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特開2023-115031有効気密封止状態で基板を受け入れる容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115031
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】有効気密封止状態で基板を受け入れる容器
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/66 20120101AFI20230810BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20230810BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G03F1/66
H01L21/68 T
B65D85/86 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】44
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091002
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2021017618の分割
【原出願日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】63/024,595
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/146,670
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】薛 新民
(72)【発明者】
【氏名】李 怡萱
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 星閔
(72)【発明者】
【氏名】林 書弘
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(57)【要約】
【課題】半導体製造に必要な基板が例えば空中粒子によって汚染されないように基板を収容する容器を提供する。
【解決手段】本発明は、基板を収容する容器(300)を開示する。容器(300)は、少なくとも1つの第1の支持面(312)を備えた基部(310)および基板のための収容空間を構成するよう基部の第1の支持面(312)と係合する少なくとも1つの第2の支持面(322)を備えた蓋(320)を有する。基部の第1の支持面および蓋の第2の支持面は、それぞれの平坦度が0.04mm以下の同一の勾配を有し、その結果、第1の支持面と第2の支持面が互いに接触すると、第1の支持面と第2の支持面との間の有効ハーメチックシールが形成されるようになっている。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する容器であって、
頂部水平面および前記頂部水平面を包囲した少なくとも1つの第1の支持面を備えた基部と、
前記頂部水平面を覆うとともに前記第1の支持面に係合して前記基板を収容するための収容空間を構成する蓋とを有し、前記蓋は、少なくとも1つのフィルタチャネルおよび前記収容空間を包囲した少なくとも1つの第2の支持面を有し、前記第2の支持面は、前記第1の支持面と合致するよう構成され、前記基部の前記第1の支持面および前記蓋の前記第2の支持面は、前記頂部水平面の勾配に対して終始一貫した勾配を有し、前記基部の前記第1の支持面と前記蓋の前記第2の支持面は両方とも、0.04mm未満の平坦度を有し、それにより前記第1の支持面が前記第2の支持面に接触したときにハーメチックシールが形成される、容器。
【請求項2】
前記フィルタチャネルは閉鎖され、前記収容空間と前記容器の外側空間との間には圧力差が作られ、前記平坦度は、第1の支持面および前記第2の支持面によって定められる、請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記圧力差は、100Paを超える、請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外側空間への気体送り戻しプロセス中、前記第1の支持面および前記第2の支持面の前記平坦度によって形成された前記ハーメチックシールは、前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の90%が前記フィルタチャネルを通って前記容器に入る、請求項1記載の容器。
【請求項5】
前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外面への気体送り戻しプロセス中、前記第1の支持面および前記第2の支持面の前記平坦度により形成された前記ハーメチックシールは、前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の10%未満が前記第1の支持面と前記第2の支持面との間の隙間を通って前記容器に入る、請求項1記載の容器。
【請求項6】
前記基部の前記第1の支持面は、表面粗さ(Sa)を有し、前記蓋の前記第2の支持面は、表面粗さを有し、前記表面粗さは、13nmから100nmまでの範囲のものである、請求項1記載の容器。
【請求項7】
前記基部は、前記頂部水平面を囲んだ少なくも2つの支持面を有し、前記第1の支持面および前記第2の支持面は、前記頂部水平面に対して終始一貫した勾配を有し、前記第1の支持面は、0.04mm未満の最も大きな平坦度を有する、請求項1記載の容器。
【請求項8】
前記基部は、前記頂部水平面を包囲した前記第1の支持面によってかつ前記第1の支持面と前記頂部水平面との間に形成された溝を有する、請求項7記載の容器。
【請求項9】
前記第1の支持面は、前記第2の支持面に接触し、前記頂部水平面を包囲した少なくとも1つの接触インターフェースが前記第1の支持面と前記第2の支持面との間に形成されている、請求項1記載の容器。
【請求項10】
前記接触インターフェースは、0.08mm未満の隙間を有する、請求項9記載の容器。
【請求項11】
前記接触インターフェースは、前記頂部水平面の高さ位置と同一の高さ位置のところにはなくまたは前記頂部水平面の高さ位置に平行である平面を有する、請求項9記載の容器。
【請求項12】
前記基部は、前記頂部水平面を包囲した少なくとも2つの第1の支持面を有し、前記第1の支持面は、前記第2の支持面に接触して前記頂部水平面を包囲した少なくとも2つの接触インターフェースを形成する、請求項9記載の容器。
【請求項13】
前記基部は、前記2つの接触インターフェース相互間に形成されかつ前記頂部水平面を包囲した少なくとも1つの溝を有する、請求項12記載の容器。
【請求項14】
前記少なくとも1つの接触インターフェースは、前記頂部水平面の高さ位置と同一の高さ位置にはなくまたは前記頂部水平面の高さ位置に平行である平面を有する、請求項9記載の容器。
【請求項15】
基板を収容する容器であって、
頂部水平面を備えた基部と、
少なくとも1つのフィルタチャネルおよび貯蔵空間を備えた蓋とを有し、前記蓋は、前記基部に接触し、前記貯蔵空間および前記頂部水平面は、前記基板を収容するための収容空間を構成し、前記蓋と前記基部との間には、前記頂部水平面を包囲し、それにより前記収容空間を封止する少なくとも1つの接触インターフェースが形成され、前記接触インターフェースは、0.08mm未満の隙間を有する、容器。
【請求項16】
前記接触インターフェースを構成する前記基部の表面および前記接触インターフェースを構成する前記蓋の表面は、0.04mm未満の平坦度を有する、請求項15記載の容器。
【請求項17】
前記接触インターフェースは、前記頂部水平面の高さ位置と同一の高さ位置にはなくまたは前記頂部水平面の高さ位置に平行である平面を有する、請求項15記載の容器。
【請求項18】
前記蓋は、前記基部に接触して少なくとも2つの接触インターフェースを構成し、前記基部は、前記頂部水平面を包囲しかつ前記接触インターフェースと前記頂部水平面を互いに離隔させる少なくとも1つの溝を有する、請求項15記載の容器。
【請求項19】
前記少なくとも2つの接触インターフェースのうちの一方は、前記頂部水平面の高さ位置と同一の高さ位置にはなくまたは前記頂部水平面の高さ位置に平行である平面を有する、請求項18記載の容器。
【請求項20】
前記フィルタチャネルは閉鎖され、前記収容空間と前記容器の外側空間との間には圧力差が作られ、ハーメチックシールが前記接触インターフェースによって形成される、請求項15記載の容器。
【請求項21】
前記圧力差は、100Paを超える、請求項20記載の容器。
【請求項22】
前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外側空間への気体送り戻しプロセス中、前記接触インターフェースによって形成された前記ハーメチックシールは、前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の90%が前記フィルタチャネルを通って前記容器に入る、請求項15記載の容器。
【請求項23】
前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外側空間への気体送り戻しプロセス中、前記接触インターフェースによって形成された前記ハーメチックシールは、前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の10%未満が前記接触インターフェースの隙間を通る、請求項15記載の容器。
【請求項24】
前記接触インターフェースを構成する前記基部の表面および前記接触インターフェースを構成する前記蓋の表面が13nmから100nmまでの範囲の表面粗さ(Sa)を有する、請求項15記載の容器。
【請求項25】
基板を収容する容器であって、
頂部水平面および前記頂部水平面を包囲した少なくとも1つの第1の支持面を備えた基部と、
少なくとも1つのフィルタチャネル、底面および前記底面を包囲しているフランジを備えた蓋とを有し、前記フランジは、前記底面を包囲した少なくとも1つの第2の支持面を有し、前記第2の支持面は、少なくとも一部が前記基部の前記第1の支持面に接触して前記底面、前記フランジおよび前記頂部水平面が前記基板を収容するための収容空間を構成するようになっており、前記第1の支持面および前記第2の支持面は、0.04mm未満の平坦度を有し、それにより前記収容空間に対するハーメチックシールが構成される、容器。
【請求項26】
前記フィルタチャネルは、閉鎖され、前記収容空間と前記容器の外側空間との間には圧力差が作られ、前記ハーメチックシールは、前記第1の支持面の前記平坦度および前記第2の支持面の前記平坦度によって形成される、請求項25記載の容器。
【請求項27】
前記圧力差は、100Paを超える、請求項26記載の容器。
【請求項28】
前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外側空間への気体送り戻しプロセス中、前記第1の支持面の前記平坦度および前記第2の支持面の前記平坦度によって形成された前記ハーメチックシールは、前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の90%が前記フィルタチャネルを通って前記容器に入る、請求項25記載の容器。
【請求項29】
前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外面への気体送り戻しプロセス中、前記第1の支持面の前記平坦度および前記第2の支持面の前記平坦度により形成された前記ハーメチックシールは、前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の10%未満が前記第1の支持面と前記第2の支持面との間の隙間を通る、請求項25記載の容器。
【請求項30】
前記基部の表面および前記蓋の表面が13nmから100nmまでの範囲の表面粗さ(Sa)を有する、請求項25記載の容器。
【請求項31】
前記第1の支持面および前記第2の支持面は、前記頂部水平面の勾配に対して終始一貫した勾配を有する、請求項25記載の容器。
【請求項32】
前記基部は、前記頂部水平面を包囲した少なくとも2つの第1の支持面を有し、前記第1の支持面は、0.04mm未満の平坦度を有する、請求項25記載の容器。
【請求項33】
前記基部は、前記2つの第1の支持面相互間に作られかつ前記頂部水平面を包囲した溝を有する、請求項32記載の容器。
【請求項34】
前記第1の支持面のうちの一方は、前記頂部水平面の高さ位置と同一の高さ位置にはなくまたは前記頂部水平面の高さ位置に平行である平面を有する、請求項32記載の容器。
【請求項35】
前記第1の支持面は、前記第2の支持面に接触して前記頂部水平面を包囲した少なくとも1つの接触インターフェースを形成する、請求項25記載の容器。
【請求項36】
前記接触インターフェースは、0.08mm未満の隙間を有する、請求項35記載の容器。
【請求項37】
基板を収容する容器であって、
頂部水平面を備えた基部と、
少なくとも1つのフィルタチャネルおよび貯蔵空間を備えた蓋とを有し、前記蓋は、前記基部に接触し、前記貯蔵空間および前記頂部水平面は、前記基板を収容するための収容空間を構成し、前記蓋と前記基部との間には前記頂部水平面を包囲し、それにより前記収容空間を封止する少なくとも1つの接触インターフェースが形成され、前記接触インターフェースは、前記フィルタチャネルが閉鎖されると、前記収容空間と前記容器の外側空間との間に圧力差を定める隙間を有し、前記圧力差は、100Paを超える、容器。
【請求項38】
基板を収容する容器であって、
頂部水平面を備えた基部と、
少なくとも1つのフィルタチャネルおよび貯蔵空間を備えた蓋とを有し、前記蓋は、前記基部に接触し、前記貯蔵空間および前記頂部水平面は、前記基板を収容するための収容空間を構成し、前記蓋と前記基部との間には前記頂部水平面を包囲する少なくとも1つの接触インターエースが形成され、前記接触インターフェースは、隙間を有し、前記収容空間には真空が引かれ、前記容器の外側空間への気体送り戻しプロセス中、前記隙間は、前記容器に入る空気流を定め、該空気流の90%が前記フィルタチャネルを通って前記容器に入る、容器。
【請求項39】
容器に入る空気流を調整する方法であって、前記容器は、頂部水平面を備えた基部と、少なくとも1つのフィルタチャネルを備えた蓋とを有し、前記蓋は、前記基部に接触して収容空間を構成し、前記方法は、
前記基部と前記蓋との間に少なくとも1つの接触インターフェースを形成して収容空間を包囲するステップを含み、前記接触インターフェースは、隙間を有し、
前記フィルタチャネルが閉鎖されると前記隙間を調整して前記収容空間と前記容器の外側空間との間に100Paを超える圧力差を定めるステップを含み、
前記容器の前記外側空間への気体送り戻しプロセスを実行するステップを含み、該気体送り戻しプロセスでは、前記収容空間に真空を引き、前記フィルタチャネルを開き、それにより前記容器に入る空気流を生じさせ、該空気流の90%が前記フィルタチャネルを通過する、方法。
【請求項40】
前記接触インターフェースの前記隙間を0.08mm未満に調整するステップをさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記基部の第1の支持面を調整して0.04mm未満の平坦度を有するようにするステップをさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記蓋の第2の支持面を調整して13nmから100nmまでの範囲の表面粗さ(Sa)を有するようにするステップをさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記蓋の第2の支持面を調整して0.04mm未満の平坦度を有するようにするステップをさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記蓋の第2の支持面を調整して13nmから100nmまでの範囲の表面粗さを有するようにするステップをさらに含む、請求項39記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、パターン付け基板を搬送するために用いられる搬送ポッド、特に有効気密封止、精密マーク付け、および安定保持をもたらすことができるレチクルポッドを含むレチクルを搬送するために用いられる二部品型入れ子式容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造に必要な基板(例えば、ウェーハおよびレチクル用の基板)は、基板が搬送中における非真空環境下において半導体製造プロセスにおいて欠陥を生じさせる汚染物、例えば空中粒子によって汚染されるのを阻止する目的で搬送中、特別な容器内に収容される。
【0003】
図1は、先行技術のEUVレチクルポッドを示しており、このEUVレチクルポッドは、内側ポッド組立体110および外側ポッド組立体150を有する。内側ポッド組立体110は、レチクル(R)を収容するために用いられ、この内側ポッド組立体は、下蓋120および上蓋130を有する。下蓋120は、レチクル(R)を支持するために4つの支持部材121を有する。上蓋130は、下蓋120に結合され、この上蓋は、レチクル(R)の表面に圧接するよう4つの支持部材121に対応した4つの加圧ユニット140を有する。加圧ユニット140は、加圧部材を含み、この加圧部材は、加圧力受け取り部分および加圧部分を有する。特に、加圧力受け取り部分は、外側ポッド組立体150の外蓋170に設けられた下向き加圧ピン171を受け入れるよう上蓋130の頂面のところで露出されている。加圧力受け取り部分が下方に押された後、加圧部分は、上蓋130の底面から突き出てレチクル(R)の表面に圧接する。外側ポッド組立体150は、内側ポッド組立体110を受け入れるために用いられ、この外側ポッド組立体は、基部160および外蓋170を含む。基部160は、内側ポッド組立体110の下蓋120を支持する多数のピラー190を有し、基部160はまた、外蓋170とハーメチックシールを形成するよう外蓋170に結合されている。外蓋170は、その底面の内側に設けられた4つの下向き加圧ピン171を有する。4つの下向き加圧ピン171は、4つの加圧ユニット140に対応しており、これら4つの下向き加圧ピンは各々、各加圧ユニット140の加圧部材に設けられた加圧力受け取り部分の表面に接触するために用いられる。レチクル(R)を貯蔵する内側ポッド組立体110が外側ポッド組立体150内に受け入れられると、下向き加圧ピン171は、力を加圧ユニット140の加圧部材の加圧力受け取り部分に加え、それにより加圧ユニット140および支持部材121がレチクル(R)が安定保持状態を保つことができるようにする。
【0004】
先行技術のEUVレチクルポッド100の内側ポッド組立体110は、解決しようとする以下の技術的問題を有する。第1に、各加圧ユニット140の加圧部材は、上蓋130の頂面のところで露出されており、この加圧部材は、上蓋130の底面から突き出る場合があり、それにより粒子が上蓋130上に落ちて加圧部材を収容している空間を通過する場合があるというリスクが生じる。粒子は、最終的に、内側空所に入り込んでレチクル(R)を汚染する場合がある。第2に、レチクル(R)を収容している内側ポッド組立体110が外側ポッド組立体150内に配置されない場合、上蓋130の4つの加圧ユニットに設けられている加圧部材の加圧部分は、上蓋130の底面から突き出ない。この時点において、レチクル(R)は、加圧ユニット140および支持部材121によってしっかりとは保持されず、それにより、レチクル(R)の配置ミスまたは衝撃に起因して多くの粒子が生じる恐れが高くなる。第3に、レチクル(R)を収容している内側ポッドコンポーネント110が外側ポッドコンポーネント150の基部160のところに配置されると、外蓋170が下方に配置されているときにクランプユニット140を介して加圧ピン171をレチクル(R)に容易に衝突させる場合があり、それによりレチクル(R)の変位または衝撃に起因して多くの粒子が生じる恐れが高まる。
【0005】
先行技術のうちの台湾国特許出願公開第200304051号明細書は、レチクルを収容する二部品型容器を開示している。かかる容器は、外側ポッドおよび内側ポッドから成り、内側ポッドは、外側ポッド内に配置され、レチクルは、内側ポッド内に配置される。最も多くの場合、レチクルは、高真空環境内で作られ、かくして、レチクルを収容している容器は、搬送中、真空環境と大気圧環境との間で移行する場合がある。別法として、容器は、真空が引かれた後に大気圧環境に搬送される場合がある。容器の内側と外側との間の圧力差を維持して空気流がレチクルを収容している内側空所中に粒子を吹き込むことがないようにするために、濾過またはフィルタチャネルが粒子を濾過して除去するために内側空所と外側空間との間に設けられる。その結果、フィルタ通路以外の容器の内側空所と外側空間との間の気密封止により、容器の内側と外側との間の圧力差によって空気流がフィルタチャネル以外の領域を通過して粒子をレチクルが収容されている領域中に吹き込むことがないようにする。上述の特許出願公開は、内側ポッドと外側ポッドとの間に設けられた粒子封止器具(例えば、Oリング)および外側ポッドの蓋と基部との間の接触インターフェースに設けられた気体封止器具(例えば、別のOリング)を提供する封止手段を開示している。これら形態は、汚染物が真空環境中においてレチクル領域中に入るのを阻止する改良型バリヤとなる。当該特許出願公開は、内側ポッドがポッド蓋および基部を有し、ポッド蓋と基部が一緒になって、レチクルのための収容空間を構成することを開示しているが、内側ポッド蓋と基部との間の接触インターフェースにはOリングが設けられない。換言すると、内側ポッドの封止具合は、ポッド蓋と基部との間の接触インターフェースで決まるに過ぎず、さらに、当該特許出願公開は、効果的な封止を達成するために接触インターフェースをどのように構成しまたは調整するかを開示しておらずまたは教示していない。
【0006】
台湾国特許第1391304号明細書(発明の名称:Reticle Pod )は、先行技術のシールがエラストマー材料で作られる場合が多く、このエラストマー材料はそれ自体、粒子源または汚染源である場合がある。さらに、当該特許明細書は、先行技術においては、エラストマーシールを用いてシールを形成するにはある特定の構造(例えば、溝および隆起バンプ)の使用が必要であることを記載している。かかる構造は広く用いられているが、これら構造は、粒状汚染物または化学物質を間隙内に保持するという欠点を呈する場合がある。当該特許明細書は、ドアおよびカバーのそれぞれの周囲の近くに平坦面を形成するための構造を提案しており、カバーとドアを嵌合させると、平坦面は、互いに当接して粒子がポッドの外部の環境からポッドの内部に入るのを阻止するためのシールを形成し、それにより伝統的なエラストマーシールの必要性がなくなる。当該特許明細書の教示によれば、封止のための表面は、粗さ平均値(Ra)が許容できる最高0.50ミクロインチ(1.27×10-6cm)までの表面仕上げを有するが、好ましい範囲は、0.20~0.40Raである。
【0007】
しかしながら、当業者が精通しているありふれた一般的知識に基づき、上述の特許明細書に記載されているように表面仕上げの粗さを定めるために適用される粗さ平均値(Ra)は、1998年11月10日に最初に発行されてファン・クワン‐チャオ(Fan Kuang-chao)およびチャン・クオ‐イー(Chang Kuo-yi)の著作/編集になる「プレシジョン・メジャーメント(Precision Measurement:精密測定)」の212頁に指定されているように「粗さ曲線の中心線に基づいて平均絶対偏差を計算することに得られた表面粗さを表す表現」でありかつ「図8‐3‐1に示されているように中心線からサンプルのある特定の長さ内の測定点までの偏差の平均値」であるものとする。本願の図2は、この刊行物から抜粋した上述の図8‐3‐1を示している。レチクルポッドのカバーとドアを係合させた場合、互いに当たって面一をなして位置する上面と下面が気密封止を達成できるかどうかは、事実として、上面と下面との間の間隙で決まる。上述の特許明細書では、「粗さ平均値(Ra)」は、表面仕上げの粗さを評価するために適用され、しかも、この粗さ平均値は、直線状セグメント長さでのみ基づいて表面粗さを表している。かかる粗さ平均値(Ra)は、カバーおよびドアのそれぞれの上面と下面との間の間隙の粗さを評価するために使用できることはほとんどなく、と言うのは、これら表面は、広い領域内で互いに当たって面一をなして位置するからである。換言すると、レチクルポッドの互いに係合したカバーとドアの上面および下面が気密封止を達成するかどうかを評価する上で、上記特許明細書に開示された表面粗さの粗さ平均値(Ra)は、良好な指標ではない。
【0008】
上述の刊行物「プレシジョン・メジャーメント」は、表面テキスチャを定める要因を論じるとともに加工物の表面をどれほど精密に機械加工するにせよ、仕上げられた表面と理想的な表面との間には必ずある特定の差が存在することを記載している。避けることのできない差の背後にある理由としては、機械加工の結果としての低周波振動によって引き起こされる低周波、機械のガタガタ音、および機械/加工物の撓みなどや機械加工の結果としての要因、例えば旋削、フライス加工、研削、サンドブラスチング、火炎などにより引き起こされる高頻度の粗さを持つ不規則な表面が挙げられる。粗さの度合いは、中心線(直線)である湾曲波として表現される。上述の中心線Raは、粗さ偏差の絶対値の平均値を計算するためにベースラインとしてRa曲線の中心線を用いたものである。したがって、Raの値は、粗さ偏差の最大値を反映することができず、これは、波形の振幅よりも小さい。したがって、当業者であれば知っているように、加工物表面が実際の加工に起因した低周波数および高周波数要因からの衝撃を回避することができないと仮定すると、加工物表面は、波形およびRaを必ず含んでいる。かくして、有効気密封止が2つの加工物の相互間に形成されているかどうかを判定するという点で、先行技術は、「封止面」を評価するために波形の大きさよりも小さいRa値を用いることを開示しているのに過ぎず、Ra値は、有効封止を保証するのに十分ではない。
【0009】
レチクルポッドの基部および蓋が金属で作られていることが知られている。研削または研磨が金属表面(または、無電解ニッケルめっきで処理された表面)の表面仕上げを向上させることができるが、既存の研削または研磨技術を用いて作られた0.5Raまたはそれどころか0.20~0.40Raをもつ表面を有するレチクルポッドの製品収量(有効気密封止の面において)は、向上の見込みが低く、生産設備のための費用が急激に増大することになる。さらに、上述したように、明らかなこととして、Ra値だけが封止面を達成するための設計上の目的のうちの1つとして用いられている場合に気密封止の効果を保証することが可能ではない。
【0010】
加うるに、レチクルポッドは、使用のために開かれたときに指向性を持って差し向けられる。かくして、レチクルポッドがリソグラフィ機械に送られたとき、位置だけではなくレチクルポッドの向きの検出がリソグラフィプロセス中の暴露場所のずれを回避する上で必要である。したがって、レチクルポッド位置の正確なアライメントを保証するため、リソグラフィ機械は、光信号をレチクルポッドの表面に送り、次に、センサが識別のために光信号の反射信号を得ることになる。先行技術においては、センサは、レチクルポッドの滑らかな表面または底部構造の設計に起因して、反射信号を安定的に得ることはなく、それによりレチクルポッドの特徴領域が正しい位置にあるかどうかを正確に識別することができない場合がある。先行技術の手法は、レチクルポッドの表面をマーク付けするために十字線レチクルを用いている。しかしながら、リソグラフィ機械によって送られる光信号が特定の角度でポッド表面の3D構造上に当たったとき、十字線レチクルがセンサによって検出された反射信号に基づいて3D構造体表面に関係しているかどうかを突き止めることは困難であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】台湾国特許出願公開第200304051号明細書
【特許文献2】台湾国特許第1391304号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ファン・クワン‐チャオ(Fan Kuang-chao)およびチャン・クオ‐イー(Chang Kuo-yi)著/編,「プレシジョン・メジャーメント(Precision Measurement)」,1998年11月10日初版発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
かくして、上述の種々の技術上の問題を解決しようとして、本発明は、有効気密封止、精密マーク付けおよび安定保持を含む特徴を備えたレチクル貯蔵ポッドおよびレチクル搬送ポッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、レチクル容器の蓋と基部との間の接触インターフェースの「平坦度」の調整によってハーメチックシールを提供することを目的としている。本発明者の研究によれば、基部と蓋との間の接触インターフェースの平均表面粗さ(Ra)のみを改良する先行技術は、蓋と基部が互いに接触したときに蓋と基部との間のシールを保証することができないということが指摘されている。本発明者は、基部と蓋の処理後の表面が平均表面粗さ(Ra)の振幅よりも大きい振幅を有する波形を有することをさらに指摘する。かくして、基部と蓋との間のハーメチックシールを接触時に実現できるかどうかを判定するための一要因としては、上側接触面と下側接触面との間の最大高さ(Rz、すなわち最大の山部と最も低い谷部との間の距離)が挙げられる。接触インターフェースのRzは、これら表面が互いに接触状態にあるときに作られる隙間を生じさせ、この隙間は、空気流チャネルになって蓋と基部との間のハーメチックシールの損傷を壊す。さらに、表面撓みを調整することができない場合、処理後の表面はまた、最大高さ(Rz)を含み、それにより隙間、すなわち空気流チャネルを生じさせることになる。
【0015】
本明細書において説明する「平坦度」は、ある特定の加工物の実際の表面と理想的な平面(真の平面)との間のオフセットを意味している。図3を参照すると、ある特定の加工物の表面波形の平坦度を示す略図が示されている。「平面度」の定義によれば、加工物の実際の平面(100)を挟む2つの互いに平行な仮想平面101,102相互間の距離(d)を実際の平面(100)の最大高さ(Rz)として表すことができ、上側平面と下側平面はそれぞれ、実際の平面の最大の山部および最も低い谷部に触れる。実際の平面(100)は、図示のように一加工物(103)の表面であり、この表面は、実際の加工における低周波要因によって引き起こされる表面撓みを有し、かかる表面撓みは、相当な程度のかかる高さの差のように見える。これに加えて、図4に示されているような実際の加工における低周波要因によって引き起こされる表面撓みが存在する。「平坦度」の定義によれば、加工物(203)の実際の平面(200)を挟む2つの仮想平面(201,202)相互間の距離(d)に言及することができ、特に、実際の平面(200)の被覆度は、特定の長さ(L)および幅(W)、例えば100mm×100mm四方の面積によって定められる。この面積の尺度は、場合によっては、2つの仮想表面(201,202)相互間の距離(d)を定めることができ、かかる距離は、これに対応して平坦度の測定値を決定することが想定できる。同様に、距離(d)は、実際の平面(200)の最大高さ(Rz)を表す。
【0016】
本発明の一目的は、基板を収容する容器を提供することにある。容器は、基部および蓋を有する。基部は、頂部水平面および頂部水平面を包囲した少なくとも1つの第1の支持面を有する。蓋は、頂部水平面を覆うとともに第1の支持面に係合して基板を収容するための収容空間を構成する。蓋は、少なくとも1つのフィルタチャネルおよび収容空間を包囲した少なくとも1つの第2の支持面を有する。第2の支持面は、第1の支持面と合致するよう構成され、基部の第1の支持面および蓋の第2の支持面は、頂部水平面の勾配に対して終始一貫した勾配を有する。基部の第1の支持面と蓋の第2の支持面は両方とも、0.04mm未満の平坦度を有し、それにより第1の支持面が第2の支持面に接触したときにハーメチックシールが形成される。
【0017】
本発明のさらに1つの目的は、基板を収容する容器を提供することにある。容器は、基部および蓋を有する。基部は、水平面を有する。蓋は、少なくとも1つのフィルタチャネルおよび貯蔵空間を有する。蓋は基部に接触し、貯蔵空間および頂部水平面は、基板を収容するための収容空間を構成する。蓋と基部との間には、頂部水平面を包囲し、それにより収容空間を封止する少なくとも1つの接触インターフェースが形成されている。接触インターフェースは、0.08mm未満の隙間を有する。
【0018】
本発明の別の目的は、基板を収容する容器を提供する。容器は、基部および蓋を有する。基部は、頂部水平面および頂部水平面を包囲した少なくとも1つの第1の支持面を有する。蓋は、少なくとも1つのフィルタチャネル、底面および底面を包囲しているフランジを有する。フランジは、底面を包囲した少なくとも1つの第2の支持面を有し、第2の支持面は、少なくとも一部が基部の第1の支持面に接触して底面、フランジおよび頂部水平面が基板を収容するための収容空間を構成する。第1の支持面および第2の支持面は、0.04mm未満の平坦度を有し、それにより収容空間に対するハーメチックシールが構成される。
【0019】
本発明の別の目的は、基板を収容する容器を提供する。容器は、基部および蓋を有する。基部は、頂部水平面を有する。蓋は、少なくとも1つのフィルタチャネルおよび貯蔵空間を有する。蓋は、基部に接触し、貯蔵空間および頂部水平面は、基板を収容するための収容空間を構成する。蓋と基部との間には頂部水平面を包囲し、それにより収容空間を封止する少なくとも1つの接触インターフェースが形成される。接触インターフェースは、第1のチャネルが閉鎖されると、収容空間と容器の外側空間との間に圧力差を定める隙間を有し、圧力差は、100Paを超える。
【0020】
本発明のさらに1つの目的は、基板を収容する容器を提供する。容器は、基部および蓋を有する。基部は、頂部水平面を有する。蓋は、少なくとも1つのフィルタチャネルおよび貯蔵空間を有する。蓋は、基部に接触する。貯蔵空間および頂部水平面は、基板を収容するための収容空間を構成する。蓋と基部との間には頂部水平面を包囲する少なくとも1つの接触インターエースが形成されている。接触インターフェースは、隙間を有し、収容空間には真空が引かれる。容器の外側空間への気体送り戻しプロセス中、隙間は、容器に入る空気流を定め、空気流の90%がフィルタチャネルを通って容器に入る。
【0021】
本発明のさらに1つの目的は、容器に入る空気流を調整する方法を提供する。容器は、頂部水平面を備えた基部と、少なくとも1つのフィルタチャネルを備えた蓋とを有する。蓋は、基部に接触して収容空間を構成する。本方法は、基部と蓋との間に少なくとも1つの接触インターフェースを形成して収容空間を包囲するステップを含み、接触インターフェースは、隙間を有し、本方法は、フィルタチャネルが閉鎖されると隙間を調整して収容空間と容器の外側空間との間に100Paを超える圧力差を定めるステップと、容器の外側空間への気体送り戻しプロセスを実行するステップとを含み、気体送り戻しプロセスでは、収容空間に真空を引き、フィルタチャネルを開き、それにより容器に入る空気流を生じさせ、空気流の90%がフィルタチャネルを通過する。
【0022】
添付の図面および以下に与えられる説明を参照すると、本発明を一層完全に理解することができる。限定的ではなくかつ排他的であることが意図されていない種々の実施例について図面を参照して説明する。図面に示されている要素は、構造および完全な原理を説明する目的で必ずしも実際の縮尺通りには示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】先行技術のEUVレチクルポッドの分解組立斜視図である。
図2】粗さ曲線の中心線に基づいて粗さ平均値(Ra)を得る方法を示す略図である。
図3】加工物表面の波形(これは、平坦度に関係付けられる)を示す略図である。
図4】別の加工物表面の撓み(これは、平坦度に関係付けられる)を示す略図である。
図5A】基板を収容するための容器(例えば、レチクルポッド)の分解組立斜視図である。
図5B】蓋と基部を互いに接合したときの容器の縁部のところの断面を示す図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースを示す略図である。
図6B図6Aに示された実施形態に基づいて、図6Aに示されているA‐A切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの一つを示す断面図である。
図6C図6Aに示された実施形態に基づいて、図6Aに示されているA‐A切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図6D図6Aに示された実施形態に基づいて、図6Aに示されているA‐A切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図6E図6Aに示された実施形態に基づいて、図6Aに示されているA‐A切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図7A】本発明の別の実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースを示す略図である。
図7B図7Aに示された実施形態に基づいて、図7Aに示されているB‐B切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの一つを示す断面図である。
図7C図7Aに示された実施形態に基づいて、図7Aに示されているB‐B切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図7D図7Aに示された実施形態に基づいて、図7Aに示されているB‐B切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図8A】本発明のさらに別の実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースを示す略図である。
図8B図8Aに示された実施形態に基づいて、図8Aに示されているC‐C切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの一つを示す断面図である。
図8C図8Aに示された実施形態に基づいて、図8Aに示されているC‐C切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図8D図8Aに示された実施形態に基づいて、図8Aに示されているC‐C切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの別の一つを示す断面図である。
図9A】本発明のさらに別の実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースを示す略図である。
図9B図9Aに示された実施形態に基づいて、図9Aに示されているD‐D切断線に沿って取った基部と蓋との間の接触インターフェースの種々の実施例のうちの一つを示す断面図である。
図10】基板を収容するための容器の加圧内側と外側をどのように検査するかに関する実施例を示す図である。
図11A】蓋と基部を互いに接合したときの撓みに起因して生じる接触表面相互間の隙間を示す略図である。
図11B】蓋と基部を互いに接合してこれらが互いに接触状態にあるときの蓋と基部との間の隙間および関連波形の概略拡大図である。
図11C】基部の第1の支持面および蓋の第2の支持面(この場合、基部と蓋は互いに接合されていない)のそれぞれの平坦度を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のより完全な説明が添付の図面を参照して以下に与えられており、実施例は、例示の実施形態を実証するために提供されている。それにもかかわらず、本発明のクレーム請求された主題を種々の形態で具体化することができ、したがって、権利範囲に含まれまたはクレーム請求された主題の構成は、本明細書に開示されたどの例示の実施形態にも限定されるべきではなく、例示の実施形態は、実施例として提供されているに過ぎない。同時に、本発明は、クレーム請求されまたは権利範囲に含まれる主題に関して合理的に広い範囲を提供することが意図されている。さらに、例えば、クレーム請求された主題は、方法、装置、またはシステムとして具体化できる。したがって、特定の実施形態は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせ(非ソフトウェアであることが知られている)の形態を取ることができる。
【0025】
本明細書で用いられる「実施形態」という用語は、必ずしも、同一の実施形態そのものを指すわけではなく、本明細書で用いられる「他の(幾つかの/ある特定の)実施形態」という用語は、必ずしも、互いに異なる実施形態を指すものではない。本明細書の目的は、例示の実施形態の全てまたは一部の組み合わせを含む実施例を用いてクレーム請求された主題を説明することにある。本明細書で用いられる「接触インターフェース」という用語は、「上側接触面」と「下側接触面」が互いに接触するインターフェースを指すものとする。本明細書で説明する上側接触面または下側接触面は、加工物の実際の表面を指すものであって、理想的な表面を指しているわけではない。したがって、「上側接触面」および「下側接触面」は各々、実際の表面の最大高さ(Rz)を表す「平坦度」を有し、「接触インターフェース」は、「上側接触面」および「下側接触面」のそれぞれの平坦度によって定められる間隙または隙間を含む場合がある。
【0026】
図5Aは、基板を収容する容器(300)を示し、特に、容器は、レチクルポッドであるのが良い。本発明の実施形態では、容器(300)は、レチクルポッドのための内側ポッド組立体としての役目を果たすのに適している。容器(300)は、基部(310)および蓋(320)を有する。基部(310)は、頂部水平面(311)および頂部水平面(311)を包囲している少なくとも第1の支持面(312)を有し、頂部水平面(311)は、基板(例えば、レチクル)を載せるのに適した平らな平面である。頂部水平面(311)は、複数の支持組立体(313)をさらに有し、各支持組立体(313)は、基板の側面を制限するピラーおよび通常、2本のピラー相互間に設けられていて、基板の底面を支持するバンプ(図示せず)を含む。図5Aに示されているように、第1の支持面(312)は、頂部水平面(311)の周囲に隣接して位置する環状平面である。第1の支持面(312)は、蓋(320)の対応の表面に接触するようになった実質的に連続した上向きの表面である。
【0027】
蓋(320)は、第2の支持面(322)を有し、この第2の支持面は、基部(310)の頂部水平面(311)を包囲するとともに第1の支持面(312)に係合している。蓋(320)は、受け入れ空間を有し、この受け入れ空間は、頂部水平面(311)と一緒になって、基板を収容するための収容空間を構成している。係合を達成するための方法としては、上面と下面を接触させること、バンプおよび溝構造体を用いること、または2つの相補する構造体を互いに接合することが挙げられる。蓋(320)の他の視点は、本明細書には示されていないが、当業者であれば理解できるように、蓋(320)は、少なくとも、下方に延びる環状部を有し、基部(310)と蓋(320)を互いに接合すると、蓋(320)の下方に延びる環状部は、基部(310)に接触して基部の頂部水平面(311)を包囲し、他方、第2の支持面(322)は、環状部の下面である。一実施形態では、蓋(320)は、少なくとも1つのフィルタチャネル(321)および環状の形をした少なくとも1つの第2の支持面(322)を有するのが良い。第2の支持面(322)は、基部(310)の支持面(312)と合致するよう用いられている。第2の支持面(322)の輪郭は、第1の支持面(312)と実質的に一致し、第2の支持面(322)は、第1の支持面(312)の面積よりも僅かに大きいまたは小さい面積を有するのが良い。
【0028】
基部(310)が蓋(320)に係合すると、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)は、互いに接触することになる。図5Bに示されているように、基部(310)は、蓋(320)と接触状態にあり、図中の容器(300)の縁に沿う断面(CS1)が示すように、基部(310)と蓋(320)との間に形成された接触インターフェース(701)を見ることができる。目で見て言えば、接触インターフェース(701)は、直線を示している。しかしながら、図4に示されているように、機械加工中の低周波要因は、基部(310)の第1の支持面(312)および蓋(320)の第2の支持面(322)のそれぞれの撓みを生じさせることになる。したがって、断面(CS1)の図から示された接触インターフェース(701)は、事実、完全な直線ではない場合がある。撓んだ表面を備えた状態で効果的な封止をどのように行うかについて以下の段落において説明する。また、図5Bに示されているように、容器(300)を異なる位置で別の断面(CS2)から見たとき、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との他の関係を観察することができ、詳細は、以下の段落に提供される。
【0029】
図5Bの断面(CS2)が示すように、基部(310)の第1の支持面(312)と蓋(320)の第2の支持面(322)は、互いに異なる勾配を有するよう設計されるのが良い。一実施形態では、基部(310)の第1の支持面(312)および蓋(320)の第2の支持面(322)は、頂部水平面(311)に対して終始一貫した勾配を有する。例えば、第1の支持面(312)は、水平面であり、第2の支持面(322)もまた、図6Bおよび図6Cに示されているように水平面である。変形例として、別の実施形態では、第1の支持面(312)は、頂部水平面(311)の方向に下方に傾けられており、第2の支持面(322)もまた、図6Dおよび図6Eに示されているように同様に傾けられている。本発明の好ましい実施形態では、基部(310)と蓋(320)との間に有効封止を達成するため、第1の支持面(312)および第2の支持面(322)は各々、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)が互いに接触状態にあるときに第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間にハーメチックシールを形成するよう0.04ミリメートル(mm)未満の平坦度を有する。好ましくは、平坦度は、1ミクロン(μm)から0.04mmまでの範囲にある。平坦度を公知の方法で測定することができ、これについてはここでは繰り返さない。
【0030】
本発明の実施形態では、第1の支持面(312)および第2の支持面(322)のそれぞれの平坦度を調整することによって、基部(310)と蓋(320)との間の有効ハーメチックシールを得ることができる。基部(310)と蓋(320)との間の接触インターフェースのハーメチックシールが良好であればあるほど、容器の内側と外側との間の圧力差がそれだけ一層大きくなり、これを気体送り戻しプロセス中に行うことができ、この気体送り戻しプロセスでは、フィルタチャネルが閉鎖された状態で容器を真空環境内に配置する。また、良好なハーメチックシールにより、より多量の気体が気体送り戻しプロセス中に開かれているフィルタチャネルを通過することができる。具体的に言えば、各支持面の平坦度が1μmから0.04mmまでの範囲にありかつ基部(310)と蓋(320)との間に有効ハーメチックシールが達成された場合、容器(300)の周りの気体の体積は、真空状態から増大し始め、容器(300)の収容空間に入っている到来する気体の少なくとも90%が閉鎖されていない状態のフィルタチャネル(321)を通って入り、収容空間に入っている到来する気体の10%未満が第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間の隙間Gを通ってまたは他の窓隙間、すなわち、加圧ユニットなどに関連付けられた蓋(320)に設けられている隙間を通って入る。他の窓隙間および加圧ユニットに関連付けられた蓋(320)上の隙間に気密封止を促進するための封止リングが与えられている場合が多いので、収容空間に入っている到来する気体の10%未満が主として、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間の隙間Gを通って入る。
【0031】
第1の支持面(312)および第2の支持面(322)のそれぞれの平坦度により容器(300)の収容空間に入っている到来する気体の少なくとも90%が非閉鎖フィルタチャネル(321)を通って入ることができるかどうかを評価するため、本発明は、ここに、図10に示されているような試験方法を提供する。EUV暴露機械の気体交換チャンバ内の空所と見なされる場合のある空所(800)が提供される。空所(800)内の気体体積は、弁(801)を開くとともに他の弁(802)を閉じて気体供給量を調整することによって増大し始めることができる。弁(801)を閉じるとともに他の弁(802)を開いて気体供給量を調整することによって、空所(800)内に真空を得ることができる。本発明の試験方法は、容器(300)が空所(800)内に配置されたときに容器(300)の収容空間(Pinside)の圧力と空所(800)の圧力(Poutside)の差をモニタするよう同一の真空ポンプ/気体増加曲線‐制御弁(801,802)を用いる。収容空間内の真空が得られるとともに空所(800)内の気体体積が増大し始めたとき、圧力Pinsideは、圧力Poutsideよりも低い。空所(800)内の真空が得られたとき、圧力Pinsideは、圧力Poutsideよりも高い。
【0032】
フィルタチャネル(321)が閉鎖されていない場合、本発明の容器(300)が空所(800)内に配置されると、チャネル(321)は、容器(300)の収容空間の主要な流体通路となる。フィルタチャネル(321)が閉鎖された場合、本発明の容器(300)が空所(800)内に配置されると、容器(300)の収容空間と容器(300)の外部に位置する空間との間の主要な流体通路は、上述したように第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間の隙間Gとなる。注目されるべきこととして、他の窓隙間の周りおよび加圧ユニットに関連付けられた蓋(320)の他の間隙の周りに形成される流体通路を無視することができまたは制御可能でありかつ予測可能な影響を及ぼす要因と見なされる。本発明により提供される試験方法では、容器(300)をフィルタチャネル(321)が閉鎖されていない状態で空所(800)内に配置する。同一の真空ポンプ/気体増加曲線‐制御弁(801,802)を用いて圧力Pinsideと圧力Poutsideとの差をモニタする。この試験方法は、1秒当たりの気体のポンプ送り出し/充填を制御するとともに圧力の変化をモニタすることによって、圧力Pinsideと圧力Poutsideとの差が100Pa以上に達したどうかを判定するステップを含む。先ず最初に、空所(800)内の気体をポンプで送り出して真空を作り、圧力Poutsideが500Paに達する。次に、基部(310)を蓋(320)に係合させた状態で、気体を再び空所(800)中に送り戻す。圧力Pinsideと圧力Poutsideとの100Paを超える差を観察することができる場合、それにより、収容空間に入っている空気流の少なくとも90%が非閉鎖状態のフィルタチャネル(321)を通過し、収容空間に入っている空気流の10%未満が第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間の隙間(G)を通過する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、第1の支持面(312)および第2の支持面(322)の各々の平坦度が1μmから0.04mmまでの範囲にある場合、容器(300)内の気体体積は、真空状態から増加し始め、収容空間に入っている到来する気体の少なくとも90%が非閉鎖状態のフィルタチャネル(321)を通って入ることができまたはその代わりに、収容空間に入っている到来する気体の10%未満が第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間の隙間Gを入ることができる。本発明の別の実施形態では、好ましくは、第1の支持面(312)および第2の支持面(322)は各々、13nmから100nmまでの範囲にある表面粗さ(Sa)をさらに有する。かかる表面粗さは、基部(310)と蓋(320)との間の有効気密封止を促進することができ、さらに、それにより、本発明の容器(300)内の気体体積が真空状態から増加し始めると、収容空間に入っている到来する気体の少なくとも90%~95%が非閉鎖状態のフィルタチャネル(321)を通って入り、またはその代わりに、収容空間に入っている到来する気体の5%~10%未満が第1の支持面(312)と第2の支持面(322)と間の隙間Gを通って入るようになる。
【0034】
理解されるべきこととして、本発明では、有効気密封止は、第1の支持面(312)および第2の支持面(322)によって形成されるシールを通り抜ける気体が存在しないことを意味しているわけではない。これとは異なり、有効気密封止は、ある特定の環境において、本発明の容器(300)がある特定のプロセスまたは設備の要件を満たすために上述の要件で気密封止を達成することができるということを意味している。
【0035】
図6Aは、本発明の実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースの略図である。この実施形態では、環状接触インターフェース(701)が図5Aに示されている基部(310)と蓋(320)との間に形成され、接触インターフェース(701)は、基部(310)の頂部水平面(311)を包囲し、接触インターフェース(701)の下側接触面(第1の支持面(312))および上側接触面(第2の支持面(322))は、頂部水平面(311)と比較して同一の勾配を有する。接触インターフェース(701)は、図11Bの部分拡大図に示されているように隙間Gを有する。好ましくは、接触インターフェース(701)の隙間Gは、0.08mmを超えることはなく、したがって、本発明において説明している有効気密封止を実現することができる。加うるに、接触インターフェース(701)の上側接触面および下側接触面は各々、13nmから100nmまでの範囲にある表面粗さ(Sa)を有し、そして基部(310)と蓋(320)との間の有効気密封止を一層促進することができる。
【0036】
図6Bは、図6Aに示されているA‐A切断線に沿って取った基部(310)と蓋(320)との間の接触インターフェースを示す断面図である。図6Aに示されている実施形態に基づき、本発明の基部(310)は、図6C図6Eに示されているように互いに異なる具体化実施例を有することができる。接触インターフェース(701)は、頂部水平面(301)に平行であっても良くまたは頂部水平面(311)と比較して傾斜していても良い。一実施例では、本発明の基部(310)は、頂部水平面(311)を包囲した状態で形成された環状溝(700)を有し、その結果、環状溝(700)は、頂部水平面(311)と接触インターフェース(701)との間に位置決めされるようになっている。溝(700)は、接触インターフェース(701)の外部に位置する空間から隙間Gに入る微細な塵粒を捕捉するために使用され、その結果、微細な塵粒は、頂部水平面(311)に達する前に溝(700)の底部上に落下するようになっている。
【0037】
図7Aは、本発明の別の実施形態にかかる基部と蓋との間の接触インターフェースの略図である。この実施形態では、基部(310)の頂部水平面(311)を包囲する2つの環状接触インターフェース(701,702)が基部(310)と蓋(320)との間に形成されており、基部(310)は、2つの環状接触インターフェース(701,702)相互間に形成された環状溝(400)を有する。環状溝(400)の機能および作用効果は、図6C図6Eに示された環状溝(700)の機能および作用効果と同一である。この実施形態に関して図7Aに示されたB‐B切断線に基づき、本発明の基部(310)は、図7B図7Dに示されているよう互いに異なる具体化実施例を有することができる。接触インターフェース(701,702)の各々の下側接触面および上側接触面は、頂部水平面(311)と比較して同一の勾配を有する。例えば、図7Bに示されているように、接触インターフェース(701,702)および頂部水平面(311)は、同一の高さ位置にあり、図7Cに示されているように、接触インターフェース(701,702)は、頂部水平面(311)から見て異なる高さ位置にあり、粒子捕捉の機会を増大させるために環状溝(700)が接触インターフェース(702)と頂部水平面(311)との間に形成され、図7Dに示されているように、接触インターフェース(701,702)は、互いに異なる高さのところにあり、粒子捕捉の機会を増大させるために環状溝(700)が接触インターフェース(702)と頂部水平面(311)との間に形成されている。好ましくは、接触インターフェース(701,702)のうちの少なくとも一方の隙間Gは、0.08mmを超えず、その結果、本発明に係る有効気密封止を実現することができるようになっている。さらに、接触インターフェース(701,702)の上側接触面および下側接触面は各々、13nmから100nmまでの範囲にある表面粗さ(Sa)を有し、そして基部(310)と蓋(320)との間の有効気密封止をさらに促進することができる。
【0038】
図8Aは、本発明のさらに別の実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースの略図である。この実施形態では、基部(310)の頂部水平面(311)を包囲する2つの環状接触インターフェース(701,702)が基部(310)と蓋(320)との間に形成され、基部(310)は、互いに異なる高さ位置のところにある2つの環状接触インターフェース(701,702)相互間に形成された環状溝(400)を有する。環状溝(400)の機能および作用効果は、図6C図6Eに示された環状溝(700)の機能および作用効果と同一である。この実施形態に関して図8Aに示されたC‐C切断線に基づき、本発明の基部(310)は、図8B図8Dに示されているよう互いに異なる具体化例を有することができる。接触インターフェース(701,702)の各々の下側接触面および上側接触面は、頂部水平面(311)と比較して同一の勾配を有する。例えば、図8Bに示されているように、接触インターフェース(702)および頂部水平面(311)は、同一高さのところにあり、他方、接触インタフェース(701)は、頂部水平面(311)に平行でありかつこれとは異なる高さのところにある。そしてまた、図8Cに示されているように、接触インターフェース(701)は、頂部水平面(311)に平行でありかつこれとは異なる高さのところにあり、他方、接触インタフェース(702)は、頂部水平面(311)と比較して傾けられている。そしてまたさらに図8Dに示されているように、接触インターフェース(702)および頂部水平面(311)は、互いに異なる高さのところにあり、他方、接触インターフェース(701)は、頂部水平面(311)と比較して傾けられている。好ましくは、接触インターフェース(701,702)のうちの少なくとも一方の隙間Gは、0.08mmを超えることはなく、したがって、本発明において説明している有効気密封止を実現することができる。さらに、接触インターフェース(701,702)の上側接触面および下側接触面は各々、13nmから100nmまでの範囲にある表面粗さ(Sa)を有し、そして基部(310)と蓋(320)との間の有効気密封止を一層促進することができる。
【0039】
図9Aは、本発明のさらに別の実施形態に係る基部と蓋との間の接触インターフェースの略図である。この実施形態では、互いに連続して隣り合った3つの接触環状インターフェース(701,702,703)が基部(310)の頂部水平面(311)を包囲するよう基部(310)と蓋(320)との間に形成されている。この実施形態に関して図9Aに示されたD‐D切断線に基づき、基部(310)は、図9Bに示された構造を有するのが良く、基部(310)は、接触インターフェースの外部の空間から隙間Gに入る微細な塵粒を捕捉するよう頂部水平面(311)と接触インターフェース(703)との間に形成された環状溝(700)を有する。接触インターフェース(701,702,703)のそれぞれの各下側接触面および各上側接触面は、同一の勾配を有し、下側接触面および上側接触面の構造は、互いに相補している。好ましくは、接触インターフェース(701,702,703)のうちの少なくとも1つの接触インターフェースの隙間Gは、0.08mmを超えず、その結果、本発明に係る有効気密封止を実現することができるようになっている。さらに、接触インターフェース(701,702,703)の上側接触面および下側接触面は各々、13nmから100nmまでの範囲にある表面粗さ(Sa)を有し、そして基部(310)と蓋(320)との間の有効気密封止をさらに促進することができる。
【0040】
当業者であれば理解されるように、図6A図9Bに示された実施形態では、各第1の支持面(312)の構造は、各第2の支持面(322)の構造と合致するようになっている。このように、少なくとも1つまたは2つ以上の接触インターフェース(これらは、互いに異なる水平レベルまたは高さのところに位置していても良い)を達成することができ、さらに、それにより、蓋を基部に係合させたときに第1の支持面の全てが第2の支持面全てと接触状態にあるようになる。
【0041】
図11Aは、図5Bに示された断面(CS1)に基づく断面図であり、基部(310)と蓋(320)が互いに接合されたとき、それぞれの適正な平坦度を選択することによって有効ハーメチックシールを達成することができることを示している。図11Aが示すように、たとえ一層近くで観察した場合でも、基部(310)と蓋(320)は、撓みに起因して互いに全体的に接触状態にあるわけではない。すなわち、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)は、2つの端点のところで互いに接触することができるが、これらの各々は、中点の近くでは僅かに窪んだ部分を有するのが良く、その結果、撓みに起因して隙間が生じる。本発明の実施形態によれば、第1の支持面(312)および第2の支持面(322)が各々、例えば0.015mmの平坦度を有する場合、基部(310)および蓋(320)は、これらが互いに接合されている間、撓みに起因してこれらの間に隙間が存在する場合であっても、有効ハーメチックシールを依然として達成することができる。
【0042】
図11Bは、図5Bに示された断面(CS2)に基づく部分拡大略図であり、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)が接触状態にあるときの第1の支持面(312)および第2の支持面(322)を示している。機械加工中における低周波要因によって生じる波形に起因して、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間の接触インターフェースは、隙間Gを有する。理解されるべきこととして、上述の波形は、撓みとは異なっている。本発明にかかる平坦度調整は、たとえ容器内における波形または撓みに起因して隙間が生じる場合であっても、有効ハーメチックシールを達成することができる。図11Cもまた、図5Bに示された断面(CS2)に基づく略図であり、図11Cは、基部(310)の第1の支持面(312)および蓋(320)の第2の支持面(322)のそれぞれの平坦度を示している。基部(310)の第1の支持面(312)の平坦度は、d1と表示され、蓋(320)の第2の支持面(322)の平坦度は、d2と表示される。基部(310)を蓋(320)に係合させると、第1の支持面(312)と第2の支持面(322)との間に形成される接触インターフェースは、可変隙間Gを有し、隙間Gは、d1+d2よりも小さくまたはこれに等しい。したがって、それぞれの平坦度が0.04mmである本発明の実施形態では、隙間Gは、0.08mmを超えることはなく、それにより有効ハーメチックシールを達成することができる。
【0043】
上述の実施形態に基づき、容器の基部と蓋との間のハーメチックシールが単に2つの表面相互間の接触、特に2つの金属表面相互間の接触によって達成され、他方、関連した表面の平坦度および/または粗さ(Sa)は、本発明において開示される技術的手段を用いて制限される。したがって、関連の表面相互間に形成されたハーメチックシールにより、容器の収容空間に入っている気体の少なくとも90%が蓋のフィルタチャネルを通って入ることができ、気体の10%未満が接触面相互間の隙間を通って入ることができる。かかるハーメチックシールは、ある特定の関連製造プロセスまたは環境では効果的でありかつ上首尾であると見なされる。
【符号の説明】
【0044】
110 内側ポッド組立体
120 上蓋
130 下蓋
140 加圧ユニット
150 外側ポッド組立体
160 基部
300 容器
310 基部
312 第1の支持面
313 支持組立体
320 蓋
321 フィルタチャネル
322 第2の支持面
700 環状溝
701 接触インターフェース
800 空所
801、802 制御弁
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C