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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115448
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ファン付き靴及び空調ソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/083 20220101AFI20230814BHJP
   A43B 3/44 20220101ALI20230814BHJP
   A43B 3/40 20220101ALI20230814BHJP
   A43B 13/20 20060101ALI20230814BHJP
   A43B 7/10 20220101ALI20230814BHJP
【FI】
A43B7/083
A43B3/44
A43B3/40
A43B13/20 Z
A43B7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017662
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(71)【出願人】
【識別番号】398038270
【氏名又は名称】株式会社エービーシー・マート
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小林 和
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 一平
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA25
4F050BA35
4F050BA40
4F050DA04
4F050GA30
4F050HA73
4F050HA79
(57)【要約】
【課題】安価に製造可能なファン付き靴を提供する。
【解決手段】足を収容する収容空間10Aを有し、空気を取り込む空気吸入部13と、空気吸入部13から取り込んだ空気を排出する空気排出部14と、を有する靴本体10と、空気吸入部13から空気を導入して空気排出部14から排出するファン20と、ファン20に電力を供給する電源手段30と、靴本体10に敷かれる空調ソール50と、を備え、空調ソール50は、ガイド部52と、ガイド部52の少なくとも上方を覆うシート部51と、空気吸入部13から取り込んだ空気をガイド部52に取り入れる空気取入部53と、空気取入部53から取り込んだ空気を空気排出部14へ排出する空気流出部54と、を備え、シート部51は、透湿性を有し、ガイド部52は、足に体重がかかった状態で足と底部との間に空気取入部53から取り入れられた空気が流通する空気流通路521を形成する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの足を収容する収容空間を有し、空気を取り込む空気吸入部と、当該空気吸入部から取り込んだ空気を排出する空気排出部と、を有する靴本体と、
前記空気吸入部から前記収容空間内に外部の空気を導入して前記空気排出部から空気を外部に排出するファンと、
前記ファンに電力を供給する電源手段と、
前記靴本体内の底部に敷かれる空調ソールと、を備え、
前記空調ソールは、ガイド部と、当該ガイド部の少なくとも上方を覆うシート部と、前記空気吸入部から取り込んだ空気を当該ガイド部に取り入れる空気取入部と、当該空気取入部から取り込んだ空気を前記空気排出部へ排出する空気流出部と、を備え、
前記シート部は、透湿性を有し、
前記ガイド部は、前記足に体重がかかった状態で前記足と前記底部との間に前記空気取入部から取り入れられた空気が流通する空気流通路を形成することを特徴とするファン付き靴。
【請求項2】
前記ファンのON/OFFを切り換える圧力センサーを備えることを特徴とする請求項1に記載のファン付き靴。
【請求項3】
前記圧力センサーは、前記靴本体の足裏の圧力を感知することが可能な個所に配置され、ユーザーの歩行時にのみ前記ファンをON状態とすることを特徴とする請求項2に記載のファン付き靴。
【請求項4】
前記空気吸入部及び/又は空気排出部を開閉自在とする開閉機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のファン付き靴。
【請求項5】
前記シート部は、防水性を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のファン付き靴。
【請求項6】
前記ガイド部は、スポンジからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のファン付き靴。
【請求項7】
ユーザーの足を収容する収容空間を有し、空気を取り込む空気吸入部と、当該空気吸入部から取り込んだ空気を排出する空気排出部と、を有する靴本体と、前記空気吸入部から前記収容空間内に外部の空気を導入して前記空気排出部から空気を外部に排出するファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、を備えるファン付き靴の前記靴本体の底部に敷かれる空調ソールであって、
ガイド部と、当該ガイド部の少なくとも上方を覆うシート部と、前記空気吸入部から取り込んだ空気を当該ガイド部に取り入れる空気取入部と、当該空気取入部から取り込んだ空気を前記空気排出部へ排出する空気流出部と、を備え、
前記シート部は、透湿性を有し、
前記ガイド部は、前記足に体重がかかった状態で前記足と前記底部との間に前記空気取入部から取り入れられた空気が流通する空気流通路を形成することを特徴とする空調ソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン付き靴及び空調ソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夏などの高温、高湿となるような時季は、靴の中も同様に高温、高湿となりやすく、ユーザーが不快感を覚えやすくなっている。
【0003】
そこで、靴本体の底部に空気が流通する冷却流通路を設け、つま先部に設けた空気吸入部から取り込んだ空気を、かかと部に設けた空気流出部から排出するファン付き靴が知られている(特許文献1参照)。このようなファン付き靴であれば、足裏の表面近傍に靴外部の空気と同じ温度の空気層が形成されるため、靴内部の空気との温度勾配が大きくなり、靴の中の不快感を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3419403号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明は、靴本体に冷却流通路が設けられているので、従来の靴と比べて構造が大きく異なる。よって、製造工程も変わってくるため、結果として製造コストが高くなるという課題を抱えている。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、安価に製造可能なファン付き靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ファン付き靴であって、
ユーザーの足を収容する収容空間を有し、空気を取り込む空気吸入部と、当該空気吸入部から取り込んだ空気を排出する空気排出部と、を有する靴本体と、
前記空気吸入部から前記収容空間内に外部の空気を導入して前記空気排出部から空気を外部に排出するファンと、
前記ファンに電力を供給する電源手段と、
前記靴本体内の底部に敷かれる空調ソールと、を備え、
前記空調ソールは、ガイド部と、当該ガイド部の少なくとも上方を覆うシート部と、前記空気吸入部から取り込んだ空気を当該ガイド部に取り入れる空気取入部と、当該空気取入部から取り込んだ空気を前記空気排出部へ排出する空気流出部と、を備え、
前記シート部は、透湿性を有し、
前記ガイド部は、前記足に体重がかかった状態で前記足と前記底部との間に前記空気取入部から取り入れられた空気が流通する空気流通路を形成することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファン付き靴であって、
前記ファンのON/OFFを切り換える圧力センサーを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のファン付き靴であって、
前記圧力センサーは、前記靴本体の足裏の圧力を感知することが可能な個所に配置され、ユーザーの歩行時にのみ前記ファンをON状態とすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のファン付き靴であって、
前記空気吸入部及び/又は空気排出部を開閉自在とする開閉機構を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のファン付き靴であって、
前記シート部は、防水性を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のファン付き靴であって、
前記ガイド部は、スポンジからなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、
ユーザーの足を収容する収容空間を有し、空気を取り込む空気吸入部と、当該空気吸入部から取り込んだ空気を排出する空気排出部と、を有する靴本体と、前記空気吸入部から前記収容空間内に外部の空気を導入して前記空気排出部から空気を外部に排出するファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、を備えるファン付き靴の前記靴本体の底部に敷かれる空調ソールであって、
ガイド部と、当該ガイド部の少なくとも上方を覆うシート部と、前記空気吸入部から取り込んだ空気を当該ガイド部に取り入れる空気取入部と、当該空気取入部から取り込んだ空気を前記空気排出部へ排出する空気流出部と、を備え、
前記シート部は、透湿性を有し、
前記ガイド部は、前記足に体重がかかった状態で前記足と前記底部との間に前記空気取入部から取り入れられた空気が流通する空気流通路を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ファン付き靴を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本実施形態のファン付き靴を示す側断面図である。
図1B】開閉機構の構成を示す正面図である。
図2A】空調ソールを示す上面図である。
図2B】カバー部材を取り除いた状態の空調ソールを示す上面図である。
図3】カバー部材を取り除いた状態の空調ソールの変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るファン付き靴の実施形態について、詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
なお、以下においては、ユーザーがファン付き靴を着用した状態を基準として、つま先側を前、かかと側を後、ユーザーの足裏側を下、ユーザーの身体側を上、ユーザーの右手側を右、ユーザーの左手側を左と定めて説明する。
【0017】
[全体構成]
図1Aに示すように、本発明に係るファン付き靴100は、靴本体10と、ファン20と、電源手段30と、圧力センサー40と、空調ソール50と、を備える。
【0018】
(靴本体)
靴本体10は、ユーザーの足を覆うアッパー11と、ユーザーの足を支持する靴底12
と、を備える。アッパー11と靴底12によりユーザーの足を収容する収容空間10Aが形成される。アッパー11の素材としては、織物、合成皮革、人工皮革、あるいは天然皮革などの適宜公知のものを用いることができる。また、靴底12の素材としては、合成ゴム、ラバー、ポリウレタン、合成皮革、人工皮革、あるいは天然皮革などの適宜公知のものを用いることができる。
また、靴本体10は、空気吸入部13と、空気排出部14と、開閉機構15と、を備える。
【0019】
{空気吸入部・空気排出部}
空気吸入部13は、収容空間10A内に空気を吸入する開口部である。空気吸入部13は、例えば図1Aに示すように、アッパー11の前端部(つま先部)16に設けられている。
空気排出部14は、空気吸入部13から取り込まれた空気を靴本体10外に排出する開口部である。空気排出部14は、例えば図1Aに示すように、靴底12の後ろ側である、かかと部17の前側面部に設けられている。
【0020】
空気吸入部13から取り込まれた空気が、空調ソール50内の空間である、後述する空気流通路521を流通して空気排出部14から排出される間に、ユーザーの足から出た汗を蒸発させ、気化熱により収容空間10Aが冷却される。
また、空気吸入部13及び空気排出部14が靴底12の下端部よりも上方に設けられていることで、水溜まりなどを踏んでしまった場合であっても、水などが収容空間10Aに入りにくくなっている。
【0021】
なお、空気吸入部13及び空気排出部14は、収容空間10Aの前端部から後端部にかけて空気の流れを形成することができる箇所に形成すると、収容空間10Aを好適に冷却することができて好ましいが、図1Aに示す箇所に限られない。例えば、かかと部17に空気吸入部13を設け、靴本体10のつま先部16に空気排出部14を設けるものとしても構わない。
【0022】
{開閉機構}
開閉機構15は、開口部である空気吸入部13及び/又は空気排出部14をそれぞれ開閉自在とする機構である。開閉機構15としては、例えば図1Bに示すような線ファスナー等、適宜公知の機構を用いることができる。
【0023】
雨が降っている時、あるいは強風が吹いている時などには、開閉機構15により空気吸入部13及び/又は空気排出部14をそれぞれ閉塞させることで、雨粒や砂などの異物が収容空間10Aに入り込んでしまうのを防ぐことができる。そして、時間が経過して晴天になった時には、開閉機構15により空気吸入部13及び/又は空気排出部14をそれぞれ開口させることで、収容空間10Aに空気の流れを創出させることができる。
【0024】
(ファン)
ファン20は、モーター(不図示)とプロペラ(不図示)を有する軸流ファンであり、空気を靴本体10の外部から収容空間10A内に取り込むことにより、後述する空気流通路521に空気の流れを強制的に生じさせる構成である。ファン20は、その空気吸込み部が後述する空調ソール50の空気流出部54と連通している。
【0025】
なお、図1Aにおいて、ファン20は、かかと部17に埋設するように図示されているが、ファン20の設置箇所はこれに限られない。空気吸入部13及び空気排出部14の形成箇所によって、ファン20の設置箇所は適宜任意に変更可能である。特に、本実施形態においては、空気排出部14の近傍にファン20を設けることで排気ファンとしているが
、空気吸入部13の近傍にファン20を設けることで吸気ファンとしても構わない。また、配置や構造によっては遠心ファンを用いても良い。
【0026】
(電源手段)
電源手段30は、例えばバッテリーを内蔵した電源装置であって、電源ケーブルによりファン20と電気的に接続される。電源手段30は、図1Aに示すように、ファン20の近傍に埋設される。
【0027】
なお、ファン20及び電源手段30は、かかと部17近傍に埋設されるものとしたが、これに限られない。また、靴本体10に埋設される場合であっても、ファン20及び電源手段30が靴本体10から着脱自在であり、交換可能であるのは勿論である。
【0028】
(圧力センサー)
圧力センサー40は、ファン20のON/OFFを切り替える圧力スイッチである。
ファン20のON/OFFが圧力センサー40によって切り替えられる構成とすることで、ファン付き靴100を着脱する度に、ユーザーが都度ON/OFF操作を行わなければならない手間を省くことができる。また、ユーザーがファン20の電源を切り忘れるのを防ぐことができる。また、ファン20に電源スイッチを設ける必要が無くなる。
【0029】
また、圧力センサー40は、ユーザーの歩行時にのみファン20をON状態とし、歩行を止めている時や靴本体10を脱いだ時はファン20をOFF状態とするように構成されている。圧力が掛かっていない時にファン20が回転しても冷却効果は低く無駄なエネルギーロスとなってしまうからである。
【0030】
また、圧力センサー40は、足裏の圧力を感知可能な箇所、例えば、図1Aに示すように、かかと部17近傍や、土踏まず近傍等に配置する。特に、かかと部17は、靴本体10の中でも、歩行時にのみ圧力が加わりやすい部分であるため、圧力センサー40を、例えば所定値以上の圧力を感知してから所定秒はファン20をON状態とするように構成することで、ユーザーが歩行を行っているか否かに応じて、ファン20のON/OFFが自動的に切り換えられる。
【0031】
このように、収容空間10Aの温度が高くなりやすい歩行時のみ、ファン20がON状態となるように圧力センサー40を設けることで、ファン20がON状態である時間が短くても、ユーザーの足を充分に冷却することができるようになる。結果、電源手段30の動作時間を伸ばせたり、小型化の観点から、容量が小さい電源手段30を用いたりすることができるようになる。
【0032】
なお、圧力センサー40は、例えばユーザーが収容空間10Aに足を入れている時のみファン20をON状態とするものとしても構わない。また、その設置箇所も、かかと部17近傍に限られず、土踏まず近傍等であってもよい。
【0033】
(空調ソール)
空調ソール50は、収容空間10Aに敷かれる中敷きであって、前後方向及び左右方向に平行な面において、靴底12より僅かに小さい形状である。空調ソール50は、図2A及び図2Bに示すように、シート部51と、ガイド部52と、空気取入部53と、空気流出部54と、を備える。
【0034】
{シート部}
シート部51は、空調ソール50の外面を形成する部材である。
シート部51は、少なくとも透湿性を有する。収容空間10Aの蒸れた空気がシート部
51から後述する空気流通路521へ抜けて、靴本体10外へと流されることで、収容空間10Aの蒸れを解消するようになるからである。
【0035】
また、シート部51は、防水性を有するのが好ましい。空気吸入部13、空気排出部14などの開口部から、雨などの液体が収容空間10Aに入り込んでしまったとしても、防水性を有するシート部51により、足裏が濡れてしまうのを抑制することができるようになるからである。
【0036】
なお、シート部51は、少なくともガイド部52の上面を覆うものであれば良く、単にガイド部52上に貼り合わせられるものとしても構わない。また、シート部51が空調ソール50の下面を含む全面を覆うものとしても構わない。
【0037】
{ガイド部}
ガイド部52は、3次元立体構造を有する、ユーザーの足と靴底12との間の空間を確保する空間確保手段である。具体的には、図2Bに示すように、ガイド部52は、例えば複数の略矩形状の部材からなり、ユーザーが靴本体10を着用した際には、シート部51と共にユーザーの足を支持し、かつ、空気取入部53によって取り込まれた空気が流通する空気流通路521を形成する。すなわち、空調ソール50にガイド部52を設けることで、収容空間10A(空調ソール50内)に形成される、ファン20が取り込んだ空気の流通路が、ユーザーの足によって塞がれてしまうのを防ぐことができる。
【0038】
ガイド部52を構成する素材としては、ユーザーの自重によって潰れないだけの強度を有するものであれば、適宜公知のものを用いることができるが、好ましくはスポンジである。スポンジは、所定の弾力性を有しているため、空調ソール50を容易に収容空間10Aに敷設することができるようになる。また、ソールとして優れた履き心地をユーザーにもたらすようになる。
【0039】
なお、図2Bに示すようなガイド部52の形状及び配置はあくまで一例であって、これに限られない。例えば、図3に示すような、前後方向に細長状の複数のガイド部52により、空気流通路521を形成するものとしてもよい。あるいは、左右方向かつ前後方向に幅広であり、かつ、前後方向に開口部を有するトンネル状の1つのガイド部52により、空気流通路521を形成するものとしてもよい。
【0040】
また、ガイド部52を複数設ける場合は、これらをいずれも同じ弾性率ないし高さとする構成に限られない。例えば、空調ソール50の周縁部のガイド部52は弾性率の大きい(硬い)素材として、中央部のガイド部52は弾性率の小さい(柔らかい)素材としても構わない。あるいは、空調ソール50の周縁部のガイド部52は、上下方向に相対的に高くなるように設け、中央部のガイド部52は、上下方向に相対的に低くなるように設けても構わない。
【0041】
このようにすることで、空調ソール50の周縁部は、ガイド部52がユーザーの足を好適に支持する一方で、空調ソール50の中心部は、ガイド部52が撓むこととなる。そのため、ファン付き靴100における、空気流通路521の維持と、履き心地の良さとが両立される。
【0042】
〔空気取入部・空気流出部〕
空気取入部53は、図2Aに示すように、空調ソール50の前方に設けられた開口部である。空気取入部53は、靴本体10の空気吸入部13と連通しており、空気吸入部13から取り込んだ空気を、シート部51の下方のガイド部52に取り入れる。
また、空気流出部54は、図2Bに示すように、空調ソール50の後方に設けられた開
口部である。空気流出部54は、ファン20を介して靴本体10の空気排出部14と連通しており、空気流通路521を流れた空気を靴本体10から排出する。
【0043】
なお、空気取入部53及び空気流出部54としては、図2Aに示すような単なる開口部に限られず、メッシュ材が設けられているものとしても構わない。また、その形成箇所も空調ソール50の前端部及び後端部に限られず、空気吸入部13及び空気排出部14の形成箇所等に応じて、適宜変更してよい。
【0044】
[発明の効果]
以上に示すように、本実施形態に係るファン付き靴100は、ユーザーの足を収容する収容空間10Aを有し、空気を取り込む空気吸入部13と、空気吸入部13から取り込んだ空気を排出する空気排出部14と、を有する靴本体10と、空気吸入部13から収容空間10A内に外部の空気を導入して空気排出部14から空気を外部に排出するファン20と、ファン20に電力を供給する電源手段30と、靴本体10内の底部に敷かれる空調ソール50と、を備え、空調ソール50は、ガイド部52と、ガイド部52の少なくとも上方を覆うシート部51と、空気吸入部13から取り込んだ空気をガイド部52に取り入れる空気取入部53と、空気取入部53から取り込んだ空気を空気排出部14へ排出する空気流出部54と、を備え、シート部51は、透湿性を有し、ガイド部52は、足に体重がかかった状態で足と底部との間に空気取入部53から取り入れられた空気が流通する空気流通路521を形成する。
【0045】
当該構成によれば、空調ソール50に空気流通路521が形成されているため、靴本体10には、従来の靴に、開口部である空気吸入部13と空気排出部14を、空気取入部53及び空気流出部54と連通するように形成するだけで良く、ファン付き靴100を従来よりも安価に製造することができる。
【0046】
また、ファン付き靴100は、ファン20のON/OFFを切り換える圧力センサー40を備える。
当該構成によれば、ユーザーがファン付き靴100を着脱する度に、都度ファン20のON/OFF操作を行わなければならない手間を省くことができる。また、ユーザーがファン20の電源を切り忘れるのを防ぐことができる。また、ファン20に電源スイッチを設ける必要が無くなる。
【0047】
また、圧力センサー40は、靴本体10の足裏の圧力を感知することが可能な個所に配置され、ユーザーの歩行時にのみファン20をON状態とする。
当該構成によれば、ファン20の動作時間をより長くすることができる。また、小型化の観点から、容量の小さい電源手段30を用いることができる。
【0048】
また、ファン付き靴100は、空気吸入部13及び/又は空気排出部14を開閉自在とする開閉機構15を備える。
当該構成によれば、雨が降っている時、あるいは強風が吹いている時などに、開閉機構15により空気吸入部13及び/又は空気排出部14を閉塞させることで、雨粒や砂などの異物が収容空間10Aに入り込んでしまうのを防止することができる。
【0049】
また、シート部51は、防水性を有する。
当該構成によれば、空気吸入部13、空気排出部14などの開口部から、雨などの液体が収容空間10Aに入り込んでしまったとしても、足裏が濡れてしまうのを抑制することができる。
【0050】
また、ガイド部52は、スポンジからなる。
当該構成によれば、ユーザーの自重によってガイド部52及び空気流通路521が潰れてしまわないだけの強度と、容易に収容空間10Aに空調ソール50を設置可能な弾性と、ファン付き靴100の履き心地とを両立させることができる。
【0051】
なお、本発明が、上述の実施の形態に限定されるものではないのはもちろんである。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
100 ファン付き靴
10 靴本体
10A 収容空間
13 空気吸入部
14 空気排出部
15 開閉機構
20 ファン
30 電源手段
40 圧力センサー
50 空調ソール
51 シート部
52 ガイド部
521 空気流通路
53 空気取入部
54 空気流出部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3