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特開2023-115024新規の安定した抗体の可変領域フレームワークの組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115024
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】新規の安定した抗体の可変領域フレームワークの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20230810BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230810BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090016
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2020515647の分割
【原出願日】2018-09-19
(31)【優先権主張番号】17192206.5
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515310984
【氏名又は名称】ヌマブ セラピューティクス アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニア ディーム
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヘス
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ダービト ユーレヒ
(57)【要約】
【課題】本発明は、有利な特性を有する新規の抗体可変領域の組み合わせに関する。
【解決手段】本発明は、ヒト抗体重鎖ドメイン、およびキメラヒト抗体軽鎖フレームワークとの新規な組み合わせに関し、VΚ由来のフレームワーク領域I~III、およびVλ由来のフレームワーク領域IVを含み、有利な特性、たとえば高い安定性、凝集傾向の低下、および改善された結合親和性を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む抗体、またはその機能的断片:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(i)前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列同一性を示す;および
(ii)前記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、ここで特に、前記LFW4は配列番号63に記載の配列を有する、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列同一性を示す、可変重鎖。
【請求項2】
前記可変重鎖は、配列番号1に記載のVH1A配列、または配列番号6に記載のVH1B配列、または配列番号21に記載のVH4配列、または配列番号26に記載のVH4mut配列から得られたHFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含み、ここで特に、前記可変重鎖は以下を含む、請求項1に記載の抗体、またはその機能的断片:
(a)配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4;または
(b)配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4;または
(c)配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4;または
(d)配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4。
【請求項3】
前記可変軽鎖は、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた、または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含み、ここで特に可変軽鎖は以下を含む、請求項1または2に記載の抗体、またはその機能的断片:
(a)配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3;または
(b)配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3。
【請求項4】
前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、
請求項1に記載の抗体、またはその機能的断片。
【請求項5】
前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、
請求項1に記載の抗体、またはその機能的断片。
【請求項6】
前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、
請求項1に記載の抗体、またはその機能的断片。
【請求項7】
前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、
請求項1に記載の抗体、またはその機能的断片。
【請求項8】
前記CDR領域、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、
(i)対象抗原に対する特異性を有する親の非ヒト抗体由来、特に親のウサギ抗体または親のげっ歯類抗体由来、特に親のマウスまたはラット抗体由来のCDR領域 HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3;
(ii)VΚドメインを含む親のヒトまたはヒト化抗体由来の、特に治療用に承認された、または市販されている抗体由来のCDR領域 HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3;
(iii)(i)または(ii)に記載のCDR領域由来の、CDR領域 HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、特に一つまたは複数の(i)または(ii)に記載のCDR領域の最適化により得られるCDR領域;ならびに
(iv)(i)、(ii)、および/または(iii)に記載の一つまたは複数のCDR領域に置換されるCDR領域、
から独立して選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体、またはその機能的断片。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体、またはその機能的断片、および任意に薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体、またはその機能的断片をコードする、核酸配列または核酸配列のコレクション。
【請求項11】
請求項10の核酸配列または核酸配列のコレクションを含むベクターまたはベクターのコレクション。
【請求項12】
請求項10に記載の核酸配列もしくは核酸配列のコレクション、または請求項11に記載のベクターもしくはベクターのコレクションを発現する工程を含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体、またはその機能的断片を産生する方法。
【請求項13】
以下の工程を含む、非ヒト抗体、特にウサギまたはげっ歯類抗体をヒト化する方法:
(a)一つまたは複数の工程で、前記非ヒト抗体の可変重鎖(VH)CDR、および可変軽鎖(VL)CDRをコードする核酸配列を、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで前記非ヒト抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされ、任意でVH CDR2および/またはVL CDR1、特にVH CDR2およびVL CDR1の両方のクローニングをさらに含み、任意でVH CDR1および/またはVL CDR2、特にVH CDR1およびVL CDR2の両方のクローニングをさらに含む、
任意で以下の一つまたは複数の工程をさらに含む:
(aa)非ヒト動物、特にウサギまたはげっ歯類の、目的の抗原による免疫化;および
(ab)少なくとも一つの目的の抗体の分離
任意で以下の一つまたは複数の工程をさらに含む:
(ac)特に蛍光活性化セルソーティングを使用することによって、目的の抗原と相互作用する親和性成熟記憶B細胞のクローン単離;
(ad)単一B細胞クローンの不死化を必要としない共培養システムでの単一B細胞の培養;
(ae)目的の抗原に結合する少なくとも一つの抗体を同定するための、細胞ベースのELISAでのB細胞培養上清のスクリーニング;および/または
(af)ヒト抗体VHドメインをコードする核酸配列への、少なくとも一つの抗体のVH CDRのクローニング。
特に、
ここで、前記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH4(配列番号21)、およびVH4mut(配列番号26)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)およびVΚ3(配列番号51)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する、または
ここで前記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、以下に対してともに最高の相同性を有する
(i)VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)、VΚ2(配列番号46)、VΚ3(配列番号51)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域;または
(ii)VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH4(配列番号21)、VH4mut(配列番号26)、VH5(配列番号31)、およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域、または
ここで、前記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号79)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
【請求項14】
目的の親抗体を最適化する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)一つまたは複数の工程で、前記親抗体のVH CDR、およびVL CDRをコードする核酸配列を、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで前記親抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされ、任意でVH CDR2および/またはVL CDR1、特にVH CDR2およびVL CDR1の両方のクローニングをさらに含み、任意でVH CDR1および/またはVL CDR2、特にVH CDR1およびVL CDR2の両方のクローニングをさらに含む、
特に、
ここで、前記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH4(配列番号21)、およびVH4mut(配列番号26)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)およびVΚ3(配列番号51)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する、または
ここで、前記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、以下に対してともに最高の相同性を有する
(i)VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)、VΚ2(配列番号46)、VΚ3(配列番号51)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域;または
(ii)VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH4(配列番号21)、VH4mut(配列番号26)、VH5(配列番号31)、およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域、または
ここで、前記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号79)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
【請求項15】
抗体、またはその機能的断片の多様なコレクションを生成する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)一つまたは複数の工程で、VH CDRおよび/またはVL CDRの一つまたは複数の多様なコレクションをコードする核酸配列の、一つまたは複数の多様なコレクションを、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、任意にここでVH CDR3の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、任意にここでVL CDR3の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、
特に
ここで、VH CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、特にVH CDR2の多様なコレクションおよびVL CDR1の多様なコレクションの両方がクローニングされる、
ここで、VH CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、特にVH CDR2の多様なコレクションおよびVL CDR1の多様なコレクションの両方がクローニングされる、および/または
ここで、VH CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、特にVH CDR1の多様なコレクションおよびVL CDR2の多様なコレクションの両方がクローニングされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有利な特性を有する新規の抗体可変領域の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ヒト抗体重鎖ドメイン、およびキメラヒト抗体軽鎖フレームワークとの新規な組み合わせに関し、VΚ由来のフレームワーク領域I~III、およびVλ由来のフレームワーク領域IVを含み、有利な特性、たとえば高い安定性、凝集傾向の低下、および改善された結合親和性を有する。
【0003】
最初のモノクローナル抗体(「mAb」、Koehler & Milstein、Nature、256(1975) 495-7)の開発以来の過去40年で、抗体は研究、診断、および治療目的のための生体分子のますます重要なクラスになってきた。当初、抗体は、対応する目的の抗原で動物を免疫化することによって排他的に得られた。非ヒト起源の抗体は研究および診断に使用できるが、治療アプローチでは、人体は非ヒト抗体を異物として認識し、非ヒト抗体原薬に対する免疫応答を引き起こし、効果を低下または無効にさせる場合がある。したがって、非ヒト抗体の免疫原性を低くするための組換え法が提起された。
【0004】
非ヒトmAbを免疫原性の低い治療薬に変換する最初の試みは、動物(たとえば、げっ歯類)可変ドメイン、およびヒト定常領域からなるキメラ抗体の操作を必要とした(Boulianne et al.、Nature 312、(1984) 643-646)。さらなるアプローチは、ヒト可変ドメインスキャフォールド内に相補性決定領域(CDR)を導入することによる(Jones et al.、Nature 321(1986) 522-525;Riechmann et al.、Nature 332(1988) 323-7)、または可変ドメインを表面再処理(resurfacing)することによる(Roguska et al.、 Proc.NATl.Acad.Sci. USA 91(1994) 969-973)、げっ歯類mAbのヒト化を目的とした。
【0005】
CDRのループ移植(loop grafting)によるヒト化のために、ヒトアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークとの相同性に基づいて(たとえば、Roguska et al.、Protein Engineering 9(1996) 895-904;国際公開第2008/144757号(ウサギ用))、または好適な安定性プロファイル(Ewert et al.、Methods 34(2004) 184-199)に基づいて選択される。後者の概念は、ウサギ抗体のユニバーサル可変ドメインフレームワークへのヒト化に利用されている(米国特許第8,193,235号)。
【0006】
任意の選択されたアプローチにより得られるmAbまたは機能的断片は、理想的には、ドナーmAbの所望の薬力学的特性を保持しながら、薬らしい生物物理学的特性、および最小限の免疫原性を示す。mAb、またはその機能的断片の生物物理学的特性に関して、凝集の傾向は、主に以下の3つの理由から、治療用分子の開発可能性に対する大きな懸念事項であった:
【0007】
第一に、タンパク質凝集体は、一般に、抗薬物抗体の形成をもたらし、最終的に薬物中和抗体をもたらす宿主における免疫反応を誘発する高い可能性を示す(Joubert et al.、J.Biol.Chem. 287(2012) 25266-25279)。
【0008】
第二に、凝集体は、その除去のための努力の増大により、製造歩留まりに影響を与える(Cromwell et al.、 AAPS Journal 8 (2006)、 Article 66)。
【0009】
第三に、オフターゲット効果が観察される場合がある。オリゴマー形成に関する懸念は、これらの場合のオリゴマー形成は、オフターゲット効果をもたらす可能性がある、多価結合特性を有するタンパク質集塊をもたらすため、標的および構築物あたり1つの原子価のみを有する二重特異性(または多重特異性)抗体フォーマットを含む、一価結合が好適な用途ではさらに顕著である。そのような非特異的活性の例は、二重特異性抗体フォーマットの単一のCD3ε結合ドメインを有する構築物の使用である。そのようなフォーマットは、たとえば、がん抗原に対するその2つの結合ドメインの1つ、および細胞傷害性T細胞を動員するその2つ目のCD3ε結合ドメインと結合し得る。CD3εを介したシグナル伝達を誘導するには、一価CD3ε結合部分の架橋が必要であるため、T細胞は標的細胞の表面に結合した複数の二重特異性構築物に関与している場合にのみ刺激され、-したがって架橋分子の特性を取り入れ、-がん細胞のみに特異的なT細胞応答をもたらすだろう。それどころか、そのような構築物のオリゴマーは、架橋二重特異性抗体の特性を示し、したがって、がん細胞に結合していなくても細胞傷害性T細胞を活性化し、それによりT細胞の全身活性化をもたらす。T細胞のそのような非特異的かつ全身的な活性化は、サイトカインレベルの上昇をもたらし、有害作用を引き起こす可能性がある。
【0010】
抗体の安定性は、生産、精製、貯蔵寿命に加えて、そして結果として、抗体治療薬の商品コストにとって非常に重要である。これらのパラメーターの一つまたは複数のわずかな改善でさえ、抗体薬の研究開発が商業的に実行可能かどうかの問題と非常に関連性がある。
【0011】
さらに、クローニング、発現、および精製の方法が標準化されうるので、信頼性があり普遍的に適用可能なアクセプターフレームワークは、非ヒト抗体をヒト化するロバストな方法を可能にするのに有益である。
【0012】
非ヒトmAbのヒト化に関する上記の基準を満たすために、公開された方法論は、非ヒト相補性決定領域の生着のためのアクセプタースキャフォールドとしてのヒトコンセンサス可変ドメインフレームワーク配列の使用を提案している。タンパク質の各アミノ酸位置について、タンパク質の安定性に寄与する残基が進化中の生殖系列配列のプールに豊富であるという仮定に基づいて、結果として生じるヒト化可変ドメインがそれぞれの可変ドメインファミリーのヒト生殖系列配列に近いほど、安定性が高いと予想されると、一般に理解される。この概念は、Steipeによって記述され(Steipe et al.、J.Mol.Biol. 240(1994) 188-92)、Woernによってレビューされたが(Woern et al.、J.Mol.Biol. 305(2001) 989-1010)、広く受け入れられており、そして幅広いアプリケーションを見出している。非限定的な例は、(a)非ヒト抗体のヒト化のためのコンセンサス配列可変ドメインの使用(Carter et al.、Proc.NATl.Acad.Sci. USA 89(1992) 4285-4289);(b)安定した標的結合抗体のin vitroスクリーニング用のCDRライブラリーを構築するためのコンセンサス配列可変ドメインの使用(Knappik et al.、J.Mol.Biol. 296(2000) 57-86);および(c)非コンセンサス残基をコンセンサス残基に交換することにより、抗体可変ドメインの安定性を改良する知識ベースのアプローチ(Steipe et al.、J Mol Biol、 240(1994)、 188-92)である。
【0013】
さらに、異なる可変ドメインファミリーの安定性は、最も安定な可変重ドメインであるVH3で示される。重要なことに、可変軽鎖ドメインの場合、VΚファミリーがVλファミリーより好適である(Ewert et al.、J Mol Biol、 325 (2003) 531-53)。具体的には、VH3、およびVΚ1のヒトコンセンサス配列は、好ましい生物物理学的特性を有し(Ewert et al.、J Mol Biol、 325 (2003) 531-53)、非ヒト起源の抗体のヒト化のために特に好適である(Carter et al.、Proc.NATl.Acad.Sci. USA 89 (1992) 4285-4289.で使用)。
【0014】
これに沿って、ヒトVκ1-VH3コンセンサスフレームワークhu-4D5がげっ歯類およびウサギ抗体のヒト化に使用された、いくつかの刊行物がある(Rader、J.Biol.Chem. 275(2000) 13668-13676;国際公開第2005/016950号;国際公開第2008/004834号)。あるいは、hu-4D5と同じファミリーに属するVHおよびVL配列の組み合わせは、元々は組換えクローン化免疫レパートリーから得られたもので、ウサギ由来の安定したヒト化単鎖(scFv)断片を生成するために使用されている(米国特許第8,293,235号;Borras et al.、J.Biol.Chem. 285(2010) 9054-9066)。
【0015】
そのようなフレームワークをさらに最適化するために、VΚ軽鎖からのフレームワーク領域I~IIIおよびVλ軽鎖からのフレームワーク領域IVを含む、キメラヒト抗体軽鎖ドメインは、有利な特性、たとえば高い安定性および凝集傾向の低下を有することが同定された(国際公開第2014/206561号)。
【0016】
しかし、特定のウサギ抗体については、VΚ1/VH3の組み合わせの使用は、ドナーフレームワーク位置の生着を必要とするヒト化可変ドメインの抗原結合親和性の著しい減少と関連していた。ウサギ可変ドメインに対するVΚ1/VH3の組み合わせの全体的な相同性は最大に見えるが、他の組み合わせがウサギCDRの生着をよりよくサポートするであろうことを排除することはできない。
【0017】
したがって、非ヒト抗体からヒト化抗体原薬を得る問題に対処するための多くの試みが既になされているという事実にもかかわらず、有利な特性、たとえば高い安定性、凝集傾向の低下、および改善された結合親和性を有する新規のヒト抗体ドメイン、または抗体ドメインの組み合わせを開発する大きな満たされていないニーズが依然として残っている。ここで、ヒト抗体フレームワークは、可能な限り免疫原性配列を作成するリスクを減らすために、天然に存在する配列と比較した場合、できるだけ少ない突然変異を含み、理想的には突然変異を含まない。そのような安定したヒトフレームワークは、たとえばループ移植により、または単に親抗体および安定したフレームワークの間で安定性寄与成分を交換することにより、完全ヒト抗体またはその断片を安定化するために使用することもできる。
【0018】
本発明により提供されるこの問題の解決策、すなわち、VΚからのフレームワーク領域I~IIIおよびVλからのフレームワーク領域IVを含む、有利な特性、たとえば高い安定性、凝集傾向の低下、および改善された結合親和性を有する、VHドメインおよびキメラヒト抗体軽鎖ドメインの新規な組み合わせは、従来技術ではこれまでに達成も示唆もされていない。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、VΚからのフレームワーク領域I~IIIおよびVλからのフレームワーク領域IVを含む、有利な特性、たとえば高い安定性、凝集傾向の低下、最小限の免疫原性、および改善された結合親和性を有する、特定のVHドメインおよび特定のキメラヒト抗体軽鎖ドメインの新規な組み合わせに関する。
【0020】
したがって、第一の態様では、本発明は、以下を含む抗体またはその機能的断片に関する:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(i)上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す;および
(ii)上記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列である、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも82%の配列同一性、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも75%の配列同一性を示す、可変重鎖。
【0021】
代替の態様では、本発明は、以下を含む抗体またはその機能的断片に関する:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(iii)上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す;および
(iv)上記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列である、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは95%の配列同一性を示す、可変重鎖。
【0022】
第二の態様では、本発明は、本発明の抗体、またはその機能的断片、および任意に薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0023】
第三の態様では、本発明は、本発明の抗体、またはその機能的断片をコードする、核酸配列または核酸配列のコレクションに関する。
【0024】
第四の態様では、本発明は、本発明の核酸配列または核酸配列のコレクションを含むベクターまたはベクターのコレクションに関する。
【0025】
第五の態様では、本発明は、本発明の核酸配列または核酸配列のコレクション、または本発明のベクターまたはベクターのコレクションを含む、宿主細胞、具体的には発現宿主細胞に関する。
【0026】
第六の態様では、本発明は、本発明の核酸配列もしくは核酸配列のコレクション、または本発明のベクターもしくはベクターのコレクション、または本発明の宿主細胞、具体的には発現宿主細胞を発現する工程を含む、本発明の抗体、またはその機能的断片を産生する方法に関する。
【0027】
第七の態様では、本発明は、以下の工程を含む、非ヒト抗体、具体的にはウサギまたはげっ歯類抗体をヒト化する方法に関する。
(a)一つまたは複数の工程で、上記非ヒト抗体の可変重鎖(VH)CDR、および可変軽鎖(VL)CDRをコードする核酸配列を、本発明に記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで上記非ヒト抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされる。
【0028】
第八の態様では、本発明は、目的の親抗体を最適化する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(a)一つまたは複数の工程で、上記親抗体のVH CDR、およびVL CDRをコードする核酸配列を、本発明に記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで上記親抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされる。
【0029】
第九の態様では、本発明は、抗体、またはその機能的断片の多様なコレクションを生成する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(a)一つまたは複数の工程で、VH CDRおよび/またはVL CDRの一つまたは複数の多様なコレクションをコードする核酸配列の、一つまたは複数の多様なコレクションを、本発明に記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、λキャップされた(λ-capped;上半分)またはキャップされていない(uncapped;すなわちVkフレームワークIVを含む;下半分、灰色)、VΚ1、VΚ2、及びVΚ3コンセンサス可変軽鎖がVH1A、VH1B、VH2、VH3、VH4、VH5、およびVH6コンセンサス可変重鎖ドメインと組み合わされて、この研究で調査された42のコンストラクトにつながることを示している。
図2図2は、キャップされていない(灰色のバー)対照物と比較した、キャップされた(白いバー)フレームワークバリアントの発現収率を示す。
図3図3は、pH値が3.5~7.5の範囲で0.15 MのNaClを含む、5つのリン酸塩-クエン酸塩緩衝液で測定された、キャップされたフレームワークバリアント(白い棒)およびキャップされていないフレームワーク対象物(灰色の棒)の示差走査蛍光分析(DSF)によって決定された平均熱変性温度(Tm)を示す。
図4A図4は、キャップされたバリアント(白い棒)およびキャップされていないバリアント(グレーの棒)の、37℃および10 mg/mLで2週間保存した後のSE-HPLCにより測定された正規化された(初期モノマー含有量に対する)モノマー含有量の比較を示す。(図4A)。キャップされたバリアントVΚ1/VH3の参照サンプルは、キャップされていないバリアントと比較して、モノマー含量の減少が39%少ないことを示した。下線付きの値は、インキュベーション中のキャップされていない対照物と比較して、参照VΚ1/VH3生殖細胞系の組み合わせよりもモノマー損失が少ないフレームワークの組み合わせを示す。キャップされたフレームワークバリアント(白い棒)およびキャップされていないフレームワークバリアント(灰色の棒)のモノマー含有率(%)を図4Bに示す。いくつかのフレームワークは、基準線(VΚ1/VH3)で示されるように、参照よりもモノマー含有量の損失が少ないことを示す。
図4B図4は、キャップされたバリアント(白い棒)およびキャップされていないバリアント(グレーの棒)の、37℃および10 mg/mLで2週間保存した後のSE-HPLCにより測定された正規化された(初期モノマー含有量に対する)モノマー含有量の比較を示す。(図4A)。キャップされたバリアントVΚ1/VH3の参照サンプルは、キャップされていないバリアントと比較して、モノマー含量の減少が39%少ないことを示した。下線付きの値は、インキュベーション中のキャップされていない対照物と比較して、参照VΚ1/VH3生殖細胞系の組み合わせよりもモノマー損失が少ないフレームワークの組み合わせを示す。キャップされたフレームワークバリアント(白い棒)およびキャップされていないフレームワークバリアント(灰色の棒)のモノマー含有率(%)を図4Bに示す。いくつかのフレームワークは、基準線(VΚ1/VH3)で示されるように、参照よりもモノマー含有量の損失が少ないことを示す。
図5図5は、キャップされたフレームワークバリアント(白い棒)およびキャップされていないフレームワーク対照物(灰色の棒)について、37℃で2週間10 mg/mLで保存した場合のTNF特異的制御分子のモノマー含量の絶対%を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本開示は、VΚからのフレームワーク領域I~IIIおよびVλからのフレームワーク領域IVを含む、有利な特性、たとえば高い安定性、凝集傾向の低下、最小限の免疫原性、および改善された結合親和性を有する、特定のVHドメインおよび特定のキメラヒト抗体軽鎖ドメインの新規な組み合わせを含む、抗体およびその断片に関する。驚くべきことに、ヒト化コンセンサス(i)VΚ1またはVΚ3からのフレームワーク領域I~III、および(ii)Vλからのフレームワーク領域IV、および(iii)特異性および抗原結合親和性を完全に保持しながら、VΚ1/VH3(キャップされた、またはキャップされていない)と比較して、少なくとも同等または優れた生物物理特性を示す、VH1A、VH1B、またはVH4重鎖ドメイン、のコンビナトリアルペア(combinatorial pair)を含むヒト可変VL/VHコンセンサスフレームワークの組み合わせが見出された。本発明者らはさらに、VH4の特定のフレームワーク位置(T24KおよびT84S)に2つの突然変異を導入すると、生物物理学的特性が改善されるだけでなく、親和性も改善されることを実証した。さらに、本発明者らは、最適なVHおよびVLフレームワークの組み合わせの選択に加えて、VLコンセンサスドメインへの特定のλキャップ(sk17、配列番号63)の組み込みも、それぞれの抗体またはその機能的断片の生物物理学的特性のさらなる改善につながることを初めて実証した。驚いたことに、sk17を含む抗体の保存性と熱安定性が向上するだけでなく、親和性も向上することが見出された。
【0032】
したがって、第一の態様では、本発明は、以下を含む抗体またはその機能的断片に関する:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(i)上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す;および
(ii)上記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列である、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも82%の配列同一性、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも75%の配列同一性を示す、可変重鎖。
【0033】
本開示によれば、配列番号41によるVΚ1配列から取られたフレームワーク領域は、それぞれ配列番号42、43、44および45で示されるLFW1’、LFW2’、LFW3’およびLFW4’である。配列番号51によるVΚ3配列から取られたフレームワーク領域は、それぞれ配列番号52、53、54および55で示されるLFW1’、LFW2’、LFW3’およびLFW4’である。配列番号21によるVH4配列から取られたフレームワーク領域は、それぞれ配列番号22、23、24および25で示されるLFW1’、LFW2’、LFW3’およびLFW4’である。配列番号26によるVH4配列から取られたフレームワーク領域は、それぞれ配列番号27、28、29および30で示されるLFW1’、LFW2’、LFW3’およびLFW4’である。配列番号1によるVH1A配列から取られたフレームワーク領域は、それぞれ配列番号2、3、4および5で示されるLFW1’、LFW2’、LFW3’およびLFW4’である。配列番号6によるVH1A配列から取られたフレームワーク領域は、それぞれ配列番号7、8、9および10で示されるLFW1’、LFW2’、LFW3’およびLFW4’である。
【0034】
そのような態様の特定の実施形態では、HFW4領域は、(i)ヒト重鎖生殖系列Jセグメントに含まれる配列、または(ii)再編成されたヒトVH配列に含まれる配列を有する。特定の実施形態では、HFW4配列はWGQGTLVTVSS、またはWGQGTLVTVSSに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の配列同一性を示す配列である。
【0035】
代替の態様では、本発明は、以下を含む抗体またはその機能的断片に関する:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(v)上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す;および
(vi)上記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列である、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは95%の配列同一性を示す、可変重鎖。
【0036】
一つの実施形態では、本発明は、以下を含む抗体またはその機能的断片に関する:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(i)上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、たとえば少なくとも97%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも86%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示す;および
(ii)上記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列である、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって
(i)配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の相同性を示す;または
(ii)配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも96%、好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも96%の相同性を示す;または
(iii)配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の相同性を示す、可変重鎖。
【0037】
特定のそのような実施形態では、HFW4領域は、(i)ヒト重鎖生殖系列Jセグメントに含まれる配列、または(ii)再編成されたヒトVH配列に含まれる配列を有する。特定の実施形態では、HFW4配列はWGQGTLVTVSS、またはWGQGTLVTVSSに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の配列同一性を示す配列である。
【0038】
代替の実施形態では、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって以下を示す。
(iv)配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも90%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の相同性を示す;または
(v)配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも96%の相同性を示す;または
(vi)配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、ならびに任意に、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の相同性を示す。
【0039】
本発明の文脈において、用語「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgE、IgA、IgYまたはIgD(またはそのサブクラス)に属するタンパク質として定義される「免疫グロブリン」(Ig)の同義語として使用され、そして従来から知られているすべての抗体を含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖、および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)、および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、CH1、CH2、CH3の3つのドメインからなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインからなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FW)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化できる。各VHおよびVLは、次の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDR、および4つのFWからなる:FW1-CDR1-FW2-CDR2-FW3-CDR3-FW4。重鎖と軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが含まれる。
【0040】
用語「抗体断片」は、インタクトな抗体、またはその組換えバリアントの少なくとも一部を指し、用語「機能的断片」または「機能的抗体断片」は、機能抗体断片の標的、たとえば抗原への認識および特異的結合を付与するのに十分な、少なくとも1つの抗原結合ドメイン、たとえばインタクトな抗体の抗原決定可変領域を含む抗体断片を指す。機能的抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、scFv抗体断片、線形抗体、単一ドメイン抗体、たとえばsdAb(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン、および抗体断片、たとえば2つ以上の、たとえばヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメント、または2つ以上の、たとえば連結された抗体の2つの分離されたCDRまたは他のエピトープ結合フラグメントを含む二価フラグメントから形成された多重特異性分子が含まれるが、これらに限定されない。抗体断片は、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びbis-scFvに組み込むこともできる(例:Hollinger and Hudson, Nature Biotechnology 23:1126-1136, 2005)。抗体断片は、ポリペプチド、たとえばフィブロネクチンIII型(Fn3)に基づいてスキャフォールドに移植することもできる(フィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載した米国特許第6,703,199号を参照)。抗体の「抗原結合領域」または「抗原結合ドメイン」は通常、抗体の一つまたは複数の超可変領域、すなわちCDR1、CDR2、および/またはCDR3領域に見られる。ただし、可変の「フレームワーク」領域も、CDRのスキャフォールドを提供する等して、抗原結合にも重要な役割を果たす。抗体の定常領域は、免疫系のさまざまな細胞(例:エフェクター細胞)および古典的な補体系の第一の成分(Clq)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介する。用語「抗体」には、たとえば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科抗体、またはキメラ抗体が含まれる。抗体は、任意のアイソタイプ(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってもよい。
【0041】
「相補性決定領域」(「CDR」)は、Kabat et al.(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、 MD(「Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani et al.、 (1997) JMB 273、 927-948 (「Chothia」ナンバリングスキーム)、およびImMunoGenTics(IMGT)ナンバリング(Lefranc、 M.-P.、 The Immunologist、7、132-136(1999); Lefranc、 M.-P. et al.、 Dev. Comp. Immunol.、27、55-77(2003) (「IMGT」ナンバリングスキーム)によって記載されたもの、を含む、多くの周知のスキームのいずれかを使用して決定された境界を有するアミノ酸配列である。たとえば、古典的な形式の場合、Kabatでは、重鎖可変ドメイン(VH)のCDRアミノ酸残基に31-35(HCDR1)、50-65(HCDR2)、および95-102(HCDR3)の番号が付けられる;および軽鎖可変ドメイン(VL)のCDRアミノ酸残基には、24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)、および89-97(LCDR3)の番号が付けられる。Chothiaでは、重鎖可変ドメイン(VH)のCDRアミノ酸残基に26-32(HCDR1)、52-56(HCDR2)、および95-102(HCDR3)の番号が付けられる;および軽鎖可変ドメイン(VL)のアミノ酸残基には、24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)、および89- 97(LCDR3)の番号が付けられる。KabatおよびChothiaの両方のCDR定義を組み合わせることにより、CDRはヒトVHのアミノ酸残基26-35(HCDR1)、50-65(HCDR2)、および95-102(HCDR3)、ならびにヒトVLのアミノ酸残基24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)、および89-97(LCDR3)で構成される。IMGTでは、VHのCDRアミノ酸残基には約26-35(HCDR1)、51-57(HCDR2)および93-102(HCDR3)の番号が付けられ、VLのCDRアミノ酸残基には約27-32(LCDR1)、50-52(LCDR2)、および89-97(LCDR3)の番号が付けられる(「Kabat」によるナンバリング)。IMGTでは、プログラムIMGT/DomainGap Alignを使用して抗体のCDRを決定できる。
【0042】
本発明の文脈において、特に言及しない限り、Honegger & Plueckthunにより提案されたナンバリングシステムが使用される(Honegger & Plueckthun、J. Mol. Biol. 309 (2001) 657-670)。さらに、以下の残基がCDRとして定義される(AHoのナンバリングスキームによる):LCDR1(CDR-L1とも呼ばれる):L24-L42; LCDR2(CDR-L2とも呼ばれる):L58-L72; LCDR3(CDR-L3とも呼ばれる):L107-L138; HCDR1(CDR-H1とも呼ばれる):H27-H42; HCDR2(CDR-H2とも呼ばれる):H57-H76; HCDR3(CDR-H3とも呼ばれる):H108-H138。明確にするために、Honegger & Plueckthunによるナンバリングシステムは、異なるVHおよびVLサブファミリーの両方、および特にCDRで天然に存在する抗体に見られる長さの多様性を考慮し、配列にギャップを設けている。したがって、通常、所定の抗体可変ドメインでは、1~149位のすべてがアミノ酸残基で占められているわけではない。明確にするために、Honegger & Plueckthunによるナンバリングシステムによるフレームワーク領域は次のとおりである:可変軽鎖の場合、LFW1(またはVLフレームワーク領域I):L1-L23; LFW2(またはVLフレームワーク領域II):L43-L57; LFW3(またはVLフレームワーク領域III):L73-L106;およびLFW4(またはVLフレームワーク領域IV):L139-L149; そして、可変重鎖の場合、HFW1(またはVHフレームワーク領域I):L1-L26; HFW2(またはVHフレームワーク領域II):L43-L56; HFW3(またはVHフレームワーク領域III):L77-L107;およびHFW4(またはVHフレームワーク領域IV):L139-L149。
【0043】
好ましくは、「抗原結合領域」は、少なくとも可変軽鎖(VL)のアミノ酸残基4~149および可変重鎖(VH)のアミノ酸残基5~144(それぞれの場合、Honegger & Plueckthunによるナンバリング)、より好ましくはVLのアミノ酸残基3~149およびVHの4~146を含み、そして特に好ましくは完全なVLおよびVH鎖(VLのアミノ酸位置1~149およびVHの1~149)である。フレームワーク領域およびCDRを表7に示す。本発明で使用するための免疫グロブリンの好適なクラスはIgGである。本発明の「機能的断片」には、F(ab’)2断片、Fab断片、FvおよびscFvのドメインが含まれる。F(ab’)2またはFabは、CH1ドメインおよびCLドメインの間に生じる分子間ジスルフィド相互作用を最小化または完全に除去するように設計されている。本発明の抗体またはその機能的断片は、段落[0083]から[0087]にさらに記載されているように、二機能性または多機能性構築物の一部であってもよい。
【0044】
本発明の文脈において、用語「VH」(可変重鎖)、「VΚ」および「Vλ」は、配列同一性および相同性に従ってグループ化される抗体重鎖および軽鎖配列のファミリーを指す。たとえば、相同性検索マトリックス、たとえばBLOSUM(Henikoff, S. & Henikoff, J. G.、 Proc. NATl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 10915-10919)を使用した配列相同性の決定方法、および相同性による配列のグループ化は、当業者に周知である。たとえば、VH1A、VH1B、およびVH2~VH6のVH、VΚ1~VΚ4のVΚ、およびVλ1~Vλ3のVλをグループ化する、Knappik et al.、 J. Mol. Biol. 296 (2000) 57-86に示すように、VH、VΚ、およびVλの異なるサブファミリーを識別できる。in vivoでは、抗体VΚ鎖、Vλ鎖、およびVH鎖は、それぞれ生殖系列Κ鎖VおよびJセグメント、生殖系列λ鎖VおよびJセグメント、および重鎖V、DおよびJセグメントのランダムな再配置の結果である。所与の抗体可変鎖がどのサブファミリーに属するかは、対応するVセグメントによって、そして特にフレームワーク領域FW1~FW3によって決定される。したがって、フレームワーク領域HFW1~HFW3の特定のセットのみによって本願において特徴付けられる、任意のVH配列は、任意のHFW4配列、たとえば重鎖生殖細胞系Jセグメントの1つからとられたHFW4配列、または再配置されたVH配列からとられたHFW4配列と組み合わせることができる。特定の実施形態では、HFW4配列はWGQGTLVTVSSである。
【0045】
好適には、本発明の抗体または機能的断片は、単離された抗体またはその機能的断片である。本明細書で使用される用語「単離抗体」は、その起源または操作により、(i)発現ベクターの一部の発現産物として宿主細胞に存在する、または(ii)自然界で結合しているもの以外のタンパク質または他の化学成分に結合している、または(iii)天然では発生しない、ポリペプチド、またはそのタンパク質を意味する。「単離された」とは、さらに以下のタンパク質を意味する:(i)化学的に合成された;または、(ii)宿主細胞内で発現され、そしてゲルクロマトグラフィー等により、関連タンパク質から生成される。用語「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体も指す(たとえば、IL23Rに特異的に結合する単離抗体は、IL23R以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。ただし、IL23Rに特異的に結合する単離抗体は、他の抗原、たとえば他の種のIL23R分子と交差反応する可能性がある。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質、および/または化学物質を実質的に含まない可能性がある。
【0046】
「親和性」は、単一の結合部位または分子、たとえば抗体またはその機能的断片と、その結合パートナー、たとえば抗原との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。特に明記しない限り、本明細書で使用する「結合親和性」は、結合ペアのメンバー間の1:1相互作用、たとえば単一抗体結合ドメインとその抗原の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。一般に、親和性は解離定数(KD)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。
【0047】
以下の用語は、2つ以上のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の配列関係を記述するために使用される:「配列同一性」または「配列同一性の割合」、および「配列相同性」または「配列相同性の割合」。本明細書で使用される用語「配列同一性」は、2つのポリペプチド配列間で同一であるアミノ酸残基の最大数を計算することにより決定され、ここで最大の程度の配列重複を許容するためにギャップおよび/または挿入が考慮されうる。たとえば、完全に同一の2つの100merポリペプチドの配列同一性は100%である。それらが1つの変異で異なる場合、つまり1つのポリペプチドが1つのアミノ酸の欠失を含む場合、配列同一性は99%である(100の位置のうち99が同一である)。換言すると、「配列同一性の割合」は、比較ウィンドウ(the window of comparison)上で最適にアラインメントした2つの配列を比較し、一致する位置の数を得るために、両方の配列で同一の核酸塩基(たとえば、A、T、C、G、UまたはI)またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定し、一致する位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で除算し、そして結果に100を乗じて配列同一性の割合を得ることで計算される。「配列相同性」とは、2つの配列を比較するときの類似の度合いである。必要または望ましい場合、比較のための配列の最適なアラインメントは、たとえば、スミスとウォーターマンの局地的相同性アルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2:482 (1981))、ニードルマンとブンシュの相同性アラインメントアルゴリズム(J. MoI. Biol. 48:443-53 (1970))、ペアソンとリップマンの相同性検索法(Proc. NATl. Acad. Sci. USA 85:2444-48 (1988))、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(computerized implementation)(たとえば、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、 575 Science Dr.、 Madison、 Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視検査(visual inspection)(一般的には、オースベルらのCurrent Protocols in Molecular Biology、 4th ed.、 John Wiley and Sons、 New York (1999)を参照)によって導くことができる。本明細書で特に断りのない限り、本明細書で言及される配列相同性の程度は、デイホフPAM行列の利用によって決定される(M.O. Dayhoff、 R. Schwartz、 B.C. Orcutt: A model of Evolutionary Change in Proteins、 pages 345-352; in: Atlas of protein sequence and structure、 National Biomedical Research Foundation、 1979)。
【0048】
一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは95%、より好ましくは97%の配列同一性を示す。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す。
【0049】
さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%の配列相同性、好ましくは少なくとも93%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示す。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は、一緒になって配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列相同性、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%の配列相同性、好ましくは少なくとも90%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の相同性を示す。
【0050】
一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列相同性、好ましくは少なくとも93%の配列相同性、より好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示す。
【0051】
さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも93%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示す。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の配列同一性を示す。
【0052】
別の実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示す。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示す。一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示し、ここで上記可変重鎖は、2つの変異T24KおよびT84S(配列番号26を参照)を含む。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示し、ここで上記可変重鎖は、2つの変異T24KおよびT84S(配列番号26を参照)を含む。別の実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示し、ここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示し、ここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。
【0053】
さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号26に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示し、好ましくはここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号26に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列同一性を示し、好ましくはここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。
【0054】
一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を示す。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を示す。さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を示し、ここで上記可変重鎖は、2つの変異T24KおよびT84S(配列番号26を参照)を含む。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を示し、ここで上記可変重鎖は、2つの変異T24KおよびT84S(配列番号26を参照)を含む。別の実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を示し、ここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を示し、ここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号26に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列相同性、たとえば少なくとも93%、好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、好ましくはここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。あるいは、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、配列番号26に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列相同性、たとえば少なくとも93%、好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、好ましくはここで上記可変重鎖は、AHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)。
【0056】
一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性を示す。
【0057】
さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも86%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%の配列同一性を示す。
【0058】
別の実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性を示す。
【0059】
さらなる実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも86%、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%の配列相同性、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示す。
【0060】
一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、LFW4を含む可変軽鎖を含み、ここで上記LFW4領域は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列である。好適には、上記LFW4領域は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列である。好適な実施形態では、上記LFW4領域は、配列番号63に記載の配列である。
【0061】
好適には、抗体重鎖および軽鎖のLFW4領域の両方がCys変異を含む場合、鎖間ジスルフィド結合の形成により、対応する抗体の生物物理学的特性をさらに改善する。特定の実施形態では、抗体重鎖はCys変異G51C(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)を含む。特定の実施形態では、上記LFW4領域は配列番号79、または配列番号80に記載の配列である。一つの実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、以下を含む:
(a)配列番号79、または配列番号80に記載のLFW4を含む可変軽鎖;ならびに、
(b)HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖であって、ここで上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、一緒になって(i)配列番号26に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性;または(ii)配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも97%の配列同一性;または(iii)配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性;を示し、ここで上記可変重鎖は、AHo位置51にシステインを含む(Honegger & Plueckthunによるナンバリング)、可変重鎖。
【0062】
上記(b)に示された実施形態の実施形態では、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は、一緒になって配列番号21、配列番号26、配列番号1、および配列番号6のVH配列の対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列相同性を示す。
【0063】
好適な実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は、一緒になって配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す。そのような好適な実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は、一緒になって配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも86%、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示す。
【0064】
好適な実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は、一緒になって配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも81%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示す。そのような好適な実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変軽鎖を含み、ここで上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は、一緒になって配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも86%、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示す。
【0065】
好適な実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、配列番号1に記載のVH1A配列、配列番号6に記載のVH1B配列、配列番号21に記載のVH4配列、または配列番号26に記載のVH4mut配列から得られたHFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含む可変重鎖を含む。好適には、本発明の抗体の可変重鎖は以下を含む:
(a)配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4;または
(b)配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4;または
(c)配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4;または
(d)配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4。
【0066】
好適な実施形態では、本発明の抗体または機能的断片は、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた、または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含む可変軽鎖を含む。好適には、本発明の抗体の可変軽鎖は、以下を含む:
(a)配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3;または
(b)配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3。
【0067】
特定の実施形態では、上記抗体またはその機能的断片は、以下に示すフレームワーク配列を有する:
(a)上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、たとえば少なくとも93%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4は、Vλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に、
(i)ここで可変重鎖は配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含み、そして可変軽鎖は配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(ii)ここで可変重鎖は配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み、そして可変軽鎖は配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(b)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、たとえば少なくとも93%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性、少なくとも95%、少なくとも96%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFWは、Vλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
(i)ここで可変重鎖は配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含み、そして可変軽鎖は配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(ii)ここで可変重鎖は配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み、そして可変軽鎖は配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(c)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも97%、および任意で少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性の配列相同性を示し、そしてここで上記可変重鎖はAHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含み、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4はVλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
ここで上記可変重鎖は配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み;上記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(d)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも84%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、たとえば少なくとも93%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも93%の配列相同性を示し、そしてここで上記可変重鎖はAHo位置24にリジン、AHo位置84にセリンを含み、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性、少なくとも95%、少なくとも96%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4はVλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
ここで上記可変重鎖は配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み;上記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(e)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも90%の配列相同性、たとえば少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%の配列相同性、好ましくは少なくとも95%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4はVλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
上記可変重鎖は配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4を含み、そして上記可変軽鎖は配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(f)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、たとえば少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも90%の配列相同性、たとえば少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%の配列相同性、好ましくは少なくとも95%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性、少なくとも95%、少なくとも96%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4はVλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
上記可変重鎖は配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4を含み、そして上記可変軽鎖は配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(g)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、たとえば少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも97%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、好ましくは少なくとも93%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4はVλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
上記可変重鎖は配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4を含み、そして上記可変軽鎖は配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む;または
(h)ここで、上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性、たとえば少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、好ましくは少なくとも93%の配列相同性、より好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも93%の配列同一性、および任意で少なくとも86%の配列相同性、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、そしてさらにより好ましくは少なくとも96%の配列相同性を示し、そしてここで上記LFW4はVλベースの配列であり、配列番号63と少なくとも90%同一であり、好ましくは上記LFW4は配列番号63、配列番号79、または配列番号80に記載の配列であり、より好ましくは上記LFW4は配列番号63に記載の配列であり;
特に:
上記可変重鎖は配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4を含み、そして上記可変軽鎖は配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む。
【0068】
上記(a)~(h)に示された実施形態の代替実施形態では、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、それぞれのVH配列の対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性を示し、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、たとえば少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示す。
【0069】
好適には、本発明の抗体、またはその機能的断片は、以下を含む。
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示す、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示す、
そしてここで:
(i)上記LFW1、LFW2、LFW3、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列および配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも93%の配列同一性、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも95%の配列相同性を示し、そしてここで
●上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性を示し;そして
●上記LFW4は、Vλベースの配列であり、かつ配列番号63と少なくとも90%同一であり;そして
●上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性を示す;または
(ii)上記LFW1、LFW2、LFW3、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列および配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも92%の配列相同性を示し、そしてここで
●上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性を示し;そして
●上記LFW4は、Vλベースの配列であり、かつ配列番号63と少なくとも90%同一であり;そして
●上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性を示す;または
(iii)上記LFW1、LFW2、LFW3、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列および配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも75%の配列同一性、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列相同性を示し、そしてここで
●上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号57に記載のVΚ1/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性を示し;そして
●上記LFW4は、Vλベースの配列であり、かつ配列番号63と少なくとも90%同一であり;そして
●上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性を示す;または
(iv)上記LFW1、LFW2、LFW3、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列および配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも85%の配列同一性、たとえば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも80%の配列相同性、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列相同性を示し、そしてここで
●上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性を示し;そして
●上記LFW4は、Vλベースの配列であり、かつ配列番号63と少なくとも90%同一であり;そして
●上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性を示す;または
(v)上記LFW1、LFW2、LFW3、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列および配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも90%の配列相同性、たとえば少なくとも95%、少なくとも97%の配列相同性を示し、そしてここで
●上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性を示し;そして
●上記LFW4は、Vλベースの配列であり、かつ配列番号63と少なくとも90%同一であり;そして
●上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号6に記載のVH1B配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性を示す;または
(vi)上記LFW1、LFW2、LFW3、HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列および配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも70%の配列同一性、たとえば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性、および任意で少なくとも75%の配列相同性、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列相同性を示し、そしてここで
●上記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号61に記載のVΚ3/sk17配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも80%の配列同一性を示し;そして
●上記LFW4は、Vλベースの配列であり、かつ配列番号63と少なくとも90%同一であり;そして
●上記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも85%の配列同一性を示す
【0070】
上記(i)~(vi)に示された実施形態の代替実施形態では、上記HFW1、HFW2、およびHFW3領域は一緒になって、それぞれのVH配列の対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも82%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%の配列同一性を示し、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、および任意で少なくとも90%、たとえば少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%の配列相同性を示す。
【0071】
好適な実施形態では、本発明の抗体またはその機能的断片は、配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含む可変重鎖;ならびに配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む可変軽鎖を含む。より好適な実施形態では、本発明の抗体またはその機能的断片は、配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含む可変重鎖;ならびに配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、配列番号44に記載のLFW3、および配列番号63に記載のLFW4を含む可変軽鎖を含む。
【0072】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその機能的断片、具体的にはVΚ1 λキャップ(λ-capped)/VH1A、VΚ1 λキャップ(λ-capped)/VH1B、VΚ1 λキャップ(λ-capped)/VH4、VΚ1 λキャップ(λ-capped)/VH4mut、VΚ3 λキャップ(λ-capped)/VH1A、VΚ3 λキャップ(λ-capped)/VH1B、VΚ3 λキャップ(λ-capped)/VH4、およびVΚ3 λキャップ(λ-capped)/VH4mutのリストから選択される抗体またはその機能的断片は、以下の特性を有する:
pH3.5~7.5の範囲で0.15M NaClを含む5つのリン酸-クエン酸緩衝液において前述の示差走査蛍光分析(DSF)(Egan, et al., MAbs, 9(1) (2017), 68-84; Niesen, et al., Nature Protocols, 2(9) (2007) 2212-2221)によって決定される、scFv(一本鎖可変断片抗体)抗体フォーマット(antibody format)で発現した場合、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または少なくとも90℃を超える熱変性温度(Tm)の平均中点(average midpoint)を有する。scFvコンストラクトの熱変性の遷移の中点は、蛍光色素SYPRO(登録商標)orangeを使用した示差走査蛍光分析によって決定される。関連する賦形剤条件のサンプルは、関連する緩衝液で調製したストック賦形剤を添加することにより、最終タンパク質濃度50 μg ml-1で調製する。バッファースカウティング(buffer scouting)実験では、サンプルを総容量100 μlに最終濃度5×SYPRO(登録商標)Orangeを含むさまざま名pH値(pH3.4、4.4、5.4、6.4、および7.2)の最終scFvバッファーで希釈する。未知のサンプルとともに、scFv DSFリファレンスを内部コントロールとして測定する。25マイクロリットルの調製済みサンプルを、3連で白壁の(white-walled)AB遺伝子PCRプレートに添加する。アッセイは、サーマルサイクラーとして使用されるqPCRマシンで実行され、蛍光発光はソフトウェアのカスタム色素キャリブレーションルーチンを使用して検出される。試験サンプルを含むPCRプレートは、25℃から96℃まで1℃ずつ温度上昇し、温度が上昇するたびに30秒休止する。合計アッセイ時間は約2時間である。曲線の変曲点を計算するために数学的な二次微分法を使用して、ソフトウェアGraphPad PrismによってTmを計算する。報告されたTmは、3つの測定値の平均である。
【0073】
好適な実施形態では、上記抗体またはその機能的断片は、少なくとも65℃、好ましくは少なくとも69℃を超える熱変性温度(Tm)の平均中点を有する。タンパク質は、SE-HPLCによりオリゴマー化に関して、50 mMクエン酸-リン酸pH 6.4、150 mM NaClで37℃で14日間保存する過程で分析される。研究の前に、サンプルは10 g l-1に濃縮し、d0タイムポイントを決定する。モノマー含有量は、Shodex KW-402.5-4Fカラムでサンプルを分離し、得られたクロマトグラムを評価することにより定量化される。タンパク質モノマーの相対割合の計算では、モノマーピークの面積を、サンプルマトリックスに起因しないピークの総面積で除算する。好適な実施形態では、上記抗体またはその機能的断片は、濃度10 g l-1で50 mMクエン酸-リン酸pH 6.4、150 mM NaClで37℃で2週間保存した場合、15%、12%、10%、7%、5%、または2%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満のモノマー含有量の損失を示す
【0074】
特定の実施形態では、上記相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は一緒になって目的の標的に対し特異的であるか、または目的の標的に対する特異性を有するドナー抗体からの対応する相補性決定領域で置き換えることができるプレースホルダー領域(placeholder region)である。
【0075】
本発明の一つの実施形態では、上記CDRドメインHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、(i)目的の抗原に対する特異性を有する、親の非ヒト抗体、具体的には親ウサギ抗体由来または親げっ歯類抗体、具体的には親マウスまたはラット抗体由来のCDRドメインHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3; (ii)親ヒトまたはヒト化抗体、具体的には治療用に承認されたまたは市販の抗体由来のCDRドメインHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3; (iii)(i)または(ii)によるCDRドメイン、具体的には(i)または(ii)による一つまたは複数のCDRドメインの最適化によって得られるCDRドメインから得られるCDRドメインHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3; および(iv)(i)、(ii)、および/または(iii)による一つまたは複数のCDRドメインによって置き換えられるCDRドメインから独立して選択される。(iv)の場合、それぞれの可変ドメインの使用目的に適合するCDR配列として任意の配列を使用できる。たとえば、上記CDR配列を含む抗体可変ドメインが、上記CDR配列の意図される置換の前に発現されなければならない場合、十分に発現された抗体可変ドメイン由来のCDRが選択され得る。式を実行する必要がない(no expression has to be performed)場合は、目的の置換手順と互換性のある任意の配列を使用できる。プレースホルダーCDRとしての機能により、このような状況では、上記CDR配列によって実際の抗原結合をサポートする必要はない。
【0076】
特定の実施形態では、抗体またはその機能的断片は、目的の標的に対する結合特異性を有する。そのようなものとして、本発明の抗体または機能的断片は、目的の標的に対して一緒になって特異的である相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、上記相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、それらが所与の目的の標的(given target of interest)、たとえば抗原に特異的に結合する能力を一緒に保持する場合、一緒になって目的の標的に特異的である。本明細書で使用される用語「特異的に結合する」または「結合特異性」は、上記相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む個々の抗体が1つの抗原決定基と反応し、異なる抗原決定基と反応しない能力を指す。抗体の結合親和性は、単一の抗原決定基および抗体の間の反応の強さである。特に、用語「上記相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は一緒になって所与の目的の標的に特異的である」は、所与の目的の標的に対して産生され、および/または選択される相補性決定領域を指し、そしてそれらは上記目的の標的を認識する能力を一緒に保持する。本明細書で使用する用語「認識する」は、対応する目的の標的、特に上記目的の標的の立体構造エピトープを見出して相互作用する(たとえば、結合、ブロック、阻害、拮抗、刺激する(agonize))を指す。
【0078】
本明細書で使用する場合、結合分子は、そのような結合分子がそのような標的生体分子と一つまたは複数の参照分子を識別することができる場合、結合特異性は絶対的なものではなく、相対的な性質であるため、標的、たとえばヒトIL23R等に「特異的である(specific to/for)」、「特異的に認識する」、または「特異的に結合する」。その最も一般的な形態(および定義された参照が言及されていない場合)で、「特異的結合」は、たとえば、当該分野で公知の特異性アッセイ方法に従って決定されるように、目的の生体分子と無関係の生体分子を識別する結合分子の能力を指す。そのような方法は、ウエスタンブロット、ELISA、RIA、ECL、IRMA、SPR(表面プラズモン共鳴)試験、およびペプチドスキャンを含むがこれらに限定されない。たとえば、標準的なELISAアッセイを実施することができる。スコア付けは、標準的な発色(たとえば、西洋ワサビペルオキシド(horseradish peroxide)を伴う二次抗体および過酸化水素を伴うテトラメチルベンジジン)によって実施することができる。特定のウェルにおける反応を、たとえば450nmで、光学密度によってスコア付けする。典型的なバックグラウンド(=陰性反応)は、約0.1ODであり得;典型的な陽性反応は、約1ODであり得る。これは、陽性と陰性のスコアの比率が、10倍以上であり得ることを意味する。さらなる例では、バックグラウンドとシグナルとの少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍の差が特異的結合を示す、SPRアッセイを実施することができる。一般的に、結合特異性の決定は、単一の基準生体分子ではなく、約3~5種類の無関係の生体分子、たとえば粉乳、BSA、トランスフェリン等のセットを使用して実施される。
【0079】
しかしながら、「特異結合」はまた、標的生体分子と、参照点として使用される一つまたは複数の関連する生体分子とを識別する結合分子の能力を指してもよい。さらに、「特異結合」は、結合分子がその標的抗原の異なる部分、たとえば標的生体分子の異なるドメイン、領域、もしくはエピトープ、または標的生体分子の一つまたは複数の重要なアミノ酸残基またはアミノ酸残基のストレッチを識別する能力に関してもよい。
【0080】
本発明の文脈において、用語「エピトープ」は、標的生体分子と結合分子との間の特異的結合に必要な所与の標的生体分子の部分を指す。エピトープは連続的、すなわち標的生体分子に存在する隣接構造要素によって形成されるか、または非連続的、すなわち、たとえば標的としてのタンパク質のアミノ酸配列の、標的生体分子の一次配列の異なる位置にあるが、たとえば体液で標的生体分子が採用する、三次元構造に近接した構造要素によって形成され得る。
【0081】
本発明の一つの実施形態では、単離された抗体またはその機能的断片は、IgG抗体、FabおよびscFv断片から選択される。好適には、本発明の抗体またはその機能的断片はscFv抗体断片である。「単鎖Fv」または「scFv」または「sFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、sFvが標的結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメインとVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む(たとえば、Plueckthun, The pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York, 1994), pp. 269-315を参照)。
【0082】
特定の実施形態では、上記機能的断片は、配列番号64または配列番号65、好ましくは配列番64に記載のリンカーを含むscFvフォーマットである。
【0083】
本発明の別の特定の実施形態では、単離された抗体またはその機能的断片は、
一本鎖ダイアボディ(scDb)、タンデムscDb(Tandab)、線状二量体scDb(LD-scDb)、環状二量体scDb(CD-scDb)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE;タンデム di-scFv)、タンデムトリ-scFv、トリボディ(tribody; Fab-(scFv)2)またはバイボディ(bibody; Fab-(scFv)1)、三重特異性抗体、scDb-scFv、二重特異性Fab2、ジミニ抗体(di-miniantibody)、テトラボディ、scFv-Fc-scFv融合物、ジ-ダイアボディ、DVD-Ig、COVD、IgG-scFab、scFab-dsscFv、Fv2-Fc、IgG-scFv融合物、たとえばbsAb(軽鎖のC末端と結合したscFv)、Bs1Ab(軽鎖のN末端と結合したscFv)、Bs2Ab(重鎖のN末端に結合したscFv)、Bs3Ab(重鎖のC末端と結合したscFv)、Ts1Ab(重鎖および軽鎖の両方のN末端に結合したscFv)、Ts2Ab(重鎖のC末端に結合したdsscFv)、ならびにノブ・イントゥ・ホール抗体(Knob-into-Hole)(KiHs)(KiH技術により調製された二重特異性IgG)、MATCH(国際公開第2016/0202457号;Egan T., et al., mAbs 9 (2017) 68-84に記載されている)、およびデュオボディ(デュオボディ技術により調製された二重特異性IgG)(MAbs. 2017 Feb/Mar;9(2):182-212. doi: 10.1080/19420862.2016.1268307)を非限定的な例として含む、任意の好適な多重特異性、たとえば二重特異性の、当技術分野で知られているフォーマットから選択される抗体フォーマットである、多重特異性構築物、たとえば二重特異性構築物または多価構築物、たとえば二価構築物である。一本鎖ダイアボディ(scDb)、特に二重特異性単量体scDbは、本明細書で使用するために特に好適である。
【0084】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指し、これらの断片は、同一のポリペプチド鎖(VH-VL)内のVLに結合したVHを含む。同一の鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインとペアリングして2つの抗原結合部位を生み出す。ダイアボディは二価または二重特異性であってもよい。ダイアボディは、たとえば、欧州特許第404097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al., Nat.Med. 9:129-134(2003)、およびHollinger et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90: 6444-6448(1993)により完全に記載されている。トリアボディおよびテトラボディもまた、Hudson et al., Nat.Med. 9:129-134(2003)に記載されている。
【0085】
二重特異性scDb、特に二重特異性単量体scDbは、VHA-L1-VLB-L2-VHB-L3-VLA、VHA-L1-VHB-L2-VLB-L3-VLA、VLA-L1-VLB-L2-VHB-L3-VHA、VLA-L1-VHB-L2-VLB-L3-VHA、VHB-L1-VLA-L2-VHA-L3-VLB、VHB-L1-VHA-L2-VLA-L3-VLB、VLB-L1-VLA-L2-VHA-L3-VHBまたはVLB-L1-VHA-L2-VLA-L3-VHBの順にリンカーL1、L2及びL3によって結合された、2つの可変重鎖ドメイン(VH)又はその断片および可変軽鎖ドメイン(VL)またはその断片を特に含み、ここで、VLAおよびVHAドメインは第一の抗原に対する抗原結合部位を共に形成し、VLBおよびVHBは第二の抗原に対する抗原結合部位を共に形成する。
【0086】
リンカーL1は具体的には2~10アミノ酸のペプチドであり、さらに具体的には3~7アミノ酸、そして最も具体的には5アミノ酸のペプチドであり、L3リンカーは具体的には1~10アミノ酸のペプチドであり、より具体的には2~7アミノ酸、そして最も具体的には5アミノ酸のペプチドである。中間のリンカーL2は具体的には10~40アミノ酸のペプチドであり、さらに具体的には15~30アミノ酸、最も具体的には20~25アミノ酸のペプチドである。
【0087】
本発明の一つの実施形態では、単離された抗体またはその機能的断片は、国際公開第2016/0202457号; Egan T., et al., mAbs 9 (2017) 68-84に記載されるMATCHフォーマットの多特異的および/または多価の抗体である。
【0088】
本発明の二重特異性、二価、多重特異性および/または多価構築物は、当技術分野で公知の任意の便利な抗体製造方法を使用して産生することができる(たとえば、二重特異性構築物の産生に関してはFischer, N. & Leger, O., Pathobiology 74(2007)3-14;二重特異性ダイアボディおよびタンデムscFvに関してはHornig, N. & Faerber-Schwarz, A., Methods Mol. Biol. 907(2012)713-727、および国際公開第99/57150号を参照)。本発明の二重特異性構築物の調製のための好適な方法の具体例は、とりわけ、ジェンマブ(Genmab)(Labrijn et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 110 (2013)5145-5150参照)およびメラス(Merus)(de Kruif et al., Biotechnol.Bioeng. 106 (2010)741-750参照)の技術をさらに含む。機能的抗体Fc部を含む二重特異性抗体の産生方法もまた、当該技術分野において知られている(たとえば、Zhu et al., Cancer Lett. 86 (1994)127-134);およびSuresh et al., Methods Enzymol. 121 (1986) 210-228参照)。
【0089】
それらの方法は、モノクローナル抗体の生成、たとえば、ハイブリドーマ技術を用いて所望の抗原で免疫されているマウス由来の脾臓細胞と骨髄腫細胞を融合する方法(たとえばYokoyama et al., Curr.Protoc.Immunol. Chapter 2, Unit 2.5, 2006参照)、または、組換え抗体技術(レパートリークローニングまたはファージディスプレイ/酵母ディスプレイ)(たとえばChames & Baty, FEMS Microbiol. Letters 189 (2000)1-8参照)、および既知の分子クローニング手法を用いて二重特異性構築物を生み出すための、2つの異なるモノクローナル抗体の抗原結合ドメインもしくはそれらの断片または一部の組み合わせを典型的に含む。
【0090】
第二の態様では、本発明は、本発明の抗体またはその機能的断片、および任意で薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0091】
語句「薬学的に許容される」は、理にかなった医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症のない、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒトまたは動物の組織との接触での使用に好適な化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0092】
本開示による医薬組成物は、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、補助的な免疫増強剤、たとえばアジュバントおよびサイトカイン、および任意で他の治療剤をさらにルーチン的に含んでもよい。組成物はまた、抗酸化剤、および/または防腐剤を含んでもよい。抗酸化剤として、チオール誘導体(たとえば、チオグリセロール、システイン、アセチルシステイン、シスチン、ジチオエリスリトール(dithioerythreitol)、ジチオスレイトール、グルタチオン)、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、亜硫酸塩(たとえば、硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アセトン重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム)およびノルジヒドログアヤレチン酸が挙げられる。好適な防腐剤は、たとえば、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、および塩化セチルピリジニウムであり得る。
【0093】
本明細書で提供される特定の実施形態では、上記抗体またはその機能的断片は、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体、組換え体、コンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、またはヒト免疫グロブリン配列をコードするDNA配列のたとえば合成を介した作成、遺伝子操作、またはヒト免疫グロブリンをコードする配列、たとえばヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む他の手段によって調製、発現、作成、または単離された抗体等の組換え手段によって単離、調製、発現、または作成することができる。
【0094】
したがって、第三の態様では、本発明は、本発明の抗体またはその機能的断片をコードする核酸配列または核酸配列のコレクションに関する。
【0095】
第四の態様では、本発明は、本発明の核酸配列または核酸配列のコレクションを含むベクターまたはベクターのコレクションに関する。用語「ベクター」または「発現ベクター」は、宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞における組換え発現のための本発明の抗体またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、最も一般的にはDNAプラスミドを意味する。ベクターは細胞内で複製できる場合とできない場合がある。本明細書に記載の抗体の可変重鎖および/または可変軽鎖、またはその断片をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当技術分野で周知の技術を使用する組換えDNA技術によって産生することができる。したがって、ヌクレオチド配列をコードする抗体を含むポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が本明細書に記載されている。当業者に周知の方法を使用して、抗体コード配列および適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、たとえば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが含まれる。
【0096】
発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に導入することができ、次いで、得られた細胞を従来の技術によって培養して、本明細書に記載の抗体またはその断片を産生することができる。したがって、本発明は、本発明の核酸配列もしくは核酸配列のコレクション、または本発明のベクターもしくはベクターのコレクションを含む宿主細胞、特に発現宿主細胞に関する。特定の実施形態では、宿主細胞は、本発明の抗体またはその断片の可変重鎖および可変軽鎖の両方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、2つの異なるベクター、上記抗体の可変重鎖またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第一のベクター、および上記抗体の可変軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む第二のベクター、またはその断片を含む。他の実施形態では、第一の宿主細胞は、上記抗体の可変重鎖またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第一のベクターを含み、第二の宿主細胞は、上記抗体の可変軽鎖またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドを含む第二のベクターを含む。
【0097】
第六の態様では、本発明は、本発明の核酸配列もしくは核酸配列のコレクション、または本発明のベクターもしくはベクターのコレクションを発現させる工程、または本発明の宿主細胞、特に発現宿主細胞を含む、本発明の抗体またはその機能的断片を産生する方法に関する。
【0098】
第七の態様では、本発明は、非ヒト抗体、具体的にはウサギまたはげっ歯類抗体をヒト化する方法に関し、以下のステップを含む:
(a)一つまたは複数の工程で、前記非ヒト抗体の可変重鎖(VH)CDR、および可変軽鎖(VL)CDRをコードする核酸配列を、抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで上記非ヒト抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされる。
【0099】
ウサギ抗体またはげっ歯類抗体のヒト化の方法は、当業者に周知である(たとえば、Borras, loc. cit.; Rader et al, The FASEB Journal, express article 10.1096/fj.02-0281fje,2002年10月18日オンライン公開; Yu et al (2010) A Humanized Anti-VEGF Rabbit Monoclonal Antibody Inhibits Angiogenesis and Blocks Tumor Growth in Xenograft Models. PLoS ONE 5(2): e9072. doi:10.1371/journal.pone.0009072参照)。ウサギまたはげっ歯類の免疫化は、目的の抗原それ自体、たとえばタンパク質、またはペプチドまたはタンパク質抗原の場合、目的のペプチドまたはタンパク質をコードする核酸、たとえばプラスミドを用いたウサギのDNA免疫化によって実施することができる。
【0100】
特定の実施形態では、方法は、VH CDR2および/またはVL CDR1領域のクローニングをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、VH CDR2およびVL CDR1領域の両方のクローニングを含む。
【0101】
特定の実施形態では、方法は、VH CDR1および/またはVL CDR2領域のクローニングをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、VH CDR1およびVL CDR2領域の両方のクローニングを含む。
【0102】
特定の実施形態では、方法は、以下の一つまたは複数の工程をさらに含む:
(aa)非ヒト動物、特にウサギまたはげっ歯類の、目的の抗原による免疫化;および
(ab)少なくとも一つの目的の抗体の分離。
【0103】
特定の実施形態では、方法は、以下の一つまたは複数の工程をさらに含む:
(ac)特に蛍光活性化セルソーティングを使用することによって、目的の抗原と相互作用する親和性成熟記憶B細胞のクローン単離;
(ad)単一B細胞クローンの不死化を必要としない共培養システムでの単一B細胞の培養;
(ae)目的の抗原に結合する少なくとも一つの抗体を同定するための、細胞ベースのELISAでのB細胞培養上清のスクリーニング;および/または
(af)ヒト抗体VHドメインをコードする核酸配列への、少なくとも一つの抗体のVH CDRのクローニング。
【0104】
一つの実施形態では、上記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、およびVH4(配列番号21)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)およびVΚ3(配列番号51)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。別の実施形態では、上記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、(i)VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)、VΚ2(配列番号46)、VΚ3(配列番号51)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域;または(ii)VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH4(配列番号21)、VH5(配列番号31)、およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
【0105】
特定の実施形態では、上記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
【0106】
第八の実施形態では、本発明は、目的の親抗体を最適化する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(a)一つまたは複数の工程で、上記親抗体のVH CDR、およびVL CDRをコードする核酸配列を、本発明による抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで上記親抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされる。
【0107】
特定の実施形態では、方法はVH CDR2および/またはVL CDR1領域のクローニングをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、VH CDR2およびVL CDR1領域の両方のクローニングを含む。
【0108】
特定の実施形態では、方法はVH CDR1および/またはVL CDR2領域のクローニングをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、VH CDR1およびVL CDR2領域の両方のクローニングを含む。
【0109】
一つの実施形態では、上記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、およびVH4(配列番号21)、から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)およびVΚ3(配列番号51)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対して最高の相同性を有する。別の実施形態では、上記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、(i)VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)、VΚ2(配列番号46)、VΚ3(配列番号51)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域;または(ii)VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH4(配列番号21)、VH5(配列番号31)、およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対して最高の相同性を有する。
【0110】
特定の実施形態では、上記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
【0111】
第九の態様では、本発明は、抗体、またはその機能的断片の多様なコレクションを生成する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(a)一つまたは複数の工程で、VH CDRおよび/またはVL CDRの一つまたは複数の多様なコレクションをコードする核酸配列の、一つまたは複数の多様なコレクションを、本発明による抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする。
【0112】
特定の実施形態では、VH CDR3の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションをクローニングする。
【0113】
特定の実施形態では、VL CDR3の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションをクローニングする。
【0114】
特定の実施形態では、VH CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションをクローニングする。特定の実施形態では、VH CDR2の多様なコレクション、およびVL CDR1領域の多様なコレクションの両方をクローニングする。
【0115】
特定の実施形態では、VH CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションをクローニングする。特定の実施形態では、VH CDR1の多様なコレクション、およびVL CDR2の多様なコレクションの両方をクローニングする。
【実施例0116】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく本発明を例示するものである。
実施例1:
【0117】
この研究は、特異性および抗原結合親和性を完全に保持しながら、VΚ1/VH3と比較して類似またはさらに優れた生物物理特性を示すヒト化コンセンサスVLおよびVHドメインのコンビナトリアルペアからなるヒト可変VL/VHコンセンサスフレームワークの組み合わせを同定する目的で実施された。タンパク質の安定性に寄与する残基が生殖系列配列のプールで進化中に濃縮されたという仮定に基づいて(Steipe et al., J Mol Biol, 240 (1994) 188-92)、コンセンサス生殖系列配列が使用された。これにより、凝集(Joubert et al., J Biol Chem, 287 (2012) 25266-79)およびアクセプターフレームワーク内の非ヒトフレームワーク残基がフレームワーク領域を非ヒト化し、ヒトT細胞エピトープの出現を増加させる可能性があるため、免疫原性反応のリスクが軽減される。VΚ/VH(VΚ1、VΚ2、VΚ3、VH1A、VH1B、VH2、VH3、VH4、VH5、VH6)の順列に加えて、Numabの安定化技術(いわゆるλキャップ)をすべてのVΚドメインに適用して、非VΚ1/VH3フレームワークの組み合わせに対する潜在的な安定化の寄与、および生産収率と抗原結合親和性への潜在的な影響を評価した。λキャップ技術は、VΚファミリーコンセンサス可変軽領域のフレームワーク領域IVをVλファミリー生殖系列配列(λキャップ)に置換することを伴う。
【0118】
安定性に関して、λキャップされていないVΚ1/VH3コンセンサスscFvと比較したλキャップされたΚ1/VH3コンセンサスscFvの優位性が以前に実証されている(国際公開第2014/206561号)。
【0119】
ウサギ抗体可変ドメインのヒト化および安定化のための最も適切なヒトアクセプター抗体可変領域スキャフォールドを同定するために、VΚ1、VΚ2、およびVΚ3のVΚファミリー軽鎖コンセンサス配列、およびすべてのヒトVHコンセンサス配列(VH1A、1B、2、3、4、5、および6)、および異なるヒト生殖細胞系λ型軽鎖フレームワークIV配列(λキャップ、具体的には配列番号62)の組み合わせの試験を始めた。このために、ヒトインターロイキン-23受容体(IL23R)に特異的に結合するウサギCDRセット(配列番号66から配列番号71)を、図1(上半分)に示すすべてのコンセンサスフレームワークの組み合わせに移植し、異なるコンセンサスアクセプターフレームワークのみの特性に基づいてヒト化scFv断片の直接比較を可能にした。さらに、フレームワーク領域IVのカッパからラムダへの置換を欠く制御分子(キャップされていない)を、各VL/VHの組み合わせ(図1、下半分)で生成し、それぞれのキャップ付きバリアントと対比する。次に、結果を代替のウサギCDRセットで確証した。驚いたことに、特定の非VΚ1/VH3の組み合わせは、発現量、変性温度、および/またはλキャップ由来のモノマー安定性がVΚ1/VH3スキャフォールドよりも多く得られた。いくつかのVΚ/VH3の組み合わせおよびλキャップは、熱変性およびモノマー安定性の点で、λキャップされたVΚ1/VH3の組み合わせよりも明らかに優れていたが、それは従来技術の観点からは予想外である。さらに、安定性を最適化し、抗原結合親和性を維持するためのラムダキャップとして使用するための好適なラムダ生殖細胞系列配列を同定した。
【0120】
結果:
第一の工程において、新たに合成されたVLおよびVH遺伝子配列は、ドメインシャフリングによって最近発現ベクターにクローニングされ、大腸菌において順調に発現された。すべての構築物は、VL-VHドメイン配向、およびドメイン間に20アミノ酸のグリシン-セリン(G4S)4-リンカー(配列番号64)を有するscFvフォーマットで発現された。ScFv分子は、適切な精製戦略(プロテインLアフィニティクロマトグラフィーに続いてサイズ排除クロマトグラフィー)を使用して精製され、すべての構築物のモノマー含有量は95%を超えていたため、以降の分析に使用されるすべてのscFvの質は最初に同等だった。全体的に、生物物理学的特性(凝集および熱安定性)と機能的特性(SPR)を比較すると、完全コンセンサス構築物は、λキャップされた対照物よりもかなり一貫して劣った特性を示した。フレームワーク領域IVをVλ生殖細胞系列配列(λ-キャップ)およびVH(1-6)コンセンサスドメインで完全に置換したVΚ(1-3)を含むscFv分子は、対応する完全なコンセンサス(キャップされていない)分子と比較して、一般に好ましい安定性プロファイルをもたらすことを見出した。具体的には、λキャップされたscFvバリアントは、異なる生殖系列ファミリー全体で、生産性、熱変性の中点、およびさまざまな温度での貯蔵中の単量体状態の安定性の点で大部分は優れていた。
【0121】
以下において、いくつかの実施例がより詳細に議論される。
【0122】
実施例2:scFv構築物の生物物理学的データの決定
発現量:
Egan et al., MAbs 9 (2017)68-84に記載されているように、一般的な条件を使用して一本鎖可変断片が生成された。発現は大腸菌で行われ、抗体断片が封入体に蓄積し、その後、(Egan et al., MAbs 9 (2017)68-84)に記載されているように、可溶化され、一般的なリフォールディング緩衝液でリフォールディングされた。すべての分子の発現培養液1リットルあたりの収量を図2に示す。最も驚くべきことに、これらの結果は、2つの例外(VΚ2/VH5およびVΚ3/VH4)を除いて、それぞれのキャップされていない対照物(灰色の棒)と比較して、λキャップされたスキャフォールド(白い棒)の一貫して向上した生産性を示す。
【0123】
2つの分子(VΚ2/VH1BおよびVΚ2/VH2)の産生は、それらの軽鎖のλキャッピングによってのみ可能になり、キャッピングされていない完全なコンセンサスバリアントはまったく産生可能ではなかった。さらに、フレームワークの組み合わせを含むVH3は、同じサブファミリーのVΚ鎖(VΚ1、VΚ2、VΚ3)を共有する分子の群内で最高の収量を示す。VΚ1/VH3の組み合わせとは別に、VΚ1/VH4、VΚ2/VH4、およびVΚ3/VH1Bの組み合わせは、同一の軽鎖フレームワークを共有するそれぞれの群内でλキャッピング時に収量が最大に増加するため、フレームワーク領域IVをVλ生殖系列で置換することで最も恩恵を受けた。
【0124】
熱安定性
熱変性(Tm)の中点は、pH3.5~7.5の範囲で0.15M NaClを含む5つのリン酸-クエン酸緩衝液において前述の示差走査蛍光分析(DSF)によってすべての分子について決定された(Egan et al., MAbs 9 (2017)68-84; Niesen, et al., Nature Protocols, 2(9) (2007) 2212-2221)によって決定された。前述の示差走査蛍光分析(DSF)(Egan, et al., MAbs, 9(1) (2017), 68-84; Niesen, et al., Nature Protocols, 2(9) (2007) 2212-2221)によって決定される、scFv(一本鎖可変断片抗体)抗体フォーマット(antibody format)で発現した場合、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または少なくとも90℃を超える熱変性温度(Tm)の平均中点(average midpoint)を有する。図3は、標準偏差を含む、測定されたpH範囲にわたる平均pHのデータを示す。ラムダキャップされたscFvバリアント(白い棒)は、キャップされていないバリアントよりも平均Tmが著しく高いVΚ3/VH5の組み合わせを除き、キャップされていない(灰色の棒)バリアントよりも一貫して高い平均融解温度を示す。驚くべきことに、いくつかの低発現フレームワークの組み合わせは、特にラムダキャップ(例:VΚ3/VH4)と一緒に非常に高い熱安定性を示すため、熱変性の中点は分子の発現量と相関しないようである。VΚ1およびVΚ3軽鎖、ならびにVH1A、VH1BおよびVH4可変重鎖のすべての組み合わせにより、VΚ1/VH3よりも高い変性温度を有する可変領域が得られる。VΚ1/VH4は最高の融解温度を示し、VΚ2/VH5およびVΚ3/VH1Bはキャッピング時にTmの最高の相対的増加を示す。
【0125】
貯蔵安定性
産生可能なすべての分子を用いて、37℃で10 mg/mLの濃度での2週間の貯蔵安定性試験を実施した。ラムダキャップされたバリアントの保存後の単量体含有量を、キャップされていないバリアントと比較した。すべての組み合わせを通じて、軽鎖キャッピングにより、キャップされていない完全コンセンサスscFvと比較して、37℃で2週間保管した後、単量体含量が32%(VΚ1/VH1B)から57%(VΚ3/VH1A)の間で顕著に増加した。3つのフレームワークの組み合わせの生成は、λキャップで軽鎖を安定化することによってのみ可能になった。これは、この研究に十分な量のキャップされていない対照物を産生できなかった(VΚ2/VH1B、VΚ2/VH6)、または研究開始前に定量的に沈殿できなかったためである(VΚ3/VH6)。VΚ2/VH2の組み合わせは、この研究に十分な量で産生できなかった。
【0126】
驚くべきことに、ラムダキャップされたVκ1/VH3参照分子に対してベンチマークされた場合、多くのVL-VH生殖系列の組み合わせは、参照(丸で囲んだ値)よりもキャッピング時に単量体含有量の顕著な増加を示す。また、一部の組み合わせでは、37℃で2週間保管した場合に単量体含有量の損失が少なくなり、それゆえ参照組み合わせよりも全体的に安定していると見なすことができる。これは、ラムダキャップの組み合わせVΚ1/VH1A、VΚ1/VH4、VΚ1/VH5、VΚ2/VH1A、VΚ2/VH1B、VΚ2/VH3、VΚ2/VH5、VΚ3/VH1A、VΚ3/VH1B、VΚ3/VH4、およびVΚ3/VH5の場合である。
【0127】
親和性測定
ヒト化ウサギ可変ドメインの機能的特徴付けのために、IL23Rに対するそれぞれのscFvの親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。驚くべきことに、ほとんどの分子は、CDRとして独占的に(exclusively)期待されていなかった高い抗原結合親和性を保持しており、ドナーフレームワーク残基は、人間のアクセプタースキャフォールドに移植されていなかった。
【0128】
さらに、キャッピングされたおよびキャッピングされていないバリアントは、キャップされたバリアントに対して少なくとも類似の親和性またはわずかな全体的な利点さえ示すので、軽鎖キャッピングは標的親和性に悪影響を及ぼさないと結論付けることができる。キャッピングされたバリアントとキャッピングされていないバリアントを比較した場合、および同じ軽鎖ドメインを共有するそれぞれの分子内では、抗体と標的の相互作用の速度論は類似している。VΚ3構築物のオフレート値(kd)のみがわずかに高い変動性を示し、VΚ3/VH1AおよびVΚ3/VH5は、それらのVΚ1またはVΚ2対照物よりもわずかに速いオフレートを示す。VΚ1/VH3は、他のすべての分子よりもわずかに遅いオフレートを示す。これは、全体的な最良の解離定数にも反映される。ただし、一部の組み合わせでは、オンレートが高速になることでオフレートの欠点が補われ(例:VΚ1/VH4)、VH3を含むscFvと本質的に同じ全体的な親和性が得られる。表1は、この研究で調査したすべてのキャップされたフレームワークとキャップされていないフレームワークの組み合わせのヒトIL23Rに対する親和性をまとめたものである。
【0129】
【表1】
【0130】
表2は、ヒトIL23R特異的scFv断片で取得されたすべてのデータを要約する。各フレームワークバリアントは、4つの異なるカテゴリ(収量、平均Tm、単量体含有量の損失、およびKD)で、キャップされていない(フルコンセンサス)の対照物と比較され、増分が計算された。太字の値は、VΚ1/VH3リファレンスと比較して、それぞれのフレームワークの組み合わせの性能が優れていることを示す。
【0131】
実施例3:TNF特異的分子による確認試験
Vκ1/VH4およびVκ3/VH4 IL23R特異的分子の顕著な全体的な性能に基づいて、これらのフレームワークの組み合わせは、ウサギ抗ヒトTNF CDR(配列番号72から配列番号77)の単純移植(simple engraftment)による、直接的なヒト化に特に有用であるとして選択された。この研究の目的は、IL23R特異的CDR(配列番号66から配列番号71)で得られた結果を確認することであった。対照確認試験のリファレンスとして、VΚ1/VH3、およびVΚ3/VH3フレームワークの組み合わせを同一の抗TNF CDRセットの移植に使用した。
【0132】
【表2】
【0133】
選択された(ヒトIL23R CDR移植)フレームワークの組み合わせ、すなわちVΚ1/VH3、VΚ1/VH4、VΚ3/VH3、およびVΚ3/VH4の結果は、これらのフレームワークへのヒトTNF特異的CDRの移植により確認された。さらに、VΚ1/VH4フレームワークベースの分子の変異バリアントは、特定のフレームワーク位置(VH4の2/81)でコンセンサス配列から分岐するアミノ酸を含み、この研究に含まれていた。
【0134】
VH4フレームワークの組み合わせへのCDR移植によって親和性が影響されないというIL23R特異的CDRに対して上記で観察された傾向を確認すると、TNF特異的CDRに関して、キャップされたVκ1/VH4コンセンサス分子は、キャップされたVΚ1/VH3コンセンサス分子よりもさらに高い親和性を示した。さらに、VΚ1/VH4のヒトTNFへの親和性は、特定のフレームワーク位置(T24KおよびT84S;配列番号78)に2つの変異を導入することでさらに向上できた。
【0135】
したがって、特定の実施形態では、本発明は、配列番号26に記載のVH4mut配列を含む抗体またはその機能的断片に関する。
【0136】
重要なことには(表3を参照)、両方のVΚ1/VH4分子(変異していないコンセンサスFWでさえ)は、VΚ1/VH3バリアントよりもヒトTNFに対してより高い親和性を示す。したがって、このフレームワークは、CDRセットの移植によるウサギ抗体の直接的なヒト化に特に好適であり、現在の技術水準(VΚ1/VH3)よりも優れているようである。
【0137】
VH3ドメインを含む分子が対応するVH4含有分子よりも良好な生産性を示すので、TNF特異的分子の産生収量を比較すると、IL23R特異的分子について以前に得られたデータが確認される(表4)。ただし、scFvの生成の一般的なプロセス(特にリフォールディングプロセス)は元々VΚ1/VH3フレームワークベースの分子用に開発されたため、生産性の結果にバイアスがかかり、VL/VHフレームワークの組み合わせを含むVH3に有利になる可能性がある。フレームワークの組み合わせを含むVH4の生産収率は、適応した生産プロセスを使用してさらに最適化できるようである。
【0138】
TNF特異的分子を用いた貯蔵安定性試験は、本研究で使用される対照分子(VΚ1/VH3コンセンサス)の単量体含有量と比較した場合、ストレス条件での2週間の貯蔵後の単量体含有量がすべてのキャップされた分子について再び明らかに優れているので、以前に認められたλキャップの安定化効果を確認する。全体として、VH4を含む分子の安定性は、VH3を含む分子に匹敵し、VΚ3/VH4フレームワークの組み合わせが最も安定している(図5を参照)。
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
実施例4:Sk12対Sk17 λ-キャップ
上記のように、最適なVLおよびVHフレームワークの組み合わせの選択に加えて、VLコンセンサスドメインへのλキャップの組み込みも、それぞれのscFv分子の生物物理学的特性の大幅な改善をもたらす。ラムダ型軽鎖のFW領域4のさまざまな生殖系列配列も、λキャップとして使用すると異なる特性をもたらす可能性が高いようである。異なるラムダ型のFW 4領域を比較するとき、上記の研究および国際公開第2014/206561号で使用したものとは異なるTNF特異的CDRのセットを含むVΚ1/VH3フレームワークの組み合わせに照らして、配列sk17(配列番号63)が特に安定している(表5)ことを特定した。2つの分子は、それらのλキャップの配列のみが異なり、sk12(配列番号62)およびsk17(配列番号63)と命名された。貯蔵安定性および熱安定性の点で、sk17λキャップ含有分子はsk12λキャップ含有分子よりも優れている。
【0142】
sk17がsk12よりも優れていることのさらなるエビデンスを表6に示す。同一のIL17特異的ウサギCDRループを、4つの異なるVκ1保有フレームワークの組み合わせに移植した。構築物1~3は、sk17λキャップおよび異なる可変重鎖(対応してVH1A、VH4またはVH1B)を有する同一のVΚ1を含み、構築物4は、sk12λキャップおよびVH3重鎖を有するVΚ1軽鎖を含む。すべてのsk17を有する分子は、標的結合親和性の点で、現在の最高水準の技術(the current state of the art)のVΚ1(sk12)/VH3フレームワークの組み合わせ(構築物4)を有する分子よりも優れていた。さらに、VΚ1/VH4(構築物2)を有する分子は、DSF測定で測定される熱変性の中点が大幅に上昇するため、優れた熱安定性を示す。したがって、sk17はラムダキャッピングによる安定化に特に役立つようである。
【0143】
【表5】
【0144】
【表6】
【0145】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な変更形態が、前述の説明から当業者には明らかになるであろう。このような変更形態は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0146】
それぞれの特許法の下で可能な範囲で、本明細書に引用されるすべての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、および他の資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0148】
【表8】
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
【配列表】
2023115024000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
【表8】
本発明の態様の一部を以下に記載する。
1.以下を含む抗体、またはその機能的断片:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(i)前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列同一性を示す;および
(ii)前記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、ここで特に、前記LFW4は配列番号63に記載の配列を有する、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列同一性を示す、可変重鎖。
2.前記可変重鎖は、配列番号1に記載のVH1A配列、または配列番号6に記載のVH1B配列、または配列番号21に記載のVH4配列、または配列番号26に記載のVH4mut配列から得られたHFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域を含み、ここで特に、前記可変重鎖は以下を含む、項目1に記載の抗体、またはその機能的断片:
(a)配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4;または
(b)配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4;または
(c)配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4;または
(d)配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4。
3.前記可変軽鎖は、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた、または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた、LFW1、LFW2、およびLFW3領域を含み、ここで特に可変軽鎖は以下を含む、項目1または2に記載の抗体、またはその機能的断片:
(a)配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3;または
(b)配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3。
4.前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、
項目1に記載の抗体、またはその機能的断片。
5.前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号22に記載のHFW1、配列番号23に記載のHFW2、配列番号24に記載のHFW3、および配列番号25に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号27に記載のHFW1、配列番号28に記載のHFW2、配列番号29に記載のHFW3、および配列番号30に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、
項目1に記載の抗体、またはその機能的断片。
6.前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号42に記載のLFW1、配列番号43に記載のLFW2、および配列番号44に記載のLFW3を含む、
項目1に記載の抗体、またはその機能的断片。
7.前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は、配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を示し、前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して少なくとも90%の配列同一性の配列同一性を示し、特に
ここで前記可変重鎖は、配列番号2に記載のHFW1、配列番号3に記載のHFW2、配列番号4に記載のHFW3、および配列番号5に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、または
ここで前記可変重鎖は、配列番号7に記載のHFW1、配列番号8に記載のHFW2、配列番号9に記載のHFW3、および配列番号10に記載のHFW4を含み;前記可変軽鎖は、配列番号52に記載のLFW1、配列番号53に記載のLFW2、および配列番号54に記載のLFW3を含む、
項目1に記載の抗体、またはその機能的断片。
8.前記CDR領域、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3は、
(i)対象抗原に対する特異性を有する親の非ヒト抗体由来、特に親のウサギ抗体または親のげっ歯類抗体由来、特に親のマウスまたはラット抗体由来のCDR領域 HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3;
(ii)VΚドメインを含む親のヒトまたはヒト化抗体由来の、特に治療用に承認された、または市販されている抗体由来のCDR領域 HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3;
(iii)(i)または(ii)に記載のCDR領域由来の、CDR領域 HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、特に一つまたは複数の(i)または(ii)に記載のCDR領域の最適化により得られるCDR領域;ならびに
(iv)(i)、(ii)、および/または(iii)に記載の一つまたは複数のCDR領域に置換されるCDR領域、
から独立して選択される、項目1~7のいずれかに記載の抗体、またはその機能的断片。
9.項目1~8のいずれかに記載の抗体、またはその機能的断片、および任意に薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
10.項目1~8のいずれかに記載の抗体、またはその機能的断片をコードする、核酸配列または核酸配列のコレクション。
11.項目10の核酸配列または核酸配列のコレクションを含むベクターまたはベクターのコレクション。
12.項目10に記載の核酸配列もしくは核酸配列のコレクション、または項目11に記載のベクターもしくはベクターのコレクションを発現する工程を含む、
項目1~8のいずれかに記載の抗体、またはその機能的断片を産生する方法。
13.以下の工程を含む、非ヒト抗体、特にウサギまたはげっ歯類抗体をヒト化する方法:
(a)一つまたは複数の工程で、前記非ヒト抗体の可変重鎖(VH)CDR、および可変軽鎖(VL)CDRをコードする核酸配列を、項目1~8のいずれかに記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで前記非ヒト抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされ、任意でVH CDR2および/またはVL CDR1、特にVH CDR2およびVL CDR1の両方のクローニングをさらに含み、任意でVH CDR1および/またはVL CDR2、特にVH CDR1およびVL CDR2の両方のクローニングをさらに含む、
任意で以下の一つまたは複数の工程をさらに含む:
(aa)非ヒト動物、特にウサギまたはげっ歯類の、目的の抗原による免疫化;および
(ab)少なくとも一つの目的の抗体の分離
任意で以下の一つまたは複数の工程をさらに含む:
(ac)特に蛍光活性化セルソーティングを使用することによって、目的の抗原と相互作用する親和性成熟記憶B細胞のクローン単離;
(ad)単一B細胞クローンの不死化を必要としない共培養システムでの単一B細胞の培養;
(ae)目的の抗原に結合する少なくとも一つの抗体を同定するための、細胞ベースのELISAでのB細胞培養上清のスクリーニング;および/または
(af)ヒト抗体VHドメインをコードする核酸配列への、少なくとも一つの抗体のVH CDRのクローニング。
特に、
ここで、前記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH4(配列番号21)、およびVH4mut(配列番号26)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)およびVΚ3(配列番号51)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する、または
ここで前記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、以下に対してともに最高の相同性を有する
(i)VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)、VΚ2(配列番号46)、VΚ3(配列番号51)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域;または
(ii)VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH4(配列番号21)、VH4mut(配列番号26)、VH5(配列番号31)、およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域、または
ここで、前記非ヒト抗体のフレームワーク領域は、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号79)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
14.目的の親抗体を最適化する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)一つまたは複数の工程で、前記親抗体のVH CDR、およびVL CDRをコードする核酸配列を、項目1~8のいずれかに記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、ただしここで前記親抗体の少なくともVH CDR3およびVL CDR3がクローニングされ、任意でVH CDR2および/またはVL CDR1、特にVH CDR2およびVL CDR1の両方のクローニングをさらに含み、任意でVH CDR1および/またはVL CDR2、特にVH CDR1およびVL CDR2の両方のクローニングをさらに含む、
特に、
ここで、前記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH4(配列番号21)、およびVH4mut(配列番号26)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)およびVΚ3(配列番号51)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する、または
ここで、前記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、以下に対してともに最高の相同性を有する
(i)VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ1(配列番号41)、VΚ2(配列番号46)、VΚ3(配列番号51)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせのフレームワーク領域;または
(ii)VH1A(配列番号1)、VH1B(配列番号6)、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH4(配列番号21)、VH4mut(配列番号26)、VH5(配列番号31)、およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号81)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域、または
ここで、前記親抗体のフレームワーク領域は、全体的に、VH2(配列番号11)、VH3(配列番号16)、VH5(配列番号31)およびVH6(配列番号36)から選択されるヒトVHファミリー、ならびにVΚ2(配列番号46)およびVΚ4(配列番号79)から選択されるヒトVLファミリーの組み合わせの対応するフレームワーク領域に対してともに最高の相同性を有する。
15.抗体、またはその機能的断片の多様なコレクションを生成する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)一つまたは複数の工程で、VH CDRおよび/またはVL CDRの一つまたは複数の多様なコレクションをコードする核酸配列の、一つまたは複数の多様なコレクションを、項目1~8のいずれかに記載の抗体またはその機能的断片をコードする一つまたは複数の核酸配列にクローニングする、任意にここでVH CDR3の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、任意にここでVL CDR3の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、
特に
ここで、VH CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、特にVH CDR2の多様なコレクションおよびVL CDR1の多様なコレクションの両方がクローニングされる、
ここで、VH CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、特にVH CDR2の多様なコレクションおよびVL CDR1の多様なコレクションの両方がクローニングされる、および/または
ここで、VH CDR1の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクション、および/またはVL CDR2の多様なコレクションをコードする核酸配列の多様なコレクションがクローニングされ、特にVH CDR1の多様なコレクションおよびVL CDR2の多様なコレクションの両方がクローニングされる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023115024000001.xml
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む抗体、またはその機能的断片:
(a)可変軽鎖、
ここで、可変軽鎖は、N末端からC末端までの領域LFW1-LCDR1-LFW2-LCDR2-LFW3-LCDR3-LFW4を含み、ここで各LFWは軽鎖フレームワーク領域を示し、および各LCDRは軽鎖相補性決定領域を示し、ここで:
(i)前記LFW1、LFW2、およびLFW3領域は一緒になって、配列番号41に記載のVΚ1配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して;または配列番号51に記載のVΚ3配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列同一性を示す;および
(ii)前記LFW4は、配列番号63と少なくとも90%同一であるVλベースの配列であり、ここで特に、前記LFW4は配列番号63に記載の配列を有する、可変軽鎖;
ならびに、
(b)可変重鎖、
ここで、可変重鎖は、N末端からC末端までの領域HFW1-HCDR1-HFW2-HCDR2-HFW3-HCDR3-HFW4を含み、ここで各HFWは重鎖フレームワーク領域を示し、および各HCDRは重鎖相補性決定領域を示し、
ここで前記HFW1、HFW2、HFW3、およびHFW4領域は一緒になって配列番号21に記載のVH4配列から得られた対応するフレームワーク領域、または配列番号1に記載のVH1A配列から得られた対応するフレームワーク領域に対して、少なくとも90%の配列同一性を示す、可変重鎖。
【外国語明細書】