IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-プログラム及び端末装置 図1
  • 特開-プログラム及び端末装置 図2
  • 特開-プログラム及び端末装置 図3
  • 特開-プログラム及び端末装置 図4
  • 特開-プログラム及び端末装置 図5
  • 特開-プログラム及び端末装置 図6
  • 特開-プログラム及び端末装置 図7
  • 特開-プログラム及び端末装置 図8
  • 特開-プログラム及び端末装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115021
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】プログラム及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230810BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230810BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20230810BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230810BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20230810BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230810BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20230810BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230810BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230810BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
G08G1/01 E
G08G1/09 F
G09B29/10 A
G09B29/00 F
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089794
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2021189206の分割
【原出願日】2012-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】堀井 和継
(57)【要約】
【課題】移動体の走行時においてリアルタイムに渋滞に関する情報を取得することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、移動体が走行中の渋滞区間において、前記移動体の現在地を示す現在地情報を含む地図情報と、前記地図情報と異なる入力ウィンドウ内に渋滞度を示す複数の選択ボタンを表示する表示部を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部及びコンピュータを有する端末装置によって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
移動体の現在位置を示すアイコンと、他の移動体の位置を示すアイコンと、渋滞が発生している区間を示す渋滞情報とを地図上に表示する第1表示手段、
前記地図上に表示された前記他の移動体の位置を示す1のアイコンを、特定他移動体として選択する選択手段、
前記特定他移動体の情報をサーバから受信し、前記特定他移動体の情報と前記地図上の前記特定他移動体のアイコンとを対応させて前記表示部に表示する第2表示手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の授受を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信機能を有し、他の端末と情報の授受を行う車載機が知られている。例えば、特許文献1には、通信装置により投稿情報と当該投稿情報の投稿先を示す位置情報とを取得し、当該位置情報が示す位置に、投稿情報を表示させた地図データを生成する車載用表示装置が開示されている。また、特許文献1に記載の車載用表示装置は、指定されたユーザからの投稿情報のみを表示することが可能である。その他、本発明に関連する技術が、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-247832号公報
【特許文献2】特許第3678639号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ナビゲーション装置などの車載機が通信機能を利用してネットワーク上のサーバ装置から渋滞情報などを取得する場合、提供される渋滞情報は、サーバ装置により統計処理などが行われる結果、リアルタイムの情報ではなくなっている場合が多い。また、特許文献1に記載の技術では、リアルタイムに情報を投稿することができる一方、情報の要求先の相手を指定し、所望の情報を問い合わせて取得することができない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、移動体の走行時においてリアルタイムに渋滞に関する情報を取得することが可能な端末装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、表示部及びコンピュータを有する端末装置によって実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、移動体の現在位置を示すアイコンと、他の移動体の位置を示すアイコンと、渋滞が発生している区間を示す渋滞情報とを地図上に表示する第1表示手段、前記地図上に表示された前記他の移動体の位置を示す1のアイコンを、特定他移動体として選択する選択手段、前記特定他移動体の情報をサーバから受信し、前記特定他移動体の情報と前記地図上の前記特定他移動体のアイコンとを対応させて前記表示部に表示する第2表示手段、として機能させる。
【0007】
これによれば、ユーザ自身により、情報を知りたい他の移動体を選択することができます。また、地図上に表示される渋滞情報と他車の位置を参考にしながら、情報が欲しい他車をユーザ自身で選択することができます。
【0008】
請求項4に記載の発明は、表示部及びコンピュータを有する端末装置であって、移動体の現在位置を示すアイコンと、他の移動体の位置を示すアイコンと、渋滞が発生している区間を示す渋滞情報とを地図上に表示する第1表示手段と、前記地図上に表示された前記他の移動体の位置を示す1のアイコンを、特定他移動体として選択する選択手段と、前記特定他移動体の情報をサーバから受信し、前記特定他移動体の情報と前記地図上の前記特定他移動体のアイコンとを対応させて前記表示部に表示する第2表示手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る情報要求システムの概略構成を示す。
図2】ナビゲーション装置の概略構成を示す。
図3】サーバ装置の概略構成を示す。
図4】他車の車両位置情報受信後の表示画面を示す。
図5】表示画面上で特定他車を選択する様子を示した図である。
図6】特定他車情報を受信後の表示画面を示す。
図7】特定他車情報の要求信号を受信後の表示画面を示す。
図8】本実施例に係る情報要求処理の手順を示すフローチャートである。
図9】車両位置情報の検索範囲の優先順位を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、移動体と共に移動する端末装置であって、前記移動体以外の移動体である他移動体の検索を行う基準位置を指定する基準位置指定手段と、前記基準位置を基準として検索された前記他移動体の位置を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示手段により表示された前記他移動体から、少なくとも一つの前記他移動体を指定する他移動体指定手段と、指定された前記他移動体と共に移動する端末に、情報を要求する要求手段と、を有する。
【0011】
上記の端末装置は、移動体と共に移動する端末装置であって、基準位置指定手段と、表示制御手段と、他移動体指定手段と、要求手段とを有する。基準位置指定手段は、外部入力などに基づき、他移動体の検索を行う基準位置を指定する。表示制御手段は、基準位置を基準として検索された他移動体の位置を表示手段に表示させる。他移動体指定手段は、外部入力などに基づき、表示手段により表示された他移動体から、少なくとも一つの他移動体を指定する。要求手段は、指定された他移動体と共に移動する端末に、情報を要求する。なお、「移動体」は、車両の他、歩行者も含む。この態様により、端末装置は、他移動体を指定して必要な情報をリアルタイムに要求することができる。
【0012】
上記端末装置の一態様では、前記情報は、渋滞に関する情報である。この態様により、端末装置のユーザは、移動体の走行中に、他車から渋滞情報をリアルタイムに取得することが可能となる。
【0013】
上記端末装置の他の一態様では、タッチパネルにより構成される前記表示手段を更に備え、前記表示制御手段は、地図情報とともに前記他移動体の位置を前記表示手段に表示させ、前記他移動体指定手段は、前記タッチパネルを介して利用者に指定された他移動体を指定する。この態様により、端末装置は、利用者が意図する他移動体を好適に指定して必要な情報をリアルタイムに要求することができる。
【0014】
上記端末装置の他の一態様では、前記他移動体指定手段は、前記移動体と同一の渋滞区間を先行して走行中の前記他移動体を指定する。この態様により、端末装置のユーザは、渋滞区間に差し掛かった場合などに、先行する移動体を任意に指定して、当該渋滞区間の渋滞情報を要求することができる。
【0015】
上記端末装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記基準位置を基準として、前記表示手段のディスプレイの縦横比率に基づき検索された前記他移動体の位置を、前記表示手段に表示された地図上に表示する。このように、ディスプレイの縦横比率に基づき検索された他移動体の位置を地図上に表示することで、端末装置は、検索された他移動体の位置を効率的にディスプレイ上に表示することができる。
【0016】
上記端末装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記基準位置を基準として、前記移動体の進行方向に基づき検索された前記他移動体の位置を前記表示手段に表示させる。例えば渋滞情報などのように、要求する情報の種類によっては、進行方向に存在する移動体のユーザのみが知っている場合がある。従って、この態様により、端末装置は、要求する情報を知っている可能性がある他移動体の位置のみに限定して表示手段に表示させることができる。
【0017】
上記端末装置の他の一態様では、移動体の位置情報を管理するサーバ装置と通信を行い、前記基準位置を基準として前記サーバ装置が検索した前記他移動体の位置の情報を、前記サーバ装置から受信する受信手段をさらに有する。この態様により、端末装置は、サーバ装置から、他移動体の位置の情報を好適に取得することができる。
【0018】
上記端末装置の他の一態様では、前記要求手段は、前記サーバ装置を介して、指定された前記他移動体と共に移動する端末に、前記情報を要求する。この態様により、端末装置は、情報の要求先の端末と直接通信を行えない場合であっても、好適に必要な情報の要求を行うことができる。
【0019】
上記端末装置の他の一態様では、前記移動体以外の移動体である他移動体と共に移動する端末から情報の要求を受けた場合に、当該情報を生成するための入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力に基づき要求された前記情報を生成し、当該情報を前記他移動体と共に移動する端末に送信する送信手段と、を有する。この態様により、端末装置は、他移動体と共に移動する端末から情報の要求を受けた場合に、情報を生成するのに必要な入力を受け付け、要求された情報を要求元に好適に送信することができる。
【0020】
本発明の好適な他の実施形態によれば、移動体と共に移動する端末装置が実行する制御方法であって、前記移動体以外の移動体である他移動体の検索を行う基準位置を指定する基準位置指定工程と、前記基準位置を基準として検索された前記他移動体の位置を表示手段に表示させる表示制御工程と、前記表示手段により表示された前記他移動体から、少なくとも一つの前記他移動体を指定する他移動体指定工程と、指定された前記他移動体と共に移動する端末に、情報を要求する要求工程と、を有することを特徴とする。端末装置は、この制御方法を使用することで、他移動体を指定して必要な情報をリアルタイムに要求することができる。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態によれば、移動体と共に移動する端末装置が実行するプログラムであって、前記移動体以外の移動体である他移動体の検索を行う基準位置を指定する基準位置指定手段と、前記基準位置を基準として検索された前記他移動体の位置を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示手段により表示された前記他移動体から、少なくとも一つの前記他移動体を指定する他移動体指定手段と、指定された前記他移動体と共に移動する端末に、情報を要求する要求手段として前記端末装置を機能させる。端末装置は、このプログラムを搭載し実行することで、他移動体を指定して必要な情報をリアルタイムに要求することができる。好適には、上述のプログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0023】
[情報要求システム]
図1は、本実施例に係る情報要求システムの概略構成である。図1に示すように、本実施例に係る情報要求システムは、後述の先行車両Ve2と同一の渋滞区間を走行中の後続車両Ve1の経路案内を行うナビゲーション装置100Aと、上述の渋滞区間において後続車両Ve1より先行する先行車両Ve2の経路案内を行うナビゲーション装置100Bと、サーバ装置200とを有する。そして、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100A、100Bの各々と、ネットワーク300を介して通信を行う。
【0024】
図1に示す情報要求システムでは、後続車両Ve1のナビゲーション装置100Aは、先行車両Ve2のナビゲーション装置100Bに対し、サーバ装置200を介して渋滞情報の要求を行う。
【0025】
以後では、ナビゲーション装置100Aと、ナビゲーション装置100Bとを特に区別しない場合、単に「ナビゲーション装置100」とも表記する。
【0026】
(1)ナビゲーション装置の構成
図2は、ナビゲーション装置100の概略構成を示す。ナビゲーション装置100は、例えば据置型のナビゲーション装置や経路案内を行う携帯端末であって、図2に示すように、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、第1通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、入力装置60及び第2通信装置61を備える。ナビゲーション装置100は、本発明における「端末装置」の一例である。
【0027】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0028】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0029】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ROM23などに記憶された制御プログラムを実行することで、ナビゲーション装置100全体の制御を行う。
【0030】
例えばシステムコントローラ20は、角速度センサ12等により検出した車両の進行方向の情報、及びGPS受信機18が検出した位置情報を含むナビゲーション装置100及び当該ナビゲーション装置100が経路案内を行う車両に関する情報(「車両位置情報Ip」とも呼ぶ。)を、所定又は不定の間隔ごとに、サーバ装置200へ送信する。本実施例では、車両位置情報Ipは、上述した進行方向の情報及び位置情報の他に、ナビゲーション装置100の識別情報(「端末ID」とも呼ぶ。)及びディスプレイ44の表示画面の縦横比率の情報を含む。なお、進行方向の情報は、例えば、北を0°とした場合の進行方向の角度を示す。好適には、システムコントローラ20は、サーバ装置200と通信を行う毎に、最新の車両位置情報Ipをサーバ装置200へ送信するとよい。システムコントローラ20は、後述するように、本発明における「基準位置指定手段」、「表示制御手段」、「他車両指定手段」、及び「要求手段」として機能する。
【0031】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0032】
システムコントローラ20、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0033】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0034】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。地図データは、道路に相当するリンクと、道路の接続部分(交差点)に相当するノードとにより表された道路データや、各施設に関する施設情報などを含む。
【0035】
第1通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバなどにより構成され、VICS(Vehicle Information Communication System、登録商標)センタなどから配信される情報(以下、「VICS情報」と呼ぶ。)を電波39より取得する。そしてインタフェース37は、第1通信装置38のインタフェース動作を行い、VICS情報をシステムコントローラ20等に入力する。
【0036】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0037】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD-ROMドライブ31又はDVD-ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0038】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0039】
第2通信装置61は、例えば携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、サーバ装置200を含むネットワーク300と接続する端末と通信を行う。例えば、第2通信装置61は、システムコントローラ20の制御に基づき、所定又は不定の間隔ごとに、車両位置情報Ipをサーバ装置200へ送信する。
【0040】
(2)サーバ装置の構成
図3は、サーバ装置200の概略構成を示す。サーバ装置200は、ネットワーク300を介し、ナビゲーション装置100A、100Bなどの車両の案内を行う端末装置と通信を行う。図3に示すように、サーバ装置200は、通信部202と、記憶部203と、制御部204とを有する。通信部202、記憶部203、及び制御部204は、バスライン201を介して相互に接続されている。
【0041】
通信部202は、制御部204の制御に基づき、各種データの送信及び受信を行う。例えば、通信部202は、各ナビゲーション装置から車両位置情報Ipを受信する。
【0042】
また、通信部200は、インターネット回線や携帯電話事業者を始めとする通信事業者と接続する機能を有し、ネットワーク300と適切な接続を行う。
【0043】
記憶部203は、例えば、HDDなどにより構成される。記憶部203は、ナビゲーション装置100などの各端末装置から送信された車両位置情報Ipを、送信元のアドレス情報及び受信日時の情報などと共に記憶する。記憶部203は、好適には、各車両位置情報Ipを、当該車両位置情報Ipに含まれる位置情報が示す緯度経度に基づき検索しやすい順序に並べて格納する。また、記憶部203は、各車両位置情報Ipと共に記憶した受信日時の情報に基づき、受信してから所定時間(例えば5分)経過した車両位置情報Ipを破棄する。
【0044】
制御部204は、CPUやROM及びRAMなどのメモリを有し、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、サーバ装置200の全般的な制御を行う。制御部204が実行する処理については、[制御方法]のセクションで詳しく説明する。
【0045】
[制御方法]
次に、ナビゲーション装置100A、100B及びサーバ装置200が実行する情報要求処理についてそれぞれ説明する。
【0046】
(1)ナビゲーション装置100Aの処理
まず、本実施例において、後続車両Ve1の経路案内を行うナビゲーション装置100Aが実行する処理について具体的に説明する。
【0047】
まず、ナビゲーション装置100Aは、GPS受信機18が生成した位置情報に基づき、ディスプレイ44上に現在位置を含む地図を表示する。また、ナビゲーション装置100Aは、現在位置に関する位置情報及び進行方向の情報を含む車両位置情報Ipを生成し、当該車両位置情報Ipをサーバ装置200に対して送信する。
【0048】
また、ナビゲーション装置100Aは、他車の車両位置情報Ipをサーバ装置200に対し要求する信号(「第1要求信号Ir1」とも呼ぶ。)を送信する。ナビゲーション装置100Aは、上述の第1要求信号Ir1を、ユーザの明示的な入力(例えば、専用ボタンの押下)があった場合に送信してもよく、一定又は不定の間隔により自動的に送信してもよい。また、ここでは、サーバ装置200の処理の説明で述べるように、ナビゲーション装置100Aは、車両位置情報Ipにより特定される後続車両Ve1の現在位置を基準位置に指定し、サーバ装置200に対して車両位置情報Ipの検索を実行させるものとする。
【0049】
そして、ナビゲーション装置100Aは、上述の第1要求信号Ir1に対する応答として、サーバ装置200から他車の車両位置情報Ipを受信し、受信した車両位置情報Ipの各々に対応する車両を表すアイコンを表示中の地図画面に表示する。これについて、図4を参照して説明する。
【0050】
図4は、ナビゲーション装置100Aの車両位置情報Ip受信後のディスプレイ44の表示画面45Aの一例を示す。図4に示す表示画面45Aでは、後続車両Ve1がアイコン81Aにより表示され、先行車両Ve2がアイコン82Bにより表示され、他の車両がアイコン82C乃至82Eにより表示されている。そして、先行車両Ve2を示すアイコン82Bは、後続車両Ve1の走行道路上であって、渋滞区間であることを示す渋滞線83上に表示されている。
【0051】
図4に示すように、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200から受信した車両位置情報Ipが示す各車両の位置及び進行方向をアイコン82B乃至82Eにより表示する。これにより、ナビゲーション装置100Aは、ユーザに対し、他車の位置等を容易に認識させると共に、自車と同一の渋滞区間に存在する車両(ここでは先行車両Ve2)の存在をユーザに認識させる。
【0052】
次に、ナビゲーション装置100Aは、渋滞情報の要求先となる車両(「特定他車」とも呼ぶ。)を、ユーザの入力に基づき指定する。この具体例について、図5を参照して説明する。
【0053】
図5は、ナビゲーション装置100Aが表示画面45A上で特定他車を選択する様子を示した図である。ここでは、ナビゲーション装置100Aはタッチパネルによる入力を受け付けるものとする。図5に示すように、ナビゲーション装置100Aのユーザは、表示画面45Aに表示された他車を示すアイコン82B乃至82Eのうち、同一の渋滞区間を走行中の先行車両Ve2を示すアイコン82Bを、指84によりタッチすることで選択する。この場合、ナビゲーション装置100Aは、表示画面45A上でアイコン82Bがタッチされたことを検出し、先行車両Ve2を特定他車として認識する。このように、ナビゲーション装置100Aのユーザは、表示画面45A上において、渋滞情報を質問したい特定他車を任意にかつ容易に選択することができる。
【0054】
次に、ナビゲーション装置100Aは、特定他車として指定された先行車両Ve2の車両位置情報Ipを生成するナビゲーション装置100Bに対して渋滞情報を要求する旨の要求信号(「第2要求信号Ir2」とも呼ぶ。)をサーバ装置200へ送信する。例えば、この場合、ナビゲーション装置100Aは、特定他車である先行車両Ve2の車両位置情報Ipに含まれる端末IDを第2要求信号Ir2に含めることで、先行車両Ve2が渋滞情報の要求先であることを明確にする。
【0055】
次に、ナビゲーション装置100Aは、特定他車のナビゲーション装置100Bが生成した情報(「特定他車情報Is」とも呼ぶ。)を、サーバ装置200から受信する。ここで、特定他車情報Isは、特定他車である先行車両Ve2のユーザの入力に基づきナビゲーション装置100Bが生成した渋滞情報である。特定他車情報Isの具体的な生成方法については、ナビゲーション装置100Bの処理の説明で述べる。そして、ナビゲーション装置100Aは、受信した特定他車情報Isを表示画面45A上に表示する。この具体例について、図6を参照して説明する。
【0056】
図6は、特定他車情報Isを受信後の表示画面45Aを示す。図6に示すように、この場合、渋滞情報を示す吹き出し85が特定他車である先行車両Ve2のアイコン82Bから表示されている。また、吹き出し85は、特定他車のユーザの入力に基づき生成された渋滞度に関する渋滞情報「中渋滞 15分」と、特定他車情報Isの生成時刻「18:06」とが表示される。これにより、後続車両Ve1のユーザは、同一の渋滞区間を先行して走行する先行車両Ve2から得たリアルタイムの渋滞情報を好適に認識することができる。
【0057】
(2)サーバ装置200の処理
次に、サーバ装置200が実行する処理について説明する。
【0058】
サーバ装置200は、上述したように、各ナビゲーション装置100から送信された車両位置情報Ipを記憶部203に記憶する。また、サーバ装置200は、各車両位置情報Ipと共に記憶した受信日時に基づき、受信してから所定時間以上経過した車両位置情報Ipを破棄する。
【0059】
また、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aから第1要求信号Ir1を受信した場合、記憶部203に記憶した車両位置情報Ipから、ナビゲーション装置100Aから受信した車両位置情報Ip以外であって、当該車両位置情報Ipが示す位置に近い位置情報を有する車両位置情報Ipを検索する。そして、サーバ装置200は、検索した車両位置情報Ipをナビゲーション装置100Aに送信する。
【0060】
ここで、車両位置情報Ipの検索方法について具体的に説明する。好適には、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aから受信した車両位置情報Ipに含まれる表示画面45Aの縦横比率を勘案し、車両位置情報Ipを検索する。例えば、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aの位置を中心とした上述の縦横比率を有する長方形の横幅を所定幅(例えば20km)に定め、当該長方形内の位置を示す車両位置情報Ipを、ナビゲーション装置100Aに送信する。上述の所定幅は、サーバ装置200が使用する回線の帯域等を勘案し、予め定められる。この場合、上述の長方形の短手方向は、ナビゲーション装置100Aが実際に地図を表示する際の地図の表示領域の短手方向(例えば南北の方角)と一致するように定められる。
【0061】
他の例では、サーバ装置200は、上述の長方形の横幅を、車両位置情報Ipに対応する位置が当該長方形に所定個数含まれる長さに設定し、その長方形内の位置を示す所定個数(例えば100個)の車両位置情報Ipを、ナビゲーション装置100Aに送信する。上述の所定個数は、サーバ装置200が使用する回線の帯域等を勘案し、予め定められる。
【0062】
このように、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aの表示画面45Aの縦横比率に基づきナビゲーション装置100Aに送信すべき車両位置情報Ipを定める。これにより、サーバ装置200は、実際の地図の表示範囲を勘案し、表示に使用されない無駄な車両位置情報Ipを送信するのを抑制することができる。
【0063】
また、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aから送信された第2要求信号Ir2を受信した場合、ナビゲーション装置100Bに対し、特定他車情報Isを要求する信号(「第3要求信号Ir3」とも呼ぶ。)を送信する。ここで、上述の第3要求信号Ir3には、特定他車情報Isの要求元である後続車両Ve1の位置情報及び進行方向の情報が含まれる。そして、サーバ装置200は、第3要求信号Ir3に対する応答として、ナビゲーション装置100Bから特定他車情報Isを受信した場合、当該特定他車情報Isをナビゲーション装置100Aに送信する。
【0064】
(3)ナビゲーション装置100Bの処理
次に、ナビゲーション装置100Bが実行する処理について説明する。
【0065】
ナビゲーション装置100Bは、サーバ装置200から第3要求信号Ir3を受信した場合、渋滞情報に関する入力画面を表示する。これについて、図7を参照して説明する。
【0066】
図7は、サーバ装置200から第3要求信号Ir3を受信した後のナビゲーション装置100Bのディスプレイ44の表示画面45Bの一例である。ここでは、ナビゲーション装置100Bは、第3要求信号Ir3の受信前に、先行車両Ve2の現在位置を含む地図を、先行車両Ve2を示すアイコン82Baと共に表示していたものとする。
【0067】
図7に示すように、この場合、ナビゲーション装置100Bは、第3要求信号Ir3を受信した旨を示す入力ウィンドウ88を、表示画面45B上に表示する。図7では、ナビゲーション装置100Bは、入力ウィンドウ88において、「先行車教えて要求がきました」と表示して入力の必要性をユーザに認識させると共に、走行中の渋滞区間における渋滞度を決定するための選択ボタン89A乃至89Eを表示する。
【0068】
ここで、選択ボタン89A乃至89Cは、各渋滞度に対応したボタンであって、当該各渋滞度を選択する際の目安となる渋滞度及び渋滞時間が表示されている。上述の渋滞時間は、先行車両Ve2が渋滞区間に差し掛かってから現在までの走行時間を示すものであってもよく、当該渋滞区間において所定距離(例えば1km)走行するのに要した走行時間を示すものであってもよい。そして、選択ボタン89Aは、渋滞時間が5分程度であった場合に選択され、選択ボタン89Bは、渋滞時間が10分程度であった場合に選択され、選択ボタン89Cは、渋滞時間が15分以上であった場合に選択される。
【0069】
ここで、好適には、選択ボタン89A乃至89C内に表示される各渋滞度に応じた渋滞時間は、先行車両Ve2が走行中の道路ごとに異なる。例えば、ナビゲーション装置100Bは、各道路の渋滞時における渋滞時間の統計情報を記憶しておき、当該統計情報に基づき、選択ボタン89A乃至89C内に表示する渋滞時間を決定する。例えば、ナビゲーション装置100Bは、上述の統計情報に基づき、走行道路が渋滞時間が長時間化する傾向がある道路であると判断した場合には、渋滞時間が長期化する傾向がない道路であると判断する場合と比較して、選択ボタン89A乃至89C内に表示する各渋滞時間を大きくする。なお、上述の統計情報は、有料道路や一般道路などの道路種別ごとに生成されたものであってもよい。
【0070】
選択ボタン89Dは、渋滞情報についてユーザが回答したくない場合に選択される。選択ボタン89Eは、ナビゲーション装置100Bに自動回答させる場合に選択される。選択ボタン89Eが選択された場合、ナビゲーション装置100Bは、例えば、過去の走行履歴に基づき、渋滞時間を算出する。このとき、ナビゲーション装置100Bは、例えば、所定の単位時間における平均走行速度が所定の閾値以下となった地点を渋滞区間の開始地点とみなし、当該開始地点を通過後の経過時間に基づき渋滞時間を算出する。
【0071】
そして、選択ボタン89A乃至89Eのいずれかがタッチパネルの操作等に基づき選択された場合、ナビゲーション装置100Bは、選択されたボタンに応じて、特定他車情報Isを生成する。具体的には、選択ボタン89A乃至89Cのいずれかが選択された場合、ナビゲーション装置100Bは、選択されたボタンに対応する渋滞時間、渋滞度及び選択した時刻を示す時刻情報を特定他車情報Isに定める。また、選択ボタン89Dが選択された場合、ナビゲーション装置100Bは、回答しない旨を示す特定他車情報Isを生成する。さらに、選択ボタン89Eが選択された場合、ナビゲーション装置100Bは、走行履歴等に基づき算出した渋滞時間及び算出した時刻を示す時刻情報を特定他車情報Isに定める。そして、ナビゲーション装置100Bは、生成した特定他車情報Isを、サーバ装置200へ送信する。
【0072】
また、図7に示すように、ナビゲーション装置100Bは、第3要求信号Ir3に含まれる位置情報及び進行方向の情報に基づき、後続車両Ve1を示すアイコン81Aaを表示すると共に、アイコン81Aaから入力ウィンドウ88を指し示す矢印87を表示する。これにより、ナビゲーション装置100Bは、特定他車情報Isの要求元である後続車両Ve1の位置を好適にユーザに知らせることができる。
【0073】
なお、ナビゲーション装置100Bは、表示中の地図の表示範囲外に特定他車情報Isの要求元である後続車両Ve1が位置する場合、例えば、後続車両Ve1のアイコン81Aaを表示することなく、後続車両Ve1が存在する方向から延在する矢印87のみを表示させてもよい。他の例では、ナビゲーション装置100Bは、地図の表示範囲内に当該後続車両Ve1の位置が含まれるように、表示中の地図の縮尺を変更してもよい。さらに別の例では、ナビゲーション装置100Bは、地図の縮尺を変えることなく、後続車両Ve1の位置が地図の表示範囲に含まれるまで、地図の表示範囲を遷移させてもよい。さらに別の例では、ナビゲーション装置100Bは、表示中の地図上に、後続車両Ve1のアイコン81Aaを含む地図を表示した新規のウィンドウを表示してもよい。これらのいずれの例によっても、ナビゲーション装置100Bは、好適に、特定他車情報Isの要求元である後続車両Ve1の位置をユーザに認識させることができる。
【0074】
[処理フロー]
図8は、ナビゲーション装置100A,100B及びサーバ装置200が実行する情報要求処理の手順を示すフローチャートの一例である。図8において、実線矢印は処理の流れを示し、破線矢印はデータの流れを示す。ナビゲーション装置100A、100B及びサーバ装置200は、図8に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。また、前提として、ナビゲーション装置100A、100Bは、図8に示すフローチャートの処理の他に、自車の車両位置情報Ipを所定のタイミングに基づきサーバ装置200に送信するものとする。
【0075】
まず、ナビゲーション装置100Aは、他車の車両位置情報Ipの要求タイミングであるか否か判定する(ステップS101)。例えば、ナビゲーション装置100Aは、他車の車両位置情報Ipを取得すべき旨の入力があったか否か、又は/及び、他車の車両位置情報Ipを自動取得するタイミングにあたるか否か等を判定する。そして、ナビゲーション装置100Aは、他車の車両位置情報Ipの要求タイミングではないと判断した場合(ステップS101;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0076】
一方、他車の車両位置情報Ipの要求タイミングにあたる場合(ステップS101;Yes)、ナビゲーション装置100Aは、他車の車両位置情報Ipの要求を行う(ステップS102)。具体的には、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200に対して第1要求信号Ir1を送信する。そして、サーバ装置200は、第1要求信号Ir1を受信する(ステップS201)。この場合、サーバ装置200は、記憶部203に記憶された車両位置情報Ipから対象となる車両位置情報Ipを検索し、ナビゲーション装置100Aに送信する(ステップS202)。具体的には、この場合、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aの端末ID以外の端末IDに対応する車両位置情報Ipであって、ナビゲーション装置100Aの位置から近い位置に存在する車両位置情報Ipを検索する。
【0077】
そして、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200から車両位置情報Ipを受信する(ステップS103)。そして、ナビゲーション装置100Aは、地図上に他車の位置を表示する(ステップS104)。例えば、ナビゲーション装置100Aは、図4に示すように、他車を示すアイコン82B乃至82Eを地図上に表示する。
【0078】
次に、ナビゲーション装置100Aは、特定他車の指定があったか否か判定する(ステップS105)。例えば、ナビゲーション装置100Aは、図5に示すように、表示画面45Aへの接触があった場合、当該接触位置にあるアイコンが示す車両を特定他車に指定する。そして、ナビゲーション装置100Aは、特定他車の指定があった場合(ステップS105;Yes)、ステップS106へ処理を進める。ここでは、ナビゲーション装置100Aは、ナビゲーション装置100Bが経路案内を行う先行車両Ve2の指定を検知したものとする。一方、特定他車の指定がない場合(ステップS105;No)、ナビゲーション装置100Aは、引き続き、ステップS105で特定他車を指定する入力を検知する。
【0079】
次に、ナビゲーション装置100Aは、特定他車情報Isの要求を行う(ステップS106)。具体的には、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200に対し、第2要求信号Ir2を送信する。
【0080】
そして、サーバ装置200は、第2要求信号Ir2を受信し、特定他車情報Isを要求する第3要求信号Ir3をナビゲーション装置100Bへ送信する(ステップS203)。そして、ナビゲーション装置100Bは、第3要求信号Ir3を受信する(ステップS301)。
【0081】
そして、ナビゲーション装置100Bは、入力に基づき、特定他車情報Isを生成し、サーバ装置200へ送信する(ステップS302)。例えば、ナビゲーション装置100Bは、図7に示すような入力ウィンドウ88を表示画面45B上に表示し、特定他車情報Isを生成するための入力を受け付けることで、特定他車情報Isを生成する。そして、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Bから送信された特定他車情報Isを受信し、ナビゲーション装置100Aに当該特定他車情報Isを送信する(ステップS204)。
【0082】
そして、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200が送信した特定他車情報Isを受信する(ステップS107)。その後、ナビゲーション装置100Aは、地図上に特定他車情報Isが示す内容を表示する(ステップS108)。例えば、ナビゲーション装置100Aは、図6の表示画面45Aに示すように、特定他車のアイコン82Bを基点とする吹き出し85を表示し、渋滞度、渋滞時間、及び特定他車情報Isの生成時間などを当該吹き出し85中に表示する。
【0083】
[変形例]
以下、実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0084】
(変形例1)
実施例における車両位置情報Ipの検索方法の説明では、サーバ装置200は、表示画面45Aの縦横比率を勘案して車両位置情報Ipを検索した。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。
【0085】
これに代えて、サーバ装置200は、車両位置情報Ipの要求元であるナビゲーション装置100Aの位置からの直線距離に基づき、送信すべき車両位置情報Ipを定めてもよい。この場合、例えば、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aの位置を中心として所定の半径を有する円に含まれる位置に対応する車両位置情報Ipをナビゲーション装置100Aに送信してもよい。上述の半径は、例えば20kmであり、サーバ装置200が使用する回線の帯域等に基づき定められる。他の例では、サーバ装置200は、車両位置情報Ipの要求元であるナビゲーション装置100Aからの直線距離が短い位置を示す所定個数(例えば100個)の車両位置情報Ipをナビゲーション装置100Aに送信してもよい。
【0086】
また、サーバ装置200は、上述の表示画面45Aの縦横比率又は車両位置情報Ipの要求元からの直線距離を勘案するのに加え、ナビゲーション装置100Aが生成した車両位置情報Ipに含まれる進行方向の情報に基づき、送信すべき車両位置情報Ipを定めてもよい。これについて、図9(A)、(B)を参照して具体的に説明する。
【0087】
図9(A)は、後続車両Ve1を示すアイコン81Abを中心とし、南北の方角に延在する縦線90V及び東西の方角に延在する横線90Hにより4つの領域91乃至94に分割された地図を示す。図9(A)では、後続車両Ve1は、南南東の方角に進行しているものとする。
【0088】
この場合、サーバ装置200は、後続車両Ve1の進行方向に近い方角に存在する領域ほど、検索する優先順位を高く設定する。具体的には、図9(A)の場合、サーバ装置200は、後続車両Ve1の進行方向と重なる方角に存在する領域91内の位置を示す車両位置情報Ipから優先的に、送信すべき車両位置情報Ipを検索する。次に、サーバ装置200は、領域91内の位置を示す車両位置情報Ipの数が送信すべき個数に満たない場合、領域91の次に後続車両Ve1の進行方向と近い方角に存在する領域92内の位置を示す車両位置情報Ipを対象に、送信すべき車両位置情報Ipを検索する。このように、図9(A)の例では、サーバ装置200は、後続車両Ve1の進行方向に基づき、領域91、領域92、領域93、領域94の順番に、送信すべき車両位置情報Ipを検索する。
【0089】
図9(B)は、後続車両Ve1を示すアイコン81Abを中心とし、進行方向に対してそれぞれ左右方向に所定角度だけずれた線90L、90Rにより4つの領域91a乃至94aに分割された地図を示す。この場合、サーバ装置200は、車両位置情報Ipの検索において、進行方向と重なる領域91aを最も高い優先度に指定し、進行方向と反対方向にある領域94aを最も低い優先度に指定する。従って、この場合、サーバ装置200は、まず、領域91a内の位置を示す車両位置情報Ipから優先的に送信すべき車両位置情報Ipを検索する。そして、サーバ装置200は、領域91a内の位置を示す車両位置情報Ipの数が送信すべき所定個数に満たない場合、領域92a、93a内の位置を示す車両位置情報Ipを、領域94a内の位置を示す車両位置情報Ipよりも優先的に送信すべき車両位置情報Ipとして検索する。
【0090】
このように、車両位置情報Ipの要求元の車両の進行方向に基づき、送信すべき車両位置情報Ipを定めることで、サーバ装置200は、同一の渋滞列に並ぶ車両の車両位置情報Ipを優先的に送信することができる。
【0091】
(変形例2)
実施例では、特定他車の指定があった場合に直ちにナビゲーション装置100Aからサーバ装置200に第2要求信号Ir2が送信され、要求する特定他車情報Isは、渋滞情報に定められていた。しかし、本発明が適用可能な態様は、これに限定されない。これに代えて、ナビゲーション装置100Aは、特定他車情報Isにより取得したい情報をユーザに指定させてもよい。
【0092】
具体的には、図8のステップS105で特定他車の指定があった場合、ナビゲーション装置100Aは、さらに、ユーザに対し、質問事項を入力させ、当該入力により指定された質問事項の情報を含む第2要求信号Ir2をステップS106において送信してもよい。この場合、例えば、ナビゲーション装置100Aは、文字入力を受け付け、入力された文字を質問事項の情報として第2要求信号Ir2に含めてもよい。他の例では、ナビゲーション装置100Aは、プルダウンメニューなどの予め定めた選択肢から任意の選択肢を選択させ、選択された選択肢の内容を質問事項の情報として第2要求信号Ir2に含めてもよい。質問事項は、例えば、お勧めのレストランを質問するものであってもよい。
【0093】
そして、サーバ装置200は、ステップS203において受信した第2要求信号Ir2に基づき、上述の質問事項の情報を含む第3要求信号Ir3をナビゲーション装置100Bに送信する。そして、ステップS302において、ナビゲーション装置100Bは、第3要求信号Ir3に含まれる質問事項の情報を表示画面45Bに表示すると共に、当該質問事項の回答内容に相当する特定他車情報Isを生成するための入力を受け付ける。この場合、ナビゲーション装置100Bは、図7の入力ウィンドウ88と同様、予め定めた各選択肢に対応する選択ボタンを表示することで、特定他車情報Isを生成するための入力を受け付けてもよく、質問事項の回答内容を示す文字を入力させてもよい。そして、ナビゲーション装置100Bは、入力に基づき、特定他車情報Isを生成する。
【0094】
このように、渋滞情報以外の情報であっても、ナビゲーション装置100Aは、好適に、ナビゲーション装置100Bが生成した所望の質問事項の回答内容を示す特定他車情報Isを要求し、取得することができる。
【0095】
(変形例3)
図8のフローチャートのステップS106及びステップS107では、ナビゲーション装置100Aは、ナビゲーション装置100Bに対し、サーバ装置200を介して特定他車情報Isの要求及び受信を行った。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。
【0096】
これに代えて、ナビゲーション装置100Aは、ナビゲーション装置100Bに対し、サーバ装置200を介すことなく、特定他車情報Isの要求及び受信を行ってもよい。即ち、ナビゲーション装置100Aは、ステップS106において、第2要求信号Ir2をナビゲーション装置100Bに送信し、ステップS107において、特定他車情報をナビゲーション装置100Bから受信してもよい。例えば、この場合、車両位置情報Ipは、当該車両位置情報Ipを生成した端末と通信を行うためのアドレス情報をさらに含み、ナビゲーション装置100Aは、当該車両位置情報Ipを参照してナビゲーション装置100Bと通信を行う。この態様であっても、好適に、ナビゲーション装置100Aは、特定他車情報Isの要求及び受信を行うことができる。
【0097】
さらに、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200から他車の車両位置情報Ipを受信する代わりに、ナビゲーション装置100Bを含む他の端末からそれぞれ車両位置情報Ipを直接受信してもよい。そして、この場合、ナビゲーション装置100Aは、各端末から受信した車両位置情報Ipに基づき、地図上に他車を表示し、かつ、特定他車情報Isの要求先を指定する入力を受け付ける。この態様により、ナビゲーション装置100Aは、サーバ装置200を介すことなく、ナビゲーション装置100Bに対し、特定他車情報Isを要求し、特定他車情報Isを好適に取得することができる。
【0098】
なお、この態様による受信方法は、車車間ネットワーク(車車間通信)の技術を用いることにより実現が可能である。
【0099】
(変形例4)
図8のステップS202では、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100A及び後続車両Ve1の現在位置を基準として、送信すべき車両位置情報Ipを検索した。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。
【0100】
これに代えて、サーバ装置200は、ナビゲーション装置100Aから指定された位置を基準として、送信すべき車両位置情報Ipを検索してもよい。具体的には、この場合、図8のステップS102において、ナビゲーション装置100Aは、他車の車両位置情報Ipを要求する第1要求信号Ir1に、車両位置情報Ipを検索する際の基準位置の情報を含める。上述の基準位置は、例えば地図を表示した表示画面45A上でのタッチパネル操作などにより、ユーザが指定した位置に定められる。そして、サーバ装置200は、ステップS202において、上述の基準位置に近い位置を示す車両位置情報Ipを検索する。
【0101】
(変形例5)
実施例では、ナビゲーション装置100Aは、特定他車として先行車両Ve1のみを指定した。これに代えて、ナビゲーション装置100Aは、特定他車として複数の車両を指定してもよい。この場合、例えば、図5の表示画面45Aに示すように、他車を示すアイコン82B乃至82Eが表示された場合、ナビゲーション装置100Aは、複数のアイコンの選択を受け付ける。
【0102】
(変形例6)
ナビゲーション装置100A及びナビゲーション装置100Bは、歩行者と共に移動する端末装置であってもよい。例えば、この場合、変形例2と同様、ナビゲーション装置100Aは、特定他車情報Isにより取得したい情報をユーザに指定させ、指定された質問事項の情報を含む第2要求信号Ir2をステップS106においてサーバ装置200へ送信する。この場合、歩行者は、本発明における「移動体」の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、車載用ナビゲーション装置、PND(Portable/Personal Navigation Device)、その他通信機能を有する端末装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
10 自立測位装置
12 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
38 通信装置
40 表示ユニット
44 ディスプレイ
60 入力装置
100A,100B(100) ナビゲーション装置
200 サーバ装置
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9