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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115350
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】薬剤払出し装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108196
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2020185754の分割
【原出願日】2019-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2018093610
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】豊田 直道
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(57)【要約】
【課題】包装中の散薬の量に過不足が生じる原因となる事態を検知することができる薬剤払出し装置を提供する。
【解決手段】 散薬を排出する薬剤フィーダと、動力によって回転される分配皿35と、分配皿35に投入された散薬を掻き出す掻出装置37と、薬剤包装装置53とを有し、薬剤フィーダから分配皿35に散薬を供給し、分配皿35上の散薬を一服用分ずつ掻出装置37で掻き出して薬剤包装装置53に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する。薬剤フィーダからの散薬の排出量を監視し薬剤フィーダから目標量の散薬を排出することが可能であり、薬剤フィーダからの散薬の単位時間あたりの排出量に一定以上のばらつきがあった場合に、所定の動作を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器と、散薬を排出する薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤包装装置と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、
薬剤払出し装置は、処方情報の基づき薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出し、一服用分ずつ分配皿に排出された散薬を分配皿から薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実行するという一連の動作を行うものであって、
薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出しているとき、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、散薬の残量が一定の閾値以下に減少した薬剤容器の分包動作が当該分包動作を行う前に中断され、操作表示部に薬剤容器が欠品となる予告が表示され、
下記(1)乃至(4)の動作:
(1)使用者が、薬剤容器が欠品となる予告された表示を手動で解除することにより、次の処方に基づく分包動作を実行する、
(2)欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填したことを条件として次の処方に基づく分包動作を実行する、
(3)薬剤容器が欠品となる予告を操作表示部に一定時間表示し、一定時間の間に使用者が、薬剤容器が欠品となる予告された表示を手動で解除しなかった場合には、次の処方に基づく分包動作が可能となる、
(4)薬剤容器が欠品となる予告が表示された場合であっても、散薬を薬剤容器に充填する充填案内を表示することなく次の処方に基づく分包動作が可能となる、
のいずれか一つの動作が選択可能である薬剤払出し装置。
【請求項2】
薬剤払出し装置は、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域と欠品処方一覧が記憶されている領域とを有するメモリをさらに備え、
欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動される動作を含む請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項3】
欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動された場合、
下記(5)乃至(6)の動作:
(5)薬剤容器が欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填し、容器保管部に薬剤容器を戻したことを契機として、欠品となる予告の対象となった処方に基づく情報が、欠品処方一覧が記憶されている領域から当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域に戻され、処方の受信時間が早い順に分包動作が開始される、
(6)欠品処方一覧が操作表示部に表示され、使用者の選択によって分包動作が開始される、
のいずれか一つの動作が選択可能である請求項2に記載の薬剤払出し装置。
【請求項4】
容器保管部をさらに有し、
動作(2)は、欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填し、容器保管部に薬剤容器を戻したことを条件として次の処方に基づく分包動作を実行する動作である請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項5】
薬剤容器と、散薬を排出する薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤包装装置と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、
薬剤払出し装置は、処方情報に基づき薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出し、一服用分ずつ分配皿に排出された散薬を分配皿から薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実行する一連の動作を行うものであって、
当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域と欠品処方一覧が記憶されている領域とを有するメモリを備え、
薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出しているとき、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、散薬の残量が一定の閾値以下に減少した薬剤容器の分包動作が当該分包動作を行う前に中断され、操作表示部に薬剤容器が欠品となる予告が表示され、
薬剤容器が欠品となる予告を操作表示部に一定時間表示し、一定時間の間に使用者が、薬剤容器が欠品となる予告された表示を手動で解除しなかった場合には、次の処方に基づく分包動作が可能となる薬剤払出し装置。
【請求項6】
薬剤容器と、散薬を排出する薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤包装装置と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、
薬剤払出し装置は、処方情報に基づき薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出し、一服用分ずつ分配皿に排出された散薬を分配皿から薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実行する一連の動作を行うものであって、
当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域と欠品処方一覧が記憶されている領域とを有するメモリを備え、
薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出しているとき、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、散薬の残量が一定の閾値以下に減少した薬剤容器の分包動作が分包動作を行う前に中断され、操作表示部に薬剤容器が欠品となる予告が表示され、
薬剤容器が欠品となる予告が表示された場合であっても、散薬を薬剤容器に充填する充填案内を表示することなく次の処方に基づく分包動作が可能となる薬剤払出し装置。
【請求項7】
欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動される動作を含む請求項5または6に記載の薬剤払出し装置。
【請求項8】
欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動された場合、
下記(5)乃至(6)の動作:
(5)薬剤容器が欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填し、容器保管部に薬剤容器を戻したことを契機として、欠品となる予告の対象となった処方に基づく情報が、欠品処方一覧が記憶されている領域から当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域に戻され、処方の受信時間が早い順に分包動作が開始される、
(6)欠品処方一覧が操作表示部に表示され、使用者の選択によって分包動作が開始される、
のいずれか一つの動作が選択可能である請求項7に記載の薬剤払出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤払出し装置に関するものであり、特に散薬を分配する分配皿を備えた薬剤払出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大病院や、大規模の薬局では、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。旧来の薬剤払出し装置は、特許文献1に開示された様な構造であり、分配皿と粉体フィーダが組み合わされたものである。
旧来技術の薬剤払出し装置を使用して散薬を分包する作業は、医師の処方箋に従い、薬剤師が装置を操作して行う。即ち薬剤師は、医師の処方箋を確認し、薬棚から、処方された散薬が入った薬瓶を取り出す。そして天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す。
【0003】
そして量り出された散薬を粉体フィーダの投入ホッパに投入し、粉体フィーダのトラフを振動させる。また分配皿を一定の回転数で回転させる。
投入ホッパに投入された散薬は、トラフが振動することによって、散薬はゆっくりと先端側に移動し、分配皿の溝に落下する。
【0004】
分配皿に対する散薬の落下が終了すると、分配皿の回転を停止する。そしてその後に、掻出装置のディスクを分配皿の溝内に落とす。さらにその後、分配皿を分配個数に応じた移動量(角度)だけ回転させる。そしてディスクを回転し、掻き板によって所定角度分の散薬を分配皿の外に掻き出して、包装用ホッパに投入する。包装用ホッパから落下した散薬は、包装装置で包装される。
【0005】
特許文献1に開示された旧来の薬剤払出し装置を使用すると、散薬を一服用分ずつ包装する作業の大半を自動化することができるものの、人手に頼らざるを得ない工程が残っており、散薬の分包を完全に自動化できる装置であるとは言いがたい。
【0006】
そこで本出願人は、薬棚から所望の散薬が入った薬瓶を取り出す作業と、薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業を自動化した薬剤払出し装置を開発し、特許文献2に開示した。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、複数の薬剤容器を収容する容器保管部と、ロボット(容器移動手段)を備えている。また分配皿の周囲には容器載置装置がある。容器載置装置は、薬剤容器を振動させて薬剤容器から散薬を排出する機能と、薬剤容器の重量を監視する機能を備えている。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置では、容器保管部に収容された薬剤容器から医師の処方箋に合致した散薬が充填された薬剤容器を選び出し、ロボットで薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置する。
そして容器載置装置を振動させて薬剤容器から散薬を排出すると共に、薬剤容器の重量を監視し、間接的に薬剤容器から排出される散薬の重量を監視する。
薬剤容器から所定量の散薬が排出されると、掻出装置を駆動して散薬を分配皿の外に掻き出し、包装装置で包装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-85703号公報
【特許文献2】WO2015/076266 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示した薬剤払出し装置によると、散薬の分包を略完全に自動化することができる。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置を使用して散薬の分包を行う場合には、薬剤師は必ずしも装置の動きを常時監視する必要はない。そのため散薬の分包中に、薬剤師が薬剤払出し装置から離れる場合も想定される。
薬剤師が目を離した隙に、思わぬ事態が発生する場合がある。
【0009】
例えば、薬剤容器の中で散薬が固着し、塊状態となっている場合がある。そして散薬の塊がほぐれることなく、粒状のままで薬剤容器から排出されてしまい、分配皿に落下する場合がある。
この散薬が塊状のままで分配皿に落下すると、分配皿上の散薬分布が不均一となり、分配皿上に配分むらができてしまう。
この状態で掻き板によって散薬を分割して包装すると、包装中の薬剤量に多寡が生じてしまう。
また薬剤容器の蓋が外れて、大量の薬剤が分配皿上に投入されたり、蓋の重量を薬剤重量と誤検知してしまう場合がある。
【0010】
また分配皿を使用せず、一服用分の散薬を薬剤容器から排出し、包装装置で包装する構成も考えられるが、この場合でも包装中の薬剤量に多寡が生じてしまう。
【0011】
本発明は従来技術の薬剤払出し装置を改良するものであり、包装中の散薬の量に過不足が生じる原因となる事態を検知することができる薬剤払出し装置を提供することを課題とするものである。
また、本発明は、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少した場合でも対応できる薬剤払出し装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、薬剤容器と、散薬を排出する薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤包装装置と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、薬剤払出し装置は、処方情報の基づき薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出し、一服用分ずつ分配皿に排出された散薬を分配皿から薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実行するという一連の動作を行うものであって、薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出しているとき、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、散薬の残量が一定の閾値以下に減少した薬剤容器の分包動作が当該分包動作を行う前に中断され、操作表示部に薬剤容器が欠品となる予告が表示され、下記(1)乃至(4)の動作:(1)使用者が、薬剤容器が欠品となる予告された表示を手動で解除することにより、次の処方に基づく分包動作を実行する、(2)欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填したことを条件として次の処方に基づく分包動作を実行する、(3)薬剤容器が欠品となる予告を操作表示部に一定時間表示し、一定時間の間に使用者が、薬剤容器が欠品となる予告された表示を手動で解除しなかった場合には、次の処方に基づく分包動作が可能となる、(4)薬剤容器が欠品となる予告が表示された場合であっても、散薬を薬剤容器に充填する充填案内を表示することなく次の処方に基づく分包動作が可能となる、のいずれか一つの動作が選択可能である薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、薬剤払出し装置は、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域と欠品処方一覧が記憶されている領域とを有するメモリをさらに備え、欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動される動作を含む薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動された場合、下記(5)乃至(6)の動作:(5)薬剤容器が欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填し、容器保管部に薬剤容器を戻したことを契機として、欠品となる予告の対象となった処方に基づく情報が、欠品処方一覧が記憶されている領域から当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域に戻され、処方の受信時間が早い順に分包動作が開始される、(6)欠品処方一覧が操作表示部に表示され、使用者の選択によって分包動作が開始される、のいずれか一つの動作が選択可能である薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、容器保管部をさらに有し、動作(2)は、欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填し、容器保管部に薬剤容器を戻したことを条件として次の処方に基づく分包動作を実行する動作である薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、薬剤容器と、散薬を排出する薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤包装装置と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、薬剤払出し装置は、処方情報に基づき薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出し、一服用分ずつ分配皿に排出された散薬を分配皿から薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実行する一連の動作を行うものであって、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域と欠品処方一覧が記憶されている領域とを有するメモリを備え、薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出しているとき、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、散薬の残量が一定の閾値以下に減少した薬剤容器の分包動作が当該分包動作を行う前に中断され、操作表示部に薬剤容器が欠品となる予告が表示され、薬剤容器が欠品となる予告を操作表示部に一定時間表示し、一定時間の間に使用者が、薬剤容器が欠品となる予告された表示を手動で解除しなかった場合には、次の処方に基づく分包動作が可能となる薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、薬剤容器と、散薬を排出する薬剤フィーダと、分配皿と、薬剤包装装置と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、薬剤払出し装置は、処方情報に基づき薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出し、一服用分ずつ分配皿に排出された散薬を分配皿から薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実行する一連の動作を行うものであって、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域と欠品処方一覧が記憶されている領域とを有するメモリを備え、薬剤フィーダから一服用分ずつ分配皿に散薬を排出しているとき、薬剤容器内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、散薬の残量が一定の閾値以下に減少した薬剤容器の分包動作が分包動作を行う前に中断され、操作表示部に薬剤容器が欠品となる予告が表示され、薬剤容器が欠品となる予告が表示された場合であっても、散薬を薬剤容器に充填する充填案内を表示することなく次の処方に基づく分包動作が可能となる薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動される動作を含む薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、欠品となる予告の対象となった薬剤容器を使用する処方情報が、当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域から外され、欠品処方一覧が記憶されている領域に移動された場合、下記(5)乃至(6)の動作:(5)薬剤容器が欠品となる予告の対象となった薬剤容器に所定の散薬を充填し、容器保管部に薬剤容器を戻したことを契機として、欠品となる予告の対象となった処方に基づく情報が、欠品処方一覧が記憶されている領域から当該一連の動作を行う処方情報が記憶されている領域に戻され、処方の受信時間が早い順に分包動作が開始される、(6)欠品処方一覧が操作表示部に表示され、使用者の選択によって分包動作が開始される、のいずれか一つの動作が選択可能である薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬を排出する薬剤フィーダと、薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから排出された散薬を一服用分ずつ薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包作業を自動的に実行する薬剤払出し装置において、薬剤容器から散薬を排出している間、薬剤フィーダからの散薬の排出量を監視し薬剤フィーダから目標量の散薬を排出することが可能であり、薬剤フィーダからの散薬の過去の単位時間あたりの重量変化量を記憶し、前記記憶した過去の単位時間あたりの重量変化量に対して、現在の単位時間あたりの重量変化量が通常の範囲を超えて増加する場合に、所定の動作を実行する薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、散薬の排出量の監視は、当該散薬の単位時間あたりの重量変化を検出して行われる薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、薬剤フィーダは、薬剤容器と容器載置装置によって構成され、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段を有し、散薬の排出量の監視は、重量測定手段によって当該散薬の単位時間あたりの重量変化を検出して行われる薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬を排出する薬剤フィーダと、薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから排出された散薬を一服用分ずつ薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する薬剤払出し装置において、薬剤フィーダは、薬剤容器と容器載置装置によって構成され、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、単位時間当たりの重量変化から散薬の単位時間あたりの排出量を検出するものであり、薬剤容器から散薬を排出している間、薬剤フィーダからの散薬の排出量を監視し薬剤フィーダから目標量の散薬を排出することが可能であり、薬剤フィーダからの散薬の過去の単位時間あたりの重量変化量を記憶し、前記記憶した過去の単位時間あたりの重量変化量に対して、現在の単位時間あたりの重量変化量が通常の範囲を超えて増加する場合に、所定の動作を実行する薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、薬剤容器に充填された散薬を排出する薬剤フィーダと、薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから排出された散薬を一服用分ずつ薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する分包作業を自動的に実行する薬剤払出し装置において、薬剤容器は、取り外し可能な蓋を有し、薬剤フィーダから排出される散薬の単位時間当たりの排出量を監視し、前記散薬の単位時間当たりの排出量の変化より、薬剤容器から蓋が外れたことを検知する薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬を排出する薬剤フィーダと、薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから排出された散薬を一服用分ずつ薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する薬剤払出し装置において、薬剤フィーダからの散薬の排出量を監視し薬剤フィーダから目標量の散薬を排出することが可能であり、薬剤フィーダからの散薬の単位時間あたりの排出量に一定以上のばらつきがあった場合に、所定の動作を実行することを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0013】
「所定の動作」としては、表示装置に警告等を表示したり、薬剤フィーダからの薬剤の排出を停止する等が考えられる。
本態様の薬剤払出し装置では、散薬の単位時間あたりの排出量に一定以上のばらつきがあった場合に、所定の動作を実行する。そのため、散薬が塊状となって排出された様な事態が発生したことを知ることができる。
【0014】
上記した態様において、散薬の排出中に当該散薬の単位時間あたりの排出量を検出し、当該検出値を基準排出量として記憶し、現在の散薬の単位時間あたりの排出量を前記基準排出量と比較することが望ましい。
【0015】
上記した各態様において、薬剤フィーダは、薬剤容器と容器載置装置によって構成され、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段を有し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であり、散薬の排出中に薬剤容器の単位時間あたりの重量変化を検出し、当該重量変化の値を基準重量変化量として記憶し、現在の薬剤容器の単位時間あたりの重量変化を前記基準重量変化量と比較することが望ましい。
【0016】
同様の課題を解決するもう一つの態様は、散薬を排出する薬剤フィーダと、薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから排出された散薬を一服用分ずつ薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する薬剤払出し装置において、薬剤フィーダは、薬剤容器と容器載置装置によって構成され、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、単位時間当たりの重量変化から散薬の単位時間あたりの排出量を検出するものであり、薬剤フィーダからの散薬の排出量を常時監視し薬剤フィーダから目標量の散薬を排出することが可能であり、薬剤フィーダからの散薬の単位時間あたりの排出量を記憶し、薬剤フィーダからの散薬の排出中に急激な重量変化があり、記憶した単位時間あたりの排出量と現在の単位時間あたりの排出量の間に通常の範囲を超える一定以上のばらつきがあった場合に所定の動作を実行することを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0017】
本態様においても、薬剤フィーダから散薬が塊状となって排出された様な事態を知ることができる。
【0018】
上記した各態様において、薬剤フィーダから排出された実際の散薬量と、目標量とを比較する排出量比較機能を有し、比較結果を表示する比較表示手段を有することが望ましい。
【0019】
例えば目標量に対して実際の排出量が、多いか少ないかの表示を行う。どの程度の差があるかを表示することが望ましい。
上記した各態様において、動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置を有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入するものであり、前記分配皿を複数有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し終えた順に、分配皿上の散薬を薬剤包装装置に投入することが可能であることが望ましい。
【0020】
本態様によると、無駄な待ち時間が解消され、複数の薬剤分包作業を平行して実施する場合における総作業時間を短縮することができる。また単位時間当たりの分包件数を増加させることができる。
【0021】
上記した各態様において、薬剤フィーダは、薬剤容器と容器載置装置によって構成され、前記薬剤容器は、容器載置装置に対して着脱自在であり、複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管部と、容器移動手段を有し、薬剤容器は、前記容器移動手段によって容器保管部から容器載置装置に搬送されて容器載置装置に固定され、容器移動手段に不具合がある場合には、作業者の手によって外部から薬剤容器を搬入して容器載置装置に装着することが可能であることが望ましい。
【0022】
本態様によると、容器移動手段が故障した場合でも、薬剤の分包作業を行うことができる。
【0023】
上記した各態様において、薬剤フィーダは、薬剤容器と容器載置装置によって構成され、薬剤容器から薬剤が排出されていることを光学的に確認する排出監視センサーを有し、容器載置装置は振動手段を備え、薬剤容器を振動させて薬剤排出部から薬剤を少量ずつ排出するものであり、振動開始から排出監視センサーが薬剤の初期排出を検知するまでの初期振動強度と、初期排出を検知した後の通常振動強度を異ならせることが可能であることが望ましい。
【0024】
本態様によると、薬剤容器内の薬剤が、薬剤容器の薬剤排出口まで至る時間を短縮することができる。
【0025】
上記した各態様において、薬剤投入溝を有し動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置を有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れた状態で分配皿を回転して一定範囲の薬剤投入溝に分布する散薬を寄せ集める集薬工程と、散薬を掻き出す掻出工程を行い、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入するものであり、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れて集薬工程を経ることなく掻出工程を実施し、その後で集薬工程と掻出工程を一回又は複数回実施して一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入する分割掻き出しを行うことが可能であることが望ましい。
【0026】
上記した各態様において、薬剤投入溝を有し動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置を有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れた状態で分配皿を回転して一定範囲の薬剤投入溝に分布する散薬を寄せ集める集薬工程と、散薬を掻き出す掻出工程を行い、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入するものであり、一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入するのに際して前記集薬工程と掻出工程を複数回行うことが可能であり、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れて集薬工程を経ることなく掻出工程を実施し、その後で集薬工程と掻出工程を複数回実施して一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入することが可能であることが望ましい。
【0027】
上記した各態様において、一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入するのに際して前記集薬工程と掻出工程を複数回行う場合、最終回の集薬工程においては、分配皿の回転方向の移動量が他の回の集薬工程よりも小さいことが望ましい。
【0028】
上記した各態様において、掻出装置は薬剤投入溝内で回転し、薬剤投入溝内に分布する散薬の内、一定の掻き出し幅内にある散薬を掻き出すものであり、一服用分として掻き出されるべき散薬の分配皿の分布領域が、前記掻き出し幅の2倍以上であることを条件の一つとして、分割掻き出しが行われることが推奨される。
【0029】
また推奨される態様は、散薬を排出する薬剤フィーダと、動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置と、一つの薬剤投入口と、一つの薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する薬剤払出し装置において、前記分配皿を2基備え、一方の分配皿上の散薬を前記薬剤包装装置に投入する場合と、他方の分配皿上の散薬を前記薬剤包装装置に投入する場合のそれぞれで、同じ前記薬剤投入口に散薬を投入するものであり、第一の処方に基づく情報と、第二の処方に基づく情報が入力され、一方の分配皿に対して第一の処方に基づく散薬供給が開始され、他方の分配皿に対して第二の処方に基づく散薬供給が開始された後、先に薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し終えた順に、分配皿上の散薬を薬剤包装装置に投入することが可能であることを特徴とする薬剤払出し装置である。
また、この態様に関連する態様は、散薬を排出する薬剤フィーダと、動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置と、薬剤包装装置とを有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入し、散薬を一服用分ずつ包装する薬剤払出し装置において、前記分配皿を複数有し、薬剤フィーダから分配皿に散薬を供給し終えた順に、分配皿上の散薬を薬剤包装装置に投入することが可能であることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0030】
また推奨される態様は、薬剤投入溝を有し動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置と、分配皿に散薬を供給する散薬供給手段を有し、分配皿を回転させた状態で散薬供給手段によって薬剤投入溝に散薬を供給し、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れた状態で分配皿を回転して一定範囲の薬剤投入溝に分布する散薬を寄せ集める集薬工程と、散薬を掻き出す掻出工程を行い、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入するものであり、一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入するのに際して前記集薬工程と掻出工程を複数回行うことが可能であり、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れて集薬工程を経ることなく掻出工程を実施し、その後で集薬工程と掻出工程を一回又は複数回実施して合計で一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入することが可能であることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0031】
また関連する態様は、薬剤投入溝を有し動力によって回転される分配皿と、分配皿に投入された散薬を掻き出す掻出装置と、分配皿に散薬を供給する散薬供給手段を有し、分配皿を回転させた状態で散薬供給手段によって薬剤投入溝に散薬を供給し、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れた状態で分配皿を回転して一定範囲の薬剤投入溝に分布する散薬を寄せ集める集薬工程と、散薬を掻き出す掻出工程を行い、分配皿上の散薬を掻出装置で掻き出して薬剤包装装置に投入するものであり、一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入するのに際して前記集薬工程と掻出工程を複数回行うことが可能であり、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れて集薬工程を経ることなく掻出工程を実施し、その後で集薬工程と掻出工程を複数回実施して一服用分の散薬を薬剤包装装置に投入することが可能であることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の薬剤払出し装置によると、包装中に適正量の散薬を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置の斜視図である。
図2図1の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
図3図2の薬剤分割領域を拡大して示す斜視図である。
図4】薬剤フィーダの斜視図であり、薬剤容器が容器載置装置に載置された状態を示す。
図5図4で示す薬剤容器の断面図であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示す。
図6】(a)(b)は、開放型の薬剤容器を示す斜視図である。
図7】集塵手段の概要を示す説明図である。
図8図1の薬剤払出し装置に設けられた薬剤容器仮置部の斜視図及び筐体内に設けられた清掃部の斜視図である。
図9図8に示す薬剤容器仮置部に薬剤容器を装着する際の中途過程を示す斜視図である。
図10図8に示す薬剤容器仮置部に薬剤容器を装着した状態を示す斜視図である。
図11】容器移動手段の移動軌跡を示す説明図である。
図12】本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置で採用する掻出装置の斜視図である。
図13】分配皿上に分布して散薬を掻出装置で排出際の工程を示す説明図であり、(a)は工程の概要を図示するものであり、(b)乃至(d)は工程を追って図示するものである。
図14】分配皿上に分布して散薬を掻出装置で排出際の工程を示す説明図であり、(e)乃至(i)は図13に次ぐ工程を図示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
最初に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本構成について説明する。
薬剤払出し装置1は、図1の様に本体部を構成する筐体10と、操作表示部3を備えている。
薬剤払出し装置1には多数の薬剤容器4が収容されている。各薬剤容器4には散薬が充填されている。薬剤払出し装置1は、操作表示部3を操作することにより、所望の薬剤容器4を選び出し、薬剤容器4に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0035】
薬剤払出し装置1は、筐体10内に各種機器が内蔵されている。具体的には、図2で示されるように、筐体10の内部が容器配置領域12、薬剤分割領域13、薬剤包装領域14に区分されている。
【0036】
筐体10の容器配置領域12の外側壁面を形成する部分には、図1に示されるように、扉部16、及び小扉33が設けられている。
【0037】
筐体10の容器配置領域12には、図2で示されるように、薬剤容器4を保持する容器保管部23が設けられている。
容器保管部23は、直立した姿勢で設置されたドラム部材25を備えた装置である。
【0038】
ドラム部材25の外周面には、複数の容器設置部が設けられており、この容器設置部に薬剤容器4が保持される。薬剤容器4は、容器載置装置36と組み合わされて薬剤フィーダ8を構成するものである。
【0039】
容器配置領域12から薬剤分割領域13に至る領域には、容器移動手段28が設けられている。容器移動手段28は一種のロボットであり、アーム部30と昇降機構31及びハンド部47を有している。
【0040】
ハンド部47には、薬剤容器4を吸着するための電磁石(図示せず)が設けられている。またハンド部47には、薬剤容器4の蓋部材78の開閉状態を検知する開閉検知センサー(図示せず)が設けられている。
【0041】
薬剤分割領域13には、図3で示されるように、分配皿35R、35Lと、容器載置装置(薬剤排出手段)36と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬剤投入口39と、カメラ部材(撮影装置)40が設けられている。
薬剤分割領域13には、分配皿方式によって薬剤を所望の個数に分割する機器が配置されている。
本実施形態では、薬剤分割領域13に分配皿35R、35Lが2個、並列して設置されている。
分配皿35R、35Lの数は限定されるものではなく、一個であってもよいが、複数の分配皿35を有することが望ましい。
【0042】
それぞれの分配皿35R、35Lの周辺には、容器載置装置36と、掻出装置37と、清掃装置38が設けられている。具体的には、1つの分配皿35に、3つの容器載置装置36と、1つの掻出装置37と、1つの清掃装置38が対応付けられている。
掻出装置37は、公知のそれと同様であり、掻出用アーム26と掻出用アーム26の先端に設けられた掻出機構27によって構成されている。掻出機構27は、動力によって回転するディスク状の掻寄板57と、掻出板58を有している。
【0043】
図12に示すように掻寄板57は、薄板で作られた円盤である。
掻出板58は掻出部100と仕切板101によって構成されている。仕切板101は掻出部100を挟んで掻寄板57と平行に配された薄板であり、扇型に近い形状をしている。
【0044】
掻出部100は、ある程度の幅を有する部材であり、掻き出しゴムが装着されている。掻出部100は掻寄板57と共に回転し、一定の掻き出し幅Wの間にある散薬を排出するものである。即ち掻寄板57が薬剤投入溝32内で回転すると、掻出部100の幅に相当する掻き出し幅W内に存在する散薬が掻き出される。
【0045】
分配皿35の周辺であり、2つの分配皿35の間には、薬剤包装領域14に一包分ずつ散薬を供給するための薬剤投入口39が設けられている。なお、図2,3では、薬剤投入口39に蓋17が設けられている。蓋17は、薬剤投入口39に薬剤を投入する際に、自動的に開く。
分配皿35には、円環状に連続する薬剤投入溝32が設けられている。分配皿35は図示しない回転機構によって、回転可能である。回転機構はモータを含んでいる。
【0046】
容器載置装置36は、薬剤容器4と組み合わされて薬剤フィーダ8を構成するものである。
容器載置装置36は、図4の様に、振動台50と、重量測定手段(計量手段)52とを備えている。振動台50には加振手段51が設けられており、加振手段51に通電することによって振動台50が振動する。
【0047】
振動台50には、薬剤容器4を保持するための容器保持手段が設けられている。なお、本実施形態では、容器保持手段として磁石(電磁石 図示せず)を採用している。
重量測定手段(排出量検知手段)52は、薬剤容器4の重量を直接又は間接的に測定するものである。
【0048】
本実施形態では、容器載置装置36に薬剤容器4を載置して薬剤容器4を振動させ、薬剤容器4に収容された散薬を分配皿35に排出することが可能である。そしてこの散薬の排出に伴う薬剤容器4の重量変化を重量測定手段52によって検知可能である。本実施形態では、重量測定手段52が排出量検知手段として機能し、薬剤容器4の重量変化によって散薬の排出量が検出される。
【0049】
薬剤包装領域14には、薬剤包装装置53と、印字手段とが設けられている。
薬剤包装装置53は、薬剤を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。
【0050】
薬剤容器4は、外形が略直方体状の容器であり、内部に散薬を収容することができる。薬剤容器4は、図4図5の様に容器本体6と蓋73によって構成されている。蓋73は容器本体6から取り外すことができる。本実施形態では、容器本体6から蓋73を外して容器本体6の一端側を大きく開口させ、散薬を充填する。
また図5(a)の様に蓋73には本体部に蓋部材78が揺動可能に取り付けられており、蓋部材78を開いて一部を開口することができる。蓋部材78を開くことによって形成される開口(薬剤排出部)72から内部の散薬を排出することができる。
また薬剤容器4には、異なる二面にそれぞれ鉄板70、71が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板70は、アーム部30で薬剤容器4を保持する際、アーム部30の磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板71は、後述する容器載置装置36に設置するとき、容器載置装置36の電磁石41に吸着させるための部分である。
【0051】
次に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本的な動作について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方に関する情報が入力され、その情報に基づいて散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実施することができる。
【0052】
即ち薬剤払出し装置1は、薬剤容器4を容器保管部23に収容する動作、容器保管部23から薬剤容器4を取り出す動作、取り出した薬剤容器4を分配皿35の近傍に移動させる動作、薬剤容器4を容器載置装置36に載置して薬剤フィーダ8を構成させる動作、所定量の薬剤を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬剤を一服用分ずつ薬剤包装装置53に供給する動作、薬剤容器4を容器保管部23に戻す動作を自動的に行う。尚、これらの各動作は、図示しない制御部によって制御される動作である。
【0053】
準備段階として、薬剤容器4に散薬が充填され、その幾つかが容器配置領域12の容器保管部23に装着される。
【0054】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方に関する情報が入力され、その情報に基づいて分包作業が自動的に実行される。
【0055】
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、処方に関する情報に基づいて、必要な散薬が充填された薬剤容器4が選択され、容器移動手段28によって必要な薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
そして振動台50に内蔵された電磁石41によって薬剤容器4が保持される。薬剤容器4は、電磁石41によって容器載置装置36と一体化され、薬剤フィーダ8が構成される。
続いて加振手段51に一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動台50を振動させる。
また振動開始と前後して分配皿35を回転させる。
【0056】
振動開始と前後して、薬剤容器4の重量が重量測定手段52で測定される。薬剤容器4の重量は、重量測定手段52の検知重量から、一定値を引いたものである。
振動台50に設置直後の薬剤容器4の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器4の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器4の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0057】
振動台50が振動を開始すると、薬剤容器4が振動する。その結果、薬剤容器4に貯留された散薬が、開口72側に向かってゆっくりと移動し開口72から排出されて落下する。
【0058】
散薬が落下中であることは、薬剤容器4の重量が低下することによって確認される。また散薬の排出量が重量測定手段52で検知される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器4の開口72から落下中においても、薬剤容器4の現在の重量(現重量g)が、重量測定手段52によって監視され続けている。そして振動台50に設置直後の薬剤容器4の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台50の振動を停止する。
即ち重量測定手段52が測定する薬剤容器4の現重量gが、重量測定手段52によって測定された振動開始前の原重量Gに対して所望の重量だけ少なくなり、薬剤フィーダ8から目標量の散薬が排出されると、振動台50の振動を停止する。
【0059】
その後に分配皿35の回転を停止する。そして、掻出装置37の掻出用アーム26を揺動させ、先端側を降下させて掻出機構27を下げ、掻出機構27のディスク状の掻寄板57を分配皿35の薬剤投入溝32内に入れる。
さらに分配皿35を分配個数に応じた角度だけ回転させて、掻寄板57にかき寄せる(集薬工程)。続いて掻寄板57を回転し、掻出板58で散薬をすくい上げて分配皿35から排出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する(掻出工程)。
【0060】
原則的に一服用分の散薬を一回のかき寄とすくい上げによって薬剤投入口39に薬剤を投入するが、一服用分の散薬を、複数回のかき寄とすくい上げに分けて薬剤投入口39に薬剤を投入する場合もある。
【0061】
薬剤投入口39に投入された薬剤は、散薬投入ホッパー(図7 75)を落下して薬剤包装装置53に運ばれ、薬剤包装装置53で包装される。
この動作を順次繰り返し、分配皿35内の薬剤を全て排出し、それぞれ薬剤包装装置53で包装される。
またこれと平行して、容器移動手段28が起動され、薬剤容器4が容器保管部23のドラム部材25に戻される。
【0062】
次に基本構成に付加した改良点について説明する。
(1)分配皿上の散薬分布のばらつき監視及び蓋取れの検知
本実施形態の薬剤払出し装置1では、分配皿35上の散薬分布にばらつきが生じない様に、薬剤容器4(薬剤フィーダ8)からの単位時間当たりの薬剤排出量を監視している。また結果的に薬剤容器4の蓋取れを検知することもできる。
前記した様に、本実施形態の薬剤払出し装置1では、散薬が薬剤容器4の開口72から落下中においても、薬剤容器4の現在の重量(現重量g)が重量測定手段52によって監視され続けている。
【0063】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器4の重量変化の様子も監視している。そして散薬の排出中に、不規則な重量変化があった場合には、操作表示部3にそれを知らせる表示がなされる。
例えば毎秒2グラムの割合で薬剤容器4の重量が安定して低下している状況の際に、一秒当たり5グラムの重量低下があった様な場合の様に、薬剤フィーダ8からの散薬の排出中に急激な重量変化があった場合、操作表示部3にそれを知らせる表示がなされる。
また変化量が極端に大きい場合には、振動台50の振動を停止し、薬剤容器4からの薬剤の排出を中断する。
【0064】
また更には、分配作業を継続するか、中止するかを選択する表示を操作表示部3に表示してもよい。
分配作業の継続を選択した場合には、分配皿35に既に分布している散薬を活用し、必要に応じて、不足分を薬剤フィーダ8から追加供給する。
分配中止を選択した場合には、既に分配皿35に供給された散薬を回収することとなる。
【0065】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、散薬の単位時間あたりの排出量に一定以上のばらつきがあった場合に、前記した様な表示が行われることとなる。
具体的には、排出量のばらつきを次の様に監視する。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、振動台50を振動させて、薬剤容器4から散薬を排出している最中に、薬剤容器4の現在の重量を重量測定手段52によって監視し、薬剤容器4の単位時間当たりの重量変化から散薬の単位時間あたりの排出量を検出している。そして過去の単位時間あたりの排出量(薬剤容器4の重量変化)を図示しないメモリーに一定時間の間、基準排出量として記憶している。
そして現在の散薬の単位時間あたりの排出量を、記憶した基準排出量と比較する。その結果、両者の間に通常のばらつき範囲を超える差異があった場合には、操作表示部3に所定の表示がなされる。
【0066】
本実施形態では、薬剤の排出量のバラツキを監視するものであるが、その手段として、薬剤容器4の重量変化を監視している。そのため例えば、振動台50の振動によって、薬剤容器4の蓋73が、容器本体6から外れてしまった様な場合も検知することができる。
【0067】
(2)排出量の誤差表示
前記した様に、本実施形態の薬剤払出し装置1では、振動台50に設置直後の薬剤容器4の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算し、散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台50の振動を停止する。
これに加えて、本実施形態の薬剤払出し装置1では、振動台50の振動を停止した状態における薬剤容器4の現重量gを再計量する。そして再計量した現重量gと、設置直後の薬剤容器4の原重量Gを比較し、実際に薬剤容器4から排出された散薬の落下量H(Gマイナスg)を演算する。
そして実際の散薬の落下量(排出量)Hと、目標量を比較し(排出量比較機能)、比較結果を操作表示部(比較表示手段)3に表示する。
【0068】
表示する内容は、実際の散薬の落下量(排出量)Hが、目標量に対して適正量であるか、過多であるか、過少であるかを表示する。
表示は、「多い」「少ない」という様な文字表示や、これを図形化した記号によって行う。また具体的な差を数値や割合で表示してもよい。例えばプラス0.03グラム、マイナス0.02グラムという様な、具体的な重量を表示する。目標値に対して2パーセント多い、という様な割合で表示してもよい。
さらに作業者の注意を引くように、色分け表示を行ってもよい。例えば、実際の落下量(排出量)Hと目標量との差が無視できない程度に大きい場合には、赤色表示で警告し、許容範囲の差であるならば、黄色表示を行い、誤差の範囲と言える様な場合には青色表示を行う。
音声や光による警告等を伴っていてもよい。
【0069】
前記した薬剤容器4の現重量gの再計量を他の計量器で行ってもよい。例えば薬剤容器4を当初載置されていた容器載置装置36から他の容器載置装置36に載せ替えて再計量してもよい。或いは、再計量用の計量器を設けてもよい。
また薬剤容器4に取り付けられたRFID等の情報記憶部材18に重量の履歴等を記憶し、散薬を排出する前の原重量Gと、現重量gを比較してもよい。
【0070】
(3)蓋部材を開いた際における散薬の飛散量確認
容器移動手段28によって薬剤容器4を容器載置装置36に設置し、薬剤容器4の蓋部材78を開いた際、蓋部材78の周囲に付着していた散薬が、飛散して分配皿35の上に落下する場合がある。
この状態から振動台50の振動を開始して、振動開始からの重量変化を監視すると、蓋部材78を開いた際に分配皿35に落下した散薬の重量は計量対象から外れてしまう。そのため分配皿35に分布する散薬量が、演算量よりも多くなってしまう懸念がある。また分配皿35上の散薬分布にばらつきが生じてしまう懸念がある。
【0071】
本実施形態では、薬剤容器4の重量を厳密に測定することによって、薬剤容器4の蓋部材78を開閉した際における散薬の飛散量を確認することができる。
例えば、薬剤容器4の蓋部材78を開いて、振動を開始する直前の薬剤容器4内の散薬量を演算し、薬剤容器4に取り付けられた情報記憶部材18に記憶された散薬の残量を比較する。その差が大きい場合には、操作表示部3にそれを知らせる表示がなされる。
また更には、分配作業を継続するか、中止するかを選択する表示を操作表示部3に表示してもよい。
振動を開始する直前の薬剤容器4内の散薬量は、例えば、振動を開始する直前の薬剤容器4の重量から、空状態の薬剤容器4の重量を引くことによって知ることができる。
【0072】
(4)配分中処方の追い抜き
本実施形態の薬剤払出し装置1は、前記した様に分配皿35を2基、備えている。
前記した様に、本実施形態の薬剤払出し装置1は、第一の処方に基づく情報入力されると、必要な散薬が充填された薬剤容器4が選択され、容器移動手段28によって必要な薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬されて散薬が分配皿35Rに供給される。
一方の分配皿35Rに散薬を供給している最中に、新たに別の処方(第二の処方)に関する情報が入力されると、必要な散薬が充填された薬剤容器4が選択され、他方の分配皿35Lに対して散薬が供給される。
【0073】
各分配皿35R、35Lに対する散薬の供給が終了すると、分配皿35R、35Lの回転を停止し、掻出機構27によって散薬をすくい上げて薬剤投入口39に薬剤を投入することとなる。
ここで本実施形態では、分配皿35を2基備えているものの、薬剤投入口39や薬剤包装装置53は、一台しかない。そのため、薬剤投入口39に散薬を投入する順番を予め決めておく必要がある。
優先順位の決め方として次のA案、B案が考えられる。
本実施形態では、A案とB案のいずれかを選択することができる。
A案:処方が入力された順に従う方法
B案:分配皿35に対する散薬の供給が完了した順に行う方法
【0074】
例えば、第一の処方の後で第二の処方が入力されたが、第二の処方に基づく分配皿(第二分配皿)35Lに対する散薬の供給の方が、第一の処方に基づくものよりも先に終了した場合を想定する。
A案を選択すると、第二の処方に基づく分配皿(第二分配皿)35Lへの散薬供給が終了すると、その状態で作業を一時停止し、第一の処方に基づく分配皿(第一分配皿)35Rへの散薬供給の終了を待ち、さらに分配皿(第一分配皿)35Rの散薬が全て薬剤投入口39に投入され終えるのを待つ。そして分配皿(第一分配皿)35Rの散薬が全て薬剤投入口39に投入され終えた後で、第二の処方に基づく分配皿(第二分配皿)35L内の散薬を薬剤投入口39に投入して包装する。
【0075】
これに対してB案を選択すれば、先に散薬の投入を終えた第二の処方に基づく分配皿(第二分配皿)35Lの散薬を薬剤投入口39に投入して包装する。
即ちB案によると、薬剤フィーダ8から分配皿35に散薬を供給し終えた順に、分配皿35上の散薬が薬剤包装装置53に投入される。
B案によると、分包の待ち時間が少なく、一日の分包処理数を増加させることができる。
【0076】
(5)容器移動手段が故障した場合の対応
本実施形態の薬剤払出し装置1では、前記した様に、処方に関する情報に基づいて、必要な散薬が充填された薬剤容器4が選択され、容器移動手段28によって必要な薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、容器移動手段28に何らかの不具合が生じた場合には、操作表示部3にその旨が表示され、安全を確保するために、容器移動手段28が停止して通常の操作によっては動かない状態となる。
【0077】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、容器移動手段28が機能を停止した状態に陥った場合でも、使用者の手によって薬剤容器4を容器載置装置36に装着し、分配を行うことができる。
例えば薬剤払出し装置1には、図1に示す様に正面ドア34がある。使用者が手動で正面ドア34を開き、外部から薬剤払出し装置1内に薬剤容器4を挿入して容器載置装置36に装着してもよい。
また図1に示す様に正面ドア34には小扉33があるので、小扉33から薬剤容器4を挿入して容器載置装置36に装着してもよい。
【0078】
また作業性や安全性を向上させるために、正面ドア34や小扉33を動力によって開閉する自動扉とすることも推奨される。
使用者の手によって薬剤容器を容器載置装置36に装着する場合には、図6の様な、開放型の薬剤容器60を使用してもよい。
【0079】
(6)早期に初期排出を行う制御
本実施形態では、振動台50の振動周波数や振幅を変更することができる。
散薬の排出初期は排出量が安定しないという問題や、散薬の種類によって薬剤容器4内での挙動が異なるということから、容器載置装置36の振動台50の振動パターンを薬種や排出時期、総排出量に応じて変更することができる。
また本実施形態では、薬品が薬剤容器4の先端の開口72に到達するまでの間、振動が強められ、薬品が先端の開口72に到達して散薬が落下しはじめると、通常の振動に移行する。
本実施形態では、散薬が落下しはじめたか否かを光学的に確認する排出監視センサーを有している。
本実施形態では、薬剤容器4から散薬が排出されていることを監視する監視カメラ40を有し、当該監視カメラ40を排出監視センサーとして活用している。
【0080】
本実施形態では、監視カメラ40が薬剤容器4からの散薬の落下を捉えるまでの間、振動台50は通常の場合に比べて強く振動する。
本実施形態では、振動開始から排出監視センサーが薬剤の初期排出を検知するまでの初期振動強度を、初期排出を検知した後の通常振動強度よりも強くし、開口72に到達して落下しはじめると、通常の振動に移行する。
その結果、薬剤容器4内の散薬の移動速度が早められ、短時間で開口(薬剤排出部)72に到達する。
【0081】
(7)分配皿の緩停止
本実施形態では、薬剤容器4から目標量の散薬を排出し終えた後、分配皿35を減速し、一定以上の時間を掛けて分配皿をゆっくりと停止する。
即ち目標量の散薬を排出し終えた後、分配皿35を急制動するのではなく、分配皿35を回転するモータの回転数を序々に下げてゆき、停止に至らせる。
【0082】
停止させるまでに要する時間は、2秒以上であることが推奨され、より推奨されるのは、3秒以上である。
【0083】
本方法によると、分配皿35を停止する際の散薬に掛かる惰性が緩和される。そのため分配皿35を停止する際に分配皿35内の散薬が崩れず、散薬は分配皿35内で一様に分布した状態を維持する。
【0084】
(8)集塵手段の集塵袋の収容余力の検知
本実施形態では、図7に記載した様な集塵手段を有している。集塵手段は、公知のそれと同様、負圧を発生させて空気と共に塵を吸い込み、集塵袋43に塵を集めるものである。集塵手段は、図7の様に、薬剤投入口39のホッパー75に接続されている。また前記した清掃装置38にも接続されている。さらに図示しない手動ノズルを有し、必要に応じて手動で各部を清掃することができる。
負圧を発生させる手段は、バキュームポンプ76であり、具体的にはブロアの様な遠心式の送風機であって、モータによって回転される。また塵を集める集塵袋43が内蔵されている。
本実施形態では、送風機のモータの回転数を検知し、モータの回転数が一定以上になると、集塵袋43の収容余力が少なくなったものと判断して、集塵袋43の取り替えを促す表示を操作表示部3に表示する。
【0085】
またこれに代わって、モータに供給される電流を検知し、当該電流が一定以下となった場合に、集塵袋43の収容余力が少なくなったものと判断して、集塵袋43の取り替えを促す表示を操作表示部3に表示してもよい。
【0086】
この理由は、集塵袋43の収容余力が少なくなって目詰まりすると、送風機が移動させる空気量が減少し、モータの仕事量が減少する。その結果、モータの回転数が上昇傾向となる。また電流値は低下傾向となる。
そのためモータの回転数や電流を監視することにより、集塵袋43の収容余力を推定することができ、取り替え時期の到来を知ることができる。
【0087】
(9)薬剤の使用期限管理
本実施形態で採用する薬剤容器4には、RFID等の情報記憶部材18が取り付けられ、薬剤容器4に内蔵された薬剤の情報が情報記憶部材18に記憶されている。
例えば、錠剤等の固形薬剤を粉砕し、散薬状にして服用させる場合がある。そして粉砕した薬剤を薬剤容器4に収容し、本実施形態の薬剤払出し装置1で分包することもできる。
ここで、固形薬剤を粉砕して散薬状に再加工した薬剤の使用期限についての決まりは無いが、固形状態の薬剤に比べると、早期に消費するべきである。
そこで本実施形態では、情報記憶部材18に固形剤を粉砕した日や本来の使用期限に関する情報を記憶させている。
あるいは、別途のデータベースに、当該薬剤容器4に収容された薬剤の使用すべき期限に関連する情報が記憶されている。
そして薬剤容器4に収容された薬剤を使用する際には、使用期限に関する注意を促す表示が、操作表示部3に表示される。
【0088】
例えば固形剤を粉砕した散薬に関しては、固形剤の使用期限とは別に、薬局内で独自に使用期限を定める。例えば保管日数の上限を定める。そして固形剤を粉砕した日時から算出して、前記した保管日数を超えた散薬や、保管日数が近づいた散薬が収容された薬剤容器4が容器保管部23にある場合には、使用予定の有無に係わらず、操作表示部3にその旨を表示する。
また始業時等の様に、薬剤払出し装置1を起動した際や、該当する処方が発行されて入力された場合に、操作表示部3に表示する。
また操作表示部3にメッセージを表示し、薬剤師が確認した上で、当該散薬を使用するか否かを判断できる様にする。
【0089】
(10)薬剤容器仮置部
本実施形態の薬剤払出し装置1では、図8の様に、筐体10内に薬剤容器仮置部80、81が設けられている。
一方の薬剤容器仮置部80は、図8の様に扉部16に設けられており、扉部16を開くことによって筐体10の外に突出する。扉部16が閉じている場合には、薬剤容器仮置部80は、筐体10内に収納される。
もう一つの薬剤容器仮置部81は、筐体10の内壁に設置されている。
薬剤容器仮置部80、81は、載置台82と、係合レバー83と、保持部材85によって構成されている。
載置台82は、背もたれ部86と、台座部87によって構成されている。
載置台82には薬剤容器4の重量を測定する重量測定手段(図示せず)が設けられている。
【0090】
薬剤容器仮置部80、81の真上の位置に、掻き落とし部材90(清掃部)が設けられている。掻き落とし部材90は、断面形状が容器本体6の形状に沿う凹部91(容器接触部)を有している。また凹部91(容器接触部)の内側には吸引口92が開いており、吸引口92は図示しない吸引装置に接続されている。
【0091】
扉部16に設けられた薬剤容器仮置部80には、蓋確認センサー93が設けられている。扉部16に設けられた薬剤容器仮置部80は、外部から筐体10内に薬剤容器4を搬入する際に薬剤容器4を仮置きする用途に使用される。
薬剤容器仮置部80に容器本体6を設置して容器本体6の初期重量が検知される。また蓋確認センサー93によって、容器本体6に蓋73が正確に装着されているか否かを検知することができる。
【0092】
筐体10の内壁に取り付けられた薬剤容器仮置部81は、薬剤容器4から散薬を排出する前や排出後に薬剤容器4の重量を確認する用途に使用される。
前記した様に薬剤容器4は、人の手や容器移動手段28のハンド部47を利用して、薬剤容器仮置部81に取り付けられるが、容器移動手段28を利用して、薬剤容器仮置部81に取り付ける際には、掻き落とし部材90で薬剤容器4の側面を拭ってから容器載置装置36に取り付けることが望ましい。
【0093】
また散薬の排出を終えた薬剤容器4を容器保管部23に戻す前に、薬剤容器4を薬剤容器仮置部81に設置して重量測定と清掃を行う。
清掃作業は、図9図10の様に、容器移動手段28で薬剤容器4の側面を掻き落とし部材90の凹部91(容器接触部)に押し当て、薬剤容器4を下方又は上方にスライドさせる。また同時に図示しない吸引装置を起動させる。
このとき図の様に、蓋部材78は開いた状態とすることが推奨される。蓋部材78を開いた状態で清掃することにより、蓋部材78の裏面(薬剤容器4の内側に向く面)等に残った散薬の残渣を除去することができる。
【0094】
(11)薬剤容器の移動経路
本実施形態の薬剤払出し装置1では、容器移動手段28によって薬剤容器4を移動させる。例えば容器移動手段28によって必要な薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
ここで薬剤容器4の移動経路は任意である。
一つの方策として、例えば最初の位置から目的位置に直線的に移動させることが考えられる。この方策は、移動に要する時間が短いという点で推奨される。
【0095】
他の方策として、分配皿35の上を迂回して目的地に移動させる方法がある。
例えば、容器保管部23から容器載置装置36に向かって薬剤容器4を直線移動させると、多くの場合、薬剤容器4が分配皿35の上を通過することとなる。ここで仮に、薬剤容器4の外面に散薬が付着していたり、蓋部材78の可動部に散薬が付着していると、薬剤容器4が分配皿35の上を通過する際に、散薬が分配皿35上に落下する懸念がある。 この問題を解決する方策として、分配皿35の上を迂回して目的地に移動させる方法が考えられる。
本実施形態では、分配皿35の上を迂回して目的地に移動させる方法が採用されている。
【0096】
図11は、容器移動手段28の移動軌跡を示す説明図であり、右側の分配皿35R側に属する容器載置装置36a、36b、36cのいずれかに薬剤容器4を設置し、さらにそれを戻す際の薬剤容器4の通過軌跡を示している。
本実施形態では、薬剤容器4を容器載置装置36a、36b、36cの上を通過させて移動し、いずれかの容器載置装置36a、36b、36cに設置することにより、散薬が分配皿35上に落下することを防いでいる。薬剤容器4を容器載置装置36a、36b、36cから容器保管部23に戻す場合も同様であり、分配皿35の上を迂回して運搬する。
【0097】
(12)筐体内の換気
本実施形態の薬剤払出し装置1では、筐体10に図示しないファンが設けられている。ファンは正面ドア34が開いている場合と、散薬を分配皿35に供給したり、分割する等の場合を除いて、原則的に常時運転される。
ただし、筐体10内の図示しない温度検知手段の検知温度と、図示しない外気温度検知手段の検出値の差が小さい場合には、ファンを停止させる。
また筐体10内の温度を調節するヒータが省エネ運転されている場合にも。ファンを停止させる。
ファンを停止することによって、騒音の逓減効果と、消費電力の抑制効果が期待できる。
【0098】
(13)容器移動手段の待機位置
筐体10の扉部16や小扉33が開かれると、安全を確保するために、容器移動手段28への通電が停止して通常の操作によっては動かない状態となる。
扉部16や小扉33を閉じると、容器移動手段28に電源が投入されて容器移動手段28は待機位置に戻る。即ち容器移動手段28は原点確認の動作を行う。
ここで本実施形態の薬剤払出し装置1では、待機位置(原点)が複数ある。本実施形態では、扉部16等が閉じられて容器移動手段28が待機位置に戻る際、現状位置から近い待機位置に移動する。
そのため本実施形態の薬剤払出し装置1は、初期化動作に要する時間が短い。
【0099】
(14)残薬検知センサー
本実施形態の薬剤払出し装置1では、図3の様に分配皿35の上部に残薬検知センサー48が設けられている。残薬検知センサー48は、清掃後の分配皿35に、散薬が残留していないことを確認するためのセンサーである。
残薬検知センサー48は光学センサーであり、投光部と受光部が一体化されたものである。
残薬検知センサー48では、投光部から分配皿35に光を照射する。分配皿35に汚れや残薬が無い場合は、投光部から照射された光は、分配皿35の表面で正反射し、受光部には戻らない。
これに対して分配皿35に汚れや残薬があれば、投光部から照射された光は、残薬等に当たって乱反射し、一部が残薬検知センサー48の受光部に入光する。
そのため照射部に汚れや残薬が有るか否かを検知することができる。
【0100】
本実施形態では、残薬検知センサー48の投光部と受光部を、フィルター部材56で覆っている。フィルター部材56は具体的には紫色系の樹脂板であり、さらに具体的には紫色のアクリル板である。
【0101】
紫色のフィルター部材56を設けることにより、外乱光を遮蔽し、残薬検知センサー48のチャタリングや、誤検知を防ぐことができる。
即ち薬剤払出し装置1の筐体10は透明であり、透光性を有している。そのため室内に設置されたLED等の照明光が、筐体10を透過して筐体10内に入り、内部で乱反射して残薬検知センサー48の受光部に入光し、チャタリングや誤検知が生じる場合がある。
紫色のアクリル板は、LED照明等から発せられる波長の光を効率遮断することができ、LED照明等から発せられる光が残薬検知センサー48に入光することを防ぐことができる。
【0102】
(15)散薬の掻き寄せ(分割掻き出し)
本実施形態の薬剤払出し装置1では、一服用分の散薬を複数回のすくい上げ(掻出工程)に分けて薬剤投入口39に薬剤を投入することができる。
本実施形態では、その際に特別の動作を行わせることができる。
【0103】
例えば三回に分けて散薬を掻き寄せ、薬剤投入口39に投入することができる。具体的には、集薬工程を実行してその後に掻出工程を行い、これを三回繰り返して一服用分の散薬を薬剤投入口39に投入する。
ここで本実施形態では、三回に分けて実施する集薬工程で、一回に集める散薬量は同一ではなく、後の工程に行く程、少量となる様に設定されている。即ち後の工程に行く程、分配皿35の回転方向の移動量(回転角度)が小さい。
また本実施形態では、一回目の集薬工程に先立って、掻出機構27の掻寄板57を分配皿35の薬剤投入溝32内に入れ、分配皿35を回転することなく、掻出板58を回転して掻出板58の近傍にある散薬をすくい上げて薬剤投入口39に投入する初期投入工程を行う。
【0104】
以下、図13図14を参照しつつ説明する。
本実施形態では、分配皿35の角度をエンコーダでパルス制御している。
仮に一服用分の散薬量に相当する回転方向の移動量が5000パルスであるとすると、例えば図13(a)の様に、3500パルス分の集薬、900パルス分の集薬、600パルス分の集薬に分けて集め、それぞれ排出する。
【0105】
工程を追って説明すると、図13(b)の様に薬剤フィーダ8から目標量の散薬が排出し、分配皿35に均等に散薬が分布した状態で、掻出機構27の掻寄板57を分配皿35の薬剤投入溝32内に入れる。
そして図13(c)の様に分配皿35を回転することなく、掻出板58を回転して掻出板58の近傍にある散薬をすくい上げて薬剤投入口39に投入する。即ち初期投入工程として一回目の掻出工程を行う。
続いて一回目の集薬工程と二回目の掻出工程を行う。
一回目の集薬工程においては、図13(d)の様に分配皿35を3500パルス回転して掻寄板57の前に散薬をかき寄せ、図14(e)の様に掻出板58を回転して散薬をすくい上げて分配皿35から排出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する。
続く二回目の集薬工程においては、図14(f)分配皿35を900パルス回転して掻寄板57の前に散薬をかき寄せ、三回目の掻出工程として図14(g)の様に掻出板58を回転して散薬をすくい上げて分配皿35から排出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する。
最後の回の集薬工程(三回目)においては、図14(h)分配皿35を600パルス回転して掻寄板57の前に散薬をかき寄せ、四回目の掻出工程として図14(i)掻出板58を回転して散薬をすくい上げて分配皿35から排出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する。
【0106】
以上の工程によって、合計、一服用分の散薬を薬剤包装装置53に送り、一包みに包装される。
以下、二包目、三包目も同様の手順によって一服用分の散薬を複数回に分けて薬剤包装装置53に送り、それぞれ一包みに包装される。
本方法は、一服用分の散薬を薬剤投入口39に薬剤を投入する一連の工程を、四回の掻出工程と三回の集薬工程に分けて実行するものであり、分割掻き出しによって一服用分の散薬を分配皿35から排出するものである。
本実施形態の方法(分割掻き出し)によると、掻き出しの際に散薬が零れ落ちることが少なく、一包装に含まれる散薬量のばらつきが少ない。
【0107】
特に、一服用分の掻き出しの内、最終回の掻出に対応する集薬工程(上記実施形態では三回目)の分配皿35の移動量を他の回の移動量よりも少なくすると、最終回の掻き出し(四回目の掻出工程)の際に多くの散薬を掻きあげる必要がない。そのため続いて実施される一服用分の掻き出しの領域に、今回の散薬が零れ落ちて掻き残ることが少ない。そのため本実施形態によると、一層の分配精度の向上を図ることができる。
【0108】
本実施形態では、二包目以降も同様に一服用分の散薬を複数回に分けて薬剤包装装置53に送るが、二包目以降については、一回の掻き寄せによって一服用分の散薬を薬剤包装装置53に送ってもよい。
また二包目以降については、初期投入工程を省略してもよい。
本実施形態では、一服用分の散薬を3.5対0.9対0.6に分けて掻き寄せたが、掻き寄せ量の割合は任意である。ただし、最終回の掻き寄せ量は、他の回に比べて少なくすることが推奨される。
あるいは最終回の掻出工程においては、掻寄板57を通常よりもゆっくりと回転することも推奨される。
【0109】
以上説明した分割掻き出しは、一回目の掻出工程、一回目の集薬工程、二回目の掻出工程、二回目の集薬工程、三回目の掻出工程、三回目の集薬工程、四回目の掻出工程を経て一服用分の散薬を排出するものであるが、掻出工程と集薬工程の回数は任意である。最も工程数が少ない場合の例は、一回目の掻出工程、一回目の集薬工程、二回目の掻出工程によって一服用分の散薬を排出する場合である。
分割掻き出しは、少なくとも一回の集薬工程によって散薬を掻寄板57の前に寄せ集める必要があるから、分配皿36上における一服用分に相当する散薬の分布領域が過度に少ない場合に適用しにくい。
【0110】
そのため分割掻き出しは、一服用分として掻き出されるべき散薬の分配皿の分布領域が、掻出部100の幅に相当する掻き出し幅の2倍以上である場合に実行されることが推奨される。即ち一服用分として掻き出されるべき散薬の分配皿の分布領域が掻出部100の幅に相当する掻き出し幅の2倍以上である場合に分割掻き出しを行えば、より高精度の散薬分配を行うことができる。
【0111】
(16)散薬排出モードの選択
本実施形態の薬剤払出し装置1では、分割皿35の散薬を排出する方法として、次の方法を選択することができる。
A:通常排出モード
B:全分割掻き出しモード
C:一部分割掻き出しモード
【0112】
「通常排出モード」は、一服用分の散薬を一回の集薬工程と一回の掻出工程によって分配皿35から排出する排出モードである。
通常排出モードは、分配皿35上の散薬を全て排出するのに要する時間が短く、スピード重視の排出モードである。
【0113】
「全分割掻き出しモード」全ての分包を分割掻き出しによって行う排出モードである。
全分割掻き出しモードは、一服用分の散薬の量が多い場合や、散薬をより精密に分包したい場合に選択される排出モードである。
全分割掻き出しモードは、一服用分に対応する分配皿の移動量(回転量)がある程度多い場合に推奨される掻き出しモードであり、この様な場合に実施すると、より高精度の散薬分配を実行することができる。
限って行われる。
「全分割掻き出しモード」は、一服用分として掻き出されるべき散薬の分配皿35の分布領域が、掻出部100の幅に相当する掻き出し幅の2倍以上であることを条件の一つとして選択可能となる。
【0114】
「一部分割掻き出しモード」は、一部の分包を分割掻き出しモードで行う排出モードである。
例えば一包目の散薬を分割掻き出しによって分配皿35から排出し、二包目以降は、一服用分の散薬を一回の集薬工程と一回の掻出工程によって分配皿35から排出する。
【0115】
排出モードの切り替えは、薬剤師の判断によって行ってもよいし、自動的に選択してもよい。例えば、一回の服用量が一定量を超える場合には自動的に全分割掻き出しモードが選択される様な制御プログラムを有していてもよい。
【0116】
また選択肢として、例えば「スピード重視」とか、「精度重視」という様な区別をし、「スピード重視」が選択された場合には通常排出モードが実行され、「精度重視」が選択された場合には全分割掻き出しモードや一部分割掻き出しモードが実行されてもよい。
【0117】
(17)分配皿の回転速度の自動設定
本実施形態の薬剤払出し装置1では、分配皿35の回転速度を変更することができる。特に本実施形態の薬剤払出し装置1では、散薬の性状に応じて散薬落下時における分配皿35の回転速度が自動的に変更される。また分配皿35を分配個数に応じた角度だけ回転させて、掻寄板57にかき寄せる(集薬工程)際における分配皿35の回転速度を散薬の性状に応じて自動的に変更することも推奨される。さらに掻出装置37の掻寄板57の回転速度を散薬の性状に応じて自動的に変更してもよい。
散薬の性状は、例えば外部の記憶手段に記憶され、処方に関する情報の一つとして薬剤払出し装置1に入力される。
変形例として、処方される散薬の粒径を判別する粒径判別手段を設け、当該粒径判別手段の判定に応じて、分配皿35の回転速度が自動的に設定されるものとすることも考えられる。
【0118】
粒径判別手段としては、容器載置装置36の近傍に光学的な散薬落下センサーを設け、当該散薬落下センサーが検知する散薬の落下状態により粒径を判別する方法が考えられる。
上記した散薬落下センサーは、薬剤容器4から分配皿35に散薬が落下中であるか否かを検知するものであり、例えば、透光型の光センサーや反射型の光センサーを採用することができる。
散薬落下センサーは、散薬の落下経路に光を当て、光の透過状態や反射状態によって散薬が落下しているか否かを判断する。
ここで本発明者らの研究によると、薬剤容器4から散薬が落下する初期においては、散薬の粒径によって散薬落下センサーの検知状態が異なる。即ち散薬の排出初期は排出量が安定しない場合が多いが、散薬の粒径によって不安定さが異なる傾向がある。
散薬の粒径が大きい場合には、散薬の検知と不検知が小刻みに繰り返される。即ち散薬の粒径が大きい場合には、散薬を検知しているON状態と、検知していないOFF状態が小刻みに変わる。
これに対して、散薬の粒径が小さい場合には、粒径が小さい場合に比べて、散薬を検知しているON状態の時間が比較的長い。
【0119】
前記した「早期に初期排出を行う制御」を採用し、薬品が薬剤容器4の先端の開口72に到達するまでの間、振動が強められ、薬品が先端の開口72に到達して散薬が落下しはじめると、通常の振動に移行する構成とする場合には、通常の振動に移行する前の散薬落下センサーの検知状態を監視して散薬の粒径を判断することが望ましい。
【0120】
(18)開放型の薬剤容器を使用する際の制御
上記した薬剤払出し装置1は、容器保管部23から薬剤容器4を取り出す動作、取り出した薬剤容器4を分配皿35の近傍に移動させる動作、薬剤容器4を容器載置装置36に載置して薬剤フィーダ8を構成させる動作、所定量の薬剤を分配皿35に供給する動作、分配皿35から薬剤を一服用分ずつ薬剤包装装置53に供給する動作、薬剤容器4を容器保管部23に戻す動作を自動的に行うことができる。以下、この一連の動作を密閉型の薬剤容器4を使用する完全自動分包動作と称する。
また薬剤払出し装置1は、図6に示す様な開放型の薬剤容器60を使用することもできる。薬剤容器60を使用する場合には、外部で所定量の散薬を秤量して薬剤容器60に投入し、小扉33を開いて筐体10内の容器載置装置36に薬剤容器60を載置する。そして振動台50を振動させて薬剤容器60から分配皿35に薬剤容器60内の散薬を全て散薬を落下させる。
散薬を排出し終えた薬剤容器60は、筐体10から取り出す。
薬剤容器60を容器載置装置36に載置する作業及び薬剤容器60を筐体10から取り出す作業は、いずれも手作業によって行われる。以下、薬剤容器60を使用する場合の一連の動作を開放型の薬剤容器60を使用する半自動分包動作と称する。
【0121】
半自動分包動作においては、薬剤容器60からの散薬の落下が終わると、手作業によって薬剤容器60を筐体10から取り出すまでの間、薬剤払出し装置1の動作が停止される。
【0122】
また、薬剤払出し装置1における分包作業は、薬剤払出し装置1に入力された処方情報の順に実施される。
この様に、薬剤払出し装置1に入力された順に分包動作を実施すると、開放型の薬剤容器60を使用して、薬剤容器60から分配皿35に散薬を供給し終えた場合、筐体10から使用済みの薬剤容器60を取り出すまで、次の処方に基づく処理を行うことができないという不満がある。
【0123】
例えば、次の様な第一の処方、第二の処方、第三の処方に関する情報が順番に入力されたと仮定する。
第一の処方
A薬剤(半自動分包 開放型の薬剤容器60を使用)
B薬剤(完全自動分包可能 密閉型の薬剤容器4を使用)
第二の処方
B薬剤(完全自動分包可能 密閉型の薬剤容器4を使用)
C薬剤(完全自動分包可能 密閉型の薬剤容器4を使用)
D薬剤(完全自動分包可能 密閉型の薬剤容器4を使用)
第三の処方
B薬剤(完全自動分包可能 密閉型の薬剤容器4を使用)
C薬剤(完全自動分包可能 密閉型の薬剤容器4を使用)
【0124】
上記した薬剤払出し装置1は、1つの分配皿35に対して、容器載置装置36が3台設置されており、3個の薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させることができる。
上記した設例では、第一の処方では、A薬剤とB薬剤が処方されており、容器載置装置36を2台使用する。第二の処方では、B薬剤とC薬剤とD薬剤が処方されており、容器載置装置36を3台使用する。第三の処方では、B薬剤とC薬剤が処方されており、容器載置装置36を2台使用する。
【0125】
ここで第一の処方に基づいて分配皿35に散薬を供給した後、開放型の薬剤容器60を取り出すのを失念すると、次の第二の処方に基づく処理を開始することができない。
即ち上記した薬剤払出し装置1は、1つの分配皿35に対して、容器載置装置36が3台設置されており、3個の薬剤容器4から分配皿35に散薬を供給することができる。しかしながら、第一の処方の処理が終了した段階で、一台の容器載置装置36に開放型の薬剤容器60が残っている。
これに対して第二の処方は、A薬剤、B薬剤、C薬剤が処方されているので、容器載置装置36を3台使用する必要があるが、1台の容器載置装置36に開放型の薬剤容器60が残っているため、容器載置装置36を2台しか使用することができず、第二の処方を処理することができない。
【0126】
これに対する対策として、処方の処理順序を自動的に入れ替えて、処理可能な処方を実施する制御を採用することが考えられる。
即ち、通常の場合は、薬剤払出し装置1に入力された順に分包動作を実施する。
途中に開放型の薬剤容器60を使用する半自動分包動作が実施され、且つ容器載置装置36に開放型の薬剤容器60が残っている場合には、第二の処方の処理を後回しにして第三の処方の処理を実施する。
即ち、容器載置装置36に薬剤容器4、60があるか否かを検知する。言い換えると、使用可能な容器載置装置36の数を検知し、使用可能な容器載置装置36だけで必要な散薬を分配皿35に供給できる処方情報を選択して分包処理を行う。
この制御方法を採用すれば、薬剤払出し装置1の停止時間を短縮することができ、一日の処理件数を増加させることができる。
【0127】
(19)薬剤容器の容器載置装置への載置順
前記した様に、薬剤払出し装置1は、1つの分配皿35に対して、容器載置装置36が3台設置されており、3個の薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させることができる。例えば容器保管部23からE薬剤が充填された薬剤容器4を取り出し、当該薬剤容器4を一つの容器載置装置36に載置して振動台50を振動させ、薬剤容器4から分配皿35にE薬剤を落下させる。
この間に、容器保管部23からF薬剤が充填された薬剤容器4を取り出し、当該薬剤容器4を空いている容器載置装置36に載置しF薬剤の落下を開始する。
さらにこの間に、容器保管部23からG薬剤が充填された薬剤容器4を取り出し、当該薬剤容器4を空いている容器載置装置36に載置しG薬剤の落下を開始する。
【0128】
ここで、薬剤容器4の容器載置装置36への載置順は、処方される散薬の総量が多い順となっている。即ち処方される散薬の総量が多い程、必要量を分配皿35に供給し終えるのに要する時間が長いと予想される。そこで供給し終えるのに要する時間が長い散薬が充填された薬剤容器4を最初に容器載置装置36に載置し、早い時期に散薬の落下を開始することによって、全ての散薬(E薬剤、F薬剤、G薬)の落下が終了し終えるのに要する時間を短縮することができる。
【0129】
しかしながら、一定量の散薬を薬剤容器4から落下させるのに要する時間は、全ての種類の散薬で同じではなく、薬剤容器4から排出されやすい散薬もあれば排出され難い散薬もある。
そのため落下させる総量が少なくても、必要量の散薬を落下させるのに長い時間を有する散薬もある。この様な散薬に対して柔軟に対応できる様に、薬剤容器4の容器載置装置36への載置順を、使用者が任意に設定できる様にしてもよい。
また散薬別に係数を付け、当該係数と処方される散薬の総量を加味して薬剤容器の容器載置装置への載置順を自動設定する構成を採用してもよい。また単に、散薬別や、薬剤容器4別に優先順位を設定し、優先順位が高いものから順番に薬剤容器4を容器載置装置36に設置してもよい。
【0130】
(20)欠品表示
本実施形態の薬剤払出し装置1では、所定の操作をすることによって、操作表示部3に薬剤容器4内の散薬の残量を表示することができる。
例えば、操作表示部3を操作して、特定の薬剤容器4の情報を呼び出す。薬剤容器4の情報には、内部の散薬の残量が含まれている。
また本実施形態の薬剤払出し装置1では、操作表示部3を操作して残量が少くなった薬剤容器4を検索することができる。
例えば、各薬剤容器4内の残量に閾値を設定し、当該閾値以下となった薬剤容器4だけを選択して操作表示部3に表示させることができる。
さらに操作表示部3を操作することなく、散薬の残量が閾値以下となった薬剤容器4の番号等を操作表示部3に表示させてもよい。即ち一つの処方に対する処理が終了した後、薬剤容器4内の散薬の残量が閾値以下となった場合、特段の操作をせずとも自動的に操作表示部3に報知され、残量が少なくなってしまった薬剤容器4が特定される。
【0131】
(21)少量処方の場合の処理
例えば幼児に対する処方では、処方される散薬の量が少ない場合がある。これに対して、薬剤払出し装置1では、分配皿35に供給する個々の散薬の量に下限がある。そのため、処方箋に記載された散薬の中に、総量が下限未満の散薬が含まれている場合には、原則として分包を行うことができない。
即ち薬剤払出し装置1では、分配皿35を回転しつつ、分配皿35に散薬を落下させ、薬剤投入溝32に散薬を均等に分散させるものであるが、薬剤の量が過度に少ない場合には、薬剤投入溝32に散薬を均等に分散させることが困難である。
【0132】
本実施形態では、散薬の総量が少ない場合には、下限以上の散薬を分配皿35に落下させる。そして分配皿35内の散薬を必要個数より多数に分割し、個々の包装に含まれる散薬の量を処方の用法の量に合わせる。
例えば、H薬剤を一包中に0.1グラム包装し、これを3包作る必要があると仮定する。一方、分包可能な散薬の下限が0.5グラムであると仮定する。
この様な場合であるならば、薬剤容器4から散薬を0.5グラム落下させ、分配皿35に分散させる。
【0133】
そして分配皿35に分散された散薬を5分割し、薬剤投入口39に投入して、1包装あたり0.1グラムの薬包を5個作る。
そして患者に対して、3包装を手渡す。残る2包装は、廃棄又は、包装を破って散薬を取り出し、元の薬剤容器4に戻す。
以下、必要以上に作られた薬剤包装を「捨て包」と称する。
【0134】
ここで本実施形態の薬剤払出し装置1では、患者に投薬する前の最終鑑査の際に誤りが起きない様に、次の工夫が成されている。
(A)調剤記録用紙に捨て包の数を表示
薬剤払出し装置1又は薬剤払出し装置1に繋がる制御装置から、調剤記録用紙がプリントアウトされる。この調剤記録用紙に、患者に手渡すべき薬剤包装の数と、捨て包の数が表示される。
(B)薬剤包装に「捨て包」である旨の印字
薬剤払出し装置1の薬剤包装領域14には、前記した様に印字手段が設けられている
。そして印字手段によって、個々の薬剤包装に患者名等が印字される。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、捨て包の薬剤包装に「捨て包」であることを示す文字や記号等が印刷される。
【0135】
またさらに本実施形態では、捨て包に、内部の散薬の種類と、元の薬剤容器4を特定する文字や記号が印字される。また捨て包内の散薬が一種類であるか、複数種類であるかを区別する文字や記号も印字される。
例えば図示しないが、従来から薬剤払い出し装置には、薬剤包装にペンで自動でラインを引く装置が搭載されており、当該自動ライン引き装置によって、単一の種類の薬品か、複数の薬剤が混合された薬剤であるかが判別できるよう、異なる色のラインを薬剤分包に施しても良い。
また例えば元の薬剤容器4や、薬剤瓶を特定するバーコード等の読み取り可能なコードが薬剤包装に印字される。
捨て包内に複数の散薬が混在している場合には、再利用不能であるから廃棄することとなる。捨て包内の散薬が一種類であるならば、再利用不能であるから必要に応じて散薬を特定の薬剤容器4等に戻す。この場合、コードリーダで薬剤包装のコードを読み取る。そして読み取られたコードを利用して薬剤容器4を特定し、当該薬剤容器4に捨て包内の散薬を戻す。
【0136】
(22)使用量等の表示
本実施形態の薬剤払出し装置1では、内部に容器保管部23があり、当該容器保管部23に薬剤容器4が多数保持されている。
薬剤払出し装置1では原則として薬剤払出し装置1に収容されている薬剤容器4を容器移動手段28によって容器載置装置36に移動し、当該薬剤容器4から分配皿35に散薬が供給される。
その一方、本実施形態の薬剤払出し装置1は外部に保管された薬剤容器4を手動又は容器移動手段28よって容器載置装置36に移動し、外部に保管されていた薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させることもできる。
【0137】
また本実施形態の薬剤払出し装置1では、操作表示部3を操作し、一定期間内における散薬の消費量を薬種ごとに表示させることができる。さらに所定の条件に基づいてそれを並べ替えることもできる。
例えば、一定期間内における消費量が多い順に並べて表示することができる。あるいは処方された回数の多い順に並べて表示することもできる。さらに当該薬剤がどの薬剤容器4に収容されているのかを表示することもできる。このとき、当該薬剤容器4の居場所を表示することもできる。
即ち薬剤払出し装置1では、原則として薬剤払出し装置1に収容されている薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させるが、外部の棚等に保管された薬剤容器4を手動又は容器移動手段28によって容器載置装置36に移動し、外部に保管されていた薬剤容器4から分配皿35に散薬が落下させることもできる。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、所定の条件で並べ替えられた薬剤が、どの薬剤容器4に収容されたものであり、さらに当該薬剤容器4が、薬剤払出し装置1内の容器保管部23に保持されているのか、或いは外部の棚等に保管されているのかを表示することができる。
【0138】
本実施形態によると、使用頻度の高い薬剤容器4がどれであるのかを知ることができる。そのため、例えば使用頻度が低い薬剤容器4が薬剤払出し装置1内にあり、使用頻度が高い薬剤容器4が薬剤払出し装置1の外にあるならば、両者を入れ替え、使用頻度の高い薬剤容器4を薬剤払出し装置1内に収容することができる。
【0139】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、各薬剤容器4内の散薬の残量が監視されている。そして薬剤容器4内の散薬の残量が一定の閾値以下に減少すると、操作表示部3にその旨が表示される。即ち、薬剤容器4と、散薬の種類が特定されて操作表示部3に所定の「欠品予告」が表示される。また所定の充填案内が表示される。
具体的には、残量が低下した薬剤容器4と、薬剤容器4に収容すべき散薬の名称等が充填案内として表示される。
【0140】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器4から分配皿35に散薬が供給している際に薬剤容器4内の散薬が不足してしまうことを防ぐため、操作表示部3に欠品予告が表示されると、使用者が所定の処理をするまで次の処方に基づく分包動作が中断される。
具体的には、一つの処方に基づいて分包動作が実施された後、操作表示部3に欠品予告が表示されると、使用者がそれを手動で解除するまで次の処方に基づく分包動作が始まらない。
【0141】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、初期設定あるいはユーザー設定として、操作表示部3に欠品予告が表示された際における取り得る処置を次の4種類から選択することができる。
(A)「欠品予告」が表示された場合、使用者がそれを手動で解除することにより、次の処方に基づく分包動作が可能となる。
(B)「欠品予告」が表示された場合、「欠品予告」の対象となった薬剤容器4に所定の散薬を充填し、容器保管部23に薬剤容器4を戻したことを条件として次の処方に基づく分包動作が可能となる。
(C)「欠品予告」を一定時間表示し、その間に使用者が「欠品予告」を手動で解除しなかった場合には、次の処方に基づく分包動作が可能となる。ただし「欠品予告」の対象となった薬剤容器4を使用する処方情報は、特定のメモリ領域に「欠品処方一覧」として移動され、通常の処理順序から外される。
(D)「欠品予告」が表示された場合であっても、充填案内を表示することなく次の処方に基づく分包動作が可能となる。ただし「欠品予告」の対象となった薬剤容器4を使用する処方情報は、特定のメモリ領域に「欠品処方一覧」として移動され、通常の処理順序から外される。
【0142】
上記したC以下の設定を採用した場合には、分包動作の中断時間が過度に長くなることを防ぐことができる。
即ちAの様に「欠品予告」が表示された場合に使用者がそれを手動で解除することを条件として次の処方に基づく分包動作が可能となったり、Bの様に「欠品予告」の対象となった薬剤容器4に所定の散薬を追加充填したことを条件として次の処方に基づく分包動作が可能とする設定にすると、使用者が「欠品予告」に気づかなければ、分包動作の中断時間が長くなってしまう場合がある。
これに対してC以下の設定を採用した場合には、使用者が「欠品予告」に気づかなくても、次の処方に基づく分包動作を開始することができるから、分包動作の中断時間が過度に長くなることを防ぐことができる。
【0143】
「欠品処方一覧」として移動された処方についての取り扱いは、初期設定あるいはユーザー設定として、次の2種類から選択することができる。
(A)「欠品予告」の対象となった薬剤容器4に所定の散薬を充填し、容器保管部23に薬剤容器4を戻したことを契機として当該処方に基づく情報が「欠品処方一覧」から元のメモリ領域に戻され、処方の受信時間が早い順に分包動作が開始される。
(B)所定の操作によって「欠品処方一覧」を表示し、使用者の選択によって分包動作が開始される。
【0144】
以上説明した薬剤払出し装置1は、分配皿35R、35Lを有し、薬剤フィーダ8から分配皿35に散薬を供給し、一服用分ずつに分割して散薬が薬剤包装装置53に投入するものであるが、分配皿35R、35Lを設けず、薬剤フィーダ8から一服用分ずつ散薬を排出して薬剤包装装置53に投入してもよい。
また容器移動手段28を設けず、作業者の手によって薬剤容器4を容器載置装置36に装着してもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 薬剤払出し装置
3 操作表示部
4 薬剤容器
8 薬剤フィーダ
28 容器移動手段
35R、35L 分配皿
36 容器載置装置
37 掻出装置
40 監視カメラ(排出監視センサー)
43 集塵袋
50 振動台
52 重量測定手段
53 薬剤包装装置
72 開口(薬剤排出部)
73 蓋
76 バキュームポンプ
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