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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011519
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】複数部品を有する捕捉装置と延伸装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/20 20060101AFI20230117BHJP
   B29C 55/16 20060101ALI20230117BHJP
   B29C 55/06 20060101ALI20230117BHJP
   B29C 55/08 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B29C55/20
B29C55/16
B29C55/06
B29C55/08
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022109403
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 117 782.0
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510331593
【氏名又は名称】ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・ヴァルトライトナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ロット
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・ヤウエルニヒ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易かつ安価に製造できしかも延伸装置への高負荷条件を満たす捕捉装置と、捕捉装置を備える延伸装置を提供する。
【解決手段】横延伸装置、縦延伸装置及び/又は同時延伸装置用の複数部品を有する捕捉装置28は、支持体32と少なくとも2つの案内部材34とを備える。支持体32は、基台36と、薄膜材を把持する把持装置30とを有し、かつ複数の案内部材34の各々は、1つの基台42と、延伸装置をレールに沿って案内をする少なくとも1つの案内部材44とを有する。複数の案内部材34の複数の基台42と支持体32の基台36は、各々別個の構成部品として製造されかつ互いに固定される。また、延伸装置も開示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸装置、特に横延伸装置(10)、縦延伸装置(10)及び/又は同時延伸装置(10)用の支持体(32)と、少なくとも2つの案内部材(34)とを含む複数部品を有する捕捉装置において、
支持体(32)は、基台(36)と、薄膜材(12)を把持する把持装置(30)とを有し、複数の案内部材(34)の各々は、1つの基台(42)と、延伸装置(10)のレール(17)に沿って案内される少なくとも1つの案内部材(44)とを有し、
案内部材(34)の複数の基台(42)と、支持体(32)の基台(36)とは、夫々別個の複数の構成部品として形成されかつ互いに結合されることを特徴とする捕捉装置。
【請求項2】
複数の案内部材(34)の複数の基台(42)及び/若しくは支持体(32)の基台(36)は、金属製でありかつ/又は鋳造で製造される請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項3】
捕捉装置(28)は、一次方向(P)に配置され、
特に、複数の案内部材(34)の複数の基台(42)は、一次方向(P)に対して平行に配置される請求項1又は2に記載の捕捉装置。
【請求項4】
複数の案内部材(34)の一方の基台(42)と支持体(32)の基台(36)との間の当接面(50)は、一次方向(P)に対して直角に配置される請求項3に記載の捕捉装置。
【請求項5】
複数の案内部材(34)の複数の基台(42)は、捕捉装置(28)の複数のねじ(52)により支持体(32)に固定され、
特に、複数のねじ(52)は、一次方向(P)に対して平行に配置される請求項1~4の何れか1項に記載の捕捉装置。
【請求項6】
捕捉装置(28)は、基部(54)と2つの脚部(56)とを有するU字形状を有し、
特に、支持体(32)の基台(36)は、基部(54)を形成し、複数の案内部材(34)の複数の基台(42)は、複数の脚部(56)の各々を形成する請求項1~5の何れか1項に記載の捕捉装置。
【請求項7】
支持体(32)は、材料側と案内側とを有し、
把持装置(30)は、材料側に設けられかつ/又は複数の案内部材(34)は、案内側で支持体(32)に固定される請求項1~6の何れか1項に記載の捕捉装置。
【請求項8】
捕捉装置(28)は、少なくとも複数の案内部材(34)で形成される篏合隙(48)を有し、
複数の基台(36,42)間の当接面(50)は、把持装置(30)と篏合隙(48)との間に配置される請求項1~7の何れか1項に記載の捕捉装置。
【請求項9】
篏合隙(48)は、支持体(32)の案内側の前方に配置されかつ/又は支持体(32)及び複数の案内部材(34)は、篏合隙(48)を形成する請求項8に記載の捕捉装置。
【請求項10】
案内部材(44)及び/又は駆動部材(46)を固定する少なくとも1つの固定部材(58)は、複数の案内部材(34)の複数の基台(42)の各々に形成され、
特に、少なくとも1つの固定部材(58)は、篏合隙(48)に隣接しかつ/又は篏合隙(48)内に配置される請求項1~9の何れか1項に記載の捕捉装置。
【請求項11】
案内部材(44)は、ローラ、摺動部材及び/又は磁性部材であり、かつ/又は、
駆動部材(46)は、チェーン、チェーンの複数の部品、リニアモータの部品及び/又は延伸装置(10)の駆動装置(16)のベルト用係合突起である請求項1~10の何れか1項に記載の捕捉装置。
【請求項12】
延伸装置、特に横延伸装置、縦延伸装置及び/又は同時延伸装置であって、レール(17)と、請求項1~11の何れか1項に記載の複数部品とを有する少なくとも1つの捕捉装置(28)とを備え、
捕捉装置(28)は、案内部材(44)を用いてレール(17)に沿って案内されることを特徴とする延伸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数部品を有する捕捉装置及び捕捉装置を備える延伸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
延伸装置は、特に、樹脂薄膜シートの製造に使用される。延伸すべき薄膜材、通常樹脂薄膜は、延伸装置に設けられる捕捉装置又は通常把持装置(クリップ)により把持され、延伸装置を通り移動する。複数の捕捉装置は、一対のループ状の案内レールに沿って移動可能に配置され、集中駆動又は個別駆動される。
【0003】
実際の延伸工程間では、把持装置に複数の大きな負荷又は外力が加得られるため、把持装置には非常に大きな負荷が掛かる。従って、捕捉装置には特別な負荷対応構造が要求される
【0004】
捕捉装置は、インベストメント鋳造、砂型鋳造、クローニング鋳造等の鋳造法により通常製造され、捕捉装置の製造には、極めて高額な費用を必要とする難点がある。また、複数の大きな空洞又は空隙を有する構造に成形される比較的複雑でかつ篏合式幾何学的形状の捕捉装置は、流延用ロールでは精密に加工できず、例えば、各構成部品への亜鉛鍍金等の後処理が困難となり、製造価格が高騰する欠陥がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、容易かつ安価に製造できしかも延伸装置への高負荷条件を満たす捕捉装置と、捕捉装置を備える延伸装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
延伸装置、特に横延伸装置、縦延伸装置及び/又は同時延伸装置用の複数部品、単一の支持体及び少なくとも2個の案内部材を備える捕捉装置により、本発明の課題が達成される。支持体は、基台と、薄膜材を把持する把持装置とを有し、各案内部材は、単一の基台と、延伸装置のレールに沿って捕捉装置を案内する少なくとも1つの案内部材とを有し、案内部材の基台と、支持体の基台とは、別個の複数の構成部品として製造されかつ互いに固定される。
【0007】
単一の支持体と2個の案内部材との複数部品に捕捉装置を分割して、より小さな個々の複数の単位構成部品を作成して、複雑な各構造を精密な複数の構成部品に簡素化すると、例えば、鋳造法に使用する流延用ロールに構成単位未加工品を狭小範囲でかつより密に取り付けることができる。
【0008】
また、例えば、表面積量に応じて決まる亜鉛鍍金処理及び追加処理工程の費用も、表面積の減少により削減される。
【0009】
本発明者らは、少なくとも3部品を有する捕捉装置を単一の支持体と少なくとも1つの別個の案内部材とに分割しても、延伸装置用の捕捉装置に課される全荷重上限要件を満足する事実を認識した。
【0010】
この場合に、支持体の基台部は、把持装置部を構成する。
【0011】
特に、把持装置は、支持体の基台に回転可能に取り付けられる少なくとも1つの揺動片を有する。
【0012】
例えば、案内部材の基台及び/又は支持体の基台は、金属製でかつ/又は一次成形で製造される。このように、捕捉装置の負荷特性を更に改善できる。
【0013】
例えば、案内部材の基台と支持体の基台は、個別構成部品として鋳造し又は鍛造される。
【0014】
一次方向に捕捉装置を配置し、特に、案内部材の基台を一次方向に対し平行に配置して負荷に伴う外力を効果的に吸収する。
【0015】
一次方向は、例えば、捕捉装置、正確には把持装置が把持する薄膜材の側縁に対して直角方向、特に直角水平方向を意味する。
【0016】
特に、案内部材の一方の基台と支持体の1つの基台との間の当接面を一次方向に対して直角(垂直)に配置して、負荷外力に対応する取付構造を構成する本発明の実施の形態もある。
【0017】
特に、当接面の大部分は、一次方向に対して直角に配置される。
【0018】
特に、一次方向に対し平行に螺合される捕捉装置のねじで案内部材の基台を支持体に単純に取り付けて、負荷外力に耐える組立構造が得られる。
【0019】
例えば、700N~900N間、特に800Nの最大外力を吸収するねじを使用して設計される。尤も、ねじは、より大きな外力も吸収する。
【0020】
ダボねじもねじに使用できる。
【0021】
特に、捕捉装置の支持体の基台は、基部を形成し、案内部材の基台は、2つの脚部の各1つを形成して、基部と2つの脚部とにより形成されるU字形構造又はU字形状により、特に安定な構造の捕捉装置を得る着想が本発明の実施の形態である。
【0022】
図3及び/又は図4にU字形構造の捕捉装置を示す。
【0023】
捕捉装置の基部は、一次方向に対し直角に配置されかつ/又は脚部は、一次方向に対し平行に配置される。
【0024】
特に、複数の案内部材は、互いに平行に配置される。
【0025】
材料側と案内側とに支持体を配置し、把持装置を材料側に設けかつ/又は複数の案内部材を案内側で支持体に固定して、捕捉装置の複数機能を明確に分離できる。
【0026】
材料側と案内側とは、一次方向側と理解される。
【0027】
少なくとも複数の案内部材で形成される篏合隙(篏合空間)を捕捉装置に設け、把持装置と篏合隙との間に複数の基台間の当接面を配置して、一次成形時に、複数の空洞による体積を大幅に低減する実施の形態も提案する。
【0028】
本発明では、複数の案内部材の一方の基台と、少なくとも1つの支持体の基台との間に設けられる当接面は、複数の基台間の当接面を形成する。
【0029】
案内装置の基台と、支持体の基台との間の当接面は、一次方向には把持装置と篏合隙との間に設けられる。
【0030】
支持体の案内側の前方に篏合隙を配置しかつ/又は、支持体と複数の案内部材により篏合隙を形成して、捕捉装置の幾何学的形状を更に単純化できる。
【0031】
複数の案内部材の複数の基台の各々に、少なくとも1つの固定部材を形成して、案内装置及び/又は駆動部材を固定し、特に、少なくとも1つの固定部材を篏合隙に隣接しかつ/又は篏合隙内に固定部材を配置して、捕捉装置の組立てを単純化する本発明の実施の形態も提案する。
【0032】
ローラ、摺動部材及び/又は磁性部材により案内装置を構成しかつ/又はチェーン、チェーン部品、リニアモータ部品及び/又は延伸装置の駆動装置のベルト用係合突起を駆動部材に設けて、信頼性のある捕捉装置を安全かつ確実にレールに沿って案内できる。
【0033】
磁性部材は、例えば、永久磁石又は磁石と強磁性を有する対部品である。
【0034】
本発明の別の課題は、レールと、複数の部品を有する少なくとも1つの捕捉装置とを備え、案内装置を使用してレールに沿って捕捉装置を案内する延伸装置、特に横延伸装置、縦延伸装置及び/又は同時延伸装置により達成される。
【0035】
捕捉装置の前記特徴と利点は、延伸装置にも該当し、その逆も成立する。
【0036】
本発明の他の特徴と利点は、下記の説明及び添付図面から明らかになろう。添付図面は、下記を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の延伸装置の第1の実施の形態を示す平面図
図2】本発明の延伸装置の第2の実施の形態を示す平面図
図3】本発明の捕捉装置の第1の実施の形態を示す斜視図
図4】本発明の捕捉装置の第1の実施の形態を示す断面図
図5図3の捕捉装置の基台の分解図
図6図4の捕捉装置に使用する支持体の基台の斜視図
図7】本発明の捕捉装置の第2の実施の形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
延伸装置10は、加熱炉14と2つの駆動装置16とを有する。
【0039】
駆動装置16は、延伸装置10の対称軸Sに対して鏡面対称にかつ少なくとも部分的に加熱炉14内に配置される。延伸すべき薄膜樹脂(薄膜材)12を延伸装置10に供給する入口領域18と排出する出口領域20では、駆動装置16の各端部は、加熱炉14の外側に突出する。
【0040】
延伸装置10は、入口領域18と出口領域20とに加えて、少なくとも3領域22,24,26を備える。
【0041】
延伸装置10の通常の移動方向又は搬送方向Rに沿い、互いに隣接する領域22,24,26は、入口領域18に隣接する第1の領域22と、次に第2の領域24と、続いて第3の領域26と、最後に出口領域20が続く。
【0042】
入口領域18に隣接する延伸装置10の第1の領域(予熱領域ともいう)22では、両駆動装置16は、互いに第1の距離だけ間隔を空ける。
【0043】
第2の領域(延伸領域ともいう)24の両駆動装置16間の距離は、漸増し、最終的に第3の領域(熱処理領域ともいう)26の開始時に、第2の距離Aに達する。
【0044】
各駆動装置16は、公知のように、薄膜材12の両側縁を夫々把持(捕捉)する複数の捕捉装置28を案内するレール17を有する。各駆動装置16を駆動すると、捕捉装置28は、レール17に沿って移動する。
【0045】
図1図2は、各駆動装置16に設けられる2つの捕捉装置28のみを象徴的に示すが、実際の延伸装置10には、より多くの捕捉装置28が設けられる。
【0046】
各駆動装置16のレール17は、入口領域18と出口領域20との間及び出口領域20と入口領域18との間を接続する閉ループ状の往復路を形成する。レール17の往路を形成する走行レールに沿って移動する複数の捕捉装置28は、加熱炉14内の入口領域18と出口領域20との間で、薄膜材(樹脂薄膜)12を把持(捕捉)して、所定の方向に移動しながら、薄膜材12を幅方向、長さ方向又は両方向に伸張する。
【0047】
図示の実施の形態では、出口領域20から入口領域18に配置される復路移動路を形成する復路レールは、通常の運転では加熱炉14内に配置されるが、図2の実施の形態に示すように、加熱炉14の外側に復路レールを配置してもよい。
【0048】
延伸装置10の入口領域18から延伸すべき薄膜材12を延伸装置10に供給して、延伸装置10が搬送方向Rに作動される。両駆動装置16の把持装置30は、搬送方向Rに配置される薄膜材12の両側縁を把持して、延伸装置10が作動される。
【0049】
正確には、複数の捕捉装置28の各々に設けられる把持装置30(図3)は、薄膜材12の両側縁を把持するので、複数の捕捉装置28の移動により、薄膜材12の両側縁は、複数の駆動装置16の両レール17に沿って移動する。
【0050】
入口領域18での薄膜材12の両側縁は、両駆動装置16間の第1の距離にほぼ対応する搬送方向Rに直角な幅Eで離間する。
【0051】
薄膜材12は、入口領域18から第1の領域22を通って加熱されつつ案内される。次に、両駆動装置16間の距離が連続的に増加する第2の領域、即ち延伸領域24では、薄膜材12は、横方向に延伸され、第2の領域24の終端の薄膜材12は、第2の幅Aを有する。
【0052】
延伸後の薄膜材12は、第3の領域26の通過中に薄膜材12の内部応力を除去し又は緩和するアニール(弛緩)処理を行い、その後、幅Aの薄膜材12は、出口領域20で複数の捕捉装置28から解放されて、延伸装置10から排出される。
【0053】
例えば、延伸装置10は、樹脂薄膜の幅延伸装置又は横方向延伸装置、横方向加熱炉(TDO, transverse direction oven)と略称される。
【0054】
第2の領域、即ち延伸領域24では、搬送方向Rの横断方向と、搬送方向Rにも薄膜材12を延伸する同時延伸装置を延伸装置10に使用してもよい。
【0055】
特に、第2の領域24の延伸領域では、薄膜材12の延伸間に、引張方向の複数の主引張力が、複数の捕捉装置28に作用する。引張方向は、複数の捕捉装置28の一次方向Pの主力成分と、一次方向Pに直交する方向の付加力成分とを有する。
【0056】
従って、特に一次方向Pに発生する複数の主引張力に耐える複数の捕捉装置28を形成しなければならない。
【0057】
一次方向Pは、捕捉装置28が把持する薄膜材12の側縁に対し水平横断方向である。
【0058】
図3図4は、単一の捕捉装置28の斜視図と断面図を夫々示す。
【0059】
捕捉装置28は、予め一次成形した後に互いに組立てられ取り付けられる複数の別個の構成部品として形成される支持体32と2個の案内部材34とを有する。このため、各捕捉装置28は、複数部品を有する。
【0060】
捕捉装置28の支持体(本体部)32は、基台36と、把持装置30とを有する。
【0061】
薄膜材12の側縁を把持する把持装置30を設ける基台36側を、材料側とも言う。案内部材34を固定するが、把持装置30のない基台36の他方側を、案内側とも言う。
【0062】
基台36の構造に対応して、支持体32も材料側と案内側とを有する。
【0063】
図示の実施の形態では、把持装置30は、基台36の支持部と、公知の方法で基台36に回転可能に支持される揺動片(ナイフフラップ)38とを有する。
【0064】
薄膜材12の側縁を把持する把持部(又は固定口)40を形成する捕捉装置28の把持装置30は、揺動片38と把持部40との間に挿入される薄膜材12の側縁を把持し固定する。
【0065】
捕捉装置28の一次方向Pは、捕捉装置28が把持する薄膜材12の側縁に対して直角(垂直)である。例えば、図4の一次方向Pは、左方向である。
【0066】
基台36の少なくとも把持部40の領域に例えば亜鉛鍍金又はニッケル鍍金が施される。
【0067】
捕捉装置28が把持する薄膜材12は、第2の領域 (延伸領域)24では、捕捉装置28に対して一次方向の引張力を受ける。
【0068】
複数の案内部材34の各々は、1つの基台42と、基台42に固定される少なくとも1つの案内装置44とを有する。
【0069】
第1の実施の形態では、案内部材34は、例えば、駆動装置16のチェーン又はチェーンの一構成部品である駆動部材46を有する。
【0070】
また、駆動部材46は、駆動装置16のベルトの係合突起又はリニアモータの一部でよい。
【0071】
図示の実施の形態では、複数の案内装置44は、複数のローラとして形成されるが、他の実施の形態では、案内装置44は、永久磁石又は強磁性体と対を構成する部品等の摺動部材及び/又は磁性部材でもよい。
【0072】
案内部材34は、横幅(厚さ)方向にレール (案内レールとも称する)17を篏合する篏合隙48を形成する。特に、レール17が篏合する1つの凹部が案内部材34の基台42の各々に設けられる。
【0073】
従って、篏合隙48は、支持体32の前方又は案内側に配置される。
【0074】
案内部材44、特にローラ及び場合により摺動部材は、篏合隙48内に突出して、篏合するレール17に当接しかつレール17の案内装置として機能する。
【0075】
図5は、例えば、製造時又は初期成形後の支持体32と複数の案内部材34の複数の基台36,42を示す分解側面図である。
【0076】
図6は、支持体32の基台36のみを案内側から見た斜視図である。
【0077】
基台36,42は、例えば、鋳造又は鍛造で製造され又は切削加工品として形成される金型鋼(欧州連合鋼合金規格G26CrMo4又はG42CrMo4)等の金属製である。
【0078】
案内部材34の基台42は、例えば、案内装置44及び/又は駆動部材46を固定する突起、凹部及び/又は窪み等の固定部材58を有する。
【0079】
篏合隙48に隣接して又は篏合隙48内に配置される固定部材58は、篏合隙48内に配置されるレール17に沿って移動される。
【0080】
当接面50で互いに当接する案内部材34の基台42と支持体32の基台36は、例えば、ダボねじ等の捕捉装置28のねじ52により互いに結合され固定される。
【0081】
ねじ52は、例えば700N~900N間、特に800Nの負荷による最大外力を吸収可能に設計される。尤も、ねじ52は、より大きな外力も吸収する。
【0082】
図4に示すねじ52は、一次方向Pに略平行に配置される。図6に示す当接面50は、例えば、支持体32の基台36から一次方向Pに対し垂直に配置される。
【0083】
このように、支持体32の基台36と, 基台42とを接合する当接面50は、一次方向Pに沿い把持装置30と篏合隙48との間に配置される。
【0084】
これにより、案内部材34の基台42は、支持体32の案内側に設けられて、支持体32の基台36から一次方向Pと平行に配置され、案内部材34又は基台42は、互いに平行に配置される。
【0085】
捕捉装置28を示す図3及び/又は図7は、支持体32と案内部材34の各基台36,42とが一体にU字形状を形成するU字形状の捕捉装置28を示す。
【0086】
図示の実施の形態では、1つの基部54と2つの脚部56とを有するU字形構造体の基部54は、案内部材34の基台36により形成され、脚部56は、案内部材34の各基台42により夫々形成される。
【0087】
基部54は、脚部56に対し直角(垂直)に配置される。複数の脚部56は、一次方向Pに対して平行に配置される。
【0088】
複数の基台36,42の各々は、捕捉装置28の全体構造と比較して、実質的に複雑な幾何学的形状でなく(案内部材34の基台42を略板状とみなせる)かつ小型のため、単一の流延ロールにより多くの基台36,42を形成し、例えば、単一部品及び場合により2部品を有する捕捉装置と比較して、製造価格を顕著に低減できる。また、より単純な幾何学形状で造形すれば、3基台分の鋳造費用を顕著に軽減できる。
【0089】
基台36,42の個別製造法により、基台36,42の製造法を大幅に単純化できる。例えば、把持部40の領域の基台36の亜鉛鍍金等の必要な製造工程も、簡単かつ安価に製造できる。
【0090】
図7は、本発明の別の実施の形態を示す断面図である。図7の実施の形態は、捕捉装置28の前記実施の形態に本質的に対応するので、相違点のみを以下説明する。同一部品及び同一の機能部品には、同一の参照符号を付する。
【0091】
図7は、第2の実施の形態の複数部品を有する捕捉装置28を、図4と同様に部分断面図で示す。
【0092】
第1の実施の形態とは異なり、案内部材34の一方の基台42を結合し固定するねじ52は、支持体32の一次方向Pに対し平行でなく、傾斜して配置される。
【0093】
当接面50(図7に太線表示)は、一次方向Pに対し直角(垂直)方向部分と、平行方向部分とを有し、接合面50により、組立作業を単純化しかつ捕捉装置28の装着安定性も向上する。
【0094】
尤も、当接面50の大部分は、一次方向Pに対して直角に形成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸装置、特に横延伸装置(10)、縦延伸装置(10)及び/又は同時延伸装置(10)用の支持体(32)と、少なくとも2つの案内部材(34)とを含む複数部品を有する捕捉装置において、
支持体(32)は、基台(36)と、薄膜材(12)を把持する把持装置(30)とを有し、複数の案内部材(34)の各々は、1つの基台(42)と、延伸装置(10)のレール(17)に沿って案内される少なくとも1つの案内部材(44)とを有し、
案内部材(34)の複数の基台(42)と、支持体(32)の基台(36)とは、夫々別個の複数の構成部品として形成されかつ互いに結合されることを特徴とする捕捉装置。
【請求項2】
複数の案内部材(34)の複数の基台(42)及び/若しくは支持体(32)の基台(36)は、金属製でありかつ/又は鋳造で製造される請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項3】
捕捉装置(28)は、一次方向(P)に配置され、
特に、複数の案内部材(34)の複数の基台(42)は、一次方向(P)に対して平行に配置される請求項1又は2に記載の捕捉装置。
【請求項4】
複数の案内部材(34)の一方の基台(42)と支持体(32)の基台(36)との間の当接面(50)は、一次方向(P)に対して直角に配置される請求項3に記載の捕捉装置。
【請求項5】
複数の案内部材(34)の複数の基台(42)は、捕捉装置(28)の複数のねじ(52)により支持体(32)に固定され、
特に、複数のねじ(52)は、一次方向(P)に対して平行に配置される請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項6】
捕捉装置(28)は、基部(54)と2つの脚部(56)とを有するU字形状を有し、
特に、支持体(32)の基台(36)は、基部(54)を形成し、複数の案内部材(34)の複数の基台(42)は、複数の脚部(56)の各々を形成する請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項7】
支持体(32)は、材料側と案内側とを有し、
把持装置(30)は、材料側に設けられかつ/又は複数の案内部材(34)は、案内側で支持体(32)に固定される請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項8】
捕捉装置(28)は、少なくとも複数の案内部材(34)で形成される篏合隙(48)を有し、
複数の基台(36,42)間の当接面(50)は、把持装置(30)と篏合隙(48)との間に配置される請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項9】
篏合隙(48)は、支持体(32)の案内側の前方に配置されかつ/又は支持体(32)及び複数の案内部材(34)は、篏合隙(48)を形成する請求項8に記載の捕捉装置。
【請求項10】
案内部材(44)及び/又は駆動部材(46)を固定する少なくとも1つの固定部材(58)は、複数の案内部材(34)の複数の基台(42)の各々に形成され、
特に、少なくとも1つの固定部材(58)は、篏合隙(48)に隣接しかつ/又は篏合隙(48)内に配置される請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項11】
案内部材(44)は、ローラ、摺動部材及び/又は磁性部材であり、かつ/又は、
駆動部材(46)は、チェーン、チェーンの複数の部品、リニアモータの部品及び/又は延伸装置(10)の駆動装置(16)のベルト用係合突起である請求項1に記載の捕捉装置。
【請求項12】
延伸装置、特に横延伸装置、縦延伸装置及び/又は同時延伸装置であって、レール(17)と、請求項1に記載の複数部品とを有する少なくとも1つの捕捉装置(28)とを備え、
捕捉装置(28)は、案内部材(44)を用いてレール(17)に沿って案内されることを特徴とする延伸装置。
【外国語明細書】