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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011508
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】開閉扉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/16 20060101AFI20230117BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
E06B7/16 Z
E06B7/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099085
(22)【出願日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2021115291
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300063851
【氏名又は名称】ピンチブロック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】伊弉末 久
(72)【発明者】
【氏名】若林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴大
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA05
2E036AA08
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EC03
2E036HB01
(57)【要約】
【課題】遮音、遮光効果を高めることができる開閉扉構造を提供する。
【解決手段】開閉扉構造1Aは建物の出入り口3を規定する上枠41を含む枠体40と、出入り口3に設置された開閉扉1とを備えている。上枠41下面に、閉時の開閉扉1と平行に延びるとともに、上枠41下面と開閉扉1上面との間の空間35を密封する細長状覆い体10が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入り口の上部を規定する上枠と、
前記建物の出入り口に移動可能に設置された開閉扉とを備え、
前記上枠下面と前記開閉扉上面との間に空間が形成され、
前記上枠下面に、閉時の前記開閉扉と平行に延びるとともに、前記空間を密封する細長状覆い体が設けられている、開閉扉構造。
【請求項2】
前記覆い体は、前記上枠下面に固定された覆い体本体と、前記覆い体本体から前記開閉扉側へ延びかつ前記開閉扉に当接するとともに前記開閉扉と平行に延びる細長状の弾性部材とを有する、請求項1記載の開閉扉構造。
【請求項3】
前記覆い体本体は覆い体水平板と、前記覆い体水平板の一端から下方へ延びる覆い体垂直板とを有するとともにL字状断面を有し、
前記覆い体水平板は締結具により前記上枠下面に固定され、前記覆い体垂直板外面に前記弾性部材が固定され、前記覆い体水平板と前記覆い体垂直板との間に前記締結具を外方から隠す隠し板を設けた、請求項2記載の開閉扉構造。
【請求項4】
前記覆い体本体は覆い体水平板と、前記覆い体水平板から下方へ延びる一対の覆い体垂直板とを有するとともにコ字状断面を有し、
前記覆い体水平板は締結具により前記上枠下面に固定され、前記一対の覆い体垂直板の一方の外面に前記弾性部材が固定され、
前記一対の覆い体垂直板間に、前記締結具を外方から隠す隠し板を設けた、請求項2記載の開閉扉構造。
【請求項5】
前記隠し板は隠し板水平板と、前記隠し板水平板から上方へ延びる一対の隠し板垂直板とを有し、
前記隠し板垂直板の一方と、前記覆い体垂直板の一方との間で前記弾性部材が挟持される、請求項4記載の開閉扉構造。
【請求項6】
前記覆い体本体は樹脂製となり、前記隠し板は金属製となり、
前記弾性部材を挟持する一方の隠し板垂直板は、他方の隠し板垂直板より短くなっている、請求項5記載の開閉扉構造。
【請求項7】
前記覆い体本体と、前記隠し板とによって内部空間を有する矩形状断面が形成される、請求項3または4記載の開閉扉構造。
【請求項8】
前記弾性部材は、垂直方向に延びかつ前記覆い体本体に固定される固定部と、前記固定部から前記開閉扉側へ延びる延長部とを有し、全体として山形状断面を有する、請求項2記載の開閉扉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は遮音、遮光効果を有する開閉扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建物の出入り口に開閉扉が移動可能に設けられている。開閉扉の閉時において、出入り口の上部を規定する上枠と、開閉扉との間に空間が形成されることがあり、この空間から音や光が漏れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-105476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来より上枠と開閉扉との間から漏れる音や光を既設の開閉扉を利用し、汎用的な構造を用いて遮蔽することができる開閉扉構造は開発されていない。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、上枠と開閉扉との間から漏れる音や光を既設の開閉扉を利用し、汎用的な構造を用いて遮蔽することができる開閉扉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物の出入り口の上部を規定する上枠と、前記建物の出入り口に移動可能に設置された開閉扉とを備え、前記上枠下面と前記開閉扉上面との間に空間が形成され、前記上枠下面に、閉時の前記開閉扉と平行に延びるとともに、前記空間を密封する細長状覆い体が設けられている、開閉扉構造である。
【0007】
本開示は、前記覆い体は、前記上枠下面に固定された覆い体本体と、前記覆い体本体から前記開閉扉側へ延びかつ前記開閉扉に当接するとともに前記開閉扉と平行に延びる細長状の弾性部材とを有する、開閉扉構造である。
【0008】
本開示は、前記覆い体本体は覆い体水平板と、前記覆い体水平板の一端から下方へ延びる覆い体垂直板とを有するとともにL字状断面を有し、前記覆い体水平板は締結具により前記上枠下面に固定され、前記覆い体垂直板外面に前記弾性部材が固定され、前記覆い体水平板と前記覆い体垂直板との間に前記締結具を外方から隠す隠し板を設けた、開閉扉構造である。
【0009】
本開示は、前記覆い体本体は覆い体水平板と、前記覆い体水平板から下方へ延びる一対の覆い体垂直板とを有するとともにコ字状断面を有し、前記覆い体水平板は締結具により前記上枠下面に固定され、前記一対の覆い体垂直板の一方の外面に前記弾性部材が固定され、前記一対の覆い体垂直板間に、前記締結具を外方から隠す隠し板を設けた、開閉扉構造である。
【0010】
本開示は、前記隠し板は隠し板水平板と、前記隠し板水平板から上方へ延びる一対の隠し板垂直板とを有し、前記隠し板垂直板の一方と、前記覆い体垂直板の一方との間で前記弾性部材が挟持される、開閉扉構造である。
【0011】
本開示は、前記覆い体本体は樹脂製となり、前記隠し板は金属製となり、前記弾性部材を挟持する一方の隠し板垂直板は、他方の隠し板垂直板より短くなっている、開閉扉構造である。
【0012】
本開示は、前記覆い体本体と、前記隠し板とによって内部空間を有する矩形状断面が形成される、開閉扉構造である。
【0013】
本開示は、前記弾性部材は、垂直方向に延びかつ前記覆い体本体に固定される固定部と、前記固定部から前記開閉扉側へ延びる延長部とを有し、全体として山形状断面を有する、開閉扉構造である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本開示によれば、上枠と開閉扉との間から漏れる音や光を既設の開閉扉を利用し、汎用的な構造を用いて遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本開示による開閉扉構造の第1の実施の形態を示す断面図。
図2図2は覆い体を示す拡大断面図。
図3図3は覆い体の覆い体本体と隠し板を示す拡大断面図。
図4図4は開閉扉構造の覆い体の配置を示す平面図。
図5A図5Aは開閉扉構造を示す斜視図であって、便宜上ガイドレールから開閉扉を取り外した図。
図5B図5Bは上枠に取り付けられるガイドレールを示す断面図。
図5C図5Cは開閉扉を支持する上部吊り車を示す斜視図。
図5D図5Dは開閉扉に設けられた溝状レールを示す断面図。
図5E図5Eは床面に設けられたガイド突起を示す斜視図。
図6図6は開閉扉構造を示す全体概略図。
図7図7は本開示による開閉扉構造の第2の実施の形態を示す覆い体の拡大断面図。
図8図8は覆い体の覆い体本体を示す拡大断面図。
図9図9は覆い体の隠し板を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施の形態>
本開示による開閉扉構造の第1の実施の形態について以下、図1乃至図6により説明する。
【0017】
まず開閉扉構造1Aの全体について図6により説明する。
【0018】
図6に示すように、開閉扉構造は建物の出入り口3を規定する枠体40と、出入り口3に移動可能に設置された開閉扉1とを備えている。
【0019】
このうち枠体40は出入り口3の上部を規定する上枠41と、上枠41の両端部から垂直方向へ降下する縦枠42とを有する。
【0020】
また開閉扉1は上枠41内に設けられたガイドレール30に支持されて走行する引き戸となっており、この開閉扉1には取っ手2が取り付けられている。
【0021】
本実施の形態において、ガイドレール30は上枠41内に埋設されている。このようなガイドレール30は、図1に示すように、リップ付き溝形鋼で構成されている。すなわちガイドレール30は、図1図5Aおよび図5Bに示すように、水平方向に延びるウェブ部30aと、ウェブ部30aの両端からウェブ部30aと直交する垂直方向に延びるフランジ部30bと、フランジ部30bの先端からウェブ部30aと平行に延びるリップ部30cとを有し、対向するリップ部30c間には開口部30dが形成されている。ガイドレール30は、その開口部30dを下方に向けて建物の出入り口3の上部を規定する上枠41内に埋設されている。
【0022】
そしてガイドレール30のリップ部30c上面に、後述する上部吊り車20の車輪23が走行する。
【0023】
また開閉扉1は枠体と表面材により形成されたフラッシュ構造であって、枠体及び表面材により囲まれた内部空間には遮音材が充填されている。
【0024】
本明細書において、「上方」、「下方」、「水平方向」あるいは「垂直方向」とは本実施の形態による開閉扉構造1Aを図6のように設置した場合における、「上方」、「下方」、「水平方向」あるいは「垂直方向」をいう。とりわけ「垂直方向」あるいは「垂直」とは水平方向に対する「垂直方向」あるいは「垂直」をいい、「鉛直方向」あるいは「鉛直」と同意義である。
【0025】
ところで図6に示すように枠体40の縦枠42内には、袖壁5が設けられ、建物の出入り口3は、上枠41により上部が規定され、一方の縦枠42と、袖壁5とにより側部が規定される。
【0026】
そして建物の出入り口3に設置された開閉扉1は、ガイドレール30に支持されて水平方向に移動可能となっている。
【0027】
この場合、図5Aに示すように、開閉扉1の上部両端部には、切り欠き31が設けられ、この切り欠き31内に開閉扉1を吊り下げて支持する一対の上述した上部吊り車20が取り付けられている。
【0028】
このように、開閉扉1の上部両端部に一対の上部吊り車20が取り付けられているが、この上部吊り車20は開閉扉1の切り欠き31内に固定される固定体21と、固定体21から上部へ延びる連結体22と、連結体22に連結された支持体24と、この支持体24に回転自在に支持された二対の車輪23,23とを有する(図1図5Aおよび図5C参照)。
【0029】
そして上部吊り車20の支持体24はガイドレール30内に収納され、各車輪23は、ガイドレール30のリップ部30c上面を走行する。このことにより開閉扉1は、一対の上部吊り車20を介してガイドレール30により吊り下げられて支持されるとともに、ガイドレール30に沿って走行可能となる。
【0030】
ところで一対の上部吊り車20のうち固定体21は、開閉扉1の切り欠き31内に装着された後、取り付けビス28により開閉扉1に固定される(図1参照)。また固定体21には連結体22、支持体24および車輪23に対して固定体21を図1において、走行方向に対して直交する左右方向へ移動させる左右方向調整具27aと、連結体22、支持体24および車輪23に対して固定体21図1において上下方向へ移動させる上下方向調整具27bとが各々設けられている。
【0031】
開閉扉1と袖壁5との間の間隔が狭すぎたり、あるいは逆に拡すぎたりした場合に、一対の上部吊り車20の左右方向調整具27aを回動させて、この開閉扉1と袖壁5との間間隔を調整することができる。
【0032】
また、開閉扉1が開閉扉1の走行方向に沿って床面Fおよび上枠41に対して傾斜している場合に、一対の上部吊り車20の上下方向調整具27bを回動させてこの傾斜をなくすよう調整することができる。具体的には、一方の上部吊り車20側の開閉扉1を持ちあげ、他方の上部吊り車20側の開閉扉1を降下させ、開閉扉1を床面Fおよび上枠41に対して傾くことなく、水平に保つことができる。
【0033】
さらにまた、図5Aおよび図5Dに示すように、開閉扉1の下方には、開閉扉1に沿って、溝状レール32が設けられている。
【0034】
他方、床面Fには、図5Aおよび図5Eに示すように、開閉扉1の溝状レール32に係合して、開閉扉1が走行中に走行方向に対して直交する左右方向へ振れることを防止するためのガイド突起33が設けられている。このガイド突起33は、床面Fのうち、開閉扉1が閉となった状態で開閉扉1下部の袖壁5側端部に、一箇所設けられている。このガイド突起33は、床面Fに固定される固定板33bと、固定板33bから上方へ延びて床面Fから突出し、開閉扉1の溝状レール32内に係合する突起33aとを有している。ガイド突起33は開閉扉1の閉時および開時のいずれの場合も、開閉扉1の溝状レール32内に収納されて、外方へ表われることはない。
【0035】
上述のように、開閉扉1はガイドレール30により支持されながら、ガイドレール30に沿って走行する。そして閉時には開閉扉1は出入り口3を閉鎖し、開時には開閉扉1は出入り口3を開くとともに、袖壁5と平行に並んで配置される(図6参照)。
【0036】
また、本実施の形態において、図1乃至図4に示すように枠体40の上枠41下面に、更に閉時の開閉扉1と平行に延びる細長状の覆い体10が取り付けられている(図4参照)。
【0037】
上述のように開閉扉1は一対の上部吊り車20を介してガイドレール30に吊り下げられており、上枠41下面と開閉扉1上面との間に空間35が形成され、この空間35には一対の上部吊り車20の連結体22のみが配置されている。従って開閉扉1を閉鎖しても上枠41下面と開閉扉1上面との間の空間35を介して音や光が漏れることが考えられる。
【0038】
上記した細長状の覆い体10はこの上枠41下面と開閉扉1上面との間の空間35を介して漏れる音や光を遮蔽して遮音、遮光するものである。
【0039】
具体的には、平面上細長状の覆い体10は閉時の開閉扉1と平行に延びるとともに、袖壁5の延長線上に配置されている(図4参照)。図4に示すように、閉時の開閉扉1と袖壁5は重なり長さLをもってわずかに重なり合い、覆い体10はこの袖壁5の延長線上にある。
【0040】
このような覆い体10は、図1乃至図3に示すように、上枠41の下面に固定された覆い体本体11と、覆い体本体11から開閉扉1側へ延び、かつ開閉扉1に当接する弾性部材15とを有している。この弾性部材15は、開閉扉1と平行に延びる細長状となっている。
【0041】
ここで覆い体本体11は図1乃至図3に示すように、覆い体水平板11aと、覆い体水平板11aの左端から下方へ延びる覆い体垂直板11bとを含むL字状断面を有する。そして覆い体水平板11aは取り付けビス(締結具)18により上枠41下面に固定されている。また覆い体垂直板11bの外面に弾性部材15が固定されている。そしてL字状断面をもつ覆い体本体11の覆い体水平板11aと覆い体垂直板11bとの間に、取り付けビス18を外方から隠すための隠し板13が取り付けられている。
【0042】
本実施の形態において、図1乃至図3に示すように、隠し板13は隠し板水平板13aと、隠し板水平板13aの右端から上方へ延びる隠し板垂直板13bと、隠し板水平板13aの左端から上方へ延びる延長板13cとを有する。
【0043】
そして覆い体本体11の覆い体水平板11aの係合部12aと、隠し板13の隠し板垂直板13bの係止部14aとが係合し、覆い体本体11の覆い体垂直板11bの係合部12bと、隠し板13の延長板13cの係止部14bとが係合し、このようにして覆い体本体11に対して隠し板13が取り付けられて取り付けビス18が隠し板13により隠される。また、覆い体本体11と隠し板13とにより内部空間36を有する矩形状断面が形成される。
【0044】
また弾性部材15は垂直方向に延びて覆い体本体11の覆い体垂直板11bに接着剤15dを介して固着される固定部15aと、固定部15aの上端から開閉扉1側へ延びる延長部15bとを有し、延長部15bの先端に開閉扉1に当接する当接部15cが設けられている。なお、接着剤15dの代わりに両面テープを用いて覆い体本体11の覆い体垂直板11bに、弾性部材15の固定部15aを固着してもよい。
【0045】
このような構成からなる弾性部材15は全体として山形状断面を有する。
【0046】
ところで覆い体本体11の覆い体水平板11aには、取り付けビス18が貫通する貫通孔19が形成され、この貫通孔19は開閉扉1の走行方向に直交する方向(図1の左右方向)を長手方向とする長穴状に形成されている。このため覆い体10を図1の左右方向に移動させることにより、覆い体10と開閉扉1との間の間隔を調整して、弾性部材15を開閉扉1に適切な状態で当接させることができる。
【0047】
次に覆い体10の各構成部材の材料について述べる。覆い体10の覆い体本体11と隠し板13は、いずれも硬質樹脂製、またはアルミニウム製となっており、弾性部材15はゴム製または軟質樹脂製となっている。また、弾性部材15のうち開閉扉1に当接する当接部15cには、短繊維による植毛加工、又は滑りやすいコーティング加工がなされており、当接部15cと開閉扉1との間で摺動した際の抵抗を緩和させる配慮がなされている。また上下方向調整具27bを回転させ開閉扉1を上下方向へ移動させるか、または左右方向調整具27aを回転させ開閉扉1を左右方向に移動させたとしても、弾性部材15は常に開閉扉1に当接する。具体的には、弾性部材15は、開閉扉1を下限まで移動させても、弾性部材15は開閉扉1から外れることなく開閉扉1に当接し、開閉扉1を左方限まで移動させても、弾性部材15は開閉扉1から外れることはなく、開閉扉1に当接するよう構成されている(図1参照)。
【0048】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0049】
まず、上枠41のガイドレール30に上部吊り車20を介して既設の開閉扉1が吊り下げられた状態で配置され、この既設の開閉扉1がガイドレール30に沿って走行可能となっている。
【0050】
次に上枠41の下面に、閉時の既設の開閉扉と平行に延びるとともに、上枠41と開閉扉1との間の空間35を密封する細長状覆い体10を設置する。
【0051】
この場合、まず覆い体本体11と隠し板13とを準備する(図3参照)。次に覆い体本体11から隠し板13を取り外す。この際、覆い体水平板11aの係合部12a上部の溝12cにマイナスドライバ(図示せず)の先端を差し込む。次にこのマイナスドライバーの持ち手を下方に押し下げ、マイナスドライバーを隠し板13の係止部14aに引っ掛けた後、係止部14aを図3の右下方向へ押し下げる。このようにして、覆い体水平板11aの係合部12aと隠し板垂直板13bの係止部14aとの間の係合を容易に解除することができる。その後、覆い体本体11の覆い体垂直板11b外面に接着剤15d(または両面テープ)を用いて弾性部材15の固定部15aを固定する。その後、覆い体本体11を上枠41の下面に取り付けビス18を用いて取り付ける(図2参照)。覆い体本体11を上枠41の下面に取り付ける際、取り付けビス18を長穴状の貫通孔19内の所望位置に配置することにより、覆い体10と開閉扉1との間の間隔を調整することができ、このことにより弾性部材15を開閉扉1に適切な状態で当接させることができる。
【0052】
次に覆い体本体11に隠し板13を取り付ける。この場合、まず、覆い体本体11の覆い体垂直板11bの係合部12bと、隠し板13の延長板13cの係止部14bとを係合させる。次に、覆い体本体11の覆い体水平板11aの係合部12aと、隠し板13の隠し板垂直板13bの係止部14aとを係合させる。この際、弾性部材15の固定部15aは覆い体本体11の覆い体垂直板11bと隠し板13の延長板13cとの間で挟持されて保持される。
【0053】
このようにして上枠41下面に上枠41と開閉扉1との間の空間35を密封する細長状覆い体10を設置することができる。
【0054】
この際、細長状覆い体10は閉時の開閉扉1と平行の延び、上枠41下面と閉時の開閉扉1上面との間の空間35を密封する。
【0055】
開閉扉1を閉とした場合、細長状覆い体10は開閉扉1と平行に延びるとともに、平面上、開閉扉1の走行方向長さL1と略同一の長さをもつ(図4参照)。
【0056】
このため細長状覆い体10はその弾性部材15を介して、開閉扉1の走行方向全域に渡って開閉扉1と当接することになる。このため閉時の開閉扉1について、上枠41下面と開閉扉1上面との間の空間35を細長状覆い体10により確実に密封することができる。
【0057】
以上のように本実施の形態によれば、開閉扉を閉とした際、上枠41下面と開閉扉1上面との間の空間35を細長状覆い体10により確実に密封することができ、このことにより上枠41下面と開閉扉1上面との間の空間35から音や光が漏れることを防止できる。
【0058】
また細長状覆い体10は上枠41下面に取り付けビス18により取り付けることができ、このため既設の開閉扉1をそのまま使用しながら、容易かつ簡単に遮音、遮光効果をもった開閉扉構造1Aを設置することができる。
【0059】
さらに覆い体10の覆い体本体11に設けられた貫通孔19は長穴状をもつため、取り付けビス18を貫通孔19内で移動させることにより、覆い体10と開閉扉1との間の間隔を調整することができる。このことにより開閉扉1の走行方向に沿う全域において覆い体10の弾性部材15を開閉扉1に適切な位置で当接させることができ、開閉扉構造1Aの遮音、遮光効果をより高めることができる。
【0060】
さらに覆い体10の弾性部材15はゴム等の弾性材料からなるので、弾性部材15を開閉扉1に対して一定の弾性力をもって当接させることができ、弾性部材15と開閉扉1との間の密封性を高めることができる。
【0061】
また覆い体本体11に設けられた取り付けビス18は隠し板13により隠されるため、取り付けビス18が外方に表われることはなく、開閉扉構造1Aの意匠性を高めることができる。
【0062】
<第2の実施の形態>
次に本開示による開閉扉の第2の実施の形態について、図7乃至図9により説明する。
【0063】
図7乃至図9に示す第2の実施の形態は、覆い体10の構成が異なるのみであり、他の構成は図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0064】
図7乃至図9に示す第2の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
第2の実施の形態において、覆い体10は、図7乃至図9に示すように、上枠41の下面に固定された覆い体本体51と、覆い体本体51から開閉扉1側へ延び、かつ開閉扉1に当接する弾性部材15とを有している。
【0066】
ここで覆い体本体51は、図7乃至図9に示すように、覆い体水平板51aと、覆い体水平板51aの左端および右端から下方へ延びる一対の覆い体垂直板51b,51cとを有し、覆い体本体51はコ字状断面を有する。そして覆い体水平板51aは取り付けビス(締結具)18により上枠41下面に固定されている。
【0067】
また一対の覆い体垂直板51b,51cのうち一方、すなわち開閉扉1側の覆い体垂直板51bの外面に弾性部材15が固定されている。そしてコ字状断面をもつ覆い体本体51の覆い体垂直板51b,51cに、取り付けビス18を外方から隠すための隠し板53が取り付けられている。
【0068】
本実施の形態において、図7乃至図9に示すように、隠し板53は隠し板水平板53aと、隠し板水平板53aの左端および右端から上方へ延びる一対の隠し板垂直板53b,53cを有する。
【0069】
そして覆い体本体51の一対の覆い体垂直板51b,51cの外面に、隠し板53の一対の隠し板垂直板53b,53cを嵌め込む。この場合、覆い体本体51の覆い体垂直板51bの係合部52bに隠し板53の隠し板垂直板53bの係合部54bが係合し、覆い体垂直板51cの係合部52cに隠し板53の隠し板垂直板53cの係合部54cが係合する。このようにして覆い体本体51に対して隠し板53が取り付けられて取り付けビス18が隠し板53により隠される。また覆い体本体51と隠し板53とにより、内部空間36を有する矩形断面が形成される。
【0070】
また弾性部材15は垂直方向に延びて覆い体本体51の覆い体垂直板51bに接着剤15dを介して固着される固定部15aと、固定部15aの上端から開閉扉1側へ延びる延長部15bとを有し、延長部15bの先端に開閉扉1に当接する当接部15cが設けられている。なお、接着剤15dの代わりに両面テープを用いて覆い体本体51の覆い体垂直板51bに、弾性部材15の固定部15aを固着してもよい。
【0071】
このような構成からなる弾性部材15は全体として山形状断面を有する。
【0072】
ところで覆い体本体51の覆い体水平板51aには、取り付けビス18が貫通する貫通孔19が形成され、この貫通孔19は開閉扉1の走行方向に直交する方向(図7の左右方向)を長手方向とする長穴状に形成されている。このため覆い体10を図7の左右方向に移動させることにより、覆い体10と開閉扉1との間の間隔を調整して、弾性部材15を開閉扉1に適切な状態で当接させることができる。
【0073】
次に覆い体10の各構成部材の材料について述べる。覆い体10の覆い体本体51と隠し板53は、いずれも硬質樹脂製、またはアルミニウム製となっている。好ましくは、覆い体本体51は硬質樹脂製となっており、隠し板53はアルミニウム製となっている。また、弾性部材15はゴム製または軟質樹脂製となっている。また、弾性部材15のうち開閉扉1に当接する当接部15cには、短繊維による植毛加工、又は滑りやすいコーティング加工がなされており、当接部15cと開閉扉1との間で摺動した際の抵抗を緩和させる配慮がなされている。また上下方向調整具27bを回転させ開閉扉1を上下方向へ移動させるか、または左右方向調整具27aを回転させ開閉扉1を左右方向に移動させたとしても、弾性部材15は常に開閉扉1に当接する。具体的には、弾性部材15は、開閉扉1を下限まで移動させても、弾性部材15は開閉扉1から外れることなく開閉扉1に当接し、開閉扉1を左方限まで移動させても、弾性部材15は開閉扉1から外れることはなく、開閉扉1に当接するよう構成されている(図1参照)。
【0074】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0075】
まず、上枠41のガイドレール30に上部吊り車20を介して既設の開閉扉1が吊り下げられた状態で配置され、この既設の開閉扉1がガイドレール30に沿って走行可能となっている。
【0076】
次に上枠41の下面に、閉時の既設の開閉扉と平行に延びるとともに、上枠41と開閉扉1との間の空間35を密封する細長状覆い体10を設置する。
【0077】
この場合、まず覆い体本体51と隠し板53とを準備する(図7参照)。次に覆い体本体51から隠し板53を取り外す。この際、覆い体本体51に対して隠し板53を下方へ引き抜く。このようにして、覆い体垂直板51bの係合部52bと、隠し板垂直板53bの係合部54bとの係合を解除する。同時に覆い体垂直板51cの係合部52cと隠し板垂直板53cの係合部54cとの係合を解除する。その後、覆い体本体51の覆い体垂直板51b外面に接着剤15d(または両面テープ)を用いて弾性部材15の固定部15aを固定する。その後、覆い体本体51を上枠41の下面に取り付けビス18を用いて取り付ける(図7参照)。覆い体本体51を上枠41の下面に取り付ける際、取り付けビス18を長穴状の貫通孔19内の所望位置に配置することにより、覆い体10と開閉扉1との間の間隔を調整することができ、このことにより弾性部材15を開閉扉1に適切な状態で当接させることができる。
【0078】
次に覆い体本体51に隠し板53を取り付ける。この場合、まず覆い体本体51の一対の覆い体垂直板51b,51c外面に隠し板53の一対の隠し板垂直板53b,53cを嵌め込む。この際、覆い体垂直板51cの外面に上方へ向かって外方へ傾斜する傾斜面51c1が形成されているため、覆い体垂直板51cの外面に沿って、隠し板垂直板53cをスムーズに嵌め込むことができる。
【0079】
このように覆い体本体51の一対の覆い体垂直板51b,51cの外面に隠し板53の一対の隠し板垂直板53b,53cを嵌め込んだ後、覆い体垂直板51bの係合部52bと隠し板垂直板53bの係合部54bが係合する。同時に覆い体垂直板51cの係合部52cと隠し板垂直板53cの係合部54cとが係合する。このようにして覆い体本体51に隠し板53を確実に取り付けることができる。
【0080】
この際、弾性部材15の固定部15aは覆い体本体51の覆い体垂直板51bと隠し板53の隠し板垂直板53bとの間で挟持されて保持される。
【0081】
図7乃至図9に示すように、覆い体本体51の覆い体垂直板51bと覆い体垂直板51cの垂直方向長さは略同一となっている。他方、隠し板53の隠し板垂直板53bの垂直方向長さは、覆い体垂直板51bの半分以下となっている。また隠し板垂直板53cの垂直方向長さは、覆い体垂直板51cの垂直方向長さと略同一となっている。このように隠し板垂直板53bの垂直方向長さは比較的短くなっており、このため、隠し板垂直板53bが弾性部材15と干渉することなく、弾性部材15の延長部15bを開閉扉1側へ確実に延ばすことができる。
【0082】
他方、隠し板垂直板53cの垂直方向長さを比較的長くとることができ、このことにより、アルミニウム製の隠し板53の隠し板垂直板53cにより、覆い体10の内部空間36を外方から確実に覆うことができる。
【0083】
上述のように、覆い体本体51は硬質樹脂からなり、隠し板53はアルミニウム製となっている。そして、硬質樹脂からなる覆い体本体51の覆い体垂直板51cの垂直方向長さをアルミニウム製の隠し板53の隠し板垂直板53cの垂直方向長さと略同一とすることにより、アルミニウム製の隠し板垂直板53cから加わる外力を比較的長い垂直方向長さをもつ硬質樹脂製の覆い体垂直板51cにより確実に支えることができる。
【0084】
このようにして上枠41下面に上枠41と開閉扉1との間の空間35を密封する細長状覆い体10を設置することができる。
【0085】
この際、細長状覆い体10は閉時の開閉扉1と平行の延び、上枠41下面と閉時の開閉扉1上面との間の空間35を密封する。
【符号の説明】
【0086】
1 開閉扉
1A 開閉扉構造
2 取っ手
3 出入り口
5 袖壁
10 覆い体
11 覆い体本体
11a 覆い体水平板
11b 覆い体垂直板
13 隠し板
13a 隠し板水平板
13b 隠し板垂直板
13c 延長板
15 弾性部材
15a 固定部
15b 延長部
15c 当接部
15d 接着剤
18 取り付けビス
19 貫通孔
20 上部吊り車
23 車輪
24 支持体
30 ガイドレール
35 空間
36 内部空間
40 枠体
41 上枠
42 縦枠
51 覆い体本体
51a 覆い体水平板
51b 覆い体垂直板
51c 覆い体垂直板
52b 係合部
52c 係合部
53 隠し板
53a 隠し板水平板
53b 隠し板垂直板
53c 隠し板垂直板
54b 係合部
54c 係合部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9