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特開2023-115001飽和補正及び動的利得構成のための方法並びにそれを実行するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115001
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】飽和補正及び動的利得構成のための方法並びにそれを実行するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61B6/03 350F
A61B6/03 373
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016064
(22)【出願日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】17/666,129
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,ジーツォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,アミット
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベイ,チュアンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャッポ,マーク
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA13
4C093EA07
4C093EB17
4C093EC16
4C093FC16
4C093FC18
4C093FD03
4C093FD09
(57)【要約】
【課題】従来のフラットパネル検出器の狭いダイナミックレンジを克服するために、二重エネルギーCTシステムを動作させる代替のシステム及び方法が必要である。
【解決手段】少なくとも1つの飽和光線における飽和は、放射線検出器の現在のビューの間に基準点を通過した後に、放射線検出器で受光された放射線源の第1の光線に対応する飽和光線を特定するステップと、放射線検出器で受光された放射線源の第2の光線に対応する少なくとも1つの非飽和光線を特定するステップと、特定するステップに応答して、少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて飽和光線の値を調整するステップとを含む方法によって補正される。非飽和光線は、現在の回転の隣接ビューからの光線、前又は後続の回転の隣接ビューからの光線、又は共役光線であり得る。また、飽和を回避するための利得レベルの選択方法も開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの飽和光線における飽和を補正するための方法であって、
放射線検出器の現在のビューの間に基準点を通過した後に、前記放射線検出器で受光された放射線源の第1の光線に対応する飽和光線を特定するステップと、
前記放射線検出器の前のビューの間に前記基準点を通過した後に前記放射線検出器で受光された前記放射線源の第2の光線、又は前記放射線検出器の次のビューの間に前記基準点を通過した後に前記放射線検出器で受光された前記放射線源の第3の光線に対応する少なくとも1つの非飽和光線を特定するステップと、を含み、
前記放射線検出器の前記前のビュー及び前記放射線検出器の前記次のビューの各々は、前記現在のビューに隣接しており、
前記放射線源は、前記現在のビュー用の第1のエネルギーと、前記前のビュー及び前記次のビュー用の第2のエネルギーとを有し、前記第2のエネルギーは、前記第1のエネルギーとは異なり、
前記特定するステップに応答して、前記少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて前記飽和光線の値を調整するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記非飽和光線が、前記放射線源の現在の回転の間に放射される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非飽和光線が、前記飽和光線が放射される前記放射線源の回転とは異なる前記放射線源の回転の間に放射される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記飽和光線の前記値を調整するステップが、前記少なくとも1つの非飽和光線の前記値と前記現在のビューに関する情報とに基づいて前記飽和光線の前記値を調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非飽和光線が前記第2の光線に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非飽和光線が前記第3の光線に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記飽和光線の値が、前記第2の光線に対応する非飽和光線の値と、前記第3の光線に対応する非飽和光線の値とに基づいて調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記飽和光線の値を調整する前記ステップが、前記非飽和光線の値と、前記放射線検出器の前記現在のビューから前記飽和光線に隣接する非飽和光線の値とに基づいて前記飽和光線の値を調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の光線が短い経路長を有するスキャン対象物の領域を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの飽和光線における飽和を補正するための方法であって、
放射線検出器の現在のビューの間に基準点を通過した後に、前記放射線検出器で受光した放射線源の第1の光線に対応する飽和光線を特定するステップと、
共役ビューの間に前記基準点を通過した後に前記放射線検出器で受光した前記放射線源の第2の光線に対応する少なくとも1つの非飽和光線を特定するステップと、を含み、
前記第2の光線は、前記第1の光線に対して180°回転した第3の光線に隣接し、
前記特定するステップに応答して、前記少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて前記飽和光線の値を調整するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記放射線源が、前記現在のビュー用の第1のエネルギー及び前記共役ビュー用の第2のエネルギーを有し、前記第2のエネルギーが前記第1のエネルギーとは異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記飽和光線の値が、前記非飽和光線の値及び前記現在のビューに関する情報に基づいて調整される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記飽和光線の値が、前記第2の光線に対応する非飽和光線の値と、前記飽和光線のフレームにおける非飽和光線の値とに基づいて調整される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記飽和光線の値が、前記第2の光線に対応する非飽和光線の値と、前記飽和光線の回転として前又は次の回転において同様の方位角を有する非飽和光線の値とに基づいて調整される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の光線が、短い経路長を有するスキャン対象物の領域を通過する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
二重エネルギー撮像システムを動作させる方法であって、
放射線源から、第1のエネルギーレベルで第1の複数の光子を放射するステップと、
放射線検出器で前記第1の複数の光子の少なくとも一部を受光するステップと、
前記放射線検出器で受光した前記第1の複数の光子の前記少なくとも一部の第1の量を示す第1の信号を前記放射線検出器の第1の利得レベルによって増幅して前記放射線検出器から出力するステップと、
前記放射線源から、第2のエネルギーレベルで第2の複数の光子を放射するステップと、
前記放射線検出器で前記第2の複数の光子の少なくとも一部を受光するステップと、
前記放射線検出器で受光した前記第2の複数の光子の前記少なくとも一部の量を示す第2の信号を、前記放射線検出器の第2の利得レベルによって増幅して前記放射線検出器から出力するステップとを含み、
前記第1の利得レベル及び前記第2の利得レベルは、前記第1の複数の光子に対応する第1の信号及び前記第2の複数の光子に対応する第2の信号の飽和を回避するように選択される、方法。
【請求項17】
前記第1のエネルギーレベルが前記第2のエネルギーレベルと異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の利得レベルが前記第2の利得レベルと異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の利得レベル及び前記第2の利得レベルが、前のスキャンのエネルギーレベル及び利得レベルに基づいて飽和を回避するように選択され、少なくとも1つの飽和信号が前記前のスキャンの間に出力された、請求項16に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを含む改善された撮像のために、低エネルギー放射線(例えば、キロボルト(kV))と高エネルギー放射線(例えば、メガボルト(MV))とを組み合わせて利用する撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
二重エネルギーCTスキャンでは、異なるエネルギーを有する放射線ビームがスキャンに使用される。キロボルト(kV)切り替え撮影プロトコルでは、放射線電圧を、低エネルギー(例えば、80kV)と高エネルギー(例えば、140kV)との間で交互に高速で変化させる。その結果、ほぼ同時に登録された二重エネルギーデータを分解することができ、高画質の画像を生成することができる。
【0003】
様々な二重エネルギーCTシステムは、放射線ビームを検出するように構成されたフラットパネル検出器を含む。しかしながら、このようなフラットパネル検出器は、そのダイナミックレンジが狭い可能性がある。例えば、従来のフラットパネル検出器は、CT検出器で通常使用される20又は24ビットと比較して、16ビットを有する。ダイナミックレンジが狭い結果として、検出器は、高エネルギーパルス又は低エネルギーパルスによる低減衰経路で飽和する可能性がある。
【0004】
したがって、フラットパネル検出器の狭いダイナミックレンジを克服するために、二重エネルギーCTシステムを動作させるための代替のシステム及び方法が必要となる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
第1の実施形態では、少なくとも1つの飽和光線の飽和を補正するための方法は、放射線検出器の現在のビューの間に基準点を通過した後に、放射線検出器で受光した放射線源の第1の光線に対応する飽和光線を特定するステップと、放射線検出器の前のビューの間に基準点を通過した後に放射線検出器で受光した放射線源の第2の光線、又は放射線検出器の次のビューの間に基準点を通過した後に放射線検出器で受光した放射線源の第3の光線に対応する少なくとも1つの非飽和光線を特定するステップと、特定するステップに応答して、少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて飽和光線の値を調整するステップとを含む。放射線検出器の前のビュー及び放射線検出器の次のビューの各々は現在のビューに隣接しており、放射線源は、現在のビュー用の第1のエネルギーと、前のビュー及び次のビュー用の第2のエネルギーとを有し、第2のエネルギーは第1のエネルギーとは異なる。
【0006】
別の実施形態では、少なくとも1つの飽和光線の飽和を補正するための方法は、放射線検出器の現在のビューの間に基準点を通過した後に、放射線検出器で受光した放射線源の第1の光線に対応する飽和光線を特定するステップと、共役ビューの間に基準点を通過した後に放射線検出器で受光した放射線源の第2の光線に対応する少なくとも1つの非飽和光線を特定するステップと、特定するステップに応答して、少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて飽和光線の値を調整するステップとを含む。第2の光線は、第1の光線に対して180°回転した第3の光線に隣接する。
【0007】
別の実施形態によれば、二重エネルギー撮像システムを動作させる方法は、放射線源から、第1のエネルギーレベルで第1の複数の光子を放射するステップと、放射線検出器で第1の複数の光子の少なくとも一部を受光するステップと、放射線検出器で受光した第1の複数の光子の少なくとも一部の第1の量を示す第1の信号を放射線検出器の第1の利得レベルによって増幅して放射線検出器から出力するステップと、放射線源から、第2のエネルギーレベルで第2の複数の光子を放射するステップと、放射線検出器で第2の複数の光子の少なくとも一部を受光するステップと、放射線検出器で受光した第2の複数の光子の少なくとも一部の量を示す第2の信号を、放射線検出器の第2の利得レベルによって増幅して放射線検出器から出力するステップとを含む。第1の利得レベル及び第2の利得レベルは、第1の複数の光子に対応する第1の信号及び第2の複数の光子に対応する第2の信号の飽和を回避するように選択される。
【0008】
1つの実施形態に関して説明及び/又は例示されている特徴は、1つ又は複数の他の実施形態において同じ方法又は同様の方法で、及び/又は他の実施形態の特徴と組み合わせて、又はその代わりに使用することができる。
【0009】
本発明の説明は、特許請求の範囲で使用される単語又は特許請求の範囲もしくは発明の範囲を何ら限定するものではない。特許請求の範囲で使用される単語は、それらの完全な通常の意味の全てを有する。
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面には、本発明の実施形態が示されており、上記の本発明の一般的な説明及び以下の詳細な説明と共に、本発明の実施形態を例示するのに役立つ。図面に示されている要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)は、境界の一実施形態を表すことが理解されよう。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として設計されてもよいし、複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として示されている要素は、外部構成要素として実装されてもよく、その逆も可能である。更に、要素は縮尺通りに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による例示的な放射線治療提供デバイスである。
図2】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による放射線治療提供デバイスの例示的な図である。
図3】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による例示的なデバイス構成である。
図4】本明細書に示し説明する1つ又は複数の実施形態による飽和光線において飽和補正を実行する例示的な方法のフローチャートである。
図5】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による別の例示的なデバイス構成である。
図6】本明細書に示し説明する1つ又は複数の実施形態による飽和光線において飽和補正を実行する別の例示的な方法のフローチャートである。
図7】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による別の例示的なデバイス構成である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本開示を通して使用され得る例示的な用語の定義を含む。全ての用語の単数形及び複数形は、それぞれの意味に該当する。
【0013】
本明細書で使用される「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、又はそれらの組合せとして定義することができる。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサ及びメモリの一部を含むことができ、メモリは実行する命令を含む。構成要素をデバイスに関連付けてもよい。
【0014】
様々な実施形態では「二重スキャン」又は「第1のスキャン」と「第2のスキャン」として説明されているが、本明細書に説明する画像取得方法は、多重回転スキャンを含むか、又はその他の方法で使用することができ、それは、例えば、連続スキャン(例えば、患者支持体はガントリボアを通って長手方向に移動すると共に、線源は中心軸を中心としてヘリカル軌道を描く)、患者支持体の長手方向の増分移動を伴う非連続ストップアンドリバース円形スキャン、ステップアンドシュート円形スキャンなどであってもよい。したがって、本明細書で使用する「二重スキャン」という語句は、多重回転を含むスキャンを指し、これは連続的であっても非連続的であってもよい。
【0015】
本明細書で使用される「回路」と同義の「論理」は、機能(複数可)又は動作(複数可)を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれぞれの組合せを含むが、これらに限定されない。例えば、所望の用途や必要性に基づいて、論理は、ソフトウェア制御のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などの個別論理、又はその他のプログラムされた論理デバイス及び/又はコントローラを含むことができる。また、論理をソフトウェアとして完全に具現化してもよい。
【0016】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、及びデジタル信号プロセッサ(DSP)などの実質的に任意の数のプロセッサシステム又はスタンドアロンプロセッサの1つ又は複数を任意の組合せで含むが、これらに限定されない。プロセッサは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、又は割り込みコントローラなど、プロセッサの動作をサポートする様々な他の回路に関連付けられてもよい。これらのサポート回路は、プロセッサ又はその関連する電子パッケージの内部又は外部にあってもよい。サポート回路は、プロセッサと動作可能に通信する。なお、サポート回路は、ブロック図やその他の図面で必ずしもプロセッサと別個に示されている必要はない。
【0017】
本明細書で使用される「信号」には、アナログ信号又はデジタル信号、1つ又は複数のコンピュータ命令、ビット又はビットストリームなどを含む1つ又は複数の電気信号などを含むが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用される「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、論理、及び/又は他の電子デバイスに機能、動作、及び/又は所望の方法で実行させる1つ又は複数のコンピュータ可読及び/又は実行可能命令を含むが、これらに限定されない。命令は、動的にリンクされたソース又はライブラリからの別個のアプリケーション又はコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュール、又はプログラムなどの様々な形態で具現化されてもよい。
【0019】
上記で例示的な定義が示されたが、本明細書と一致する最も広い合理的な解釈がこれら及び他の用語に使用されることが本出願人の意図である。
【0020】
1つ又は複数の実施形態によれば、基準点を通過した後に放射線検出器で受光される放射線源の後続の光線に対応する少なくとも1つの非飽和光線を特定し、少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて飽和光線の値を調整することによって、現在のビューの少なくとも1つの飽和光線の飽和が補正される。後続の光線は、例えば、放射線検出器の前のビューの間、放射線検出器の次のビューの間、又は放射線検出器の共役ビューの間、又は(同一又は同様の角度での)前又は今後の回転の間、基準点を通過した後に放射線検出器で受光される光線であってもよい。いくつかの実施形態では、放射線源は、現在のビュー用の第1のエネルギーと、前のビュー、次のビュー、又は共役ビュー用の第2のエネルギーとを有し、ここで、第2のエネルギーは第1のエネルギーとは異なる。したがって、非飽和光線の隣接ビュー又は共役ビューのデータを使用して飽和光線の値を調整することができ、ダイナミックレンジが狭いにもかかわらず、フラットパネル検出器を二重エネルギー撮像システムで使用することができる。
【0021】
更に、1つ又は複数の実施形態によれば、放射線検出器の利得値を、放射線源のエネルギー切り替えと連動して切り替えることができる。実施形態では、光子は放射線源から第1のエネルギーレベルで放射され、その光子の少なくとも一部は放射線検出器で受光され、第1の利得レベルで増幅された受光光子の量を示す第1の信号が出力される。放射線源は第2のエネルギーレベルで光子を放射し、その光子の少なくとも一部は放射線検出器で受光され、第2の利得レベルで増幅された受光光子の量を示す第2の信号が出力される。第1の利得レベルは、第2の利得レベルよりも低い。実施形態では、第1のエネルギーレベルは第2のエネルギーレベルよりも低く、低エネルギーパルスと比較して高エネルギーパルスが低い利得レベルを使用して検出されるようにする。したがって、検出器の利得レベルは、検出器に蓄積されるエネルギーの予想量に基づいて動的に調整することができ、フラットパネル検出器のダイナミックレンジが狭いにもかかわらず、二重エネルギー撮像システムに使用することができる。
【0022】
ここで図1及び図2を参照すると、マルチモーダル装置10が示されている。マルチモーダル装置10は、例えば、IGRT提供システムとして、IGRTに限定されない様々な用途に使用することができる(図2に示すような)放射線治療デバイスに関連付けられ、及び/又はそれに統合することができることが理解されよう。マルチモーダル装置10は、ガントリ12と呼ばれる回転可能ガントリシステムを含み、支持ユニット又はハウジング14によって支持されるか、他の方法で収容される。本明細書でのガントリとは、1つ又は複数の放射線源及び/又は関連する検出器をターゲットの周りを回転しながら支持することができる1つ又は複数のガントリ(例えば、リングアーム又はCアーム)を備えるガントリシステムを指す。回転可能リングガントリ12は、10rpm以上の回転が可能であってもよい。
【0023】
回転可能ガントリ12は、ガントリボア16を画定し、撮像及び/又は治療のために患者を移動及び位置決めすることができる。一実施形態によれば、回転可能ガントリ12は、放射線源及び関連する放射線検出器(複数可)の連続回転を提供する一方で、検出器(複数可)が受光する高品質の撮像データに十分な帯域幅を提供するスリップリングガントリとして構成されている。スリップリングガントリは、デバイスに関連する電力や信号を伝送するケーブルの巻き取りと巻き戻しのために、ガントリを交互方向に回転させる必要がない。このような構成により、IGRTシステムに組み込まれた場合であっても、CBCTを含む連続ヘリカルコンピュータ断層撮影が可能になる。
【0024】
患者支持体18は、回転可能ガントリ12に隣接して配置され、回転可能ガントリ12内への、及び回転可能ガントリ12内での長手方向の移動のために、一般的には水平位置にある患者を支持するように構成される。患者支持体18は、例えば、ガントリ12の回転平面に垂直な方向に(ガントリ12の回転軸に沿って又は平行に)患者を移動させることができる。患者支持体18は、患者及び患者支持体18の動きを制御するための患者支持コントローラに動作可能に結合することができる。患者支持コントローラは、指示された撮像計画及び/又は治療計画に従って患者の長手方向軸を中心に回転させるために、回転可能ガントリ12及び回転ガントリに取り付けられた放射線源と同期することができる。患者支持体はまた、ボア16内に入ると、上下左右に限定された範囲で動かすことができ、最適な治療ができるように患者の位置を調整することができる。軸x、y、及びzが示されており、ガントリ12の正面から見て、x軸は水平で右を指し、y軸はガントリ平面を指し、z軸は垂直で上を指す。x軸、y軸、及びz軸は、右手の法則に従う。
【0025】
図2に示すように、マルチモーダル装置10は、回転可能ガントリ12に結合されるか、他の方法で支持される放射線源30を含む。この実施形態では、放射線源30は、撮像用放射線源であり、高画質画像を生成するために放射線ビーム(一般に32として示される)を放射する。この実施形態では、撮像用放射線源は、キロボルト(kV)源(例えば、約20kV~約150kVの範囲のエネルギーレベルを有する臨床用x線源)として構成されたx線源30である。一実施形態では、低エネルギー放射線源は、最大150keVまでのキロ電子ボルト(keV)ピーク光子エネルギーを含む。撮像放射線源は、撮像に適した任意のタイプの透過源とすることができる。例えば、撮像用放射線源は、例えば、x線発生源であってもよい。本明細書におけるx線、x線撮像、x線撮像源などへの言及は、特定の実施形態の例示である。他の撮像透過源は、様々な他の実施形態において交換可能に使用することができる。
【0026】
様々な実施形態において、放射線源30は、投影ビュー間で第1の電圧(例えば、約80kV)と第2の電圧(例えば、約140kV)との間で高速で切り替えられ、それにより、ほぼ同時に登録された二重エネルギーデータを提供する。実施形態において、放射線源30の電圧は、第1の電圧における現在のビューが第2の電圧における前の隣接ビュー及び次の隣接ビューを有するように、2つの連続する投影ビューの間で第1の電圧から第2の電圧に切り替えられる。実施形態では、放射線源30の電圧は、所定のシーケンス(例えば、第1の電圧で3パルスと、それに続く第2の電圧で1パルスなどの反復シーケンス)に従って切り替えられる。
【0027】
x線検出器34(例えば、二次元フラット型検出器)は、回転可能ガントリ12に結合されるか、他の方法で支持される。x線検出器34は、x線源30から放射線を受光するように配置され、x線源30と共に回転することができる。x線検出器34は、開示された技術の範囲から逸脱することなく、いくつかの構成を取り得ることが理解されよう。図1及び図2に示すように、x線検出器34は、フラットパネル型検出器(例えば、多列フラットパネル型検出器)として構成することができる。検出器34は、減衰しなかった放射線の量を検出するか又は他の方法で測定することができ、したがって、患者又は関連する患者ROIによって実際に減衰したものを(最初に生成されたものと比較して)推測することができる。検出器34は、放射線源30が患者の周囲を回転して放射線を患者に向けて放射するときに、異なる角度から減衰データを検出又は収集することができる。
【0028】
図1及び図2は、放射線源30がリングガントリ12に取り付けられたマルチモーダル装置10を示しているが、他の実施形態は、例えば、Cアームガントリ及びロボットアームベースのシステムを含む他のタイプの回転可能な撮像装置を含んでもよい。ガントリベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンタを通過する軸を中心に撮像用放射線源30を回転させる。ガントリベースのシステムはCアームガントリを含み、撮像用放射線源30は、アイソセンタを通過する軸の上に片持ち梁状に取り付けられ、その軸を中心に回転する。ガントリベースのシステムは、患者の身体がリング/トロイドのボアを通って延びる概ねトロイダル形状を有するリングガントリ、例えば、回転可能ガントリ12を更に含み、撮像用放射線源30はリングの外周に取り付けられ、アイソセンタを通過する軸を中心に回転する。いくつかの実施形態では、ガントリ12は連続的に回転する。他の実施形態では、ガントリ12は、回転と反転を繰り返すケーブルベースのシステムを利用する。
【0029】
コリメータ又はビームフォーマアセンブリ(一般に36として示す)は、x線源30に対して配置され、x線源30が放射する放射線ビーム32の形状を選択的に制御及び調整して、x線検出器34の活性領域の一部又は領域を選択的に露光させる。ビームフォーマはまた、放射線ビーム32がx線検出器34上にどのように配置されるかを制御することもできる。一実施形態では、ビームフォーマ36は、(例えば、より薄い又はより厚いスリットを作成するために)1自由度/次元の動きを持つことができる。別の実施形態では、ビームフォーマ36は、2自由度/次元の動き(例えば、様々なサイズの長方形を作成)を持つことができる。他の実施形態では、ビームフォーマ36は、例えば、平行四辺形を含む様々な他の動的に制御される形状が可能であってもよい。これらの形状は全て、スキャンの間に動的に調整することができる。いくつかの実施形態では、ビームフォーマの遮断部分を回転及び/又は並進させることができる。
【0030】
ビームフォーマ36は、x線源30が放射する放射線ビーム32の形状を調整することができる様々な方法で構成され得る。例えば、ビームフォーマ36は、x線源30からの放射線ビームが平行になって通過することができる開口部のサイズを規定し、選択的に調整する一組のジョー又は他の適切な部材を含むように構成することができる。例示的な一構成によれば、ビームフォーマ36は、上部ジョーと下部ジョーを含むことができ、上部ジョーと下部ジョーは、異なる方向(例えば、平行な方向)に移動可能であり、x線源30からの放射線ビームが通過する開口部のサイズを調整し、また、撮像の最適化及び患者の被ばく線量の最小化のために、撮像される患者の部分のみを照射するように、患者に対するビーム32の位置を調整することができる。
【0031】
図2に示すように、マルチモーダル装置10は、回転可能ガントリ12に結合されるか、他の方法で支持される高エネルギー放射線源(例えば、MV)20を含む放射線治療デバイスと統合されてもよい。一実施形態によれば、高エネルギー放射線源20は、関心領域における患者内の腫瘍の治療に使用される高エネルギー放射線源などの治療用放射線源として構成される。他の実施形態では、高エネルギー放射線源20はまた、撮像用放射線源として構成されるか、又は少なくともそのように利用される。治療用放射線源は、高エネルギーx線ビーム(例えば、MVのx線ビーム)、及び/又は高エネルギー粒子ビーム(例えば、電子ビーム、陽子ビーム、又は炭素などの重イオンビーム)、又は別の適切な形態の高エネルギー放射線であり得ることが理解されよう。一実施形態では、高エネルギー放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルト(MeV)ピーク光子エネルギーを含む。一実施形態では、高エネルギーx線ビームは、約0.8MeVより大きい平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーx線ビームは、約0.2MeVより大きい平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーx線ビームは、約150keVを超える平均エネルギーを有する。一般に、高エネルギー放射線源20は、低エネルギー放射線源30よりも高いエネルギーレベル(ピーク及び/又は平均など)を有する。
【0032】
一実施形態では、高エネルギー放射線源20は、治療用放射線(例えば、MV)を生成するLINACであり、撮像システムは、比較的低強度の低エネルギー撮像用放射線(例えば、kV)を生成する独立した低エネルギー放射線源30を含む。他の実施形態では、治療用放射線源20は、一般に約1MeVを超えるエネルギーを有することができる、例えば、C0-60などの放射性同位体であってもよい。高エネルギー放射線源20は、治療計画に従って患者支持体18上に支持される患者内の関心領域(ROI)に向けて1つ又は複数の放射線ビーム(一般に22で示す)を放射することができる。
【0033】
様々な実施形態では、高エネルギー放射線源20は、治療用放射線源及び撮像用放射線源として利用される。以下で詳細に説明するように、放射線源20、30を互いに組み合わせて使用し、より高品質でより利用価値の高い画像を提供することができる。本明細書での治療用放射線源20への言及は、高エネルギー放射線源20と、撮像のためにだけ使用され得る低エネルギー放射線源30とを区別するためのものである。しかしながら、治療用放射線源20への言及は、治療用放射線源20(高エネルギー放射線源)を治療及び/又は撮像に利用することができる実施形態を含む。他の実施形態では、少なくとも1つの追加の放射線源を回転可能ガントリ12に結合し、放射線源20、30のピーク光子エネルギーとは異なるピーク光子エネルギーで投影データを取得するように動作させることができる。
【0034】
マルチモーダル装置10は、オペレータ/ユーザインタフェース48を含むことができ、装置10のオペレータは、装置10と対話するか、又は他の方法で制御して、スキャン又は撮像パラメータなどに関する入力を提供することができる。オペレータインタフェース48は、キーボード、マウス、音声起動コントローラなどの任意の適切な入力デバイスを含んでもよい。装置10はまた、装置10のオペレータに出力を提供するためのディスプレイ52又は他の人間が読める要素を含んでもよい。例えば、ディスプレイ52により、オペレータは、再構成された患者画像、及び装置10の動作に関連する撮像又はスキャンパラメータなどその他の情報を観察することが可能になる。
【0035】
図2に示すように、マルチモーダル装置10は、装置10の1つ又は複数の構成要素に動作可能に結合されたコントローラ(一般に60として示す)を含む。コントローラ60は、x線源30及び/又は治療用放射線源20への電力及びタイミング信号の供給、検出器34への利得信号の供給、並びに回転可能ガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリモータコントローラを含む装置10の機能及び動作の全体を制御する。コントローラ60は、患者支持コントローラ、ガントリコントローラ、治療用放射線源20及び/又はx線源30に結合されたコントローラ、ビームフォーマコントローラ、検出器24及び/又はx線検出器34に結合されたコントローラなどのうちの1つ又は複数を包含することができることが理解されよう。一実施形態では、コントローラ60は、他の構成要素、デバイス、及び/又はコントローラを制御することができるシステムコントローラである。
【0036】
様々な実施形態では、再構成プロセッサ40、オペレータインタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60及び/又は他の構成要素を、1つ又は複数の構成要素又はデバイスに組み合わせることができる。
【0037】
装置10は、様々な構成要素、論理、及びソフトウェアを含んでもよい。一実施形態では、コントローラ60は、プロセッサ、メモリ、及びソフトウェアを備える。限定ではなく例として、マルチモーダル装置及び/又は放射線治療システムは、特定の用途のための撮像及び/又はIGRTに関連する1つ又は複数のルーチン又はステップを実施することができる様々なその他のデバイス及び構成要素(例えば、とりわけ、ガントリ、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者支持体)を含むことができ、ここで、ルーチンは、メモリに記憶することができるそれぞれのデバイス設定、構成、及び/又は位置(例えば、経路/軌道)を含む、撮像、画像ベースの事前提供ステップ、及び/又は治療提供を含むことができる。更に、コントローラ(複数可)は、メモリに記憶された1つ又は複数のルーチン又はプロセスに従って、1つ又は複数のデバイス及び/又は構成要素を直接的又は間接的に制御することができる。直接制御の一例は、撮像又は治療に関連する様々な放射線源又はコリメータパラメータ(電力、速度、位置、タイミング、変調など)の設定である。間接制御の一例は、患者支持コントローラ又はその他の周辺機器への位置、経路、速度などの伝達である。適切なコマンド及び/又は情報を所望のデバイス及び構成要素に伝達するために、装置に関連付けられ得る様々なコントローラの階層を任意の適切な方法で配置してもよい。
【0038】
更に、当業者は、システム及び方法を他のコンピュータシステム構成で実施できることを理解するであろう。本発明の図示された態様は、特定のタスクが通信ネットワークを介してリンクされたローカル又はリモートの処理装置によって実行される分散型コンピューティング環境において実施され得る。例えば、一実施形態では、再構成プロセッサ40は、別個のシステムに関連付けられてもよい。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールをローカル及びリモートのメモリ記憶装置の両方に配置してもよい。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピューティングプラットフォーム、クラウドデータベース、又はこれらの組合せを装置10で利用してもよい。
【0039】
マルチモーダル装置10は、コンピュータを含む本発明の様々な態様を実施するための例示的な環境を利用することができ、コンピュータは、コントローラ60(例えば、プロセッサと、メモリ44であってもよいメモリとを含む)及びシステムバスを含む。システムバスは、メモリを含むがこれに限定されないシステム構成要素をプロセッサに結合することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、デバイス、及びプロセッサと通信することができる。メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、フラッシュドライブ、及び任意の他の形態のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。メモリは、例えば、治療計画を含むことができるルーチン及びパラメータを含む様々なソフトウェア及びデータを記憶することができる。
【0040】
治療用放射線源20及び/又はx線源30は、治療用放射線源20及びx線源30の相対動作を制御するように構成されたコントローラ60に動作可能に結合することができる。例えば、x線源30を治療用放射線源20と同時に制御し、動作させることができる。加えて、又は代替的に、x線源30は、実施される特定の治療計画及び/又は撮像計画に応じて、治療用放射線源20を用いて順次、制御し動作させることができる。例えば、様々な実施形態において、放射線源20、30からの測定投影データが同時に(又は本質的に/ほぼ(準)同時に、例えば、互いに約50ms以内に)、又は順次に(例えば、秒、分などで区切って)、取得されるように、放射線源20、30を動作させることができる。
【0041】
いくつかの方法で撮像スキャン及び/又は治療スキャンの間に、患者を中心として、放射線源20、30及び検出器(複数可)24、34を回転するように構成することができることが理解されよう。一実施形態では、線源20、30の動きと露光を患者支持体18の長手方向の動きと同期させることにより、治療中に患者画像の連続したヘリカル撮影又はヘリカルスキャンを行うことができる。放射線源20、30及び検出器(複数可)24、34(例えば、患者の移動速度を一定にしたガントリの連続的かつ一定の回転)に加えて、開示した技術の範囲から逸脱することなく他の変形形態を採用できることが理解されよう。例えば、回転可能ガントリ12及び患者支持体は、支持体が回転可能ガントリ12に対して(一定又は可変の速度で)移動するように制御されるので、ガントリ12が患者支持体上に支持された患者の周りを「往復」方式で(例えば、時計回りの回転と反時計回りの回転を交互に)回転するように(上記のように連続的にではなく)制御することができる。別の実施形態では、連続したステップアンドシュート円形スキャンにより、患者支持体18の長手方向への移動(ステップ)と回転可能ガントリ12によるスキャン回転(シュート)は、所望の量が捕捉されるまで交互に行われる。マルチモーダル装置10は、ボリュームベース及びプラナーベースの画像取得が可能である。例えば、様々な実施形態では、マルチモーダル装置10を使用して、ボリューム画像及び/又はプラナー画像を取得し、関連する処理を実行することができる。
【0042】
様々な他のタイプの放射線源及び/又は患者支持体の移動を利用して、放射線源と患者との相対的な動きを実現し、投影データを生成することができる。放射線源及び/又は患者支持体の非連続的な動き、連続的だが可変/非一定(線形及び非線形を含む)移動、速度、及び/又は軌道など、並びにこれらの組合せを、上述の装置10の様々な実施形態との組合せを含めて、使用してもよい。
【0043】
一実施形態では、ガントリ12の回転速度、患者支持体18の速度、ビームフォーマの形状、及び/又は検出器の読み出しは全て、画像取得中、一定であり得る。他の実施形態では、これらの変数の1つ又は複数は、画像取得中及び/又は治療中に動的に変化する可能性がある。
【0044】
他の実施形態では、これらの特徴は、例えば、患者設定、適応治療モニタリング、治療計画などを含む1つ又は複数の他の画像ベースの動作又は手順と組み合わせることができる。
【0045】
画像データ取得中、線源(例えば、線源30)と検出器(例えば、34)の両方は、ガントリ12の回転に伴って角度方向の経路に沿って移動する。線源30と検出器34は、それぞれの経路に沿って同期して移動することができる。例えば、図3に示すように、検出器34が位置303、305、307に配置されている場合、角度方向の経路に沿った様々な位置でデータが収集される。
【0046】
各位置303、305、307において、検出器34は、次のビューに進む前に、適切なタイプのデータを収集するためにある一定の時間を費やす。データタイプは、線源30から対象物26(本明細書では「スキャン対象物」と呼ぶこともある)を通るx線の横断に関するデータである画像データI、又は線源30の電源がオフのときに検出器34によって検出されるデータである背景データBであってもよい。画像データIは、例えば、患者に関する診断データであってもよい。しかしながら、本開示の文脈では、他のデータを得てもよい。画像データIは、断層撮影法を使用して患者の3D表現を形成するために再構成することができる。画像データIを検出するために、線源30の電源を入れ、x線を放射しなければならない。本明細書では「x線を放射する」と称するが、線源30は、共に、x線又は光線と称する光子の流れ(例えば、光線)を放射することを理解すべきである。
【0047】
実施形態では、放射線源30は、図3に示すように、投影ビュー間で第1の電圧(例えば、約140kV)と第2の電圧(例えば、約80kV)との間で高速で切り替えられる。図3では、現在のビュー304における放射線源30及びx線検出器34の位置を薄黒くし、前のビュー及び次のビューにおける放射線源30及びx線検出器34の位置を破線で示す。特に、前のビューでは、放射線源は位置306にあり、x線検出器は位置307にあり、次のビューでは、放射線源は位置302にあり、x線検出器は位置303にある。各ビューにおいて放射線源30が複数の光線を放射し、x線検出器34が複数の光線を受光することを理解すべきであるが、図3では、各位置で放射線源30が放射する単一の光線が図示され、その他の光線はわかりやすくするために省略されている。現在のビューの間に光線Cが放射され、前のビューの間に光線Pが放射され、次のビューの間に光線Nが放射される。
【0048】
図示された光線C、N及びPの各々は、スキャン対象物26内の基準点Rを通過する。図3に示す実施形態では、基準点Rは、スキャン対象物26の周辺領域に位置する。基準点Rの位置は周辺領域に限定されないが、スキャン対象物によるx線の減衰は少なく、飽和が起こりやすくなると考えられる。したがって、基準点Rは、周辺領域に位置するものとして様々な実施形態で説明することができるが、基準点Rは、ビュー内のどこに位置してもよいと考えられる。光線C、N及びPの各々は、基準点Rを通過した後に放射線検出器34で受光される。様々な実施形態において、基準点Rは、アイソセンタに最も近い光線上の点として構成される。
【0049】
図3に示す実施形態では、電圧切り替えはインターリーブされており、第1の電圧におけるあるビュー(例えば、現在のビュー)での放射に続いて第2の電圧における次のビューでの放射があり、第1の電圧におけるあるビューでの放射は、第2の電圧における前のビューでの放射に先行していることを意味する。言い換えれば、放射線源からの放射は、第1の電圧と第2の電圧との間で交互に行われる。様々な実施形態において、飽和補正は、現在及び/又は次もしくは前のビューからの非飽和光線又はフレームからの情報を用いて、少なくとも1つの飽和光線に対して実行することができる。本明細書では、非飽和光線を使用するものとして飽和補正を説明しているが、飽和光線を補正するために、同じフレーム(即ち、非飽和フレーム)からの複数の非飽和光線を(例えば、平均化して)使用することができると考えられる。
【0050】
図4は、様々な実施形態による、隣接するフレームを使用する飽和補正の例示的な方法のフローチャートである。図3及び図4の以下の説明では、現在のビューは第1の電圧(例えば、約140kV)での放射を含むものとして説明され、前のビュー及び次のビューは第2の電圧(例えば、約80kV)での放射を含むものとして説明される。しかしながら、参照される「現在のビュー」に応じて、現在のビュー、前のビュー、及び次のビューの電圧を逆にすることができることを理解すべきである。更に、非飽和データは、非飽和光線が飽和光線と基準点を通る実質的に同じ経路長を有することを条件として、同じ回転の間に位置するか又は異なる回転の間に位置するかどうかに拘わらず、三次元空間において飽和光線に近接する(例えば、隣接する)1つ又は複数の非飽和光線から来ることができると考えられる。
【0051】
この例では、光線Cの結果として位置305でx線検出器34が受け取るエネルギー量(図4のブロック500)は、x線検出器34のダイナミックレンジを超える。このエネルギーを受け取った結果、x線検出器34に関連するコントローラは、投影光線Cが飽和していると判定する(図4のブロック502)。しかしながら、光線P及びNの各々の結果としてx線検出器34が受け取るエネルギー量(この例では、光線Cの結果としてx線検出器が受け取るエネルギー量の約1/3)は、x線検出器34のダイナミックレンジを超えない。図4のブロック504において、x線検出器34に関連するコントローラは、投影光線Cの基準点Rを通る前のビューからの対応する投影光線(例えば、光線P)及び次のビューからの対応する投影光線(例えば、光線N)を特定する。光線P及び光線Nの結果としてx線検出器34が受け取ったエネルギー量に基づいて、コントローラは、投影光線P及びNが飽和していないと判定する(例えば、決定ブロック506における「いいえ」)。言い換えれば、コントローラは、x線検出器の前又は次のビューから、少なくとも1つの非飽和光線を特定する。
【0052】
様々な実施形態において、所与の投影光線が飽和しているか否かの判定は、所与の光線に対する受光エネルギーに応答するx線検出器の出力をx線検出器のしきい値出力値と比較するコントローラの結果であり得る。一実施形態では、コントローラは、光線Cを受光した結果としてx線検出器が出力する信号を最大信号出力値と比較し、x線検出器が出力する信号が最大信号出力値に等しいと判定した場合に、コントローラは、投影光線Cが飽和していると判定する。更に、コントローラは、光線P及び/又は光線Nの受光の結果としてx線検出器が出力する信号を最大信号出力値と比較し、x線検出器が出力する信号が最大信号出力値未満であると判定すると、コントローラは、対応する投影光線P又はNが飽和していないと判定する(ブロック506)。様々な実施形態において、投影光線P及び/又はNが飽和していないと判定すると(例えば、ブロック506における「いいえ」)、対応する投影光線P及び/又はNからのデータを使用して、現在の光線Cの飽和光線を補正する(ブロック508)。
【0053】
実施形態では、現在の光線Cは飽和している間、前のビューからの光線P及び次のビューの光線Nの両方は飽和しておらず、したがって、光線P及び光線Nの両方からのデータを使用して光線Cの飽和補正を実行することができる。しかしながら、他の実施形態では、現在の光線Cは飽和し、光線P及び光線Nの一方は飽和しないが、他方は飽和する。このような実施形態では、ブロック508において、飽和していない対応する投影光線からのデータは飽和補正に使用されるが、他方の対応する投影光線からのデータは飽和補正の目的のために無視される。例えば、前のビューからの対応する投影光線Pは飽和しておらず、次のビューからの対応する投影光線Nは飽和している実施形態では、光線Pからのデータは飽和補正に使用され、光線Nからのデータは飽和補正の目的のために無視される。別の例として、次のビューからの対応する投影光線Nは飽和しておらず、前のビューからの対応する投影光線Pは飽和している実施形態では、光線Nからのデータは飽和補正に使用され、一方、光線Pからのデータは飽和補正の目的のために無視される。
【0054】
様々な実施形態において、ブロック508において、隣接(例えば、前又は次の)ビューからの任意の非飽和データからのデータに加えて、近接する非飽和投影データも飽和補正に使用される。このような近接する非飽和投影データは、同じフレーム内の近接する非飽和光線、又はデータの近接する非飽和フレーム内の対応する光線を含むことができる。実施形態では、「近接する」とは、連続した回転において同じような方位角を持つことをいう。両方の隣接(例えば、前又は次の)ビューが飽和している(例えば、ブロック506における「はい」)実施形態では、近接する非飽和投影データは、隣接(例えば、前又は次の)ビューからのデータなしで飽和補正に使用される(ブロック510)。実施形態では、コントローラは、近接する非飽和投影データ及び前又は次のビューからの任意の非飽和対応投影光線を入力として用いて、線形補間方式又は高度補間方式を使用して飽和補正を実行する。コントローラによって実行される飽和補正は、少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて、飽和光線の値を調整することが有効である。
【0055】
飽和光線と同じフレームからの近接する非飽和光線が飽和補正に使用される実施形態では、単純な線形補間方式を使用することができる。1つの例示的な線形補間方式は、近接する非飽和光線を平均化すること(例えば、(光線1+光線2)*0.5)である。他の実施形態では、例えば、近接する非飽和フレームからの対応する光線が利用され、光線が異なる電圧で放射される場合、スケーリングを伴うスペクトル由来の補間方式を使用することができる。
【0056】
あるエネルギーからの非飽和光線を使用して異なるエネルギーからの飽和光線を補正する場合、イメージングチェーン、具体的にはx線スペクトルを考慮することができ、補正係数を使用して非飽和測定値を変換することができる。一実施形態では、較正された補正係数は、近接する非飽和光線の投影データが特定の材料(例えば、水)に関連付けられていると仮定することによって生成される。イメージングチェーンの事前知識(例えば、高エネルギー放射及び低エネルギー放射の両方のスペクトル)と共に、この想定材料の非飽和データに基づいて、較正テーブルを生成することができる。次いで、較正テーブル内の値に基づいて近接する非飽和光線を調整して、飽和光線の適切な値を決定することができる。
【0057】
別の実施形態では、補正係数は、イメージングチェーン情報(例えば、スペクトル)とシステム配置とを用い、最初のパスで再構成された画像を用いて計算し、各エネルギーについて1つずつ2つの投影を仮想的に生成することができる。次いで、補正係数を決定し、近接する非飽和光線の値に適用して、飽和光線の適切な値を決定することができる。様々な実施形態では、補正係数の精度を向上させるために、補正係数決定プロセスを数回実行することができる。
【0058】
図3及び図4に説明する実施形態では、高電圧パルスと低電圧パルスはインターリーブされる。したがって、これにより、現在のビュー用のエネルギーは前のビュー及び次のビュー用のエネルギーと異なることが保証される。しかしながら、他の実施形態では、高電圧パルスと低電圧パルスはインターリーブされてもされなくてもよい。したがって、いくつかのこのような実施形態では、隣接ビューの代わりに共役フレームを使用して飽和補正を実行することができる。
【0059】
図5では、現在のビューにおける放射線源30及びx線検出器34の位置(それぞれ602及び608)を薄黒くし、共役ビューにおける放射線源30及びx線検出器34の位置を破線で示す。特に、第1の共役ビューでは、放射線源は位置606に配置され、x線検出器は位置612に配置され、第2の共役ビューでは、放射線源は位置604に配置され、x線検出器は位置610に配置される。各ビューにおいて複数の光線が放射線源30によって放射され、x線検出器34が受光することを理解すべきであるが、図5では、各位置で放射線源30が放射する単一の光線が図示され、その他の光線はわかりやすくするために省略されている。光線Cは、現在のビューの間に放射され、光線C1及びC2は、共役ビューの間に放射される。
【0060】
図示された光線C、C1及びC2の各々は、スキャン対象物26内の基準点Rを通過する。図5に示す実施形態では、基準点Rは、スキャン対象物26の周辺領域に位置する。光線C、C1及びC2の各々は、基準点Rを通過した後に放射線検出器34で受光される。様々な実施形態において、基準点Rは、アイソセンタに最も近い光線上の点として構成される。
【0061】
図5に示す実施形態では、電圧切り替えはインターリーブされてもされなくてもよい。しかし、共役ビューでの放射は、現在のビューでの放射とは異なる。パルス幅及び管電流は、現在のビューと共役ビューとの間で同じままである。図6は、様々な実施形態による共役フレームを使用する飽和補正の例示的な方法のフローチャートである。図5及び図6の以下の説明では、現在のビューは第1の電圧(例えば、約140kV)での放射を含むものとして説明され、共役ビューは第2の電圧(例えば、約80kV)での放射を含むものとして説明される。しかしながら、参照される「現在のビュー」に応じて、現在のビューと共役ビューの電圧を逆にすることができることを理解すべきである。
【0062】
この例では、光線C(図6のブロック700)の結果としてx線検出器34が受け取るエネルギー量は、x線検出器34のダイナミックレンジを超える。このエネルギーを受け取った結果、x線検出器34に関連するコントローラは、投影光線Cに対応する光線が飽和していると判定する(図6のブロック702)。しかしながら、共役光線C1及びC2の各々の結果としてx線検出器34が受け取るエネルギー量(この例では、光線Cの結果としてx線検出器が受け取るエネルギー量の約1/3)は、x線検出器34のダイナミックレンジを超えない。図6のブロック704において、x線検出器34に関連するコントローラは、投影光線Cの基準点Rを通る共役ビューからの対応する投影光線C1及びC2を特定する。実施形態では、対応する投影光線は、x線源軌道情報及びx線コーンビーム投影配置(例えば、検出器が線源に対してどのように位置決めされるかに関する情報)を含むシステム配置トリガ情報に基づいて特定される。光線C1及びC2の結果としてx線検出器34が受け取ったエネルギー量に基づいて、コントローラは、共役投影光線C1及びC2が飽和していないと判定する(例えば、決定ブロック706における「いいえ」)。言い換えれば、コントローラは、少なくとも1つの非飽和光線を特定する。
【0063】
様々な実施形態において、所与の投影光線が飽和しているか否かの判定は、所与の光線に対する受光エネルギーに応答するx線検出器の出力をx線検出器のしきい値出力値と比較するコントローラの結果であり得る。一実施形態では、コントローラは、光線Cを受光した結果としてx線検出器が出力する信号を最大信号出力値と比較し、x線検出器が出力する信号が最大信号出力値に等しいと判定した場合に、コントローラは、投影光線Cが飽和していると判定する。更に、コントローラは、光線C1及び/又は光線C2の受光の結果としてx線検出器が出力する信号を最大信号出力値と比較し、x線検出器が出力する信号が最大信号出力値未満であると判定すると、コントローラは、対応する投影光線C1又はC2が飽和していないと判定する(ブロック706)。様々な実施形態において、投影光線C1及び/又は光線C2が飽和していないと判定すると(例えば、ブロック706における「いいえ」)、対応する投影光線C1及び/又は光線C2からのデータを使用して、現在の光線Cの飽和光線を補正する(ブロック708)。
【0064】
実施形態では、現在の光線Cが飽和している間、光線C1及びC2の両方は飽和しておらず、したがって、共役光線C1及びC2の両方からのデータを使用して光線Cの飽和補正を実行することができる。しかしながら、他の実施形態では、現在の光線Cは飽和し、共役光線C1及びC2の一方は飽和しないが、他方は飽和する。このような実施形態では、ブロック708において、飽和していない対応する投影光線からのデータは飽和補正に使用されるが、他方の対応する投影光線からのデータは飽和補正の目的のために無視される。例えば、対応する投影光線C1は飽和しておらず、対応する投影光線C2は飽和している実施形態では、光線C1からのデータは飽和補正に使用され、光線C2からのデータは飽和補正の目的のために無視される。別の例として、対応する投影光線C2は飽和しておらず、対応する投影光線C1は飽和している実施形態では、光線C2からのデータは飽和補正に使用され、光線C1からのデータは飽和補正の目的のために無視される。
【0065】
様々な実施形態において、ブロック708において、共役ビューからの任意の非飽和データからのデータに加えて、近接する非飽和投影データも飽和補正に使用される。両方の共役ビューが飽和している(例えば、ブロック706における「はい」)実施形態では、近接する非飽和投影データは、共役ビューからのデータなしで飽和補正に使用される(ブロック710)。実施形態では、コントローラは、近接する非飽和投影データ及び共役ビューからの任意の非飽和対応投影光線を入力として用いて、線形補間方式又は高度補間方式を使用して飽和補正を実行する。コントローラによって実行される飽和補正は、少なくとも1つの非飽和光線の値に基づいて、飽和光線の値を調整することが有効である。
【0066】
図7は、動的利得の設定を高電圧パルスと低電圧パルスに対して変化させた例示的な実施形態を示す。上述の実施形態とは異なり、動的利得の設定を変化させることは、電圧に加えて管電流が変化する構成で実施することができる。更に、このような実施形態は、今後のスキャンで飽和光線を低減又は排除するために適切な利得設定の選択に使用できる。
【0067】
様々な実施形態において、第1の複数の光子は、第1のエネルギーレベルで放射線源30から放射され、第2の複数の光子は、第2のエネルギーレベルで放射線源30から放射される。図7に示すように、第1のパルスは、放射線源30が第1の位置800にあるときに第1の電圧(例えば、140kV)及び第1の電流(例えば、80mA)を有し、第2のパルスは、放射線源30が第2の位置802にあるときに第2の電圧(例えば、80kV)及び第2の電流(例えば、120mA)を有する。第1の複数の光子の少なくとも一部及び第2の複数の光子の少なくとも一部は、x線検出器34で受光される。例えば、放射線源30が第1の位置800にあるとき、x線検出器34は位置804にあり、放射線源30が第2の位置802にあるとき、x線検出器は位置806にある。各パルスの特定の電圧及び電流は、特定の実施形態に応じて変化し得ることを理解すべきである。
【0068】
特定の構成に応じて、検出器が高エネルギーパルスから受けるエネルギーは、低エネルギーパルスから受けるエネルギーの2倍(又はそれ以上)となる場合がある。したがって、第1の検出器利得(例えば、高い検出器利得)を第1のパルス構成に対して選択することができ、第2の検出器利得(例えば、低い検出器利得)を第2のパルス構成に対して選択することができる。
【0069】
各エネルギーパルスから受け取った光子の結果として、x線検出器は、受け取った光子の量を示す信号を出力する。例えば、第1の複数の光子の一部を受光すると、x線検出器は、x線検出器が受光した第1の複数の光子の第1の量を示す第1の信号を出力する。実施形態において、第1の信号は、第1の利得レベルの係数による第1の量の増幅である。第2の複数の光子の一部を受光すると、x線検出器は、x線検出器が受光した第2の複数の光子の第2の量を示す第2の信号を出力する。実施形態において、第2の信号は、第2の利得レベルの係数による第2の量の増幅である。したがって、各パルスの結果として受光した光子量に対する増幅率を変化させて、画像再構成に利用することができる信号を生成することができる。特に、第1及び第2の利得レベルを調整(例えば、値に応じて増加又は減少)して、次のスキャンの間に放射される飽和信号の数を低減又は排除することができる。
【0070】
様々な実施形態では、第1の利得レベル及び第2の利得レベルは、第1の複数の光子に対応する第1の信号の飽和、及び第2の複数の光子に対応する第2の信号の飽和を回避するように選択される。各利得レベルの選択は、例えば、前のスキャンの間に得られた飽和情報(例えば、前のスキャンの間に特定のパルス構成に対して飽和信号が出力されたかどうか、前のスキャンの間に使用されたエネルギーレベル及び利得レベルなど)に基づくことができる。例えば、一実施形態では、第1のスキャンの間における飽和信号の出力により、コントローラは後続のスキャン用の利得レベルを調整することができる。調整された利得レベルは、飽和信号の出力時における前のスキャンのエネルギーレベル及び利得レベルと、後続のスキャンのエネルギーレベルとに基づいて決定することができる。
【0071】
開示された技術は、特定の態様、実施形態又は複数の実施形態に関して示され、説明されてきたが、当業者は、本明細書及び添付図面を読み、理解すれば、同等の変更及び修正に気が付くことは明らかである。特に、上述の要素(構成要素、アセンブリ、装置、部材、組成物など)が実行する様々な機能に関して、このような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、特に指示しない限り、本明細書に示した開示技術の例示的態様、実施形態又は複数の実施形態において機能を実行する開示構造と構造的に同等ではないとしても、説明した要素の特定の機能を実行する(即ち、機能的に等価である)任意の要素に対応することを意図している。更に、開示された技術の特定の特徴は、いくつかの図示された態様又は実施形態のうちの1つ又は複数のみに関して上述された場合があるが、このような特徴は、任意の所与の又は特定の用途に対して所望され、かつ有利であり得るように、他の実施形態の1つ又は複数の他の特徴と組み合わせてもよい。
【0072】
本明細書で説明した実施形態は、上述したシステム及び方法に関連しているが、これらの実施形態は例示的であることを意図しており、これらの実施形態の適用性を本明細書に記載した説明のみに限定することを意図するものではない。本発明をその実施形態の説明によって例示してきたが、実施形態をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定し、又はいかなる方法によっても限定することは、本出願人の意図するところではない。更なる利点及び修正は、当業者であれば容易に思いつくであろう。したがって、その広い態様における本発明は、図示し説明した特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例示的な実施例に限定されるものではない。したがって、本出願人の一般的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、このような詳細から逸脱することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 装置
12 回転可能ガントリ
14 ハウジング
16 ガントリボア
18 患者支持体
20 治療用放射線源
22 放射線ビーム
24 検出器
26 スキャン対象物
30 放射線(x線)源
32 放射線ビーム
34 x線(放射線)検出器
36 ビームフォーマ
40 再構成プロセッサ
44 メモリ
48 オペレータインタフェース
52 ディスプレイ
60 コントローラ
302、304、306 放射線源30の位置
303、305、307 x線検出器34の位置
602、604、606 放射線源30の位置
608、610、612 x線検出器34の位置
800 放射線源30の第1の位置
802 放射線源30の第2の位置
804、806 x線検出器34の位置
B 背景データ
C 現在のビューの光線
C1 共役ビューの光線
C2 共役ビューの光線
I 画像データ
N 次のビューの光線
P 前のビューの光線
R 基準点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】