(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011515
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】ロック可能なキャビネットシステムおよびそのためのロックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E05B 65/00 20060101AFI20230117BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20230117BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
E05B65/00 N
F25D23/02 301C
E05B47/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103660
(22)【出願日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】17/373,402
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522044777
【氏名又は名称】トゥルー マニュファクチャリング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】True Manufacturing Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】2001 E Terra Lane, O’Fallon, MO 63366 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーニエ, クリストファー
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KB01
3L102KB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】閉位置のドアと連携する任意の壁部に配置可能なロックアセンブリを提供する。
【解決手段】ロックアセンブリ110は、ロックアセンブリの残部をキャビティ36内で支持するように構成されたベースを備える。ベースは、広くは、ロックアセンブリ110をキャビティ36内に取り付けるように構成される。ベースは、内端壁と、内端壁の3つの側面に沿って延びる周縁フランジとを有する。ベースは、内端壁がキャビティ36の内側端に沿って、あるいは内側端上を延びるよう、キャビネットのヒンジなし側壁30に固定されるように構成される。ベースは、高粘着両面テープによって側壁30に取り付けられる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック可能なキャビネットシステムのためのロックアセンブリであって、
前記キャビネットシステムに取り付けられるように構成されるベースと、
前記温度制御キャビネットシステムをロックおよびロック解除するよう選択的に駆動されるように構成される電子ロックと、
を備え、
前記電子ロックは、複数の離間した位置において、前記ベースに対して解除可能に取り付けられ得る、ロックアセンブリ。
【請求項2】
前記複数の離間した位置は、第1軸に沿って離間した複数の位置と、前記第1軸と直交する第2軸に沿って離間した複数の位置と、を含む、請求項1に記載のロックアセンブリ。
【請求項3】
前記電子ロックは、前記第1軸に沿った第1端位置から前記第1軸に沿った第2端位置まで延びる前記第1軸に沿った位置範囲を有し、
前記電子ロックは、前記第2軸に沿った第1端位置から前記第2軸に沿った第2端位置まで延びる前記第2軸に沿った位置範囲を有する、請求項2に記載のロックアセンブリ。
【請求項4】
前記電子ロックは、(i)前記第1軸に沿った前記位置範囲と、(ii)前記第2軸に沿った前記位置範囲とにおける任意の位置において、前記ベースに解除可能に取り付けられ得る、請求項3に記載のロックアセンブリ。
【請求項5】
前記第1軸に沿った前記位置範囲は、少なくとも0.25インチであり、
前記第2軸に沿った前記位置範囲は、少なくとも0.25インチである、、請求項3に記載のロックアセンブリ。
【請求項6】
前記ベースに関する第1軸に沿った複数の離間した位置において、前記ベースに対して解除可能に取り付けられ得る支持ブラケットをさらに備え、
前記電子ロックは、前記支持ブラケットに関する第2軸に沿った複数の離間した位置において、前記支持ブラケットに対して解除可能に取り付けられ得、
前記第2軸は、前記第1軸と直交する、請求項1に記載のロックアセンブリ。
【請求項7】
ロック可能なキャビネットシステムのためのロックアセンブリであって、
前記キャビネットシステムに取り付けられるように構成されるベースと、
前記ベース上に支持される電子ロックであって、前記電子ロックが前記キャビネットシステムをロックするように構成されるロック設定と、前記電子ロックが前記キャビネットシステムをロック解除するように構成されるロック解除設定との間で調節するよう電気的に駆動されるように構成され、前記電子ロックは、電気的駆動とは独立して前記ベースに対して可動でありかつ前記ロック設定にある前記電子ロックを無効化することで前記キャビネットシステムをロック解除する機械的な解除トグルを有する、電子ロックと、
前記ベース上に支持され、通常位置と解除位置との間で前記ベースに対して可動な一体型の解除バーであって、前記解除バーが前記通常位置から前記解除位置に動くときに、前記電子ロックを無効化するように前記ベースに対して前記可動トグルを動かすように構成される、一体型の解除バーと、
前記解除バーに接続され、それぞれが独立して、前記解除バーを前記通常位置から前記解除位置へ動かし得る第1および第2電子ロック無効化装置と、
を備える、ロックアセンブリ。
【請求項8】
前記第1電子ロック無効化装置は、前記キャビネットシステムの外部から、ロック位置とロック解除位置との間で調節可能なカムロックを有し、
前記カムロックは、前記カムロックが前記ロック位置から前記ロック解除位置へ動くときに、前記通常位置から前記解除位置へと前記ベースに対して前記解除バーを動かすように構成される、請求項7に記載のロックアセンブリ。
【請求項9】
前記第2電子ロック無効化装置は、前記キャビネットシステムの内部から駆動可能であって、前記通常位置から前記解除位置へと前記ベースに対して前記解除バーを動かす、内部アクセス可能な緊急解除部を有する、請求項8に記載のロックアセンブリ。
【請求項10】
前記緊急解除部は、前記解除バーに取り付けられた引張りケーブルを含む、請求項9に記載のロックアセンブリ。
【請求項11】
前記カムロックは、前記解除バーに係合するように構成される回転可能なカムを含む、請求項8に記載のロックアセンブリ。
【請求項12】
前記ベースは、前記キャビネットシステムの壁部に形成されたキャビティにおいて前記キャビネットシステムに取り付けられるように構成され、
前記ロックアセンブリは、前記キャビティを覆うように構成される取り外し可能なカバーをさらに備える、請求項11に記載のロックアセンブリ。
【請求項13】
前記カムロックは、前記取り外し可能なカバーに固定されている、請求項12に記載のロックアセンブリ。
【請求項14】
開口を有する保持プレートをさらに備え、
前記カムロックは、前記回転可能なカムと前記カバーとが前記保持プレートの両側に離れるように、前記カバーから前記開口を通って延びている、請求項13に記載のロックアセンブリ。
【請求項15】
前記カムロックが前記ロック位置にある場合、前記カムは、前記保持プレートに干渉する向きになり、前記開口を介して前記カムロックが引っ込められるのを阻止する、請求項14に記載のロックアセンブリ。
【請求項16】
キャビネットシステムのためのロックアセンブリであって、
前記キャビネットシステムの断熱壁部に形成されたキャビティ内に前記ロックアセンブリを取り付けるように構成されるベースを備え、
前記キャビティは、前記キャビネットシステムの内部に臨む閉じた内側端と、前記断熱壁部の壁厚さに沿って前記閉じた内側端から離間した開いた外側端と、を有し、
前記開いた外側端は、前記キャビネットシステムの外部に開放しており、
前記キャビネットシステムをロックおよびロック解除するよう選択的に駆動されるように構成される電子ロックをさらに備え、
前記電子ロックは、前記電子ロックが前記キャビティの前記閉じた内側端からギャップを介して離間するように、前記ベース上に支持される、ロックアセンブリ。
【請求項17】
前記ギャップは、前記断熱壁部の壁厚さに沿って、少なくとも0.25インチの寸法を有する、請求項16に記載のロックアセンブリ。
【請求項18】
前記ベースは、前記キャビティの前記閉じた内側端に沿った内端壁を有し、
前記ギャップは、前記電子ロックと前記内端壁との間を延びている、請求項16に記載のロックアセンブリ。
【請求項19】
前記ギャップ内に加熱装置をさらに備える、請求項16に記載のロックアセンブリ。
【請求項20】
キャビネットシステムのためのロックアセンブリであって、
前記キャビネットシステムの壁部に形成されたキャビティ内に前記ロックアセンブリを取り付けるように構成されるベースと、
前記ベース上に支持される電子ロックであって、前記電子ロックが前記キャビネットシステムをロックするように構成されるロック設定と、前記電子ロックが前記キャビネットシステムをロック解除するように構成されるロック解除設定との間で調節するよう電気的に駆動されるように構成される電子ロックと、
前記電子ロックに解除可能に接続して前記キャビティ内の前記電子ロックを覆うように構成されるカバーと、
前記電子ロックから独立してロック位置とロック解除位置との間で動き得る外部調節可能なカムロックであって、前記ロック解除位置において前記電子ロックを無効化して前記キャビネットシステムをロック解除するように構成されると共に、前記ロック位置において前記カバーの取り外しを阻止する一方、前記ロック解除位置において前記カバーの取り外しを許容するように構成されるカムロックと、
を備える、ロックアセンブリ。
【請求項21】
開口を有する保持プレートをさらに備える、請求項20に記載のロックアセンブリ。
【請求項22】
前記カムロックは、カムを有し、かつ前記開口を通って前記カバーから前記カムまで延びており、
前記カムは、前記カムロックが前記ロック位置にある場合、前記開口を介して前記カムロックが引っ込められるのを阻止するよう、前記保持プレートに前記カムロックを留めるように構成されると共に、前記カムロックが前記ロック解除位置にある場合、前記開口を介して前記カムロックが引っ込められるのを許容するよう、前記保持プレートから前記カムロックを外すように構成される、請求項21に記載のロックアセンブリ。
【請求項23】
前記保持プレートに前記カバーを解除可能に固定する締結具をさらに備える、請求項21に記載のロックアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロック可能なキャビネットシステム(例えば、温度制御キャビネットシステムまたは消毒キャビネットシステム)およびそのためのロックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ロック可能なキャビネットシステムは、様々な用途に用いられる。例えば、温度制御を提供するロック可能なキャビネットシステムが存在する。これらは、冷蔵庫、冷凍庫、およびウォーミングキャビネットを含み、広く業務用に供されている。ロック可能なキャビネットシステムは、消毒キャビネットや室温販売など、その他の用途にも用いられる。
【0003】
ロック可能なキャビネットシステムは、1つ以上の開閉用のドアを前面に有するキャビネットを備える。特定の状況では、不正なアクセスを阻止するために、キャビネットを閉状態でロックするのが望ましいことがある。電子ロックを採用する温度制御保管キャビネットが存在する。電子ロックによると、1つ以上の制御器が提供する電気信号に基づいて、ロックとロック解除を選択することができる。
【0004】
特定の販売用途では、温度制御保管キャビネットは、支払いがなされるまでロック設定に維持されてもよく、支払いがあれば、制御器は、電子ドアロックに対してキャビネットを自動的にロック解除するための制御信号を送ってもよい。このタイプの例示的な販売システムが、米国特許出願第17/176,637号に開示されており、この米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
電子ロックは、健康や安全の目的にも使用され得る。例えば、保管キャビネットが温度の影響を受ける物品の保管に使用される場合、制御システムは、特定範囲を外れた温度条件、装置の故障、電力ロス、またはその他の損失が生じ得る事象に応じて、キャビネットを自動的にロックするように構成されてもよい。
【0006】
また、制御システムは、停電時に、温度制御保管キャビネットを自動的にロックするように構成されてもよく、それにより、加熱または冷却のための追加的な電力が利用できない中で、電力が失われた時点の温度調整された空気をキャビネット内に閉じ込めておける。
【0007】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第17/244,553号に記載のように、制御器は、消毒キャビネットの電子ロックを、消毒処理中にドアが閉じたままになるように制御し得る。
【発明の概要】
【0008】
ある局面において、ロック可能なキャビネットシステムのためのロックアセンブリは、キャビネットシステムに取り付けられるように構成されるベースを備える。電子ロックは、温度制御キャビネットシステムをロックおよびロック解除するよう選択的に駆動されるように構成される。電子ロックは、複数の離間した位置において、ベースに対して解除可能に取り付けられ得る。
【0009】
別の局面において、ロック可能なキャビネットシステムのためのロックアセンブリは、キャビネットシステムに取り付けられるように構成されるベースを備える。電子ロックは、ベース上に支持される。電子ロックは、電子ロックがキャビネットシステムをロックするように構成されるロック設定と、電子ロックがキャビネットシステムをロック解除するように構成されるロック解除設定との間で調節するよう電気的に駆動されるように構成される。電子ロックは、電気的駆動とは独立してベースに対して可動でありかつロック設定にある電子ロックを無効化することでキャビネットシステムをロック解除する機械的な解除トグルを有する。一体型の解除バーは、ベース上に支持され、通常位置と解除位置との間でベースに対して可動である。一体型の解除バーは、一体型の解除バーが通常位置から解除位置に動くときに、電子ロックを無効化するようにベースに対して可動トグルを動かすように構成される。第1および第2電子ロック無効化装置は、解除バーに接続され、それぞれが独立して、解除バーを通常位置から解除位置へ動かし得る。
【0010】
別の局面において、キャビネットシステムのためのロックアセンブリは、キャビネットシステムの断熱壁部に形成されたキャビティ内にロックアセンブリを取り付けるように構成されるベースを備える。キャビティは、キャビネットシステムの内部に臨む閉じた内側端と、断熱壁部の壁厚さに沿って閉じた内側端から離間した開いた外側端と、を有する。開いた外側端は、キャビネットシステムの外部に開放している。電子ロックは、キャビネットシステムをロックおよびロック解除するよう選択的に駆動されるように構成される。電子ロックは、電子ロックがキャビティの閉じた内側端からギャップを介して離間するように、ベース上に支持される。
【0011】
別の局面において、キャビネットシステムのためのロックアセンブリは、キャビネットシステムの壁部に形成されたキャビティ内にロックアセンブリを取り付けるように構成されるベースを備える。電子ロックは、ベース上に支持される。電子ロックは、電子ロックがキャビネットシステムをロックするように構成されるロック設定と、電子ロックがキャビネットシステムをロック解除するように構成されるロック解除設定との間で調節するよう電気的に駆動されるように構成される。カバーは、電子ロックに解除可能に接続してキャビティ内の電子ロックを覆うように構成される。外部調節可能なカムロックは、電子ロックから独立してロック位置とロック解除位置との間で動き得る。カムロックは、ロック解除位置において電子ロックを無効化してキャビネットシステムをロック解除するように構成される。カムロックは、ロック位置においてカバーの取り外しを阻止する一方、ロック解除位置においてカバーの取り外しを許容するようにさらに構成される。
【0012】
その他の局面は、以下において、部分的に明らかになると共に部分的に示されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、ロック可能なキャビネットシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、ロック可能なキャビネットシステムの別の斜視図である。
【
図3】
図3は、ロック可能なキャビネットシステムの平面図である。
【
図4】
図4は、ロック可能なキャビネットシステムのドアの斜視図である。
【
図5】
図5は、ドアの一部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3の6-6線の平面に沿った断面図であって、ロック可能なキャビネットシステムからロックアセンブリが除かれている。
【
図7】
図7は、ロック可能なキャビネットシステムの斜視図であって、ドアおよびロックアセンブリが除かれている。
【
図8】
図8は、ロック可能なキャビネットシステムの一部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8と同様の拡大部分斜視図であって、ロックアセンブリのカバーアセンブリが除かれている。
【
図10】
図10は、ロック可能なキャビネットシステムの別の拡大部分斜視図であって、カバーアセンブリが除かれている。
【
図14】
図14は、ロックアセンブリのベースの斜視図である。
【
図15】
図15は、ロックアセンブリの電子ロックの斜視図である。
【
図16】
図16は、ロックアセンブリの斜視図であって、カバーアセンブリおよび解除システムが除かれている。
【
図17】
図17は、ロックアセンブリの支持ブラケットの斜視図である。
【
図18】
図18は、概略的に図示されたキャビネットシステムの側壁の一部の上に示されたロックアセンブリの側面図である。
【
図20】
図20は、ロックアセンブリの保持プレートの斜視図である。
【
図21】
図21は、ロックアセンブリの正面図であって、ベースが除かれている。
【
図22】
図22は、ロックアセンブリの斜視図であって、ベースが除かれている。
【
図23】
図23は、ロックアセンブリの解除バーの斜視図である。
【
図27】
図27は、カバーアセンブリの別の斜視図であって、カバーアセンブリに追加的な制限部が設けられている。
【
図28】
図28は、
図27に示すカバーアセンブリの斜視図であって、解除バーおよび支持ブラケットと組み合わされている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
各図を通して、同様の要素には同様の参照番号が付される。
【0015】
図1~
図10を参照すると、本開示の範囲に含まれるロック可能なキャビネットシステムの一実施形態が、参照番号10で概して示されている。キャビネットシステム10は、概して、キャビネット14と、キャビネットに可動的に接続され、キャビネットを開閉するためのドア16とを備える。図示の実施形態では、キャビネットシステム10は、1つのヒンジ式のドアを備える。しかしながら、本開示の原理は、マルチドアキャビネットやスライドドアキャビネットにも適用可能であることを理解されたい。キャビネット14は、ドア16が開いたときにアクセス可能な保管室18を有する。1つ以上の実施形態では、キャビネットシステム10は、温度制御キャビネットシステムである。これらの実施形態では、キャビネットシステム10は、保管室18内の温度を用途に応じて制御するための適当な温度制御システムを備える。ある場合には、温度制御キャビネットシステム10は、保管室18を、冷蔵温度(例えば、華氏41度未満の温度)、冷凍温度(例えば、華氏0度未満の温度)、またはその他の室温以下の温度範囲まで冷却するように構成された冷凍システム(例えば、蒸気圧縮冷凍システムや熱電冷凍システム)を備える。別の実施形態では、温度制御キャビネットシステム10は、保管室18を、室温以上の温度範囲、例えば準備した食べ物を温かく保つのに適した温度範囲に維持するように構成された加熱装置を備える。本開示に含まれるさらに別の温度制御キャビネットシステム10は、キャビネットシステムが高温モードと低温モードで選択的に使用され得るように、冷凍システムと加熱システムの両方を備えてもよい。別タイプのロック可能なキャビネットシステムも使用可能である。例えば、一実施形態では、キャビネットシステム10は、米国特許出願第17/244,553号に開示されるタイプの消毒キャビネットシステム、室温販売キャビネットシステム、またはその他の適当なキャビネットシステムを含む。
【0016】
図示の実施形態では、キャビネット14は、底壁20と、頂壁22と、後壁24と、ヒンジ28(
図4)によってドア16が接続されるヒンジ付き側壁26と、ヒンジ付き側壁の反対側のヒンジなし側壁30とを備える。底壁20、頂壁22、後壁24、ヒンジ付き側壁26、およびヒンジなし側壁30の各々は、好適には、保管室18と周囲環境との間の熱輸送を制限するための断熱材を有してもよい。ドア16は、ヒンジ28によりヒンジ付き側壁26に接続されるヒンジ付き縁部を有していて、当該ヒンジを介した回転により開閉するように揺動し得る。閉位置では、ガスケット32によって、ドア16とキャビネットとの間の境界部がシールされ、閉じられた保管室18と周囲環境との間の空気移動が阻止される。図示の実施形態では、ドア16が閉じたときにヒンジなし側壁30に支持されるロックアセンブリ110と連携するための受座34が、ドア16のヒンジなし側縁部に取り付けられている。詳しくは後述するように、ロックアセンブリ110は、受座34との係合を介して、選択的にドアをロックおよびロック解除するように構成される。
【0017】
キャビネット14のヒンジなし側壁30は、その中にロックアセンブリ110を収容するように構成されたキャビティ36(
図6および
図7)を有する。例えば、キャビティ36は、側壁30の断熱材における窪みまたは凹部として構成されてもよい。キャビティは、ロックアセンブリ110の外形に略一致する構造で境界付けられてもよいし、あるいはロックアセンブリよりも大きくてもよい。ヒンジなし側壁30は、壁厚さWTに沿って離間した内面および外面を有する。キャビティは、壁30の内面近くに(例えば、保管室18の近くに)閉じた内側端38を有すると共に、キャビネットの外面に開口する開いた外側端を有する。1つ以上の実施形態では、キャビティ36は、内側端38が壁厚さWTに沿って側壁30の内面から離間するように構成される。これにより、保管室18とキャビティ36との間の断熱が可能となる。側壁30は、さらに、ドア16が閉じたときに、それを通って受座34がキャビティ36内へ入るための受座凹部42を有する。
【0018】
図示のキャビネットシステム10では、ヒンジなし側壁30にロックアセンブリキャビティ36が配置されているが、当業者であれば、閉位置のドアと連携する任意の壁部にロックアセンブリキャビティが配置可能であり、それによりドアが開状態から閉状態に動いた場合に当該ドアの受座がロックアセンブリに入り得ることを理解するであろう。あるいは、1つ以上の実施形態では、ロックアセンブリがドアに取り付けられると共に、受座がキャビネットに設けられてもよい。
【0019】
図11~
図14を参照すると、図示のロックアセンブリ110は、概して、ロックアセンブリの残部をキャビティ36内で支持するように構成されたベース112を備える。よって、ベース112は、広くは、ロックアセンブリ110をキャビティ内に取り付けるように構成される。図示のベース112は、内端壁114と、内端壁の3つの側面に沿って延びる周縁フランジ116とを有する。図示のベース112は、内端壁114がキャビティ36の内側端38に沿って、あるいは内側端38上を延びるよう、キャビネットのヒンジなし側壁30に固定されるように構成される。例示的な実施形態では、ベース112は、高粘着両面テープによって側壁に取り付けられる。そして、吹付発砲断熱材が、側壁内のロックアセンブリ110周りに堆積される。また、ベース112は、ベースを壁部の所定位置に固定するねじまたはその他の固定手段により側壁30に取り付けられてもよい。
【0020】
図示のロックアセンブリ110は、さらに、電気的に駆動される電子ロック120であって、電子ロックが温度制御キャビネットシステム10をロックするように構成されるロック設定と、電子ロックが温度制御キャビネットシステムをロック解除するように構成されるロック解除設定との間を調節するように構成される電子ロック120を備える。
図15を参照すると、図示の電子ロックは、ドア16が閉じたときに受座34を収容するように構成された受座凹部124を有するハウジング122を備える。ハウジング122には、図示のラッチング位置と、不図示の非ラッチング位置との間を動くカムラッチ126が接続される。ドアが閉じられかつカムラッチ126がラッチング位置にある場合、受座34は、ハウジング122とカムラッチとの間で凹部124に捕捉される。すなわち、ラッチング位置では、カムラッチ126は、受座凹部124の開放端を閉じるように配置される。一方、不図示の非ラッチング位置では、カムラッチ126は、凹部を開くように配置され、受座34が凹部に入り得る。
【0021】
電子ロックは、電気的に駆動され、ラッチング位置にあるカムラッチ126を選択的にロックおよびロック解除する。ロック設定では、電子ロック120は、カムラッチ126をラッチング位置でロックする一方、ロック解除設定では、電子ロックは、カムラッチをロック解除し、カムラッチがラッチング位置と非ラッチング位置との間で動けるようにする。1つ以上の実施形態では、電子ロックがロック解除設定にある場合、受座34は、カムラッチ126が開閉するように、ラッチング位置と非ラッチング位置との間でそれを動かす。受座34は、ドアが開くときに、ロック解除された電子ロック120のカムラッチ126を非ラッチング位置に動かし、ドアが閉じたときに、カムラッチ126をラッチング位置に動かす。
【0022】
様々な電気アクチュエータや任意的な連動機構が、本開示の範囲を逸脱することなく、カムラッチ126をロックおよびロック解除するために(広くは、ロック設定とロック解除設定との間で調節するために)使用可能である。図示の実施形態では、電子ロック120は、電気モータと一群の歯車を用いてラッチング位置にあるカムラッチ126をロックおよびロック解除するSouthco R4ロックを備える。このタイプのモータ駆動式の電子ロックの例示的な実施形態が、米国特許出願公開第2016/0130840号により詳細に開示されており、この米国特許出願公開は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別タイプの電子ドアロックも公知であり、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能である。例えば、1つ以上の実施形態において、電子ロック120が、電気モータの代わりに高圧ソレノイドまたは低圧ソレノイドアクチュエータを備えることが特に考えられる。
【0023】
図示の電子ロック120は、さらに、ハウジング122から延びる手動/機械式の解除トグル128を備える。機械式の解除トグル128は、ロック設定にある電子ロックを機械的に作動しないようにするよう、ハウジング122に対して可動である。機械式の解除トグル128は、ロックの電気的駆動を要さずにドアが開かれ得るよう、ドアをロック解除する。
図12に示す位置から、トグル128は、電子ロック120を手動で解除するように上方に動く。
【0024】
図示の実施形態では、ロックアセンブリ110は、電子ロック120が、複数の離間した位置で、例えば、鉛直軸A1(広くは、第1軸)に沿って離間した複数位置や、前後軸A2(広くは、第1軸と直交する第2軸)に沿って離間した複数位置で、ベース112に対して解除可能に取付可能となるように構成される。図示の実施形態では、独立した支持ブラケット130が、電子ロック120をベース112に調節可能に取り付ける。
図17を参照すると、図示の支持ブラケット130は、その内部で支持ブラケットが電子ロックを収容する中央架台部132を備える。架台部132は、電子ロックハウジング122の受座凹部124と直線状に並ぶように構成された受座凹部133を有し、それにより受座134がロックと係合しつつ、ロックが架台部132に支持され得る。上側および下側フランジ部134が、架台部132から鉛直方向に延びている。
【0025】
上側および下側フランジ部134は、鉛直方向に沿って縦長に延びる細長い取付孔136を備える。1つ以上の実施形態では、各取付孔136は、鉛直軸A1に沿って、少なくとも0.25インチ(例えば、少なくとも0.5インチ)の高さHを有する。
図16に示すように、ねじ138が、取付孔136を通って延びていて、ベース端壁114に取り付けられたナット148に螺合している。取付ブラケット130は、孔136の高さHに対応する鉛直位置範囲において、鉛直軸A1に沿った任意の位置でベース112に対して解除可能に固定され得ることがわかる。すなわち、ねじ138を緩めることが可能で、その後、取付ブラケットが鉛直軸A1に沿って鉛直位置範囲内の任意の所望位置までスライドされ得る。鉛直位置範囲は、ねじ138が、孔136の頂端でフランジ部134に係合する下端位置から、ねじが、孔の底端でフランジ部に係合する上端位置までを含む。架台部132は、電子ロックが支持ブラケット130と共に鉛直軸A1に沿って移動するように、電子ロック120を押さえて支持する。よって、図示のロックアセンブリ110は、電子ロック120が、ベース112に対して、鉛直軸A1に沿って下端位置から上端位置まで延びる鉛直位置範囲を有するように、かつ電子ロックが、鉛直位置範囲内の任意の位置でベースに対して解除可能に取り付けられ得るように構成される。
【0026】
また、支持ブラケット130の架台部132は、前後水平方向に沿って横長に延びる細長い取付孔140を備える。1つ以上の実施形態では、各取付孔140は、前後軸A2に沿って、少なくとも0.25インチの長さL(
図17)を有する。ねじ142が、取付孔140を通って延びていて、電子ロックハウジング122に形成された前ねじ穴に螺合している。したがって、電子ロック120は、前後軸A2に沿って、孔140の長さLに対応する前後位置範囲における任意の位置で、支持ブラケット130に対して解除可能に固定され得ることがわかる。すなわち、ねじ142を緩めることが可能で、その後、電子ロック120が前後軸A2に沿って前後位置範囲内の任意の所望位置までスライドされ得る。前後位置範囲は、ねじ142が、孔の前端でブラケット130に係合する前端位置から、ねじが、孔の後端でブラケットに係合する後端位置まで延びている。よって、図示のロックアセンブリ110は、電子ロック120が、ベース112に対して、前後軸A2に沿って前端位置から後端位置まで延びる前後位置範囲を有するように、かつ電子ロックが、前後位置範囲内の任意の位置でベースに対して解除可能に取り付けられ得るように構成される。
【0027】
発明者は、支持ブラケット130によって可能となる位置調節により、ロック可能なキャビネットシステム10の製造性および長期メンテナンス性の両方が改善されると信じる。製造時、組立工は、鉛直軸A1および前後軸A2の両方に沿って電子ロックの精細な位置調節を行い、生産される各キャビネットシステム10において、ドア受座34と電子ロック120の有効な位置合わせを実現することができる。また、発明者は、キャビネットドアが、例えば誤用のために、歪んだり捻れたりする場合があることを見出した。これは、電子ロック120とドア受座34との間の位置ずれにつながるおそれあり、最終的には、ロックシステムの動作信頼性が損なわれるか、あるいはロックシステムが完全に機能的に故障し得る。図示のロックアセンブリの取付ブラケット130によると、電子ロックの位置を容易に調節することが可能となり、閉じたドア16の位置が時間経過に伴って変化した場合、当該変化に対処するようにキャビネット14における電子ロック120の取付位置を調節することができ、それにより受座34と電子ロックとの間の適切な位置関係をキャビネットシステムの耐用年数にわたって維持することが可能となる。左右軸A3に沿った受座34とロック120との間の位置ずれは、ドアの受座にシムを入れることで対処可能である。
【0028】
図18および
図19を参照すると、1つ以上の実施形態では、支持ブラケット130は、電子ロックがキャビティ36の内側端38からギャップ146だけ離間するように、電子ロック120をベース112上に支持する。より具体的に、図示の実施形態では、エアギャップ146が、電子ロックハウジング122の内側端とベース112の端壁146との間を延びている。電子ロック120の全体は、ベース端壁114またはキャビティ36の内側端38と直接接触していない。図示の実施形態では、ナット148が、支持ブラケット130のフランジ部134とベース端壁114との間に配置される。ナット148は、フランジ部が壁部30の壁厚さWTに沿ってベース端壁114から外側に離間するように、フランジ部を位置付ける。ナット148(広くは、スペーサ)は、ベース112と支持ブラケット130との間の熱伝導を制限するために、断熱材料で構成されてもよい。1つ以上の実施形態では、ギャップ146は、壁厚さWTに沿って(左右軸A3に沿って)少なくとも0.125インチ(例えば、0.125インチ以上、0.3125インチ以下)の寸法Dを有する。特定の実施形態では、電子ロック20と端壁114との間のギャップ146内に、加熱装置(例えば、電気抵抗加熱ワイヤ)が収容される。例えば、0.110インチの直径を有する抵抗加熱ワイヤが、図示のロックアセンブリ110のギャップ146の最も広い部分に適合し得る。
【0029】
電子ロック120と保管室18との間のギャップ146は、キャビネット内の温度条件から電子ロックを遮断し、さらには加熱装置のためのスペースを提供する。発明者は、温度制御保管キャビネット、特に冷凍庫の内部の低温条件により電子ロックに結露が生じるおそれがあり、それが動作や信頼性に悪影響を及ぼし得ることを見出した。ギャップ146によって促進される遮断や能動的な加熱により、電子ロックにおける結露が制限され、ロックアセンブリ110の信頼性が向上し得る。
【0030】
図20を参照すると、図示のロックアセンブリ110は、さらに、支持ブラケット130および電子ロック120に固定される保持プレート150を備える。保持プレート150は、カムシャフト開口152と、制限開口153と、一対の解除バー取付孔154と、カムシャフト開口の下端に設けられた制限タブ155とを有する。これらは、詳しくは後述するように、(i)トグル128を介した電子ロック120の無効化と、(ii)ロックアセンブリ110の不正な改変に対する抵抗とを促進する。
【0031】
図21~
図23を参照すると、ロックアセンブリ110は、また、一体型の解除バー160を備える。解除バー160は、(例えば、保持プレート150によって)ベース112上に支持され、図示の通常位置と不図示の解除位置との間でベースに対して可動である。各図において、解除バー160は、通常位置から上方に動いて解除位置になる。詳しくは後述するように、解除バー160は、解除バーが通常位置から解除位置に動くときに、ベース112に対して可動トグル128を動かして電子ロック120の作動を禁止するように構成される。
【0032】
図示の解除バー160は、オフセットウェブ166により接続された下側本体部162および上側本体部164を備える。オフセットウェブ166は、下側本体部162の上端部と上側本体部164の下端部との間を左右軸A3に沿って延びており、上側本体部は、保管室18の内部に向かう方向に、下側本体部からオフセットしている。下側本体部162の縦向き側部からは、一対のフランジ168が交差するように延びている。下側本体部162は、細長いガイド孔170を有する。上側部164の上端部からは接続フランジ172が交差するように延びている。詳しくは後述するように、接続フランジ172は、少なくとも第1および第2電子ロック無効化装置に解除バー160を接続するように構成されており、第1および第2電子ロック無効化装置の各々は、互いに独立して、解除バーを通常位置から解除位置へ動かし得る。
【0033】
図13および
図21に示すように、保持プレート150は、ベースに対して通常位置と解除位置との間を動けるように、解除バー160をベース112上に支持する。図示の実施形態では、締結具174(例えば、ねじ)が、保持プレート150の取付孔154を通って延び、かつ解除バー160の孔170内にスライド可能に収容される。孔170の大きさや形状は、解除バー160が、締結具174および保持プレート150に対して、動作範囲内で鉛直方向にスライドし得るように設定される。この動作範囲は、上側の締結具174が、孔の上端部で解除バー160に係合する下端位置と、下側の締結具が、孔の下端部で解除バー160に係合する上端位置とを含む。図示の実施形態では、解除バーの通常位置は、動作範囲の下端位置におけるものである。解除位置は、動作範囲の上端位置におけるものでもよく、あるいは上端位置と下端位置との間の離れた位置におけるものでもよい。解除バー160とベース112との間には、解除バー160を通常位置に向かって下向きに付勢するばね176が接続される。解除バー160は、ばね176の付勢力に打ち勝って、通常位置から解除位置へ向かって上向きに動くように構成される。ばね176と反対側のフランジ168の上端部は、電子ロック120の無効化トグル128のすぐ下に配置される。したがって、解除バー160が通常位置から上方へ動くと、解除バー168によってトグル128が持ち上げられ、キャビネットシステム10をロック解除するように電子ロック120のロック設定が無効にされる。
【0034】
図22を参照すると、ロックアセンブリ110は、さらに、解除バー160を通常位置から解除位置へ動かすようにキャビネットシステム内から駆動可能で、それにより電子ロック120を無効化してキャビネットシステムをロック解除するための内部アクセス可能な緊急解除部180を備える。図示の緊急解除部180は、引張りケーブル182を有するが、本開示の範囲を逸脱することなく、別タイプの緊急解除アクチュエータ(例えば、つまみ、ボタン)も使用可能であることが考えられる。引張りケーブル182の一端は、解除バー160の接続フランジ172に取り付けられる。引張りケーブル182は、接続フランジ172から上方へ少しだけ延びた後、キャビネット壁30を経由して保管室18の内部へ引張りケーブルをスライド可能に導くガイド管184の内部へと曲がっている。図示の実施形態では、ガイド管184は、第1および第2スナップブッシュ186によって固定される。第1ブッシュは、ベース112の端壁114に嵌められ、第2ブッシュは、キャビネット壁130の内側パネルに嵌められる。引張りケーブル182がキャビネット14の保管室18内から引き出されると、引張りケーブルは、ガイド管184内をスライドして解除バーを通常位置から解除位置に向けて上に持ち上げる。上述したように、これによりトグル128が持ち上がって電子ロック120が無効化され、保管室18内からキャビネットシステム10がロック解除される。
【0035】
図12および
図24を参照すると、図示のロックアセンブリ110は、さらに、電子ロック120に解除可能に接続してキャビティを覆うように概して構成されたカバーアセンブリ190を備える。図示のカバーアセンブリ190は、カバープレート192と、独立した縁ピース194とを有する。縁ピース194は、カバーの周縁を規定すると共に、キャビネット14のヒンジなし側壁30の外面に面一に置かれる(
図8を参照)。縁ピース194は、カバー150が電子ロック120に接続されたときに、電子ロックハウジング122の受座凹部124と直線状に並ぶように構成された受座凹部195を有する。ねじ196(広くは、取り外し可能な締結具)により、カバープレート192が保持プレート150に解除可能に固定される。縁ピース194の内縁部は、ねじ196によってカバープレート192が保持プレート150に固定されたとき、カバープレート192とキャビネット側壁30との間に挟まれる。見てわかるように、保持プレート150が電子ロック120に対して位置固定されることで、取り外し可能なカバーアセンブリ190は、キャビティ36において、電子ロックに対する規定位置で電子ロック120に解除可能に接続するように構成される。これにより、受座凹部195が受座凹部124と常に適切に整列するので、受座34が受座凹部124に入ることがカバーアセンブリ190によって妨げられることがない。また、カバーアセンブリ110は、ベース112およびキャビネット側壁30に対して、電子ロック120と共に動くことがわかる。例示的な実施形態では、カバーアセンブリ110は、鉛直軸A1および前後軸A2に沿った電子ロック120の上記位置範囲における全ての位置において、キャビティ36の全体を覆うように構成される。これにより、清潔で魅力的な外観がもたらされると共に、キャビネット14におけるロックアセンブリの外形が最小化される。
【0036】
図25および
図26を参照すると、図示のカバーアセンブリ190は、さらに、キャビネットシステム10の外部から、キー202によってロック位置とロック解除位置との間で調節可能なカムロック200を備える。カムロック200は、カバープレート192に固定されていて、カバープレートから、保持プレート152のカムシャフト開口152を通って、カムロックの端部である回転可能なカム206まで延びている。カムロック200は、キー202によって駆動され、カム206をロック位置とロック解除位置との間で回転させるように構成されたロックセット204を有する。
図26は、ロック位置にあるカムロック200を示す。
図26に示す位置から、カムロック200は、反時計回りに回転してロック解除位置になる。
図22を参照すると、カムロック200がロック位置にある場合、カム206は、保持プレート150にかかるように配置され、カムシャフト開口152を介してカムロックが引っ込められるのを阻止する。より具体的に、ドア16が閉じられかつ電子ロック120がロックされる場合、ねじ196が取り外されたとしても、カム206が保持プレート150と干渉し、カバープレートが取り外されるのを許容しない。よって、カムロック200の1つの特徴は、それがロックアセンブリ110の改変に抗した閉鎖を提供することにある。ドア16が閉じた状態でキャビネット14からカバーアセンブリ110を取り外すには、キー202でカムロック200をロック解除する必要があり、それによりカム206が保持プレート150から外れ、保持プレート150のカムシャフト開口152を通過可能になる。その後、ねじ196が取り外されると、カバープレート192およびカムロック200は、キャビネット14およびロックアセンブリ110の残部から分離され得る。
【0037】
カムロック200は、また、解除バー160を通常位置から解除位置へ動かし、電子ロック120を無効化してキャビネットシステム10をロック解除し得る無効化装置として機能するように構成される。よって、図示のカムロック200は、耐改変性のロック部として、ならびに電子ロックを無効化するための外部アクセス可能あるいは外部駆動可能な(キー式の)無効化装置として機能する。カム206の上部は、解除バー160の接続フランジ172に係合する。カム206がロック位置からロック解除位置へ回転すると、その上部が接続フランジ172を上方へ押し、解除バー160がカムの上部に追従して動く。カムロック200のロック解除位置では、カム206は、(ばね176に打ち勝って)解除バー160を持ち上げ、さらにはトグルを持ち上げ、電子ロック120が無効化されてドア16がロック解除される。
【0038】
よって、図示の実施形態では、緊急解除部180は、電子ロック120を無効化するための第1無効化装置であり、カムロック200は、電子ロック200を無効化するための第2無効化装置である。1つ以上の実施形態では、その他の無効化装置も、解除バーを通常位置から解除位置へ動かすために使用されてもよい。例えば、複数の個別にロック可能な保管室を備えるキャビネットシステムにおいて、ロックアセンブリ110が各ドアに対して備えられ、各ロックアセンブリの解除バー160を同時に動かして全ての電子ロック120を同時に無効化する追加的な解除装置(図示せず)が設けられ得ることが特に考えられる。キャビネットシステムが、同一のロックアセンブリに対して複数の専用の外部アクセス可能な無効化装置を備え得ることも考えられる。例えば、カムロック200の位置に1つの外部アクセス可能な無効化装置を備えると共に、キャビネットに沿った(例えば、キャビネットの前面に沿った)別の箇所に別の外部アクセス可能な無効化装置を備えることが望ましいかも知れない。これにより、外部の無効化アクセスが複数箇所において可能となり、外部無効化装置の1つが建物の壁などの遮蔽構造により覆われる場所での展開が許容される。当業者にとって、解除バー160が、様々なタイプの機械的な無効化装置と共に使用可能な高度に適合的なインタフェースを提供することは明らかであろう。
【0039】
図27~
図29を参照すると、耐改変性を高めるために、カバーアセンブリ110は、1つ以上の追加的な改変制限部310,312を備えるように変更されてもよい。図示の実施形態では、カバーアセンブリは、カバープレート192に固定される垂直部314と、カバープレートから軸A2に沿って内側に突出するフランジ316とを含む角度ブラケットを有する第1改変制限部310を備える。カバーアセンブリ190がキャビネット14に固定される場合、フランジ316は、保持プレート150の制限タブ155のすぐ上に受け入れられる。よって、カバーアセンブリを軸A1に沿って下方に動かそうとした場合、フランジ316が制限タブ155に係合して当該動きを阻止する。
【0040】
第2改変制限部312は、カバープレートに固定される垂直部320と、垂直部の上端から延びるL字状の上側フランジ322と、垂直部の下端から軸A2に沿って内側に突出する下側フランジ324とを有するブラケットを備える。L字状の上側フランジ322は、ベース112のフランジ116と重なるように配置される。カバーアセンブリ190の上縁部を開こうとした場合、L字状の上側フランジ322がベースフランジ116と係合し、それによりカバーアセンブリが開くことが阻止される。下側フランジ324は、保持プレート150の下側の制限開口153に受け入れられる。カバープレート192の平面内でカバーアセンブリ190を捻るか回転させようとした場合、下側フランジ324が保持プレート150の内縁部と係合し、それによりカバープレートの回転に抗する。よって、追加的な制限部310,312を備える図示のカバーアセンブリは、カムロック200がロック解除されない限り、ロックアセンブリ110の内部に対するアクセスを(ロックアセンブリの内部に対する視線をブロックすることを含めて)実質的に阻止する。カムロック200がロック解除されると、カバープレート192の底部を側壁から引き離すことができ、それによりカム206を開口152に通過させ、カバーアセンブリ190をキャビネット14から取り外すことが可能となる。
【0041】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合、「a」、「an」、「the」、および「said」の冠詞は、当該要素が1つ以上存在することを意味する。「備える」、「含む」、および「有する」の語は、包括的であって、挙げられた要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0042】
上記より、本発明のいくつかの目的が達成されると共に、他の有利な結果が得られることがわかるだろう。
【0043】
本発明の範囲を逸脱することなく上述の物や方法に様々な変更が加えられてもよく、上述した全ての事柄は、説明のためのものであって、限定的な意味に解釈されるべきではない。
【外国語明細書】