(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115521
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】巻取装置および印刷システム
(51)【国際特許分類】
B65H 23/195 20060101AFI20230814BHJP
B41J 15/16 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
B65H23/195
B41J15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017772
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】森上 敬之
(72)【発明者】
【氏名】今泉 清将
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌義
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】楊 将貴
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健太
(72)【発明者】
【氏名】遠山 雄太
【テーマコード(参考)】
2C060
3F105
【Fターム(参考)】
2C060CA11
2C060CB31
3F105AA02
3F105AB04
3F105BA18
3F105CA05
3F105DA09
3F105DA19
(57)【要約】
【課題】巻取装置に関する無駄な動作を削減する。
【解決手段】巻取装置50は、幅方向Yに延び、媒体5を巻き取る巻取バー51と、巻取バー51を回転させる駆動源52と、幅方向Yに延びた回動軸66と、回動軸66に接続された支持アーム62と、幅方向Yに延び、支持アーム62に支持され、回動軸66を中心に揺動自在であり、かつ、巻取バー51に向かう媒体5に張力を与えることが可能なテンションバー61と、テンションバー61が媒体5に張力を付与しない未使用位置P1にテンションバー61が配置されていることを検出する第1センサ71と、制御装置80と、を備える。制御装置80は、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているか否かを判定する第1判定部85と、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定されたとき、駆動源52の駆動を禁止する禁止部91と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を印刷するプリンタにおいて、前記媒体を巻き取る巻取装置であって、
前記媒体の幅方向に延び、前記媒体を巻き取る巻取バーと、
前記巻取バーの中心軸を中心にして前記巻取バーを回転させる駆動源と、
前記幅方向に延びた回動軸と、
前記回動軸に接続された支持アームと、
前記幅方向に延び、前記支持アームに支持され、前記回動軸を中心に揺動自在であり、かつ、前記巻取バーに向かう前記媒体に張力を与えることが可能なテンションバーと、
前記テンションバーが前記媒体に張力を付与しない未使用位置に前記テンションバーが配置されていることを検出する第1センサと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1センサによって前記テンションバーが前記未使用位置に配置されているか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていると判定されたとき、前記駆動源の駆動を禁止する禁止部と、
を備えた、巻取装置。
【請求項2】
前記テンションバーの揺動に合わせて位置が変更される被検出部材を備え、
前記第1センサは、前記被検出部材の位置に基づいて前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていることを検出する、請求項1に記載された巻取装置。
【請求項3】
前記テンションバーの揺動に合わせて位置が変更される被検出部材を備え、
前記第1センサは、前記被検出部材が検出範囲に配置されているときに、前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていることを検出する、請求項1に記載された巻取装置。
【請求項4】
前記テンションバーが前記媒体に張力を付与しているときの前記テンションバーの位置を、使用位置としたとき、
前記使用位置のとき、前記テンションバーは、前記未使用位置と比較して、前記巻取バーに向かう前記媒体側に傾いて配置されている、請求項1から3までの何れか1つに記載された巻取装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1判定部によって前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていると判定されたとき、前記駆動源の駆動を禁止する禁止モードであることをユーザに通知する第1通知部を備えた、請求項1から4までの何れか1つに記載された巻取装置。
【請求項6】
表示画面を備え、
前記第1通知部は、前記禁止モードであることを前記表示画面に表示する、請求項5に記載された巻取装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1判定部によって前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていないと判定されたとき、前記駆動源の駆動を許可する許可モードであることをユーザに通知する第2通知部を備えた、請求項1から4までの何れか1つに記載された巻取装置。
【請求項8】
表示画面を備え、
前記第2通知部は、前記許可モードであることを前記表示画面に表示する、請求項7に記載された巻取装置。
【請求項9】
前記テンションバーが前記媒体に対して基準張力値以上の張力を付与している巻取開始位置に前記テンションバーが配置されていることを検出する第2センサを備え、
前記制御装置は、
前記第2センサによって前記テンションバーが前記巻取開始位置に配置されているか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部によって前記テンションバーが前記巻取開始位置に配置されていると判定されたとき、前記駆動源の駆動を開始する駆動制御部と、
を備えた、請求項1から8までの何れか1つに記載された巻取装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか1つに記載された巻取装置と、
前記巻取装置が設けられたプリンタと、
を備え、
前記プリンタは、印刷時に前記媒体を支持する支持台を備え、
前記巻取バーは、印刷後の前記媒体を巻き取る、印刷システム。
【請求項11】
前記プリンタは、プリンタ制御装置を備え、
前記巻取装置の前記制御装置は、前記プリンタ制御装置と通信可能な通信部を備え、
前記禁止部は、前記通信部が前記プリンタ制御装置から指令を受信したときであっても、前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていると判定されたときには、前記駆動源の駆動を禁止する、請求項10に記載された印刷システム。
【請求項12】
前記プリンタは、プリンタ制御装置を備え、
前記巻取装置の前記制御装置は、前記プリンタ制御装置と通信可能な通信部を備え、
前記禁止部は、前記通信部が前記プリンタ制御装置から、前記駆動源の駆動を開始する駆動開始指令を受信したときであっても、前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていると判定されたときには、前記駆動源の駆動を禁止する、請求項10に記載された印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置および印刷システムに関する。詳しくは、本発明は、媒体を巻き取る巻取装置、および、巻取装置とプリンタとを備えた印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、印刷後に媒体をロール状に巻き取るプリンタが開示されている。上記プリンタは、印刷時に媒体を支持するプラテンと、印刷後の媒体を巻き取る巻取装置とを備えている。巻取装置は、媒体をロール状に巻き取る巻取バーと、プラテンから巻取バーに向かう媒体に張力を与えるテンションバーとを備えている。テンションバーは、棒状のアーム部の一端に支持され、アーム部の他端には、揺動軸が設けられている。テンションバーは、揺動軸を軸に揺動可能に構成されており、自重によって下方に揺動することで、媒体に張力を与えることができる。
【0003】
揺動軸には、検出片が設けられている。揺動軸の周囲には、第1センサと、第2センサとが設けられている。検出片は、テンションバーの揺動に伴って位置が変更される。第1センサおよび第2センサは、検出片の位置を検出することで、テンションバーの揺動位置を検出する。ここで、プリンタは、媒体をプラテンから巻取バーに向かって搬送する搬送機構と、巻取バーに接続され、巻取バーを回転させる駆動機構と、を備えている。第1センサおよび第2センサによって検出されたテンションバーの揺動位置に基づいて、媒体を巻取バーに搬送する制御や、巻取バーを回転させて、媒体を巻取バーに巻き取らせる制御が行われる。
【0004】
また、特許文献2には、媒体の巻き取り動作の開始と停止の指示をユーザが行うためのスイッチが設けられた巻取装置が開示されている。スイッチは、開始スイッチと、停止スイッチとを有している。ユーザが開始スイッチを押すことで、媒体の巻き取り動作が開始され、停止スイッチを押すことで、媒体の巻き取り動作が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6820221号公報
【特許文献2】特開2017-30911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されたプリンタに対して、特許文献2に開示されたような巻取装置のスイッチが設けられることがあり得る。この場合、テンションバーの位置に関わらず、開始スイッチをユーザが押すことで、駆動モータを駆動させて、巻取バーによる巻き取り動作を開始することが可能になる。そのため、例えば巻取バーによる媒体の巻き取りの必要がない場合であっても巻き取り動作を開始することが可能であったため、巻取装置に関する無駄な動作が行われることがあった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、巻取装置に関する無駄な動作を削減することが可能な巻取装置および印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る巻取装置は、媒体を印刷するプリンタにおいて、前記媒体を巻き取る巻取装置である。前記巻取装置は、巻取バーと、駆動源と、回動軸と、支持アームと、テンションバーと、第1センサと、制御装置を備えている。前記巻取バーは、前記媒体の幅方向に延び、前記媒体を巻き取る。前記駆動源は、前記巻取バーの中心軸を中心にして前記巻取バーを回転させる。前記回動軸は、前記幅方向に延びている。前記支持アームは、前記回動軸に接続されている。前記テンションバーは、前記幅方向に延び、前記支持アームに支持され、前記回動軸を中心に揺動自在であり、かつ、前記巻取バーに向かう前記媒体に張力を与えることが可能なものである。前記第1センサは、前記テンションバーが前記媒体に張力を付与しない未使用位置に前記テンションバーが配置されていることを検出する。前記制御装置は、前記第1センサによって前記テンションバーが前記未使用位置に配置されているか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部によって前記テンションバーが前記未使用位置に配置されていると判定されたとき、前記駆動源の駆動を禁止する禁止部と、を備えている。
【0009】
本発明に係る巻取装置によれば、テンションバーが未使用位置に配置されているとき、媒体が巻取バーに巻き取られることがない状態であり、巻取装置は、使用されていない状態である。ここでは、テンションバーが未使用位置のときには、駆動源の駆動が禁止されるため、巻取バーが回転することがなく、巻取装置に関する無駄な動作を削減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、巻取装置に関する無駄な動作を削減することが可能な巻取装置および印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る印刷システムを示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る印刷システムを示す右側面図である。
【
図3】実施形態に係る印刷システムのブロック図である。
【
図4】テンションバーが未使用位置に配置されている状態を示す巻取装置の右側面図である。
【
図5】テンションバーが巻取終了位置に配置されている状態を示す巻取装置の右側面図である。
【
図6】テンションバーが巻取開始位置に配置されている状態を示す巻取装置の右側面図である。
【
図7】テンションバーが未使用位置に配置されているときの制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】禁止モードのときに表示画面に表示される禁止モード画像を示す図である。
【
図9】媒体の巻き取りの開始と終了を判定する制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】第1許可モードのときに表示画面に表示される第1許可モード画像を示す図である。
【
図11】第2許可モードのときに表示画面に表示される第2許可モード画像を示す図である。
【
図12】第1撓みモードのときに表示画面に表示される第1撓みモード画像を示す図である。
【
図13】第2撓みモードのときに表示画面に表示される第2撓みモード画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0013】
図1は、本実施形態に係る巻取装置50と、プリンタ10とを備えた印刷システム100を示す斜視図である。
図2は、印刷システム100を示す右側面図である。
図3は、印刷システム100のブロック図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ印刷システム100の前、後、左、右、上、下を示している。符号X、Y、Zは、それぞれ前後方向、左右方向、上下方向を示している。ただし、これら方向は説明の便宜上に定めた方向に過ぎず、印刷システム100の設置態様を何ら限定するものではない。
【0014】
本実施形態では、
図1に示すように、印刷システム100は、プリンタ10と、巻取装置50とを備えている。以下、プリンタ10、巻取装置50の順に説明する。
【0015】
プリンタ10は、例えばインクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、媒体5に印刷を行う。媒体5は、例えばロール状の記録紙である。媒体5は、巻取装置50の後述する巻取バー51に巻き取られることが可能な形状のものであればよく、記録紙に限定されない。媒体5は、例えば樹脂製のシートやフィルム、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
【0016】
図2に示すように、プリンタ10は、左右方向Yに延びたケーシング(図示せず)を有するプリンタ本体11と、プリンタ本体11に設けられたプラテン12とを備えている。プラテン12は、本発明の支持台の一例である。プラテン12は、印刷時に媒体5を支持する。本実施形態では、媒体5がプラテン12に載置されている。プラテン12は、前後方向Xおよび左右方向Yに広がったものである。
【0017】
プリンタ10は、ガイドレール14と、キャリッジ16と、インクヘッド18とを備えている。ガイドレール14は、プラテン12の上方に配置されており、図示は省略するが左右方向Yに延びている。キャリッジ16は、ガイドレール14に係合しており、ガイドレール14に沿って左右方向Yに移動可能である。
【0018】
インクヘッド18は、キャリッジ16に設けられており、キャリッジ16と共に左右方向Yに移動可能である。インクヘッド18は、下方に向かって開口した複数のノズル(図示せず)を有し、当該ノズルからインクを吐出する。インクヘッド18は、プラテン12に支持された媒体5に向かってインクを吐出する。
【0019】
プリンタ10は、プラテン12に支持された媒体5を前後方向Xに搬送する搬送機構20と、キャリッジ16およびインクヘッド18を左右方向Yに移動させるヘッド移動機構25(
図3参照)とを備えている。搬送機構20は、
図2に示すように、プラテン12に設けられたグリットローラ21と、グリットローラ21と共に媒体5を挟むピンチローラ22と、グリットローラ21に接続されたフィードモータ(図示せず)とを備えている。フィードモータが駆動してグリットローラ21が回転すると、媒体5は前後方向Xに搬送される。
【0020】
図3に示すヘッド移動機構25は、図示は省略するが、ガイドレール14の左右の両端部の周辺に設けられた左右のプーリと、左右のプーリに巻き掛けられたベルトと、右のプーリに接続されたキャリッジモータとを備えている。ベルトには、キャリッジ16が固定されている。キャリッジモータが駆動することで、キャリッジモータに接続された右のプーリが回転し、左右のプーリに巻き掛けられたベルトが走行する。このことで、キャリッジ16およびインクヘッド18は左右方向Yに移動する。
【0021】
図2に示すように、プリンタ10は、プラテン12に媒体5を供給する供給ユニット30を備えている。供給ユニット30は、プラテン12の後方かつ下方に配置されている。供給ユニット30は、左右一対の支持板32と、支持板32からプリンタ10の中心に向かうように左右方向Yに延びた左右一対の供給軸31を有している。なお、
図2では、右側の支持板32および右側の供給軸31が図示されているが、左側の支持板32および左側の供給軸31の図示は省略されている。図示は省略するが、一対の供給軸31はそれぞれ離間するように左右方向Yに延びている。一対の供給軸31に、印刷前のロール状の媒体5が取り付けられる。搬送機構20によって媒体5が前方に搬送されると、一対の供給軸31に取り付けられたロール状の媒体5が、一対の供給軸31からプラテン12に向かって送り出される。
【0022】
図3に示すように、プリンタ10は、プリンタ制御装置40を備えている。プリンタ制御装置40は、媒体5への印刷に関する制御を行う装置である。プリンタ制御装置40の構成は特に限定されない。プリンタ制御装置40は、例えばマイクロコンピュータである。プリンタ制御装置40は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。プリンタ制御装置40は、プリンタ本体11の内部に設けられている。
【0023】
プリンタ制御装置40は、例えば搬送機構20、ヘッド移動機構25、および、インクヘッド18と通信可能に接続されている。プリンタ制御装置40は、搬送機構20、ヘッド移動機構25、および、インクヘッド18を制御するように構成されている。
【0024】
次に、巻取装置50について説明する。
図2に示すように、巻取装置50は、媒体5を巻き取る装置である。ここでは、巻取装置50は、プラテン12に支持された媒体5をロール状に巻き取る装置である。言い換えると、巻取装置50は、プリンタ10においてプラテン12上で印刷された印刷後の媒体5をロール状に巻き取る装置である。ここでは、
図2に示すように、巻取装置50は、プリンタ本体11の前下部に設けられている。巻取装置50は、プラテン12よりも下方であって、供給ユニット30よりも下方、かつ、前方に配置されている。
【0025】
図1に示すように、巻取装置50は、巻取バー51と、駆動源52と、左右一対の支持板54と、を備えている。巻取バー51は、媒体5を巻き取るものである。巻取バー51は、左右方向Yに延びている。本実施形態では、左右方向Yは幅方向の一例である。巻取バー51は、例えば円筒形状または円柱形状に形成されている。媒体5は、巻取バー51の周面に巻き取られる。一対の支持板54は、巻取バー51を軸支するものである。一対の支持板54は、左支持板54Lと、右支持板54Rとを備えている。左支持板54Lと右支持板54Rとには、左右方向Yに延びた前後一対のレール55が架け渡されている。巻取バー51の左端部は、左支持板54Lに回転可能に支持されている。巻取バー51の右端部は、右支持板54Rに回転可能に支持されている。一対の支持板54の少なくとも一方は、レール55に沿ってレール55の長手方向(ここでは左右方向Y)に移動可能に構成されている。このことによって、巻取バー51の長手方向(ここでは左右方向Y)において長さが異なる媒体5に対応することができる。
【0026】
駆動源52は、巻取バー51の中心軸A1(
図2参照)を中心にして巻取バー51を回転させる。中心軸A1は、左右方向Yに延びた軸である。駆動源52は、巻取バー51に連結されている。駆動源52は、図示しない減速ギアなどを介して巻取バー51に間接的に接続されている。駆動源52とは、例えばモータである。本実施形態では、プラテン12上で印刷された媒体5は前方に搬送される。巻取バー51は、駆動源52の駆動力を受けて中心軸A1を中心に回転することで、プラテン12上で印刷された媒体5を巻取バー51の周面に巻き取る。
【0027】
本実施形態では、
図1に示すように、巻取装置50は、テンションバー61と、一対の支持アーム62と、一対の支持部材65と、一対の回動軸66(
図2も参照)とを備えている。テンションバー61は、プラテン12から巻取バー51に向かう媒体5に張力を与えることが可能なものである。このことで、プラテン12から前方に搬送された媒体5は、張った状態で巻取バー51に搬送される。テンションバー61は、左右方向Yに延びている。言い換えると、テンションバー61の中心軸は、左右方向Yに延びている。テンションバー61は、供給ユニット30の供給軸31と平行に配置され、かつ、巻取バー51と平行に配置されている。テンションバー61は、筒状(詳しくは円筒状)また円柱形状のものである。
【0028】
図1に示すように、一対の支持アーム62は、テンションバー61を支持するものである。ここでは、支持アーム62は、棒状である。一対の支持アーム62は、左右方向Yに並んで配置されている。以下の説明では、左側に配置された支持アーム62のことを左支持アーム62Lともいう。右側に配置された支持アーム62のことを右支持アーム62Rともいう。左支持アーム62Lは、テンションバー61の左端部を支持する。右支持アーム62Rは、テンションバー61の右端部を支持する。テンションバー61は、左支持アーム62Lの一端部(ここでは上端部)、および、右支持アーム62Rの一端部(ここでは上端部)に接続されている。
【0029】
本実施形態では、一対の回動軸66は、一対の支持アーム62に接続されている。一対の回動軸66は、左右方向Yに延びている。また、一対の回動軸66は左右方向Yに並んで配置されており、互いが離間している。ここでは、左支持アーム62Lに接続された回動軸66を左回動軸66Lともいう。右支持アーム62Rに接続された回動軸66を右回動軸66R(
図2参照)ともいう。左回動軸66Lは、左支持アーム62Lの他端部(ここでは下端部)に接続されている。右回動軸66Rは、右支持アーム62Rの他端部(ここでは下端部)に接続されている。
【0030】
本実施形態では、左支持アーム62Lおよび右支持アーム62Rは、支持部材65に支持されている。支持部材65は、左支持部材65Lと右支持部材65Rとを備えている。左支持部材65Lおよび右支持部材65Rは、プリンタ本体11に対して固定されるものである。棒状の左支持アーム62Lの一端部は、テンションバー61の左端部を支持しており、左支持アーム62Lの他端部は、左支持部材65Lに支持されている。ここでは、左支持部材65Lには、左回動軸66Lが接続されており、左回動軸66Lは、左支持部材65Lから右方に延び、左支持アーム62Lに接続されている。左支持アーム62Lは、左回動軸66Lおよび左支持部材65Lを介してプリンタ本体11に間接的に支持されている。
【0031】
棒状の右支持アーム62Rの一端部は、テンションバー61の右端部を支持しており、右支持アーム62Rの他端部は、右支持部材65Rに支持されている。ここでは、右支持部材65Rには、右回動軸66R(
図2参照)が接続されており、右回動軸66Rは、右支持部材65Rから左方に延び、右支持アーム62Rに接続されている。右支持アーム62Rは、右回動軸66Rおよび右支持部材65Rを介してプリンタ本体11に間接的に支持されている。
【0032】
本実施形態では、テンションバー61は、一対の回動軸66を中心に揺動自在である。ここでは、左支持アーム62L、右支持アーム62Rは、それぞれ左回動軸66L、右回動軸66Rを中心に揺動自在に構成されている。そのため、一対の支持アーム62に支持されたテンションバー61は、左回動軸66Lおよび右回動軸66Rを中心として円状の軌道で揺動される。本実施形態では、テンションバー61は、自重によって前方に傾くように揺動して、媒体5を前方かつ下方に押すことで、媒体5に対して張力を与える。このように、本実施形態では、一対の支持アーム62は、左回動軸66L、右回動軸66Rを中心に揺動自在であることで、テンションバー61を揺動自在に支持している。
【0033】
図4、
図5、
図6は、それぞれテンションバー61が未使用位置P1、巻取終了位置P4、巻取開始位置P3に配置されている状態を示す巻取装置50の右側面図である。本実施形態では、テンションバー61の揺動位置として、未使用位置P1(
図4参照)と、使用位置P2(
図5、
図6参照)とが存在する。
図4に示すように、未使用位置P1とは、テンションバー61が媒体5に張力を付与していないときのテンションバー61の揺動位置である。未使用位置P1とは、テンションバー61が媒体5に張力を与える用途して使用されていないときのテンションバー61の位置のことである。例えば未使用位置P1とは、テンションバー61が媒体5に接触していないときの位置のことである。未使用位置P1とは、巻取装置50が使用されていないときのテンションバー61の位置のことである。未使用位置P1とは、テンションバー61が支持部材65よりも上方に配置されているときの位置である。ここでは、テンションバー61の位置が未使用位置P1のとき、支持アーム62は、直立姿勢、または、直立姿勢よりも若干後方に傾いた向きになる。言い換えると、未使用位置P1とは、テンションバー61が前方に傾いていないときのテンションバー61の揺動位置である。すなわち、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているとき、支持アーム62は、前方に傾いていない向きになる。
【0034】
図5および
図6に示すように、使用位置P2とは、テンションバー61が媒体5に張力を付与しているときのテンションバー61の揺動位置である。例えば使用位置P2とは、テンションバー61が媒体5に接触しているときの位置のことである。使用位置P2とは、テンションバー61の少なくとも一部が支持部材65よりも前方に配置されているときの位置である。ここでは、テンションバー61の位置が使用位置P2のとき、支持アーム62は、前方に傾いた位置になる。言い換えると、使用位置P2とは、テンションバー61が前方に傾いたときのテンションバー61の揺動位置である。ここで、前方に傾くとは、支持アーム62の上端が、支持アーム62の下端よりも前方に配置されている状態のことをいう。本実施形態では、テンションバー61は、使用位置P2に配置されているとき、未使用位置P1と比較して、巻取バー51に向かう媒体5側(ここでは前方)に傾いて配置されている。使用位置P2は、未使用位置P1よりも範囲が広く、未使用位置P1よりも前方に位置する。使用位置P2は、未使用位置P1以外のテンションバー61の位置である。
【0035】
本実施形態では、巻取バー51に接続された駆動源52が駆動することで、巻取バー51が回転し、巻取バー51の周面に媒体5が巻き取られる。一方、駆動源52が駆動せずに停止しているときには、巻取バー51は回転しないため、巻取バー51の周面に媒体5が巻き取られない。ここでは、巻取バー51が回転せずに、プリンタ10による媒体5への印刷が行われ、プラテン12に支持された媒体5が前方に搬送されると、テンションバー61は、媒体5に張力を与えつつ、テンションバー61の自重によって回動軸66を中心に前方に向かって揺動して傾く。
【0036】
このとき、テンションバー61が前方に傾くに連れて、媒体5に与える張力の値は、大きくなる。そして、
図6に示すように、テンションバー61が前方に徐々に傾き、基準張力値以上の張力を媒体5に付与しており、使用位置P2のうちの所定の位置に配置されたとき、駆動源52が駆動し、巻取バー51が回転することで媒体5が巻取バー51に巻き取られる。巻取バー51が媒体5を巻き取ることで、
図5に示すように、テンションバー61が徐々に上方に移動することになる。このとき、媒体5に与える張力の値は、徐々に小さくなる。そして、テンションバー61が、使用位置P2のうちの所定の他の位置に配置されたとき、駆動源52が停止し、巻取バー51の回転が停止することで巻取バー51の周面に媒体5が巻き取られなくなる。その後、プラテン12に支持された媒体5が前方に搬送されることで、
図6に示すように、テンションバー61は前方に徐々に傾いていく。このように、プリンタ10が媒体5に印刷している間、テンションバー61は、媒体5に張力を与えつつ、回動軸66を中心に前後方向Xに揺動しながら、巻取バー51に媒体5が適宜巻き取られる。
【0037】
本実施形態では、
図6に示すように、テンションバー61が媒体5に付与する張力が基準張力値以上であり、駆動源52の駆動が開始するときのテンションバー61の揺動位置、すなわち巻取バー51の回転が開始するときのテンションバー61の揺動位置(ここでは、上記の所定の位置)のことを巻取開始位置P3という。また、
図5に示すように、駆動している駆動源52が停止する、すなわち回転している巻取バー51の回転が停止するときのテンションバー61の揺動位置(ここでは、上記の所定の他の位置)のことを巻取終了位置P4という。ここで、巻取開始位置P3および巻取終了位置P4は、使用位置P2のうちの任意の位置である。
図5および
図6に示すように、巻取開始位置P3は、巻取終了位置P4よりもテンションバー61が前方かつ下方に配置されている。すなわち、巻取開始位置P3は、巻取終了位置P4よりもテンションバー61が前方に傾いている。例えばプリンタ10で印刷する前に、ユーザはテンションバー61を未使用位置P1から巻取開始位置P3に移動させる。その後、印刷が開始される。
【0038】
本実施形態では、
図6に示すように、巻取装置50は、第1センサ71と、第2センサ72と、被検出部材73とを備えている。
図4に示すように、第1センサ71は、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていることを検出するセンサである。ここでは、第1センサ71によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されていることが検出されないときには、テンションバー61は使用位置P2に配置されていることになる。
図6に示すように、第2センサ72は、テンションバー61が巻取開始位置P3に配置されていることを検出するセンサである。
【0039】
本実施形態では、被検出部材73は、テンションバー61の揺動に合わせて位置が変更されるものである。被検出部材73は、回動軸66(詳しくは右回動軸66R)に接続されており、支持部材65(ここでは右支持部材65R)におけるテンションバー61と反対側の面(ここでは右面)に設けられている。ここでは、被検出部材73は、回動軸66から回動軸66の径方向に向かって延びている。本実施形態では、回動軸66を中心に回転することで、テンションバー61が揺動する。そして、テンションバー61が回動軸66を中心に回転することで、被検出部材73も回動軸66を中心に回転し、位置が変更される。第1センサ71および第2センサ72は、被検出部材73の位置に基づいて、テンションバー61の位置を検出するように構成されている。
【0040】
第1センサ71および第2センサ72は、被検出部材73の近傍、詳しくは被検出部材73の移動軌道上に配置されている。本実施形態では、第1センサ71および第2センサ72は、支持部材65に設けられている。詳しくは、第1センサ71および第2センサ72は、右支持部材65Rにおけるテンションバー61と反対側の面(ここでは右面)に設けられている。側面視において、第1センサ71および第2センサ72は、回動軸66の周囲に配置されている。
【0041】
本実施形態では、
図4に示すように、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているとき、側面視において、被検出部材73は、回動軸66から後方に延びるような向きに配置される。そのため、側面視において第1センサ71は、回動軸66の後方に配置されている。
図4~
図6に示すように、テンションバー61が未使用位置P1から使用位置P2に移動すると、被検出部材73は、回動軸66を中心に右側面において反時計回りに回転する。そして、
図6に示すように、テンションバー61が前方に傾いて巻取開始位置P3に配置されたとき、被検出部材73は、側面視において回動軸66から上斜め後方に向かって延びている。そのため、第2センサ72は、第1センサ71よりも上斜め前方の位置に配置されている。第2センサ72は、右側面視において、回動軸66を中心に、第1センサ71よりも反時計回りの向きに配置されている。なお、
図1では、第1センサ71、第2センサ72および被検出部材73の図示は省略されている。
【0042】
第1センサ71および第2センサ72の種類は、特に限定されない。ここでは、第1センサ71および第2センサ72は、光学式センサである。第1センサ71および第2センサ72は、図示は省略するが、それぞれ光を発する発光部と、発光部から発せられた光を受光する受光部とを有している。本実施形態では、発光部と受光部との間の範囲のことを、検出範囲という。ここでは、検出範囲に被検出部材73が配置されると、発光部から発せられた光が遮断される。この光の遮断によって、第1センサ71および第2センサ72は、検出範囲に被検出部材73が配置されていることを検出する。以下、検出範囲に被検出部材73が配置されていることをヒットという。検出範囲に被検出部材73が配置されていないことをアンヒットという。また、第1センサ71の検出範囲のことを第1検出範囲AR1という。第2センサ72の検出範囲のことを第2検出範囲AR2という。
【0043】
図4に示すように、第1センサ71は、被検出部材73の位置に基づいてテンションバー61が未使用位置P1に配置されていることを検出する。第1センサ71において、第1検出範囲AR1に被検出部材73が配置されてヒットしているとき、第1センサ71は、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていることを検出する。一方、
図5および
図6に示すように、第1検出範囲AR1に被検出部材73が配置されておらず、第1センサ71がアンヒットしているとき、第1センサ71は、テンションバー61が使用位置P2に配置されていることを検出する。
【0044】
図6に示すように、第2センサ72において、第2検出範囲AR2に被検出部材73が配置されているとき、第2センサ72は、テンションバー61が巻取開始位置P3に配置されていることを検出する。本実施形態では、
図5に示すように、被検出部材73が第1センサ71と第2センサ72との間に配置されているとき、テンションバー61は、巻取終了位置P4に配置されている。ここでは、第1センサ71がアンヒットであり、かつ、第2センサ72がアンヒットであるとき、テンションバー61は巻取終了位置P4に配置されていることが検出される。
【0045】
本実施形態では、
図1に示すように、印刷システム100は、表示画面110を備えている。表示画面110には、プリンタ10による印刷に関する情報が表示される。また、表示画面110には、巻取装置50による媒体5の巻き取りに関する情報が表示される。なお、表示画面110の配置位置は特に限定されない。本実施形態では、表示画面110は、プリンタ本体11の右部の前面に配置されている。なお、印刷システム100には、表示画面110を操作する、すなわち表示画面110に表示されている項目などの情報を設定する操作手段111(
図3参照)が設けられていてもよい。操作手段111は、例えば表示画面110に設けられたタッチパネルである。ただし、操作手段111は、物理的なボタンによって構成されてもよい。
図3に示すように、表示画面110および操作手段111は、プリンタ制御装置40に通信可能に接続されている。
【0046】
本実施形態では、
図1に示すように、巻取装置50は、制御装置80を備えている。制御装置80は、媒体5の巻き取りに関する制御を行う装置である。制御装置80の構成は特に限定されない。制御装置80は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置80は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。本実施形態では、制御装置80は、例えば支持部材65(詳しくは右支持部材65R)に設けられている。
【0047】
制御装置80は、
図3に示すように、プリンタ制御装置40と通信可能に接続されている。制御装置80は、プリンタ制御装置40を介して表示画面110および操作手段111に通信可能に接続されており、表示画面110および操作手段111を間接的に制御する。ただし、制御装置80は、表示画面110および操作手段111に通信可能に直接接続されてもよい。また、制御装置80は、駆動源52に通信可能に接続されている。制御装置80は、駆動源52の駆動を制御することで、巻取バー51の回転を制御する。
【0048】
本実施形態では、制御装置80は、記憶部81と、通信部82と、第1判定部85と、第2判定部86と、禁止部91と、許可部92と、駆動制御部93と、停止制御部94と、第1通知部95と、第2通知部96と、表示部97とを備えている。なお、制御装置80の各部81~97は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置80の各部81~97は、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0049】
図3の通信部82は、プリンタ10のプリンタ制御装置40と通信可能に構成されている。例えばプリンタ制御装置40は、媒体5に印刷するための印刷データに基づいて、インクヘッド18、搬送機構20、および、ヘッド移動機構25を制御する。また、印刷中、プリンタ制御装置40は、印刷の状態に応じて、巻取装置50に関する制御の指令を、巻取装置50の制御装置80に送信する。通信部82は、プリンタ制御装置40から送信された指令を受信する。なお、巻取装置50に関する制御の指令とは、例えば駆動源52の駆動を開始する駆動開始指令や、駆動源52の駆動を停止する駆動停止指令などである。ここでいう指令とは、信号と言い換えられることも可能である。
【0050】
次に、テンションバー61が未使用位置P1(
図4参照)に配置されているときの制御手順について、
図7のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、
図4に示すように、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているとき、駆動源52の駆動が禁止され、巻取バー51への媒体5の巻き取りが禁止される。そのため、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているとき、巻取バー51の周面に媒体5が巻き取られることは行われない。
【0051】
本実施形態では、まず
図7のステップS101では、
図3の第1判定部85は、第1センサ71によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されているか否かを判定する。
【0052】
ステップS101において、
図4に示すように、第1センサ71がヒットしているとき、
図3の第1判定部85は、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定する。この場合、次に
図7のステップS103に進む。ステップS103では、禁止部91は、駆動源52の駆動を禁止する。言い換えると、禁止部91は、巻取バー51の回転を禁止し、かつ、巻取バー51の周面への媒体5の巻き取りを禁止する。ここで、駆動源52の駆動を禁止するとは、
図3の通信部82がプリンタ制御装置40から指令を受信したときの指令の内容に関わらず、駆動源52の駆動を停止していることを意味する。例えば通信部82がプリンタ制御装置40から、駆動源52の駆動を開始する駆動開始指令を受信した場合であっても、禁止部91は、駆動源52の駆動を禁止する。そのため、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているときには、プリンタ制御装置40からどのような指令が送信されても、巻取バー51への媒体5の巻き取りは行われない。
【0053】
このように駆動源52の駆動が禁止された後、ステップS105では、
図3の第1通知部95は、第1判定部85によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定されたとき、巻取装置50が禁止モードMD1であることをユーザに通知する。ここで、禁止モードMD1とは、禁止部91によって駆動源52の駆動が禁止されているモードのことをいう。本実施形態では、第1通知部95は、巻取装置50が禁止モードMD1であることを表示画面110に表示する。
図8は、禁止モードMD1のときに表示画面110に表示される禁止モード画像M1を示す図である。例えば第1通知部95は、
図8に示すようなグレーアウトされた禁止モード画像M1を表示画面110に表示することで、ユーザに巻取装置50が禁止モードMD1であることを通知する。ただし、第1通知部95は、図示しないスピーカーから音を発したり、図示しないライトから光を発したりすることで、巻取装置50が禁止モードMD1であることを通知してもよい。
【0054】
一方、ステップS101において、
図5および
図6に示すように、第1センサ71がアンヒットしているとき、第1判定部85は、テンションバー61が未使用位置P1に配置されておらず、使用位置P2に配置されていると判定する。この場合、テンションバー61が使用位置P2に配置されているため、次に
図7のステップS107に進む。ステップS107では、
図3の許可部92は、駆動源52の駆動を許可する。言い換えると、許可部92は、巻取バー51の回転を許可する。ここで、駆動源52の駆動を許可するとは、駆動源52の駆動を開始することが可能な状態のことを意味する。駆動源52の駆動が許可されているときに、例えば
図3の通信部82がプリンタ制御装置40から駆動開始指令を受信すると、
図3の駆動制御部93は、駆動源52を駆動させる制御を行い、巻取バー51の回転が開始される。このことで、巻取バー51の周面への媒体5の巻き取りが開始される。
【0055】
このように駆動源52の駆動が許可された後、次に
図7のステップS109では、
図3の第2通知部96は、第1判定部85によってテンションバー61が使用位置P2に配置されていると判定されたとき、巻取装置50が許可モードMD2であることをユーザに通知する。ここで、許可モードMD2とは、許可部92によって駆動源52の駆動が許可されているモードのことをいう。
図10、
図11は、許可モードMD2のときに表示画面110に表示される許可モード画像M2を示す図である。本実施形態では、
図3の第2通知部96は、
図10および
図11に示すように、許可モードMD2であることを表示画面110に表示する。例えば第2通知部96は、
図10および
図11に示すような許可モード画像M2を表示画面110に表示することで、ユーザに、巻取装置50が許可モードMD2であることを通知する。許可モード画像M2は、禁止モード画像M1と異なり、有彩色の画像である。すなわち、許可モード画像M2は、グレーアウトされた画像ではない。ただし、第2通知部96は、図示しないスピーカーから音を発したり、図示しないライトから光を発したりすることで、巻取装置50が許可モードMD2であることを通知してもよい。
【0056】
なお、本実施形態では、巻取バー51への媒体5の巻き取り方向に応じて、2つの許可モードMD2が存在する。許可モードMD2は、第1許可モードMD21(
図10参照)と、第2許可モードMD22(
図11参照)とを有する。
図10に示すように、第1許可モードMD21とは、右側面視において巻取バー51を反時計回り(以下、単に反時計回りという。)に回転させて媒体5を巻き取るモードである。第1許可モードMD21の場合、
図3の第2通知部96は、第1許可モード画像M21を表示画面110に表示することで、ユーザに巻取装置50が第1許可モードMD21であることを通知する。このように、巻取装置50が第1許可モードMD21の場合、
図3の駆動制御部93は、通信部82が駆動開始信号を受信したとき、巻取バー51が反時計回りの方向に回転するように駆動源52の駆動を制御する。
【0057】
図11に示すように、第2許可モードMD22とは、右側面視において巻取バー51を時計回り(以下、単に時計回りという。)に回転させて媒体5を巻き取るモードである。第2許可モードMD22の場合、
図3の第2通知部96は、第2許可モード画像M22を表示画面110に表示することで、ユーザに巻取装置50が第2許可モードMD22であることを通知する。このように、巻取装置50が第2許可モードMD22の場合、
図3の駆動制御部93は、通信部82が駆動開始信号を受信したとき、巻取バー51が時計回りの方向に回転するように駆動源52の駆動を制御する。
【0058】
次に、駆動源52の駆動が許可された後に、媒体5の巻き取りの開始と終了を判定する制御手順について、
図9のフローチャートに沿って説明する。まず
図9のステップS201では、
図3の第2判定部86は、第2センサ72によってテンションバー61が巻取開始位置P3に配置されているか否かを判定する。
図6に示すように、第2センサ72がヒットしているとき、
図3の第2判定部86は、テンションバー61が巻取開始位置P3に配置されていると判定する。この場合、次に
図9のステップS203に進む。ステップS203では、
図3の駆動制御部93は、駆動源52を駆動させる制御を開始する。言い換えると、駆動制御部93は、巻取バー51の周面への媒体5の巻き取りを開始する。
【0059】
本実施形態では、駆動源52が駆動され、巻取バー51への媒体5の巻き取りが開始されると、テンションバー61は、
図6の巻取開始位置P3から、
図5の巻取終了位置P4に向かうように移動し、かつ、起き上がるように移動する。そして、
図9のステップS201において、
図5に示すように、第2センサ72がアンヒットしているとき、第2判定部86は、テンションバー61が巻取開始位置P3に配置されておらず、巻取終了位置P4に配置されていると判定する。このとき、次に
図9のステップS205に進む。ステップS205では、
図3の停止制御部94は、駆動源52の駆動を停止し、巻取バー51の回転が停止される。このことで、巻取バー51への媒体5の巻き取りが終了する。
【0060】
図12、
図13は、それぞれ第1撓みモードMD31、第2撓みモードMD32のときに表示画面110に表示される第1撓みモード画像M31、第2撓みモード画像M32を示す図である。本実施形態では、巻取装置50のモードとして、第1撓みモードMD31(
図12参照)と、第2撓みモードMD32(
図13参照)とが有されている。第1撓みモードMD31および第2撓みモードMD32とは、プリンタ10による媒体5への印刷中、例えばテンションバー61が未使用位置P1(
図4参照)に配置されているモードであるが、テンションバー61の位置は特に限定されない。第1撓みモードMD31および第2撓みモードMD32では、テンションバー61によって媒体5に張力が与えられず、巻取装置50において媒体5が撓んでいる状態になる。
【0061】
図12に示すように、第1撓みモードMD31では、媒体5が撓んでいる状態で、巻取バー51が反時計回りに回転することで、巻取バー51の周面に媒体5を巻き取る。
図3の駆動制御部93は、巻取装置50が第1撓みモードMD31のとき、巻取バー51が反時計回りに回転するように駆動源52の駆動を制御する。
図13に示すように、第2撓みモードMD32では、媒体5が撓んでいる状態で、巻取バー51が時計回りに回転することで、巻取バー51の周面に媒体5を巻き取る。
図3の駆動制御部93は、巻取装置50が第2撓みモードMD32のとき、巻取バー51が時計回りに回転するように駆動源52の駆動を制御する。
【0062】
本実施形態では、
図3の表示部97は、巻取装置50のモードに応じて、表示画面110にモード画像を表示する。例えば表示部97は、
図8に示すように、巻取装置50が禁止モードMD1のとき、表示画面110に禁止モード画像M1を表示する。表示部97は、
図10に示すように、巻取装置50が第1許可モードMD21のとき、表示画面110に第1許可モード画像M21を表示し、
図11に示すように、巻取装置50が第2許可モードMD22のとき、表示画面110に第2許可モード画像M22を表示する。また、表示部97は、
図12に示すように、巻取装置50が第1撓みモードMD31のとき、表示画面110に第1撓みモード画像M31を表示し、
図13に示すように、第2撓みモードMD32のとき、表示画面110に第2撓みモード画像M32を表示する。ユーザは、表示画面110に表示されたモード画像を見ることで、巻取装置50がどのモードに設定されているかを知ることができる。
【0063】
ユーザは、表示画面110を操作する操作手段を操作して、巻取装置50のモードを、禁止モードMD1、第1許可モードMD21、第2許可モードMD22、第1撓みモードMD31、第2撓みモードMD32から何れかを選択可能に構成されている。例えば操作手段111(
図3参照)を介して、モード画像M1、M21、M22、M31、M32の何れかを選択することで、選択したモード画像に対するモードを巻取装置50に設定することができる。
図3の駆動制御部93は、設定された巻取装置50のモードに応じて、巻取バー51の回転方向を制御し、かつ、駆動源52の駆動を制御する。なお、ユーザが、第1撓みモードMD31または第2撓みモードMD32を選択したとき、駆動源52の駆動は禁止されず、許可されるように構成されている。
【0064】
仮に、巻取装置50にエラーが発生した場合には、
図3の表示部97は、表示画面110にエラー情報を表示する。ユーザは、表示画面110に表示されたエラー情報を見ることで、巻取装置50にどのようなエラーが発生したかを知ることができる。巻取装置50のエラーとして、例えば巻取バー51が適切に回転しないことで生じるエラーなどが挙げられる。
【0065】
以上、本実施形態では、
図1に示すように、印刷システム100は、巻取装置50と、巻取装置50が設けられたプリンタ10とを備えている。
図2に示すように、プリンタ10は、印刷時に媒体5を支持するプラテン12を備えている。巻取装置50は、媒体5を印刷するプリンタ10において、媒体5を巻き取る装置である。
図1に示すように、巻取装置50は、巻取バー51と、駆動源52と、回動軸66と、支持アーム62と、テンションバー61と、第1センサ71(
図2参照)と、制御装置80とを備えている。巻取バー51は、媒体5の幅方向(ここでは左右方向Y)に延び、媒体5を巻き取る。ここでは、巻取バー51は、印刷後の媒体5を巻き取る。駆動源52は、巻取バー51の中心軸A1(
図2参照)を中心にして巻取バー51を回転させる。回動軸66は、幅方向(ここでは左右方向Y)に延びている。支持アーム62は、回動軸66に接続されている。テンションバー61は、幅方向(ここでは左右方向Y)に延び、支持アーム62に支持され、回動軸66を中心に揺動自在であり、かつ、巻取バー51に向かう媒体5に張力を与えることが可能なものである。
図4に示すように、第1センサ71は、テンションバー61が媒体5に張力を付与しない未使用位置P1にテンションバー61が配置されていることを検出する。
図3に示すように、制御装置80は、第1センサ71によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されているか否かを判定する第1判定部85と、第1判定部85によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定されたとき、駆動源52の駆動を禁止する禁止部91と、を備えている。
【0066】
本実施形態では、
図4に示すように、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているとき、媒体5が巻取バー51に巻き取られることがない状態であり、巻取装置50は、使用されていない状態である。ここでは、テンションバー61が未使用位置P1のときには、駆動源52の駆動が禁止されるため、巻取バー51が回転することがなく、巻取装置50に関する無駄な動作を削減することができる。
【0067】
本実施形態では、
図3に示すように、プリンタ10は、プリンタ制御装置40を備えている。巻取装置50の制御装置80は、プリンタ制御装置40と通信可能な通信部82を備えている。禁止部91は、通信部82がプリンタ制御装置40から指令を受信したときであっても、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定されたときには、駆動源52の駆動を禁止する。このことによって、プリンタ制御装置40から巻取装置50に対してどのような指令を送信した場合であっても、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているときには、駆動源52の駆動を禁止することができる。
【0068】
また、本実施形態では、
図3の禁止部91は、通信部82がプリンタ制御装置40から、駆動源52の駆動を開始する駆動開始指令を受信したときであっても、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定されたときに、駆動源52の駆動を禁止する。このように、仮にプリンタ制御装置40から巻取開始指令を送信された場合であっても、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているときには、駆動源52の駆動を禁止することができる。
【0069】
本実施形態では、制御装置80は、第1判定部85によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されていると判定されたとき、駆動源52の駆動を禁止する禁止モードMD1(
図8参照)であることをユーザに通知する第1通知部95(
図3参照)を備えている。ここでは、第1通知部95は、
図8に示すように、禁止モードMD1であることを表示画面110に表示する。このことによって、テンションバー61が未使用位置P1に配置されており、かつ、巻取装置50が禁止モードMD1であることをユーザに通知することができる。ユーザは、表示画面110を見ることで、巻取装置50が禁止モードMD1であることを容易に知ることができる。
【0070】
本実施形態では、巻取装置50は、
図6に示すように、テンションバー61が媒体5に対して基準張力値以上の張力を付与している巻取開始位置P3にテンションバー61が配置されていることを検出する第2センサ72を備えている。
図3に示すように、制御装置80は、第2センサ72によってテンションバー61が巻取開始位置P3に配置されているか否かを判定する第2判定部86と、第2判定部86によってテンションバー61が巻取開始位置P3に配置されていると判定されたとき、駆動源52の駆動を開始する駆動制御部93と、を備えている。ここでは、
図6に示すように、テンションバー61が巻取開始位置P3に配置されているとき、巻取バー51による媒体5の巻き取りが開始されてもよい状態である。そのため、テンションバー61が巻取開始位置P3のときに、駆動源52の駆動が開始されるため、適切なタイミングで巻取装置50による媒体5の巻き取りを開始することができる。
【0071】
本実施形態では、制御装置80は、第1判定部85によってテンションバー61が未使用位置P1に配置されていない(すなわち、使用位置P2に配置されている)と判定されたとき、駆動源52の駆動を許可する許可モードMD2(
図10、
図11参照)であることをユーザに通知する第2通知部96(
図3参照)を備えている。ここでは、第2通知部96は、
図10および
図11に示すように、許可モードMD2であることを表示画面110に表示する。このことによって、テンションバー61が使用位置P2に配置されており、かつ、巻取装置50が許可モードMD2であることをユーザに通知することができる。ユーザは、表示画面110を見ることで、巻取装置50が許可モードMD2であることを容易に知ることができる。
【0072】
本実施形態では、
図4に示すように、巻取装置50は、テンションバー61の揺動に合わせて位置が変更される被検出部材73を備えている。第1センサ71は、被検出部材73の位置に基づいてテンションバー61が未使用位置P1に配置されていることを検出する。詳しくは、第1センサ71は、被検出部材73が第1検出範囲AR1に配置されているときに、テンションバー61が未使用位置P1に配置されていることを検出する。このように、テンションバー61の揺動に合わせて位置が変更される被検出部材73の位置を検出することで、テンションバー61が未使用位置P1に配置されることを容易に検出することができる。
【0073】
本実施形態では、
図5および
図6に示すように、テンションバー61が媒体5に張力を付与しているときのテンションバー61の位置を、使用位置P2とする。
図4および
図5に示すように、使用位置P2のとき、テンションバー61は、未使用位置P1と比較して、巻取バー51に向かう媒体5側(ここでは前方)に傾いて配置されている。このことによって、テンションバー61の前方への傾きに応じて、テンションバー61が未使用位置P1に配置されているか、または、使用位置P2に配置されているかを判定することができる。
【符号の説明】
【0074】
5 媒体
10 プリンタ
12 プラテン(支持台)
50 巻取装置
51 巻取バー
52 駆動源
61 テンションバー
62 支持アーム
66 回動軸
71 第1センサ
72 第2センサ
73 被検出部材
80 制御装置
85 第1判定部
86 第2判定部
91 禁止部
92 許可部
95 第1通知部
96 第2通知部
100 印刷システム
110 表示画面
P1 未使用位置
P2 使用位置
P3 巻取開始位置
P4 巻取終了位置