(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115160
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】マッサージユニット及びマッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61H7/00 323L
A61H7/00 323N
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105136
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2019154082の分割
【原出願日】2019-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 武央
(57)【要約】
【課題】施療子の突出量を小さくしたときに備えて空きスペースを確保する必要のないマッサージユニットを提供する。
【解決手段】マッサージユニットは、施療子と、長手方向に伸縮可能なアクチュエータと、前記施療子が一端に取り付けられるアームと、を備える。前記アクチュエータの一端が前記アームの他端に取り付けられる。前記アームの中間部に前記アームの回転支点である第1回転支点が設けられる。前記第1回転支点と前記アクチュエータの他端の回転支点である第2回転支点との位置関係、又は、前記第1回転支点と前記アクチュエータの他端との位置関係が固定される。前記第1回転支点となる左右一対の回転軸が独立して回転可能である。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療子と、
長手方向に伸縮可能なアクチュエータと、
前記施療子が一端に取り付けられるアームと、を備え、
前記アクチュエータの一端が前記アームの他端に取り付けられ、
前記アームの中間部に前記アームの回転支点である第1回転支点が設けられ、
前記第1回転支点と前記アクチュエータの他端の回転支点である第2回転支点との位置関係、又は、前記第1回転支点と前記アクチュエータの他端との位置関係が固定され、
前記第1回転支点となる左右一対の回転軸が独立して回転可能である、マッサージユニット。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの他端を支点に前記第1回転軸の軸方向に揺動可能である、請求項1に記載のマッサージユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマッサージユニットと、
被施療者の身体を支持する身体支持部と、
前記身体支持部の前記身体に接する面に沿って延びるガイドレールと、を備え、
前記マッサージユニットは、前記ガイドレールによって案内されて前記身体支持部内で昇降する、マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子を有するマッサージユニット及び当該マッサージユニットを搭載するマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、揉み玉の突出量を大幅に変更することができるマッサージ機が開示されている。
【0003】
特許文献1の
図2~
図6に開示されているマッサージ機では、マッサージユニットケーシングの上部及び下部に前後方向に伸延させた左右一対のガイドバーがそれぞれ取り付けられている。各ガイドバーに揉み玉駆動ユニットケーシングが取付けられている。揉み玉駆動ユニットケーシングは各ガイドバーに沿って前後方向に進退移動可能である。揉み玉駆動ユニットケーシングの各ガイドバーに沿った進退移動により、揉み玉が前後方向に進退移動する。
【0004】
特許文献1の
図7~
図12に開示されているマッサージ機では、左右幅方向に沿って延びる進退軸に左右一対のピニオンギアが取り付けており、揉み玉駆動ユニットケーシングの上部に左右一対の円弧状のラックが取り付けられている。進退軸の回転に伴ってピニオンギアが回転することにより、ラックがピニオンギアに噛み合いながら移動する。ラックの移動により、揉み玉駆動ユニットケーシングが昇降軸を中心に前後方向に向けて揺動し、揉み玉が前後方向に進退移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているマッサージユニットでは、揉み玉の突出量を小さくするときに揉み玉駆動ユニットケーシングが後方に退行するので、揉み玉駆動ユニットケーシングを収容するための空きスペースを後側に確保する必要がある。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑み、施療子の突出量を小さくしたときに備えて空きスペースを確保する必要のないマッサージユニット及び当該マッサージユニットを搭載するマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に開示されているマッサージユニットは、施療子と、長手方向に伸縮可能なアクチュエータと、前記施療子が一端に取り付けられるアームと、を備え、前記アクチュエータの一端が前記アームの他端に取り付けられ、前記アームの中間部に前記アームの回転支点である第1回転支点が設けられ、前記第1回転支点と前記アクチュエータの他端の回転支点である第2回転支点との位置関係、又は、前記第1回転支点と前記アクチュエータの他端との位置関係が固定されている構成(第1の構成)である。
【0009】
上記第1の構成のマッサージユニットにおいて、前記第1回転支点となる第1回転軸と、前記第1回転軸に固定される偏心回動体と、を備え、前記第1回転軸は偏心回動体を介して前記アームを支持する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0010】
上記第2の構成のマッサージユニットにおいて、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの他端を支点に前記第1回転軸の軸方向に揺動可能である構成(第3の構成)にしてもよい。
【0011】
上記第2又は第3の構成のマッサージユニットにおいて、前記第1回転軸に平行な固定軸を備え、前記アクチュエータの他端が前記固定軸に取り付けられている構成(第4の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第2~第4いずれかの構成のマッサージユニットにおいて、前記第1回転軸に平行な第2回転軸と、前記第2回転軸の端部に設けられるピニオンギアと、を備える構成(第5の構成)にしてもよい。
【0013】
上記第1~第5いずれかの構成のマッサージユニットにおいて、前記施療子は、振動子を有する構成(第6の構成)にしてもよい。
【0014】
本明細書中に開示されているマッサージ機は、上記第1~第6いずれかの構成のマッサージユニットと、被施療者の身体を支持する身体支持部と、前記身体支持部の前記身体に接する面に沿って延びるガイドレールと、を備え、前記マッサージユニットは、前記ガイドレールによって案内されて前記身体支持部内で昇降する構成(第7の構成)である。
【発明の効果】
【0015】
本明細書中に開示されているマッサージユニット及び当該マッサージユニットを搭載するマッサージ機によれば、施療子の突出量を小さくしたときに備えて空きスペースを確保する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】一実施例に係るマッサージユニットの前方斜視図
【
図5】施療子の突出量が大きいときの一実施例に係るマッサージ機の前方斜視図
【
図6】施療子の突出量が小さいときの一実施例に係るマッサージ機の前方斜視
【
図7】各施療子の突出量が互いに異なるときの一実施例に係るマッサージユニットの側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<1.マッサージ機の構成>
図1は一実施例に係るマッサージ機100(以下、「マッサージ機100」と称す)の前方斜視図である。以下の説明において、背凭れ部300を倒していない状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て前側(正面側)を「前側」といい、背凭れ部300を倒していない状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て後側(背面側)を「後側」という。また、背凭れ部300を倒していない状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て上側(頭側)を「上側」といい、背凭れ部300を倒していない状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て下側(脚側)を「下側」という。また、マッサージ機100に着座した被施療者から見て右側を「右側」といい、マッサージ機100に着座した被施療者から見て左側を「左側」という。
【0019】
マッサージ機100は、座部200、背凭れ部300、基台部400、腕施療部500、操作部600、コード線700、スタンド800、及びオットマン900を備える。
【0020】
座部200は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。
【0021】
背凭れ部300は、被施療者の肩、腰、及び背中を支持する。背凭れ部300は、左右方向に沿って延びるリクライニング回転軸回りに回動可能に、座部200の後端に取り付けられている。背凭れ部300は、被施療者の肩及び腰に接する面300Aに沿って延びるガイドレール300B及び300Cを内蔵している。後述するマッサージユニット1は、ガイドレール300B及び300Cによって案内されて背凭れ部300内で昇降する。なお、ガイドレール300B及び300Cを座部200の後部にまで延長し、後述するマッサージユニット1が座部200及び背凭れ部300内で昇降するようにしてもよい。
【0022】
基台部400は、座部200の左右両側且つ座部200の下方に立設して設けられる。座部200の左側に設けられる基台部400の内部には制御部400Aが内蔵される。
【0023】
腕施療部500は、座部200の左右両側且つ座部200の上方に立設して設けられる。腕施療部500は、膨縮可能なエアバッグを内蔵しており、当該エアバッグによって被施療者の腕を支持しながら施療する。
【0024】
操作部600は、被施療者が施療パターンの選択や施療の強弱調節などを行うための入力装置である。操作部600はコード線700を介して制御部400Aに接続される。制御部400Aは、操作部600から出力される信号に基づいてマッサージ機100の各部を制御する。
【0025】
スタンド800は、座部200の左側に設けられる腕施療部500に固定されている。操作部600はスタンド800に対して装脱着可能である。
【0026】
オットマン900は、被施療者の下腿部を支持する。
【0027】
<2.マッサージユニットの構成>
図2は一実施例に係るマッサージユニット1(以下、「マッサージユニット1」と称す)の正面図である。
図3はマッサージユニット1の背面図である。
図4はマッサージユニット1の前方斜視図である。
【0028】
マッサージユニット1はフレーム2及び3を備える。フレーム2はマッサージユニット1の左側に配置され、フレーム3はマッサージユニット1の右側に配置される。
【0029】
フレーム2及び3は、側方視で前端、上端、及び下端を各頂点とする略三角形形状である。フレーム2には、側方視で前端、上端、及び下端を各頂点とする略三角形形状の開口部2Aが設けられる。同様に、フレーム3には、側方視で前端、上端、及び下端を各頂点とする略三角形形状の開口部3Aが設けられる。フレーム2及び3に開口部を設けることで、マッサージユニット1の軽量化を図ることができる。なお、軽量化のための開口部をフレーム2及び3に設けずにフレーム2及び3の強度を向上させてもよい。
【0030】
マッサージユニット1は、収納部4をさらに備える。収納部4は、後述する回転伝達部を収納する。収納部4は、左右方向においてフレーム2とフレーム3との間に配置される。フレーム2と収納部4との距離はフレーム3と収納部4との距離と略同一である。
【0031】
マッサージユニット1は、固定軸5と、昇降用モータ6と、昇降用回転軸7と、ガイドローラ8~11と、ピニオンギア12及び13と、をさらに備える。
【0032】
左右方向に沿って延びる固定軸5は、フレーム2、フレーム3、及び収納部4の各上部を貫通する。固定軸5は、フレーム2、フレーム3、及び収納部4に対して固定される。固定軸5の左端には、ガイドローラ8が固定軸5に対して回転可能に取り付けられる。固定軸5の右端には、ガイドローラ9が固定軸5に対して回転可能に取り付けられる。
【0033】
昇降用モータ6は、収納部4の右側面に取り付けられる。左右方向に沿って延びる昇降用回転軸7は、フレーム2、フレーム3、及び収納部4の各下部を貫通する。昇降用回転軸7は、フレーム2、フレーム3、及び収納部4に対して回転可能である。昇降用回転軸7の左端には、ガイドローラ10及びピニオンギア12が取り付けられる。昇降用回転軸7の右端には、ガイドローラ11及びピニオンギア13が取り付けられる。ガイドローラ10及び11並びにピニオンギア12及び13は、昇降用回転軸7に対して固定される。
【0034】
なお、図面上では、ガイドローラ10の左端がガイドローラ8の左端よりも左側に位置し、ガイドローラ11の右端がガイドローラ9の右端よりも右側に位置しているが、実際にはガイドローラ8の左端とガイドローラ10の左端とは左右方向において互いにずれておらず、ガイドローラ9の右端とガイドローラ11の右端とは左右方向において互いにずれていない。
【0035】
収納部4に収納される第1回転伝達部(不図示)によって、昇降用回転軸7に昇降用モータ6が連動連結される。第1回転伝達部は、軸受部及びギア機構を含む。昇降用回転軸7は、第1回転伝達部内の軸受部、フレーム2の下部に設けられる軸受部、及びフレーム3の下部に設けられる軸受部によって回転可能に支持される。
【0036】
ピニオンギア12はガイドレール300Bの右隣に設けられるラックに噛合し、ピニオンギア13はガイドレール300Cの左隣に設けられるラックに噛合する。したがって、昇降用モータ6の駆動によって昇降用回転軸7が回転することで、マッサージユニット1がガイドレール300B及び300Cに沿って昇降する。
【0037】
ガイドローラ8及び10はマッサージユニット1の昇降時にガイドレール300B上を回転しながら移動し、ガイドローラ9及び11はマッサージユニット1の昇降時にガイドレール300C上を回転しながら移動する。
【0038】
マッサージユニット1は、揉み用モータ14と、揉み用回転軸15と、をさらに備える。
【0039】
揉み用モータ14は、収納部4の左側面に取り付けられる。左右方向に沿って延びる揉み用回転軸15は収納部4の前部を貫通する。揉み用回転軸15は、フレーム2、フレーム3、及び収納部4に対して回転可能である。揉み用回転軸15の左端はフレーム2に取り付けられ、揉み用回転軸15の右端はフレーム3に取り付けられる。
【0040】
収納部4に収納される第2回転伝達部(不図示)によって、揉み用回転軸15に揉み用モータ14が連動連結される。第2回転伝達部は、軸受部及びギア機構を含む。揉み用回転軸15は、第2回転伝達部内の軸受部、フレーム2の前部に設けられる軸受部、及びフレーム3の前部に設けられる軸受部によって回転可能に支持される。
【0041】
マッサージユニット1は、左右一対の施療子16及び17と、左右一対のアームAM1及びAM2と、左右一対の偏心回動体18及び19と、左右一対のアクチュエータ20及び21と、左右一対の留め具22及び23と、留め具固定部品24~27と、をさらに備える。
【0042】
アームAM1は施療子16を支持し、アームAM2は施療子17を支持する。施療子16はアームAM1の前端に回転可能に取り付けられており、施療子17はアームAM2の前端に回転可能に取り付けられている。
【0043】
左右一対の偏心回動体18及び19は、揉み用回転軸15に固定される。揉み用回転軸15は、偏心回動体18を介してアームAM1の中間部を支持し、偏心回動体19を介してアームAM2の中間部を支持する。
【0044】
アクチュエータ20はアクチュエータ20の長手方向に伸縮可能であり、アクチュエータ21はアクチュエータ21の長手方向に伸縮可能である。アクチュエータ20及び21の構成は特に限定されないが、例えば、アクチュエータ20及び21はそれぞれ、ロッド部材と、ロッド部材の後部を収容する筒状部材と、突出量変更用モータと、を備え、突出量変更用モータの回転によって筒状部材からのロッド部材の突出量を変更すればよい。
【0045】
アクチュエータ20の上端は留め具22を介して固定軸5に取り付けられ、アクチュエータ21の上端は留め具23を介して固定軸5に取り付けられる。アクチュエータ20は、アクチュエータ20の上端を支点に左右方向に揺動できるように留め具22に接続される。アクチュエータ21は、アクチュエータ21の上端を支点に左右方向に揺動できるように留め具23に接続される。留め具22及び23はそれぞれ固定軸5に対して回動可能に取り付けられる。留め具固定部品24及び25は留め具22の左右方向の移動を防止する。留め具固定部品24は留め具22の左隣に設けられ、留め具固定部品25は留め具22の右隣に設けられる。留め具固定部品26及び27は留め具23の左右方向の移動を防止する。留め具固定部品26は留め具23の左隣に設けられ、留め具固定部品27は留め具23の右隣に設けられる。留め具固定部品24~27としては、例えば固定軸5に形成される溝に嵌まるスナップリング等を用いることができる。
【0046】
アクチュエータ20の下端はボールジョイントによってアームAM1の後端に連結され、アクチュエータ21の下端はボールジョイントによってアームAM2の後端に連結される。
【0047】
アクチュエータ20の長手方向は左右方向に垂直な平面上でアクチュエータ20の伸縮に応じて変化し、アクチュエータ21の長手方向は左右方向に垂直な平面上でアクチュエータ21の伸縮に応じて変化する。
【0048】
ここで、施療子16及び17の揉み動作について説明する。揉み用モータ14が駆動すると、揉み用回転軸15が回転し、揉み用回転軸15に固定されている偏心回動体18及び19も回転する。偏心回動体18及び19の回転によってアームAM1及びAM2は上下、左右、前後にそれぞれ揺動する。これにより、施療子16及び17は被施療者に対して揉み動作を行う。施療子16及び17の揉み動作中、アクチュエータ20はアクチュエータ20の上端を支点に左右方向に揺動し且つ固定軸5を中心に回動し、アクチュエータ21はアクチュエータ21の上端を支点に左右方向に揺動し且つ固定軸5を中心に回動する。
【0049】
次に、施療子16及び17のたたき動作及び施療子16及び17の突出量について説明する。なお、前後方向における施療子16とガイドローラ8~11との距離が大きいほど、施療子16の突出量は大きくなる。同様に、前後方向における施療子17とガイドローラ8~11との距離が大きいほど、施療子17の突出量は大きくなる。
【0050】
アクチュエータ20が伸長すると、アームAM1は揉み用回転軸15を回転支点として左側から視て時計回りに回動する。これにより、施療子16は上方且つ後方に移動する。一方、アクチュエータ20が収縮すると、アームAM1は揉み用回転軸15を回転支点として左側から視て反時計回りに回動する。これにより、施療子16は下方且つ前方に移動する。
【0051】
したがって、アクチュエータ20が伸縮を繰り返すことにより、施療子16は被施療者に対してたたき動作を行う。
【0052】
同様に、アクチュエータ21が伸長すると、アームAM2は揉み用回転軸15を回転支点として左側から視て時計回りに回動する。これにより、施療子17は上方且つ後方に移
動する。一方、アクチュエータ21が収縮すると、アームAM2は揉み用回転軸15を回転支点として左側から視て反時計回りに回動する。これにより、施療子17は下方且つ前方に移動する。
【0053】
したがって、アクチュエータ21が伸縮を繰り返すことにより、施療子17は被施療者に対してたたき動作を行う。
【0054】
マッサージユニット1は、上述した通りアクチュエータ20及び21の伸縮によって施療子17のたたき動作を実現しているので、特許文献1に開示されているマッサージユニットとは異なり、たたき用回転軸を設けて施療子のたたき動作中にたたき用回転軸を回転させる必要がないという利点を有する。
【0055】
アクチュエータ20の伸縮の振幅を調整することでたたき動作を行っている施療子16の往復運動の振幅を調整することができ、アクチュエータ21の伸縮の振幅を調整することでたたき動作を行っている施療子17の往復運動の振幅を調整することができる。また、アクチュエータ20の伸縮の速度を調整することでたたき動作を行っている施療子16の往復運動の速度を調整することができ、アクチュエータ21の伸縮の速度を調整することでたたき動作を行っている施療子17の往復運動の速さを調整することができる。
【0056】
アクチュエータ20の伸縮とアクチュエータ21の伸縮とを互いに独立して制御することにより、施療子16のたたき動作と施療子17のたたき動作とを互いに独立させることができる。例えば、施療子16のたたき動作中に施療子17のたたき動作を停止すること、施療子17のたたき動作中に施療子17のたたき動作を停止すること、施療子16のたたき動作と施療子17のたたき動作とを互いに異なる態様で同時に実行すること等が可能となる。
【0057】
また、アクチュエータ20の伸縮を調整することで施療子16の突出量を調整することができ、アクチュエータ21の伸縮を調整することで施療子17の突出量を調整することができる。
【0058】
アクチュエータ20及び21が
図1~
図4に示す状態よりも収縮すると、施療子16及び17は
図1~
図4に示す状態よりも前方に移動するので、例えば
図5に示すように施療子16及び17の突出量が
図1~
図4に示す状態よりも大きくなる。逆に、アクチュエータ20及び21が
図1~
図4に示す状態よりも伸長すると、施療子16及び17は
図1~
図4に示す状態よりも後方に移動するので、例えば
図6に示すように施療子16及び17の突出量が
図1~
図4に示す状態よりも小さくなる。
【0059】
マッサージユニット1では、アクチュエータ20及び21の各上端の回転支点とアームAM1及びAM2の回転支点との位置関係が固定されている。なお、本明細書において「位置関係」とは「相対位置」を意味している。したがって、「アクチュエータ20及び21の各上端の回転支点とアームAM1及びAM2の回転支点との位置関係」とは、「アクチュエータ20及び21の各上端の回転支点に対するアームAM1及びAM2の回転支点の相対位置」を意味している。より詳細には、マッサージユニット1では、アクチュエータ20及び21の各上端の所定箇所(本実施例では留め具との接続箇所)の回転支点とアームAM1及びAM2の回転支点との位置関係が固定されている。すなわち、マッサージユニット1は、施療子16及び17の突出量を小さくしたときに備えて空きスペースを確保する必要のない構成である。なお、アームAM1及びAM2を動かしたときにアクチュエータ20及び21にかかる負荷をアクチュエータ20とアームAM1との連結形態及びアクチュエータ21とアームAM2との連結形態の工夫等によって軽減できる場合には、留め具22及び23を固定軸に固定してもよい。この場合には、アクチュエータ20及び
21の各上端とアームAM1及びAM2の回転支点との位置関係が固定される。
【0060】
マッサージユニット1では、アクチュエータ20とアクチュエータ21とを互いに独立して制御することにより、施療子16の突出量と施療子17の突出量とを互いに異ならせることができる。例えば、アクチュエータ20がアクチュエータ21よりも収縮すると、
図7に示すように施療子16の突出量が施療子17の突出量よりも大きくなる。
【0061】
マッサージユニット1では、アクチュエータ20及び21の伸縮を繰り返しながら伸縮の中心を変化させることで、施療子16及び17のたたき動作中に施療子16及び17の突出量を変化させることができる。
【0062】
<3.マッサージユニットの変形例>
図8は変形例に係るマッサージユニット1’ (以下、「マッサージユニット1’」と称す)の正面図である。
図9はマッサージユニット1’の背面図である。
図10はマッサージユニット1’の断面図である。
図10は
図8及び
図9に示すB-B線を通り左右方向に垂直な面でマッサージユニット1’を切断した場合の断面図である。
図10では収納部4の図示を省略している。
図8~
図10において
図2~
図7と同一の部分には同一の符号を付す。
【0063】
マッサージ機100において、マッサージユニット1の代わりにマッサージユニット1’を用いてもよい。
【0064】
マッサージユニット1’は、揉み用回転軸15Lと揉み用回転軸15Rとが互いに独立して回転可能であり、揉み用モータ14Lが揉み用回転軸15Lを回転させ、揉み用モータ14Rが揉み用回転軸15Rを回転させる点で、マッサージユニット1と相違する。
【0065】
揉み用モータ14Lと揉み用モータ14Rとを互いに独立して制御することにより、施療子16の揉み動作と施療子17の揉み動作とを互いに独立させることができる。
【0066】
なお、マッサージユニット1の第2回転伝達部とは異なり、揉み用モータ14Lと揉み用回転軸15Lとの間に設けられる第3回転伝達部は収納部4の内部に収納されていない(
図10参照)。同様に、揉み用モータ14Rと揉み用回転軸15Rとの間に設けられる第4回転伝達部も収納部4の内部に収納されていない。
【0067】
収納部4は、マッサージユニット1の第2回転伝達部の代わりに、揉み用回転軸15Lの右端を支持する軸受部と揉み用回転軸15Rの左端を支持する軸受部を収納する。
【0068】
また、昇降用モータ6が収納部4の右側面ではなく収納部4の背面に取り付けられる点でも、マッサージユニット1’はマッサージユニット1と相違する。
【0069】
<4.その他>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0070】
たたき動作を行っている施療子16及び17の往復運動の周期を短くするためには、アクチュエータ20及び21の伸縮の周期を短くする必要がある。したがって、アクチュエータ20及び21の応答性能がさほど高くない場合、たたき動作を行っている施療子16及び17の往復運動の周期を所望値まで短くできないおそれがある。そこで、施療子16
及び17に振動子(例えば振動モータ)を内蔵し、たたき動作を行っている施療子16及び17の短周期の往復運動を振動子の振動によって生じさせてもよい。
【0071】
例えば上記実施形態においては、いわゆる椅子式マッサージ機を例に挙げて説明したが、本発明に係るマッサージユニットはいわゆるベッド式マッサージ機などにも搭載可能である。
【0072】
また、例えば固定軸5を回転軸に変更し、当該回転軸をフレーム2、フレーム3、及び収納部4に対して回転可能にし、当該回転軸の左端にガイドローラ8を固定し、当該回転軸の右端にガイドローラ9を固定してもよい。この場合、留め具22及び23を固定軸5に固定するとよい。
【符号の説明】
【0073】
1 マッサージユニット
5 固定軸
7 昇降用回転軸
12、13 ピニオンギア
15、15L、15R 揉み用回転軸
16、17 施療子
18、19 偏心回動体
20、21 アクチュエータ
100 マッサージ機
300 背凭れ部
300B、300C ガイドレール
AM1、AM2 アーム