(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115516
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】車両施解錠装置及び車両施解錠方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017765
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】595163320
【氏名又は名称】株式会社コアテックシステム
(72)【発明者】
【氏名】服部憲由
(72)【発明者】
【氏名】服部有亨
(72)【発明者】
【氏名】服部陽彦
(72)【発明者】
【氏名】服部喜優
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB65
2E250CC11
2E250CC20
2E250FF27
2E250FF36
2E250GG08
2E250HH01
2E250JJ03
2E250KK03
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】従来、車両の施解錠方法は、専用のリモコンを携帯して、それを操作することでなされていた。この発明は、専用のリモコンの代わりに携帯機器を使用することを目的とする。
【解決手段】本発明の車両の車両施解錠装置1は、携帯機器2と無線通信できる無線通信部3と、車両の施解錠を制御するボディECU4と、車両の施解錠動作を行うドアロックモータ5で構成され、
車両の使用者は、携帯機器2を携帯して、車両施解錠装置1を搭載した車両から離れたり、近づいたりすることで、車両を自動的に施解錠させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも携帯機器と無線通信できる無線通信手段と車両の施解錠を制御する施解錠手段で構成され、前記携帯機器と前記無線通信手段が相互認証済である場合、
車両が施錠状態のとき、前記無線通信手段が、前記携帯機器と前記無線通信手段間の電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも強いと判断して、前記無線通信手段が、解錠動作信号を前記施解錠手段に送出することで車両のドアを解錠し、
車両が解錠状態のとき、前記無線通信手段が、前記携帯機器と前記無線通信手段間の電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも弱いと判断して、前記無線通信手段が、施錠動作信号を前記施解錠手段に送出することで車両のドアを施錠する装置において、前記電界強度の閾値を携帯機器で任意に設定可能としたことを特徴とする車両施解錠装置。
【請求項2】
前記電界強度の閾値を携帯機器で任意に設定するにあたり、解錠の閾値と施錠の閾値を個々に設定可能とした請求項1に記載の車両施解錠装置。
【請求項3】
前記無線通信手段は、複数の前記携帯機器と相互認証を可能とした請求項1または2に記載の車両施解錠装置。
【請求項4】
前記無線通信手段は、複数の前記携帯機器と相互認証している場合、前記電界強度の閾値を任意に設定するにあたり、前記閾値をそれぞれの前記携帯機器ごとに設定可能とした請求項1または2に記載の車両施解錠装置。
【請求項5】
少なくとも携帯機器と無線通信できる無線通信手段と車両の施解錠を制御する施解錠手段で構成され、前記携帯機器と前記無線通信手段が相互認証済である場合、
車両が施錠状態のとき、前記無線通信手段が、前記携帯機器と前記無線通信手段間の電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも強いと判断して、前記無線通信手段が、解錠動作信号を前記施解錠手段に送出することで車両のドアを解錠し、
車両が解錠状態のとき、前記無線通信手段が、前記携帯機器と前記無線通信手段間の電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも弱いと判断して、前記無線通信手段が、施錠動作信号を前記施解錠手段に送出することで車両のドアを施錠する方法において、前記電界強度の閾値を携帯機器で任意に設定可能としたことを特徴とする車両施解錠方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車両施解錠装置にかかり、車両の施解錠手段に携帯機器を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の施解錠方法は、専用のリモコンを操作して行うものが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
実開平5-17056
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法では、専用のリモコンを携帯して、車両を施解錠する必要があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、車両の使用者があらかじめ相互認証された携帯機器を使用して、車両を施解錠することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも携帯機器と無線通信できる無線通信手段と、車両の施解錠を制御する施解錠手段で構成され、前記携帯機器と前記無線通信手段が相互認証済である場合、
【0007】
車両が施錠状態のとき、前記無線通信手段が、前記携帯機器と前記無線通信手段間の電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも強いと判断して、前記無線通信手段が、解錠動作信号を前記施解錠手段に送出することで車両のドアを解錠し、
【0008】
車両が解錠状態のとき、前記無線通信手段が、前記携帯機器と前記無線通信手段間の電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも弱いと判断して、前記無線通信手段が、施錠動作信号を前記施解錠手段に送出することで車両のドアを施錠する装置において、前記電界強度の閾値を携帯機器で任意に設定可能としたことを特徴とする車両施解錠装置によって実現できる。
前記無線通信手段は、内部にアンテナ機能を設けてもよいし、アンテナ部を別に設けてもよい。
【0009】
携帯機器の代表的なものとして、スマートフォンが挙げられる。昨今、スマートフォンは、常に携帯されており、生活に欠かせないものといっても過言ではない。本発明は、スマートフォンを専用のリモコン代わりに使用することができる。
【0010】
前記車両施解錠装置において、解錠と施錠の前記電界強度の閾値を個々に前記携帯機器で任意に設定可能とすることにより、前記携帯機器を携帯した車両の使用者は、車両に近づいた際に解錠する使用者と車両との距離と、車両から降車して、車両から離れた際に施錠する使用者と車両との距離を別々に設定でき、使用者の使い勝手の良さを向上させることができる。例えば、使用者と車両の距離が約2mで解錠し、約5mで施錠するということが実現できる。
【0011】
前記車両施解錠装置において、前記無線通信手段は、複数の前記携帯機器と相互認証可能とすることにより、複数の使用者で、前記車両施解錠装置を搭載した車両を共有することができる。
【0012】
前記無線通信手段は、複数の前記携帯機器と相互認証している場合、前記電界強度の閾値を任意に設定するにあたり、前記閾値をそれぞれの前記携帯機器ごとに設定可能とすることで、使用者ごとに好みの距離で、車両を施解錠することができる。
【発明の効果】
【0013】
車両を施解錠する手段に携帯機器を使用するため、使用者は、リモコンキーを携帯する必要がなくなる。携帯機器の代表的なものとして、スマートフォンが挙げられる。昨今、スマートフォンは、常に携帯されており、それを利用するので、使用者の利便性が向上し、リモコンキーが要らなくなるため、車両をコストダウンすることが可能になる。
【0014】
前記車両施解錠装置を搭載した車両において、複数の使用者の携帯機器と相互認証することで、リモコンキーを複数の使用者間でやり取りする必要がなくなり、利便性が向上する。
【0015】
更にスマートフォンと車両施解錠装置は、相互認証済のため、車両の盗難防止の機能もある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態に係る車両施解錠装置の構成例を表した模式図で、無線通信手段にアンテナ機能を内蔵した場合である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態に係る車両施解錠装置の構成例を表した模式図で、無線通信手段とアンテナ部を分離した場合である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態に係る車両施解錠装置において、電界強度を携帯機器で設定する携帯機器の画面の一例である。(スライドバーで設定する場合)
【
図4】
図4は本発明の実施の形態に係る車両施解錠装置において、電界強度を携帯機器で設定する携帯機器の画面の一例である。(数値を入力して設定する場合)
【
図5】
図5は本発明の実施の形態に係る車両施解錠装置において、複数の使用者の携帯機器で操作する場合の一例である。
【
図6】
図6は第一の車両の車両施解錠方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は第二の車両の車両施解錠方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【0018】
1.車両施解錠装置1の構成例
図1は、本発明の実施の形態に係る車両施解錠装置1の構成例を表した模式図である。
図1に示す車両施解錠装置1は、一例として、携帯機器2と無線通信できる無線通信手段としての無線通信部3と、車両の施解錠を制御する施解錠手段としてのボディECU4と、車両の施解錠動作を行うドアロックモータ5で構成される。
【0019】
携帯機器2と無線通信できる無線通信部3の通信方法は、例えば、近距離無線通信規格のひとつであるBluetooth(登録商標)技術を用いてもよい。
【0020】
ボディECU4は、車両のボディ制御を行うコンピュータである。ボディECU4は、受信した解錠指令または施錠指令に基づいて、前記ドアロックモータ5を制御することで、車両のドアの施解錠を行う機能を有している。なお、ボディECU4は、パワーウインドウ制御、シート調節、盗難防止、シートベルト制御、ヘッドライト制御など、車体に関連付いた要素の制御を行う機能をさらに有していてもよい。
【0021】
ドアロックモータ5は、車両のドア(乗降用ドアやリアゲートのほか、トランクも含む)を施錠および解錠するアクチュエータである。
【0022】
上述の構成で、車両を施解錠する手段を説明する。あらかじめ、携帯機器2と無線通信できる無線通信部3は、互いに相互認証情報を登録しておく必要がある。
【0023】
車両施解錠装置1において、携帯機器2と車両の距離を検出する手段として、携帯機器2と無線通信部3のあいだの電界強度を測定することで可能になる。この電界強度をあらかじめ設定した閾値と比較することで、携帯機器2を携帯した車両の使用者が車両に近づいたか離れたか判断することができる。
【0024】
車両が施錠状態のとき、無線通信部3が、携帯機器2と無線通信部3のあいだの電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも強くなった場合、無線通信部3が、ボディECU4に解錠指令を送出する。ボディECU4が、その解錠指令を受信して、ドアロックモータ5を解錠始動する。
【0025】
車両が解錠状態のとき、無線通信部3が、携帯機器2と無線通信部3のあいだの電界強度が、あらかじめ設定した閾値よりも弱くなった場合、無線通信部3が、ボディECU4に施錠指令を送出する。ボディECU4が、その施錠指令を受信して、ドアロックモータ5を施錠始動する。
【0026】
上述の施錠条件に、エンジンが停止状態、全ドアが閉状態であることを加えてもよい。また、その条件を加えた場合、エンジンが停止状態、全ドアが閉状態であることのいずれかを満たさない場合、ブザー等を鳴動させて警告してもよい。
【0027】
前記無線通信部3は、
図1のように内部にアンテナ機能を内蔵してもよいし、
図2のようにアンテナ部8を別に設けてもよい。
無線通信部3やアンテナ部8は、車両施解錠装置1と有線で接続し、車両施解錠装置1と分離することも可能である。分離することで、無線通信部3やアンテナ部8を無線通信環境のよい位置に設置でき、安定した電界強度が確保できる。
【0028】
2.
図3は、車両施解錠装置1において、電界強度の閾値を携帯機器2で設定する携帯機器2の画面例である。
携帯機器2に携帯機器2と無線通信部3またはアンテナ部8との反応距離を指等でスライドバーをスライドして設定する。
図3の左図は、施解錠共通の閾値を設定する画面例である。
施解錠共通の閾値を使用する場合、ヒステリシスを考慮して制御してもよい。
図3の右図は、施解錠の閾値を個々に設定する画面例である。
【0029】
2.
図4は、車両施解錠装置1において、電界強度の閾値を携帯機器2で設定する携帯機器2の画面例である。
携帯機器2に携帯機器2と無線通信部3またはアンテナ部8との反応距離を数値で表し、数値を入力して設定する。
図4の左図は、施解錠共通の閾値を設定する画面例である。
図4の右図は、施解錠の閾値を個々に設定する画面例である。
【0030】
前記閾値を可変にすることで、車両の使用者は、どこまで近づけば解錠し、どこまで離れれば施錠できるか設定でき、使用者の使い勝手の良さを向上させることができる。また、多様な前記携帯機器2の電波出力のばらつきを吸収でき、安定した動作環境が実現できる。
【0031】
車両の使用者によって携帯機器2で設定された閾値を無線通信で無線通信部3に送信し、無線通信部3は、その閾値を保存し、携帯機器2と無線通信部3またはアンテナ部8との電界強度を前記閾値と比較することで、施錠指令または解錠指令をボディECU4に送出する。前記閾値は、無線通信部3以外に保存してもよい。
【0032】
図5は、車両施解錠装置1を内蔵した車両の3人の使用者が、それぞれ携帯機器2a、2b、2cを使用して、車両施解錠装置1を共有する構成例を表した模式図である。複数の使用者の携帯機器2と無線通信部3がそれぞれ相互認証することで、複数の使用者が、車両を共有することができる。
【0033】
また、それぞれの携帯機器2において、携帯機器2ごとに携帯機器2と無線通信部3またはアンテナ部8との電界強度の閾値を
図3または
図4のように設定できるようにすることで、使用者ごとに最適な距離で車両を施解錠することができる。
【0034】
図6は、車両の車両施解錠方法を説明するための、第一のボディECU4の制御フローチャートである。
先ず、ステップST1(以下、ステップを省略)において、車両の施錠状態を判断する。
【0035】
車両が施錠状態の場合、ST2に移行し、無線通信部3から解錠指令があるか判断する。解錠指令がない場合はリターンする。解錠指令がある場合はST3に移行する。ST3において、ドアロックモータ5を制御して、車両のドアを解錠し、リターンする。
上述の解錠指令は、無線通信部3が、携帯機器2と無線通信部3の間の電界強度を設定された閾値と比較し、電界強度が強いと判断したときに送出するものである。
【0036】
ST1において、車両が施錠状態でない場合、ST4に移行し、無線通信部3から施錠指令があるか判断する。施錠指令がない場合はリターンする。施錠指令がある場合はST5に移行する。ST5において、ドアロックモータ5を制御して、車両のドアを施錠し、リターンする。
【0037】
図7は、車両の車両施解錠方法を説明するための、第二のボディECU4の制御フローチャートである。
先ず、ステップST11において、車両の施錠状態を判断する。
【0038】
車両が施錠状態の場合、ST12に移行し、無線通信部3から解錠指令があるか判断する。解錠指令がない場合はリターンする。解錠指令がある場合はST13に移行する。ST13において、ドアロックモータ5を制御して、車両のドアを解錠し、リターンする。前述の解錠指令は、無線通信部3が、携帯機器2と無線通信部3の間の電界強度を設定された閾値と比較し、電界強度が強いと判断したときに送出するものである。
【0039】
ST11において、車両が施錠状態でない場合、ST14に移行し、無線通信部3から施錠指令があるか判断する。施錠指令がない場合はリターンする。施錠指令がある場合はST15に移行する。
【0040】
ST15において、イグニッションキーオフ状態(イグニッション電源およびアクセサリ電源ともにオフ)か確認し、オフ状態でないと判断した場合リターンする。この場合、ブザー等を鳴動させて警告してもよい。オフ状態であると判断した場合は、ST16に移行する。
【0041】
ST16において、車両の全ドアが閉状態か確認し、閉状態でないと判断した場合リターンする。この場合、ブザー等を鳴動させて警告してもよい。閉状態であると判断した場合は、ST17に移行する。ST17において、ドアロックモータ5を制御して、車両のドアを施錠し、リターンする。
【符号の説明】
【0042】
1 車両施解錠装置
2 携帯機器
2a 携帯機器1
2b 携帯機器2
2c 携帯機器3
3 無線通信部
4 ボディECU
5 ドアロックモータ
8 アンテナ部