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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115231
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
B60N2/68
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105627
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2020515475の分割
【原出願日】2019-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2018087575
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018180331
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】溝井 健介
(57)【要約】
【課題】着座者の座骨に加わる圧力を低下させることと、着座者を支持する板状の部材の剛性を高くすることの両立を図ることを目的とする。
【解決手段】乗物用シート(車両用シート(S))は、左右に離間して配置された左右のサイドフレーム(11)と、左右のサイドフレーム(11)の間に配置され、着座者を支持する第1支持部材(20)と、第1支持部材(20)の左右両側に連結され、左右外側の端部が前記サイドフレームに支持されて第1支持部材(20)とともに着座者を支持する左右の第2支持部材(30)を備える。第1支持部材(20)は、板状の部材であり、着座者の座骨に対応した位置に形成された左右の座骨部貫通孔(H2)を有する。第2支持部材(30)は、少なくとも一部が、前後方向において、座骨部貫通孔(H2)の範囲内に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に離間して配置された左右のサイドフレームと、
前記左右のサイドフレームの間に配置され、着座者を支持する第1支持部材と、
前記第1支持部材の左右両側に連結され、左右外側の端部が前記サイドフレームに支持されて前記第1支持部材とともに着座者を支持する左右の第2支持部材と、を備え、
前記第1支持部材は、板状の部材であり、着座者の座骨に対応した位置に形成された左右の座骨部貫通孔を有し、
前記第2支持部材は、少なくとも一部が、前後方向において、前記座骨部貫通孔の範囲内に位置することを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの乗物に搭載される乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの乗物に搭載される乗物用シートとして、例えば、特許文献1には、クッションフレームと、クッションフレームの前部と後部に架け渡され、パッドを支持する板状のクッションパネルとを備えたシートが開示されている。この技術では、クッションパネルのうち着座者の座骨に対応した位置に、着座者の座骨周辺に加わる圧力を逃がすための孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-085840公報
【特許文献2】特開2001-245744公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、従来技術では、座骨や尾骨に対応した孔を形成することでクッションパネルの剛性が低下してしまう問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、着座者の座骨や尾骨の周辺に加わる圧力を低下させることと、着座者を支持する板状の部材の剛性を高くすることの両立を図ることを目的とする。
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係る乗物用シートは、左右に離間して配置された左右のサイドフレームと、前記左右のサイドフレームの間に配置され、着座者を支持する第1支持部材と、前記第1支持部材の左右両側に連結され、左右外側の端部が前記サイドフレームに支持されて前記第1支持部材とともに着座者を支持する左右の第2支持部材と、を備える。
前記第1支持部材は、板状の部材であり、着座者の座骨に対応した位置に形成された左右の座骨部貫通孔を有する。
前記第2支持部材は、少なくとも一部が、前後方向において、前記座骨部貫通孔の範囲内に位置する。
【0007】
この構成によれば、着座者の座骨周辺にかかる圧力を座骨部貫通孔から逃がすことができるので、着座者の座骨に加わる圧力を低下させることができる。そして、サイドフレームに支持されている第2支持部材が、着座者の臀部から大腿部の両側部をサポートすることによって、座骨周辺にかかる圧力をさらに低下させることができる。また、第2支持部材の一部が、前後方向において、座骨部貫通孔の範囲内に位置するため、第1支持部材の座骨部貫通孔周りの部位をサイドフレームで支持されている第2支持部材で補強することができ、板状の第1支持部材の剛性を高くすることができる。また、乗員に違和感を与えず、乗員を安定して支持することもできる。
したがって、着座者の座骨周辺に加わる圧力を低下させることと、着座者を支持する板状の部材の剛性を高くすることの両立を図ることができる。
【0008】
また、前記第2支持部材は、前記第1支持部材に連結される第1連結部を有し、前記第1連結部が、前後方向において、前記座骨部貫通孔の範囲内に位置していてもよい。
【0009】
これによれば、第1連結部によって、第1支持部材の座骨部貫通孔周りの部位を補強することができる。
【0010】
また、前記第2支持部材は、前記第1支持部材に連結される第2連結部を有し、前記第2連結部は、前記座骨部貫通孔よりも後に位置していてもよい。
【0011】
これによれば、第2支持部材によって第1支持部材を良好に支持することができる。
【0012】
また、前記座骨部貫通孔の縁にスリットが形成されていてもよい。
【0013】
これによれば、座骨部貫通孔の周囲の部分がスリットにより変形しやすくなるので、着座者の座骨の周囲にかかる圧力を座骨に向かうにつれて徐々に小さくすることができる。
【0014】
また、前記第1支持部材は、着座者の尾骨に対応した位置に形成された尾骨部貫通孔を有し、前記第2支持部材の一部が、前後方向において、前記尾骨部貫通孔の範囲内に位置していてもよい。
【0015】
これによれば、着座者の尾骨周辺にかかる圧力を尾骨部貫通孔から逃がすことができるとともに、第1支持部材の尾骨部貫通孔周りの部位を第2支持部材で補強することができる。
【0016】
また、前記乗物用シートは、前後方向に互いに離れて配置され、それぞれが前記左右のサイドフレームを連結する一対の連結部材をさらに備え、前記第1支持部材は、前記一対の連結部材に架け渡された複数のワイヤと、前記複数のワイヤを連結する樹脂板とを含んでなっていてもよい。
【0017】
これによれば、第1支持部材がワイヤで補強されるので、第1支持部材の剛性を高くすることができる。
【0018】
また、前記第2支持部材は、前記ワイヤに係合する第1係合部を有していてもよい。
【0019】
これによれば、第1支持部材と第2支持部材をワイヤを介して強固に連結することができる。
【0020】
また、前記乗物用シートは、前記サイドフレームの後端部を左右内側から覆うカバー部材をさらに備え、前記第2支持部材は、前記カバー部材と一体に形成されていてもよい。
【0021】
これによれば、第2支持部材の剛性を高くすることができる。
【0022】
前記スリットは、左右方向に延び、前後方向において前記第1連結部の範囲内に位置することが望ましい。
【0023】
これによれば、スリットと連結部の前後方向の位置を重ねることで、第1支持部材の支持力の低下を抑制することができる。
【0024】
また、前記樹脂板は、前記ワイヤに係合する第2係合部を有することができる。この場合、前記スリットは、前後方向に延び、少なくとも一部が、前後方向において前記第2係合部の範囲内に位置することが望ましい。
【0025】
これによれば、スリットと第2係合部の前後方向の位置を重ねることで、第1支持部材の支持力の低下を抑制することができる。
【0026】
また、前記乗物用シートは、前記第1支持部材よりも撓みやすい第3支持部材をさらに備え、前記第3支持部材は、前記座骨部貫通孔の少なくとも一部を塞ぐように、前記第1支持部材に設けられていてもよい。
【0027】
これによれば、第1支持部材よりも撓みやすい第3支持部材によって適度に着座者の座骨を支持することができるとともに、着座者の座骨周辺にかかる圧力を座骨部貫通孔に設けた第3支持部材から逃がすことができる。
【0028】
また、前記乗物用シートは、前記第1支持部材よりも撓みやすい第3支持部材をさらに備え、前記第3支持部材は、前記尾骨部貫通孔の少なくとも一部を塞ぐように、前記第1支持部材に設けられていてもよい。
【0029】
これによれば、第1支持部材よりも撓みやすい第3支持部材によって適度に着座者の尾骨を支持することができるとともに、着座者の尾骨周辺にかかる圧力を尾骨部貫通孔に設けた第3支持部材から逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る乗物用シートを示す斜視図である。
図2】クッションフレーム周りの構造を示す斜視図である。
図3】中央支持部材および後側支持部材を上から見た図(a)と、図3(a)のI-I断面図(b)である。
図4】連結部周りの構造を示す断面図である。
図5】連結部の変形例を示す断面図である。
図6】第2実施形態に係るクッションフレームを示す斜視図である。
図7】クッションフレームを示す平面図である。
図8】クッションフレームの右側の第2支持部材周りの構造を拡大して示す斜視図(a)と、尾骨部貫通孔とワイヤの関係を示す断面図(b)と、第6面、第7面および第8面の角度の関係を示す断面図(c)である。
図9】3つの固定部を示す側面図である。
図10】第1支持部材を示す断面図(a)と、リブ周りの構造を拡大して示す断面図(b)である。
図11】ワイヤを4本にした変形例を示す平面図である。
図12】ワイヤをパンフレームに係合した変形例を示す斜視図である。
図13】座骨部貫通孔と尾骨部貫通孔に第3支持部材を設けた変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車に搭載される車両用シートSとして構成され、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えている。
【0032】
図2に示すように、シートクッションS1の内部には、シートクッションS1の骨格を構成するクッションフレームF1が内蔵されている。シートクッションS1は、クッションフレームF1に、ウレタンフォームなどからなるクッションパッドと、布地や皮革などからなる表皮材を被せることで構成されている。
【0033】
クッションフレームF1は、左右のサイドフレーム11と、フロントフレーム12と、リアフレーム13と、を備えている。
左右のサイドフレーム11は、左右に離間して配置されている。各サイドフレーム11は、主に、金属板からなる、前後に長い板状のサイドフレーム本体11Aから構成されている。左右のサイドフレーム本体11Aの後端部には、シートバックS2の骨格を構成する図示しないバックフレームがリクライニング機構を介して回動可能に取り付けられている。なお、シートバックS2は、バックフレームに、ウレタンフォームなどからなるバックパッドと、表皮材を被せることで構成されている。
【0034】
フロントフレーム12とリアフレーム13は、前後に離間して配置されている。
フロントフレーム12は、金属板からなるパンフレーム12Aと、金属製のパイプ材からなるフロントパイプ12Bと、を備えている。パンフレーム12Aおよびフロントパイプ12Bは、左右のサイドフレーム本体11A(サイドフレーム11)の前端部同士を連結している。
リアフレーム13は、金属製のパイプ材からなり、左右のサイドフレーム本体11A(サイドフレーム11)の後端部同士を連結している。ここで、フロントパイプ12Bおよびリアフレーム13は、一対の連結部材に相当する。
【0035】
シートクッションS1は、第1支持部材20と、左右の第2支持部材30と、左右のカバー部材40と、を備えている。カバー部材40は、サイドフレーム11の後端部を左右内側から覆う樹脂製の部材であり、第2支持部材30と一体に形成されている。なお、シートクッションS1は、略左右対称の構造となっているため、以下の説明では、主に左右方向の一方側の構造を説明し、他方側の構造については適宜説明を省略する。
【0036】
第1支持部材20は、図示しないクッションパッドを介して着座者を下から支持する板状の部材であり、左右のサイドフレーム11の間に配置されている。第1支持部材20は、フロントパイプ12Bおよびリアフレーム13に架け渡された3つのワイヤWと、各ワイヤWを連結する3つの樹脂板PPとを含んでなる。
【0037】
3つの樹脂板PPは、前後方向に間隔を空けて並んでおり、前後方向に延びる3つのワイヤWに支持されている。
【0038】
3つのワイヤWは、金属からなり、左右方向に間隔を空けて並んでいる。3つのワイヤWの前端および後端には、それぞれ被覆部材60が配置されている。被覆部材60は、樹脂からなり、ワイヤWの前端および後端の略円弧状に曲げられた部分を覆って包むように設けられてワイヤWと一体に形成されている。被覆部材60は、左右方向にわたって切れ目が形成されたような略C字の筒状をなしている。各ワイヤWの前端および後端は、被覆部材60に覆われている。各ワイヤWの前端は、フロントパイプ12Bに係止され、後端は、リアフレーム13に係止されている。
【0039】
左右方向の中央に配置されるワイヤWは、各樹脂板PPの左右方向の中央部を支持している。左右方向両側にあるワイヤWは、各樹脂板PPの左右方向の両端部を支持している。
【0040】
なお、以下の説明では、最前方に配置される樹脂板PPを「前板21」とも称し、中央に配置される樹脂板PPを「中央板22」とも称し、最後方に配置される樹脂板PPを「後板23」とも称する。
【0041】
前板21は、平板状に形成され、図示せぬファンのダクトが通る孔H1を有している。孔H1は、左右に間隔を空けて形成されている。左右の孔H1は、中央のワイヤWと左右両側のワイヤWとの間にそれぞれ1つずつ配置されている。前板21の左右両端部は、サイドフレーム11に連結されておらず、ワイヤWのみで支持されている。
【0042】
前板21は、後端が前端よりも上に位置するように、水平面に対して傾いて配置されている。前板21の前端は、中央板22よりも上に位置している。
【0043】
中央板22は、平板状に形成され、水平面に対して略平行に配置されている。中央板22は、3つの樹脂板PPのうち最も下に位置しており、着座者の座骨に対応した位置に形成された左右の座骨部貫通孔H2を有している。すなわち、座骨部貫通孔H2は、第1支持部材20の着座者を支持する面のうち最も低い部分に設けられている。
【0044】
各座骨部貫通孔H2は、前後方向に長い長孔であり、左右方向に間隔を開けて並んでいる。左右の座骨部貫通孔H2は、中央のワイヤWと左右両側のワイヤWとの間にそれぞれ1つずつ配置されている。各座骨部貫通孔H2の面積は、例えば、20~36cm2とすることができる。座骨部貫通孔H2の前後方向のサイズは、70~90mmとすることができ、左右方向のサイズは、40~60mmとすることができる。座骨部貫通孔H2が小さすぎる場合には、座骨からの圧力を十分に逃がすことができず、大きすぎる場合には支持力が低下する。
【0045】
図3(a)に示すように、中央板22の左右の各端部には、左右方向外側に開口する切欠22Aが2つずつ形成されている。ワイヤWは、各切欠22Aを横切るように配置されている。
【0046】
中央板22の左右の各端部には、切欠22Aを挟んで配置される3つの第2係合部22Bが3つずつ形成されている。図4に示すように、各第2係合部22Bは、中央板22の下面から下方に突出し、かつ、下方に開口する断面視U形状に形成されており、ワイヤWに係合している。なお、中央板22の左右の端部は、水平面に対して傾斜しており、その上面が、後述する第2支持部材30の第2部位32の上面と略面一となっている。
【0047】
図3(a)に戻って、各座骨部貫通孔H2の縁には、6つのスリットSLが形成されている。各スリットSLは、中央板22を上下方向に貫通するとともに、一端が座骨部貫通孔H2につながって開口している。各スリットSLは、前後方向に延びるものが座骨部貫通孔H2の円弧状の前縁と後縁に1つずつ、左右方向に延びるものが左右の各縁に2つずつ設けられている。
【0048】
前後方向に延びるスリットSLは、少なくとも一部が、前後方向において第2係合部22Bの範囲内に位置する。本実施形態においては、前後方向に延びるスリットSLは、全体が前後方向において第2係合部22Bの範囲内に位置する。これにより、スリットSLと第2係合部22Bの前後方向の位置を重ねることで、第1支持部材20の支持力の低下を抑制することができる。なお、この例では、前縁のスリットSLと後縁のスリットSLの両方が第2係合部22Bと前後方向の位置が重なっているが、片方のみが第2係合部22Bと前後方向の位置が重なる形態として第1支持部材20の支持力を調整してもよい。
【0049】
左右方向に延びる各スリットSLは、前後方向において連結部34A,34Bの範囲内に位置する。これにより、スリットSLと連結部34A,34Bの前後方向の位置を重ねることで、第1支持部材20の支持力の低下を抑制することができる。なお、この例では、左右方向に延びる複数のスリットSLのすべてが前後方向において連結部34A,34Bの範囲内に位置していたが、一部のスリットSLのみが前後方向において連結部34A,34Bの範囲内に位置する形態として第1支持部材20の支持力を調整してもよい。
【0050】
図3(b)に示すように、各スリットSLが形成された座骨部貫通孔H2の周辺部H21は、座骨部貫通孔H2の中心に向かうにつれて下に位置するように傾斜している。
【0051】
図3(a)に示すように、後板23は、平板状に形成され、後端が前端よりも上に位置するように、水平面に対して傾いて配置されている。後板23の後端は、中央板22よりも上に位置している。後板23は、着座者の尾骨に対応した位置に形成された1つの尾骨部貫通孔H3を有している。尾骨部貫通孔H3は、後板23の左右方向中央に位置する。尾骨部貫通孔H3は、各座骨部貫通孔H2よりも後に配置されるとともに、左右方向の中心が左右方向において各座骨部貫通孔H2の間に配置されている。尾骨部貫通孔H3は、上面から見て略三角形状の孔であり、1つの角が前方に向くように配置されている。
【0052】
尾骨部貫通孔H3の面積は、例えば、6~12cm2とすることができる。尾骨部貫通孔H3の前後方向のサイズは、25~35mmとすることができ、左右方向のサイズは、30~40mmとすることができる。尾骨部貫通孔H3が小さすぎる場合には、尾骨からの圧力を十分に逃がすことができず、大きすぎる場合には支持力が低下する。
【0053】
後板23の左右の各端部には、左右方向外側に開口する切欠23Aが1つずつ形成されている。ワイヤWは、切欠23Aを横切るように配置されている。
【0054】
後板23の左右の各端部には、切欠23Aを挟んで配置される2つの第2係合部23Bが2つずつ形成されている。各第2係合部23Bは、前述した第2係合部22Bと同じ構造となっており、ワイヤWに係合する。なお、符号は省略するが、前板21の左右の各端部や各樹脂板PPの左右中央にも、第2係合部22B,23Bと同じ構造の係合部が形成されている。
【0055】
左右の第2支持部材30は、第1支持部材20とともに着座者を支持する部材であり、樹脂からなる。第2支持部材30は、第1支持部材20とは別体であり、第1支持部材20、詳しくは中央板22および後板23の左右両側に1つずつ配置されている。
【0056】
第2支持部材30は、サイドフレーム11の前後方向の中心よりも後に配置されている。第2支持部材30は、サイドフレーム11の上に配置される第1部位31と、第1部位31から左右方向内側および下側に斜めに延びる第2部位32と、第2部位32の左右方向内側の端部に形成された3つの連結部34A,34B,34Cと、を有している。
【0057】
第1部位31は、板状の部位であり、ボルトや樹脂爪、クリップなどによってサイドフレーム11に連結されている。第1部位31の後端部は、カバー部材40と一体に形成されている。第1部位31の一部は、前後方向において、座骨部貫通孔H2の範囲内に位置している。
【0058】
第2部位32は、着座者の臀部から大腿部の両側部を支持するための板状の部位であり、着座者の臀部等を斜め下から支えるように水平面に対して傾斜している。第2部位32の後端部は、カバー部材40と一体に形成されている。第2部位32の一部は、前後方向において、座骨部貫通孔H2の範囲内に位置している。
【0059】
3つの連結部34A~34Cは、第1支持部材20(中央板22または後板23)に連結される部位である。3つの連結部34A~34Cは、第1支持部材20に連結して第1支持部材20を支持する。前側の2つの連結部34A,34Bは、第1連結部の一例であり、前後方向において、座骨部貫通孔H2の範囲内に位置している。つまり、第2支持部材30の一部が、前後方向において、座骨部貫通孔H2の範囲内に位置している。前側の2つの連結部34A,34Bは、ワイヤWを介して中央板22に連結されている。
【0060】
最後方に位置する連結部34Cは、第2連結部の一例であり、座骨部貫通孔H2よりも後に位置している。詳しくは、連結部34Cは、前後方向において、尾骨部貫通孔H3の範囲内に位置している。つまり、第2支持部材30の一部が、前後方向において、尾骨部貫通孔H3の範囲内に位置している。最後方に位置する連結部34Cは、ワイヤWを介して後板23に連結されている。
【0061】
各連結部34A~34Cは、各板22,23の各切欠22A,23A(図3参照)内に配置されている。なお、連結部34A~34Cと各板22,23との連結構造は、略同じ構造であるため、以下の説明では、連結部34Aの構造について代表して説明する。
【0062】
図4に示すように、連結部34Aは、切欠22A内に位置するワイヤWに係合している。連結部34Aは、第2部位32から下方に延びる第1壁A11と、第1壁A11の下端から左右方向内側に延びる第2壁A12と、第2壁A12の左右方向内側の端部から上方に延びる第1係合部の一例としてのフックA13と、を主に有している。フックA13は、上端部が左右方向外側に向けて突出するフック形状となっており、このフック形状となった上端部がワイヤWに係合している。
【0063】
第1壁A11の上下方向の略中央部には、フックA13に係合するワイヤWに向けて延びる規制部A14が形成されている。規制部A14は、ワイヤWがフックA13から外れるのを規制する部位であり、規制部A14とフックA13の先端との間隔が、ワイヤWの径よりも小さくなっている。
【0064】
また、第1壁A11とフックA13との間には、ワイヤWをフックA13の先端に向けて案内するガイドリブA15が形成されている。ガイドリブA15は、前後方向に直交する面を有する板状の部位であり、第1壁A11、第2壁A12およびフックA13を繋ぐように形成されている。ガイドリブA15の上端は、第1壁A11の上端から左右方向内側および下側に向けて斜めに延びた後、フックA13に係合するワイヤWの下を通るように左右方向内側に延びてフックA13まで延びている。なお、ガイドリブA15の数は、任意であるが、例えば、ガイドリブA15を前後方向に間隔を空けて複数配置するとよい。
【0065】
次に、クッションフレームF1への第1支持部材20および第2支持部材30の取付方法について説明する。
図2に示すように、まず、左右のサイドフレーム11のそれぞれに対して、第2支持部材30を係合またはボルト締結などの方法によって取り付ける。その後、3つのワイヤWの各端部に一体形成された各被覆部材60を、フロントパイプ12Bおよびリアフレーム13に上から押し込んで嵌合させることで、フロントパイプ12Bおよびリアフレーム13に取り付ける。
【0066】
その後、ワイヤWを、左右の第2支持部材30の各連結部34A~34Cに上から押し込んで係合させる。最後に、各樹脂板PPの各第2係合部22B,23BをワイヤWに上から押し込んで係合させる。以上により、各支持部材20,30をクッションフレームF1に取り付けることができる。
【0067】
以上、本実施形態によれば、次の各効果を奏することができる。
中央板22に座骨部貫通孔H2を形成することで、着座者の座骨周辺にかかる圧力を座骨部貫通孔H2から逃がすことができるので、着座者の座骨周辺に加わる圧力を低下させることができる。第2支持部材30が、着座者の臀部から大腿部の両側部をサポートすることによって、座骨周辺にかかる圧力をさらに低下させることができる。また、第2支持部材30の一部(前側の連結部34A,34B)が、前後方向において、座骨部貫通孔H2の範囲内に位置するため、中央板22の座骨部貫通孔H2周りの部位を第2支持部材30で補強することができ、板状の中央板22の剛性を高くすることができる。
【0068】
第2支持部材30が、座骨部貫通孔H2よりも後の位置で後板23に連結される連結部34Cを有するので、第2支持部材30によって後板23を良好に支持することができる。
【0069】
座骨部貫通孔H2の縁にスリットSLが形成されることで、座骨部貫通孔H2の周囲の部分がスリットSLにより変形しやすくなるので、着座者の座骨の周囲にかかる圧力を座骨に向かうにつれて徐々に小さくすることができる。
【0070】
後板23が尾骨部貫通孔H3を有するので、着座者の尾骨にかかる圧力を尾骨部貫通孔H3から逃がすことができる。また、第2支持部材30の一部が、前後方向において、尾骨部貫通孔H3の範囲内に位置するので、後板23の尾骨部貫通孔H3周りの部位を第2支持部材30で補強することができる。
【0071】
第1支持部材20がワイヤWに係合する第2係合部22B,23Bを有するので、第1支持部材20をワイヤWで良好に支持することができる。
【0072】
第2支持部材30がワイヤWに係合するフックA13を有するので、第1支持部材20と第2支持部材30をワイヤWを介して強固に連結することができる。また、このようにワイヤWを介して第1支持部材20と第2支持部材30を連結することで、第1支持部材20に荷重がかかった際に、第1支持部材20の左右の端部がワイヤWを中心に回動するので、第1支持部材20の上下方向の移動量を大きくすることができ、着座者の座り心地を向上させることができる。
【0073】
第2支持部材30がカバー部材40と一体に形成されているので、第2支持部材30の剛性を高くすることができる。
【0074】
前板21,121と、中央板22,122と、後板23,123は、間隔が大きく空いているため、着座時に大きな荷重がかかった場合でも、相互に干渉することを抑制できる。また、前板21,121と、中央板22,122と、後板23,123とを1枚の樹脂板で構成した場合に比較して、3枚の樹脂板で着座者の荷重を受けることになるため、より適切な荷重配分を実現することができる。
なお、前板21,121と、中央板22,122と、後板23,123どうしの間隔は、体の大きい乗員の体型と体重を考慮した上で、当該乗員の着座時に相互の樹脂板が干渉しない程度の間隔をもたせるものとする。
【0075】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
【0076】
前記実施形態では、第2係合部22Bを中央板22の下面から突出させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、第2係合部22Bを中央板22の上面から突出させてもよい。なお、その他の係合部も同様に、樹脂板の上面から突出させてもよい。
【0077】
また、以下に示す第2実施形態のように車両用シートSを構成してもよい。なお、第2実施形態において、前記実施形態と略同様の構成には、同一符号を付して説明を省略することとする。
【0078】
図6および図7に示すように、第2実施形態に係る車両用シートSは、前記実施形態とは異なる第1支持部材120および第2支持部材130を備えている。第2実施形態において、ワイヤWは、前端がフロントパイプ12Bに係合し、後端がリアフレーム13に係合している。
【0079】
第1支持部材120は、前板121と、中央板122と、後板123と、を備えている。前板121、中央板122および後板123は、それぞれ、矩形の板状に形成されている。
【0080】
前板121は、前述した孔H1(図2参照)を有さない点で前記実施形態とは異なっている。
【0081】
中央板122は、第1折れ線L1および第2折れ線L2を基準に折れ曲がっている。第1折れ線L1は、左右方向に沿った線であり、左右の座骨部貫通孔H2を通るように配置されている。詳しくは、第1折れ線L1は、座骨部貫通孔H2の前後方向中央よりも後方に配置されている。また、第1折れ線L1は、長孔である座骨部貫通孔H2の左右の直線部分に配置されるスリットSLを通るように配置されている。
【0082】
第2折れ線L2は、中央板122の左右両端部に1本ずつ設けられている。右側の第2折れ線L2は、第1折れ線L1の右端から前斜め右側に向けて延びて中央板122の右端に繋がる部分と、第1折れ線L1の右端から前後方向に沿って後方に延びて中央板122の後端に繋がる部分と、を有している。左側の第2折れ線L2は、右側の第2折れ線L2と略左右対称となるように構成されている。
【0083】
中央板122の上面は、第1面SF1と、第2面SF2と、2つの第3面SF3と、を有している。第1面SF1は、第1折れ線L1を基準に第2面SF2に対して傾斜し、第3面SF3は、第2折れ線L2を基準に第1面SF1および第2面SF2に対して傾斜している。
【0084】
図10(a)に示すように、第1面SF1は、第2面SF2の前端(第1折れ線L1)から前斜め上方に延びる傾斜面であり、前板121の上面121Aと略面一となるように配置されている。第2面SF2は、第1面SF1の後端から後方に向けて略水平に延びている。
【0085】
図6および図7に示すように、左右の第3面SF3は、左右の第2折れ線L2に対して左右方向外側に配置されている。右側の第3面SF3は、右側の第2折れ線L2から右斜め上方に向けて延びる傾斜面である。左側の第3面SF3は、右側の第3面SF3と略左右対称となるように構成されている。
【0086】
中央板122の上面の右端は、第1面SF1の右端と、第3面SF3の右端とで構成されている。中央板122の上面の左端は、第1面SF1の左端と、第3面SF3の左端とで構成されている。中央板122の上面の後端は、第2面SF2の後端と、左右の第3面SF3の後端とで構成されている。
【0087】
後板123は、略水平に配置されるベース部123Aと、ベース部123Aの後端から後ろ斜め上方に延びる縦壁部123Bと、ベース部123Aと縦壁部123Bとに連結される複数のリブ123Cと、を有している。複数のリブ123Cは、左右方向に間隔を空けて並んでいる。
【0088】
ベース部123Aは、前記実施形態と略同様の尾骨部貫通孔H3を有している。本実施形態では、3本のワイヤWのうち真ん中に配置されるワイヤW、詳しくは尾骨部貫通孔H3を前後に横切るように配置されるワイヤWは、尾骨部貫通孔H3に対応する部位が、図8(b)に示すような形状に形成されている。詳しくは、ワイヤWは、尾骨部貫通孔H3の前後の部分を支持する2つの支持部W1と、下方に向けて凹むような形状の凹形状部W2と、を有している。
【0089】
凹形状部W2は、前側の支持部W1から後斜め下方に延びる前部W21と、前部W21の下端から後方に延びる底部W22と、底部W22の後端から後斜め上方に延びて後側の支持部W1に繋がる後部W23と、を有している。前部W21は、上下方向から見て尾骨部貫通孔H3の前端に重なっている。後部W23は、上下方向から見て尾骨部貫通孔H3の後端に重なっている。このような凹形状部W2をワイヤWに形成することで、車両用シートSから着座者の尾骨に加わる圧力を小さくすることができる。
【0090】
図6および図7に示すように、ベース部123Aは、左右の第3折れ線L3を基準に折れ曲がっている。左右の第3折れ線L3は、前後方向に沿った線であり、左右の第2折れ線L2の延長線上に配置されている。
【0091】
ベース部123Aの上面は、第4面SF4と、2つの第5面SF5と、を有している。2つの第5面SF5は、それぞれ、第3折れ線L3を基準に第4面SF4に対して折り曲げられている。
【0092】
第4面SF4は、略水平に延びる面であり、中央板122の第2面SF2と略面一となるように配置されている(図10(a)参照)。
【0093】
左右の第5面SF5は、左右の第3折れ線L3に対して左右方向外側に配置されている。右側の第5面SF5は、右側の第3折れ線L3から右斜め上方に向けて延びる傾斜面である。左側の第5面SF5は、右側の第5面SF5と略左右対称となるように構成されている。
【0094】
図10(b)に示すように、縦壁部123Bは、その下部に、後斜め下方に向けて凹む凹部B1を有している。凹部B1は、縦壁部123Bの右端から左端まで延びている。
【0095】
リブ123Cは、凹部B1の底から上方に突出している。リブ123Cの上面は、縦壁部123Bの前面とベース部123Aの上面とを滑らかに繋ぐ曲面を有している。
【0096】
図6に示すように、右側の第2支持部材130は、サイドフレーム11の上に配置される第1部位131と、第1部位131から左右方向内側および下側に延びる第2部位132と、第2部位132の左右方向内側の端部に形成された3つの連結部134A,134B,134Cと、を有している。第1部位131および第2部位132の後端部は、サイドフレーム11の後端部を左右内側から覆うカバー部材140と一体に形成されている。
【0097】
図8(a)に示すように、第2部位132は、第4折れ線L4、第5折れ線L5および第6折れ線L6を基準に折り曲げられている。第4折れ線L4は、第2部位132の上端の後部から第2部位132の前端まで前斜め下方に延びている。第5折れ線L5は、第4折れ線L4よりも左右方向内側、かつ、下方の位置で、略前後方向に沿って延びている。第6折れ線L6は、第5折れ線L5よりも左右方向内側、かつ、下方の位置で、略前後方向に沿って延びている。
【0098】
第2部位132の内面は、第6面SF6と、第7面SF7と、第8面SF8と、第9面SF9と、を有している。第7面SF7は、第4折れ線L4を基準に第6面SF6に対して傾斜している。第8面SF8は、第5折れ線L5を基準に第7面SF7に対して傾斜している。第9面SF9は、第6折れ線L6を基準に第8面SF8に対して傾斜している。
【0099】
第6面SF6は、第1部位131の左右方向内側の端から左右方向内側、かつ、下方に向けて傾斜する傾斜面であり、水平面に対する角度は、第1角度θ1となっている(図8(c)参照)。
【0100】
第7面SF7は、第6面SF6の下端から左右方向内側、かつ、下方に向けて傾斜する傾斜面であり、水平面に対する角度は、第1角度θ1よりも大きな第2角度θ2となっている(図8(c)参照)。
【0101】
第8面SF8は、第7面SF7の下端から左右方向内側、かつ、下方に向けて傾斜する傾斜面であり、水平面に対する角度は、第1角度θ1よりも小さな第3角度θ3となっている(図8(c)参照)。つまり、前述した各角度の関係は、θ3<θ1<θ2となっている。また、第8面SF8は、前述した第3面SF3および第5面SF5と略面一となるように配置されている。
【0102】
第9面SF9は、第8面SF8の下端から下方に延びている。第9面SF9には、3つの連結部134A,134B,134Cと、2つの突出部P1,P2とが形成されている。なお、以下の説明では、3つの連結部134A,134B,134Cを、それぞれ、第1連結部134A、第2連結部134B、第3連結部134Cとも称し、2つの突出部P1,P2を、それぞれ、第1突出部P1、第2突出部P2とも称する。
【0103】
3つの連結部134A,134B,134Cは、ワイヤWに連結される部位であり、第9面SF9の下部から第1支持部材120に向けて突出している。第1連結部134Aは、第9面SF9の前端に配置され、第3連結部134Cは、第9面SF9の後端に配置され、第2連結部134Bは、第1連結部134Aと第3連結部134Cの間に配置されている。第1連結部134Aから第2連結部134Bまでの距離は、第2連結部134Bから第3連結部134Cまでの距離よりも小さい。
【0104】
2つの突出部P1,P2は、第9面SF9から第1支持部材120に向けて突出し、第9面SF9の上端から下端にわたって形成されている。第1突出部P1は、第1連結部134Aと第2連結部134Bとの間に配置されている。
【0105】
第1突出部P1は、第2突出部P2よりも前後方向の長さが大きくなっている。詳しくは、第1突出部P1の前後方向の長さは、第1連結部134Aと第2連結部134Bとの間の間隔と略同じ大きさとなっている。
【0106】
第2突出部P2は、第2連結部134Bと第3連結部134Cとの間に配置されている。第2突出部P2から第2連結部134Bまでの距離は、第2突出部P2から第3連結部134Cまでの距離よりも大きい。
【0107】
なお、左側の第2支持部材130は、右側の第2支持部材130と多少形状が異なるように構成してもよいし、左右対称に構成してもよい。
【0108】
図9に示すように、第2支持部材130とカバー部材140とが一体化されてなる部品ASは、サイドフレーム11の上に配置される上壁AS1と、サイドフレーム11の後に配置される後壁AS2と、第1固定部71と、第2固定部72と、第3固定部73と、を有する。上壁AS1は、前述した第1部位131を含む部位であり、後部が後斜め上方に向けて傾斜している。後壁AS2は、上下方向に延び、後方に凸となる湾曲形状となっている。
【0109】
第1固定部71は、上壁AS1、詳しくは第1部位131の前端部に配置されている。第1固定部71は、第1部位131の左右方向外側の端から下方に向かって延びている。第1固定部71の先端部は、サイドフレーム11の側面に係合している。
【0110】
第2固定部72は、上壁AS1の前後方向中央よりも後方に配置されている。第2固定部72は、上壁AS1の傾斜した部分の左右方向外側の端から後斜め下方に向かって延び、その先端部がサイドフレーム11の側面に係合している。
【0111】
第3固定部73は、後壁AS2の上部に配置されている。第3固定部73は、後壁AS2の左右方向外側の端部から前方に延び、その先端部がサイドフレーム11の側面に係合している。
【0112】
第3固定部73は、上下方向において、第2固定部72と略同じ位置に配置されている。第2固定部72および第3固定部73は、第1固定部71よりも上方に配置されている。また、第3固定部73は、第2固定部72よりも後方に配置され、第2固定部72は、第1固定部71よりも後方に配置されている。
【0113】
図7に示すように、第1固定部71と第1連結部134Aは、前後方向における位置が重なるように配置されている。具体的には、第1固定部71の前部は、前後方向において、第1連結部134Aの範囲内に配置されている。これにより、第1固定部71とサイドフレーム11との取付剛性や第1連結部134AとワイヤWとの取付剛性を高めることができる。
【0114】
また、第1固定部71と座骨部貫通孔H2は、前後方向における位置が重なるように配置されている。具体的には、第1固定部71は、その全体が、前後方向において、座骨部貫通孔H2の範囲内に配置されている。これにより、第1固定部71とサイドフレーム11との取付剛性を高めることができる。
【0115】
前述した第2実施形態では、第1固定部71の一部を前後方向において第1連結部134Aの範囲内に配置したが、本発明はこれに限定されず、固定部の少なくとも一部が前後方向において連結部の範囲内に配置されていればよく、例えば固定部の全体が前後方向において連結部の範囲内に配置されていてもよい。
【0116】
また、第2実施形態では、第1固定部71の全体を前後方向において座骨部貫通孔H2の範囲内に配置したが、本発明はこれに限定されず、固定部の少なくとも一部が前後方向において座骨部貫通孔の範囲内に配置されていればよい。
【0117】
前述した各実施形態では、ワイヤWの数を3本としたが、本発明はこれに限定されず、例えば2本であってもよいし、4本以上であってもよい。なお、例えばワイヤを2本とした場合には、2本のワイヤを第1支持部材の左右両端に配置するとよい。
【0118】
図11に示すように、ワイヤWを4本とした場合には、4本のうち2本のワイヤWを第1支持部材120の左右両端に配置し、残りの2本のワイヤWを、2つの座骨部貫通孔H2を前後に横切るように配置してもよい。なお、この場合、真ん中の2本のワイヤWのうち座骨部貫通孔H2に対応する部位は、それぞれ、図8(b)に示すような凹形状部W2とするとよい。これによれば、車両用シートSから着座者の座骨に加わる圧力を小さくすることができる。
【0119】
また、図12に示すように、ワイヤWの前端は、パンフレーム12Aに係合していてもよい。
【0120】
図13に示すように、車両用シートSは、第1支持部材120よりも撓みやすい第3支持部材51,52をさらに備えていてもよい。第3支持部材51,52は、例えば、布状の部材やゴムなどであってもよい。
【0121】
第3支持部材51は、左右の座骨部貫通孔H2に対して1つずつ設けられている。第3支持部材51は、座骨部貫通孔H2の全部を塞ぐように第1支持部材120の中央板122に設けられている。
【0122】
また、第3支持部材52は、尾骨部貫通孔H3に対して設けられている。第3支持部材52は、尾骨部貫通孔H3の全部を塞ぐように第1支持部材120の後板123に設けられている。
【0123】
これによれば、樹脂製の第1支持部材120よりも撓みやすい第3支持部材51,52によって適度に着座者の座骨や尾骨を支持することができるとともに、着座者の座骨・尾骨周辺にかかる圧力を第3支持部材51,52から逃がすことができる。
【0124】
なお、第3支持部材は、座骨部貫通孔の少なくとも一部を塞ぐように第1支持部材に設けられていればよい。また、第3支持部材は、尾骨部貫通孔の少なくとも一部を塞ぐように第1支持部材に設けられていればよい。さらに、第3支持部材は、第1支持部材を成形するときに、座骨部貫通孔および尾骨部貫通孔を薄いメッシュ状に成形することで設けてもよい。
【0125】
前記実施形態では、第1支持部材20と第2支持部材30をワイヤWを介して連結したが、本発明はこれに限定されず、第1支持部材と第2支持部材を、ボルトなどによって直接連結してもよい。
【0126】
前記実施形態では、第2支持部材30を板状に形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第2支持部材は、棒状、例えばワイヤなどであってもよい。
【0127】
前記実施形態では、第1支持部材20に尾骨部貫通孔H3を形成したが、本発明はこれに限定されず、第1支持部材に尾骨部貫通孔がなくてもよい。
【0128】
前記実施形態では、第2支持部材30の一部を前後方向において座骨部貫通孔H2の範囲内に配置したが、本発明はこれに限定されず、第2支持部材の全体が前後方向において座骨部貫通孔の範囲内に配置されていてもよい。
【0129】
また、係合部の形状は、フック形状に限られず、U字形状の溝や、先端部にかえし形状を有する爪など他の形状であってもよい。
【0130】
前記実施形態では、座骨部貫通孔H2の周囲に傾斜面を設けていたが、傾斜面はなくてもよい。座骨部貫通孔H2の縁にスリットSLを設けなくてもよい。さらに、座骨部貫通孔H2と同様に、尾骨部貫通孔H3の縁にスリットを設けたり、尾骨部貫通孔H3の周囲に傾斜面を設けてもよい。
【0131】
前記実施形態では、左右方向に延びるスリットSLの前後方向における位置が、連結部34A,34Bと重なっていたが、左右方向に延びるスリットSL(複数ある場合にはその少なくとも一つ)の前後方向における位置が、第2係合部22Bと重なる形態としてもよい。
【0132】
前記実施形態では、前後方向に延びるスリットSLの前後方向における位置が、第2係合部22Bと重なっていたが、前後方向に延びるスリットSL(複数ある場合にはその少なくとも一つ)の前後方向における位置が、連結部34A,34Bと重なる形態としてもよい。
【0133】
前記実施形態では、座骨部貫通孔、尾骨部貫通孔と貫通孔を例にしたが、凹部とすることもでき、貫通孔に対応する部分に、樹脂板を構成する材料よりも撓み易い弾性部材を設けることもできる。
【0134】
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
【0135】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13