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特開2023-115328薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法及びプログラム
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  • 特開-薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115328
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230810BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107610
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2020099001の分割
【原出願日】2020-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】516302270
【氏名又は名称】株式会社カケハシ
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 知也
(57)【要約】
【課題】薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を提供する。
【解決手段】まず、患者は、処方情報をサーバ110に送信する(S201)。サーバ110は、必要に応じて、薬剤間の優先順位を決定する(S202)。次いで、サーバ110は、各薬剤に対応づけられた一組の質問のうちの1又は複数の質問を選定し(S203)、第1の端末120に当該複数の質問の質問文又は質問識別子を含む質問情報を送信する(S204)。第1の端末120では、受信した質問情報に含まれる複数の質問及び各質問に対する複数の回答候補の少なくとも一部が、表示画面400に表示され、選択された回答の回答情報がサーバ110に送信される(S205)。サーバ110は、受信した回答情報に含まれる回答の回答文又は回答識別子が、適正であるか否かを判定し(S206)、不適正である場合、第2の端末130で表示するためのアラートを生成する(S207)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、
コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から通知を受領した後に、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップをさらに含む。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、
前記アラートは、不適正と判定された回答の回答文又は回答識別子及びそれに対応する質問の質問文又は質問識別子を含む。
【請求項4】
請求項1又は2記載の方法であって、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して行うことを特徴とする。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、
前記選定は、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うことを特徴とする。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記コンピュータが、前記第2の端末から、前記アラートの対象である薬剤についての指導の指導文又は指導識別子を含む指導情報を受信して、前記指導情報を前記第1の端末に送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【請求項6】
コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から通知を受領した後に、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと
を含む。
【請求項7】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置であって、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子 に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定し、
前記第1の端末から通知を受領した後に、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信して、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医師の診断を受けた患者は発行された処方箋を薬局で渡し、薬剤師から薬剤の交付を受ける。患者は、薬剤を受け取る際に薬剤師から服薬指導を受ける。出願人による特許文献1には、薬剤師が十分な服薬指導を患者に対して行うことを可能とするための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6381088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、薬剤師は、患者が適切に薬剤を服用できるよう指導を行っており、それを円滑に行うための技術も存在するものの、患者が薬剤師の下を訪れる頻度は高くないことから、服用期間全体からすれば、薬剤師が患者を指導できる機会は限られており、服用期間において、当該患者に処方された各薬剤が期待される効能を副作用なく生んでいるか、そもそも適正に服用されているかを十分に把握できていない。
【0005】
薬剤師が、各患者とのコミュニケーションを薬剤交付後も取り続けることができれば、患者の状況(patient condition)の把握を継続可能であるが、個々の薬剤師が扱う患者数は多く、すべての患者とのコミュニケーションを取り続けることは現状現実的ではない。一例として、1日に100人の患者が訪れる薬局の場合、1月に20日間営業と考えた場合月間2000人の患者に薬剤の交付を行うこととなる。一度に交付される薬剤は複数であることが多いことから、薬剤数で計算すれば数千にのぼる。患者の状況を十分に把握することができなければ、薬剤師は各患者に対して適切な指導を行うこともできない。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置、方法又はそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップとを含む。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様であって、前記アラートは、不適正と判定された回答の回答文又は回答識別子及びそれに対応する質問の質問文又は質問識別子を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様であって、前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、第3の態様であって、前記選定は、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様であって、前記回答情報に含まれる回答が適正である場合に、適正と判定された回答に対応する質問の優先順位を所定期間低下させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、第1の態様であって、前記第2の端末から、前記アラートの対象である薬剤についての指導の指導文又は指導識別子を含む指導情報を受信して、前記指導情報を前記第1の端末に送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第7の態様は、第1の態様であって、前記処方情報に複数の薬剤が含まれる場合に、各薬剤のグループを判定し、優先順位の最も高いグループに属する1又は複数の薬剤について、前記選定を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第8の態様は、コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップとを含む。
【0015】
また、本発明の第9の態様は、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置であって、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定して、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信し、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信し、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、患者の処方情報に基づいて1又は複数の質問を選定して、患者端末に送信し、それに対応する回答が不適正である場合に薬剤師端末にアラートを表示可能とすることによって、薬剤交付後の患者状況を把握し、問題の生じているおそれのある患者を多数の患者の中から効率的に検知し、必要性の高い服薬指導を優先して行うことことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかるシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態における方法の流れ図である。
図3】本発明の一実施形態において生成された処方情報の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における患者の回答画面の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態における薬剤師に対するアラート通知画面の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる薬剤師が患者に服薬指導を含むメッセージを送信するためのメッセージ送信画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1に本発明の一実施形態にかかるシステムを示す。システム100は、サーバ110と、サーバ100を介して互いに通信可能な患者が用いる第1の端末120及び薬局又は薬剤師が用いる第2の端末130とを備える。
【0020】
第1の端末120は、スマホ、タブレットなどの携帯端末とすることができ、撮像素子を備え、処方箋に記載された処方情報を表す二次元コード141を撮像して、処方情報を生成する。二次元コード141は、お薬手帳データシートなどの薬剤とともに交付される書類140に記載されており、患者は、これをたとえば自宅で第1の端末120を用いて撮影することができる。
【0021】
サーバ110は、通信インターフェースなどの通信部111と、プロセッサ、CPU等の処理部112と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部113とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができ、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。サーバ110は、記憶部113とは別に、後述する質問文の送信等に必要となるデータを格納するデータベース114をさらに備えてもよいが、以下の説明ではこれらを区別せずに記憶部113と言及する。また当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部113又はサーバ110からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部112において実行することができる。図示しないが、第1の端末120及び第2の端末130についても、同様の構成とすることができる。第1の端末120及び第2の端末130には、それぞれ本実施形態にかかる継続的な服薬指導を可能とするためのアプリケーションが必要に応じてインストールされている。
【0022】
図2に、本実施形態にかかる薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法の流れ図を示す。まず、患者は、自宅等で書類140に記載された二次元コード141をスマホなどの第1の端末装置120によって撮影して生成される処方情報をサーバ110に送信する(S201)。ここで、二次元コード141は、書類140に記載されたものとして説明したが、電子的に第1の端末120が受信してもよく、二次元コード141を処理することによって二次元コード141により表される処方情報が生成されればよい。
【0023】
図3に、生成された処方情報の一例を示す。患者氏名として「中尾 豊」、薬剤名として「ムコダイン錠250mg」、薬剤識別子としてYJコード「2233002F1174」などが記述されている。図示するように「ムコダイン錠250mg」以外にも薬剤名が記述され、複数の薬剤に関する情報が処方情報に含まれることがある。処方情報300の形式は、二次元コード141を生成したシステムによって必ずしも同一ではない。また、処方情報は、二次元コード141により表されるものに限らず、1又は複数の薬剤の薬剤名及び薬剤識別子の少なくとも一方を含むものであればよい。
【0024】
サーバ110は、処方情報に複数の薬剤が含まれる場合、必要に応じて、薬剤間の優先順位を決定する(S202)。たとえば、重篤な副作用の生じ得る麻薬、抗がん剤等を含む第1のグループ、第1のグループに属する薬剤よりも軽度ではあるがリスクの高い副作用の生じ得る第2のグループ、副作用の懸念は高くないものの継続的な服薬指導の必要性が高い第3のグループ、その他の薬剤の第4のグループなどの区分が考えられる。一実施形態において、処方情報に含まれる複数の薬剤のそれぞれについて、グループを判定し、最も優先順位の高いグループに属する1又は複数の薬剤を以後の処理の対象として、必要性の高い服薬指導が優先して行われるようにすることができる。
【0025】
次いで、サーバ110は、処方情報に含まれる薬剤について、各薬剤に対応づけられた一組の質問のうちの1又は複数の質問を選定し(S203)、第1の端末120に当該複数の質問の質問文又は質問識別子を含む質問情報を送信する(S204)。サーバ110は、薬剤と一組の質問との対応づけを記憶部113又はサーバ110からアクセス可能な記憶媒体若しくは記憶装置に記憶しており、第1の端末120から受信した処方情報に含まれる薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、当該一組の質問の少なくとも一部を抽出することができる。一実施形態において、抽出の際に又は抽出した後に、各質問に付与された優先順位を参照して、所定の数の上位の質問を第1の端末120への送信対象として選定することができる。選定された質問の送信は、定期的に行っても、第1の端末120から何らかの通知を受信したことに応じて行ってもよく、さまざまな時点で行うことができる。
【0026】
一例として、薬剤「インスリン」につき、以下の14個の質問文を対応づけることが挙げられる。
「未使用のインスリンは冷蔵庫に保管していますか?」
「注射する前に液が出るか確認していますか?」
「注入ボタンが止まるまで押し切っていますか?」
「注入ボタンを押し切った後に指定された秒数を数えてから針を抜いていますか?」
「開封後のインスリンは室温(1~30℃)で保管できていますか?」
「1回使用した注射針は廃棄していますか?」
「使用済みの針の処理方法を理解していますか?」
「注射をした後に注射した部位から出血することはありますか?」
「注射部位の皮膚が固くなっていませんか?」
「同じ部位に連続して注射しないように気を付けていますか?」
「足の先や裏、手の指に痛みやしびれなどはありませんか?」
「ものが見えづらかったり、文字が読みづらかったりしませんか?」
「おしっこの出が悪かったり、むくみやすくなったりしていませんか?」
「少し動いただけで疲れやすかったり、息切れしやすかったりしていませんか?」
【0027】
各質問にはスコアを付与し、その大小によって質問間の優先順位を決定して、上位3個の質問を選定することが考えられる。優先順位は、患者状況をより効率的に把握するために、質問情報を送信した患者の過去の回答履歴、質問情報を送信した患者に限られない過去の回答履歴等の処方情報以外の情報も考慮して決定してもよい。
【0028】
第1の端末120では、受信した質問情報に含まれる複数の質問及び各質問に対する複数の回答候補の少なくとも一部が、表示画面400に表示され、患者が好ましくはタップ又はクリックによって選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報がサーバ110に送信される(S205)。図4に、回答画面の一例を示す。3つの質問文が表示され、各質問に対して、複数の回答候補の回答文が選択可能に表示されている。換言すれば、一例として、サーバ110から送信される質問情報は、各質問に対する複数の回答候補をスマートフォン、タブレット等の携帯端末においてタップにより選択可能に表示可能な形式のものとすることが好ましい。図4では、スクロールして表示される質問3以降について省略している。サーバ110は、受信した回答情報を、回答した患者及び当該患者が入力した処方情報の少なくとも一方に関連づけて、記憶部113又はサーバ110からアクセス可能な記憶媒体若しくは記憶装置に記憶する。
【0029】
サーバ110は、受信した回答情報に含まれる回答の回答文又は回答識別子が、適正であるか否かを判定し(S206)、不適正である場合、第2の端末130で表示するためのアラートを生成する(S207)。第2の端末130を用いる薬剤師は、このように薬剤交付後も患者状況を継続して把握し、問題の生じているおそれのある患者を多数の患者の中から効率的に検知することによって、すなわち、効率的にトリアージして、必要性の高い服薬指導を優先して行うことができる。
【0030】
判定結果が適正である場合、サーバ110は、当該質問に対して適正な回答がなされたことを記憶し(S208)、所定の期間当該質問が選定されないように当該質問の優先順位を低下させることが好ましい。このことによって、患者状況をより詳細に把握し、問題の生じているおそれのある患者をより効率的に検知することが可能となり、必要性の高い服薬指導を優先して行うことができる。所定の期間としては、たとえば1月、3月等が挙げられる。が複数の質問が質問情報には含まれているので、ある質問について適正な回答がなされ、他の質問について不適正な回答がなされることが想定される。
【0031】
回答の適否判定は、サーバ110が、回答とその適否との対応づけを参照することによって行うことができる。当該対応づけは、記憶部113又はサーバ110からアクセス可能な記憶媒体若しくは記憶装置に記憶しておけばよい。具体的には、適正な回答には1、不適正な回答には0のフラグを立てることとして、「注射する前に液が出るか確認していますか?」という質問に対する回答候補のうち「確認している」に1、「忘れてしまうことがある」「確認していない」「やり方がわからない」に0を対応づけておけばよい。
【0032】
生成されたアラートは、第2の端末130がサーバ110が提供するウェブサイトにアクセスして閲覧する場合のほか、第2の端末130にインストールされたアプリケーションに送信され、当該アプリケーション上で閲覧する場合がある。一例として、アラートは、不適正な回答がなされた質問文及び当該質問文に対する回答文を表示させ、薬剤師に、必要に応じて当該患者に向けたメッセージの作成を促すものとすることが考えられる。図5に、アラート通知画面の一例を示す。上述の説明では、サーバ110が受信した処方情報に基づくアラート生成について記述したが、質問ではない形式の入力情報を第1の端末110から受信し、所定の判定基準に基づいてアラートを生成することも考えられる。かかる入力情報の例として、図5に示すように、体温、排便回数等の体調(body condition)が挙げられる。
【0033】
第2の端末130を用いる薬剤師は、表示されるアラートを確認し、対応が必要と判断される場合に、患者に対する服薬指導を含むメッセージを生成する(S209)。図6に、メッセージ作成画面の一例を示す。薬剤師は、アラートの対象である薬剤についての指導の指導文を選択することができ、選択された指導文を含むメッセージをサーバ110を介して第1の端末110に送信することができる(S210)。サーバ110の視点では、アラートの対象である薬剤についての指導の指導文又は指導識別子を含む指導情報を第2の端末130から受信し、当該指導情報を第1の端末110に送信する流れとなる。
【0034】
上述の説明では、サーバ110が処方情報を初めて受信した場合について説明を行ったが、同一の患者から同一の薬剤を含む処方情報を受信した場合、質問の選定を独立して行ってもよく、過去の当該患者の回答履歴に基づいて、適正な回答がなされた質問の優先順位を低下させて選定を行ってもよい。
【0035】
なお、「のみに基づいて」、「のみに応じて」、「のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0036】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0037】
100 システム
110 サーバ
111 通信部
112 処理部
113 記憶部
114 データベース
120 第1の端末
130 第2の端末
140 書類
141 二次元コード
300 処方情報
400 回答画面
500 アラート通知画面
600 メッセージ作成画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法であって、
コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から通知を受領した後に、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記コンピュータが、前記回答情報に含まれる回答が適正であるか否かを判定し、不適正である場合に、薬剤師が用いる第2の端末で表示するためのアラートを生成するステップをさらに含む。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、
前記アラートは、不適正と判定された回答の回答文又は回答識別子及びそれに対応する質問の質問文又は質問識別子を含む。
【請求項4】
請求項1又は2記載の方法であって、
前記選定は、薬剤と一組の質問との対応づけを参照して行うことを特徴とする。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、
前記選定は、前記処方情報に含まれる前記薬剤に対応づけられた一組の質問のうち各質問に付与された優先順位の高い順に行うことを特徴とする。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記コンピュータが、前記第2の端末から、前記アラートの対象である薬剤についての指導の指導文又は指導識別子を含む指導情報を受信して、前記指導情報を前記第1の端末に送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【請求項7】
コンピュータに、薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記コンピュータが、患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から通知を受領した後に、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信するステップと
を含む。
【請求項8】
薬剤交付後の服薬指導を継続的に行うための装置であって、
患者が用いる第1の端末から受信した処方情報に含まれる薬剤の薬剤名又は薬剤識別子 に基づいて、前記薬剤に対応づけられた1又は複数の質問を選定し、
前記第1の端末から通知を受領した後に、前記第1の端末に、前記1又は複数の質問の質問文又は質問識別子及び各質問に対する複数の回答候補の回答文又は回答識別子を含む質問情報を送信して、前記第1の端末から、前記患者が選択した回答の回答文又は回答識別子を含む回答情報を受信する。