(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115022
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20230810BHJP
G07F 13/00 20060101ALI20230810BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
G07F13/00 F
G06K7/10 264
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089872
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2020059739の分割
【原出願日】2020-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神 基
(72)【発明者】
【氏名】中島 將太
(72)【発明者】
【氏名】山中 匠
(57)【要約】
【課題】読取装置による記録媒体の読み取りが妨げられることを抑制することができる飲料供給装置を提供する。
【解決手段】所定の情報が記録された記録媒体が設けられた容器に飲料を供給する飲料供給装置1であって、飲料を供給する機構を備えた本体と、飲料が供給されるときに容器が保持される保持部と、保持部の下方に設けられ、飲料を受けるトレイと、本体に設けられ、記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置40と、を備え、トレイには、飲料を受ける底部と、底部の下方に形成された収容空間V2と、が設けられ、読取装置40は、収容空間V2の内部に収められ、読取装置は、収容空間V2から出入り可能に設けられ、トレイは、本体から取り外し可能に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報が記録された記録媒体が設けられた容器に飲料を供給する飲料供給装置であって、
飲料を供給する機構を備えた本体と、
前記飲料が供給されるときに前記容器が保持される保持部と、
前記保持部の下方に設けられ、飲料を受けるトレイと、
前記本体に設けられ、前記記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置と、を備え、
前記トレイには、飲料を受ける底部と、前記底部の下方に形成された収容空間と、が設けられ、
前記読取装置は、前記収容空間の内部に収められ、
前記読取装置は、前記収容空間から出入り可能に設けられ、
前記トレイは、前記本体から取り外し可能に設けられている、
飲料供給装置。
【請求項2】
前記底部には、上方に隆起して下方に前記収容空間を構成する被覆部が形成され、
前記被覆部は、前記読取装置の上方を覆っている、
請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記読取装置は、読取装置収容部に収容され、
前記読取装置収容部は、前記本体から前記トレイ側に向かって延びている、
請求項1または請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記底部には、前記保持部の直下に位置し、前記トレイの深さ方向において最も高い頂部が形成され、
前記読取装置は、前記頂部の下方に位置する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体である電子タグに記録された情報を読み取る読取装置を備えた、飲料を供給する飲料供給装置が知られている。この飲料供給装置では、容器に設けられた電子タグに記録された情報を読取装置が読み取り、当該情報に基づいて、容器に飲料が供給される。
このような飲料供給装置には、飲料が供給されるときに容器が載置される載置箇所の下方に、読取装置が設けられ、当該読取装置が容器の底部に設けられた電子タグに記録された情報を読み取るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の飲料供給装置では、容器の下部に設けられた電子タグに記録された情報を読み取るために、読取装置を飲料吐出部の直下に配置する必要があるが、この場合、飲料吐出部や配管などに残った飲料が容器を置いていないときに液垂れする等して、流出した飲料等の液体が読取装置を覆うように滞留することがあった。
読取装置を覆うように液体が滞留した状態において、その上に容器を載置しても電子タグと読取装置との間に液体が存在することとなり、通信のための電波、あるいは電磁波が減衰されて、読取装置による電子タグに記録された情報の読み取りが妨げられる虞があった。
本発明は、容器に設けられた記録媒体に記録された情報を読み取る際の読取装置による記録媒体の読み取りが妨げられることを抑制することができる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定の情報が記録された記録媒体が設けられた容器に飲料を供給する飲料供給装置であって、飲料を供給する機構を備えた本体と、前記飲料が供給されるときに前記容器が保持される保持部と、前記保持部の下方に設けられ、飲料を受けるトレイと、前記本体に設けられ、前記記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置と、を備え、前記トレイには、飲料を受ける底部と、前記底部の下方に形成された収容空間と、が設けられ、前記読取装置は、前記収容空間の内部に収められ、前記読取装置は、前記収容空間から出入り可能に設けられ、前記トレイは、前記本体から取り外し可能に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、読取装置による記録媒体の読み取りが妨げられることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る飲料供給装置の構成を示す正面図
【
図3】ドリップトレイの構成を示す図であり、(A)は、平面図、(B)は、(A)のB-B断面図、(C)は、(A)のC-C断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の発明は、所定の情報が記録された記録媒体が設けられた容器に飲料を供給する飲料供給装置であって、飲料を供給する機構を備えた本体と、前記飲料が供給されるときに前記容器が保持される保持部と、前記保持部の下方に設けられ、飲料を受けるトレイと、前記本体に設けられ、前記記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置と、を備え、前記トレイには、飲料を受ける底部と、前記底部の下方に形成された収容空間と、が設けられ、前記読取装置は、前記収容空間の内部に収められ、前記読取装置は、前記収容空間から出入り可能に設けられ、前記トレイは、前記本体から取り外し可能に設けられている。
これによれば、飲料供給装置では、トレイに貯留された飲料等の液体を容易に廃棄できる。
【0009】
第2の発明は、前記底部には、上方に隆起して下方に前記収容空間を構成する被覆部が形成され、前記被覆部は、前記読取装置の上方を覆っている。
これによれば、読取装置は、上面が被覆部によって覆われた状態で、収容空間に収められる。
【0010】
第3の発明は、前記読取装置は、読取装置収容部に収容され、前記読取装置収容部は、前記本体から前記トレイ側に向かって延びている。
これによれば、飲料供給装置では、トレイを読み取り装置に沿って移動させることで、当該トレイを装置本体から着脱させることができる。
【0011】
第4の発明は、前記底部には、前記保持部の直下に位置し、前記トレイの深さ方向において最も高い頂部が形成され、前記読取装置は、前記頂部の下方に位置する。
これによれば、飲料供給装置では、読取装置による記録媒体の情報の読み取りが貯留された飲料等の液体によって妨げられることが抑制される。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る飲料供給装置1の構成を示す正面図である。
本実施形態の飲料供給装置1は、コンビニエンスストアや飲食店、あるいはドリンクバーといった店舗等に設置される所謂飲料ディスペンサであり、具体的には、コーヒー飲料等を抽出してカップ等の所定の容器に注ぐ装置である。
【0013】
飲料供給装置1は、
図1に示すように、装置本体2と、トレイユニット10とを備えている。
装置本体2は、内部に飲料を供給するための各種の機構が収められた箱状の筐体である。本実施形態の装置本体2の内部には、駆動モータやミル、フィルタ、シリンダ、温水タンク等といったコーヒー飲料等を抽出するための各種の抽出機構や、ポンプや供給配管等といった抽出されたコーヒー飲料等を供給するための各種の供給機構、これらの抽出機構や供給機構の制御や外部のサーバ等と通信を行う制御装置11(
図5)等が収められている。
これらの抽出機構や供給機構は、飲料ディスペンサとして公知であるコーヒー飲料抽出機構や供給機構と略同一のものである。
【0014】
装置本体2の前面の略中央には、飲料供給ノズル3が設けられている。飲料供給ノズル3は、装置本体2の内部で抽出された飲料を吐出するノズルであり、当該飲料供給ノズル3には、装置本体2の内部に収められた供給機構の供給配管が接続されている。飲料供給ノズル3の下端には、吐出口4が形成されている。飲料供給装置1では、抽出された飲料は、装置本体2の上下方向に沿って、飲料供給ノズル3の吐出口4を通じて下方に吐出される。
【0015】
装置本体2の前面において、飲料供給ノズル3の上方には、吐出ボタン5が設けられている。この吐出ボタン5が押圧されると、抽出機構によって抽出された飲料が飲料供給ノズル3の吐出口4を通じて下方に吐出される。
【0016】
装置本体2の前面において、吐出ボタン5の上方には、表示パネル6が設けられている。この表示パネル6は、飲料供給装置1の状態に関する情報や、飲料供給装置1が提供可能なメニュー、所定の容器から読み取った情報等が表示される表示部として機能する。
なお、この表示パネル6は、タッチパネルであってもよい。この場合、表示パネル6は、抽出された飲料を飲料供給ノズル3から吐出させるためのタッチ操作が可能に構成されていてもよい。またこの場合、吐出ボタン5が必ずしも物理的に設けられる必要はない。
【0017】
図2は、飲料供給装置1の分解斜視図である。
図2に示すように、装置本体2の前面において、飲料供給ノズル3の下方には、読取装置収容部7が設けられている。読取装置収容部7は、上面が開放された箱状に形成され、装置本体2の前後方向に沿って、装置本体2の前面から前方に向かって、長手方向が延びるように設けられている。この読取装置収容部7は、装置本体2の前面の幅方向において、略中央に配置されている。
本実施形態の読取装置収容部7は、装置本体2の前面の下端に設けられ、底面が装置本体2の底面に連続して形成されている。すなわち、読取装置収容部7の底面は、装置本体2が載置された載置面に接する。さらに、読取装置収容部7は、飲料供給ノズル3の直下に位置している。
【0018】
読取装置収容部7には、読取装置40が収められている。
読取装置40は、NFCタグやRFIDタグ等の電子タグ、あるいはICタグと呼ばれる所定の情報を記録する記録媒体から、当該記録媒体に記録された情報を読み取る非接触型の読取機構を備えた装置である。この読取装置40は、記録媒体との間で、所定の規格に従って近距離無線通信を行い、当該記録媒体から情報を読み取る。読取装置40は、読み取った情報を装置本体2の内部に収められた制御装置11に送信する。
本実施形態の読取装置40は、平面状に形成されたアンテナ、もしくはコイルを備え、この平面アンテナ、もしくはコイルから通信用(情報の読み取り用)の電波、または電磁波を装置本体2の上下方向に放射する。
なお、読取装置40は、記録媒体に情報を書き込む機能を有していてもよい。また、読取装置40の上部には、樹脂製の防滴用カバーが設けられていてもよい。
【0019】
トレイユニット10は、装置本体2の前面に取り付けられ、飲料供給ノズル3の下方に位置するように配置されている。このトレイユニット10は、略槽状に形成されたドリップトレイ20と、当該ドリップトレイ20の上面を覆う平板状の載置板30とを備え、全体として箱体となるように形成されている。
本実施形態では、ドリップトレイ20と、載置板30とは、いずれも樹脂によって形成されている。
【0020】
載置板30は、長手方向の長さ寸法が、装置本体2の前面の幅方向の寸法と略同一となるように形成され、ドリップトレイ20の上面全体を覆う平板状部材である。この載置板30の略中央には、貫通孔32が設けられ、当該貫通孔32の周囲には、メッシュ状の水切り部34が設けられている。
トレイユニット10が装置本体2の前面に取り付けられた状態において、貫通孔32、及び水切り部34は、飲料供給ノズル3の吐出口4の直下に配置されている。
本実施形態では、飲料供給装置1から飲料を注がれる所定の容器は、水切り部34の上面に載置される。すなわち、載置板30は、飲料供給装置1から飲料を注がれる所定の容器が保持される保持部として機能する。
【0021】
図3は、ドリップトレイ20の構成を示す図であり、
図3(A)は、平面図、
図3(B)は、(A)のB-B断面図、
図3(C)は、(A)のC-C断面図である。
ドリップトレイ20は、飲料供給装置1から所定の容器に飲料を注がれるときに、当該容器から流れ出た飲料や、飛び散った飲料を受けて貯留するための部材である。このドリップトレイ20は、上述の通り、内部に貯留空間V1が設けられ、上面が開放された槽状に形成されている。
ドリップトレイ20は、載置板30と同様に、長手方向の長さ寸法が、装置本体2の前面の幅方向の寸法と略同一となるように形成されている。ドリップトレイ20は、当該ドリップトレイ20の長手方向に沿って形成された一方の側壁21が装置本体2の前面の下端に接するように、装置本体2に取り付けられている。
【0022】
図3(A)、
図3(B)に示すように、ドリップトレイ20には、長手方向の略中央において、底部24が貯留空間V1側に向かって、所定の高さ寸法で隆起するように突出することで形成された被覆部26が設けられている。
被覆部26は、平面視で略矩形状に形成されており、当該被覆部26は、長手方向における一方の端部が側壁21に連結され、他方の端部が側壁21に対向して配置される側壁25に接近した位置に配置されている。
【0023】
被覆部26の上面には、ドリップトレイ20の長手方向の略中央に位置し、当該長手方向全体に亘って設けられている頂部27から、当該ドリップトレイ20の長手方向に沿った両側に、底部24に向かって傾斜する一対の傾斜面28が設けられている。この傾斜面28は、頂部27から、ドリップトレイ20の上下方向(貯留空間V1の深さ方向)に沿って下方に向かって傾斜している。これらの傾斜面28は、被覆部26の長手方向全体に亘って形成されている。
すなわち、被覆部26の上面は、頂部27において、一対の傾斜面28が連結された、所謂切妻屋根形状に形成されている。
これらの頂部27、及び一対の傾斜面28から成る被覆部26の上面には、撥水コーティング、あるいは撥水加工が施されていることが望ましい。
また、被覆部26は、貯留空間V1内において、この頂部27が載置板30に接しない程度の高さ寸法となるように形成されている。
【0024】
図3(B)、
図3(C)に示すように、底部24が上方に突出して被覆部26が形成されることによって、当該被覆部26の下方には、収容空間V2が形成されている。この収容空間V2は、上方が被覆部26で覆われ、下方が開放されている。
側壁21には、収容空間V2の横断面と略同形状の開口部23が設けられている。上述の通り、被覆部26は、長手方向における一方の端部が側壁21に連結されており、これによって、収容空間V2の長手方向における一方は、開口部23に連通している。このため、収容空間V2は、開口部23を介して、装置本体2側の外部に連通されている。
【0025】
図4は、
図1のIV-IV断面図である。
上述の通り、トレイユニット10は、ドリップトレイ20の長手方向に沿って形成された一方の側壁21が装置本体2の前面の下端に接するように、装置本体2に着脱自在に取り付けられている。装置本体2に取り付けられたドリップトレイ20の底面は、装置本体2が載置された載置面に接するように設けられている。
このとき、
図4に示すように、読取装置収容部7と、読取装置40とは、いずれも、上面が被覆部26によって覆われた状態で、収容空間V2に収められている。またこのとき、読取装置40が備える平面アンテナ、もしくはコイルは、載置板30に平行となるように配置されている。
【0026】
読取装置収容部7と、読取装置40とは、開口部23に挿通されることで収容空間V2に収められる。これらの読取装置収容部7と、読取装置40とは、開口部23を通過させることで収容空間V2から離脱させることが可能である。
このように、開口部23を介して読取装置収容部7と、読取装置40とを収容空間V2から出入りさせることが可能となっているため、トレイユニット10は、装置本体2の前後方向に沿って引き出されることによって、当該装置本体2から取り外すことができる。
【0027】
図5は、飲料供給システム100の概略構成を示す図である。
次いで、本実施形態の飲料供給装置1が用いられるシステムの一例として、飲料供給システム100について説明する。
本実施形態の飲料供給システム100は、ユーザUに適切に飲料を提供可能にするシステムである。飲料供給システム100は、
図5に示すように、飲料供給装置1と、サーバ60と、飲料容器70と、情報端末80とを備えている。本実施形態では、飲料供給装置1やサーバ60等がそれぞれ1台ずつ設けられている場合を説明するが、これに限らず、飲料供給システム100が備える機器は、いずれも複数設けられていてもよい。
【0028】
飲料供給装置1は、上述の通り、制御装置11を備えている。制御装置11は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスとを有したコンピュータを備えている。また、当該制御装置11は、機器制御部8と、全体制御部9とを備えている。
機器制御部8は、装置本体2に収められた抽出機構や供給機構といった、各種の装置機構の駆動を制御するものである。
全体制御部9は、読取装置40が読み取った情報の取得や、通信ネットワーク90を介したサーバ60との各種の情報の送受信、表示パネル6の表示制御、機器制御部8の制御等を行うものである。
【0029】
サーバ60は、飲料容器70の識別のためのデータベースが収められ、通信ネットワーク90を介して、当該データベースに関わる情報の送受信を飲料供給装置1や、情報端末80との間で行うものである。
なお、サーバ60は、飲料供給装置1に一体に設けられていてもよい。
【0030】
飲料容器70は、飲料供給装置1から飲料が注がれる所定の容器であり、この飲料容器70は、例えば、タンブラー、携帯マグ、水筒、使い捨てコップ、ポット等である。本実施形態では、飲料容器70は、
図1、
図2、
図5に示すように、所謂タンブラーとして構成されている。
図1、
図2、
図5に示すように、飲料容器70の底部には、情報タグ72が設けられている。この情報タグ72は、NFCタグやRFIDタグ等の電子タグ、あるいはICタグと呼ばれる所定の情報を記録する記録媒体である。
情報タグ72が備える通信用の平面アンテナ、もしくはコイルは、飲料容器70の底面に平行となるように配置されている。
上述の通り、読取装置40が備える平面アンテナ、もしくはコイルは、載置板30に平行となるように配置され、通信用の電波、または電磁波を上下方向に放射する構成となっている。
このため、飲料容器70が載置板30に載置された場合、情報タグ72が備える通信用の平面アンテナ、もしくはコイルは、読取装置40が備える平面アンテナ、もしくはコイルと略平行に配置される。
また、本実施形態の飲料容器70には、例えば周面等に情報タグ72に対応したシリアルナンバーが記載されている。なお、シリアルナンバーに限らず、例えば、二次元コードであってもよい。
【0031】
本実施形態の飲料容器70は、樹脂製のタンブラーとなっている。なお、これに限らず、飲料容器70は、紙やセラミック、ガラス、金属等といった各種の材料で形成されていてもよい。飲料容器70が金属で形成される場合には、情報タグ72は、ゴム材等で飲料容器70の金属表面から数mm程度離して、当該飲料容器70の底部に設けられることが望ましい。
【0032】
情報端末80は、サーバ60と通信して所定の情報の送受信が可能である、ユーザUが所持する携帯端末であり、当該情報端末80は、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット等である。この情報端末80では、飲料供給システム100に係る所定のアプリケーションプログラムが実行可能となっている。
通信ネットワーク90は、飲料供給装置1やサーバ60、情報端末80等の飲料供給システム100が含む各機器を相互にデータ通信可能に接続する。通信ネットワーク90は、専用回線、公衆回線網、移動体無線通信網、LAN(Local Area Network)回線等を含んで構成される通信回線であり、ルータ、無線通信アクセスポイント等の機器を含んでもよい。飲料供給システム100が含む各機器と通信ネットワーク90との接続は、無線であってもよいし有線であってもよい。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施例の飲料供給システム100では、まず、ユーザUは、飲料容器70を準備し、情報端末80で実行される所定のアプリケーションプログラムを操作して、サーバ60にアクセスする。そして、ユーザUは、飲料容器70に記載されたシリアルナンバーと共にユーザUの情報を登録する。次いで、ユーザUは、アプリケーションプログラムを操作してメニューから所望の飲料を注文する。この注文内容は、サーバ60に送信され、当該サーバ60に保存される。
【0034】
この後に、ユーザUは、飲料供給装置1が設置された場所において、飲料容器70を飲料供給装置1にセットする。具体的には、飲料容器70を載置板30の水切り部34の上面に載置する。これによって、飲料容器70は、飲料供給ノズル3の吐出口4の下方に配置される。またこのとき、ユーザUは、飲料容器70の周方向における位置を規定することなく、当該飲料容器70を載置板30に載置できる。すなわち、ユーザUは、飲料容器70の側面の向きを意識せずに、余分な動作を行うことなく当該飲料容器70を載置板30に置くことができる。
【0035】
上述のように、飲料容器70が載置板30の上面に載置されると、飲料容器70の略直下に位置する読取装置40が情報タグ72と通信を行い、当該情報タグ72に記録された情報を読み取る。読み取られた情報は、全体制御部9に取得され、全体制御部9は、当該情報をサーバ60に送信する。
サーバ60は、データベースから当該情報とシリアルナンバーとを紐づけ、注文内容を飲料供給装置1に送信する。
【0036】
注文内容を受信した全体制御部9は、表示パネル6に注文内容を表示させる。ユーザUは、表示パネル6で注文内容を確認し、情報端末80から注文した内容と同一であれば、吐出ボタン5を押下する。この吐出ボタン5が押下されると、機器制御部8が抽出機構と供給機構とを駆動させ、これによって、飲料供給ノズル3の吐出口4から飲料が吐出されて、飲料容器70に注がれる。
【0037】
ただし、この制御フローにおいて、ユーザUが吐出ボタン5を押下するステップを省くことも可能である。すなわち、サーバ60からの注文内容を全体制御部9が受信した時点で飲料を吐出するよう制御してもよい。
この場合、読取装置40と情報タグ72との通信が成立した状態にあるので、飲料容器70は、確実に飲料供給ノズル3の下方に載置された状態にある。そのためユーザUによる吐出ボタン5の押下動作を待たずに飲料が吐出されたとしても、飲料は、飲料容器70に確実に注がれることとなり、トレイユニット10やその周辺を汚損することはない。
【0038】
このように、飲料供給システム100では、店舗内においてユーザUが注文や会計に係る各種の操作を行うことなく、飲料容器70を飲料供給装置1に置くという動作を行うだけで、容易に飲料の供給を受けることが可能である。
【0039】
ここで、飲料供給装置1から飲料が飲料容器70に注がれるときに、飲料供給ノズル3の吐出口4から吐出された飲料が飲料容器70の外部に流れ出る場合がある。流れ出た飲料は、貫通孔32や水切り部34を介してドリップトレイ20の貯留空間V1に流れ込む。
上述の通り、読取装置40は、ドリップトレイ20の下方の収容空間V2に収められている。読取装置40は、近距離無線通信で情報タグ72の情報を読み取っている。このため、情報タグ72と読取装置40との間に飲料等の液体が存在する場合、当該液体によって、読取装置40と情報タグ72との間で近距離無線通信の電波、または電磁波が減衰され、読取装置40が所定の情報を取得できない虞がある。
【0040】
本実施形態では、読取装置40を覆う被覆部26は、頂部27において、一対の傾斜面28が連結された、所謂切妻屋根形状となるように上面が形成されている。
これによって、被覆部26の上面に流れ込んだ飲料等の液体は、傾斜面28を伝ってドリップトレイ20の底部24に流される。このため、情報タグ72と読取装置40との間に、飲料等の液体が滞留することが抑制される。そして、読取装置40による情報タグ72の情報の読み取りが妨げられることが抑制される。
【0041】
また、これらの頂部27、及び一対の傾斜面28から成る被覆部26の上面は、撥水コーティング、もしくは撥水加工、もしくは適切な材質が用いられているため、より確実に飲料等の液体を底部24に流すことが可能となっている。
さらに、頂部27は、ドリップトレイ20の長手方向の中央に位置し、貯留空間V1において、載置板30に載置された飲料容器70の情報タグ72に最も接近している。このため、貯留空間V1に所定量の飲料等の液体が貯留された場合であっても、当該飲料等の液体の水面より上方に突出し、読取装置40による情報タグ72の情報の読み取りが妨げられることを抑制できる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、飲料供給装置1は、装置本体2と、飲料が供給されるときに飲料容器70が載置される載置板30と、載置板30の下方に設けられ、飲料容器70の外部に流出した飲料を受けるドリップトレイ20と、ドリップトレイ20の下方に設けられ、情報タグ72に記録された情報を読み取る読取装置40とを備えている。そして、ドリップトレイ20には、底部24が上方に向かって突出して形成された、読取装置40を覆う被覆部26が設けられ、被覆部26の上面には、傾斜面28が設けられている構成とした。
これによれば、被覆部26の上面に滴下された飲料等の液体は、傾斜面28の傾斜に従って、ドリップトレイ20の底部24に向かって流される。このため、情報タグ72と読取装置40との間に飲料等の液体が滞留して、読取装置40による情報タグ72の読み取りが妨げられることが抑制される。
【0043】
また、本実施形態によれば、ドリップトレイ20は、本体から着脱自在に設けられている構成とした。
これによれば、ドリップトレイ20に貯留された飲料等の液体を廃棄し、当該ドリップトレイ20を洗浄することが容易となる。このため、ドリップトレイ20の手入れが容易となる。
【0044】
また、本実施形態によれば、被覆部26は、ドリップトレイ20の側壁21に設けられ、被覆部26の下方の収容空間V2と、外部とを連通させる開口部23に連通されている構成とした。
これによれば、ドリップトレイ20は、開口部23から読取装置40が抜け出るように移動させることで、離脱可能に設けられている。
このため、ドリップトレイ20を読取装置40に沿って移動させることで、ドリップトレイ20を装置本体2から着脱させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、読取装置40は、飲料容器70の底部に収められた情報タグ72に記録された情報を読み取る構成とした。
これによれば、飲料供給装置1の載置板30には、飲料容器70の周方向における位置を規定することなく当該飲料容器70を載置できる。このため、ユーザUは、飲料容器70の周方向における配置(飲料容器70の側面の向き)を確認することなく、飲料供給装置1に当該飲料容器70を載置することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、被覆部26は、保持部に保持された飲料容器70の底部の下方に位置する箇所に頂部27が設けられ、傾斜面28は、頂部27から底部に向かって傾斜している構成とした。
これによれば、頂部27は、載置板30に載置された飲料容器70の情報タグ72の直下に位置し、当該頂部27がドリップトレイ20の深さ方向において最も高い位置となっている。このため、所定量の飲料等の液体がドリップトレイ20に貯留された場合であっても、頂部27は、貯留された飲料等の液体よりも上方に位置し、読取装置40による情報タグ72の情報の読み取りが貯留された飲料等の液体によって妨げられることが抑制される。
【0047】
なお、本実施形態において、情報タグ72と読取装置40との間に存在し得る飲料等の液体には、飲料そのものの他に、飲料供給装置1の各部、特に飲料供給ノズル3等を洗浄する際に用いられる液体(主にリンス液)、ドリップトレイ20を外して洗った後に残ったすすぎ水、等がある。
【0048】
上述した実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0049】
上述した実施形態では、飲料供給装置1は、被覆部26の上面が切妻屋根形状に成形されたドリップトレイ20を備えるとした。しかしながら、これに限らず、飲料供給装置1は、
図6(A)に示すように、被覆部126の上面には、頂部127の両側に、底部24に向かって傾斜する一対の傾斜面128と、頂部127の長手方向に沿って、底部24へと傾斜する傾斜面129とが設けられたドリップトレイ120を備えていてもよい。
【0050】
また例えば、飲料供給装置1は、
図6(B)に示すように、被覆部226の上面が中央から四方向に沿って、それぞれが底部24に向かって傾斜する4つの傾斜面228を備えた四角錐状に形成されたドリップトレイ220を備えていてもよい。この場合、頂部227は、四角錐の頂点となる。
また、被覆部226の上面は、四角錐に限らず、円錐等の他の錐体状に形成されていてもよい。
【0051】
また例えば、被覆部26の上面は、ドーム屋根状、あるいは蒲鉾状に形成されていてもよい。
【0052】
また例えば、上述した実施形態では、被覆部26の上面には、撥水コーティング、または撥水加工が施されているとしたが、これに限らず、親水コーティング、または浸水加工が施されていてもよい。
ただし、撥水コーティングや撥水加工、あるいは親水コーティングや親水加工が施されていなくても、飲料等の液体が滞留し難い、もしくは滞留する量が非常に少ない材質を用いることによって、コーティングや加工したものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
また例えば、上述した実施形態では、載置板30には、貫通孔32や水切り部34が設けられているとしたが、これに限らず、載置板30の上面に流れ出た飲料等の液体がドリップトレイ120に移動可能であれば、どのような形状に成形されていてもよい。
【0054】
また例えば、上述した実施形態では、飲料供給装置1は、コーヒー飲料を供給する装置であるとしたが、これに限らず、例えば、ジュースや、アイスクリーム、かき氷、シャーベット、シェイク、ミネラルウオーター等の飲料、またはそれに類する食品を供給する装置であってもよい。また、この場合、装置本体2に収められる機構は、供給する飲料や食品に応じたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る飲料供給装置は、記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置を備え、所定の情報が記録された記録媒体が設けられた容器に飲料を供給する飲料供給装置に、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 飲料供給装置
2 装置本体(本体)
20、120、220 ドリップトレイ(トレイ)
21、25 側壁
23 開口部
24 底部
26、126、226 被覆部
27、127、227 頂部
28、128、129、228 傾斜面
30 載置板(保持部)
40 読取装置
70 飲料容器(容器)
72 情報タグ(記録媒体)
V1 貯留空間
V2 収容空間(空間)