(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001154
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】毛細管界面を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20221222BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20221222BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168245
(22)【出願日】2022-10-20
(62)【分割の表示】P 2019130888の分割
【原出願日】2012-12-05
(31)【優先権主張番号】11192697.8
(32)【優先日】2011-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ フラヴィアン
(57)【要約】
【課題】エアロゾル形成基材(115、505)を貯えるための貯蔵部(113、501)を備えたエアロゾル発生装置が提供される。
【解決手段】本装置は、エアロゾル形成基材(115、505)を加熱するための気化器(119、509)と、毛細管作用によって貯蔵部(113、501)から気化器(119、509)に向けてエアロゾル形成基材(115、505)を運ぶための毛細管材料(117、507)と、毛細管材料(117、507)と気化器(119、509)との間にある多孔性材料(201、301、405、511)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、
前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、
毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、
前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料と、
を含む、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記エアロゾル発生装置が電気作動式であり、前記気化器が、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記多孔性材料が耐熱性材料を含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記気化器が多孔性部材内に位置し、該多孔性部材が前記多孔性材料を含む、請求項1から3の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記毛細管材料が、前記貯蔵部から前記気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための細長い毛細管本体を含み、該毛細管本体が、前記貯蔵部内に延びる第1の端部と、該第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、前記気化器が、前記毛細管本体の第2の端部において前記エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される、請求項1から4の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記多孔性材料が、前記毛細管本体の前記第2の端部を実質的に囲む多孔性材料のスリーブを含む、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記多孔性材料が、前記毛細管本体の前記第2の端部を実質的に覆う多孔性材料のキャップを含む、請求項5又は6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記貯蔵部が内部通路を含み、前記気化器が、前記貯蔵部の内部通路の少なくとも一部を通って延び、前記毛細管材料が、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、請求項1から4の何れか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、
前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、
毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、
前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料と、
を含む、カートリッジ。
【請求項10】
前記エアロゾル発生装置が電気作動式であり、前記気化器が、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備え、該電気加熱器は、前記エアロゾル発生装置において電源に接続可能である、請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記多孔性材料が耐熱性材料を含む、請求項9又は10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記気化器が多孔性部材内に位置し、該多孔性部材が前記多孔性材料を含む、請求項10又は11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記毛細管材料が、前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための細長い毛細管本体を含み、該毛細管本体は、前記貯蔵部内に延びる第1の端部と、該第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、前記気化器が、前記毛細管本体の第2の端部において前記エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される、請求項9から12の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記貯蔵部が内部通路を含み、前記気化器が、前記貯蔵部の内部通路の少なくとも一部を通って延び、前記毛細管材料が、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、請求項9から12の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
カートリッジと協働するエアロゾル発生装置を備え、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するための気化器を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料を含み、前記カートリッジ又は前記エアロゾル発生装置が、前記毛細管材料と前記気化器との間にある多孔性材料を含む、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基材を加熱するためのエアロゾル発生装置に関する。詳細には、限定ではないが、本発明は、液体エアロゾル形成基材を加熱するための電気作動式エアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開特許2009/132793号では、電気加熱式喫煙システムを開示している。液体は、液体貯蔵部に貯えられ、毛細管芯は、液体貯蔵部内に延びて内部の液体と接触する第1の端部と、液体貯蔵部から外に延びる第2の端部と、を有する。加熱要素は、毛細管芯の第2の端部を加熱する。加熱要素は、らせん状に巻かれた電気加熱要素の形態であり、電源と電気的に接続され、毛細管芯の第2の端部を囲む。使用時、加熱要素は、ユーザが電源のスイッチを入れることによって作動可能である。ユーザがマウスピースを吸引することにより、空気が毛細管芯及び加熱要素を横切って電気加熱式喫煙システム内に吸い込まれ、その後ユーザの口腔に入る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開特許2009/132793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、エアロゾル発生装置又はシステムにおけるエアロゾルの形成を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、毛細管作用によって貯蔵部から気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、毛細管材料と気化器との間の多孔性材料と、を備えるエアロゾル発生装置が提供される。
【0006】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、毛細管作用によって貯蔵部から気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、毛細管材料と気化器との間の多孔性材料と、を備える、カートリッジが提供される。
【0007】
エアロゾル発生装置及びカートリッジが協働して、エアロゾル形成基材を蒸発させるためのエアロゾル発生システムを提供する。カートリッジ又は装置は、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部を備えることができる。気化器、毛細管材料及び多孔性材料は、エアロゾル発生装置内に収容することができる。また、気化器、毛細管材料及び多孔性材料は、カートリッジ内に収容することができる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システムが提供され、エアロゾル発生システムは、カートリッジと協働するエアロゾル発生装置を備え、カートリッジ又はエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部を備え、カートリッジ又はエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するための気化器を備え、カートリッジ又はエアロゾル発生装置は、毛細管作用によって貯蔵部から気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料を備え、カートリッジ又はエアロゾル発生装置は、毛細管材料と気化器との間に多孔性材料を備える。
【0009】
本発明の全ての態様において、貯蔵部は、液体貯蔵部とすることができる。本発明の全ての態様において、エアロゾル形成基材は、液体エアロゾル形成基材とすることができる。
【0010】
代替的に、エアロゾル形成基材は、例えばガス基材又はゲル基材、或いは様々なタイプの基材の何らかの組み合わせなど、他の何れかの種類の基材とすることができる。
【0011】
エアロゾル発生装置又はシステムは、エアロゾル形成基材を蒸発させてエアロゾルを形成するように構成される。カートリッジ又はエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基材を含み、又はエアロゾル形成基材を受けるように適合することができる。当業者には公知であるように、エアロゾルは、空気のような気体中における固体粒子又は液滴の懸濁体である。
【0012】
好ましくは、毛細管材料は、貯蔵部においてエアロゾル形成基材と接触するように構成される。1つの実施形態において、毛細管材料内の液体は、加熱器により蒸発されて過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は、空気流と混合されてその中に担持される。流れの間に、蒸気が凝縮してエアロゾルを形成し、エアロゾルは、ユーザの口腔に向けて運ばれる。液体エアロゾル形成基材は、表面張力及び粘度を含む好適な物理的特性を有し、これにより液体を毛細管作用により毛細管材料を通って運ぶことができる。
【0013】
本発明は幾つかの利点をもたらす。第1に、多孔性材料は、毛細管材料のための構造的支持を提供し、毛細管材料が、例えば分裂、曲がり又は平坦化などの損傷を受けるのを防ぐことができる。これは、毛細管材料が可撓性材料であり多孔性材料が剛性材料である場合に、特に当てはまる。毛細管材料が損傷から保護される場合、エアロゾル発生装置を複数回使用してもエアロゾル形成は一貫している可能性が高い。第2に、毛細管材料は、単純で比較的安価な材料とすることができるので、製造コストを低減することができる。多孔性材料は、より堅牢で高価な材料を含むことができる。従って、より高価な材料は、少量の多孔性材料でのみ使用することができ、装置の大部分に対しては比較的安価な材料を使用することができる。
【0014】
毛細管材料は、エアロゾル形成基材を気化器に向けて運ぶことが可能なあらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。毛細管材料は、多孔性材料であることが好ましいが、これは必須ではない。毛細管材料は、繊維性又はスポンジ状構造を有することができる。毛細管材料は、毛細管の束を含むことができる。例えば、毛細管材料は、複数の繊維又は線条、或いは、他の微細ボア管を含むことができる。代替的に、毛細管材料は、スポンジ状又は発泡材料を含むことができる。毛細管材料の構造は、複数の小さなボア又は管体を形成し、ここを通ってエアロゾル形成基材を毛細管作用によって貯蔵部から気化器に向けて移送することができる。特に好ましい1つ又は複数の毛細管材料は、エアロゾル形成基材の物理的特性によって決まることになる。好適な毛細管材料の実施例には、スポンジ材料又は発泡材料、繊維又は焼結粉体の形態のセラミック又は黒鉛系材料、発泡金属又は発泡プラスチック材料、例えば、酢酸セルロース、ポリエステル、又は結合ポリオレフィン、ポリエチレン、テリレン又はポリプロピレン繊維、ナイロン繊維又はセラミックなど、紡績又は押し出し繊維で作られた繊維性材料が挙げられる。毛細管材料は、異なる液体物理的特性と共に使用されるようにあらゆる好適な毛細管現象を有することができる。液体は、限定ではないが、粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点及び蒸気圧を含む適切な物理的特性を有し、これにより液体を毛細管材料を通って移送できるようになる。
【0015】
多孔性材料は、エアロゾル形成基材に対して透過性があり、エアロゾル形成基材が毛細管材料から気化器に移動できるようにする、任意の好適な材料又は材料の組み合わせを含みことができる。また、材料又は材料の組み合わせは、エアロゾル形成基材に対して不活性である。多孔性材料は、毛細管材料とすることができ、又は毛細管材料でなくてもよい。多孔性材料は、エアロゾル形成基材の分布及び広がりを改善するように親水性材料を含むことができる。これは、一貫したエアロゾル形成を助けることができる。特定の好ましい1つ又は複数の材料は、エアロゾル形成基材の物理的特性によって決まる。好適な材料の実施例は、例えば、スポンジ材料又は発泡材料、繊維又は焼結粉体の形態のセラミック又は黒鉛系材料、発泡金属又は発泡プラスチック材料、例えば、酢酸セルロース、ポリエステル、又は結合ポリオレフィン、ポリエチレン、テリレン又はポリプロピレン繊維、ナイロン繊維又はセラミックなど、紡績又は押し出し繊維で作られた繊維性材料などの毛細管材料である。多孔性材料は、異なる液体物理的特性と共に使用されるようにあらゆる好適な多孔率を有することができる。
【0016】
多孔性材料と毛細管材料は、異なる材料を含みことが好ましい。好ましくは、毛細管材料と多孔性材料は、これは液体の良好な移送を提供する理由から接触状態にある。
【0017】
貯蔵部は、エアロゾル形成基材を周囲空気から保護することができる(空気は一般に液体貯蔵部に侵入できないので)。貯蔵部がエアロゾル形成基材を光から保護することができるので、エアロゾル形成基材が劣化する危険性が大幅に低下する。更に、高レベルの衛生状態を維持することができる。貯蔵部は詰め替え可能でなくてもよい。従って、貯蔵部内のエアロゾル形成基材が使い果たされると、カートリッジを交換する。代替的に、貯蔵部は詰め替え可能であってもよい。この場合、カートリッジは、貯蔵部を何回かの詰め替え後に交換することができる。貯蔵部は、所定数の吸煙の間エアロゾル形成基材を保持するように構成することが好ましい。
【0018】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生装置は電気作動式であり、気化器は、エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備える。
【0019】
電気加熱器は、単一の加熱要素を備えることができる。代替的に、電気加熱器は、1つよりも多い加熱要素、例えば2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つ、或いはそれよりも多くの加熱要素を備えることができる。1つ又は複数の加熱要素は、エアロゾル形成基材を最も効率よく加熱するように適切に構成することができる。
【0020】
少なくとも1つの電気加熱要素は、電気抵抗材料を備えるのが好ましい。好適な電気抵抗材料には、限定ではないが、ドープセラミックスのような半導体、電気的に「伝導性の」セラミックス(例えば、二ケイ化モリブデンのような)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、及びセラミック材料と金属材料で作製された複合材料が挙げられる。このような複合材料は、ドープセラミックス又は非ドープセラミックスを含むことができる。好適なドープセラミックスの実施例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。好適な金属の実施例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、及び白金族の金属が挙げられる。好適な金属合金の実施例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、クロム含有合金、アルミニウム含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金、ハフニウム含有合金、ニオブ含有合金、モリブデン含有合金、タンタル含有合金、タングステン含有合金、スズ含有合金、ガリウム含有合金、マンガン含有合金、及び鉄含有合金、並びにニッケル基超合金、鉄基超合金、コバルト基超合金、ステンレス鋼、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム基合金、及び鉄-マンガン-アルミニウム基合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、コロラド州デンバー市Broadway Suite 4300所在のTitanium Metals Corporationの登録商標である。複合材料では、任意選択的に、電気抵抗材料は、エネルギ伝達の動力学及び要求される外部物理化学特性に応じて、絶縁材料に埋め込まれ、カプセル封入され、又はコーティングすることができ、逆もまた同様である。加熱要素は、不活性材料の2つの層の間で絶縁された金属エッチング箔を含むことができる。この場合、不活性材料は、Kapton(登録商標)、全ポリイミド箔又はマイカ箔を含むことができる。Kapton(登録商標)は、米国デラウェア州 19898 Wilmingtonの1007 Market Streetに所在のE.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0021】
代替的に、少なくとも1つの電気加熱要素は、赤外線加熱要素、光子源又は誘電加熱要素を含むことができる。
【0022】
少なくとも1つの電気加熱要素は、あらゆる好適な形態とすることができる。例えば、少なくとも1つの加熱要素は、加熱ブレードの形態とすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、異なる導電部を有するケーシング又は基板、もしくは電気抵抗性金属管体の形態とすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、ディスク(エンド)加熱器、或いはディスク加熱器と加熱ニードル又はロッドとの組み合わせとすることができる。代替として、少なくとも1つの電気加熱要素は、可撓性シート材料を含むことができる。他の代替形態は、加熱ワイヤ又はフィラメント、例えば、Ni-Cr、白金、タングステン又は合金ワイヤ、或いは加熱プレートを含む。任意選択的に、加熱要素は、剛性担体材料中に又はその上に堆積させることができる。
【0023】
少なくとも1つの電気加熱要素は、吸熱及び蓄熱し、その後経時的に放熱してエアロゾル形成基材を加熱することができる材料を含む、ヒートシンク又はヒートリザーバを含むことができる。ヒートシンクは、好適な金属又はセラミック材料等のあらゆる好適な材料から形成することができる。好ましくは、材料は、高い熱容量を有する(顕熱蓄熱材料)か、又は吸熱後に高温相変化のような可逆プロセスによって放熱することができる材料である。好適な顕熱蓄熱材料には、シルカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、無機物、及びアルミニウム、銀、もしくは鉛等の金属又は合金、並びに紙などのセルロース材料が挙げられる。可逆的相変化によって放熱する他の好適な材料には、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタレン、ワックス、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物、又は合金が挙げられる。
【0024】
ヒートシンクは、貯蔵部から運ばれたエアロゾル形成基材と直接接触して、蓄熱をエアロゾル形成基材に直接伝達できるように配置することができる。代替として、ヒートシンク又はヒートリザーバに貯えられた熱は、金属管体のような熱伝導体によってエアロゾル形成基材に伝達することができる。
【0025】
少なくとも1つの加熱要素は、熱伝導によりエアロゾル形成基材を加熱することができる。加熱要素は、エアロゾル形成基材と少なくとも部分的に接触することができる。代替として、加熱要素からの熱は、熱伝導体によりエアロゾル形成基材に伝導することができる。
【0026】
代替として、少なくとも1つの加熱要素は、使用時にエアロゾル発生装置を通って引き込まれた流入周囲空気に熱を伝達することができ、この熱が対流によってエアロゾル形成基材を加熱する。周囲空気は、エアロゾル形成基材を通過する前に加熱することができる。代替として、周囲空気は、最初にエアロゾル形成基材を通って引き込まれた後に加熱することもできる。
【0027】
しかしながら、本発明は、加熱気化器に限定されず、機械式気化器(例えば、限定ではないが圧電式気化器又は加圧液体を用いた噴霧器)によって蒸気及び結果的に生じるエアロゾルが生成されるエアロゾル発生装置及びシステムで使用することができる。
【0028】
気化器が電気加熱器を備える場合は、多孔性材料は、耐熱性材料を含むことが好ましい。好ましくは、電気エネルギは、1つ又は複数の加熱要素が約200°Cから440°Cの温度に達するまで1つ又は複数の加熱要素に供給される。このことは、タバコ及びシガレットラッパーの燃焼が800°Cに達する従来のシガレットとは対照的である。従って、本明細書における用語「耐熱性」は、顕著な劣化を生じることなく、約200°Cよりも高い、より好ましくは薬250°Cよりも高い、更に好ましくは最大で約440°Cの温度に耐えることができる材料を意味する。好適な材料の一例はセラミックである。
【0029】
従って、本発明のこの実施形態の別の利点は、多孔性材料が毛細管材料に対する熱損傷を阻止できることである。また、多孔性材料は、改善された均一な熱分布をもたらすことができる。これは、一貫したエアロゾル形成を助けることができる。好適な耐熱性材料は高価な場合がある。しかしながら、多孔性材料が毛細管材料と電気加熱器との間に耐熱障壁を提供するので、毛細管材料は、毛細管-多孔性界面における温度に耐えることで十分である。これらの温度は、1つ又は複数の加熱要素における温度よりも低い。従って、潜在的に高価な耐熱材料の使用をより少量にすることができる。これにより製造コストが低減される。耐熱性材料は、加熱器と毛細管材料との間に断熱部を提供する。
【0030】
好ましくは、多孔性材料は、電気絶縁性材料を含む。気化器が電気加熱器を備える場合、これにより加熱要素のあらゆる短絡が阻止される。
【0031】
1つの実施形態において、多孔性材料は、単に、気化器と毛細管材料との間に多孔性材料の層を構成する。代替の実施形態において、多孔性材料は、気化器を覆う多孔性材料のコーティングを構成する。代替の実施形態において、気化器は多孔性部材内に位置し、多孔性部材は多孔性材料を含む。従って、気化器は多孔性部材の内側に配置され、気化器と毛細管材料との間の多孔性部材の部分が、多孔性材料を形成する。気化器及び多孔性部材は、一体的に形成することができる。用語「一体的に形成」とは、気化器及び多孔性部材の両方が一体部品で共に製造されていることを意味する。
【0032】
特に好適な実施形態において、エアロゾル発生装置は電気作動式であり、気化器は、エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備え、電気加熱器と多孔性材料を含む多孔性部材は一体的に形成される。1つの構成において、多孔性部材が毛細管材料に隣接する場合、電気加熱器と毛細管材料との間の多孔性部材の部分が多孔性材料を形成するように、電気加熱器は多孔性部材の内側に配置される。当該実施形態では、多孔性部材は耐熱性材料を含む。
【0033】
1つの実施形態において、毛細管材料は、液体エアロゾル形成基材を液体貯蔵部から気化器に向けて運ぶための細長い毛細管本体を備え、毛細管本体は、液体貯蔵部内に延びる第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、気化器は、毛細管本体の第2の端部において液体エアロゾル形成基材を蒸発させるように構成される。
【0034】
この実施形態において、使用時には、液体は、液体貯蔵部から、毛細管作用により毛細管本体の第1の端部から毛細管本体の第2の端部に移送される。多孔性材料は、毛細管本体の第2の端部と気化器との間に設けられる。毛細管本体の第2の端部及び多孔性材料における液体は、蒸発して過飽和蒸気を形成する。毛細管本体は芯の形態を有することができる。毛細管本体は、エアロゾル発生装置又はシステムの長手方向でほぼ整列した繊維又は線条を備えることができる。代替として、毛細管本体は、ロッド形状に形成されたスポンジ状又は発泡状材料を含むことができる。ロッド形状は、エアロゾル発生装置又はシステムの長手方向に延びることができる。
【0035】
好適な実施形態において、毛細管材料は、液体エアロゾル形成基材を液体貯蔵部から運ぶための細長い毛細管本体を備え、毛細管本体は、液体貯蔵部内に延びる第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、気化器は、毛細管本体の第2の端部において液体エアロゾル形成基材を加熱するように構成された電気加熱器を備える。毛細管本体の第2の端部と電気加熱器との間に多孔性材料が設けられる。加熱器が作動されると、毛細管本体の第2の端部及び多孔性材料における液体は、加熱器により蒸発し過飽和蒸気を形成する。
【0036】
1つの実施形態において、多孔性材料は、毛細管本体の第2の端部を実質的に囲む多孔性材料のスリーブを構成する。
【0037】
多孔性材料のスリーブは、毛細管本体が気化器と接触状態にならないように、毛細管本体の第2の端部を十分に囲むことができる。これは、毛細管材料が耐熱性でない場合があるので、気化器が電気加熱器を備える場合に特に重要である。多孔性材料のスリーブは、毛細管本体のための保護及び支持を提供することができる。多孔性スリーブは、毛細管本体を損傷する可能性がある毛細管本体と気化器との間のあらゆる接触を阻止する限り、毛細管本体全体を囲む必要はない。
【0038】
代替的に又はこれに加えて、多孔性材料は、実質的に毛細管本体の第2の端部を囲む多孔性材料のキャップを構成することができる。
【0039】
多孔性材料のキャップは、毛細管本体が気化器と接触状態にならないように、毛細管本体の第2の端部を十分に囲むことができる。これは、毛細管材料は耐熱性でない場合があるので、気化器が電気加熱器を備える場合に特に重要である。多孔性材料のキャップは、毛細管本体のための保護及び支持を提供することができる。例えば、毛細管本体が複数の繊維又は線条を備える場合、多孔性材料のキャップは、毛細管本体の分裂又は破断の可能性を低減することができる。多孔性キャップは、毛細管本体を損傷する可能性がある毛細管本体と気化器との間のあらゆる接触を阻止する限り、毛細管本体全体を囲む必要はない。
【0040】
1つの特に好適な実施形態において、カートリッジはマウスピースを備え、電源及び電気回路が装置内に配置され、毛細管材料は、エアロゾル形成基材を液体貯蔵部から運ぶための細長い毛細管本体を構成し、毛細管本体は、貯蔵部内に延びる第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを備え、気化器は、毛細管本体の第2の端部でエアロゾル形成基材を加熱するために電源に接続可能な電気加熱器を備え、貯蔵部、毛細管本体及び電気加熱器はカートリッジ内に配置される。
【0041】
貯蔵部、並びに任意選択的に毛細管本体及び電気加熱器は、エアロゾル発生システムから単一部品として取り外し可能とすることができる。
【0042】
1つの実施形態において、貯蔵部は内部通路を含み、気化器は、貯蔵部における内部通路の一部を通って延び、毛細管材料は、内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を構成する。
【0043】
この実施形態において、使用時には、液体は、毛細管作用によって液体貯蔵部から内部通路を裏打ちする毛細管界面を通って移送される。毛細管界面の内側面は、液体貯蔵部内の液体エアロゾル形成基材と接触状態にあることが好ましい。多孔性材料は、毛細管界面の外側面と気化器との間に設けられる。毛細管界面の外側面の近く及び多孔性材料における液体は、蒸発して過飽和蒸気を形成する。毛細管界面は、管体形状に形成された何らかの好適な毛細管材料を含む。毛細管材料の管体は、液体貯蔵部における内部通路の長さの全体又は一部に沿って延びることができる。
【0044】
好ましい実施形態において、液体貯蔵部は内部通路を有し、気化器は、液体貯蔵部における内部通路の少なくとも一部を通って延びる電気加熱器を備え、毛細管材料は、内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を構成し、電気加熱器は、毛細管界面の外側面の近くの液体エアロゾル形成基材を加熱するように構成される。多孔性材料は、毛細管界面の外側面と電気加熱器との間に設けられる。加熱器が作動されると、毛細管界面の外側面の近くの液体は、加熱器により蒸発して過飽和蒸気を形成する。
【0045】
当該実施形態において、好ましくは、多孔性材料は、毛細管界面の内側にあって、液体貯蔵部の内部通路を裏打ち又は部分的に裏打ちする多孔性材料の管体を備える。
【0046】
多孔性材料の管体は、毛細管界面の外側面が気化器と接触状態にならないように位置付けることができる。これは、毛細管界面の毛細管材料は耐熱性でないことがあるので、気化器が電気加熱器を備える場合に特に重要である。多孔性材料は、気化器の近くで障壁として機能すれば十分である。
【0047】
1つの特に好ましい実施形態において、カートリッジはマウスピースを備え、電源及び電気回路が装置内に配置され、液体貯蔵部は内部通路を有し、気化器は、電源に接続可能で且つ液体貯蔵部における内部通路の少なくとも一部を通って延びる液体エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備え、毛細管材料は、内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を構成し、液体貯蔵部、毛細管界面及び電気加熱器はカートリッジ内に配置される。
【0048】
液体貯蔵部、並びに任意選択的に毛細管界面及び加熱器は、エアロゾル発生システムから単一部品として取り外し可能とすることができる。
【0049】
液体エアロゾル形成基材は、好ましくは、装置、カートリッジ又はシステムでの使用に好適な物理的特性(例えば沸点及び蒸気圧)を有する。沸点が高すぎると液体を蒸発させることができない場合がるが、沸点が低すぎると液体を過度に容易に蒸発する場合がある。液体は、加熱時に液体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含むタバコ含有材料を含むことが好ましい。代替的に又はこれに加えて、液体は、非タバコ材料を含むことができる。液体は、水溶液、エタノールのような非水溶媒、植物性抽出物、ニコチン、天然又は合成香味、又はこれらのあらゆる組み合わせを含むことができる。好ましくは、液体は、エアロゾルフォーマを含む。好適なエアロゾルフォーマの実施例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0050】
エアロゾル発生装置又はカートリッジは、少なくとも1つの空気入口を備えることができる。エアロゾル発生装置又はカートリッジは、少なくとも1つの空気出口を備えることができる。エアロゾル発生装置又はカートリッジは、空気入口と空気出口との間にエアロゾル形成チャンバを備え、これによりエアロゾル形成チャンバを介して空気入口から空気出口への空気流通路を定めるようになり、エアロゾルを空気出口及びユーザの口腔内に運ぶことができるようになる。液体貯蔵部が内部通路を備える実施形態において、空気入口から空気出口への空気流通路は、内部通路を通ることが好ましい。エアロゾル形成チャンバは、単に、エアロゾルの生成を支援又は促進する。
【0051】
エアロゾル発生装置は、電気作動式とすることができ、更に電源を備えることができる。エアロゾル発生装置は、電気回路を更に備えることができる。1つの実施形態において、電気回路は、ユーザが吸煙していることを表す空気流を検出するセンサを備えることができる。この場合、好ましくは、電気回路は、センサがユーザの吸煙を検知したときに電流パルスを気化器に供給するように構成される。好ましくは、電流パルスの時間期間は、蒸発するのに望ましい液体量に応じて事前セットされている。電気回路は、好ましくは、この目的のためにプログラム可能である。代替として、電気回路は、ユーザが吸煙を開始するための手動スイッチを備えることができる。好ましくは、電流パルスの時間期間は、蒸発するのに望ましい液体量に応じて事前セットされる。電気回路は、この目的のためにプログラム可能であることが好ましい。
【0052】
好ましくは、装置又はカートリッジ又はシステムは、ハウジングを備える。好ましくは、ハウジングは細長である。エアロゾル発生装置又はカートリッジが毛細管本体を含む場合、毛細管本体の長手方向軸とハウジングの長手方向軸とは実質的に平行とすることができる。1つの実施形態において、ハウジングは、液体貯蔵部、毛細管本体及び加熱器を備えた取り外し可能な挿入体を含む。当該実施形態において、これらの部品は、単一部品としてハウジングから取り外すことができる。これは、例えば、貯蔵部の詰め替え又は交換に有用とすることができる。
【0053】
ハウジングは、何らかの好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。好適な材料の実施例は、金属、合金、プラスチック又はこれらの材料のうちの1つ又はそれ以上を含有する複合材料、もしくは食品又は製薬用途に好適な熱可塑性物質、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリエチレンが挙げられる。材料は、軽量で非脆性であることが好ましい。
【0054】
好ましくは、エアロゾル発生装置又はカートリッジは、個別に又は協働して携行可能である。好ましくは、エアロゾル発生装置は、ユーザが再利用可能である。好ましくは、カートリッジは、例えば、液体貯蔵部内に液体がもはや含まれていない場合にユーザによって処分することができる。装置及びカートリッジは、協働して喫煙システムであるエアロゾル発生システムを形成することができる。装置は、従来のシガー又はシガレットに相当するサイズを有することができる。カートリッジは、従来のシガー又はシガレットに相当するサイズを有することができる。喫煙システムは、約30mmと約150mmとの間の全長を有することができる。喫煙システムは、約5mmと約30mmの間の外側直径を有することができる。
【0055】
好ましくは、エアロゾル発生システムは、電気作動式喫煙システムである。
【0056】
本発明によれば、エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを形成するための気化器と、毛細管作用によって貯蔵部から気化器に向けてエアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、毛細管材料と気化器との間の多孔性材料と、を含むエアロゾル発生システムが提供される。この実施形態において、エアロゾル発生システムは、別個の装置及びカートリッジを備えていない。
【0057】
特に好ましい実施形態において、毛細管材料はポリプロピレンを含み、多孔性材料は、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)であるセラミック材料を含む。
【0058】
本発明の1つの態様に関して説明した特徴は、本発明の別の態様にも適用可能とすることができる。
【0059】
単に例証として、添付図面を参照しながら本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】エアロゾル発生システムの1つの実施例を示す図である。
【
図2】
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第1の実施形態の概略断面図である。
【
図3】
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第2の実施形態の概略断面図である。
【
図4】
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第3の実施形態の概略断面図である。
【
図5】
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第4の実施形態の概略断面図である。
【
図6】エアロゾル発生システムの3つの構成に関する加熱時間対温度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、エアロゾル発生システムの1つの実施例を示す。
図1には明示していないが、エアロゾル発生システムは、好ましくは使い捨てのカートリッジと協働する、好ましくは再利用可能なエアロゾル発生装置を備える。
図1において、システムは、電気作動式喫煙システムである。
図1の喫煙システム100は、カートリッジ103である第1の端部と、装置105である第2の端部と、を有するハウジング101を備える。装置において、バッテリ107の形態の電源と、ハードウェア109及び吸煙検出システム111の形態の電気回路とが設けられる。カートリッジにおいて、液体115を収容する貯蔵部113、細長い毛細管本体117の形態の毛細管材料、及び加熱器119の形態の気化器が設けられる。
図1では加熱器は概略的に示されている点に留意されたい。
図1に示す例示的な実施形態において、毛細管本体117の一方端は、液体貯蔵部113内に延び、毛細管本体117の他方端は、加熱器119によって囲まれる。加熱器は、接続部121を介して電気回路に接続され、該接続部は、液体貯蔵部113の外側に沿って通ることができる(
図1には示されていない)。また、ハウジング101は、空気入口123と、カートリッジ端部の空気出口125と、エアロゾル形成チャンバ127と、を含む。
【0062】
使用時において、動作は以下の通りである。液体115は、毛細管作用により液体貯蔵部113から、液体貯蔵部内に延びた毛細管本体117の一方端から加熱器119により囲まれた毛細管本体の他方端に運ばれる。ユーザが空気出口125上で吸引すると、周囲空気が空気入口123を通って吸い込まれる。
図1に示す構成において、吸煙検出システム111は、吸煙を検出して加熱器119を作動させる。バッテリ107は、加熱器119に電気エネルギを供給して、加熱器によって囲まれる毛細管本体117の端部を加熱する。毛細管本体117の当該端部における液体は、加熱器119により蒸発して過飽和蒸気を生成する。同時に、蒸発された液体は、毛細管作用により毛細管本体117に沿って移動する別の液体に置き換えられる(これは「ポンプ作用」と呼ばれる場合もある)。生成された過飽和蒸気は、空気入口123からの空気流と混合されて運ばれる。エアロゾル形成チャンバ127において、蒸気が凝縮して吸入可能エアロゾルを形成し、該エアロゾルが空気出口125に向けて運ばれてユーザの口腔に入る。
【0063】
図1に示した実施形態において、ハードウェア109及び吸煙検出システム111は、プログラム可能であることが好ましい。ハードウェア109及び吸煙検出システム111を用いて、エアロゾル発生作動を管理することができる。
【0064】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの1つの実施例を示す。しかしながら、多くの他の実施例が実施可能である。エアロゾル発生システムは、単に、貯蔵部に収容された液体エアロゾル形成基材と、液体エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、液体エアロゾル形成基材を気化器に向けて運ぶための毛細管材料と、毛細管材料と気化器との間のある種の多孔性材料(
図2から
図6を参照して後述する)とを含むか又は受けることで十分である。例えば、システムは、電気作動式である必要はない。例えば、システムは、喫煙システムである必要はない。加えて、システムは、加熱器を含む必要はなく、この場合、液体エアロゾル形成基材を蒸発させる別のデバイスを含むことができる。例えば、毛細管材料の構成は異なることができる。例えば、吸煙検出システムは設ける必要がない。その代わりに、システムは、手動操作で作動することができ、例えば、ユーザが、吸煙する際にスイッチを作動させる。例えば、ハウジングの全体の形状及び大きさは変更可能である。
【0065】
上述のように、本発明によれば、毛細管材料と気化器との間にある多孔性材料が提供される。ここで、多孔性材料を含む本発明の実施形態について
図2から
図6を参照して説明する。実施形態は、
図1に示した実施例に基づくが、他の実施形態にも適用可能である。
図1から
図5は、本質的に概略図である点に留意されたい。詳細には、図示の構成要素は、個々に又は互いに対して必ずしも縮尺通りではない。
【0066】
図2は、
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第1の実施形態の概略図である。カートリッジ200は、貯蔵部113、毛細管本体117及び加熱器119を含む。液体貯蔵部113は、液体エアロゾル形成基材115を収容する。
図2において、加熱器119は、加熱コイルの形態であり、電気接続部121を介して電気回路(図示されない)に接続される。加熱器119及び電気接続部121は、
図2において概略的に示され、電気接続部が液体貯蔵部113の外側に沿って通っているが、これは
図2には示されていない。更に、液体貯蔵部113から突出した毛細管本体117の端部を囲む多孔性スリーブ201の形態の多孔性材料が設けられる。
【0067】
多孔性スリーブ201は、毛細管本体117に構造的支持を提供する。好ましくは、多孔性スリーブ201は、剛性材料を含む。従って、多孔性スリーブ201は、毛細管本体117が損傷(例えば、分裂、曲がり、平坦化)を受ける可能性を排除又は低減する。多孔性スリーブ201は、カートリッジがエアロゾル発生装置と組み立てられたときに、エアロゾル発生装置又はカートリッジのハウジング又は他の部分にスロットを形成することによって所定位置に保持することができる。多孔性スリーブ201は、好ましくは、毛細管本体117が加熱器によって潜在的熱損傷を受けるのを防ぐことができる耐熱性材料を含む。こうして、多孔性スリーブは、熱障壁として機能する。また、多孔性スリーブ201は、熱分布を改善することができる。多孔性スリーブ201は、エアロゾル発生システムの温度が上昇するにつれて、液体移送の効率を向上させることができる。
図2において、多孔性スリーブ201のサイズは、毛細管本体117のサイズと比べてより小さい。従って、少量の耐熱性材料のみ必要とすることができる。耐熱性材料は高価である場合があるので、これは製造コストを低減することができる。この実施形態において、多孔性スリーブ201は、加熱コイルの両端で短絡しないように電気絶縁材料を含む。
【0068】
図2において、多孔性スリーブ201は、毛細管本体117の終端部を覆っていない。
図2では、多孔性スリーブ201は、液体貯蔵部113から突出した毛細管本体の端部全体を囲むが、多孔性スリーブは、毛細管本体117の熱損傷を防ぐために、単に加熱器119の近くで毛細管本体を覆うだけでよい。多孔性スリーブ201の必要な直径は、毛細管本体117及び液体貯蔵部113のサイズによって決まることになる。多孔性スリーブ201の必要な長さは、加熱器119のサイズによって決まり、加熱器119のサイズは、蒸発するのが望ましい液体量によって決まる。多孔性スリーブ201の必要な厚さは、必要とされる絶縁特性及び多孔率によって決まることになる。
【0069】
図3は、
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第2の実施形態の概略図である。カートリッジ300は、貯蔵部113、毛細管本体117及び加熱器119を含む。液体貯蔵部113は、液体エアロゾル形成基材115を収容する。
図2と同様、
図3において、加熱器119は、加熱コイルの形態であり、電気接続部121を介して電気回路(図示されない)に接続される。加熱器119及び電気接続部121は、
図3では概略的に示され、電気接続部は液体貯蔵部113の外側に沿って通ることができるが、これは図示されていない。更に、液体貯蔵部113から突出した毛細管本体117の端部を囲み且つ毛細管本体117の終端部を覆う多孔性キャップ301の形態の多孔性材料が設けられる。
【0070】
多孔性キャップ301は、毛細管本体117に構造的支持を提供する。好ましくは、多孔性キャップ301は、剛性材料を含む。従って、多孔性キャップ301は、毛細管本体117が損傷(例えば、分裂、曲がり、平坦化)を受ける可能性を排除又は低減する。詳細には、毛細管本体117の終端部が覆われているので、毛細管材料が分裂する可能性が実質的に低減される。多孔性キャップ301は、カートリッジがエアロゾル発生装置と組み立てられたときに、エアロゾル発生装置又はカートリッジのハウジング又は他の部分にスロットを形成することによって所定位置に保持することができる。多孔性キャップ301は、好ましくは、毛細管本体117が加熱器によって潜在的熱損傷を受けるのを防ぐことができる耐熱性材料を含む。こうして、多孔性キャップは熱障壁として機能する。また、多孔性キャップ301は、熱分布を改善することができる。多孔性キャップ301は、エアロゾル発生システムの温度が上昇するにつれて、液体移送の効率を向上させることができる。
図3において、多孔性キャップ301のサイズは、毛細管本体117のサイズと比べてより小さい。従って、少量の耐熱性材料のみ必要とすることができる。耐熱性材料は高価な場合があるので、これは製造コストを低減することができる。この実施形態において、多孔性キャップ301は、加熱コイルの両端で短絡しないように電気絶縁材料を含む。
【0071】
図3において、多孔性キャップ301は、液体貯蔵部113から突出した毛細管本体の端部全体を囲み、また、毛細管本体117の終端部を覆っている。しかしながら、多孔性キャップは、毛細管本体117の熱損傷を防ぐために、単に加熱器119の近くで毛細管本体を覆うだけでよい。多孔性キャップ301の必要な直径は、毛細管本体117及び液体貯蔵部113のサイズによって決まることになる。多孔性キャップ301の必要な長さは、加熱器119のサイズによって決まり、加熱器119のサイズは、蒸発するのが望ましい液体量によって決まることになる。多孔性キャップ301の必要な厚さは、必要とされる絶縁特性及び多孔率によって決まることになる。
【0072】
図4は、
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第3の実施形態の概略図である。カートリッジ400は、液体貯蔵部113及び毛細管本体117を含み、
図2及び
図3と同様に、液体貯蔵部113は液体エアロゾル形成基材115を収容している。更に、液体貯蔵部113から突出した毛細管本体117の端部を囲む多孔性部材401が設けられる。多孔部材401内には、1つ又は複数の加熱ブレード403が配置される。1つ又は複数の加熱ブレード403と毛細管本体117との間にある多孔性部材401の一部が多孔性材料405を形成する。加熱ブレード403は、電気接続部121を介して電気回路(図示されない)に接続される。加熱ブレード403及び電気接続部121は、
図4では概略的に示され、電気接続部は、液体貯蔵部113の外側に沿って通ることができるが、これは図示されていない。
【0073】
多孔性部材401は、毛細管本体117に構造的支持を提供する。好ましくは、多孔性部材401は、剛性材料を含む。従って、多孔性部材401は、毛細管本体117が損傷(例えば、分裂、曲がり、平坦化)を受ける可能性を排除又は低減する。多孔性部材401は、カートリッジがエアロゾル発生装置と組み立てられたときに、エアロゾル発生装置又はカートリッジのハウジング又は他の部分にスロットを形成することによって所定位置に保持することができる。多孔性部材401は、好ましくは、毛細管本体117が加熱ブレード403によって潜在的熱損傷を受けるのを防ぐことができる耐熱性材料を含む。こうして、加熱ブレード403と毛細管本体117との間にある多孔性部材401の部分405は、熱障壁として機能する。また、多孔性部材401は、熱分布を改善することができる。多孔性部材401は、エアロゾル発生システムの温度が上昇するにつれて、液体移送の効率を向上させることができる。
図4において、多孔性部材401のサイズは、毛細管本体117のサイズと比べてより小さい。従って、少量の耐熱性材料のみ必要とすることができる。耐熱性材料は高価な場合があるので、これは製造コストを低減することができる。この実施形態において、多孔性部材401は、1つ又は複数の加熱ブレードの両端で短絡しないように電気絶縁材料を含む。
【0074】
図4において、多孔性部材401は、液体貯蔵部113から突出した毛細管本体の端部全体を囲む。しかしながら、多孔性部材401は、毛細管本体の露出部分よりも短くてもよい。
図4において、多孔性部材401は、毛細管本体117の終端部を覆っていないが、
図3の実施形態と同様に、毛細管本体の終端部を覆うことは可能である。加熱ブレード403は、毛細管本体117及び多孔性部材401内の液体エアロゾル形成基材を加熱するのに好適な任意の形態をとることができる。多孔性部材401の必要な直径は、毛細管本体117及び液体貯蔵部113のサイズによって決まることになる。多孔性部材401の必要な長さは、加熱ブレードのサイズ及び形状によって決まり、該加熱ブレードのサイズ及び形状は、蒸発するのが望ましい液体量によって決まることになる。多孔性部材401、特に多孔性材料405の必要な厚さは、必要とされる絶縁特性及び多孔率によって決まることになる。好ましくは、加熱ブレード403及び多孔性部材401は、一体的に形成され、すなわち、一体部品で共に製造される。これにより製造が簡単になる。
【0075】
図5は、
図1に示すようなエアロゾル発生システムを製作するためにエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジの第4の実施形態の概略図である。しかしながら、
図5に示した実施形態は、
図1から
図4に示したカートリッジとは極めて異なる形態を有する。
図5において、カートリッジ500は貯蔵部501を備え、貯蔵部は、内部通路503を有する容器の形態である。
図5において、液体貯蔵部501は、液体エアロゾル形成基材505を収容する。好ましくは、カートリッジは、エアロゾル発生装置と好適に協働し、内部通路503は、1つ又は複数の空気入口123(
図1参照)に流入して空気出口125(
図1参照)に向かう空気のための空気流通路の一部を形成する。内部通路503は、毛細管界面507の形態の毛細管材料で裏打ちされ又は部分的に裏打ちされる。加熱器509は、内部通路503を貫通して延びる。
図5において、加熱器509は、加熱コイルの形態である。加熱コイルは、電気接続部(図示されない)を介して電気回路(図示されない)に接続される。更に、内部通路503を裏打ちし又は部分的に裏打ちし且つ加熱器509と毛細管界面507との間に障壁を提供する多孔性管体511の形態の多孔性材料が設けられる。好ましくは、加熱器509は、多孔性管体511と接触状態にあり、多孔性管体511は、毛細管界面507と接触状態にある。これにより、液体エアロゾル形成基材が液体貯蔵部501から加熱器509に向けた良好な移送が確保される。
【0076】
図5に示した実施形態の動作は、
図1から
図4において示した実施形態の動作と同様である。使用時には、エアロゾル形成基材505は、液体貯蔵部501から毛細管作用によって、液体と接触している毛細管界面507側から多孔性管体511と接触している毛細管界面507側に運ばれる。ユーザが空気出口で吸引すると、周囲空気が内部通路503を通って吸い込まれ、加熱器509が作動する。加熱器509は、毛細管界面507内及び多孔性管体511内でエアロゾル形成基材505を加熱し、多孔性管体511は、毛細管界面507を熱損傷から保護する。液体は、加熱器により蒸発されて過飽和蒸気を形成し、同時に、蒸発した液体は、毛細管界面507を通って移動する別の液体で置き換えられて多孔性管体511に入る。過飽和蒸気は、内部通路を通る空気流と混合されて運ばれてユーザの口腔に入る。
【0077】
多孔性管体511は、毛細管界面507に構造的支持を提供する。好ましくは、多孔性管体511は、剛性材料を含む。従って、多孔性管体511は、毛細管界面が損傷(例えば、分裂、曲がり、平坦化)を受ける可能性を排除又は低減する。また、多孔性管体511は、毛細管界面507が内部通路503を裏打ちする所定位置に確実に留まるのを助けることができる。多孔性管体511は、好ましくは、毛細管界面507が加熱器509からの潜在的熱損傷を受けるのを防ぐことができる耐熱性材料を含む。こうして、多孔性管体511は、熱障壁として機能する。また、多孔性管体511は、熱分布を改善することができる。多孔性管体511は、エアロゾル発生システムの温度が上昇するにつれて、液体移送の効率を向上させることができる。
図5において、多孔性管体511の長さは、毛細管界面507の長さと比べてより短い。従って、少量の耐熱性材料のみ必要とすることができる。耐熱性材料は高価な場合があるので、これは製造コストを低減することができる。この実施形態において、多孔性管体511は、加熱コイルの両端で短絡しないように電気絶縁材料を含むことができる。
【0078】
図5において、多孔性管体511は、液体貯蔵部501及び毛細管界面507の長さに沿って延びていないが、これは実施可能である。多孔性管体511は、加熱器509の近くで毛細管界面507に熱障壁を提供する限り、液体貯蔵部501及び毛細管界面507の任意の長さに沿って延びることができる。多孔性管体511の必要な直径は、液体貯蔵部501の内部通路503のサイズによって決まることになる。多孔性管体511の必要な長さは、加熱器509のサイズによって決まり、加熱器の大きさは、蒸発するのが望ましい液体量によって決まることになる。多孔性管体511の必要な厚さは、必要とされる絶縁特性及び多孔率によって決まることになる。
【0079】
図2から
図5に示した実施形態は、毛細管材料及び多孔性材料を含む。毛細管材料は、液体エアロゾル形成基材を加熱器に向けて運ぶことができるあらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを備えることができる。毛細管材料の好適な実施例は、スポンジ材料又は発泡材料、繊維又は焼結粉体の形態のセラミック又は黒鉛系材料、発泡金属又は発泡プラスチック材料、例えば、酢酸セルロース、ポリエステル、又は結合ポリオレフィン、ポリエチレン、テリレン又はポリプロピレン繊維、ナイロン繊維又はセラミックなど、紡績又は押し出し繊維で作られた繊維性材料が挙げられる。毛細管材料は、異なる液体物理的特性で使用できるように、何らかの好適な毛細管作用を有することができる。
【0080】
多孔性材料は、液体エアロゾル形成基材に対して透過性があり、液体エアロゾル形成基材が毛細管材料から加熱器に移動できるようにする、あらゆる好適な材料又は材料の組み合わせを含むことができる。多孔性材料は、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)のようなセラミック材料である本質的に多孔性の材料を含むことができる。代替として、多孔性材料は、液体エアロゾル形成基材が気化器に移動できる複数の製造小孔を有する材料を含むことができる。多孔性材料は、液体エアロゾル形成基材の分布及び広がりを改善するように親水性材料を含むことができる。特定の好適な1つ又は複数の材料は、液体エアロゾル形成基材の物理的特性によって決まることになる。好適な材料の実施例には、例えばスポンジ材料又は発泡材料、繊維又は焼結粉体の形態のセラミック又は黒鉛系材料、発泡金属又は発泡プラスチック材料、例えば、酢酸セルロース、ポリエステル、又は結合ポリオレフィン、ポリエチレン、テリレン又はポリプロピレン繊維、ナイロン繊維又はセラミックなど、紡績又は押し出し繊維で作られた繊維性材料などの毛細管材料が挙げられる。多孔性材料は、異なる液体物理的特性で使用されるように、あらゆる好適な多孔率を有することができる。
図2から
図5に例示した実施形態において、多孔性材料は、別個の部品である。しかしながら、多孔性材料の他の形態も想定することができる。例えば、多孔性材料は、加熱器又は加熱器の一部を覆う多孔性コーティングを含むことができる。また、他の実施形態も可能である。
【0081】
図2から
図5は、本発明によるエアロゾル発生装置と共に使用するカートリッジを示している。他の実施例も実施可能である。好ましくは、カートリッジは、使い捨てであり、再利用可能なエアロゾル発生装置と協働するよう配置される。カートリッジは、液体が使用される場合には詰め替え又は交換することができる。従って、カートリッジ内の液体エアロゾル形成基材が使い果たされると、カートリッジは、廃棄されて新しいカートリッジと交換されるか、又は空のカートリッジを詰め替えることができる。しかしながら、エアロゾル発生装置は、別個のカートリッジと連動して動作するように設計されていない場合がある。或いは、エアロゾル発生装置は、貯蔵部内に液体エアロゾル形成基材を含むか又は受けて、液体エアロゾル形成基材を加熱するための気化器、液体エアロゾル形成基材を気化器に向けて運ぶための毛細管材料、及び気化器と毛細管材料との間の多孔性材料を含むことができる。すなわち、エアロゾル発生装置は、カートリッジに関連して説明したあらゆる部品を備えることができる。加えて、エアロゾル発生装置は、電源及び電気回路を備えることができる。
【0082】
図1から
図5において、気化器は電気加熱器を備え、多孔性材料は、毛細管材料を熱損傷から保護する。また、多孔性材料は熱分布を改善し、結果としてより一貫したエアロゾル形成がもたらされる。1つの好ましい実施形態において、毛細管材料はポリプロピレンを含み、多孔性材料はセラミックを含む。本発明の発明者らは、ポリプロピレン毛細管材料及びセラミック障壁上を覆う熱分布パターンを、多孔性材料を備えない構成の熱分布パターンと比較した。毛細管材料がポリプロピレンであり、多孔性材料が設けられない場合には、たった2秒の加熱後に、毛細管材料の温度がポリプロピレンの融点を超えることが分かった。温度は一様ではなく、急な温度勾配及びホットスポットがある。従って、ポリプロピレンは、毛細管材料で使用するのに好都合で(比較的安価な)材料であるが、溶融することになるので(多孔性材料なしでは)使用することができない。他方、毛細管材料がセラミックであり、多孔性材料が提供されていない場合には、2秒だけの加熱後、毛細管材料の温度はセラミックの融点(ポリプロピレンの融点よりもはるかに高い)を越えないことが分かった。従って、セラミックは、毛細管材料として理想的な材料ではあるが、比較的高価である。本発明の1つの実施形態によれば、毛細管材料はポリプロピレンを含み、セラミック多孔性材料が提供される。当該実施形態において、ポリプロピレン毛細管材料の温度は、セラミック障壁が毛細管材料を保護するので、ポリプロピレン毛細管材料単独で分かっている温度よりも相当に低いことが分かった。また温度は適度に一様であることが分かった。従って、必要な材料の大部分は(比較的安価な)ポリプロピレンとすることができるが、ポリプロピレンは、セラミック障壁によってその融点を超える温度から保護することができる。
【0083】
図6は、上述した3つの構成の各々に関する加熱時間(秒)対温度(°C)のグラフである。
図6は、2秒加熱した後に達する最高温度を示す。曲線601は、ポリプロピレン毛細管材料を含み且つ多孔性材料を含まない構成に関する加熱曲線である。2秒加熱した後の毛細管材料の到達温度は、ほぼ400°Cである。曲線603は、セラミック毛細管材料を含み且つ多孔性材料を含まない構成に関する加熱曲線である。2秒加熱した後の毛細管材料の到達温度は、100°Cよりも低い。曲線605は、ポリプロピレン毛細管材料とセラミック障壁を共に含む本発明の実施形態に関する加熱曲線である。毛細管材料が達する最高温度は、約150°Cに過ぎない。従って、本発明の実施形態により、毛細管材料が達する最高温度が有意に低下すると同時に、高価なセラミック材料を大量に必要とするのが回避される。
【0084】
従って、本発明によれば、エアロゾル発生装置又はカートリッジもしくはシステムは、毛細管材料と気化器との間に多孔性材料を含む。多孔性材料は、毛細管材料に対し構造的支持を提供し、製造コストを低減することができ、気化器が加熱器を備える場合、毛細管材料を熱損傷から保護することができる。多孔性材料の実施形態について、
図2から
図6を参照して説明してきた。1つの実施形態に関して説明した特徴はまた、別の実施形態にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
100 エアロゾル発生システム
101 ハウジング
103 第1の端部(カートリッジ)
105 第2の端部(装置)
113 貯蔵部
115 液体
117 毛細管本体
119 加熱器
200 カートリッジ
201 多孔性スリーブ
301 多孔性キャップ
401 多孔性部材
507 毛細管界面
511 多孔性管体
【手続補正書】
【提出日】2022-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基材を貯えるための貯蔵部と、
多孔性部材であって、セラミックを含む、前記多孔性部材と、
前記エアロゾル形成基材を加熱するための気化器と、
毛細管作用によって前記貯蔵部から前記気化器に向けて前記エアロゾル形成基材を運ぶための毛細管材料と、
を含み、
前記気化器は、前記エアロゾル形成基材を加熱するための電気加熱器を備え、
前記電気加熱器は、少なくとも1つの加熱要素を備え、前記少なくとも1つの加熱要素は、可撓性シート材料、加熱ワイヤ又はフィラメントを含む電気抵抗材料を備え、
前記気化器及び前記多孔性部材が一体形成され、
前記貯蔵部は内部通路を含み、前記毛細管材料は、前記内部通路を少なくとも部分的に裏打ちする毛細管界面を含む、
電気作動式エアロゾル発生装置に使用するカートリッジ。
【請求項2】
前記毛細管材料が毛細管本体を含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記多孔性部材および前記毛細管材料が異なる材料を含む、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記毛細管本体が毛細管の束を含む、請求項2又は3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記貯蔵部が詰め替え可能である、請求項1から4までの何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記貯蔵部が内部通路を含む、請求項1から5までの何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
少なくとも1つの空気入口と、
少なくとも1つの空気出口と、
前記少なくとも1つの空気入口と前記少なくとも1つの空気出口との間にあるエアロゾル形成チャンバと
をさらに含み、
前記エアロゾル形成チャンバが、前記エアロゾル形成チャンバを介して前記少なくとも1つの空気入口から前記少なくとも1つの空気出口への空気流路を画定し、
前記空気流路が前記内部通路を通過する、
請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
請求項1~7に記載されているカートリッジと協働するエアロゾル発生装置を備え、
ハウジングと、
吸煙センサと、
バッテリと、
前記吸煙センサがユーザの吸煙を検知したときに電流パルスを前記気化器に供給するように構成される電気回路と、
を含む、エアロゾル発生システム。