(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115471
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 21/12 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
H02K21/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017697
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】591211663
【氏名又は名称】羽鳥 信
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 信
【テーマコード(参考)】
5H621
【Fターム(参考)】
5H621BB05
5H621BB06
(57)【要約】
【課題】
コイルに誘導電流を発生させる発電体に対し、吸引、又は反発力を与えるマグネットを全方向より、また、平行に配置して回転させ、その磁力により発電体を回転させて発電し、外部に電気エネルギーを供給することができる発電機を提供する。
【解決手段】
第4マグネット10を含む複数のマグネットを円環4内に挿入して円形の発電体6を形成し、第1コイル11を含む複数のコイル内に発電体6を挿入し、更に、回転軸を中心に回転する回転体2に第1マグネット3を含む複数のマグネットを、第4マグネット10を含む複数のマグネットに平行に取り付け、回転移動させる。
第1マグネット3の吸引、又は反発する磁力により、第4マグネット10を有する発電体6を回転させ、第1コイル11及び複数のコイル内を通過させ、コイルに誘導電流を発生させて発電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マグネットの移動によって、第1コイル内にある第4マグネットが、前記第1マグネットの磁力により、前記第1コイル内を移動して発電する発電機において、
前記第4マグネットに磁力を与え、前記第4マグネットに対して平行に配置し、回転する回転体に取り付けられた前記第1マグネットを、前記回転体の回転軸を中心に回転させ、
前記第1マグネットの吸引、又は反発する磁力により、前記第4マグネットを有し、回転軸を有しない発電体を、前記回転体の回転方向と同じ方向に回転させて、前記第1コイル内を移動させ、
前記第1コイルに誘導電流を発生させて発電し、電気エネルギーを取得する事を特徴とした発電機。
【請求項2】
請求項1記載の発電機において、前記第4マグネットを有する発電体の外周に、取り外し可能なワイヤーを取り付け、前記ワイヤーを介して前記発電体をベアリングで支え、または、前記発電体の外周に保護板を取り付け、前記保護板を介して前記発電体をベアリングで支えたことを特徴とした発電機。
【請求項3】
請求項1記載の発電機において、前記第4マグネットに、吸引、または反発する磁力を与える第5マグネットを前記発電体の外側に配置し、前記第5マグネットの吸引力、又は反発力を変化させて前記発電体を移動させ、
前記第1コイルに誘導電流を発生させて発電し、電気エネルギーを取得する事を特徴とした発電機。
【請求項4】
第1マグネットの移動によって、第1コイル内にある第4マグネットが、前記第1マグネットの磁力により、前記第1コイル内を移動して発電する発電機において、
前記第4マグネットを第1電磁石に変更し、前記第1電磁石に電気を流して磁力を与え、
回転する回転体に取り付けられた前記第1マグネット、または第2電磁石を、前記第1電磁石に対して平行に配置して、前記回転体の回転軸を中心に回転させ、
前記第1電磁石を有し、回転軸を有しない第2発電体を、前記第1マグネット、または第2電磁石の吸引、又は反発する磁力により、前記回転体の回転方向と同じ方向に回転させて、前記第1コイル内を移動させ、
前記第1コイルに誘導電流を発生させて発電し、電気エネルギーを取得する事を特徴とした発電機。
【請求項5】
請求項4記載の発電機において、前記第2発電体に2本のレールを設けて前記第1電磁石のコイルに各々接触させ、前記レールに電気を流して、前記第1電磁石に磁力を発生させることを特徴とした発電機。
【請求項6】
請求項1記載の発電機において、前記回転体の下部に配置したベアリングを前記回転体に接触させ、前記回転体を前記ベアリングで支えた事を特徴とした発電機。
【請求項7】
請求項6記載の発電機において、前記ベアリングを前記第1マグネットに反発力を与える第12マグネットに変えて前記回転体を回転させ、
前記回転体を、前記回転体の下部に配置した前記第12マグネットにより、無接触で支えた事を特徴とした発電機。
【請求項8】
請求項1~7記載の発電機において、前記第1コイル幅の長さを、前記第4マグネットの長さの50~130%にした事を特徴とする発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する移動部に取り付けられたマグネットの移動によって、発電部のマグネットがコイル内を移動し、コイルに誘導電流を発生させて発電し、電気エネルギーを取得する発電機に関する物である。
【背景技術】
【0002】
発電部のマグネットがコイル内を移動して発電し、電気エネルギーを得る物として文献1のような発電機が提案されている。
【0003】
複数のマグネットを繋ぎ合わせた発電体を円形状にし、それらの外周に複数のコイルを設け、発電体のマグネットに吸引力を与えるマグネットを有する回転体を、発電体の上部に配置し、外部より回転軸に力を加えて、回転体を有する回転軸を回転させ、回転体に設置されたマグネットの吸引力により、発電体を回転させ、外周に配置された複数のコイルに誘導電流を発生させて発電している。(文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-110496号公報
【特許文献2】特許4964299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献1において、回転体のマグネットが外側の発電体のマグネットに対し、垂直に磁力が加わるように吸引力を与えている。
この為、仮に、発電体のマグネットのN極に回転体のマグネットのS極を垂直に近づけて吸引させた場合、発電体のマグネットのS極は、回転体のマグネットのS極より遠ざかろうとする。
これにより、発電体のマグネットには部分的に吸引力が加わり、発電体を回転させようとした場合、円運動が分散され、回転力を抑える傾向がある。
【0006】
したがって、本発明の発電機は、文献2の振動発電の発電方法を応用し、コイルに誘導電流を発生させる発電体に対し、吸引、又は反発力を与えるマグネットを全方向より、また、平行に配置して回転させ、その磁力により発電体を回転させて発電し、電気エネルギーを取得できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発電機は、円形を成し回転軸を有しない複数のマグネット群から成る発電体の外周に複数のコイルを取り付け、その発電体のマグネット群に吸引、又は反発の磁力を与えるマグネットを移動部に複数配置している。
移動部のマグネットは、発電体のマグネットに対して平行に、回転する回転体に取り付けられ、その回転体を支えている回転軸を発電機の固定台で保持している。
【0008】
また、発電体の下部にベアリングを設けて発電体を支え、発電体の重量をベアリングで支えている。
一方で、複数のコイルも固定台に取り付けられ、各コイルからの出力は、電線にて制御部のブリッジダイオード、コンデンサー、抵抗に接続され、電気エネルギーとして外部に出力される。
【発明の効果】
【0009】
各コイルに誘導電流を発生させる発電体のマグネット群に、移動部のマグネットを、平行に近づけて吸引力、又は反発力を与えて回転すると、発電体のマグネット群も移動部のマグネットに吸引、又は反発して回転するようになる。
また、移動部のマグネットが発電体のマグネットに対し、全方向より、また平行に磁力を与えているので、均等に磁力が伝わる。
【0010】
これにより、発電体のマグネットに対し、全方向より磁界を加えて発電体のマグネット群を宙に浮かすことが可能となるため、無接触、無重力に近い状態となり、小さな力で回転することが可能となり、高速回転を維持できる。
【0011】
本発明の発電体は、複数のマグネットを互いに極性が違う向きで繋ぎ合わせて、車軸を有しない円形状のマグネット群を形成しているので発電効率が高くなり、内側にある移動部の回転移動により、発電体が安定した円回転移動を行なうことができ、また、各部品が取り外し可能なので、回転ですり減ったベアリングや円環の交換を容易に行うことができる。
また、発電体や回転体の下部にベアリングを設けて支える事により、回転時の負荷を軽減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態における発電機と水車を含め、全体を示した斜視図である。
【
図2】
図1の発電機の円環部分を表した斜視図である。
【
図3】(A)は、
図2の円環部分をA-A線部分で切断し、一部を断面で表した図であり、(B)は、本発明の実施形態における発電機の他の実施形態を示したもので、円環にワイヤーを挿入した断面図である。
【
図4】本発明の実施形態における発電機の他の実施形態を示したもので、(A)は、発電体を分離できるパイプで形成した斜視図であり、(B)は、(A)の破線部分の詳細を示した斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態における発電機の他の実施形態を示したもので、発電体に対し、回転体のマグネットの吸引力と反発力の磁力を加えた様子を表した斜視図である。
【
図6】(A)は、
図5の発電体が回転体のマグネットより磁力を受けている様子を表した斜視図であり、(B)は、(A)の発電体をB-B線部分で切断し、一部を断面で表した図である。
【
図7】
図5の発電機の回転体の図示を省き、上から見た平面図である。
【
図8】本発明の実施形態における発電機の他の実施形態を示したもので、発電体に異なる大きさのマグネットを取り付けた平面図である。
【
図9】本発明の実施形態における発電機の他の実施形態を示したもので、(A)は発電体のパイプにレールを取り付けた斜視図であり、(B)は(A)の破線部分を拡大した斜視図である。
【
図10】(A)は、回転体下部にベアリングを設置した斜視図であり、(B)はベアリングの代わりにマグネットを設置した斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態における第1マグネットの磁力線の様子を表した図である。
【
図12】
図11の第1マグネットが第1コイル内を移動している様子を表した図である。
【
図14】本発明の実施形態における発電機の配線内容を表した配線図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
以下、本発明に係る発電機の好適な実施形態を、図面に従って説明する。
図1は本発明における発電機1と動力源の水車20等を示した斜視図であり、
図2は、詳細を説明する為に、
図1の発電機1の発電体6と回転体2部分を表した斜視図である。
【0014】
図1や
図2で示すように、固定台14上に、回転軸7を中心とした回転体2が有り、その外側に、回転軸7を有しない発電体6が配置されている。
発電体6の外周には第1コイル11、第2コイル12を含む複数のコイルが取り付けられている。
各コイルはそれぞれコイル架台13によって固定され、各コイル架台13は、ネジや凹凸の篏合により、固定台14に取り付けられている。
【0015】
図14の配線図で示すように、第1コイル11や第2コイル12を含む複数のコイルから出力される誘導電流は、各ブリッジダイオード34やコンデンサー35、抵抗36を経て外部へ出力される。
また、4個以上のコイルやブリッジダイオード34は省略されている。
【0016】
固定台14に取り付けられた回転軸7には、複数のマグネットを有する回転体2が接続されており、最上部には第1傘歯車15が取り付けられている。
第1傘歯車15には、動力を伝える為の第2傘歯車16が接しており、その先に連結器17、プーリー18、ベルト19、動力源の水車20が連結されている。
【0017】
図1や
図2において、回転体2には、第1マグネット3や第2マグネット8を含む複数のマグネットが、回転体2の中心部より同じ距離で、更に角度が異なる位置に放射状に取り付けられ、発電体6の各マグネットに対して、平行になるように取り付けられている。
また、回転体2の外側には、第4マグネット10や第3マグネット9を含み、複数のマグネットを有する発電体6が設置されている。
【0018】
このように、回転体2の第1マグネット3や第2マグネット8を含む複数のマグネットは、相手側となる発電体6の第4マグネット10や第3マグネット9に吸引力を与える磁力の極性で、平行に取り付けられている。
この為、第1マグネット3のN極とS極が、第4マグネット10のS極とN極にそれぞれ均等に力がかかるようになる。
これにより、回転体2が回転すると発電体6も、円滑な円運動を行うことができるようになる。
【0019】
図2は、
図1の発電体6の円環4部分を表した図であり、円環4内には、第4マグネット10を含む複数のマグネットが有る。
円環4は複数のベアリング5により、側面と下部面が接して支えられている。
【0020】
発電体6は、複数に分割可能な円環4により形成され、複数のマグネットを有し、各コイル内を回転して移動できるような回転軸7を有しない円形型になるような構造になっている。
また、各マグネットの磁力は互いに極性が対峙するように配置されており、これにより、発電効率が増すようになる。
【0021】
図2に於いて、円環4の形状は、ドーナツ状の円形に形成され、或いは、一部を欠いた半円状にも形成され、第4マグネット10を1個だけ装着し、円を形成しない発電体6を形成できるようにもなる。
【0022】
これにより、発電体6は、複数に分割でき、複数のコイルに挿入後、円環4を連結して組み合わせ、ドーナツ状の円形を形成することが可能となる。
その後、複数のコイルが存在するコイル架台13を固定台14にネジ等で固定すると、発電体6は、各コイル内を円回転移動することが出来るようになる。
【0023】
図2のように、円環4内の第4マグネット10の極性を、上方をS極、下方をN極とし、一方で、回転体2に取り付けられた第1マグネット3の極性を、下側がS極、上側をN極とし、第4マグネット10に対し、平行にして近づけると、第1マグネット3のN極と第4マグネッ10のS極、第1マグネット3のS極と第4マグネット10のN極が共に吸引し合い、両者が最短距離で近づこうとする。
この為、回転体2を移動させた場合、第4マグネット10は、第1マグネット3から常にマグネット全体に均等に吸引力が得られて移動するようになる。
【0024】
同様に、回転軸7を中心に、反対側の場所にある第3マグネット9も第2マグネット8より同じような磁力を受け、常に均等な吸引力が得られるようになり、同じように配置された他の複数のマグネット同士の関係も同じ状況になる。
その為、発電体6全体には、各吸引力により、常に回転軸7の中心部に向かうような力が働き、磁力のバランスを取ると、各コイル内でスムーズな円回転移動を行なうことが出来る。
【0025】
図1や2に於いて、回転体2には複数のマグネットが配置され、それぞれ、発電体6の各マグネットに吸引力を与えて回転しているが、一部の極性を逆にして、或いは全ての極性を逆にし、反発力を利用して動作させてもよい。
また、第1マグネット3の代わりに軟鉄やフェライト、コバルトなどの磁性体を利用し、第4マグネット10に吸引力を与え動作させても良い。
【0026】
図3(A)は、
図2のA―A部分を切断し、一部を断面で表した図であり、円環4がベアリング5によりそれぞれ、側面と下部で支えられている。
それにより、発電体6はこのベアリング5に時々接して回転する為、発電体6の重量はベアリング5で支えられ、回転時の負荷が軽減される。
【0027】
動作は、
図1に示すように、水面に接する水車20が回転すると、プーリー18を回転させてベルト19や連結器17が回転し、2つの傘歯車も回転して回転軸7に取り付けられた回転体2も回転し始める。
回転体2に取り付けられた第1マグネット3や第2マグネット8も回転し、それらの磁力に吸引、又は反発される、第4マグネッ10や第3マグネット9を有する発電体6も回転し、複数のコイル内を移動して、コイルに誘導電流を発生させ、発電することになる。
【0028】
図2では、円環4内のマグネットの極性を互いに反発し合うように対峙して取り付けているが、マグネット同士の間隔があれば、極性を同じ向きになるように配置して動作させてもよい。
また、各マグネット同士を直接接着剤等でつなぎ合わせて間隔を狭め、発電体6を形成してもよい。
【0029】
図1や2に於いて、発電体6の断面は、上部が欠けた円筒で円を形成しているが、第4マグネット10や円環4の形状を楕円や多角、他の形状にして発電体6を形成してもよく、各コイルの形状を楕円や多角、他の形状にして形成してもよい。
【0030】
図1や7のように発電体6が1つの円で形成されている場合、発電体6は主に、
図2の外側のベアリング5に時々接して回転しているが、円を形成しない半円の場合は、第1マグネット3の吸引力により内側のベアリング5に接して回転移動するようになる。
【0031】
また、第1マグネット3の極性を変え、第4マグネット10に反発力を与えて利用した場合、外側のベアリング5に接して回転移動するようになる。
【0032】
このように本案では、1つの円、または半円で発電体6を形成し、更にベアリング5を発電体の上下、左右、斜め等全方向に配置し、外部の全方向より発電体6に吸引力、または反発力、或いは両方の磁力を与えると、発電体6はそれらの磁力により吸引、または、反発して回転移動するようになる。
【0033】
図1で、発電体6は、水平に設置されて回転しているが、2つの傘歯車を削除し、固定台14を垂直に配置し、回転軸7に水車20を直接接続して、発電体6を垂直にして回転させても良い。
本案に於いて、回転体2やベアリング5、円環4、ワイヤー22等は、プラスチックやアルミニウム、ステンレス、ゴム、黄銅などの非磁性体の素材で形成されることが望ましい。
【0034】
また、動力源に水を利用し、水車20を回転させて発電しているが、動力源として風を利用しても良い。
その場合、水車20やベルト19、連結器17の構造を、風を受けて回転軸7が回転するような構造にする。