(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115475
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20230814BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017701
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】益子 泰一郎
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA33
3D241BA60
3D241BB03
3D241BC01
3D241BC02
3D241CE02
3D241CE04
3D241DD11Z
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】遠隔操作の安全性を高めることができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】
一態様の車両制御装置は、操作端末の位置情報を取得する端末位置取得部と、操作端末を操作する操作者の位置を特定する操作者位置特定部と、操作者による操作端末の操作内容に応じて、車両を移動させる制御を行う制御部と、車両の非操舵輪の車軸の延長線上に位置する操作可能領域内に操作者及び操作端末が位置する場合に制御部による車両の制御を許可し、操作可能領域内に操作者及び操作端末が位置しない場合に制御部による車両の制御を禁止する許可判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末の位置情報を取得する端末位置取得部と、
前記操作端末を操作する操作者の位置を特定する操作者位置特定部と、
前記操作者による前記操作端末の操作内容に応じて、車両を移動させる制御を行う制御部と、
前記車両の非操舵輪の車軸の延長線上に位置する操作可能領域内に前記操作者及び前記操作端末が位置する場合に前記制御部による前記車両の制御を許可し、前記操作可能領域内に前記操作者及び前記操作端末が位置しない場合に前記制御部による前記車両の制御を禁止する許可判定部と、
を備える、車両制御装置。
【請求項2】
前記操作可能領域は、前記車両の左右の一方側のみに設定されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記許可判定部は、前記操作者及び前記操作端末が一定時間以上に亘って前記操作可能領域内に継続して位置しているときに前記制御部による前記車両の制御を許可する、請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作端末を操作して車両の外部から車両を遠隔操作する装置が知られている。例えば下記特許文献1には、車両の周囲を撮像した画像から操作者の位置を特定するとともに、操作端末から信号を受信して操作端末の位置を取得し、操作端末の位置と操作端末の位置との距離が所定距離よりも離れているときに遠隔操作を禁止する車両制御装置について記載されている。この車両制御装置では、操作端末から操作者が離れている場合に遠隔操作の実行を禁止することにより、周辺監視が不十分な環境下で遠隔操作が行われないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車外から車両を遠隔操作する場合には、誤操作等によって車両が意図しない動きをしたときに車両が操作者に接触する恐れがある。特に、倉庫等の輸送拠点では、多数の車両及び作業者が頻繁に出入りして荷役作業が行われる。このような混雑した環境下で車両が意図しない動きをすると衝突事故に繋がりやすいため、遠隔操作の安全性には十分な配慮が求められる。
【0005】
そこで、本開示は、車両の遠隔操作の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の車両制御装置は、操作端末の位置情報を取得する端末位置取得部と、操作端末を操作する操作者の位置を特定する操作者位置特定部と、操作者による操作端末の操作内容に応じて、車両を移動させる制御を行う制御部と、車両の非操舵輪の車軸の延長線上に位置する操作可能領域内に操作者及び操作端末が位置する場合に制御部による車両の制御を許可し、操作可能領域内に操作者及び操作端末が位置しない場合に制御部による車両の制御を禁止する許可判定部と、を備える。
【0007】
非操舵輪の車軸の延長線上に位置する操作可能領域は、車両が任意の操舵角で走行したときに通る軌跡から外れた位置にあるので、操作可能領域内に操作者及び操作端末が位置しているときに遠隔操作を許可することにより、誤操作等によって車両が意図しない動きをした場合であっても操作者と車両との接触を防ぐことができる。したがって、本態様の車両制御装置によれば、車両の遠隔操作の安全性を向上させることができる。
【0008】
一実施形態では、操作可能領域は、車両の左右の一方側のみに設定されていてもよい。操作可能領域が車両の左右の一方側のみに設定されることにより、誤って左右の他方側に位置する他の車両を操作することを防止することができる。
【0009】
一実施形態では、許可判定部は、操作者及び操作端末が一定時間以上に亘って操作可能領域内に継続して位置しているときに制御部による車両の制御を許可してもよい。安全性の観点から、車両の周囲にいない第三者がネットワークを介して車両を不正に遠隔操作することを防ぐことが望ましい。操作者及び操作端末が操作可能領域内に一定時間以上継続して位置することを遠隔操作の許可条件とすることにより、遠隔地からの不正な遠隔操作を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様及び種々の実施形態によれば、遠隔操作の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る車両制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る車両制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】車両の移動軌跡と操作可能領域との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して種々の実施形態に係る車両制御装置について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととし、同一又は相当の部分に対する重複した説明は省略する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る車両制御装置の機能的構成を示すブロック図である。車両制御装置10は、車両1に搭載される。車両1は、貨物を搭載する貨物車である。例えば、
図2に示すように、車両1は、操舵可能な操舵輪41と操舵不能な非操舵輪42を有するトラックである。操舵輪41は車両1の前輪であり、非操舵輪42は車両1の後輪である。車両1は、例えば設定された走行ルートに沿って自律的に走行する自動運転車である。
【0014】
図1に示すように、車両1は、車両制御装置10、GPS(Global Positioning System)受信機11、外部センサ12、内部センサ13、通信部14、及び、アクチュエータ15を備えている。車両制御装置10は、後述する操作端末3を操作する操作者2から遠隔操作の指示を受け付け、車両1を移動させる制御を行う。
【0015】
車両制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CAN(Controller Area Network)通信回路などを有する電子制御ユニットである。車両制御装置10は、例えばCAN通信回路を用いて通信するネットワークに接続され、上述した車両1の各構成要素と通信可能に接続される。車両制御装置10は、例えば、CPUが出力する信号に基づいて、CAN通信回路を動作させてデータを入出力し、データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで、後述する機能を実現する。車両制御装置10は、複数の電子制御ユニットから構成されてもよい。
【0016】
GPS受信機11は、複数のGPS衛星から信号を受信して、車両1の位置情報(例えば緯度及び経度)を測定する。外部センサ12は、車両1の外部環境の情報を検出する。外部環境とは、例えば車両1の周辺の他車両、構造物及び歩行者等の物体である。外部センサ12としては、例えばカメラが用いられる。
【0017】
カメラは、車両1の周辺の画像を撮像する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有する。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれる。
図2に示すように、例えばカメラは、車両1のサイドミラー付近に設けられ、車両1の側方を撮像する。なお、カメラは、車両1の左右の一方(
図2では、車両1の左側)のみに配置されていてもよいし、車両1の左右の両側に配置されてもよい。
【0018】
外部センサ12は、カメラに限定されず、レーダセンサなどであってもよい。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両1の周辺の物体を検出する。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を車両1の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで車両周囲の物体を検出する。
【0019】
内部センサ13は、車両1の走行状態を検出する。内部センサ13としては、例えば舵角センサ、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサが利用される。舵角センサは、車両1の操舵輪の舵角を検出する。車速センサは、車両1の速度を検出する。車速センサとしては、例えば、車両1のドライブシャフトに設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。加速度センサは、車両1の加速度を検出する。加速度センサは、車両1の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両1の加速度を検出する横加速度センサとを含んでもよい。ヨーレートセンサは、車両1の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサが用いられる。
【0020】
通信部14は、例えば無線通信装置であり、遠隔操作に関する各種情報を後述する操作端末3と送受信する。例えば、通信部14は、操作端末3の位置情報及び遠隔操作の開始要求を示す遠隔操作要求を操作端末3から受信する。これに対して、通信部14は、遠隔操作の許可又は禁止を示す情報を操作端末3に送信する。
【0021】
アクチュエータ15は、車両1の走行制御を実行する装置である。アクチュエータ15は、例えばエンジンアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び、操舵アクチュエータを含む。エンジンアクチュエータは、車両制御装置10の制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量を変更(例えばスロットル開度を変更)して、車両1の駆動力を制御する。なお、車両1がハイブリッド車又は電気自動車である場合には、エンジンアクチュエータは、動力源であるモータの駆動力を制御する。
【0022】
ブレーキアクチュエータは、車両制御装置10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御して、車両1の制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば液圧ブレーキシステムが用いられる。なお、車両1が回生ブレーキシステムを備えている場合、ブレーキアクチュエータは、液圧ブレーキシステム及び回生ブレーキシステムの両方を制御してもよい。操舵アクチュエータは、車両制御装置10からの制御信号に応じて電動パワーステアリングシステムの駆動を制御する。アシストモータの駆動が制御されることにより、車両1の操舵輪41の操舵角が制御される。
【0023】
車両制御装置10は、操作端末3から遠隔操作要求を受け付けると、車両1を遠隔操作で制御可能な遠隔操作モードに切り替える。そして、操作者2による操作端末3の操作内容に応じて車両1を制御する。操作者2とは、操作端末3を操作して車両1の遠隔操作を行う者である。操作者2が行う遠隔操作の内容は、車両1を遠隔で移動させるものであれば限定されない。
【0024】
操作端末3は、例えばスマートフォン、タブレット又はPDA(Personal Digital Assistant)等の移動端末であり、車両1を遠隔操作するために利用される。
図1に示すように、操作端末3は、GPS受信機21、表示装置22、入力装置23及び通信部24を備えている。GPS受信機21は、複数のGPS衛星から信号を受信して、操作端末3の位置情報(例えば緯度及び経度)を測定する。GPS受信機21によって測定された操作端末3の位置情報は、通信部24を介して車両制御装置10に送信される。
【0025】
表示装置22は、例えばディスプレイであり、遠隔操作に必要な情報を操作者2に提示する。入力装置23は、車両1の遠隔操作の内容を操作者2から受け付ける。例えば、入力装置23は、ボタン、スイッチ、タッチパネル、キーボード又はマウス等である。操作者2は、入力装置23を用いて遠隔操作に関する各種情報を操作端末3に入力する。例えば、操作者2は、遠隔操作の開始要求を示す情報、及び、遠隔操作の内容に関する情報を入力装置を用いて入力する。遠隔操作の内容に関する情報としては、例えば、車両1のアクセル量、ブレーキ量、舵角、又は、車両1の目標位置が入力される。
【0026】
通信部24は、例えば無線通信装置であり、遠隔操作に関する各種情報を車両1と送受信する。例えば、操作者2から遠隔操作の開始要求を受け付けると、通信部24は、GPS受信機21によって取得された操作端末3の位置情報、及び、遠隔操作の開始要求を示す遠隔操作要求を車両制御装置10に送信する。遠隔操作要求には、遠隔操作を希望する車両1を特定する識別情報が含まれていてもよい。遠隔操作要求の送信に対して、車両制御装置10から遠隔操作の許可を示す情報を受信すると、通信部24は、操作者2によって入力された遠隔操作の内容を示す遠隔操作情報を車両制御装置10に送信する。
【0027】
車両制御装置10についてより詳細に説明する。車両制御装置10は、操作端末3から車両1の遠隔操作要求を受け付けると、車両1の遠隔操作を許可するか否かを判定する。車両1の遠隔操作を許可する場合には車両1の制御モードを遠隔操作モードに切り替える。そして、操作者2から遠隔操作情報を受信し、遠隔操作情報に応じて車両1を移動させる制御を行う。
【0028】
図1に示すように、車両制御装置10は、機能的構成として、操作要求取得部31、端末位置取得部32、操作者位置特定部33、許可判定部34及び制御部35を備えている。
【0029】
操作要求取得部31は、通信部14を介して操作端末3から遠隔操作要求を取得する。端末位置取得部32は、操作端末3から通信部14を介して受信した操作端末3の位置情報を取得する。操作者位置特定部33は、外部センサ12の出力に基づいて、操作者2の位置情報を取得する。例えば外部センサ12としてカメラを用いる場合には、カメラによって車両1の側方を撮像し、撮像された画像に対して画像認識処理を行うことにより車両1の周囲に存在する操作者2の位置を特定する。また、外部センサ12としてレーダを用いる場合には、レーダから電波又は光を車両1の周辺に送信し、操作者2から反射された電波又は光を受信することで操作者2の位置を特定する。
【0030】
許可判定部34は、操作者2及び操作端末3の位置情報に基づいて、車両1の遠隔操作を許可するか否かを判定する。より具体的に説明すると、許可判定部34は、操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1内に位置するか否かを判定する。操作可能領域R1は、車両1の非操舵輪42の車軸43の延長線上に位置する領域である。
図2に示すように、車両1が後二軸である場合には、2つの車軸43の延長線の間に画成された領域を操作可能領域R1としてもよい。操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1内に位置すると判定した場合には、許可判定部34は、遠隔操作を許可することを示す操作許可通知を制御部35に出力するとともに、操作許可通知を通信部14を介して操作端末3に送信する。
【0031】
一方、操作者2及び操作端末3が操作禁止領域R2内に位置すると判定した場合には、許可判定部34は、遠隔操作を禁止することを示す操作禁止通知を制御部35に出力するとともに、操作禁止通知を通信部14を介して操作端末3に送信する。操作禁止領域R2は、操作可能領域R1を除く領域、すなわち車両1の非操舵輪42の車軸43の延長線上に位置しない領域である。
【0032】
図2に示すように、操作可能領域R1は、車両の左右の一方側(
図2では左側)のみに設定されていてもよい。すなわち、許可判定部34は、操作者2及び操作端末3が車両1の左右一方側(例えば左側)に位置にするときに、操作者2による遠隔操作を許可し、操作者2及び操作端末3が車両1の左右他方側(例えば右側)に位置にするときに操作者2による遠隔操作を禁止する。倉庫等の貨物の輸送拠点では、多数の車両が整列して配置され、その周囲で多数の作業者が荷役作業をすることがある。このような環境下では、ある車両を遠隔操作しようとしたときに、隣の車両を誤って操作する恐れがある。特に混雑した環境下では、誤って他の車両を遠隔操作すると衝突事故に繋がる危険が生じる。これに対し、操作者2及び操作端末3が車両1の左右一方側に位置するときに遠隔操作を許可することにより、他の車両を誤って遠隔操作することを防止することができる。
【0033】
また、許可判定部34は、操作者2及び操作端末3が一定時間以上に亘って操作可能領域R1内に継続して位置しているときに遠隔操作を許可してもよい。安全性の観点から、車両1の周囲にいない第三者がネットワークを介して車両1を不正に遠隔操作することを防ぐことが望ましい。操作者2及び操作端末3が一定時間以上に亘って操作可能領域R1内に継続して位置することを遠隔操作の許可条件とすることにより、遠隔地から車両1が不正に遠隔操作されにくくなる。
【0034】
制御部35は、許可判定部34によって遠隔操作が許可されたときに、操作者2によって指定された遠隔操作の内容を示す遠隔操作情報を取得し、遠隔操作情報に基づいて車両を移動させる制御を行う。例えば、操作者2によって目標位置が指定された場合には、制御部35は、現在位置から目標位置までの走行ルートを設定し、アクチュエータ15のエンジンアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び、操舵アクチュエータに制御信号を送出して、設定された走行ルートに沿って車両1を目標位置まで移動させる。一方、許可判定部34によって遠隔操作が禁止された場合には、制御部35は、車両1の遠隔操作の制御を行わない。
【0035】
次に、車両制御装置10によって実行される車両制御方法について説明する。
図3は、一実施形態の車両制御方法を示すフローチャートである。この車両制御方法では、まず車両制御装置10の操作要求取得部31が、操作端末3から遠隔操作要求を受信したか否かを判定する(ステップST1)。遠隔操作要求を受信していない場合には、操作端末3から遠隔操作要求を受信するまで待機する。
【0036】
操作端末3から遠隔操作要求を受信した場合には、端末位置取得部32が、GPS受信機11によって測定された操作端末3の位置情報を取得する(ステップST2)。次に、操作者位置特定部33が、外部センサ12の検出結果に基づいて、操作者2の位置情報を取得する(ステップST3)。
【0037】
次に、許可判定部34が、操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1内、すなわち車両1の非操舵輪42の車軸43の延長線上に位置するか否かを判定する(ステップST4)。なお、
図4に示すように、操作可能領域R1は、車両1の非操舵輪42の車軸43の延長線上の位置であって、車両1の操舵角を最大にしたときに車両1が通る軌跡C(すわなち、最小旋回半径となる軌跡)の内側に位置する領域であってもよい。操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1内に位置しないと判定された場合には、制御部35による遠隔操作の実行を禁止する(ステップST5)。そして、遠隔操作の禁止を示す操作禁止通知を操作端末3に送信し、操作端末3から再び遠隔操作要求を受信するまで待機する。
【0038】
一方、操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1内に位置すると判定された場合には、許可判定部34は、一定時間に亘って操作者2及び操作端末3が継続して操作可能領域R1内に位置しているか否かを判定する(ステップST6)。一定時間に亘って操作者2及び操作端末3が継続して操作可能領域R1内に位置していると判定された場合には、許可判定部34は、制御部35による遠隔操作の実行を許可する(ステップST7)。そして、そして、遠隔操作の許可を示す操作許可通知を操作端末3に送信する。
【0039】
許可判定部34によって遠隔操作の実行が許可されると、制御部35は、操作端末3から遠隔操作の内容を示す遠隔操作情報を取得する(ステップST8)。そして、制御部35は、操作者2によって指定された遠隔操作が実行されるようにアクチュエータ15を制御する(ステップST9)。これにより、車両1が遠隔操作によって移動される。一方、一定時間に亘って操作者2及び操作端末3が継続して操作可能領域R1内に位置していないと判定された場合には、操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1に一定時間以上位置していると判定されるまでステップST4の判定を繰り返す。
【0040】
以上説明したように、車両制御装置10は、操作者2及び操作端末3が操作可能領域R1内に位置するときに、車両1の遠隔操作を許可する。
図4に示すように、操作可能領域R1は、車両1の舵角を最大にしたときに車両1が通る軌跡Cから外れて位置しているので、誤操作等によって車両1が意図しない動きをした場合であっても、発車直後に車両1と操作者2とが接触することが防止される。したがって、避難を開始するための時間的な猶予を操作者2に与えることができる。その結果、遠隔操作の安全性を高めることができる。
【0041】
さらに、車両制御装置10は、車両1に搭載された外部センサ12を用いて操作者2の位置情報を取得している。そして、操作者2及び操作端末3が車両1の周囲に位置するときに遠隔操作の許可をしているので、遠方からネットワークを介して車両1を不正に遠隔操作されることが防止される。
【0042】
以上、種々の実施形態に係る車両制御装置10について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。例えば、
図2に示す実施形態では、操作可能領域R1が、車両1の左側のみに設定されているが、操作可能領域R1は、車両1の左右両側に設定されていてもよい。また、操作端末3の位置情報は、外部センサ12の検出結果に基づいて取得されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…車両、2…操作者、3…操作端末、10…車両制御装置、32…端末位置取得部、33…操作者位置特定部、34…許可判定部、35…制御部、42…非操舵輪、43…車軸、R1…操作可能領域。