(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114991
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】車両用液圧装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20230810BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
F15B11/00 M
F15B11/00 N
E02F9/22 K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012808
(22)【出願日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】22155493
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520196553
【氏名又は名称】ダンフォス・スコットランド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DANFOSS SCOTLAND LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニール・ダムノブ
(72)【発明者】
【氏名】ニール・カルドウェル
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA04
3H089AA80
3H089BB19
3H089CC01
3H089CC11
3H089DA03
3H089DA04
3H089DA13
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つ以上の液圧アクチュエータを液圧機械及び液圧アキュムレータの両方を使用して、効率的に駆動する。
【解決手段】原動機102と、液圧流体マニホールド109と、液圧機械104と、液圧アキュムレータ142、144と、1つ以上の液圧アクチュエータ112と、弁装置126、128、138と、コントローラと、を備える、車両を提供する。コントローラは、アクチュエータ要求信号に従って、液圧機械及び弁装置を制御して、液圧アキュムレータを1つ以上の液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバ114と連通させ、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに同期するために、1つ以上の液圧アクチュエータの第2のアクチュエータチャンバ116における圧力を変化させ、1つ以上のアクチュエータを運動させるように構成されている。第2のアクチュエータチャンバは、液圧機械と流体連通している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧作業機能を有する車両であって、前記車両が、
原動機と、
液圧流体マニホールドと、
前記液圧流体マニホールドと流体連通する液圧機械であって、前記原動機と駆動係合している回転可能なシャフトを有し、作動時に、前記液圧機械が、前記回転可能なシャフトの運動によって、液圧流体を前記液圧流体マニホールドと交換するように構成されている、液圧機械と、
前記液圧流体マニホールドと流体連通し、前記液圧流体マニホールドと液圧流体を交換するための、液圧アキュムレータと、
1つ以上の液圧アクチュエータであって、前記1つ以上の液圧アクチュエータが一緒に、前記液圧流体マニホールドと流体連通する少なくとも2つのアクチュエータチャンバを有し、前記1つ以上の液圧アクチュエータが前記液圧作業機能で使用される、1つ以上の液圧アクチュエータと、
前記液圧流体マニホールドを介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの少なくとも1つと前記液圧アキュムレータとの間の、及び前記液圧流体マニホールドを介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの少なくとも1つと前記液圧機械との間の、流体連通を選択的に制御するように構成された、弁装置と、
コントローラであって、
前記1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を示すアクチュエータ要求信号を受信し、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記液圧機械及び前記弁装置を制御して、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように構成された、コントローラと、を備え、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記1つ以上の液圧アクチュエータを前記運動させるために、前記液圧機械及び前記弁装置を制御して、前記液圧アキュムレータを、前記液圧流体マニホールドの第1の部分及び前記弁装置を介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、前記液圧アキュムレータを前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させるために、前記第2のアクチュエータチャンバを、前記液圧流体マニホールドの第2の部分及び前記弁装置を介して、前記液圧機械に流体連通させ、
前記液圧機械が、複数のポンプ群を備え、前記複数のポンプ群の各々が、前記液圧流体マニホールドと流体連通している複数の作業チャンバを備え、各作業チャンバが、回転可能なシャフトに機械的に結合された可動作業面によって部分的に画定され、前記コントローラが、前記ポンプ群のうちの少なくとも1つを、前記ポンプ群うちの少なくとも1つの他の群とは異なるように制御するように構成される、車両。
【請求項2】
液圧作業機能を有する車両用コントローラであって、前記コントローラが、
前記液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を示すアクチュエータ要求信号を受信し、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記車両の液圧機械及び弁装置を制御して、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように、構成され、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記1つ以上の液圧アクチュエータを前記運動させるために、前記液圧機械及び前記弁装置を制御して、前記車両の液圧アキュムレータを、前記車両の液圧流体マニホールドの第1の部分及び前記弁装置を介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、前記液圧アキュムレータを前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させるために、前記第2のアクチュエータチャンバを、前記液圧流体マニホールドの第2の部分及び前記弁装置を介して、前記液圧機械に流体連通させ、
前記液圧機械が、複数のポンプ群を備え、前記複数のポンプ群の各々が、前記液圧流体マニホールドと流体連通している複数の作業チャンバを備え、各作業チャンバが、回転可能なシャフトに機械的に結合された可動作業面によって部分的に画定され、前記コントローラが、前記ポンプ群のうちの少なくとも1つを、前記ポンプ群うちの少なくとも1つの他の群とは異なるように制御するように構成される、コントローラ。
【請求項3】
前記弁装置が、
前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの、それぞれの1つのアクチュエータチャンバのみに各々が関連付けられた、1つ以上のアクチュエータチャンバ弁と、
前記1つ以上のアクチュエータチャンバ弁と前記液圧機械との間の、前記液圧マニホールド内の流体連通経路における、マニホールド弁群と、を備える、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記コントローラが、前記弁装置を制御して、前記ポンプ群のうちの少なくとも1つを、第1の構成では前記液圧流体マニホールドの前記第1の部分と流体連通させ、第2の構成では前記液圧流体マニホールドの前記第2の部分と流体連通させる、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記車両が、複数の液圧作業機能を実行するのに適しており、任意選択的に、前記液圧作業機能のうちの少なくとも1つが、常に前記液圧機械と流体連通するように構成された少なくとも1つのアクチュエータチャンバを有する更なる液圧アクチュエータを使用して実行される、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記液圧機械が、前記液圧アクチュエータ又は前記1つ以上の液圧アクチュエータのうちの所与の液圧アクチュエータと常に流体連通するように構成され、任意選択的に、前記液圧機械が、前記所与の液圧アクチュエータの所与のアクチュエータチャンバに常に流体連通するように構成されている、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記アクチュエータ要求信号が、前記液圧作業機能に関連する流量要求又は速度要求を示す、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記コントローラが、前記1つ以上の液圧アクチュエータの測定パラメータと前記1つ以上の前記パラメータの要求値との間の誤差に応じて、前記液圧機械及び前記弁装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記コントローラが、前記1つ以上の液圧アクチュエータを所与の速度で動かす要求に応じて、前記1つ以上の液圧アクチュエータの要求される力パラメータを決定し、前記要求される力パラメータに応じて、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように、前記液圧機械及び前記弁装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記1つ以上の液圧アクチュエータを動かす前記要求が、ユーザ入力から決定される、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記液圧作業機能が、ブーム及びバケットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記1つ以上の液圧アクチュエータは、前記第1のアクチュエータチャンバの容積の拡大が前記第2のアクチュエータチャンバの容積の減少に対応するように配置されている、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記液圧機械が、可変変位液圧機械である、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記液圧機械が、ポンプモータであり、任意選択的に、電子整流式ポンプモータである、請求項1に記載の車両、又は請求項2に記載のコントローラ。
【請求項15】
液圧作業機能を有する車両を制御するための方法であって、前記方法が、
前記液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を受信することと、
前記要求に応じて、液圧機械及び弁装置を制御して、前記車両の液圧アキュムレータを、前記車両の液圧流体マニホールド及び前記弁装置を介して、前記1つ以上の液圧アクチュエータのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、前記液圧アキュムレータを前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに同期して、前記液圧流体マニホールド及び前記弁装置を介して前記液圧機械と流体連通している、前記1つ以上の液圧アクチュエータのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力を変化させ、それによって、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させることと、
前記液圧機械が、複数のポンプ群を備え、前記複数のポンプ群の各々が、前記液圧流体マニホールドと流体連通している複数の作業チャンバを備え、各作業チャンバが、回転可能なシャフトに機械的に結合された可動作業面によって部分的に画定されることと、を含む、方法であり、
前記方法が、前記ポンプ群のうちの少なくとも1つを、前記ポンプ群うちの少なくとも1つの他の群とは異なるように制御することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧作業機能を有する車両、車両用コントローラ、及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機能を有する車両は、液圧システムを使用して駆動される作業機能のうちの少なくともいくつかを有することができる。
【0003】
液圧流体は、液圧ポンプを1つ以上の弁と組み合わせて使用して、1つ以上の液圧アクチュエータから出たり入ったりする。
【0004】
一例では、液圧流体は、作業機能を駆動するために、液圧ポンプを使用して液圧アクチュエータのアクチュエータチャンバの中にポンプ送出される。液圧流体を液圧アクチュエータのアクチュエータチャンバの外に移動させる場合、これは加圧された液圧流体をスロットル弁から大気圧でタンクなどの低圧システムの中に放出することによって達成され得る。これは、スロットリングと称され得る。
【0005】
異なる動作圧力を有する複数の液圧アクチュエータがある場合、液圧ポンプは通常、いずれかの動作圧力の最大値で液圧流体を供給するように動作し、必要な圧力降下はスロットリングによって達成される。
【0006】
液圧流体の出力圧が制御され得る、可変ポンプから液圧流体を供給することも知られている。
【0007】
いくつかの例では、液圧アキュムレータを備えて、液圧アクチュエータからの加圧された液圧流体を貯蔵し、後で再利用して、エネルギー回収機能を提供することができる。
【0008】
本発明が、考案されているのはこの文脈においてである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様によれば、液圧作業機能を有する車両が提供される。車両は、原動機と、液圧流体マニホールドと、液圧流体マニホールドと流体連通する液圧機械と、を備える。液圧機械は、原動機と駆動係合している回転可能なシャフトを有し、作動時に、液圧機械が、回転可能なシャフトの運動によって、液圧流体を液圧流体マニホールドと交換するように構成されている。車両は、液圧流体マニホールドと流体連通し、液圧流体マニホールドと液圧流体を交換するための液圧アキュムレータを更に備え、1つ以上の液圧アクチュエータが、1つ以上の液圧アクチュエータが一緒になって、液圧流体マニホールドと流体連通する少なくとも2つのアクチュエータチャンバを有する。1つ以上の液圧アクチュエータは、液圧作業機能で使用されるように構成されている。車両は、液圧流体マニホールドを介して、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの少なくとも1つと液圧アキュムレータとの間の流体連通を選択的に制御するように構成された弁装置を更に備える。弁装置は更に、液圧流体マニホールドを介して、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの少なくとも1つと液圧機械との間の流体連通を選択的に制御するように構成されている。車両は更に、1つ以上の液圧アクチュエータを運動させる要求を示すアクチュエータ要求信号を受信し、アクチュエータ要求信号に従って、液圧機械及び弁装置を制御して、1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように構成されたコントローラを備える。アクチュエータ要求信号に従って、1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるために、液圧機械及び弁装置を制御して、液圧アキュムレータを、液圧流体マニホールドの第1の部分及び弁装置を介して、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させる。第2のアクチュエータチャンバは、液圧流体マニホールドの第2の部分及び弁装置を介して液圧機械と流体連通している。
【0010】
したがって、1つ以上の液圧アクチュエータを有する液圧作業機能が、液圧機械によって提供される正確な制御の利点と、液圧アキュムレータによって提供される高負荷の利点とを用いて作動し、それによって、1つ以上の液圧アクチュエータの少なくとも2つのアクチュエータチャンバとの液圧流体交換を提供するそれぞれの方法の各々の欠点を克服するが、これは、液圧機械及び液圧アキュムレータの1つのみが1つ以上の液圧アクチュエータのアクチュエータチャンバに接続されている場合にのみ適用される。液圧機械は流体の流量と圧力との正確な制御を可能とするが、提供できる最大圧力は液圧機械の利用可能な容量によって制限される。同様に、液圧アキュムレータを使用すると、アクチュエータによって適用される力を迅速に制御するのが可能であるが、システムのエネルギー効率を大幅に低下させる可能性のあるスロットリング弁を使用しないと、適用する力を細かく制御することはできない。1つ以上の液圧アクチュエータに少なくとも2つのアクチュエータチャンバを提供することによって、液圧機械及び液圧アキュムレータの両方を使用して、液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータの運動要求を満たすことができる。
【0011】
本発明は、液圧作業機能を有する車両用のコントローラに及ぶ。コントローラは典型的に、車両に関して前述したように構成されている。詳細には、コントローラは、液圧作業機能に使用される1つ以上の液圧アクチュエータを移動させる要求を示すアクチュエータ要求信号を受信し、アクチュエータ要求信号に従って、車両の液圧機械及び弁装置を制御して、1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように構成されている。アクチュエータ要求信号に従って、1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるために、液圧機械及び弁装置を制御して、車両の液圧アキュムレータを、車両の液圧流体マニホールドの第1の部分及び弁装置を介して、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させるために、液圧流体マニホールドの第2の部分及び弁装置を介して、第2のアクチュエータチャンバを液圧機械と流体連通させる。
【0012】
したがって、例では、コントローラだけで、本明細書に記載の発明概念の少なくとも1つを提供することができる。
【0013】
コントローラは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、車両に、本明細書に記載されたコントローラの機能を実行させる、命令を格納するように構成されたメモリと、を備え得る。メモリは、非一時的コンピュータ可読メモリであり得る。メモリは、そこに格納された命令を有し得る。本発明は、本明細書で説明されるように車両を制御するために、そこに格納された命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ)にまで及ぶ。メモリは、ソリッドステートメモリであり得る。コントローラは、単一のデバイス内に提供され得る。他の例では、コントローラは、分散され得、複数のプロセッサを有する。第1のプロセッサは、分散様式で第2のプロセッサから分離され得る。
【0014】
別の態様から概観すると、コントローラが構成されているように動作するために車両を制御する方法が提供される。
【0015】
車両は、通常、1つ以上の液圧アクチュエータを使用して液圧作業機能を実行するように構成され得る。車両は、例えばホイールローダなどのローダであり得る。
【0016】
液圧アキュムレータは、加圧された液圧流体の形でエネルギーを貯蔵するのに適した、実質的に液圧流体の任意の貯蔵庫であることが理解されるであろう。アキュムレータ内に貯蔵された液圧流体の圧力は、典型的に、大気圧よりも高い。
【0017】
液圧流体マニホールドは、典型的には配管として形成され、特に、車両の他の液圧構成要素間の流体連通経路が提供される導管の任意の集合であり得ることが理解される。
【0018】
液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させるために、弁装置を制御して、第2のアクチュエータチャンバを、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させるのと実質的に同時に(例えば、0.5秒以内などの1秒以内に)、液圧アクチュエータと流体連通させる。したがって、両方の操作はリンクされており、同じではないにしても、ほぼ同じ時間に発生する。
【0019】
液圧機械は、典型的には、それぞれが液圧流体マニホールドと流体連通する、複数の作業チャンバを画定する。各作業チャンバは、シリンダの内面、及び回転可能シャフトに機械的に結合された移動可能な作業面によって部分的に画定され得る。典型的には、移動可能な作業面は、ピストン-シリンダ対のピストンの表面である。各作業チャンバの容積は、回転可能シャフトの回転ごとに周期的に変化し得る。このようにして、移動可能な作業面の1つ以上及び回転可能シャフトの運動によって、液圧流体マニホールドと原動機との間でエネルギーが交換されることが理解され得る。典型的には、エネルギーは、回転可能なシャフトの動きによって液圧流体マニホールドと液圧流体を交換することによって交換される。
【0020】
本発明は、特に、作業チャンバ容積のアクティブサイクルが散在している電子整流式液圧機械に関し得、液圧作業流体の正味変位が存在し、作業チャンバ容積の非アクティブサイクルを伴い、作業チャンバと液圧回路との間には、液圧作業流体の正味変位が存在しない。典型的には、アクティブサイクルの大部分又は全ては、フルストロークサイクルであり、作業チャンバは、弁作動信号のタイミングの好適な制御によって、作業流体の所定の最大変位を変位させる。また、複数の作業チャンバのうちの1つ以上の低圧弁及び任意選択的に高圧弁を調節して、いわゆる部分ストロークサイクルを動作させることによって、アクティブサイクル中になされる最大変位の画分を調節することが知られている。
【0021】
コントローラは、作業チャンバ容積の各サイクル中に、各作業チャンバに、作業チャンバ容積のアクティブサイクル又は非アクティブサイクルのいずれかを実行させるように、作業チャンバの低圧弁及び任意選択的に高圧弁を制御するように構成され(例えば、プログラミングされ)得る。
【0022】
「アクティブサイクル」は、作業流体の正味変位をなす作業チャンバ容積のサイクルを指す。「非アクティブサイクル」は、作業流体の正味変位をなさない(典型的には、低圧弁及び高圧弁の一方又は両方がサイクルの全体にわたって閉じられたままである)作業チャンバ容積のサイクルを指す。典型的には、アクティブ及び非アクティブサイクルは、要求信号によって示される要求を満たすように散在される。これは、アクティブサイクルのみを実行する機械とは対照的であり、その変位は変化し得る。
【0023】
液圧機械の1つ以上の作業チャンバの要求信号は、典型的には、「変位画分」Fdとして処理され、これは、回転可能シャフトの回転当たりの作業液圧流体の最大変位の目標画分である。容積に関する用語で表される要求(1秒当たりの作業液圧流体の容積)は、回転可能シャフトの回転の現在の速度、並びに液圧装置の同じ高圧マニホールド及び1つ以上の液圧構成要素(例えば、少なくとも1つの液圧アクチュエータ及び1つ以上の更なる液圧構成要素)に群で接続された作業チャンバの数を考慮して、変位画分に変換することができる。要求信号は、液圧流体マニホールドを介して車両の当該1つ以上の液圧構成要素に流体的に接続された1つ以上の作業チャンバ群の組み合わせた流体変位の要求に関する。それぞれの要求信号を有する1つ以上の他の液圧構成要素に流体的に接続された1つ以上の作業チャンバの他の群が存在し得る。
【0024】
おそらくは、少なくとも、低圧弁(任意選択的に高圧弁、任意選択的に低圧弁及び高圧弁の両方)が電子制御式弁であり、コントローラ又は更なるコントローラは、作業チャンバ容積のサイクルとの位相的な関係で(例えば、電子制御式)弁を制御し、それによって、作業チャンバ容積のサイクルごとに各作業チャンバによって液圧流体の正味変位を決定するように構成されている。本方法は、作業チャンバ容積のサイクルとの位相的な関係で(例えば電子制御式)弁を制御し、それによって、作業チャンバ容積のサイクルごとに各作業チャンバによって液圧流体の正味変位を決定することを含み得る。
【0025】
1つ以上の作業チャンバ群は、液圧流体マニホールドの1つ以上の液圧構成要素群(例えば、1つ以上の液圧アクチュエータ及び/又は液圧アキュムレータ及び/又は1つ以上の更なる液圧構成要素)のそれぞれの群に動的に割り当てられ、それによって、例えば、コントローラの制御下で、例えば、電子制御式弁(例えば、本明細書に記載された高圧弁及び低圧弁)を開閉することによって、1つ以上の作業チャンバのどれが(例えば、一群の)液圧構成要素に接続されるのかを変更する。(例えば、1つ以上の)作業チャンバ群は、(例えば、1つ以上の)液圧構成要素の(それぞれの)群に割り当てられ、それによって、コントローラ又は更なるコントローラの制御下で、例えば、(例えば、電子制御式)弁を開く及び/又は閉じることによって、どの機械の作業チャンバがどの液圧構成要素に結合されるのかを変更する。各作業チャンバ(及び/又は各液圧構成要素)を通した液圧流体の正味変位は、1つ又は複数の液圧構成要素に接続されている1つ又は複数の作業チャンバの正味変位を調節することによって調節することができる。1つ以上の作業チャンバ群は、典型的には、当該液圧流体マニホールド又はその一部を通して、1つ以上の当該液圧構成要素群のそれぞれの群に接続されている。
【0026】
おそらくは、各作業チャンバによって受容又は出力される液圧流体の流量は、独立して制御可能である。おそらくは、各作業チャンバによって受容又は生成される液圧流体の流れは、作業チャンバ容積のサイクルごとに各作業チャンバによる液圧流体の正味変位を選択することによって独立して制御することができる。この選択は、典型的には、コントローラによって実行される。
【0027】
典型的には、液圧機械は、ポンプ動作モードにおいてポンプとして動作可能であるか、又はモータ動作モードにおいてモータとして動作可能である。おそらくは、液圧機械の作業チャンバのいくつかは、ポンプ圧送し得(及びいくつかの作業チャンバは、液圧流体を出力し得)、一方で、液圧機械の他の作業チャンバは、モータリングし得る(及びいくつかの作業チャンバは、液圧流体を入力し得る)。
【0028】
液圧機械は、ポンプ、又はモータ、又はポンプモータ(おそらく可変変位)、又はデジタル変位ポンプモータであり得る。特に部分負荷でのデジタル変位ポンプモータの高い効率のため、液圧機械と少なくとも1つの液圧アクチュエータとの間のエネルギー伝達もまた特に効率的であり、かつ代替技術よりも効率的である。可能である圧力及び流れの高速で正確な独立した制御のため、デジタル変位ポンプモータが特に本出願に適していることが更に理解されるであろう。
【0029】
弁装置が、液圧流体マニホールドを通る液圧流体の圧力、流量、又はルートなどの、液圧流体マニホールドを介した液圧構成要素間の液圧流体流れ特性に影響を及ぼし得る、実質的にあらゆる弁を、備え得ることが理解され得る。典型的には、弁装置は、複数のルーティング弁を備えている。複数のルーティング弁のうちの少なくとも1つを制御することは、依然として弁装置を制御することであると理解されることが理解されるであろう。弁装置の弁の各々は、弁の第1の側と第2の側との間の流体の流れを可能にするか、又は実質的に防止するように電子的に制御可能であり得る。いくつかの例では、弁の少なくともいくつかは、液圧流体を一度に複数の弁出口のうちの1つのみにルーティングすることができる多方弁であってもよい。弁装置は、液圧流体マニホールドを介して、少なくとも2つのアクチュエータチャンバの各々と液圧アキュムレータとの間の流体連通を独立して制御するように構成され得る。弁装置は、液圧流体マニホールドを介して、少なくとも2つのアクチュエータチャンバの各々と液圧機械との間の流体連通を独立して制御するように構成され得る。
【0030】
弁装置は、少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの、それぞれの1つのアクチュエータチャンバのみに、各々が関連付けられた、1つ以上のアクチュエータチャンバ弁を備えることができる。したがって、アクチュエータチャンバ弁を使用して、アクチュエータチャンバを液圧流体マニホールドの1つ以上の部分と流体連通させることができる。実施例では、アクチュエータチャンバ弁は、一方の側でそれぞれのアクチュエータチャンバと流体連通することができ、それぞれのアクチュエータチャンバと第2の側で液圧流体マニホールドの複数の異なる部分との間で液圧流体の選択的なルーティングを可能にするように構成され得る。液圧流体マニホールドの複数の異なる部分は、液圧アキュムレータと流体連通するアキュムレータ部分と、液圧機械と流体連通する液圧機械部分とを備えることができる。
【0031】
弁装置は、液圧マニホールド内の流体連通経路内に、1つ以上のアクチュエータチャンバ弁と液圧機械との間のマニホールド弁群を備え得る。マニホールド弁群は、独立して制御可能な複数の弁を備え得る。したがって、マニホールド弁群は、液圧機械からの液圧流体のルーティングを制御できるようにすることができる。液圧流体マニホールドの液圧機械部分は、マニホールド弁群を介して液圧機械と流体連通することができる。液圧流体マニホールドのアキュムレータ部分は、マニホールド弁グループを含まない液圧流体マニホールドの一部を介して液圧アキュムレータと流体連通することができる。
【0032】
1つ以上の液圧アクチュエータは、第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有する第1の液圧アクチュエータを備えることができる。実際、いくつかの例では、第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有し、液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータは、単一の液圧アクチュエータのみであってもよい。他の実施例では、1つ以上の液圧アクチュエータは、2つの液圧アクチュエータなどの複数の液圧アクチュエータであり得る。
【0033】
1つ以上の液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバの有効作業領域は、1つ以上の液圧アクチュエータの第2のアクチュエータチャンバの有効作業領域とは異なり得る。第1のアクチュエータチャンバの有効作業領域は、第2のアクチュエータチャンバの有効作業領域より大きくてもよい。第1のアクチュエータチャンバの有効作業領域は、第2のアクチュエータチャンバの有効作業領域よりも小さくてもよい。
【0034】
少なくとも第1のアクチュエータチャンバは、液圧アキュムレータとは別の流体連通経路を介して、液圧機械と流体連通することができない場合がある。換言すれば、液圧機械及び液圧アキュムレータの、第1のアクチュエータチャンバは、液圧アキュムレータも含む流体連通経路を介する以外に、液圧アキュムレータのみと流体連通する。したがって、液圧流体マニホールドは、第1のアクチュエータチャンバを(液圧アキュムレータとは別の流体連通経路を介して)液圧機械と直接流体連通させることができる場合よりも単純に保つことができる。同様に、第2のアクチュエータチャンバは、液圧機械とは別の流体連通経路を介して、液圧アキュムレータと流体連通できない場合がある。したがって、液圧流体マニホールドは、第2のアクチュエータチャンバを(液圧機械とは別の流体連通経路を介して)液圧アキュムレータと直接流体連通させることができる場合よりも単純に保つことができる。
【0035】
液圧アキュムレータは、第1の液圧アキュムレータであってもよく、車両は、第1の液圧アキュムレータを含む複数の液圧アキュムレータを備えてもよい。第1の液圧アキュムレータは、第1の圧力で液圧流体を収容し得る。複数の液圧アキュムレータは、第1の圧力とは異なる、第2の圧力で液圧流体を収容する第2の液圧アキュムレータを備えることができる。したがって、複数の液圧アクチュエータを動かす要求を最もよく満たすために、異なる圧力の液圧流体を第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることができる。コントローラは、弁装置を制御して、第2の液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、それと同期させて、第1の液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバから隔離するように構成することができる。したがって、第1のアクチュエータチャンバと流体連通する液圧アキュムレータは、必要に応じて切り替えることができる。複数の液圧アキュムレータは、少なくとも3つの液圧アキュムレータとすることができ、それぞれ異なる圧力の作業流体を収容するように配置されている。液圧アキュムレータのうちの少なくとも1つは、使用時に10バール未満の圧力で液圧流体を収容するように構成することができる。液圧アキュムレータのうちの少なくとも1つは、使用時に10メガパスカルを超える圧力の液圧流体を収容するように構成することができる。液圧アキュムレータのうちの少なくとも1つは、使用時に20メガパスカルを超える圧力の液圧流体を収容するように構成することができる。
【0036】
液圧アキュムレータが1つ以上の液圧アクチュエータのアクチュエータチャンバと流体連通していない場合、弁装置及び液圧機械を制御して、1つ以上の液圧アキュムレータを液圧機械と流体連通させて、液圧流体マニホールドと1つ以上の液圧アキュムレータとの間で液圧流体を交換して、1つ以上の液圧アキュムレータ内に貯蔵されている液圧流体の圧力を変更して、1つ以上の液圧アキュムレータのデフォルトの動作圧力に近づける。
【0037】
液圧機械は、複数のポンプ群を備えることができ、複数のポンプ群の各々は、液圧流体マニホールドと流体連通する複数の作業チャンバを備える。各作業チャンバは、回転可能なシャフトに機械的に結合された移動可能な作業面によって部分的に画定され得る。コントローラは、ポンプ群のうちの少なくとも1つを、ポンプ群のうちの少なくとも1つの他の群とは異なるように制御するように構成され得る。第1の構成では、ポンプ群のうちの少なくとも1つの群の作業チャンバが、第1の液圧構成要素(例えば、1つ以上の液圧アクチュエータのうちの第2のアクチュエータチャンバ)と流体連通している場合がある。第2の構成では、ポンプ群のうちの少なくとも1つの群の少なくとも1つの作業チャンバは、第1の液圧構成要素と流体連通したままであるが、ポンプ群のうちの少なくとも1つの群の、少なくとも1つの他の群の、作業チャンバは、第2の液圧構成要素(例えば、液圧アキュムレータ)と流体連通する。したがって、ポンプ群は、車両の液圧構成要素の液圧要求を満たすために、必要に応じて動的に分割、結合、及び再割り当てすることができる。
【0038】
コントローラは、弁装置を制御して、ポンプ群のうちの少なくとも1つを、第1の構成では液圧流体マニホールドの第1の部分と流体連通させ、第2の構成では液圧流体マニホールドの第2の部分と流体連通させるように構成することができる。複数のポンプ群が液圧流体マニホールドの第1の部分と流体連通している場合もある。複数のポンプ群が液圧流体マニホールドの第2の部分と流体連通している場合もある。コントローラは、弁装置を制御して、ポンプ群のうちの少なくとも1つを液圧流体マニホールドの第3の部分と流体連通させるように構成することができ、第3の部分は、1つ以上の液圧流体マニホールドとは別個の少なくとも1つの更なる液圧アクチュエータと流体連通する。したがって、液圧機械は、複数のそれぞれの液圧アクチュエータ(又は他の液圧構成要素)からの要求を満たすために、必要に応じて複数の液圧アクチュエータと液圧流体を交換するために使用することができる。
【0039】
車両は、複数の液圧作業機能を実行するのに適し得る。
【0040】
液圧作業機能の少なくとも1つは、液圧機械と常に流体連通するように構成された少なくとも1つのアクチュエータチャンバを有する更なる液圧アクチュエータを使用して実行され得る。したがって、液圧機械の1つ以上のポンプ群が他の液圧アクチュエータ専用である可能性がある。このようにして、液圧流体マニホールド及び弁装置は、各ポンプ群が複数の異なる液圧アクチュエータなどの複数の異なる液圧構成要素に独立して接続できる場合よりも単純に保つことができる。
【0041】
液圧機械は、液圧アクチュエータ又は1つ以上の液圧アクチュエータのうちの所与の液圧アクチュエータと常に流体連通するように構成され得る。したがって、液圧機械の1つ以上のポンプ群が、1つ以上の液圧アクチュエータのうちの特定の液圧アクチュエータ専用であり、液圧流体マニホールド及び/又は弁装置を簡素化することができる。液圧機械は、所与の液圧アクチュエータの所与のアクチュエータチャンバと常に流体連通するように構成され得る。
【0042】
1つ以上の液圧アクチュエータは、少なくとも4つのアクチュエータチャンバなど、3つ以上のアクチュエータチャンバを備えることができる。
【0043】
コントローラは、液圧機械及び弁装置を制御して、液圧流体マニホールドから液圧アキュムレータへ液圧流体を交換させるように構成され得る。このように、液圧アキュムレータ内に液圧流体を受容させることによって、エネルギーを液圧アキュムレータ内に貯蔵することができる。液圧アキュムレータに貯蔵されたエネルギーは、液圧作業機能の下降運動に由来する可能性がある。例えば、1つ以上の液圧アクチュエータは、液圧作業機能の下降運動中に液圧アキュムレータと直接流体連通させることができるため、液圧作業機能の下降によって1つ以上の液圧アクチュエータから放出されるエネルギーは、液圧アキュムレータに貯蔵される。他の例では、1つ以上の液圧アクチュエータを液圧機械の少なくとも1つの第1のポンプ群と流体連通させることができ、液圧機械の少なくとも1つの第2のポンプ群を液圧アキュムレータと流体連通させることができる。このようにして、液圧作業機能の降下によって1つ以上の液圧アクチュエータから解放されたエネルギーは、液圧機械によって回転可能なシャフトに伝達され、次に、液圧機械の少なくとも1つの第2のポンプ群を使用して液圧流体を圧送して、液圧流体を液圧アキュムレータの中に送達させるために使用することができる。したがって、液圧作業機能の下降運動中に1つ以上の液圧アクチュエータから送出される液圧流体の圧力と圧力が異なる場合でも、液圧アキュムレータを充填することができる。
【0044】
液圧アキュムレータは、液圧機械と弁装置との間で流体連通するように設けることができる。
【0045】
液圧機械の高圧側から弁装置まで、少なくとも2つの流体連通経路を設けることができる。少なくとも2つの流体連通経路の各々が、液圧機械の別個のポンプ群に接続することがあり得る。
【0046】
液圧機械の低圧側は、弁装置を介して1つ以上の液圧アクチュエータと流体連通することができる。したがって、液圧流体は、1つ以上の液圧アクチュエータから低圧リザーバ(液圧機械の低圧側にも接続される)に制御可能にルーティングされることができる。液圧機械の低圧側は、弁装置のアクチュエータチャンバ弁を介して1つ以上の液圧アクチュエータと流体連通することができる。液圧機械の低圧側は、弁装置のマニホールド弁群を介して、1つ以上の液圧アクチュエータと流体連通することができる。
【0047】
アクチュエータ要求信号は、液圧作業機能に関連する流量要求又は速度要求を示す(例えば、代表的な)ものであり得る。換言すれば、アクチュエータ要求信号は、液圧作業機能の運動に対する速度要求に応じて決定され得る。アクチュエータ要求信号は、液圧作業機能の運動に対する流量要求に応じて決定することができる。
【0048】
コントローラは、1つ以上の液圧アクチュエータの測定パラメータと1つ以上の液圧アクチュエータのパラメータに対する要求値との間の誤差に応じて、液圧機械及び弁装置を制御するように構成され得る。したがって、液圧機械及び弁装置は、閉ループ制御システムを使用して制御できる。パラメータは、位置、速度、圧力、力、流量、電力のリストから選択され得る。他の例では、液圧機械及び弁装置は、パラメータの測定値からのフィードバックなしに、パラメータの要求値に基づいて制御され得る。換言すれば、コントローラは、開ループ制御システムとして液圧機械及び弁装置を制御するように構成され得る。
【0049】
コントローラは、1つ以上の液圧アクチュエータを所与の速度で動かす要求に応じて、アクチュエータの要求力パラメータを決定するように構成され得る。コントローラは、要求される力パラメータに応じて、液圧機械及び弁装置を制御して、1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように構成され得る。
【0050】
1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求は、ユーザ入力から決定することができる。ユーザ入力は、ジョイスティックコントローラであり得る。したがって、1つ以上の液圧アクチュエータの運動は、ユーザによって容易にかつ手動で制御され得る。
【0051】
液圧作業機能は、ブーム及びバケットのうちの少なくとも1つを含み得る。車両の複数の液圧作業機能は、ブーム及びバケットを含むことができる。液圧作業機能の少なくとも1つの他のものは、液圧アキュムレータから分離され得るが、液圧機械に選択的に流体的に接続され得る。したがって、液圧作業機能の一部は、液圧アキュムレータを使用せずに、液圧機械のみを使用して操作できる。液圧作業機能の少なくとも1つの他のものは、スイング作業機能を含むことができる。
【0052】
1つ以上の液圧アクチュエータは、第1のアクチュエータチャンバの容積の拡大が第2のアクチュエータチャンバの容積の減少に対応するように配置され得る。換言すれば、第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバはそれぞれ、複動ラムの異なる側を表すことができる。
【0053】
本発明は、液圧作業機能を有する車両を制御するための方法に及ぶ。この方法は、液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を受信することと、液圧機械及び弁装置を制御して、車両の液圧アキュムレータを、車両の液圧流体マニホールド及び弁装置を介して、1つ以上の液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに同期して、1つ以上の液圧アクチュエータの第2のアクチュエータチャンバ内の圧力を変化させることと、を含む。第2のアクチュエータチャンバは、液圧流体マニホールド及び弁装置を介して液圧機械と流体連通している。説明したように液圧機械及び弁装置を制御することにより、要求に従って液圧アクチュエータを運動させることができる。
【0054】
この方法は、本明細書の他の箇所で説明されているように、車両又はコントローラに関連して説明されている機能のいずれかを含み得る。液圧機械、液圧アキュムレータ、液圧流体マニホールド、1つ以上の液圧アクチュエータ、及び弁装置は、それぞれ、本明細書の他の場所で説明されている特徴のいずれかを有することができる。
本発明の例示的な実施形態を、以下の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本明細書で説明される液圧装置の一例の概略図である。
【
図2】本開示の一例による車両のシステムの概略図である。
【
図3】本明細書で説明される、液圧機械を制御する方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本明細書で説明される、車両において使用されるための液圧装置の一例の概略図である。車両は、掘削車などのローダである。液圧装置100は、原動機102と、液圧機械104と、を備えている。液圧機械104は、原動機102と駆動係合している回転可能シャフト106、を有している。この実施例では、液圧機械104は、複数の作業チャンバ群、特に、チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hとも称されることがある、8つの作業チャンバ群を画定する。液圧機械104、及び特に作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hの詳細な動作は、これ以降で
図4を参照しながら更に説明される。
図1には示されていないが、各作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hは、典型的には、液圧回路内に複数の作業チャンバを備え、各作業チャンバは、部分的に、回転可能シャフト106に機械的に結合された作業面の運動によって画定され、よって、動作中に、液圧機械104は、作業面及び回転可能シャフト106の運動によって、エネルギーを液圧回路及び原動機102と交換する。液圧機械104は、液圧回路と液圧機械104との間の液圧流体の交換によって液圧回路とエネルギーを交換し、回転可能なシャフト106の運動によって原動機102と液圧機械104との間でエネルギーを交換する。
【0057】
液圧回路は、液圧流体が流れることができ、液圧機械104の作業チャンバのいずれかと流体連通している、又はさせることができる、液圧装置100の任意の部分によって画定されることが理解されるであろう。液圧回路を形成する液圧装置100の1つ以上の構成要素は、液圧流体マニホールド109と称される。
【0058】
液圧装置100は、第1の液圧作業機能110、この実施例ではブームつり上げ作業機能110を備えている。ブームつり上げ作業機能110は、少なくとも1つの液圧アクチュエータ112、(又はそれぞれの)液圧アクチュエータ112を複動シリンダラムの形態で使用して、ローダ車両の掘削アームのブームを上昇又は下降させる。液圧アクチュエータ112は、第1のアクチュエータチャンバ114及び第2のアクチュエータチャンバ116を備える。第1のアクチュエータチャンバ114及び第2のアクチュエータチャンバ116の各々は、液圧流体マニホールド109の少なくとも一部と流体連通している。第1のアクチュエータチャンバ114及び第2のアクチュエータチャンバ116は、液圧アクチュエータ112の第2のアクチュエータチャンバ116を通ってそこから延在するロッド120を有するピストン118によって分離される。ロッド120は、液圧アクチュエータ112のロッド120及びブームの一方の運動が、液圧アクチュエータ112のロッド120及びブームの他方の運動を引き起こすように、ブーム(
図1には図示せず)に機械的に接続される。第1のアクチュエータチャンバ114の有効作業領域は、第2のアクチュエータチャンバ116の有効作業領域よりも小さい。
【0059】
この例では、液圧装置100は、更なる液圧作業機能122、124、具体的には、ローダ車両の掘削アームのスティック部分を動かすためのスティック作業機能122の形態の第2の液圧作業機能122、及びローダ車両の掘削アームのバケットを動かすためのバケット作業機能124の形態の第3の液圧作業機能124を備える。更なる液圧作業機能122、124の各々は、
図1に示されるように、1つ以上の更なる液圧アクチュエータを含む。この例では、第2の液圧作業機能122は、第2の液圧アクチュエータ123の両側を通って延在するロッド123aを有する第2の液圧アクチュエータ123を備える。第3の液圧作業機能124は、第1の液圧作業機能110の液圧アクチュエータ112と構成が類似しているが、この例ではより小さいサイズの第3の液圧アクチュエータ125を備える。
【0060】
液圧装置100は、3つの液圧アキュムレータ140、142、144の形態の3つのエネルギー貯蔵構成要素を更に備える。液圧アキュムレータ140、142、144はそれぞれ別々に液圧流体マニホールド109と流体連通し、それと液圧流体を交換するように構成されている。第1の液圧アキュムレータ140は、例えば約300キロパスカルの圧力で液圧流体を貯蔵するように構成された、低圧液圧アキュムレータ140である。第2の液圧アキュムレータ142は、例えば約15メガパスカルの圧力で液圧流体を貯蔵するように構成された、中圧液圧アキュムレータ142である。第3の液圧アキュムレータ144は、例えば約30メガパスカルの圧力で液圧流体を貯蔵するように構成された、高圧液圧アキュムレータ144である。この例では、低圧液圧アキュムレータ140は、液圧機械104の低圧側、具体的には液圧機械104の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hの各々の低圧側と流体連通している。
【0061】
液圧装置100は、この例では、掘削機アームの回転スイング動作を実行して、典型的には車両のキャブ付近の垂直軸を中心に掘削機アームを回転させるための更なる液圧作業機能150を更に備える。更なる液圧作業機能150は、液圧流体の圧力及び流量をシャフト(
図1には図示せず)の回転運動に変換する液圧モータ152を使用して実行される。液圧モータ152の両側に流体連通する方向制御弁154が設けられ、液圧モータ152の回転方向を制御し、それによって掘削機アームのスイング方向を制御する。方向制御弁154はまた、低圧液圧アキュムレータ140と流体連通している。
【0062】
液圧装置100は更に、複数のアクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136と、連動機構138の形態のマニホールド弁群138とから構成されている弁装置を備える。弁装置の弁は一緒に、液圧アクチュエータのアクチュエータチャンバのうちの任意の1つ以上と、液圧流体マニホールド109を介した液圧アキュムレータ140、142、144のうちの1つ以上との間の流体連通を選択的に制御するように構成されている。弁装置の弁はまた、液圧アクチュエータのアクチュエータチャンバのうちの1つ以上と液圧機械104との間の流体連通を、液圧流体マニホールド109を介して、選択的に制御するように一緒に構成されている。
【0063】
アクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136はそれぞれ、液圧作業機能110、122、124内の液圧アクチュエータの液圧チャンバのうちのそれぞれの1つの出口に配置されている。アクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136は、スイッチング弁と称されることもある。各アクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136は、この例では、液圧作業機能の液圧アクチュエータの液圧チャンバと流体連通する第1の側の単一のポートと、複数のポート、この例では、第2の側の4つのポートとを備える。複数のポートのうちの第1のポートは、第1の液圧アキュムレータ140と流体連通している。複数のポートのうちの第2のポートは、第2の液圧アキュムレータ142と流体連通している。複数のポートのうちの第3のポートは、第3の液圧アキュムレータ144と流体連通している。複数のポートのうちの第4のポートは、マニホールド弁群と流体連通し、典型的には液圧機械104の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hのうちの少なくとも1つと流体連通する。各アクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136は、独立して制御されて、液圧アクチュエータ112、123、125のそれぞれの液圧チャンバを、通常、第1の液圧アキュムレータ140、第2の液圧アキュムレータ142、第3の液圧アキュムレータ144及び液圧機械104のうちの正確に1つと流体連通させることができる。アクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136は、液圧アクチュエータ112、123、125の各々についての1つの対のように、対にて提供される。具体的には、アクチュエータチャンバ弁の第1の対は、液圧アクチュエータ112の第1のアクチュエータチャンバ114に流体的に接続された第1のアクチュエータチャンバ弁126と、同じ液圧アクチュエータ112の第2のアクチュエータチャンバ116に流体的に接続された第2のアクチュエータチャンバ弁128とによって提供される。同様に、アクチュエータチャンバ弁の第2の対は、第2の液圧アクチュエータ123の第1及び第2のアクチュエータチャンバにそれぞれ接続された、第3のアクチュエータチャンバ弁130及び第4のアクチュエータチャンバ弁132によって提供される。アクチュエータチャンバ弁の第3の対は、第3の液圧アクチュエータ125の第1及び第2のアクチュエータチャンバにそれぞれ接続された、第5のアクチュエータチャンバ弁134及び第6のアクチュエータチャンバ弁136によって提供される。アクチュエータチャンバ弁の各対において、典型的には、アクチュエータチャンバ弁のうちの1つのみが、液圧流体マニホールドを介してアクチュエータチャンバを所与の液圧構成要素に接続することができる。
【0064】
連動機構138は、
図1における液圧装置100の概念的な部分として示されている。実際には、連動機構138は、複数のポート間の流体連通ルーティングを制御するための複数の弁を備える。連動機構138は、液圧機械104の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hの各々に独立して流体的に接続され、アクチュエータチャンバ弁の各対126、128、130、132、134、136は、各液圧アクチュエータ112、123、125、中圧液圧アキュムレータ142及び高圧液圧アキュムレータ144、並びに方向制御弁154に関連する。したがって、この例では、液圧機械104の複数の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hのうちの任意の1つ以上を、中圧液圧アキュムレータ142、高圧液圧アキュムレータ144、各液圧アクチュエータ112、123、125に関連するアクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136のいずれか一対、及び方向制御弁154の1つに流体的に接続することができる。液圧機械104の複数の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hのうちの更に1つ以上を、中圧液圧アキュムレータ142、高圧液圧アキュムレータ144、各液圧アクチュエータ112、123、125に関連するアクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136のいずれか一対、及び方向制御弁154の異なる1つに流体的に接続することができる。このようにして、連動機構138を制御して、液圧機械104の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hを、液圧流体マニホールド109を介して液圧装置100の他の液圧構成要素と流体連通させることができる。
【0065】
液圧装置100は、少なくとも液圧機械104、アクチュエータチャンバ弁126、128、130、132、134、136、連動機構138、及び液圧装置100の方向制御弁154を制御するように構成されたコントローラ(
図1には示さず)を更に備えている。コントローラの動作は、以下で
図4を参照しながら更に説明される。いくつかの例では、液圧装置100は、液圧装置100の1つ以上の構成要素を制御するための別個のコントローラに接続することができるが、それでもなお液圧装置100であるとみなすことができることが理解されるであろう。
【0066】
図1には示されていないが、液圧装置100はまた、典型的に、液圧流体マニホールド109内の異なる点で液圧流体の流量及び/又は圧力を測定するための1つ以上のセンサも含む。液圧装置100は、任意の液圧作業機能によって加えられる力又はその運動速度を測定するための1つ以上のセンサを更に含む。
【0067】
一例では、ブームの上昇運動を引き起こすために、連動機構138は、第1の作業チャンバ群108a、及び第2の作業チャンバ群108bを、第1のアクチュエータチャンバ弁126と第2のアクチュエータチャンバ弁128を含む、アクチュエータチャンバ弁の第1の対に流体的に、連動機構138を介して、接続するように構成されている。更に、第1のアクチュエータチャンバ弁126は、第1のアクチュエータチャンバ114を第1の作業チャンバ群108a、及び第2の作業チャンバ群108bと流体連通する液圧流体マニホールド109の部分と、連動機構138を介して、流体連通させるように構成されている。同時に、第2のアクチュエータチャンバ弁128は、第2のアクチュエータチャンバ116を高圧液圧アキュムレータ144と流体連通させるように構成されている。高圧液圧アキュムレータ144は、高圧液圧アキュムレータ144内の液圧流体の圧力に実質的に対応する圧力で、第2のアクチュエータチャンバ116に液圧流体を供給し得ることが理解され得る。液圧機械104、具体的には液圧機械104の第1の作業チャンバ群108a、及び第2の作業チャンバ群108bによって、第1のアクチュエータチャンバ114に向かって圧送される液圧流体の流量を制御して、第1の液圧作業機能110の正確な所望のつり上げ力及び運動速度を達成することができる。第1の作業チャンバ群108a、及び第2の作業チャンバ群108bによって圧送される液圧流体の流量を変更することによって、つり上げ力及び/又は運動速度の小さな変化を容易に達成することができる。第1のアクチュエータチャンバ114と流体連通する異なる数の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hを使用することによって、及び/又は第2のアクチュエータチャンバ116を代わりに中圧液圧アキュムレータ142又は低圧液圧アキュムレータにさえ流体連通することにより、より大きな変化を達成することができる。
【0068】
いくつかの例では、ブームが下降され、エネルギーが回収される場合、液圧機械104の作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hのうちの1つ以上が、第2のアクチュエータチャンバ弁128を介して、第2のアクチュエータチャンバ116と流体連通されるが、1つ以上の作業チャンバ群は、モータリング構成で動作するように構成されている。本明細書の他の箇所で説明されるように、回収されたエネルギーは、回転可能なシャフト106に回転トルクを与えるために使用することができ、例えば、作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108e、108f、108g、108hのうちの1つ以上の他の群を使用して、液圧流体を、中圧液圧アキュムレータ142、高圧液圧アキュムレータ144、及び任意の1つ以上の更なる液圧作業機能122、124、150のうちの少なくとも1つに向かって、圧送するために使用することができ、連動機構138は、それに応じて液圧流体をルーティングするように構成されている。代替的に、回収されたエネルギーは、代わりに、液圧アキュムレータ142、144に直接貯蔵されるか、又は液圧機械104を介さずに、更なる液圧作業機能122、124、150で使用される。
【0069】
図2は、本開示の一例による車両のシステムの概略図である。車両200は、液圧機械310、及びコントローラ320を含む、本明細書で説明される液圧装置300を備えている。コントローラ320は、信号315を液圧機械310と交換して、コントローラ320によって受信された入力信号に従って、例えば、車両200のオペレータによるユーザ入力から、液圧装置300を制御するように構成されている。コントローラ320は、この実施例では、1つ以上のプロセッサ330及びコンピュータ可読メモリ340によって実現されている。メモリ340は、1つ以上のプロセッサ330によって実行されたときに、本明細書で説明されるように液圧装置300を動作させる命令を格納している。
【0070】
コントローラ320は、車両200の一部であるものとして示されているが、コントローラ320の1つ以上の構成要素、更にはコントローラ320全体を、車両200とは別に、例えば、車両200から遠隔に提供して、無線通信によって車両200と信号を交換することができることが理解され得る。
【0071】
図3は、本明細書で説明される車両を制御する方法を例示しているフローチャートである。方法400は、液圧機械を含む液圧作業機能を有する車両を制御して、液圧作業機能で使用される液圧アクチュエータを運動させる方法である。具体的には、方法400は、液圧作業機能で使用される複数の液圧アクチュエータを動かす要求を受信すること410を含む。液圧作業機能は、通常、ブームつり上げ作業機能など、車両の主要な液圧作業機能である。要求は、典型的には、例えばジョイスティックなどの制御デバイスなどのユーザ入力装置からの要求信号受信機の形態である。
【0072】
方法400は、車両の液圧流体マニホールド及び弁装置を介して、車両の液圧アキュムレータを複数の液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させること420を更に含む。通常、弁装置は、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させるように制御される。
【0073】
方法400は、液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに同期して、液圧アクチュエータの第2のアクチュエータチャンバ内の圧力を変化させること430を更に含む。第2のアクチュエータチャンバは、液圧流体マニホールド及び弁装置を介して液圧機械と流体連通している。典型的に、液圧機械は、第2のアクチュエータチャンバ内の圧力を変化させるように制御される。必要に応じて、弁装置を制御して、液圧流体マニホールド及び弁装置を介して第2のアクチュエータチャンバを液圧機械と流体連通させることができる。
【0074】
液圧アキュムレータを第1のアクチュエータチャンバと流体連通させること420、第2のアクチュエータチャンバ内の圧力を変化させること430の結果として、液圧アクチュエータは要求に従って動かされる。
【0075】
図4は、
図1及び2に示される液圧装置の一部の概略図であり、高圧マニホールド554を通して1つ以上の液圧構成要素(例えば、アクチュエータ)に現在接続されている単一の作業チャンバ群を示す。
図5は、第1の群500に関する詳細を提供するが、当該群は、シリンダの内面によって画定された作業容積526を有するシリンダ524を有する複数の作業チャンバ(8つが示されている)と、偏心カム532によって回転可能シャフト530から駆動され、シリンダ内を往復運動してシリンダの作業容積を変化させるピストン528(作業面528を提供する)と、を備えている。回転可能シャフトは、駆動シャフトに強固に接続されて、ともに回転する。シャフト位置及び速度センサ534は、電気信号を信号線536通してコントローラ550に送信し、したがって、コントローラが、シャフトの瞬間的な角度位置及び回転速度を決定すること、及び各シリンダのサイクルの瞬時位相を決定することを可能にする。
【0076】
作業チャンバは、各々が、関連付けられた作業チャンバを有する電子作業面シーリングポペット弁552の形態で低圧弁(LPV)と関連付けられており、また、選択的に、作業チャンバから、1つ又は複数の作業チャンバを接続し得る低圧液圧流体マニホールド554まで、又は実際に本明細書に示されているように全てまで、低圧液圧流体マニホールド液圧回路まで延在しているチャネルをシールするように動作可能である。LPVは、常開ソレノイド作動弁であり、これは、作業チャンバ内の圧力が低圧液圧流体マニホールド内の圧力以下であるときに、すなわち、吸気ストローク中に受動的に開いて、作業チャンバを低圧液圧流体マニホールドと流体連通させるが、作業チャンバの低圧液圧流体マニホールドとの流体連通を解除させるために、LPV制御線556を介したコントローラのアクティブ制御下で選択的に閉鎖可能である。弁は、代替的に常閉弁であり得る。圧力差から弁全体にわたって生じる力と同様に、弁を横断する流体の通過による流れ力もまた、可動弁部材への正味力に影響を及ぼす。
【0077】
作業チャンバは、各々が圧力作動吐出弁の形態で、各々が高圧弁(HPV)564と更に関連付けられている。HPVは、それらのそれぞれの作業チャンバから外向きに開いており、また、各々が、弁ブロックを通して、作業チャンバから、1つ又は複数の作業チャンバを、又は実際に
図5に示されるように全てを接続し得る、高圧液圧流体マニホールド558まで延在しているそれぞれのチャネルをシールするように動作可能である。HPVは、作業チャンバ内の圧力が高圧液圧流体マニホールド内の圧力を超えたときに受動的に開く、常閉圧力開放逆止弁として機能する。HPVはまた、HPVが、関連付けられた作業チャンバ内の圧力によって開かれた時点で、コントローラがHPV制御線562を介して選択的に開いた状態に保持し得る、常閉ソレノイド作動逆止弁としても機能する。典型的には、HPVは、コントローラによって高圧液圧流体マニホールドの圧力に対して開放可能ではない。HPVは、追加的に、高圧液圧流体マニホールド内に圧力が存在するが、作業チャンバ内には存在しないときに、コントローラの制御下で開放可能であり得るか、又は部分的に開放可能であり得る。
【0078】
ポンプ圧送モードにおいて、コントローラは、低圧液圧流体マニホールドへの経路を閉じる、関連付けられた作業チャンバのサイクルにおける典型的には最大容積点の近くで、LPVの1つ以上を能動的に閉じることによって、液圧モータによって作業チャンバから高圧液圧流体マニホールドまでの液圧流体の正味の変位率を選択し、それによって、液圧流体を、関連付けられたHPVを通して、後続の収縮ストロークに指向させる(しかし、HPVを能動的に開いた状態に保持しない)。コントローラは、流れを生成するか又はシャフトトルク若しくは動力を作成して、選択された正味の割合を満たすように、LPV閉鎖及びHPV開放の数及びシーケンスを選択する。
【0079】
モータリング動作モードにおいて、コントローラは、高圧液圧流体マニホールドを介して変位される、液圧流体の正味変位率を選択し、関連付けられた作業チャンバのサイクルの最小容積の直前でLPVの1つ以上を能動的に閉鎖し、作業チャンバ内の液圧流体を収縮ストロークの残部によって圧縮させる、低圧液圧流体マニホールドへの経路を閉じる。関連付けられたHPVは、そこを横断する圧力が同等になったときに開かれて、少量の液圧流体が、コントローラによって開いた状態に保持されている関連付けられたHPVを通して外へ指向される。コントローラは、次いで、典型的には、関連付けられた作業チャンバのサイクルの最大容積の近くまで、関連付けられたHPVを能動的に開いた状態に保持し、液圧流体を高圧液圧流体マニホールドから作業チャンバまで流入させて、トルクを回転可能シャフトに適用する。
【0080】
サイクルベースで、LPVが閉じていないか、又は開いた状態を保持しているかを決定することと同様に、コントローラは、異なる作業チャンバ容積に対するHPVの閉鎖の正確な位相を変化させ、それによって、高圧から低圧液圧流体マニホールドへの、又はその反対の正味の変位率を選択するように動作可能である。
【0081】
低圧流体接続506及び高圧流体接続521上の矢印は、モータリングモードにおける液圧流体流れを示し、ポンプ圧送モードでは、流れが反転する。圧力解放弁566は、第1の群を損傷から保護し得る。
【0082】
通常動作では、作業チャンバ容積のアクティブ及び非アクティブサイクルは、液圧機械制御信号によって示される要求を満たすために散在されている。
【0083】
本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、「備える(comprise)」、「含む(contain)」という用語、及びそれらの変形形態は、「含むが限定されない」ことを意味し、それらは、他の構成要素、整数、又はステップを除外すること意図しておらず、除外するものではない。本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、単数形は、文脈上他に要求されない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用されている場合、明細書は、文脈上他に要求されない限り、複数形並びに単数形を想到するものとして理解されたい。
【0084】
本発明の特定の態様、実施形態、又は実施例と併せて記載された特徴、整数、特性、又は群は、互いに矛盾していない限り、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、又は実施例に適用可能であることを理解されたい。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された全ての特徴、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。本発明は、いかなる前述の実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせにまで、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせにまで及ぶ。
【0085】
[付記1]
液圧作業機能を有する車両であって、前記車両が、
原動機と、
液圧流体マニホールドと、
前記液圧流体マニホールドと流体連通する液圧機械であって、前記原動機と駆動係合している回転可能なシャフトを有し、作動時に、前記液圧機械が、前記回転可能なシャフトの運動によって、液圧流体を前記液圧流体マニホールドと交換するように構成されている、液圧機械と、
前記液圧流体マニホールドと流体連通し、前記液圧流体マニホールドと液圧流体を交換するための、液圧アキュムレータと、
1つ以上の液圧アクチュエータであって、前記1つ以上の液圧アクチュエータが一緒に、前記液圧流体マニホールドと流体連通する少なくとも2つのアクチュエータチャンバを有し、前記1つ以上の液圧アクチュエータが前記液圧作業機能で使用される、1つ以上の液圧アクチュエータと、
前記液圧流体マニホールドを介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの少なくとも1つと前記液圧アキュムレータとの間の、及び前記液圧流体マニホールドを介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの少なくとも1つと前記液圧機械との間の、流体連通を選択的に制御するように構成された、弁装置と、
コントローラであって、
前記1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を示すアクチュエータ要求信号を受信し、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記液圧機械及び前記弁装置を制御して、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように構成された、コントローラと、を備え、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記1つ以上の液圧アクチュエータを前記運動させるために、前記液圧機械及び前記弁装置を制御して、前記液圧アキュムレータを、前記液圧流体マニホールドの第1の部分及び前記弁装置を介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、前記液圧アキュムレータを前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させるために、前記第2のアクチュエータチャンバを、前記液圧流体マニホールドの第2の部分及び前記弁装置を介して、前記液圧機械に流体連通させる、車両。
[付記2]
液圧作業機能を有する車両用コントローラであって、前記コントローラが、
前記液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を示すアクチュエータ要求信号を受信し、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記車両の液圧機械及び弁装置を制御して、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように、構成され、
前記アクチュエータ要求信号に従って、前記1つ以上の液圧アクチュエータを前記運動させるために、前記液圧機械及び前記弁装置を制御して、前記車両の液圧アキュムレータを、前記車両の液圧流体マニホールドの第1の部分及び前記弁装置を介して、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、前記液圧アキュムレータを前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに、前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力の変化を同期させるために、前記第2のアクチュエータチャンバを、前記液圧流体マニホールドの第2の部分及び前記弁装置を介して、前記液圧機械に流体連通させる、コントローラ。
[付記3]
前記弁装置が、
前記少なくとも2つのアクチュエータチャンバのうちの、それぞれの1つのアクチュエータチャンバのみに各々が関連付けられた、1つ以上のアクチュエータチャンバ弁と、
前記1つ以上のアクチュエータチャンバ弁と前記液圧機械との間の、前記液圧マニホールド内の流体連通経路における、マニホールド弁群と、を備える、付記1に記載の車両、又は付記2に記載のコントローラ。
[付記4]
前記液圧機械が、複数のポンプ群を備え、前記複数のポンプ群の各々が、前記液圧流体マニホールドと流体連通している複数の作業チャンバを備え、各作業チャンバが、回転可能なシャフトに機械的に結合された可動作業面によって部分的に画定され、前記コントローラが、前記ポンプ群のうちの少なくとも1つを、前記ポンプ群うちの少なくとも1つの他の群とは異なるように制御するように構成され、任意選択的に、前記コントローラが、前記弁装置を制御して、前記ポンプ群のうちの少なくとも1つを、第1の構成では前記液圧流体マニホールドの前記第1の部分と流体連通させ、第2の構成では前記液圧流体マニホールドの前記第2の部分と流体連通させる、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記5]
前記車両が、複数の液圧作業機能を実行するのに適しており、任意選択的に、前記液圧作業機能のうちの少なくとも1つが、常に前記液圧機械と流体連通するように構成された少なくとも1つのアクチュエータチャンバを有する更なる液圧アクチュエータを使用して実行される、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記6]
前記液圧機械が、前記液圧アクチュエータ又は前記1つ以上の液圧アクチュエータのうちの所与の液圧アクチュエータと常に流体連通するように構成され、任意選択的に、前記液圧機械が、前記所与の液圧アクチュエータの所与のアクチュエータチャンバに常に流体連通するように構成されている、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記7]
前記アクチュエータ要求信号が、前記液圧作業機能に関連する流量要求又は速度要求を示す、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記8]
前記コントローラが、前記1つ以上の液圧アクチュエータの測定パラメータと前記1つ以上の前記パラメータの要求値との間の誤差に応じて、前記液圧機械及び前記弁装置を制御するように構成されている、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記9]
前記コントローラが、前記1つ以上の液圧アクチュエータを所与の速度で動かす要求に応じて、前記1つ以上の液圧アクチュエータの要求される力パラメータを決定し、前記要求される力パラメータに応じて、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させるように、前記液圧機械及び前記弁装置を制御するように構成されている、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記10]
前記1つ以上の液圧アクチュエータを動かす前記要求が、ユーザ入力から決定される、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記11]
前記液圧作業機能が、ブーム及びバケットのうちの少なくとも1つを含む、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記12]
前記1つ以上の液圧アクチュエータは、前記第1のアクチュエータチャンバの容積の拡大が前記第2のアクチュエータチャンバの容積の減少に対応するように配置されている、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記13]
前記液圧機械が、可変変位液圧機械である、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記14]
前記液圧機械が、ポンプモータであり、任意選択的に、電子整流式ポンプモータである、先行付記のいずれか一つに記載の車両又はコントローラ。
[付記15]
液圧作業機能を有する車両を制御するための方法であって、前記方法が、
前記液圧作業機能で使用される1つ以上の液圧アクチュエータを動かす要求を受信することと、
前記要求に応じて、液圧機械及び弁装置を制御して、前記車両の液圧アキュムレータを、前記車両の液圧流体マニホールド及び前記弁装置を介して、前記1つ以上の液圧アクチュエータのうちの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させ、前記液圧アキュムレータを前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通させることに同期して、前記液圧流体マニホールド及び前記弁装置を介して前記液圧機械と流体連通している、前記1つ以上の液圧アクチュエータのうちの第2のアクチュエータチャンバにおける圧力を変化させ、それによって、前記1つ以上の液圧アクチュエータを運動させることと、を含む、方法。
【外国語明細書】