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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115371
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】スチーマー
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/16 20060101AFI20230810BHJP
   D06F 75/14 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
D06F75/16
D06F75/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109046
(22)【出願日】2023-07-03
(62)【分割の表示】P 2019219096の分割
【原出願日】2019-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小俣 汐生
(72)【発明者】
【氏名】高木 均
(72)【発明者】
【氏名】栗林 正人
(72)【発明者】
【氏名】庭山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘昭
(57)【要約】
【課題】ポンプの温度上昇の回避し、ポンプを安定的に動作させるスチーマーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のスチーマーは、液体を内部に貯留するタンク組立体17と、タンク組立体17の下方に設けられ、ヒータ6を備えたベース7と、タンク組立体17からの液体を気化させるために、ヒータ6で加熱された気化室11と、気化室11で気化したスチームを外部に噴出させるスチーム孔と、タンク組立体17の液体を気化室11に供給する電磁ポンプ24と、を備え、タンク組立体17は、上面に凹状部を有し、電磁ポンプ24は、凹状部に収容配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を内部に貯留するタンクと、
前記タンクの下方に設けられ、加熱手段を備えたベースと、
前記タンクからの液体を気化させるために、前記加熱手段で加熱された気化室と、
前記気化室で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部と、
前記タンクの液体を前記気化室に供給するポンプと、を備え、
前記タンクは、上面に凹状部を有し、
前記ポンプは、前記凹状部に収容配置されることを特徴とするスチーマー。
【請求項2】
前記ポンプは、直流モータ駆動式であることを特徴とする請求項1記載のスチーマー。
【請求項3】
液体を内部に貯留するタンクと、
前記タンクの下方に設けられ、加熱手段を備えたベースと、
前記タンクからの液体を気化させるために、前記加熱手段で加熱された気化室と、
前記気化室で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部と、
前記タンクの液体を前記気化室に供給する直流モータ駆動式のポンプと、を備え、
前記ポンプは、前記タンクの底面よりも高い位置に配置されていることを特徴とするスチーマー。
【請求項4】
前記ポンプは、吸込管を介して前記タンクの底面部から前記液体を吸い上げることを特徴とする請求項2又は3に記載のスチーマー。
【請求項5】
前記タンクから前記気化室に至る前記液体の通路の途中には、弁部材が設けられていることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載のスチーマー。
【請求項6】
前記通路は、前記ポンプから前記気化室への途中の位置であって、前記気化室の上方において、下方向に折り曲がっていることを特徴とする請求項5に記載のスチーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの繊維製品にスチームを噴出してしわ伸ばしを行なうスチーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のスチーマーの内部構造を示したものである。同図において、201はスチーマー本体、202はスチーマー本体に電力を供給するプラグユニット、203はスチーマー本体201を着脱可能に載置する置台である。スチーマー本体201には、液体である水を貯留するタンク210や、加熱手段であるヒータ211を埋設したベース212が設けられる。ベース212には凹状の気化室213が形成され、この気化室213に連通する複数のスチーム孔214が、噴出部としてベース212の下面に開口形成される。タンク210と気化室213との間には、可動体としての滴下ロッド216と、滴下ロッド216の下部に装着されるロッドスリーブ(シリコーンパッキン)217と、ロッドスリーブ217に臨んで配置されるニードルバルブ218を主な構成要素とする弁機構が設けられる。
【0003】
滴下ロッド216はスチームレバー221に連動しており、滴下ロッド216が上昇するようにスチームレバー221を動かすと、ロッドスリーブ217がニードルバルブ218から離れて開弁し、タンク210から気化室213への水の供給が可能となる。このとき、気化室213がヒータ211で加熱されていれば、ヒータ211によりタンク210からの水は気化室213で気化されてスチームとなり、そのスチームがスチーム孔214からスチーム本体201の外部に噴出される。逆に、滴下ロッド216が下降するようにスチームレバー221を動かすと、ロッドスリーブ217がニードルバルブ218に密着して閉弁し、タンク210から気化室213への水の供給が遮断されて、スチーム孔214からはスチームが噴出しなくなる。
【0004】
上述のように、従来のスチーマーにおけるスチーム発生機構は、機械的に弁体となるニードルバルブ218の開閉を行なうことで、タンク210内の水を滴下させ、気化室213内に水を送り込んでスチームを発生させていた。しかし、こうした構造では、気化室213の内圧が高い場合に、タンク210から水が滴下しにくく、また水を滴下させるためには、タンク210から気化室213に至る通水路に水が浸ってなければいけない等、スチームを噴出させるための制約があった。
【0005】
こうした問題に対して、本願出願人は従来の機械的なスチーム発生機構に代わって、直流モータを駆動源とした電磁ポンプをスチームアイロンに組み込む考えを提案し、既に特許を取得している。この場合、直流モータへの通断電を繰り返して電磁ポンプを駆動させることにより、気化室の内圧に拘わらず、またアイロン本体がどのような姿勢で使用されても、噴出部からスチームをスムーズに噴出させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6534886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、直流モータを駆動源としたポンプに加熱手段やベースの熱が伝導してポンプの温度が上昇し、ポンプの動作が不安定になることを防止する必要がある。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、ポンプの温度上昇を回避し、ポンプを安定的に動作させるスチーマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスチーマーは、液体を内部に貯留するタンクと、前記タンクの下方に設けられ、加熱手段を備えたベースと、前記タンクからの液体を気化させるために、前記加熱手段で加熱された気化室と、前記気化室で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部と、前記タンクの液体を前記気化室に供給するポンプと、を備え、前記タンクは、上面に凹状部を有し、前記ポンプは、前記凹状部に収容配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポンプの温度上昇を回避して、ポンプを安定的に動作させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態におけるスチーマーの右側面図である。
図2】同上、スチーマーの右側後方から見た斜視図である。
図3】同上、スチーマーの平面図である。
図4】同上、スチーマーの右側前方から見た斜視図である。
図5】同上、置台にプラグユニットを取付けた状態を示す右側前方から見た斜視図である。
図6】同上、スチーマー本体の縦断面図である。
図7】同上、スチーマー本体の内部構造を示す立体断面図である。
図8】従来のスチーマーの内部構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましいスチーマーの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1図7は、本発明の一実施形態におけるスチーマーを示している。これらの各図において全体の構成を説明すると、本実施形態のスチーマーは、液体である水を加熱気化してスチームを外部に噴出するスチーマー本体1と、家庭用のコンセント(図示せず)からスチーマー本体1に商用電力を供給するプラグユニット2と、床面Sに置いた状態で使用され、スチーマー本体1を着脱可能に載置する置台3と、を主な構成要素とする。プラグユニット2は、スチーマー本体1と置台3の何れにも着脱できる構成となっている。
【0014】
スチーマー本体1は、電力を受ける凹状の受電部5が後部に設けられる一方で、加熱手段としてヒータ6を埋設した金属製のベース7を下部に備えている。ベース7は、ダイキャスト成形品によるベース基体8の底面に、掛け面部材となるベースプレート9が具備された構成を有し、ベースプレート9に固着された締結部材10によって、ベース基体8に密着固定される。ベース7の内部には、ヒータ6の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室11が形成され、この気化室11に連通する複数のスチーム孔12が、ベース7の下面をなすベースプレート9に開口形成される。また、ベース7は金属板状の上蓋となるスチームカバー13を備え、ベース基体8に取付け固定されたスチームカバー13により、気化室11の上面が形成される。なお、気化室11はベース7に形成されずに、別体であってもよい。その場合も、気化室11で液体となる水を加熱気化させるために、ヒータ6若しくは別な加熱手段が設けられる。
【0015】
15はベース7の上部から側部を覆うように設けられた樹脂製のカバーであり、16はカバー15の上方に固定して設けられ、側面から見て後端を開放した略U字状に形成された把手である。把手16の内部前方から後方にかけては、液体を貯留するタンクに相当するタンク組立体17が設けられる。タンク組立体17は、何れも樹脂製のタンクカバー18とタンクベース19とにより構成され、タンクカバー18の底面開口を覆うようにタンクベース19を取付け固定することで、タンク組立体17の内部に液体の貯留空間20が形成される。
【0016】
21は、タンク組立体17の前部に設けられ、前述の貯留空間20に直接連通する注水口である。この注水口21に対向して把手16の前部には、注水口21を手動で開閉可能にする注水口蓋22が設けられ、注水口蓋22を手前側に起こして注水口21を開けることで、ここからタンク組立体17内に液体である水を収容したり、タンク組立体17内の不要水を廃棄したりするようになっている。また、スチーマー本体1の内部において、タンクカバー18の後方に形成された立壁18Aで貯留空間20と仕切られた上部収容空間23には、タンク組立体17の貯留空間20に収容される水を、ヒータ6で加熱される気化室11に供給するための電磁ポンプ24が配設される。電磁ポンプ24には、タンク組立体17の貯留空間20に連通する吸込管25と、後述する低温時液体流入防止機構47に連通する吐出管26がそれぞれ接続され、吸込管25は立壁18Aに形成された連結管27に液密状態で連結して、電磁ポンプ24の上部収容空間23から水の貯留空間20に延設される。これにより、スチーマー本体1がどのような姿勢で使用されても、貯留空間20に収容した水が電磁ポンプ24を配置した上部収容空間23に侵入することなく、電磁ポンプ24の動作時に貯留空間20から吸込管25と連結管27を通して電磁ポンプ24に吸い込んだ水を、吐出管26を通して低温時液体流入防止機構47に送り出すことが可能となる。
【0017】
把手16は、何れも樹脂製の把手ベース28と把手カバー29との二部品で構成され、スチーマー本体1の最上部に位置して、前方から後方に延びる棒状の握り部31が形成される。握り部31は、スチーマー本体1の腹部32との間に空洞33を有しており、握り部31の後部には、スチーマー本体1の後部から空洞33に手を差し入れて、握り部31を手で握ることができるように、空洞33に連通する開口部34が開口形成される。つまり、ここでの握り部31は、その後部がスチーマー本体1のどの部位にも連結せずに、開口部34を形成して開放した形状を有する。また、ここでいう腹部32とは、握り部31に対向したスチーマー本体1の平坦状の中央上面部を指すものであり、本実施形態では、把手ベース28の基部28Aとして形成される。把手ベース28は、この基部28Aの他に、基部28Aの前側でU字状に立ち上がる連結部28Bと、連結部28Bより後側に延び、握り部31の下面部を形成する延設部28Cとからなり、延設部28Cを把手カバー29で覆うことで、スチーマー本体1の握り部31が構成される。
【0018】
スチーマー本体1の上部に位置する握り部31の前側には、手動操作が可能な操作体として、ベース7の温度設定と電源の入・切を兼用する第1操作体としての温度設定/切ボタン35と、スチーム孔12から噴出するスチームの流量設定を行なう第2操作体としてのスチーム量設定ボタン36がそれぞれ配設される。これらの操作用のボタン35,36は、握り部31の内部前方に配置された第1基板37Aに搭載される。なお、操作体の数は本実施形態のような2つに限定されず、押動式以外の操作体であってもよい。また、どの操作体にどの機能を割り当てても構わない。
【0019】
第1基板37Aには、温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36の他に、握り部31の上部前側に設けられ、複数のLEDを並べた温度表示ランプ38と、電源の入・切およびベース7が設定温度に達したのを音で知らせる報知部としてのブザー39と、スチーマー本体1の負荷となるヒータ6や、電磁ポンプ24や、温度表示ランプ38の動作を制御する制御装置40などが搭載される。温度表示ランプ38は、温度設定/切ボタン35による設定温度や、温度検知手段41が検知したベース7の温度が、設定温度に達したか否かを表示するもので、スチーマー本体1の動作状態を表示する表示部に相当する。また温度検知手段41は、スチーマー本体1の動作状態を表示するセンサ部として、スチーマー本体1の内部でベース7に取付け固定される。
【0020】
握り部31の内部には、制御用の第1基板37Aよりも後方に位置して、電源用の第2基板37Bが配設される。これらの基板37A,37Bは、配線42によって互いに電気的に接続される。第2基板37Bには、プラグユニット2からの外部商用電力とは別に、スチーマー本体1の内部で発電機能を有する発電装置43と、発電装置43で発生した電力を受けて、スチーマー本体1の各部に適切な動作電力を出力する電源回路44などが搭載される。なお、スチーマー本体1に組み込まれる基板37A,37Bの数や、どの基板37A,37Bにどの部品を搭載するのかは、特に限定されない。
【0021】
発電装置43は、電源供給用の一次電池(電池)または二次電池を含んで構成される。好ましくは、スチーマー本体1の各部が動作していない未使用時の切状態に、スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されていれば、その商用電力を利用して充電回路が二次電池を自動的に充電できるように、二次電池と充電回路とを組み合わせた蓄電ユニットにより発電装置43を構成してもよい。
【0022】
電源回路44は、スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されていないコードレスの状態で、発電装置43から発生する電力を受けて、第1基板37Aに搭載された温度表示ランプ38や、ブザー39や、制御装置40などに、配線42を通してそれぞれを動作させるに必要な動作電力を送り出すと共に、電磁ポンプ24にもスチーマー本体1の内部に引き回された別な配線45を通して、当該電磁ポンプ24を動作させるのに必要な動作電力を送り出すものである。こうした電源回路44の機能の一部または全てを、発電装置43に組み込んでも構わない。
【0023】
制御装置40は、電源回路44から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、温度表示ランプ38への制御駆動を行なう。このとき温度表示ランプ38は、同じく電源回路44からの動作電力が与えられて、点灯または点滅動作するようになっている。また制御装置40は、電源回路44から動作電力が与えられると、スチーム量設定ボタン36からの操作信号に基づき設定された流量のスチームが、スチーム孔12を通してスチーマー本体1の外部に噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御する。このとき電磁ポンプ24は、同じく電源回路44からの動作電力が与えられて、設定されたスチーム流量に応じた動作を行なう構成となっている。
【0024】
タンク組立体17から気化室11に至る液体の通路46には、前述の吸込管25や、吐出管26や、連結管27を含む電磁ポンプ24と、ベース7が気化温度よりも低い状態で、気化室11に液体が流れ込むのを防止する低温時液体流入防止機構47が、それぞれ組み込まれる。電磁ポンプ24は、タンク組立体17から気化室11に水を供給すると共に、スチーム量設定ボタン36で設定されたスチーム流量に応じて、気化室11に供給する水の流量を可変する液体供給部として、スチーマー本体1内部の上部収容空間23に配設される。電磁ポンプ24の具体的な構成は、例えば特許文献1に開示される直流モータ駆動式のポンプを採用してもよい。この場合、電磁ポンプ24への通断電を繰り返すように、制御装置40が電磁ポンプ24を駆動制御することで、タンク組立体17から気化室11に所定量の水を送り出すことが可能となり、電磁ポンプ24からの送水量、ひいてはスチーム孔12からのスチーム流量は、電磁ポンプ24への通断電のタイミングを変えることで任意に増減できる。
【0025】
一方、低温時液体流入防止機構47は、ベース7の温度を感知して変形する感熱応動体としてのバイメタル51と、バイメタル51に応動して通路46を開閉する弁部材52と、を主な構成とする。バイメタル51は、ベース基体8の上面に設けた凹状のバイメタル収納室53に収納され、ベース7が液体の気化温度よりも低い場合は、バイメタル51が復帰状態となって、通路46を閉塞する方向に弁部材52が移動するのに対し、ベース7が液体の気化温度以上になると、バイメタル51が反転状態となって、通路46を開放する方向に弁部材52が移動する。このとき、前述の電磁ポンプ24が動作していれば、スチーマー本体1がどのような姿勢であっても、タンク組立体17からの水が低温時液体流入防止機構47を通して気化室11に強制的に送り出され、気化室11に液体が確実に滴下される構成となっている。
【0026】
スチーマー本体1の内部において、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19と、ヒータ6で加熱されるベース7の上面との間には、スチームカバー13の上面に載置された温度検知手段41や低温時液体流入防止機構47などを、カバー15で覆って収容する下部収容空間54が形成される。タンクベース19とベース7との間の下部収容空間54には、カバー15の上面が遮熱部15Aとして介在しており、図6図7に示すようなベース7の底面を水平に向けた状態、すなわちスチーマー本体1を水平にした状態で、電磁ポンプ24や発電装置43は、何れもタンクベース19や下部収容空間54よりも上方の高い位置に配置される。
【0027】
電磁ポンプ24や発電装置43をタンクベース19よりも高い位置に配置することで、ベース7と電磁ポンプ24との間には、ベース7からの熱を遮断する下部収容空間54が介在し、電磁ポンプ24や発電装置43の温度上昇が回避される。また、下部収容空間54にはカバー15の遮熱部15Aも配置されるため、この遮熱部15Aもベース7からの熱を効果的に遮断して、電磁ポンプ24や発電装置43の温度上昇を一層回避できる。特に発電装置43は、ベース7から最も離れた把手16の握り部31の最後方部に設けられているため、ベース7から発電装置43に対する熱影響を最大限に回避できる。
【0028】
変形例として、把手ベース28の基部28Aに臨むタンク組立体17の上面を凹状に形成し、そこに電磁ポンプ24を収容配置してもよい。この場合は、電磁ポンプ24とベース7との間に介在するタンク組立体17の貯留空間20を利用して、ベース7からの熱をさらに効果的に遮断できる。こうした効果は、ベース7との間に貯留空間20が介在する発熱装置43についても、同じように発揮される。
【0029】
プラグユニット2は、可撓性の電源コード61と、電源コード61の基端に設けられる給電プラグ62と、を主な構成要素とする。図示しないが、電源コード61の先端には、家庭用のコンセントに挿抜が可能な電源プラグが設けられる。本実施形態では、電源コード61付きの給電プラグ62を、スチーマー本体1と置台3の何れにも着脱できる構成となっている。
【0030】
給電プラグ62には、手動操作で給電プラグ62をスチーマー本体1の凹部5に嵌合可能または嵌合不可能にするコードレス切換スイッチ63が設けられる。コードレス切換スイッチ63は、給電プラグ62の上面側で前後に摺動可能に設けられており、図5に示すような給電プラグ62を置台3に装着した状態では、プラグユニット2をスチーマー本体1から取り外したコードレスの状態で、スチーマー本体1を使用するために、コードレス切換スイッチ63を一側前方に動かして、スチーマー本体1と給電プラグ62との嵌合を解除する。これに対して、置台3から給電プラグ62を取り外し、プラグユニット2をスチーマー本体1に取り付けたコード付きの状態で、スチーマー本体1を使用するためには、コードレス切換スイッチ63を他側後方に動かして、スチーマー本体1と給電プラグ62とを嵌合させる。このとき、給電プラグ62の前側部分はスチーマー本体1の凹部5に装着されるが、コードレス切換スイッチ63を含む給電プラグ62の後側部分は、凹部5に囲まれることなく露出し、ユーザーが何時でもコードレス切換スイッチ63を手動操作できるようになっている。スチーマー本体1の凹部5には、プラグユニット2の給電端子(図示せず)と電気的に接続が可能な一対の受電端子64が設けられる。
【0031】
置台3は、スチーマー本体1の前方を斜め上方向に向けて載置するために、床面Sに対して傾斜して形成された本体載置部66と、本体載置部66の後方に設けられる凹状のプラグ収容部67と、置台3の後部に設けられ、給電プラグ62をプラグ収容部67に装着したときに、置台3の外部に電源コード61を引き出すコード引出部68と、を備えている。給電プラグ62をプラグ収容部67の開放した前側から差し込むと、給電プラグ62がプラグ収容部67に嵌合保持される一方、この状態から給電プラグ62を前側に向けて引抜くと、給電プラグ62とプラグ収容部67との嵌合が解除される構成となっている。
【0032】
給電プラグ62は、前述したコードレス切換スイッチ63の他に、嵌合爪71と、シャッター部材72をそれぞれ備えている。嵌合爪71は、給電プラグ62の内部に設けたスプリングなどの第1弾性部材により、給電プラグ62の上面部から突出するように常時付勢される。この第1弾性部材の付勢に抗して、コードレス切換スイッチ63を一側前方の「コードレス」側に動かすと、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪71の突出長を少なくする構成となっている。これにより、コードレス切換スイッチ63が「コードレス」側にある場合は、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪71の突出長が僅かになるため、前述のように給電プラグ62を置台3のプラグ収容部67に収容保持すれば、嵌合爪71に干渉することなく、置台3の本体載置部66に載せたスチーマー本体1の凹部5を、給電プラグ62に抜き差しできるようになり、スチーマー本体1をコードレスで使用することが可能となる。
【0033】
一方、コードレス切換スイッチ63を他側後方の「コード付き」側に動かすと嵌合爪71には第1弾性部材の付勢力だけが作用するため、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪71の突出長が、「コードレス」の場合よりも増加する。したがって、コードレス切換スイッチ63が「コード付き」側にある場合に、スチーマー本体1の凹部5を給電プラグ62に差し込むと、第1弾性部材の付勢力により大きく突出した嵌合爪71が、凹部5に形成した受け部(図示せず)に嵌合し、コードレス切換スイッチ63を「コードレス」側に切換えない限り、スチーマー本体1をプラグユニット2が装着したままのコード付きで使用することが可能となる。
【0034】
樹脂製のシャッター部材72は、給電プラグ62の前方に開口形成した一対の給電孔73から、給電プラグ62の内部に設けられた導電性の給電端子(図示せず)が何れも露出しない方向に、同じく給電プラグ62の内部に設けられたトーションバネなどの第2弾性部材(図示せず)で常時付勢される。そして本実施形態では、スチーマー本体1をコードレスまたはコード付きの何れで使用する場合にも、スチーマー本体1の凹部5を給電プラグ62に挿入すると、給電孔73から給電端子が露出するように、第2弾性部材の付勢力に抗してシャッター部材72が回動し、スチーマー本体1の受電端子64が、給電プラグ62の給電孔65Aを挿通して給電端子88に接触する。これにより、家庭用のコンセントからプラグユニット2を介してスチーマー本体1への給電が可能となる。
【0035】
次に、上記構成のスチーマーについて、その動作を説明する。スチーマー本体1に設けられた注水口蓋22を開閉して、所定量の水をタンク組立体17の貯留空間20に収容する。続いて、置台3のプラグ収容部67にプラグユニット2の給電プラグ62を嵌合収容し、その置台3の本体載置部66にスチーマー本体1を載置するか、或いは置台3を用いずに、スチーマー本体1の凹部5に給電プラグ62を差し込んで嵌合させて、家庭用のコンセントから供給される商用電力を、給電プラグ62を介してスチーマー本体1に給電する。
【0036】
給電直後の温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36を操作しない切状態では、スチーマー本体1に供給される商用電力によって、発電装置43である蓄電ユニットが自動的に充電される。そのため、発電装置43を充電する際に、例えば温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36などの操作体を使用者がわざわざ操作する必要がない。また切状態では、ヒータ6や温度表示ランプ38は通電されないが、発電装置43の電池残量を温度表示ランプ38若しくは別な表示部に表示させてもよい。
【0037】
スチーマー本体1を前述のコード付きで使用する場合、切状態から温度設定/切ボタン35を押動操作し、スチームの噴出対象物となる衣類の布地などに合わせた温度を設定すると、スチーマー本体1の内部では発電装置43への充電が終了する。また制御装置40は、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が、温度設定/切ボタン35で設定した温度に近付くように、ヒータ6を通断電制御して気化室11を含むベース7を加熱する。その後、ヒータ6への通電に伴いベース7がある温度以上に達すると、ベース基体8のバイメタル収納室53に収納したバイメタル51が反転し、低温時液体流入防止機構47の内部で通路46を開放する方向に弁部材52が移動する。この一連の過程で制御装置40は、設定した温度に対応する温度表示ランプ38の中の一つのLEDを点滅動作させ、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が設定した温度に達すると、点滅したLEDを点灯動作に切替えるように、温度表示ランプ38を駆動制御する制御信号を送出する。
【0038】
ここで、使用者がスチーム機能を利用する場合は、握り部31を手で握ったまま、スチーム量設定ボタン36を初期位置から指で押動操作すると、スチーム量設定ボタン36の押動位置に応じたスチーム流量が設定され、それに見合う操作信号が制御装置40に送出される。制御装置40は、スチーム量設定ボタン36からの操作信号を受けて、設定された流量のスチームがスチーム孔12から噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御するための制御信号を送出する。これにより電磁ポンプ24は、設定されたスチーム流量に対応したタイミングで通断電が繰り返され、タンク組立体17の貯留空間20から吸込管25と連結管27を通して吸込んだ水を、吐出管26を通して低温時液体流入防止機構47に送り出すことが可能となる。したがって、この場合はスチーマー本体1をどのような姿勢で使用した場合でも、加熱された気化室11に水が確実に達してそこで気化され、スチーム本体1の底面からスチーム孔12を通して、衣類の布地などに設定された流量でスチームを噴出することができる。
【0039】
また、使用者がドライ機能を利用する場合は、スチーム量設定ボタン36から指を離して、スチーム量設定ボタン36を初期位置に戻すと、制御手段40は電磁ポンプ24に対する制御信号の送出を停止する。これを受けて電磁ポンプ24はその動作を停止し、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断される。したがって、この場合は全てのスチーム孔12からスチームが噴出しないドライスチーマーとして、スチーマー本体1を使用できる。
【0040】
一方、スチーマー本体1をコードレスで使用する場合、消費電力の大きいヒータ6以外は、発電装置43を電源として、スチーマー本体1の各部をコード付きの場合と同様に動作させることができる。
【0041】
具体的には、スチーマー本体1がコードレスの状態になると、第2基板37Bに搭載さ電源回路44が、発電装置43から発生する電力を受けて、第1基板37Aに搭載された温度表示ランプ38や、ブザー39や、制御装置40などに、配線42を通して動作電力を供給する。これにより動作した制御装置40は、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、前述した温度表示ランプ38を駆動制御するための制御信号を送出し、温度表示ランプ38の中の一つのLEDは、電源回路44から与えられた動作電力により制御信号に従い点灯または点滅動作する。この点について、従来のスチーマーはコードレスでの使用中に表示部が全て消灯して表示されず、スチーマーの動作状態を表示部で確認できなかったが、本実施形態ではコードレスでの使用中にも、発電装置43からの電力を利用して、スチーマーの動作状態であるベース7の温度を、スチーマー本体1の上面部に設けた温度表示ランプ38で引き続き表示確認することができる。
【0042】
また、スチーマー本体1がコードレスの状態で、電源回路44は発電装置43から発生する電力を受けて、電磁ポンプ24にも配線45を通して動作電力を供給する。このときスチーム量設定ボタン36を指で押動操作し、その押動位置に応じたスチーム流量が設定され、それに見合う操作信号が制御装置40に送出されると、制御装置40は、スチーム量設定ボタン36からの操作信号を受けて、設定された流量のスチームがスチーム孔12から噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御するための制御信号を送出する。これにより電磁ポンプ24は、設定されたスチーム流量に対応したタイミングで通断電が繰り返され、タンク組立体17の貯留空間20から吸込んだ水を、低温時液体流入防止機構47に送り出すことが可能となる。したがって、ベース7の余熱でバイメタル51が反転していれば、低温時液体流入防止機構47の内部で通路46が開放されるので、スチーマー本体1をどのような姿勢で使用した場合でも、タンク組立体17の貯留空間20から加熱された気化室11に水が確実に達してそこで気化され、スチーム量設定ボタン36で設定した流量のスチームを、スチーム孔12から噴出させることが可能となる。
【0043】
以上のように本実施形態のスチーマーは、液体を内部に貯留するタンクとしてのタンク組立体17と、タンク組立体17の下方に設けられ、加熱手段としてのヒータ6を埋設して備えたベース7と、タンク組立体17からの液体を気化させるために、ヒータ6で加熱された気化室11と、気化室11で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部としてのスチーム孔12と、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19よりも高い位置に配置した発電装置43と、タンク組立体17の液体を気化室11に供給する液体供給部としての電磁ポンプ24と、をスチーマー本体1に備えており、発電装置43で発生した電力により、第1基板37Aに搭載した制御装置40を動作させて、当該制御装置40が電磁ポンプ24の駆動を制御する構成を有している。
【0044】
この場合、発電装置43をタンク組立体17の底面を形成するタンクベース19よりも高い位置に配置することで、ヒータ6によるベース7の加熱温度の影響により、発電装置43が劣化するのを防ぐことができる。また、スチーマーひいてはスチーマー本体1への電源供給が無いコードレスの状態でも、発電装置43で発生した電力を利用して、電磁ポンプ24の駆動を制御することができ、スチーマー本体1をどのような姿勢で使用した場合でも、電磁ポンプ24を駆動させてタンク組立体17から気化室11に液体を強制的に送り出すことで、スチーム孔12からスチームをスムーズに噴出させることができる。
【0045】
また、本実施形態の液体供給部は電磁ポンプ24で構成され、発電装置43からの電力を使用して、電源回路44からの動作電力を電磁ポンプ24に与えて、電磁ポンプ24を駆動させることで、タンク組立体17内の貯留空間20に収容した液体を気化室11に送り込む構成としている。
【0046】
この場合、発電装置43からの電力で電磁ポンプ24を駆動させることで、スチーム孔12からスチームをより確実且つスムーズに噴出させることが可能となる。
【0047】
また本実施形態では、スチーマー本体1の内部で、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19よりも高い位置に、液体供給部となる電磁ポンプ24を配置している。
【0048】
この場合、電磁ポンプ24をタンクベース19よりも高い位置に配置することで、電磁ポンプ24の温度上昇を回避して、電磁ポンプ24を安定的に動作させることが可能になる。
【0049】
また本実施形態では、スチーマー本体1の動作状態として、ベース7の温度を検知するセンサ部としての温度検知手段41と、ベース7の温度を表示する表示部としての温度表示ランプ38と、をさらに備え、発電装置43からの電力を使用して、温度検知手段41による制御装置40の制御駆動で、ベース7の温度に応じて温度表示ランプ38を動作させる構成を有している。
【0050】
この場合、発電装置43からの電力を温度表示ランプ38の駆動にも利用でき、スチーマー本体1に電源供給が行われないコードレスの状態でも、スチーマー本体1の動作状態であるベース7の温度を検知して、その結果を温度表示ランプ38に表示させることが可能になる。
【0051】
また、本実施形態の発電装置43は、スチーマー本体1の未使用時である切状態に自動で充電を可能にした蓄電ユニットで構成される。
【0052】
この場合、スチーマー本体1を使用しない未使用時の切状態に、発電装置43としての蓄電ユニットが自動的に充電されるので、蓄電ユニットの充電を普段気にすることなく、スチーム孔12からスチームをスムーズに噴出させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本発明の名称である「スチーマー」は、スチームを噴出して衣類などのしわ伸ばしを行なうあらゆる機器に適用され、例えば本実施形態に示すような離れた位置から衣類へのスチーム噴出を行なうのに適したスチーマーは勿論、ベースの掛け面を衣類に押し当てるアイロン掛けを行ないながらスチーム噴出を行なうのに適したスチームアイロンも含まれる。また、温度検知手段41以外の各種センサ部を利用して、表示部の動作を駆動制御する構成としてもよく、表示部はLEDに限らず、その他の各種表示素子や表示器を利用できる。
【符号の説明】
【0054】
6 ヒータ(加熱手段)
7 ベース
11 気化室
12 スチーム孔(噴出部)
17 タンク組立体(タンク)
19 タンクベース(底面)
24 電磁ポンプ(液体供給部)
25 吸込管
38 温度表示ランプ
41 温度検知手段(センサ部)
43 発電装置(蓄電ユニット)
46 通路
52 弁部材
図1
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図8