら、これらは、連続する基準マーカ間のシートを監視するために、エンコーダ信号が使用されることができるように、遠く離れていてもよい。特に、エンコーダは、はるかに高いレートでパルスを送信するので、コンピュータは、パルスを使用して基準マーカ間の位置を補間することができる。同じことが、プロセスにおける次のスキャナにも当てはまる。
【0029】
図4を参照すると、基準マーカ246の垂直要素又は構成要素を使用して、コーティングされたシート200及び230のCD位置を示すことができる。垂直要素は、縁部検出器に使用することができる。コーティングされたシートのMD位置を監視するために基準マーカの水平要素を検出する同じマーカ読み取り機208、238もまた、垂直要素を使用してCD位置を示すこともできる。CD位置情報を使用して、スキャナ212、242の位置を調整し、横方向(CD)移動を補償することができる。
【0030】
走査デバイス242による第2の測定が行われると、パターン248内の調査スポットの場所が、対応する基準マーカと共にデータベース222に記録される。したがって、データベースは、本質的に同じ調査スポット上で行われた第1及び第2の測定のライブラリを有する。コーティングされたシートが、個々の電極に切断され、電気化学セル及びバッテリに組み立てられるとき、これらの電極は、第1及び第2の測定セットの両方が追跡されることを可能にするシリアル番号によって識別され得る。
【0031】
図4を参照すると、下流スキャナ242の位置が、そのCD運動がスキャナ212のCD運動と一致するように調整されるように、シート200及び230のMD速度は異なってもよい。ほとんどの場合、スキャナが同じ速度プロファイルを有するように、両方のシートのMD速度は同じである。スキャナはしばしばシート縁部で加速又は減速しているので、スキャナのCD運動は単なる一定速度よりも複雑であることに留意されたい。
【0032】
電極の製作中、動くシートの長さは、1パーセント以上変動し得る。例えば、コーティングされた動くシートをプレスするカレンダリングは、金属基材の伸張を引き起こすことができる。
図4に示すように、基準マーカ246の参照マークの水平線間の距離は、読み取り機238及びエンコーダ236を使用して測定することができる。この測定された距離は、基準マーカ216の参照マークの水平線間の距離と比較される。長さに何らかの変化がある場合、動くシート230のMD速度及び/又はスキャナデバイス242のCD走査速度に対する調整を実行して、ジグザグパターン248内の調査スポットがジグザグパターン218の調査スポットと可能な限り一致するようにすることができる。
【0033】
図3Aを参照すると、本発明を実施する別の技術は、一連のMD位置マーカ及び対応する位置コード又は番号をシート140上に付与することである。この場合、基準マーカ146、148は、MDに沿った位置マーカとして一連の水平線からなり得、位置コード又は番号は、エンコーダ読み取り値とすることができる。基準マーカは、x距離(例えば、10又は20cm)ごとに付与される。例えば、シート140上のマーカ146によって生成される第1の基準マーカはMD位置マーカ001であり、次の基準マーカはマーカ番号002であり、以下同様である。エンコーダは、第1の基準マーカに対する距離読み取り値を提供することができるパルスを生成する。すなわち、距離は増加し続け、全ての測定された品質データを有するコンピュータは、コードを読み取るように構成される。シートの中央に切れ目がある場合、水平線及び対応するコードを用いて測定を再整列することができる。
【0034】
コーティングされた金属基材の厚さ及び他の特性を測定するためのセンサは、Hughesらの米国特許第11,143,495号並びにTixier及びHughesの米国特許出願公開第2021/0262776号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。紙及びプラスチックなどの自立シートを測定するためのセンサが、Hughesらの米国特許出願公開第2018/0172432号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
図5は、移動する材料シートの特性を測定するための走査デバイスであり、それぞれ、放射線源74及び放射線検出器76を包囲又は収容する走査ヘッド70、72を含む。放射線源74は、MDに動いているコーティングされたシート90上の領域88に向けられるベータ線などの放射線80を放出する。コーティングされたシートを透過する放射線82の強度は、放射線検出器76によって感知される。検出器は、材料の坪量の直接指標を与える、コーティングされたシートによって吸収された放射線の量を感知する。本例では、放射線源74は、坪量又は厚さの測定のためにベータ放射線を放出する。スキャナヘッド70はまた、スポット86からの放射線84を検出してシート温度プロファイルを生成する赤外線センサ78を収容する。スポット86及び88は、説明のためにオフセットされて示されているが、スポットは、IR温度センサ74を放射線源74の上方に配置することによって一致させることができる。別の技術は、参照により本明細書に組み込まれるDuck及びHughesの米国特許第7,528,400号に記載されているような、調査スポットを移動させるための光学的平行移動である。
【0036】
図6に示すように、デュアルスキャナヘッド70、72の動作面は、MDに動くコーティングされたシート90を収容する測定ギャップを画定する。モータ92及び94は、それぞれヘッド70及び72の動きを制御する。二デュアルスキャナヘッドの交差方向の移動は、速度及び方向に対して同期されて、その結果、それらは、互いに整列される。
【0037】
走査センサを使用する代わりに、横方向にシートを横切って配置された単一の固定点センサ又は固定点センサのアレイを用いることができる。個々のセンサが整列されるように連続したアレイを配置することによって、調査スポットは、全ての測定について同じになる。この構成では、センサの各アレイは、動くコーティングされたシートの長さに対するプロファイル対追跡コードのセットを形成する測定値を生成する。コーティングされた電極材料を有するシートが個々の電極に切断されるとき、各電極についての測定プロファイルの様々なセットが知られており、データベースからのライブラリから検索可能である。
【0038】
図7に示す電気化学バッテリは、カソード電流コレクタ282に接続されたカソードシート260及び262と、アノード電流コレクタ284に接続されたアノードシート266及び268と、カソード電流コレクタ286に接続されたカソードシート272及び274と、アノード電流コレクタ288に接続されたアノードシート278及び280とを有する複数の単位セルである。好ましくはポリマーセパレータ膜である固体電解質264、270、及び274は、アノードとカソードとの間に配置される。アノード層及びカソード層に関連する測定プロファイルは、一意のシリアル番号によって識別されるバッテリに割り当てられ、アクセスのために記録される。
【0039】
本発明は、コーティングされた金属シートの特性を測定する際に例示されてきたが、本発明は、限定ではないが、紙、プラスチック、布などを含む、概して監視される動くシートであり得ることが理解される。紙は、ウェットエンドに位置した循環メッシュワイヤ上の繊維(ストック)の水性懸濁液から紙のウェブが形成され、ワイヤを通して重力及び真空吸引によって水が排出される連続プロセスで製造される。次に、ウェブは、プレス、乾燥及びカレンダリングのためにドライエンドに移送される。紙のシートは基材上に形成されないので、基準マーカは、好ましくは、紙が必要な堅さに達したときにドライエンドで紙自体に付与され、したがって、基準マーカは、紙上に十分に永久的に残る。製紙については、Backstrom及びForbesの米国特許第9,309,625号、並びにHughes及びTixierの米国特許第8,021,517号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
上記は、本発明の原理、好ましい実施形態、及び動作モードを説明してきた。しかしながら、本発明は、考察される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、上述の実施形態は、限定的ではなく例示的なものとして見なされるべきであり、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態において変形が行われ得ることを理解されたい。
【外国語明細書】