IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社CREATIVE21の特許一覧

特開2023-115500カートリッジ、及び空圧ディスペンサ
<>
  • 特開-カートリッジ、及び空圧ディスペンサ 図1
  • 特開-カートリッジ、及び空圧ディスペンサ 図2
  • 特開-カートリッジ、及び空圧ディスペンサ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115500
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】カートリッジ、及び空圧ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20230814BHJP
   B05C 17/015 20060101ALI20230814BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
B05C5/00 A
B05C17/015
B65D83/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017744
(22)【出願日】2022-02-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522052118
【氏名又は名称】株式会社CREATIVE21
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 昌希
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩久
【テーマコード(参考)】
3E014
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3E014PA03
3E014PB03
3E014PC03
3E014PC06
3E014PC16
3E014PC20
3E014PD21
3E014PE08
3E014PE30
3E014PF10
4F041AB01
4F041CB08
4F041CB54
4F042FA22
4F042FA30
4F042FA37
4F042FA39
(57)【要約】
【課題】プランジャに対し応力が集中しにくいカートリッジ、及び空圧ディスペンサを提供する。
【解決手段】カートリッジは、空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、シリンダ内で軸方向に進退可能に設けられ、球体状、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状のいずれか一つのプランジャと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられ、球体状、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状のいずれか一つのプランジャと、を備える
カートリッジ。
【請求項2】
前記プランジャは、
前記軸方向において前記吐出口側を向く第一側から前記吐出口側とは反対側の第二側に向けて外径寸法が漸次増大する拡径部と、
前記拡径部に対して前記軸方向の第二側に形成され、前記軸方向の第一側から第二側に向けて外径寸法が漸次縮小する縮径部と、
前記拡径部と前記縮径部との間に形成された外径寸法が最大の最大径部と、を有している
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記シリンダの前記軸方向の第一側の内面は、半球状に形成されている
請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記シリンダの内周面と前記プランジャの外周面との間に、前記軸方向を中心とする周方向の全周にわたって連続するクリアランスが形成されている
請求項1から3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記プランジャは、中実である
請求項1から4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記プランジャの外周面は、滑らかに形成されている
請求項1から5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記プランジャの重心位置が偏心している
請求項1から6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のカートリッジと、
前記カートリッジを収容可能なカートリッジ収容部と、
前記カートリッジ収容部に収容された前記カートリッジに空圧を供給し、前記シリンダ内で前記プランジャを前記軸方向に沿って押し込む空圧供給部と、を備える
空圧ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジ、及び空圧ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
シール材等、粘性の高い粘性材料を塗布、あるいは充填するに際し、空圧ディスペンサが用いられることがある。例えば特許文献1には、このような空圧ディスペンサとして、筒状のシリンダと、シリンダ内で進退可能に設けられるプランジャと、を備えた構成が開示されている。この構成において、プランジャは、軸方向に延びる筒状の本体部と、本体部の外周面上に形成されて軸方向に延びるリッジと、プランジャがシリンダに嵌合された状態において、本体部の外周面とシリンダの内周面との間をシールするシール部と、を含んでいる。このような構成において、プランジャの外周面は、嵌合状態において、シリンダの内周面との間に半径方向クリアランスを有し、それにより、外周面と内周面との間に、筒状のクリアランスが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5651803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような構成においては、プランジャが筒状の本体部を有しており、後方に向けて開口している。このため、筒状のクリアランスに入り込む粘性材料から本体部に作用する圧力によって、本体部や、本体部とリッジとの境界部分等に応力集中が生じ、プランジャにひび割れ等の損傷が生じることがある。また、筒状の本体部を有したプランジャが、シリンダ内で進退する際に、シリンダの軸方向に対して傾斜すると、プランジャとシリンダとの間に生じる摩擦抵抗が増大し、プランジャの移動が阻害されることもある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、プランジャに対し応力が集中しにくいカートリッジ、及び空圧ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るカートリッジは、空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられ、球体状、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状のいずれか一つのプランジャと、を備える。
【0007】
本開示に係る空圧ディスペンサは、上記したようなカートリッジと、前記カートリッジを収容可能なカートリッジ収容部と、前記カートリッジ収容部に収容された前記カートリッジに空圧を供給し、前記シリンダ内で前記プランジャを前記軸方向に沿って押し込む空圧供給部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示のカートリッジ、及び空圧ディスペンサによれば、プランジャに対し応力が集中しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るカートリッジを備えた空圧ディスペンサの側断面図である。
図2】本開示の実施形態に係るカートリッジにおいて、プランジャが軸方向の第一側に移動した状態を示す側断面図である。
図3】本開示の実施形態の変形例に係るカートリッジの構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(空圧ディスペンサの構成)
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、空圧ディスペンサ1は、ディスペンサ本体2と、ディスペンサ本体2に着脱可能に装填されるカートリッジ3と、を有している。
【0011】
(カートリッジの構成)
カートリッジ3は、シリンダ4と、プランジャ5と、を備えている。
シリンダ4は、筒状部41と、端壁部42と、を一体に有している。
筒状部41は、軸方向Daに延びる筒状に形成されている。
本実施形態において筒状部41は、軸方向Daにおいて、一定の内径寸法D1を有した円筒状に形成されている。
【0012】
端壁部42は、筒状部41の軸方向Daの第一側Da1の端部に形成されている。
端壁部42において、軸方向Daの第二側Da2を向く内面42fは、軸方向Daの第一側Da1に向かって半球状に窪んでいる。
端壁部42には、軸方向Daの第一側Da1に突出するノズル取付部43が形成されている。
ノズル取付部43には、軸方向Daに延びる吐出口43hが形成されている。
吐出口43hは、シリンダ4の筒状部41内と、シリンダ4の外部とを連通している。
ノズル取付部43には、適宜形状のノズル(図示無し)が装着可能に構成されている。
このようなカートリッジ3は、例えば、PE(ポリエチレン)やPOM等の合成樹脂材料によって形成されている。
【0013】
このようなシリンダ4の筒状部41の内部には、粘性材料Sが収容可能とされている。
粘性材料Sは、例えば、吐出口43hを通して筒状部41内に充填される。
シリンダ4に充填する粘性材料Sとしては、例えば、シーラント材、絶縁材、接着剤等が挙げられる。
【0014】
プランジャ5は、シリンダ4内で、軸方向Daに進退可能に設けられている。
プランジャ5は、球体状をなしている。
このようなプランジャ5は、例えば、PE(ポリエチレン)やPOM等の合成樹脂材料によって形成されている。
プランジャ5は、内部に空間が形成された中空であってもよいが、本実施形態では、プランジャ5は、内部に空間を有さない中実に形成されている。
プランジャ5の外面は、凹凸のない滑らかな湾曲面によって形成されている。
【0015】
プランジャ5は、拡径部51と、縮径部52と、最大径部53と、を有している。
拡径部51は、軸方向Daにおいて吐出口43h側を向く第一側Da1から吐出口43h側とは反対側の第二側Da2に向けて外径寸法が漸次増大する。
拡径部51は、軸方向Daの第一側Da1に向かって半球状に膨出している。
縮径部52は、拡径部51に対して軸方向Daの第二側Da2に形成されている。
縮径部52は、軸方向Daの第一側Da1から第二側Da2に向けて外径寸法が漸次縮小している。
縮径部52は、軸方向Daの第二側Da2に向かって半球状に膨出している。
【0016】
最大径部53は、軸方向Daにおいて拡径部51と縮径部52との間に形成されている。
最大径部53は、プランジャ5において、軸方向Daに交差する方向(径方向)の外径寸法が最大となる部分である。
プランジャ5の外径寸法、すなわち最大径部53の外径寸法D2は、シリンダ4の筒状部41の内径寸法D1よりも小さい。
外径寸法D2は、内径寸法D1に対し、例えば、0.5~1.0mm程度小さく設定されている。
これにより、シリンダ4の筒状部41の内周面41fと、プランジャ5の最大径部53の外周面53fとの間には、軸方向Daに交差する径方向において、クリアランスCが形成されている。
【0017】
(ディスペンサ本体の構成)
ディスペンサ本体2は、カートリッジ収容部21と、空圧供給部22と、トリガー23と、を主に備えている。
【0018】
カートリッジ収容部21は、カートリッジ3を収容可能に構成されている。
カートリッジ収容部21は、軸方向Daに延びる円筒状に形成されている。
カートリッジ収容部21は、カートリッジ3の外径よりも僅かに大きい内径を有している。
カートリッジ収容部21の軸方向Daの第一側Da1には、ノズル孔25が、ディスペンサ本体2の外部とカートリッジ収容部21とを連通するよう形成されている。
ノズル孔25は、カートリッジ収容部21の内径よりも小径に形成されている。
ノズル孔25には、ノズル取付部43が挿通される。
ノズル取付部43は、ノズル孔25を通してディスペンサ本体2の外部に突出する。
【0019】
カートリッジ収容部21は、軸方向Daの第二側Da2に向けて開口部21aを有している。
カートリッジ3は、開口部21aを通して、カートリッジ収容部21内に着脱可能に装填される。
開口部21aは、着脱可能な蓋体26によって閉塞される。
【0020】
空圧供給部22は、カートリッジ収容部21に装填されたカートリッジ3のシリンダ4内に空圧を供給する。
空圧供給部22は、圧縮空気を供給する圧縮機等の供給源27と、供給源27に接続された供給配管28と、を備えている。
空圧供給部22として、例えば工場エアを用いるようにしてもよい。
供給配管28は、蓋体26を貫通し、シリンダ4内において、プランジャ5に対して軸方向Daの第二側Da2に空圧を供給するよう、ディスペンサ本体2に接続されている。
【0021】
トリガー23は、供給配管28に設けられた弁(図示無し)を開閉操作する。
トリガー23は、作業者の操作により、供給配管28を通じた空圧の供給を断続する。
トリガー23は、作業者の操作によりその開度が調整されることによって、供給配管28を通じた空圧の供給量を調整する。
【0022】
このような空圧ディスペンサ1においては、予め、カートリッジ3のシリンダ4内において、プランジャ5に対して軸方向Daの第一側Da1に粘性材料Sを充填しておく。
作業者は、このカートリッジ3を、ディスペンサ本体2のカートリッジ収容部21に装填する。
作業者は、ノズル取付部43に、必要に応じて、粘性材料Sを所定の対象部位に塗布又は充填するのに適したノズル(図示無し)を取り付ける。
作業者は、ノズル(図示無し)を対象部位に近接または押し当てた状態で、トリガー23を操作する。すると、供給源27から供給される圧縮空気が、供給配管28を通してカートリッジ3のシリンダ4内に送り込まれ、その空圧により、プランジャ5がシリンダ4内で軸方向Daの第一側Da1に押し込まれる。
これにより、シリンダ4内の粘性材料Sが、吐出口43hを通して押し出され、所定の対象部位に塗布または充填される。
【0023】
シリンダ4の内周面41fとプランジャ5の最大径部53の外周面53fとの間には、クリアランスCが形成されている。
図2に示すように、空圧によりプランジャ5がシリンダ4内で軸方向Daの第一側Da1に移動すると、外周面53fの外周側のクリアランスCの部分に、粘性材料Sがシリンダ4の内周面41fに付着した状態で残る。つまり、シリンダ4の内周面41fとプランジャ5の最大径部53の外周面53fとの間のクリアランスCは、粘性材料Sが充填された状態となる。
プランジャ5は、外周側の粘性材料Sによって、シリンダ4の中心部に位置するよう保持される。これにより、クリアランスCは、軸方向Da回りの周方向の全周にわたって連続している。
【0024】
(作用効果)
本実施形態では、カートリッジ3は、プランジャ5が球体状である。したがって、プランジャ5が筒状である場合に比較し、シリンダ4とプランジャ5との間に入り込む粘性材料Sから受ける応力の集中が起きにくい。その結果、プランジャ5にひび割れ等の損傷が生じるのを抑え、カートリッジ3の耐久性を高めることができる。また、空圧によってプランジャ5が押されてシリンダ4内で移動する際、プランジャ5が回転しても、プランジャ5がシリンダ4と干渉することが抑えられる。これにより、プランジャ5の動きが阻害されたり、プランジャ5やシリンダ4に無用な応力が作用したりすることが抑えられる。したがって、プランジャ5やシリンダ4の摩耗や損傷が抑えられる。
また、このように応力の集中が起きにくいカートリッジ3を用いることで、耐久性に優れた空圧ディスペンサ1を構成することができる。
【0025】
また、球体状のプランジャ5は、拡径部51、縮径部52、及び拡径部51と縮径部52との間の最大径部53を有したものとなる。これにより、プランジャ5は、軸方向Daの一部の最大径部53の近傍でのみ、その外周面53fがシリンダ4の内周面41fに近接する。このため、例えば粘性材料Sにエアが混入している場合、エアがシリンダ4の内周面41fとプランジャ5の最大径部53とのクリアランスCを通して逃げやすくなる。また、プランジャ5がシリンダ4内で軸方向Daに進退する際、シリンダ4の内周面41fに付着した粘性材料Sから受ける抵抗が小さく、プランジャ5を進退させやすくなる。
【0026】
また、シリンダ4の内面42fを、半球状に形成することで、プランジャ5をシリンダ4内で軸方向Daの第一側Da1に押し込んだ場合、プランジャ5の半球状の拡径部51と半球状の内面42fとの隙間が小さくなる。つまり、粘性材料Sがシリンダ4内に残るのを抑えることができ、粘性材料Sの歩留まりが向上する。また、シリンダ4の軸方向Daの第一側Da1の端部に応力集中が起きにくくなる。
【0027】
また、シリンダ4の内周面41fとプランジャ5の外周面53fとの間に、周方向の全周にわたって連続するクリアランスCが形成されている。これにより、シリンダ4内の粘性材料Sが、シリンダ4の内周面41fとプランジャ5の外周面53fとの間のクリアランスCに入り込む。したがって、プランジャ5を挟んで軸方向Daの第二側Da2から第一側Da1にエアが入り込みにくくなる。
【0028】
また、プランジャ5が中実であることによって、プランジャ5に対する応力集中が、より一層生じにくくなる。
【0029】
また、プランジャ5の外面を凹凸のない滑らかに形成することで、プランジャ5に対する応力集中が、より一層生じにくくなる。また、プランジャ5とシリンダ4との干渉によってプランジャ5の摩耗等が生じることが抑えられる。
【0030】
上記実施形態では、プランジャ5を球体状としたが、これに限られない。プランジャ5は、例えば、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状等としてもよい。それらの場合、プランジャ5は、中空であってもよいし、中実であってもよい。また、例えば、プランジャ5を多面体状とする場合、シリンダ4を、多面体状のプランジャ5に対応した多角形状に構成してもよい。
【0031】
上記実施形態において、プランジャ5の重心位置を偏心させるようにしてもよい。これには、例えば、図3に示すように、プランジャ5内に、比重がプランジャ5を形成する材料よりも大きい金属製の質量体Mを、プランジャ5の中心から偏心した位置に埋設してもよい。このようにして、例えば、プランジャ5の重心を、シリンダ4内で軸方向Daの第一側Da1に偏心させることで、シリンダ4内におけるプランジャ5の進退動作の安定性を高める等の作用効果が期待される。
【0032】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0033】
<付記>
実施形態に記載のカートリッジ3、及び空圧ディスペンサ1は、例えば以下のように把握される。
【0034】
(1)第1の態様に係るカートリッジ3は、空圧ディスペンサ1に装填可能なカートリッジ3であって、軸方向Daに延びる筒状で、その内部に粘性材料Sが収容可能な筒状部41、及び前記筒状部41内の粘性材料Sを吐出する吐出口43hを有したシリンダ4と、前記シリンダ4内で前記軸方向Daに進退可能に設けられ、球体状、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状のいずれか一つのプランジャ5と、を備える。
【0035】
このカートリッジ3は、プランジャ5が球体状、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状のいずれか一つである。したがって、プランジャ5が筒状である場合に比較し、シリンダ4とプランジャ5との間に入り込む粘性材料Sから受ける応力の集中が起きにくい。
【0036】
(2)第2の態様に係るカートリッジ3は、(1)のカートリッジ3であって、前記プランジャ5は、前記軸方向Daにおいて前記吐出口43h側を向く第一側Da1から前記吐出口43h側とは反対側の第二側Da2に向けて外径寸法が漸次増大する拡径部51と、前記拡径部51に対して前記軸方向Daの第二側Da2に形成され、前記軸方向Daの第一側Da1から第二側Da2に向けて外径寸法が漸次縮小する縮径部52と、前記拡径部51と前記縮径部52との間に形成された外径寸法が最大の最大径部53と、を有している。
【0037】
これにより、球体状、擬球体状、楕円球体状、及び多面体状のいずれか一つであるプランジャ5は、拡径部51、縮径部52、及び拡径部51と縮径部52との間の最大径部53を有したものとなる。これにより、プランジャ5が筒状ではなくなる。プランジャ5は、最大径部53の近傍でのみ、その外周面53fがシリンダ4の内周面41fに近接する。このため、例えば粘性材料Sにエアが混入している場合、エアがシリンダ4の内周面41fとプランジャ5の最大径部53とのクリアランスCを通して逃げやすくなる。また、プランジャ5がシリンダ4内で軸方向Daに進退する際、シリンダ4の内周面41fに付着した粘性材料Sから受ける抵抗が小さく、プランジャ5を進退させやすくなる。
【0038】
(3)第3の態様に係るカートリッジ3は、(1)又は(2)のカートリッジ3であって、前記シリンダ4の前記軸方向Daの第一側Da1の内面42fは、半球状に形成されている。
【0039】
これにより、シリンダ4の軸方向Daの第一側Da1の内面42fを、半球状に形成することで、プランジャ5をシリンダ4内で軸方向Daの第一側Da1に押し込んだ場合、プランジャ5と半球状の内面42fとの隙間が小さくなる。これによって、粘性材料Sがシリンダ4内に残るのを抑えることができ、粘性材料Sの歩留まりが向上する。また、シリンダ4の軸方向Daの第一側Da1の端部に応力集中が起きにくくなる。
【0040】
(4)第4の態様に係るカートリッジ3は、(1)から(3)のいずれか一つのカートリッジ3であって、前記シリンダ4の内周面41fと前記プランジャ5の外周面53fとの間に、前記軸方向Daを中心とする周方向の全周にわたって連続するクリアランスCが形成されている。
【0041】
これにより、シリンダ4内の粘性材料Sが、シリンダ4の内周面41fとプランジャ5の外周面53fとの間のクリアランスCに入り込む。これにより、シリンダ4の内周面41fとプランジャ5の外周面53fとの間のシール性が高まる。したがって、プランジャ5を挟んで軸方向Daの第二側Da2から第一側Da1にエアが入り込みにくくなる。
【0042】
(5)第5の態様に係るカートリッジ3は、(1)から(4)のいずれか一つのカートリッジ3であって、前記プランジャ5は、中実である。
【0043】
これにより、プランジャ5が中実であることによって、プランジャ5に対する応力集中が、より一層生じにくくなる。
【0044】
(6)第6の態様に係るカートリッジ3は、(1)から(5)のいずれか一つのカートリッジ3であって、前記プランジャ5の外面は、滑らかに形成されている。
【0045】
これにより、プランジャ5の外面を凹凸のない滑らかに形成することで、プランジャ5に対する応力集中が、より一層生じにくくなる。
【0046】
(7)第7の態様に係るカートリッジ3は、(1)から(6)のいずれか一つのカートリッジ3であって、前記プランジャ5の重心位置が偏心している。
【0047】
これにより、シリンダ4内におけるプランジャ5の進退動作の安定性を高めることができる。
【0048】
(8)第8の態様に係る空圧ディスペンサ1は、(1)から(7)のいずれか一つのカートリッジ3と、前記カートリッジ3を収容可能なカートリッジ収容部21と、前記カートリッジ収容部21に収容された前記カートリッジ3に空圧を供給し、前記シリンダ4内で前記プランジャ5を前記軸方向Daに沿って押し込む空圧供給部22と、を備える。
【0049】
これにより、シリンダ4とプランジャ5との間に入り込む粘性材料Sから受ける応力の集中が起きにくいカートリッジ3を用い、空圧ディスペンサ1を構成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…空圧ディスペンサ
2…ディスペンサ本体
3…カートリッジ
4…シリンダ
5…プランジャ
21…カートリッジ収容部
21a…開口部
22…空圧供給部
23…トリガー
25…ノズル孔
26…蓋体
27…供給源
28…供給配管
41…筒状部
41f…内周面
42…端壁部
42f…内面
43…ノズル取付部
43h…吐出口
51…拡径部
52…縮径部
53…最大径部
53f…外周面
C…クリアランス
D1…内径寸法
D2…外径寸法
Da…軸方向
Da1…第一側
Da2…第二側
M…質量体
S…粘性材料
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられ、前記シリンダに対して、前記軸方向を中心とする周方向以外にも回転可能な、球体状、擬球体状、及び多面体状のいずれか一つのプランジャと、を備え
前記プランジャは、前記軸方向において前記吐出口側を向く第一側から前記吐出口側とは反対側の第二側に向けて外径寸法が漸次増大する拡径部と、
前記拡径部に対して前記軸方向の第二側に形成され、前記軸方向の第一側から第二側に向けて外径寸法が漸次縮小する縮径部と、
前記拡径部と前記縮径部との間に形成された外径寸法が最大の最大径部と、を有している
カートリッジ。
【請求項2】
前記シリンダの前記軸方向の第一側の内面は、半球状に形成されている
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記シリンダの内周面と前記プランジャの外周面との間に、前記軸方向を中心とする周方向の全周にわたって連続するクリアランスが形成されている
請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記プランジャは、中実である
請求項1からのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記プランジャの外周面は、滑らかに形成されている
請求項1からのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記プランジャの重心位置が、前記プランジャの中心から偏心している
請求項1からのいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のカートリッジと、
前記カートリッジを収容可能なカートリッジ収容部と、
前記カートリッジ収容部に収容された前記カートリッジに空圧を供給し、前記シリンダ内で前記プランジャを前記軸方向に沿って押し込む空圧供給部と、を備える
空圧ディスペンサ。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられ、前記シリンダ内において移動する際に回転可能な、球体状、擬球体状、及び多面体状のいずれか一つのプランジャと、を備え、
前記プランジャは、前記軸方向において前記吐出口側を向く第一側から前記吐出口側とは反対側の第二側に向けて外径寸法が漸次増大する拡径部と、
前記拡径部に対して前記軸方向の第二側に形成され、前記軸方向の第一側から第二側に向けて外径寸法が漸次縮小する縮径部と、
前記拡径部と前記縮径部との間に形成された外径寸法が最大の最大径部と、を有している
カートリッジ。
【請求項2】
前記シリンダの前記軸方向の第一側の内面は、半球状に形成されている
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記シリンダの内周面と前記プランジャの外周面との間に、前記軸方向を中心とする周方向の全周にわたって連続するクリアランスが形成されている
請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記プランジャは、中実である
請求項1から3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記プランジャの外周面は、滑らかに形成されている
請求項1から4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記プランジャの重心位置が、前記プランジャの中心から偏心している
請求項1から5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のカートリッジと、
前記カートリッジを収容可能なカートリッジ収容部と、
前記カートリッジ収容部に収容された前記カートリッジに空圧を供給し、前記シリンダ内で前記プランジャを前記軸方向に沿って押し込む空圧供給部と、を備える
空圧ディスペンサ。