(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115524
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】車両外装用発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20230814BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20230814BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/237
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017775
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道家 真一
(57)【要約】
【課題】発光の均一性及び光取出効率に優れる、車両の外装部品に組み込むための車両外装用発光装置を提供することにある。
【解決手段】発光素子10と、発光素子10から発せられる光を屈折により拡散させるインナーレンズ11と、インナーレンズ11により拡散される光を屈折により拡散させるアウターレンズ12と、を備え、インナーレンズ11が、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、アウターレンズ12が、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、第1の方向と第2の方向の成す角度が60°以上、120°以下である、車両外装用発光装置1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から発せられる光を屈折又は反射により拡散させる第1の拡散材と、
前記第1の拡散材により拡散される光を屈折により拡散させる第2の拡散材と、
を備え、
前記第1の拡散材が、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、
前記第2の拡散材が、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、
前記第1の方向と前記第2の方向の成す角度が60°以上、120°以下である、
車両外装用発光装置。
【請求項2】
前記第1の拡散材と前記第2の拡散材が、それぞれ異方性拡散レンズである、
請求項1に記載の車両外装用発光装置。
【請求項3】
前記第1の拡散材と前記第2の拡散材とが、1つの異方性拡散レンズに含まれる、
請求項1に記載の車両外装用発光装置。
【請求項4】
前記第1の拡散材が前記第1の方向に延びる導光棒であり、
前記第2の拡散材が異方性拡散レンズである、
請求項1に記載の車両外装用発光装置。
【請求項5】
光源と、
前記光源から発せられる光を屈折により拡散させる拡散材と、
を備え、
前記光源から発せられる光が、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく広がる光であり、
前記拡散材が、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、
前記第1の方向と前記第2の方向の成す角度が60°以上、120°以下である、
車両外装用発光装置。
【請求項6】
前記光源が、前記第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含む、
請求項5に記載の車両外装用発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両外装用発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDの発する光によりエンブレムの周縁を発光させるエンブレム発光装置であって、導光板と拡散材の2つの部材によって光を拡散させるものが知られている(特許文献1を参照)。この特許文献1に記載のエンブレム発光装置においては、エンブレムの裏面に導光板が配置され、導光板の下面中央部に形成された凹部にLEDが配置されている。そして、導光板とエンブレムの間には拡散材が設置されている。
【0003】
特許文献1によれば、導光板内において反射を繰り返した後にエンブレムに向かう光を拡散材によって多方向に拡散させることができるため、エンブレムの周縁のより均一で高質な発光が可能となる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のエンブレム発光装置においては、拡散材に乱反射されて導光板内を様々な方向に進む光がエンブレムの透光部に達したときに、その透光部から外部に取り出されるため、装置内部での光の減衰が大きく、光取出効率が低いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、発光の均一性及び光取出効率に優れる、車両の外装部品に組み込むための車両外装用発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[6]の車両外装用発光装置を提供する。
【0008】
[1]光源と、前記光源から発せられる光を屈折又は反射により拡散させる第1の拡散材と、前記第1の拡散材により拡散される光を屈折により拡散させる第2の拡散材と、を備え、前記第1の拡散材が、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、前記第2の拡散材が、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、前記第1の方向と前記第2の方向の成す角度が60°以上、120°以下である、車両外装用発光装置。
[2]前記第1の拡散材と前記第2の拡散材が、それぞれ異方性拡散レンズである、上記[1]に記載の車両外装用発光装置。
[3]前記第1の拡散材と前記第2の拡散材とが、1つの異方性拡散レンズに含まれる、上記[1]に記載の車両外装用発光装置。
[4]前記第1の拡散材が前記第1の方向に延びる導光棒であり、前記第2の拡散材が異方性拡散レンズである、上記[1]に記載の車両外装用発光装置。
[5]光源と、前記光源から発せられる光を屈折により拡散させる拡散材と、を備え、前記光源から発せられる光が、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく広がる光であり、前記拡散材が、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有し、前記第1の方向と前記第2の方向の成す角度が60°以上、120°以下である、車両外装用発光装置。
[6]前記光源が、前記第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含む、上記[5]に記載の車両外装用発光装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光の均一性及び光取出効率に優れる、車両の外装部品に組み込むための車両外装用発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置の垂直断面図である。
図1(b)は、車両外装用発光装置に備えられた、発光素子を含む発光素子パッケージの垂直断面図である。
【
図2】
図2(a)~(d)は、本発明の第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置を垂直上方から視たときの光の広がり方を示す概念図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係る車両外装用発光装置の垂直断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る車両外装用発光装置の垂直断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る車両外装用発光装置の垂直断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る車両外装用発光装置の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1の垂直断面図である。
図1(b)は、車両外装用発光装置1に備えられた、発光素子10を含む発光素子パッケージの垂直断面図である。
【0012】
車両外装用発光装置1は、光源としての発光素子10と、発光素子10から発せられる光を屈折により拡散させるインナーレンズ11と、インナーレンズ11により拡散される光を屈折により拡散させるアウターレンズ12とを備える。
図1(a)における点線は、車両外装用発光装置1の内部の光及び車両外装用発光装置1から取り出される光の広がり方を模式的に示す。
【0013】
車両外装用発光装置1は、例えば、車両外装用のパネル、モール、発光エンブレムなどに組み込まれ、光輝フィルム、加飾フィルム、エンブレムなどを背面から照明するために用いられる。
【0014】
インナーレンズ11及びアウターレンズ12は、平面方向において異方的に光を拡散させる拡散特性を有する。平面方向とは、車両外装用発光装置1の平面に平行な方向であり、例えば、
図1(a)における平面方向は、紙面内の横方向及び紙面に垂直な方向を含む面内の方向である。
【0015】
ここで、平面方向においてインナーレンズ11により最も大きく光が散乱される方向を第1の方向、平面方向においてアウターレンズ12により最も大きく光が散乱される方向を第2の方向と呼ぶ。すなわち、車両外装用発光装置1を垂直上方から視たときに、インナーレンズ11に入射した光は第1の方向に最も大きく散乱され、アウターレンズ12に入射した光は第2の方向に最も大きく散乱される。第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下である。
【0016】
発光素子10は、LEDチップなどの発光素子であり、ハウジング13に収容され、封止樹脂14により封止される。インナーレンズ11は、発光素子10の上方を覆うようにハウジング13に固定される。発光素子10、ハウジング13、封止樹脂14、及びインナーレンズ11を含む発光素子パッケージは基板15に実装され、基板15を介して電力や信号が発光素子10に供給される。発光素子10は、上方のインナーレンズ11に向けて光を発する。
【0017】
インナーレンズ11は、アクリルなどの透明材料からなるドーム状の異方性拡散レンズであり、インナーレンズ11の外面111、すなわち発光素子10と反対側の面には、インナーレンズ11から出射される光を異方性拡散させるための凹凸パターンが形成されている。ここで、インナーレンズ11として用いられる異方性拡散レンズは、例えば、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、又はプリズムレンズであり、外面111には、それぞれのレンズに対応する形状の凹凸パターンが形成されている。外面111の凹凸パターンは、例えば、インナーレンズ11の成形に用いられる金型に微細加工機やレーザーによって微細加工を施すことにより形成される。
【0018】
インナーレンズ11から出射される光は、平面方向において第1の方向に最も大きく散乱されるように、外面111で異方的に拡散される。すなわち、インナーレンズ11は、外面111の凹凸パターンにより、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材として機能する。
【0019】
発光素子10、ハウジング13、封止樹脂14、及びインナーレンズ11を含む発光素子パッケージが実装された基板15は、ハウジング16に収容され、アウターレンズ12は、インナーレンズ11の上方を覆うようにハウジング16に固定される。
【0020】
アウターレンズ12は、アクリルなどの透明材料からなるドーム状の異方性拡散レンズであり、アウターレンズ12の内面121、すなわち発光素子10側の面には、アウターレンズ12に入射する光を異方性拡散させるための凹凸パターンが形成されている。ここで、アウターレンズ12として用いられる異方性拡散レンズは、例えば、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、又はプリズムレンズであり、内面121には、それぞれのレンズに対応する形状の凹凸パターンが形成されている。内面121の凹凸パターンは、例えば、アウターレンズ12の成形に用いられる金型に微細加工機やレーザーによって微細加工を施すことにより形成される。
【0021】
アウターレンズ12に入射する光は、平面方向において第2の方向に最も大きく散乱されるように、内面121で異方的に拡散される。すなわち、アウターレンズ12は、内面121の凹凸パターンにより、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材として機能する。
【0022】
インナーレンズ11とアウターレンズ12に用いられる異方性拡散レンズは、金型の作り易さや集光性の観点から、レンチキュラーレンズであることが好ましい。この場合、外面111や内面121の凹凸パターン、すなわちレンチキュラーレンズアレイは、例えば、所望の拡散範囲に応じて線状の凸部の高さやピッチが数μm~200μmの範囲内で調整される。また、レンチキュラーレンズであるインナーレンズ11やアウターレンズ12の拡散性を向上させるためには、レンチキュラーレンズアレイが不規則な形状、例えば線状の凸部の長手方向の長さが0.1μm~100μmの間で様々な値を取る形状、を有することが好ましい。インナーレンズ11やアウターレンズ12の拡散性を向上させることにより、車両外装用発光装置1から取り出される光の均一性を向上させることができる。なお、
図1(a)、(b)に示される外面111と内面121の凹凸形状は、実際の外面111と内面121の凹凸パターンの形状、例えばインナーレンズ11とアウターレンズ12がレンチキュラーレンズである場合のレンチキュラーレンズアレイの方向を示すものではない。
【0023】
図2(a)~(d)は、車両外装用発光装置1を垂直上方から視たときの光の広がり方、すなわち平面方向の光の広がり方を示す概念図である。
【0024】
図2(a)の領域Aは、発光素子10から発せられる光の広がり方を示す。典型的には、
図2(a)に示されるように、発光素子10から発せられる光の平面方向の広がりは円形に近くなる。
【0025】
図2(b)の領域Bは、平面方向の広がりが等方的な発光素子10から発せられる光がインナーレンズ11に入射したときの、インナーレンズ11により拡散される光の広がり方を示す。典型的には、
図2(b)に示されるように、領域Bの形状は楕円形に近くなる。そして、この楕円形の長軸の方向が、第1の方向d1に相当する。
【0026】
図2(c)の領域Cは、平面方向の広がりが等方的である光がアウターレンズ12に入射したときの、アウターレンズ12により拡散される光の広がり方を示す。典型的には、
図2(c)に示されるように、領域Cの形状は楕円形に近くなる。そして、この楕円形の長軸の方向が、第2の方向d2に相当する。
【0027】
図2(d)の領域Dは、発光素子10から発せられ、インナーレンズ11により拡散された後に、アウターレンズ12により拡散された光の広がり方を示す。発光素子10から発せられた光は、インナーレンズ11により第1の方向に大きく広がるように拡散され、その後、アウターレンズ12により第2の方向に大きく広がるように拡散されるため、
図2(d)に示されるように、領域Dの形状を円形に近付けることができる。その結果、車両外装用発光装置1から、円形などの形状に均一に広がる光を取り出すことができる。
【0028】
上述のように、第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下の範囲内にあり、車両外装用発光装置1の所望の配光に応じて、この範囲内で適宜変更することができる。
【0029】
また、屈折により光を散乱させるインナーレンズ11とアウターレンズ12は、乱反射により光を拡散する種類の拡散材と異なり、それぞれ外面111と内面121の凹凸パターンの形状により、拡散光の進行方向を調整することができる。このため、例えば、
図1(a)、
図2(a)~(d)に示されるように、発光素子10をハウジング16の中央から離れた位置に配置する場合であっても、例えばインナーレンズ11により光をアウターレンズ12の中心に向けて斜め上方に拡散させることにより、広い範囲に均一に広がる光を取り出すことができる。
【0030】
例えば、背後にレーダーユニットが配置されたフロントグリルなどの外装に車両外装用発光装置1を設置する場合、発光素子10をハウジング16の中央から離れた位置に配置することにより、レーダーユニットから発せられるレーダー波を遮ることなく、ハウジング16の中央を透過させることができる。
【0031】
また、外面111と内面121の凹凸パターンの形状により、車両外装用発光装置1の配光角度を調節することも可能であり、例えば、車両外装用発光装置1の配光角度は、60°以上、120°以下の範囲内に設定される。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態に係る車両外装用発光装置2は、光を拡散させるための部材の構成において、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と異なる。第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0033】
図3(a)、(b)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係る車両外装用発光装置2の垂直断面図である。車両外装用発光装置2は、光源としての発光素子10と、発光素子10から発せられた光を屈折により拡散させる異方性拡散レンズ20とを備える。車両外装用発光装置2は、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と同様の用途に用いることができる。
【0034】
発光素子10は、ハウジング13に収容され、封止樹脂14により封止される。発光素子10、ハウジング13、及び封止樹脂14を含む発光素子パッケージは、ハウジング16に収容され、アクリルなどの透明材料からなるドーム状のアウターレンズ21がハウジング16に固定される。
【0035】
異方性拡散レンズ20は、発光素子10の上方を覆うようにアウターレンズ21の内側に固定される。
図3(a)に示される例では、異方性拡散レンズ20は縁がアウターレンズ21に固定された状態で、平面状に設置されており(典型的には、車両外装用発光装置2の平面方向にほぼ平行に設置される)、
図3(b)に示される例では、異方性拡散レンズ20はアウターレンズ21の内面に沿うように設置されている。発光素子10は、上方の異方性拡散レンズ20に向けて光を発する。
【0036】
異方性拡散レンズ20は、アクリルなどの透明材料からなるシート状又は板状の異方性拡散レンズである。異方性拡散レンズ20の発光素子10側の下面201には、異方性拡散レンズ20に入射した光を異方性拡散させるための凹凸パターンが形成されており、下面201の反対側の上面202には異方性拡散レンズ20から出射する光を異方性拡散させるための凹凸パターンが形成されている。下面201と上面202の凹凸パターンは、例えば、異方性拡散レンズ20の成形に用いられる金型に微細加工機やレーザーによって微細加工を施すことにより形成される。
【0037】
ここで、異方性拡散レンズ20を構成する異方性拡散レンズは、例えば、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、又はプリズムレンズであり、下面201及び上面202には、それぞれのレンズに対応する形状の凹凸パターンが形成される。なお、
図3(a)、(b)に示される下面201と上面202の凹凸形状は、実際の下面201と上面202の凹凸パターンの形状、例えば異方性拡散レンズ20がレンチキュラーレンズである場合のレンチキュラーレンズアレイの方向を示すものではない。
【0038】
異方性拡散レンズ20に入射する光は、平面方向において第1の方向に最も大きく散乱されるように、下面201で異方的に拡散される。また、異方性拡散レンズ20から出射する光は、平面方向において第2の方向に最も大きく散乱されるように、上面202で異方的に拡散される。第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下である。
【0039】
すなわち、異方性拡散レンズ20は、下面201及び上面202の凹凸パターンを備えることにより、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材と、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材の両者を含む。
【0040】
異方性拡散レンズ20に用いられる異方性拡散レンズは、金型の作り易さや集光性の観点から、レンチキュラーレンズであることが好ましい。この場合、下面201や上面202の凹凸パターン、すなわちレンチキュラーレンズアレイは、例えば、所望の拡散範囲に応じて線状の凸部の高さやピッチが数μm~200μmの範囲内で調整される。また、レンチキュラーレンズである異方性拡散レンズ20の拡散性を向上させるためには、レンチキュラーレンズアレイが不規則な形状、例えば線状の凸部の長手方向の長さが0.1μm~100μmの間で様々な値を取る形状、を有することが好ましい。異方性拡散レンズ20の拡散性を向上させることにより、車両外装用発光装置2から取り出される光の均一性を向上させることができる。
【0041】
車両外装用発光装置2においては、発光素子10から発せられた光は、異方性拡散レンズ20の下面501により第1の方向に大きく広がるように拡散され、その後、上面502により第2の方向に大きく広がるように拡散されるため、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と同様に、円形などの形状に均一に広がる光を取り出すことができる。
【0042】
上述のように、第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下の範囲内にあり、車両外装用発光装置2の所望の配光に応じて、この範囲内で適宜変更することができる。
【0043】
また、屈折により光を散乱させる異方性拡散レンズ20は、乱反射により光を拡散する種類の拡散材と異なり、下面501及び上面502の凹凸パターンの形状により、拡散光の進行方向を調整することができる。このため、例えば、
図3(a)、(b)に示されるように、発光素子10をハウジング16の中央から離れた位置に配置する場合であっても、例えば下面501により光を上面502の中心に向けて斜め上方に拡散させることにより、広い範囲に均一に広がる光を取り出すことができる。
【0044】
例えば、背後にレーダーユニットが配置されたフロントグリルなどの外装に車両外装用発光装置2を設置する場合、発光素子10をハウジング16の中央から離れた位置に配置することにより、レーダーユニットから発せられるレーダー波を遮ることなく、ハウジング16の中央を透過させることができる。
【0045】
また、下面501及び上面502の凹凸パターンの形状により、車両外装用発光装置2の配光角度を調節することも可能であり、例えば、車両外装用発光装置2の配光角度は、60°以上、120°以下の範囲内に設定される。
【0046】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態に係る車両外装用発光装置3は、光を拡散させるための部材の構成において、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と異なる。第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0047】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る車両外装用発光装置3の垂直断面図である。車両外装用発光装置3は、光源としての発光素子30と、発光素子30から発せられる光を内部で反射させることにより拡散させる導光棒31と、導光棒31により拡散される光を屈折により拡散させるアウターレンズ12とを備える。車両外装用発光装置3は、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と同様の用途に用いることができる。
【0048】
発光素子30は、横向きに光を発するように基板15に実装される。発光素子30は、LEDチップなどがハウジングに収容された発光素子パッケージであってもよい。発光素子30は、導光棒31の両端から光を進入させるため、
図4に示されるように、導光棒31の長さ方向の両側に設置されることが好ましい。ここで、導光棒31の長さ方向は第1の方向に平行な方向であり、
図4における第1の方向は、紙面に平行な左右方向である。
【0049】
導光棒31は、アクリルなどの透明材料からなる棒状の導光体である。導光棒31は、その長さ方向の端部から発光素子30が発した光を取り込み、内部で繰り返し反射させることにより拡散させ、アウターレンズ12側の側面から上方に出射する。導光棒31は、内部を伝播する光を反射してアウターレンズ12側に放出するためのプリズムをアウターレンズ12と反対側の側面に有してもよい。
【0050】
導光棒31の長さ方向は第1の方向に平行であるため、導光棒31内を伝播する光は、平面方向において第1の方向に最も大きく散乱された後、出射される。すなわち、導光棒31は、第1の方向に延びる形状を有することにより、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材として機能する。
【0051】
アウターレンズ12は、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1に用いられるものと同等であり、内面121の凹凸パターンにより、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材として機能する。
【0052】
車両外装用発光装置3においては、発光素子30から発せられた光は、導光棒31により第1の方向に大きく広がるように拡散され、その後、アウターレンズ12により第2の方向に大きく広がるように拡散されるため、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と同様に、円形などの形状に均一に広がる光を取り出すことができる。
【0053】
第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下の範囲内にあり、車両外装用発光装置3の所望の配光に応じて、この範囲内で適宜変更することができる。
【0054】
また、アウターレンズ12の内面121の凹凸パターンの形状により、車両外装用発光装置3の配光角度を調節することも可能であり、例えば、車両外装用発光装置3の配光角度は、60°以上、120°以下の範囲内に設定される。
【0055】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態に係る車両外装用発光装置4は、異方的に光を発する光源を用いる点において、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と異なる。第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0056】
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る車両外装用発光装置4の垂直断面図である。車両外装用発光装置4は、光源としてのテープ状の発光部材40と、発光部材40から発せられる光を屈折により拡散させるアウターレンズ12とを備える。車両外装用発光装置4は、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と同様の用途に用いることができる。
【0057】
発光部材40は、第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含む部材であり、例えば、LEDテープを発光部材40として用いることができる。ここで、
図5における第1の方向は、紙面に平行な左右方向である。発光部材40は、上方のアウターレンズ12に向けて光を発する。
【0058】
発光部材40が第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含むため、発光部材40から発せられる光は平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく広がる。なお、発光部材40の代わりに、基板15上に第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を光源として用いてもよい。また、発光部材40は、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく広がる光を発する部材であれば、第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含む部材でなくてもよく、例えば、小型のLED蛍光灯を用いることができる。
【0059】
アウターレンズ12は、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1に用いられるものと同等であり、内面121の凹凸パターンにより、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材として機能する。
【0060】
車両外装用発光装置4においては、第1の方向に大きく広がるように発光部材40から発せられた光は、アウターレンズ12により第2の方向に大きく広がるように拡散されるため、第1の実施の形態に係る車両外装用発光装置1と同様に、円形などの形状に均一に広がる光を取り出すことができる。
【0061】
第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下の範囲内にあり、車両外装用発光装置4の所望の配光に応じて、この範囲内で適宜変更することができる。
【0062】
また、アウターレンズ12の内面121の凹凸パターンの形状により、車両外装用発光装置4の配光角度を調節することも可能であり、例えば、車両外装用発光装置4の配光角度は、60°以上、120°以下の範囲内に設定される。
【0063】
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態に係る車両外装用発光装置5は、車両外装用のパネルやモールなどの、表面に装飾用のフィルムを備えた車両外装用部品に適用する場合の構成を有する。第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0064】
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る車両外装用発光装置5の垂直断面図である。車両外装用発光装置5は、光源としてのテープ状の発光部材50と、発光部材40から発せられる光を屈折により拡散させるアウターレンズ51とを備える。
【0065】
発光部材50は、第4の実施の形態に係る車両外装用発光装置4の発光部材40と同様に、第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含む部材であり、例えば、LEDテープを発光部材50として用いることができる。ここで、
図6における第1の方向は、紙面に垂直な方向である。発光部材50は、アウターレンズ51の後述する内面511に向けて光を発する。
【0066】
発光部材50が第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含むため、発光部材50から発せられる光は平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく広がる。また、発光部材50の代わりに、第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を光源として用いてもよい。また、発光部材50は、平面方向において異方的にかつ第1の方向に最も大きく広がる光を発する部材であれば、第1の方向に沿って並ぶ複数の発光素子を含む部材でなくてもよい。
【0067】
発光部材50は、基板52に実装され、ハウジング53に収容される。アウターレンズ51は、ハウジング53と一体に成形され、発光部材50が発した光を発光部材50側に露出する内面511から取り込み、ハウジング53の外側の前面に露出する外面512(主に外面512の内面511と対向する領域)から出射する。
【0068】
ハウジング53の前面には、アウターレンズ51の外面512を覆うように、光輝フィルムや加飾フィルムなどの装飾用フィルム54が貼り付けられている。アウターレンズ51の外面512から出射された光は、装飾用フィルム54を透過して外部に取り出される。
【0069】
発光部材50が光を発していない状態では、外光が装飾用フィルム54の表面に反射することにより、装飾用フィルム54の煌めきや加飾された模様が車両外装用発光装置5の外部から視認される。一方、発光部材50が光を発している状態では、アウターレンズ51の内面511の形状に依存した形状の光、例えば内面511が帯状である場合は帯状の発光が、車両外装用発光装置5の外部から視認される。
【0070】
アウターレンズ51は異方性拡散レンズであり、アウターレンズ51に入射する光を異方性拡散させるための凹凸パターンが内面511に形成されている。ここで、アウターレンズ51として用いられる異方性拡散レンズは、例えば、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、又はプリズムレンズであり、内面511には、それぞれのレンズに対応する形状の凹凸パターンが形成されている。内面511の凹凸パターンは、例えば、アウターレンズ51の成形に用いられる金型に微細加工機やレーザーによって微細加工を施すことにより形成される。
【0071】
アウターレンズ51に入射する光は、平面方向において第2の方向に最も大きく散乱されるように、内面511で異方的に拡散される。すなわち、アウターレンズ51は、内面511の凹凸パターンにより、平面方向において異方的にかつ第2の方向に最も大きく光を拡散させる拡散特性を有する拡散材として機能する。
【0072】
アウターレンズ51に用いられる異方性拡散レンズは、金型の作り易さや集光性の観点から、レンチキュラーレンズであることが好ましい。この場合、内面511の凹凸パターン、すなわちレンチキュラーレンズアレイは、例えば、所望の拡散範囲に応じて線状の凸部の高さやピッチが数μm~200μmの範囲内で調整される。また、レンチキュラーレンズであるアウターレンズ51の拡散性を向上させるためには、レンチキュラーレンズアレイが不規則な形状、例えば線状の凸部の長手方向の長さが0.1μm~100μmの間で様々な値を取る形状、を有することが好ましい。アウターレンズ51の拡散性を向上させることにより、車両外装用発光装置5から取り出される光の均一性を向上させることができる。
【0073】
車両外装用発光装置5においては、第1の方向に大きく広がるように発光部材50から発せられた光は、アウターレンズ51により第2の方向に大きく広がるように拡散されるため、アウターレンズ51の外面512の形状に応じた形状に均一に広がる光を取り出すことができる。第1の方向と第2の方向の成す角度は、60°以上、120°以下の範囲内にある。
【0074】
また、車両外装用発光装置5においては、発光部材50がハウジング16の中央から離れた位置に配置されているため、車両外装用発光装置5の背後に設置されたレーダーユニット100から発せられる、
図6において波状の点線で表されるレーダー波を遮ることなく、ハウジング53の中央を透過させることができる。
【0075】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の第1~5の実施の形態に係る車両外装用発光装置においては、乱反射ではなく屈折や反射により光を拡散させ、かつ主に第1の方向と第2の方向に2段階で拡散させることにより、装置内部での光の減衰を抑えつつ、均一性の高い発光を実現している。このため、発光の均一性及び光取出効率に優れる、車両の外装部品に組み込むための車両外装用発光装置を提供することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0077】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0078】
1、2、3、4、5 車両外装用発光装置
10 発光素子
11 インナーレンズ
111 外面
12 アウターレンズ
121 内面
20 異方性拡散レンズ
201 下面
202 上面
30 発光素子
31 導光棒
40、50 発光部材
51 アウターレンズ
511 内面