(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115343
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】生検針及び標的組織のリアルタイムでの可視化のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108026
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2021133823の分割
【原出願日】2017-12-06
(31)【優先権主張番号】62/430,987
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、オースティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン
(57)【要約】
【課題】本発明は、内視鏡検査の分野に関する。
【解決手段】特に、本発明は、標的組織のリアルタイムでの可視化のためのシステム及び方法であって、生検針の配置や方向づけをその最初の作動前に決定することを可能にする方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材を備え、該長尺部材は、編組部分と、非編組部分と、前記編組部分及び前記非編組部分を通って延びるルーメンとを備え、前記編組部分は前記非編組部分よりも近位にあり、かつ、前記ルーメンは、超音波トランスデューサを含むカテーテルを受け入れるように構成されており、
高エコー材料を備え、該高エコー材料は前記長尺部材の前記非編組部分に配置され、前記高エコー材料は、前記超音波トランスデューサによって生成された画像内において組織サンプリング要素の位置を示すためのものである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡検査の分野に関する。特に、本発明は、標的組織のリアルタイムでの可視化を可能にするシステム及び方法であって、生検針を最初に作動する前と検体を採取する前に、当該生検針の効率的、かつ、正確な配置や方向づけを可能にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアル型気管支腔内超音波(R-EBUS:Radial endobronchial ultrasound)は、臨床所見が肺通路内での組織生検が必要であることを示す場合に、最少侵襲的な選択肢として提供される。従来のR-EBUS経気管支針吸引(TBNA:transbronchial needle aspiration)は、気管支鏡の作業チャネルを通してラジアル型超音波プローブを標的気道まで送達すること、R-EBUSで標的肺小結節を可視化すること、アクセスシースの配置をロックすること、アクセスシースからラジアル型超音波プローブを取り外すこと、次いで、生検針を手探りで進行させて、細胞学的評価のために細胞物質を採取すること、を伴う。組織サンプリング処置が開始された後まで生検針を可視化できないと、生検針によって全く標的小結節を見つけられないことが多くなる。標的小結節の問題のない生検の保証を支援するために、医療専門家は、通常は、気管支鏡を回転させながら、生検針を肺組織内へ複数回作動させる。そのような繰り返しの生検針の作動は、健康な組織への不要な外傷、過度の出血、胸膜嚢の穿刺(例えば、気胸)、血管の穿刺、処置持続時間及び/又はコストの増加並びに誤診の可能性(例えば、偽陰性)を含む様々な医療的なマイナスの結果を生じ得る。
【0003】
特に肺内視鏡検査の分野において、医療専門家が最初の針の作動前に生検針と標的組織とをリアルタイムで可視化できる組織サンプリングシステムに臨床的利点があり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、その様々な態様において、肺小結節のリアルタイムでの可視化を可能にするサンプリングシステムであって、生検針の配置や方向づけを、当該生検針の最初の作動前と検体採取前に効率的かつ正確に決定することを可能にするサンプリングシステムのために、肺内視鏡検査の分野などの医療分野において利点を提供する。
【0005】
一態様では、本発明は、近位端、遠位端、及び前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンを備える第1の構成要素と、第1の構成要素の遠位端に取り付けられた組織サンプリング要素とを備える装置に関する。第1の構成要素の近位端は、凹部を含み得る。組織サンプリング要素は、例えば、生検針を含み得る。組織サンプリング要素は、概ね直線状の姿勢を含み得る。組織サンプリング要素は、概ね直線状の姿勢と概ね湾曲した姿勢との間で移行し得る。
【0006】
別の態様では、本発明は、近位端と、遠位端と、近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンとを備える第1の構成要素、及び、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを備える第2の構成要素を備えるシステムに関する。第1の構成要素の近位端は、第2の構成要素の遠位端に着脱可能に取り付けられて、一続きのルーメンを形成し得る。超音波カテーテルは、第1の構成要素及び第2の構成要素の一続きのルーメンを通って延び得る。外装チューブは、第1の構成要素と、第2の構成要素と、超音波カテーテルとの周りに摺動可能に配置され得る。超音波カテーテルは、第2の構成要素のルーメンに締まり嵌めを形成するシース内に摺動可能に配置された超音波プローブを含み得る。組織サンプリング要素は、第1の構成要素の遠位端に取り付けられ得る。第1の構成要素の近位端は、第2の構成要素の遠位端から延びるポストを受け入れるように構成された凹部を含み得る。第2の構成要素のポストは、第1の構成要素の凹部に締まり嵌めを形成し得る。第1の構成要素のルーメンは、ポストが凹部内に配置された際に、第2の構成要素のルーメンと整合して、一続きのルーメンを形成し得る。シースの一部分は、超音波プローブを越えて遠位方向に延び得る。シースの一部分は、編組材料を含み得る。編組材料は、超音波プローブの近位部分に沿って延び得る。超音波プローブを越えて遠位方向に延びるシースの部分は、非編組材料を含み得る。シースは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを含み得る。シースのルーメンは、第1の直径部及び第2の直径部を含み得る。システムは、外装チューブを摺動可能に受け入れるように構成された作業チャネルを備える送達装置をさらに含み得る。超音波プローブの近位端は、モータ駆動ユニットに接続され得る。システムは、外装チューブを摺動可能に受け入れるように構成された作業チャネルを備える送達装置をさらに含み得る。
【0007】
別の態様では、本発明は、方法に関し、該方法は、超音波カテーテルの周りに着脱可能に配置されている、インターロックされた第1の構成要素及び前記第2の構成要素を備える組織サンプリングシステムを、身体内通路を通して進行させることと、超音波カテーテルを用いて、身体内通路と共に標的組織を撮像することと、第1の構成要素の一部分が標的組織に貫入するように組織サンプリングシステムを進行させることと、身体内通路から組織サンプリングシステムを引き出すこととを備える方法に関する。前記方法は、組織サンプリングシステムを進行させる前に組織サンプリングシステムを回転させて、第1の構成要素を標的組織と整合することをさらに備え得る。組織サンプリングシステムは、標的組織の撮像と同時に進行され得る。
【0008】
本発明の非限定的な例は、例として、添付図面を参照して説明され、図面は、概略的であるため、縮尺通りであることを意図していない。図面では、図示のそれぞれの同一又はほぼ同一の構成要素は、一般に、単一の符号で示され得る。明瞭にするために、説明によって当業者が本発明を理解できるようにする必要がない場合、全ての構成要素が全ての図面において符号を付されるわけでも、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されるわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による組織サンプリングシステムの概略図。
【
図2】本発明の一実施形態による超音波カテーテルの遠位部分の概略図。
【
図3】本発明の一実施形態によるコネクタ構成要素の概略図。
【
図4A】本発明の一実施形態による、直線状の組織採取要素を備えるサンプリング構成要素の概略図。
【
図4B】本発明の一実施形態による、湾曲した組織採取要素を備えるサンプリング構成要素の概略図。
【
図5】本発明の一実施形態による、超音波カテーテルにインターロックされたコネクタ構成要素及びサンプリング構成要素の概略的な拡大図。
【
図6】本発明の一実施形態による外装チューブの遠位部分の概略図。
【
図7A】本発明の一実施形態による肺小結節のサンプリングに伴う工程を示す図。
【
図7B】本発明の一実施形態による肺小結節のサンプリングに伴う工程を示す図。
【
図7C】本発明の一実施形態による肺小結節のサンプリングに伴う工程を示す図。
【
図7D】本発明の一実施形態による肺小結節のサンプリングに伴う工程を示す図。
【
図7E】本発明の一実施形態による肺小結節のサンプリングに伴う工程を示す図。
【
図7F】本発明の一実施形態による肺小結節のサンプリングに伴う工程を示す図。
【
図8A】本発明の一実施形態による組織採取要素からの組織検体の取り出しに伴う工程を示す図。
【
図8B】本発明の一実施形態による組織採取要素からの組織検体の取り出しに伴う工程を示す図。
【
図8C】本発明の一実施形態による組織採取要素からの組織検体の取り出しに伴う工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、本発明の典型的又は例示的な実施形態のみを示すものとすることに留意されたい。従って、図面は、本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。ここで、本発明について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明をさらに詳細に説明する前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、及び添付の特許請求の範囲を越えて限定するものではないことも理解されたい。別段の定義がなければ、本明細書で使用される全ての専門用語は、本発明が属している技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。最後に、本発明の実施形態は、リアルタイムでの可視化及び肺小結節のサンプリングを特に参照して説明するが、本明細書で開示するシステム及び方法は、例えば、心臓、脈管系、循環系、胃腸(GI:gastrointernal)管、胃、食道、泌尿生殖器系などを含む様々な身体の管腔内から生検検体を取得するために使用され得る。
【0012】
本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上明白に他の意味を示す場合を除いて複数形も含むものとする。用語「備える」及び/若しくは「備えている」又は「含む」及び/若しくは「含んでいる」は、本明細書で使用されるとき、述べた機構、領域、工程、要素及び/又は構成要素が存在することを明記するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことをさらに理解されたい。
【0013】
本明細書では、用語「遠位端」は、患者に装置を導入するときに医療専門家から最も離れている端部を指す一方、用語「近位端」は、患者に装置を導入するときに医療専門家に最も近い端部を指す。
【0014】
本発明は、一般的に、超音波カテーテルの外表面に取り付けられたコネクタ構成要素との鍵又は圧入による相互作用により、超音波カテーテルに可逆的に(例えば、着脱可能に)接続されたサンプリング構成要素を含む組織サンプリングシステムを提供する。コネクタ構成要素及びサンプリング構成要素の結合の幾何学的形状により、超音波カテーテルに対するサンプリング構成要素の回転及び/又は平行移動を防止し、かつ固定アライメントを提供し、これにより、各組織サンプリング工程前に、医療専門家が、標的小結節に対してサンプリング構成要素がラジアル超音波画像のいずれの象限に出現するかを知ることができるようにする。
【0015】
図1を参照して、一実施形態において、本発明は、超音波カテーテル130(例えば、ラジアル型超音波カテーテル)の周りに配置された第1の構成要素110(例えば、サンプリング構成要素)及び第2の構成要素120(例えば、コネクタ構成要素)を備える組織サンプリングシステム100を提供する。第1の構成要素110は、遠位端124から延びる組織サンプリング要素118(例えば、生検針、細い吸引針、生検ブラシなど)をさらに含み得る。外装チューブ150は、超音波カテーテル130及び第1の構成要素110と第2の構成要素120の周りに摺動可能に配置され得る。超音波カテーテル130は、超音波プローブ138(例えば、ラジアル型超音波プローブ)の遠位端132に配置された超音波トランスデューサ136を含み得る。超音波トランスデューサ136と超音波プローブ138とは、シース140内に摺動可能に配置され、このシースは、近位端(図示せず)と、遠位端144と、近位端と遠位端144との間に延びるルーメン146とを含み得る。超音波プローブ138の近位端(図示せず)は、超音波プローブ138と超音波トランスデューサ136とを固定シース140内で進行させ(例えば、遠位方向に動かし)、かつ、引っ込める(例えば、近位方向に動かす)ように構成されたモータ駆動ユニット(MDU:motor drive unit)に取り付けられ得る。シース140は、細くて曲がりくねった身体内通路を通してナビゲーションするために必要な機械的特性を提供する様々な材料から形成され得る。
【0016】
様々な実施形態において、超音波カテーテル130の周りでの第1の構成要素110と第2の構成要素120の位置は、組織サンプリング要素118が超音波トランスデューサ136にごく接近していることにより、従来の組織サンプリングシステムを凌駕する顕著な利点を提供し得る。具体的には、図示のような構成は、標的組織のラジアル超音波画像が生成されているときに(例えば、リアルタイムで)組織サンプリング要素118を標的組織(例えば、5mm以下の範囲)にごく接近して配置できるようにし得る。標的組織にごく接近させることにより、その組織サンプリング要素118を従来の生検針よりもはるかに短くできる。例えば、従来の肺生検針は、50センチメートル以上の長さを含み得るが、本発明の組織サンプリング要素は、25cm未満(例えば、20cm以下、15cm以下、10cm以下、5cm以下、2.0cm以下)の長さを含み得る。サンプリング要素118の長さを劇的に短くすることにより、生産コストを削減でき、かつ、標的組織のより信頼性が高く正確なサンプリングを可能にする。
【0017】
図2に示すように、超音波トランスデューサ136から近位方向に延びるシース140の一部分は、編組材料140a(例えば、可撓性ポリマー、炭素繊維、金属及び/又はテキスタイル材料などの織り合わせられた撚糸)を含み得る。該編組材料140aは、高い剛性(例えば、押し込み性)及びトルク性(torqueability)を提供して、超音波カテーテル130と、シース140に取り付けられた第1の構成要素及び前記第2の構成要素とを、シース140の近位端(図示せず)を作動させる(例えば、押し込む及び引く)ことにより、外装チューブ内を介して遠位方向に進行させること、及び、近位方向に引っ込めることができるようにする。追加的に、又は代替的に、超音波トランスデューサ136を越えて遠位方向に延びるシース140の一部分は、非編組材料140b(例えば、透明なプラスチック、シリコーン及びゴム材料などの少なくともいずれか1つ)を含み得る。該非編組材料140bは、超音波エネルギーを一貫して信頼性高く伝搬するために好適な流体(例えば、等張食塩水など)が断続的に流され得る導管を提供し得る一方、超音波画像の品質や標的小結節の可視化に影響を及ぼすことはない。非編組材料140bはまた、十分な可撓性及び/又は変形性をもたらして、組織採取工程中に曲がること、すなわち撓むことができ、組織サンプリング要素が標的小結節への貫入を邪魔されたり、妨害されたりしないようにし得る。
【0018】
一実施形態において、超音波トランスデューサ136を越えて遠位方向に延びるシース140の一部分は、「帯状」の高エコー(例えば、放射線不透過性)材料を含み得る。該高エコー材料(hyperechoic material)は、ラジアル超音波画像上に暗い部分(例えば、切れ端(slice))として出現する。例えば、高エコー材料は、押出プロセス前に、シース140を構成する1種又は複数のポリマー材料に混合された好適な粉末状物質(例えば、硫酸バリウムなど)を含み得る。追加的に、又は代替的に、高エコー材料は、超音波トランスデューサ136を越えて遠位方向に延びるシース140の一部分内に埋め込まれた、又は他の方法で該一部分内に接着及び/若しくは付着された、薄い帯状の金属材料(例えば、銅、真鍮、ステンレス鋼など)を含み得る。第1の構成要素110とシース140とは、軸方向に回転しないように両者が互いに固定されているため、しかも、超音波カテーテル130の向きは、第1の構成要素110周りに固定されているため、組織サンプリング要素が超音波トランスデューサ136の後ろ側に(例えば、近位方向に)配置される場合でも、ラジアル超音波画像上での高エコーの帯の位置により、医療専門家は、組織サンプリング要素118の相対的な位置を特定できる。例えば、「帯状の」高エコー材料は、組織サンプリング要素から正反対側の(例えば、180度偏倚している)シース140の部分に配置され得る。ラジアル超音波画像を可視化している間、組織サンプリングシステム100の外装チューブ150は、リアルタイムで回転されて、超音波プローブを遠位方向に進行させて組織サンプリング要素118を標的小結節内へ送達する前に、標的小結節の正反対側の位置に「帯状」の高エコー材料を配置し得る。
【0019】
図3は、
図1の第2の構成要素120を切り離して示す概略図を示す。第2の構成要素120は、近位端122と、遠位端124と、近位端122と遠位端124との間に延びるルーメン126とを含み得る。第2の構成要素120は、遠位端124から延びるポスト128(例えば、アーム、タブなど)をさらに含み得る。
図4Aは、
図1の第1の構成要素110を切り離して示す概略図を示す。第1の構成要素110は、近位端112と、遠位端114と、近位端112と遠位端114との間に延びるルーメン116とを含み得る。近位端112は、凹部113(例えば、ポケットなど)を含んでいてもよく、該凹部113は、第2の構成要素120のポスト128を鍵形式又は圧入式で受け入れて、第1の構成要素110と第2の構成要素120とをインターロックする(
図5)ように構成される。いくつかの実施形態において、凹部113は、さらに後述するように、貫通ルーメンであってもよく、該貫通ルーメンは、第1の構成要素110の近位端からサンプリング要素118の近位端まで延びて、採取された検体を取り出すための一続きのルーメンを提供する。第1の構成要素110は、同心の標的小結節をサンプリングするために、遠位端114から延びる概ね直線状の組織サンプリング要素118(例えば、生検針、細い吸引針、生検ブラシなど)をさらに含み得る。代替的に、
図4Bに示すように、第1の構成要素110は、偏心した標的小結節をサンプリングするために、外装チューブを越えて遠位方向に進行し、かつ、当該外装チューブの内部での拘束から解放されると、直線姿勢から湾曲姿勢に動くように構成された組織サンプリング要素118を含み得る。
図4A及び
図4Bの組織サンプリング要素は、例えば、ポリマーの共押出プロセス中、第1の構成要素を形成する材料内に埋め込まれ得、及び/又は好適な樹脂、糊、又はエポキシなどを使用して固定され得る。代替的に、組織サンプリング要素118は、後述するもののような別の装置で検体を取り出すために、組織採取後に第1の構成要素から取り外し可能であり得る。
【0020】
図5を参照して、第2の構成要素120は、超音波カテーテルを、第2の構成要素120のルーメン126を通して進行させる(例えば、摺動させる)ことにより、超音波カテーテル130のシース140の遠位部分に取り付けられて、シース140の外表面とルーメン126の内表面との間に締まり嵌めを形成し得る。第2の構成要素120とシース140の外表面との間の締まり嵌めは、医療処置の期間中、第2の構成要素が超音波カテーテル130に沿って軸方向に、かつ/又は回転して動くのを防止するには十分強力であり得るが、医療専門家が、片手(両手)で同時にねじって引く/押す力を加えることにより、第2の構成要素120を動かす(例えば、再配置する)ことができる、又は取り外す(例えば、切り離す、若しくは分離する)ことができるように十分弱い。代替的に、第2の構成要素120は、好適な溶接、はんだ、ろう付け、接着剤、グルー及び/又は樹脂により、超音波カテーテル130のシース140に恒久的に付着され得る。引き続き
図5を参照して、第2の構成要素120が超音波カテーテル130に確実に取り付けられた状態で、第1の構成要素110は、当該第1の構成要素110の凹部113が、第2の構成要素120のポスト128を受け入れ、もって締まり嵌め(例えば、鍵嵌め又は圧入)を形成しつつ、超音波カテーテル130の遠位部分の外側に進行し得る。凹部113とポスト128との間の締まり嵌めは、第1の構成要素110と第2の構成要素120とを適切に整合して結合する可逆性のインターロックを確立し、医療処置が継続している間にわたって、超音波カテーテル130のシース140に対する第1の構成要素110の半径方向及び/又は軸方向の動きを防止し得る。超音波カテーテル130のシース140に沿った及び/又はその周りでの第1の構成要素110の回転による及び/又は軸方向の動きは、シース140の外表面とルーメン116の内壁との間の摩擦力によってさらに制限され得る。上述したように、第1の構成要素110と、第2の構成要素120と、超音波カテーテル130(例えば、シース140の外表面)との間で組み合わせられる1つ又は複数の締まり嵌めは、医療処置中(例えば、患者内において)、超音波カテーテル130に沿って第1の構成要素が軸方向に、かつ/又は回転して動くことを防止するには十分強力であり得るが、医療専門家が、片手(又は両手)で十分な力を加える(例えば、ねじる及び/又は引く)ことにより、第2の構成要素120及び超音波カテーテル130から第1の構成要素110を取り外したり又は切り離したりし得るように十分弱い。
【0021】
図6を参照して、一実施形態において、外装チューブ150は、近位端(図示せず)と、遠位端154と、近位端と遠位端154との間に延びる可変直径ルーメンを含み得る。例えば、外装チューブ150の遠位部分は、第2の構成要素120と、第1の構成要素110と、超音波カテーテル130とを収容(例えば、嵌合)し、かつ、保護するように構成された第1の直径156aを備えるルーメンを含み得る。外装チューブ150の残余の部分は、第1の直径156aよりも小さく、かつ超音波カテーテルを摺動可能に受け入れるように構成された第2の直径156bを含み得る。より小さい第2の直径156bは、外装チューブ150の壁の厚さを厚くして、押し込み性、操作性、並びに曲げ及び/又はもつれに対する耐性を高め得る。追加的に、又は代替的に、より小さい直径の第2の直径156bは、超音波カテーテルをその長さに沿って拘束して、細くて曲がりくねった身体内通路を組織サンプリングシステムが進行されるときに外装チューブ内での過度の曲げを防止し得る。外装チューブ150は、曲がったり、もつれたり、及び/又は破損したりすることなく、曲がりくねった身体内通路をナビゲーションするために必要な機械的特性(例えば、剛性、押し込み性、可撓性、トルク性)を提供するために様々な材料から形成され得る。外装チューブ150は、1種以上の編組材料(例えば、可撓性ポリマー、炭素繊維、金属及び/又はテキスタイル材料などの織り合わせられた撚糸)をさらに含み、外装チューブの全て(又は一部分)に沿って剛性、トルク性及び/又は可撓性を高め得る。外装チューブは、従来の気管支鏡の作業チャネルを通過するように構成された外径158(例えば、約2.0mm-約4.0mm)を含み得る。外装チューブ150は、二重直径ルーメンに何ら限定されず、限定されるものではないが、単一直径ルーメン、テーパ付き直径ルーメンなどを含めた様々なルーメン直径を含み得る。
【0022】
図7A-7Fを参照して、例として、使用時、気管支鏡2は、気管を通って標的肺小結節付近の気管支の気道内へ進行され得る(
図7A)。気管支鏡(例えば、同心又は偏心)によって可視化される肺小結節のタイプに応じて、適切な(例えば、それぞれ真直ぐな又は湾曲した)第1の構成要素110が、超音波カテーテル130に既に取り付けられている第2の構成要素120へ圧入される。超音波トランスデューサ136は、上述したようにMDUを進めることにより、組織サンプリング要素118のチップを越えて遠位方向に配置され得る。次いで、組織サンプリングシステム100は、例えば、シース140を近位方向に引っ込めることにより、予め決められた位置へ近位方向に引っ込められて、(例えば、シース140及び超音波トランスデューサ136の遠位端を被覆する)超音波カテーテル130及び第1の構成要素110の組織サンプリング要素118に外装チューブ150を被せ得る。超音波トランスデューサ136及び組織サンプリング要素118を外装チューブ150内に囲繞することにより、超音波トランスデューサを保護するとともに、組織サンプリング要素118が内視鏡ルーメンに係合すること、及び/又は、標的肺小結節を特定する前に肺組織を時期尚早に穿刺することを防止し得る。次いで、外装チューブ150は、気管支鏡2の作業チャネル4を通して進行され(例えば、ねじ込まれる、押し込まれるなど)、遠位方向に作業チャネル4を越えて、肺小結節8に隣接する気管支の気道内へ進行され得る(
図7B)。次いで、シース140の近位端(図示せず)(例えば、編組材料140aを含む部分)は、超音波トランスデューサ136が、外装チューブ150の遠位端154を越えて(例えば、その外側に)配置され、かつ、肺小結節8の超音波画像を提供し得る(
図7C)ように、遠位方向に進行される。肺小結節8の位置及び向きが決定された状態で、超音波プローブ138は、組織サンプリング要素118のチップの若干後ろ側に(例えば、その近位方向に)超音波トランスデューサ136を配置し得るように(
図7D)、MDUにより固定シース140を介して近位方向に引っ込められて、組織サンプリング要素118(及び肺小結節8)をラジアル超音波画像上で可視化できるようにする。組織サンプリングシステム100は、必要に応じて回転されて、組織サンプリング要素118を肺小結節8と整合し得る。代替的に、超音波プローブを近位方向に引っ込めて組織サンプリング要素を可視化するのではなく、超音波トランスデューサ136に対する組織サンプリング要素118の相対位置は、シース140の一部分に一体的に形成された「帯状」の高エコー材料をラジアル超音波画像上で可視化することによって決定され得る。上述したように、組織サンプリングシステムは、必要に応じて回転されて、「帯状」の高エコー材料の位置に基づいて組織サンプリング要素118を肺小結節8と整合し得る。次いで、組織サンプリング要素118は、超音波カテーテル130と、取り付けられた第1の構成要素110及び第2の構成要素120とが外装チューブ150を通って遠位方向に動き得る(
図7E)ようにシース140の近位端(図示せず)を作動させることによって、肺小結節8に進行される。シース140は、組織サンプリング要素118内に十分な組織検体を取得するために必要な回数だけ作動され得る(例えば、伸長される及び引っ込められる)。
図7Fを参照して、組織検体は、
図4Bに示すように曲がった、すなわち湾曲姿勢を含む組織サンプリング要素118を使用して、偏心した肺小結節から取得され得る。組織サンプリング要素118が細胞学的分析に十分な量の組織検体を含んでいる、と医療専門家が決定すると、シース140の近位端(図示せず)は、近位方向に引っ込められて、超音波トランスデューサ136と組織サンプリング要素118とを外装チューブ150内に配置し得る。超音波トランスデューサ136と組織サンプリング要素118とが外装チューブ150内に配置されている(例えば、保護されている)状態で、外装チューブ150は、近位方向に引っ込められて、組織サンプリングシステム100を、身体内通路から内視鏡の作業チャネルを通して取り外し得る。
【0023】
図8Aを参照して、組織サンプリングシステム100が患者から取り外された後、第1の構成要素110は、第2の構成要素120との鍵嵌め又は圧入されたインターロックから分離され得る。次いで、組織サンプリング要素118は、第1の構成要素から取り外されるとともに、排出システム70の対応する取付部品80、例えばルアーロックに取り付けられ得る(
図8B)。例えば、排出システム70(例えば、スタイレットガン、シリンジアセンブリなど)は、チャンバー78内に収納されたバネ76を通過する長尺状のスタイレット74に取り付けられたプランジャー72を含み得る。一実施形態において、凹部113は、第1の構成要素110の長手部分を通して延びて(図示せず)、組織サンプリング要素118のルーメンが凹部113と整合し、かつ、同一の広がりを有するようにする。プランジャー72が押し下げられると、バネ76は、チャンバー78内で圧縮姿勢へ動き、かつ長尺状のスタイレット74を作動させて、取付部品80と組織サンプリング要素118のルーメンを通過し、細胞学的分析のために組織検体82を排出する(
図8C)。代替的に、プランジャーを押し下げることにより、圧縮空気のパルス(スタイレットではなく)を強制的に取付部品80と組織サンプリング要素のルーメンに通すようにして組織検体を排出し得る。
【0024】
本発明の医療装置は、気管支鏡に限定されず、例えばカテーテル、尿管鏡、十二指腸鏡、結腸鏡、関節鏡、膀胱鏡、子宮鏡などを備える、身体内通路にアクセスするための様々な医療装置を含み得る。代替的に、本発明の組織サンプリングシステムは、付随する医療装置がない場合、患者内に配置され得る。
【0025】
組織サンプリングシステムの様々な構成要素(例えば、第1の構成要素110、第2の構成要素120、シース140、外装チューブ150)及び排出システム70は、当技術分野で知られているような押出(例えば、射出成形)及び/又はダイカスト技術を使用して、好適なポリマー材料からユニタリーに形成され得る。好適な材料の非限定的な例は、ポリオレフィン;ポリアミド(例えば、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン6/12、ナイロン6、ナイロン66などのナイロン);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT));ポリエーテル;ポリウレタン;ポリビニル;ポリアクリル酸;フルオロポリマー;コポリマー、及び、例えばポリエーテルとポリアミドとのブロックコポリマー(例えば、ペバックス(PEBAX)(登録商標))といった、コポリマーのブロックコポリマー、;及びこれらの混合物を含み得る。紫外線硬化性ポリマー、例えばポリイミド及びアクリル又はメタクリル系ポリマー及びコポリマーも使用され得る。バルーンに使用され得る好適なポリマーの他の例は、ポリエチレン、ポリエチレンイオノマー、ポリエチレンコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(例えば、ハイトレル(Hytrel)(登録商標))及びこれらの組み合わせを含む。追加的に、又は代替的に、これらの構成要素のいずれか又は全ては、当技術分野で知られているような金属、セラミック又は硬化プラスチック材料を含み得る。
【0026】
様々な構成要素のサイズ、形状及び/又は構成は、図面に示すものに限定されない。例えば、第1の構成要素110と第2の構成要素120は、必ずしも図示の円形及び/又は長円形の形状及び/又は開口に限定されない。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項目1]
近位端と、
遠位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンと
を備える、第1の構成要素、及び、
近位端と、
遠位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンと
を備える、第2の構成要素、であって、
前記第1の構成要素の前記近位端が前記第2の構成要素の前記遠位端に着脱可能に取り付けられて一続きのルーメンを形成する、前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素と、
前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素の前記一続きのルーメンを通って延びる超音波カテーテルと、
第1の直径部と第2の直径部とを有する可変直径ルーメンを含み、前記第2の直径部は前記第1の直径部の第1の直径よりも小さい第2の直径を有する外装チューブを備え、
前記可変直径ルーメンの第1の直径部は、前記第1の構成要素と、前記第2の構成要素と、前記超音波カテーテルとの周りに摺動可能に配置された、前記外装チューブの遠位部分に含まれ、
前記可変直径ルーメンの第2の直径部は、前記遠位部分の近位側における前記外装チューブの壁の厚さを厚くしているシステム。
[項目2]
前記超音波カテーテルは、前記第2の構成要素の前記ルーメンに締まり嵌めを形成するシース内に摺動可能に配置された超音波プローブを備える、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記第1の構成要素の前記遠位端に取り付けられた組織サンプリング要素をさらに備える、項目1又は2に記載のシステム。
[項目4]
前記第1の構成要素の前記近位端は、前記第2の構成要素の遠位端から延びるポストを受け入れるように構成された凹部を含む、項目1から3のいずれか一項に記載のシステム。
[項目5]
前記第2の構成要素の前記ポストは、前記第1の構成要素の前記凹部に締まり嵌めを形成する、項目4に記載のシステム。
[項目6]
前記第1の構成要素の前記ルーメンは、前記ポストが前記凹部内に配置された際に、前記第2の構成要素の前記ルーメンと整合して、一続きのルーメンを形成する、項目4又は5に記載のシステム。
[項目7]
前記シースの一部分は、前記超音波プローブを越えて遠位方向に延びる、項目2に記載のシステム。
[項目8]
前記シースの一部分は、編組材料を含む、項目2に記載のシステム。
[項目9]
前記編組材料は、前記超音波プローブの近位部分に沿って延びる、項目8に記載のシステム。
[項目10]
前記超音波プローブを越えて遠位方向に延びる前記シースの前記一部分は、非編組材料を含む、項目7に記載のシステム。
[項目11]
前記シースは、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンとを含む、項目2に記載のシステム。
[項目12]
前記超音波プローブの近位端は、モータ駆動ユニットに接続されている、項目2に記載のシステム。
[項目13]
前記外装チューブを摺動可能に受け入れるように構成された作業チャネルを備える送達装置をさらに備える、項目1から12のいずれか一項に記載のシステム。
[項目14]
前記組織サンプリング要素は、生検針を含む、項目3に記載のシステム。
【0027】
本明細書で開示及び特許請求される装置及び/又は方法の全ては、本発明に照らして、過度の実験を行わずに作製及び実行され得る。本発明の装置及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されており、当業者には、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明する装置及び/又は方法並びに方法の工程又は一連の工程における変形形態が適用され得ることが明らかであり得る。当業者に明白なそのような同様の置換形態及び修正形態の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨、範囲及び概念内にあるとみなされ得る。