(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115540
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】直動装置
(51)【国際特許分類】
F16C 29/04 20060101AFI20230814BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
F16C29/04
F16C41/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017801
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩司
【テーマコード(参考)】
3J104
3J217
【Fターム(参考)】
3J104AA01
3J104AA70
3J104AA73
3J104BA07
3J104DA13
3J217JA02
3J217JA12
3J217JA23
3J217JA33
3J217JA42
3J217JB23
3J217JB84
(57)【要約】
【課題】直動部の正確な直線運動を担保することができる直動装置を提供する。
【解決手段】直動装置10aは、直動部と、支持機構31aと、検出部51aと、センサレール41aと、を備える。検出部51aは、空隙42a内に配置されるセンサブロック52aと、センサレール41a外に配置されるセンサ53aと、締め付けによりセンサ53aおよびセンサブロック52aをセンサレール41aに固定する固定ねじ54aと、センサブロック52aに取り付けられ、押し縮められた状態でセンサレール41aの内壁面48aと接触する弾性部材と、を含む。センサレール41aおよびセンサブロック52aの少なくともいずれか一方には、直線運動方向に垂直な断面において、弾性部材による弾性力により、弾性部材の押し縮められる方向に交差する方向へのセンサレール41aに対する検出部51aの位置を調整する位置調整部が設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線運動を行う直動部と、
前記直動部を支持する支持機構と、
前記直線運動方向における前記直動部の位置を検出する検出部と、
前記支持機構に取り付けられ、前記検出部を前記直線運動方向に移動可能に保持するセンサレールと、を備え、
前記センサレールには、
前記直線運動方向に延びる空隙と、
前記直線運動方向に延び、前記空隙から外部に至るスリットと、が設けられており、
前記検出部は、
前記空隙内に配置されるセンサブロックと、
前記センサレール外に配置されるセンサと、
前記スリット内に配置される胴部を含み、締め付けにより前記センサおよび前記センサブロックを前記センサレールに固定する固定ねじと、
前記センサブロックに取り付けられ、押し縮められた状態で前記センサレールの内壁面と接触する弾性部材と、を含み、
前記センサレールおよび前記センサブロックの少なくともいずれか一方には、前記直線運動方向に垂直な断面において、前記弾性部材による弾性力により、前記弾性部材の押し縮められる方向に交差する方向への前記センサレールに対する前記検出部の位置を調整する位置調整部が設けられている、直動装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、板バネである、請求項1に記載の直動装置。
【請求項3】
前記弾性部材のうちの前記内壁面に接触する領域には、前記内壁面側に突出する円弧面が設けられている、請求項1または請求項2に記載の直動装置。
【請求項4】
前記センサレールは、
前記支持機構と接触して配置される平板状の底壁部と、
前記底壁部とそれぞれ連なって前記底壁部の厚さ方向に立ち上がるように配置される一対の平板状の側壁部と、
前記スリットが設けられており、一対の前記側壁部のそれぞれと連なって、前記底壁部と間隔をあけて配置される天壁部と、を含み、
前記空隙は、前記底壁部、一対の前記側壁部および前記天壁部によって取り囲まれて形成されており、
前記弾性部材は、前記底壁部の内壁面と接触する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の直動装置。
【請求項5】
前記位置調整部は、前記センサブロックに設けられ、前記天壁部の内壁面に対して傾斜しており、前記天壁部の前記スリット側に位置する角部と接触する第1傾斜面を含む、請求項4に記載の直動装置。
【請求項6】
前記位置調整部は、前記天壁部に設けられ、前記天壁部に対向する前記センサブロックの外周面に対して傾斜しており、前記天壁部と対向する前記センサブロックの角部と接触する第2傾斜面を含む、請求項4または請求項5に記載の直動装置。
【請求項7】
前記センサは、
光を出射する出射部と、
前記出射部から出射された光を受光する受光部と、を含み、
前記受光部における受光量に応じて、前記テーブル部の位置を検出する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の直動装置。
【請求項8】
前記直動装置は、長手方向を前記直線運動方向として回転により前記直動部を直線運動させるねじ軸を含み、
前記支持機構は、前記長手方向に沿って延びる形状であり、前記直動部をガイドするガイドレールと、
前記ねじ軸を回転可能に支持する支持部と、を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の直動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定対象の温度を測定する温度検出素子と、温度検出素子を収容する筐体と、筐体の内部に設けられる付勢部材と、を備える測定対象に温度センサ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の温度センサ装置によると、筐体は、測定対象に押圧される外面を有する。付勢部材は、温度検出素子を測定対象に押圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボールねじ駆動装置といった直線運動を行う直動部を含む直動装置が知られている。ボールねじ駆動装置のガイドレールにセンサレールを取り付け、センサレールの所定の箇所に固定された検出部を利用して、直動部であるテーブル部の直線運動の正確性を検出する場合がある。検出部は、直線運動方向に移動可能な構成が望ましい。また、テーブル部の位置の検出に際し、センサレールに対する検出部自体の正確な位置での固定が望まれる。検出部をセンサレールに固定する際に、固定ねじを用いる場合がある。この時、固定ねじを緩めて移動させたり、移動させた位置で固定ねじを再び締めたりして、検出部の位置の微調整を行う。
【0005】
ここで、固定ねじを緩めた際に、検出部の位置が緩める前の位置からずれてしまう場合がある。そうすると、検出部の位置の微調整を行うことができない。その結果、検出部を正確な位置に固定することが困難となる。特許文献1においては、温度検出素子の取り付けに際し、付勢部材を用いて押圧することとしている。しかし、この付勢部材による押圧のみでは、正確な位置への検出部の固定としては不十分である場合がある。
【0006】
そこで、直動部の正確な直線運動を担保することができる直動装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った直動装置は、直線運動を行う直動部と、直動部を支持する支持機構と、直線運動方向における直動部の位置を検出する検出部と、支持機構に取り付けられ、検出部を直線運動方向に移動可能に保持するセンサレールと、を備える。センサレールには、直線運動方向に延びる空隙と、直線運動方向に延び、空隙から外部に至るスリットと、が設けられている。検出部は、空隙内に配置されるセンサブロックと、センサレール外に配置されるセンサと、スリット内に配置される胴部を含み、締め付けによりセンサおよびセンサブロックをセンサレールに固定する固定ねじと、センサブロックに取り付けられ、押し縮められた状態でセンサレールの内壁面と接触する弾性部材と、を含む。センサレールおよびセンサブロックの少なくともいずれか一方には、直線運動方向に垂直な断面において、弾性部材による弾性力により、弾性部材の押し縮められる方向に交差する方向へのセンサレールに対する検出部の位置を調整する位置調整部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
上記直動装置によれば、直動部の正確な直線運動を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1における直構装置を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における直動装置を示す概略側面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における直動装置を示す概略背面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す実施の形態1の直動装置を
図2中の線分IV-IVで切断した場合の概略断面図である。
【
図5】
図5は、センサレールの一部および検出部を拡大して示す概略側面図である。
【
図6】
図5に示すセンサレールの一部および検出部を
図5中の線分VI-VIで切断した場合の概略断面図である。
【
図7】
図7は、センサレールおよび検出部を拡大して示す概略正面図である。
【
図8】
図8は、センサレールおよび検出部を
図6中の線分VIII-VIIIで切断した場合の拡大断面図である。
【
図10】
図10は、位置調整治具の他の実施の形態を拡大して示す概略側面図である。
【
図11】
図11は、位置調整治具の他の実施の形態を拡大して示す概略側面図である。
【
図12】
図12は、位置調整治具の他の実施の形態を拡大して示す概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
本開示の直動装置は、直線運動を行う直動部と、直動部を支持する支持機構と、直線運動方向における直動部の位置を検出する検出部と、支持機構に取り付けられ、検出部を直線運動方向に移動可能に保持するセンサレールと、を備える。センサレールには、直線運動方向に延びる空隙と、直線運動方向に延び、空隙から外部に至るスリットと、が設けられている。検出部は、空隙内に配置されるセンサブロックと、センサレール外に配置されるセンサと、スリット内に配置される胴部を含み、締め付けによりセンサおよびセンサブロックをセンサレールに固定する固定ねじと、センサブロックに取り付けられ、押し縮められた状態でセンサレールの内壁面と接触する弾性部材と、を含む。センサレールおよびセンサブロックの少なくともいずれか一方には、直線運動方向に垂直な断面において、弾性部材による弾性力により、弾性部材の押し縮められる方向に交差する方向へのセンサレールに対する検出部の位置を調整する位置調整部が設けられている。
【0011】
本開示の直動装置によると、検出部の位置の微調整を行う場合において、固定ねじを緩めている際に、弾性部材の弾性力により、弾性部材の押し縮められた方向において、センサブロックおよび弾性部材がセンサレールの内壁面に押し当てられた状態となっている。そうすると、固定ねじを緩めた状態においても、弾性部材が押し縮められる方向において、センサブロックおよび弾性部材とセンサレールの内壁面との間に隙間が生じない。したがって、弾性部材の押し縮められた方向における検出部のがたつきを低減して、検出部の位置のずれを抑制することができる。この場合、弾性部材は、押し縮められた状態で接触しているため、検出部の長手方向の移動は容易である。また、上記構成の位置調整部が設けられているため、弾性部材の押し縮められた方向に交差する方向における検出部の位置のずれも抑制することができる。したがって、正確な位置に検出部を固定することができる。そして、検出部による直動部の位置を正確に検出することができる。その結果、このような構成の直動装置によると、直動部の正確な直線運動を担保することができる。
【0012】
上記直動装置において、弾性部材は、板バネであってもよい。このようにすることにより、安価な構成を確保しながら、適度な弾性力でセンサレールの空隙内にセンサブロックを配置させることが容易となる。
【0013】
上記直動装置において、弾性部材のうちの内壁面に接触する領域には、内壁面側に突出する円弧面が設けられていてもよい。このようにすることにより、弾性部材とセンサレールの内壁面との間における滑りを良好にして、円滑に検出部を移動させることができる。
【0014】
上記直動装置において、センサレールは、支持機構と接触して配置される平板状の底壁部と、底壁部とそれぞれ連なって底壁部の厚さ方向に立ち上がるように配置される一対の平板状の側壁部と、スリットが設けられており、一対の側壁部のそれぞれと連なって、底壁部と間隔をあけて配置される天壁部と、を含んでもよい。空隙は、底壁部、一対の側壁部および天壁部によって取り囲まれて形成されていてもよい。弾性部材は、底壁部の内壁面と接触してもよい。このようにすることにより、弾性部材とセンサレールの内壁面とを適切に接触させながら、検出部の位置を微調整して検出部を正確な位置に固定することができる。
【0015】
上記直動装置において、位置調整部は、センサブロックに設けられ、天壁部の内壁面に対して傾斜しており、天壁部のスリット側に位置する角部と接触する第1傾斜面を含んでもよい。このようにすることにより、弾性部材の弾性力により天壁部のスリット側に位置する角部を第1傾斜面に押し当てて、弾性部材の押し縮められた方向に交差する方向における検出部の位置のずれを是正することができる。したがって、弾性部材の押し縮められた方向に交差する方向において、より正確な位置に検出部を固定することができる。
【0016】
上記直動装置において、位置調整部は、天壁部に設けられ、天壁部に対向するセンサブロックの外周面に対して傾斜しており、天壁部と対向するセンサブロックの角部と接触する第2傾斜面を含んでもよい。このようにすることにより、弾性部材の弾性力により天壁部と対向するセンサブロックの角部を第2傾斜面に押し当てて、弾性部材の押し縮められた方向に交差する方向における検出部の位置のずれを是正することができる。したがって、弾性部材の押し縮められた方向に交差する方向において、より正確な位置に検出部を固定することができる。
【0017】
上記直動装置において、センサは、光を出射する出射部と、出射部から出射された光を受光する受光部と、を含んでもよい。受光部における受光量に応じて、テーブル部の位置を検出してもよい。このようにすることにより、出射部から出射される光を利用してより正確にテーブル部の位置を検出することができる。
【0018】
上記直動装置は、長手方向を直線運動方向として回転により直動部を直線運動させるねじ軸を含んでもよい。支持機構は、長手方向に沿って延びる形状であり、直動部をガイドするガイドレールと、ねじ軸を回転可能に支持する支持部と、を含んでもよい。このような直動装置は、ボールねじ駆動装置として有効に利用される。
【0019】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動装置の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0020】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1における直動装置を示す概略平面図である。
図2は、実施の形態1における直動装置を示す概略側面図である。
図2は、
図1に示す実施の形態1の直動装置を矢印Xで示す向きに見た場合を示す。
図3は、実施の形態1における直動装置を示す概略背面図である。
図3は、
図1に示す実施の形態1の直動装置を矢印Yで示す向きと逆の向きに見た場合を示す。
図4は、
図2に示す実施の形態1の直動装置を
図2中の線分IV-IVで切断した場合の概略断面図である。
図3と
図4とは、Y方向においてそれぞれ逆側から見た図である。なお、
図1および以下に示す図において、X方向は、直動装置の幅方向である短手方向を示し、Y方向は、直動装置の直線運動方向(後述するねじ軸の長手方向)を示し、Z方向は、直動装置の高さ方向を示す。X方向、Y方向およびZ方向はそれぞれ、直交している。
【0021】
図1~
図4を参照して、本開示の実施の形態1に係る直動装置10aは、ボールねじ11aと、支持機構31aと、検出部51a,51bと、センサレール41aと、を備える。すなわち、実施の形態1における直動装置10aは、二つの同じ構成の検出部51a,51bを含む。以下においては、主に検出部51aの構成について説明する。このような直動装置10aは、ボールねじ駆動機構として有効に利用される。
【0022】
ボールねじ11aは、直線運動を行う直動部としてのテーブル部13aと、長手方向を直線運動方向として回転によりテーブル部13aを直線運動させるねじ軸12aと、を含む。すなわち、直動装置10aは、テーブル部13aとねじ軸12aとを含むボールねじ11aを備える構成である。理解を容易にする観点から、ねじ軸12aの外周面に設けられたねじ溝の図示を省略している。テーブル部13aは、ねじ軸12aに取り付けられた図示しないナットを含む。テーブル部13aは、それぞれ後述するベース部22a、第1のレール部23a、第2のレール部24a、第1支持部32aおよび第2支持部33aによって取り囲まれる空間35a内に配置される。なお、ねじ軸12aを回転させるために用いられるモータ(不図示)は、ねじ軸12aの長手方向の一方側に取り付けられる。
【0023】
テーブル部13aは、ねじ軸12aを回転させることにより、ねじ軸12aの長手方向に沿って直線運動を行う。ねじ軸12aの回転の向きを逆向きとすることにより、テーブル部13aを直線往復運動させることができる。なお、
図1~
図4においては、テーブル部13aに取り付けられ、後述する検出部51aによる位置の検出の際に用いられる板状部17aも図示している。
【0024】
支持機構31aは、ガイドレール21aと、支持部としての第1支持部32aおよび第2支持部33aと、を含む。ガイドレール21aは、ベース部22aと、第1のレール部23aと、第2のレール部24aと、を含む。ベース部22a、第1のレール部23aおよび第2のレール部24aは、それぞれY方向を長手方向とする板状であって、それぞれ厚さ方向に見て矩形状である。第1のレール部23aおよび第2のレール部24aはそれぞれ、ベース部22aからZ方向に立ち上がるように設けられる。第1のレール部23aと第2のレール部24aとは、X方向に間隔をあけて配置される。ガイドレール21aは、直線運動を行うテーブル部13aをガイドする。
【0025】
第1支持部32aおよび第2支持部33aはそれぞれ板状であって、Y方向に間隔をあけて配置される。第1支持部32aおよび第2支持部33aはそれぞれ、ベース部22aからZ方向に立ち上がるように設けられる。第1支持部32aおよび第2支持部33aにはそれぞれ、厚さ方向に貫通する貫通孔34a,35aが設けられている。それぞれの貫通孔34a,35aにねじ軸12aの両端部を嵌め込むことにより、支持機構31aは、ねじ軸12aを回転可能に支持する。本実施形態においては、支持機構31aは、ねじ軸12aを介してテーブル部13aを支持する。
【0026】
センサレール41aは、支持機構31aに取り付けられる。本実施形態においては、センサレール41aは、長手方向に延びる形状であって、ガイドレール21aに取り付けられる。より具体的には、センサレール41aは、第1のレール部23aの外側面25aに取り付けられる。センサレール41aは、Y方向に真っ直ぐに延びるように設けられる。センサレール41aには、長手方向に延びる空隙42aと、長手方向に延び、空隙42aから外部に至るスリット43aと、が設けられている。センサレール41aは、検出部51aを、直線運動方向(長手方向)に移動可能に保持する。
【0027】
図5は、センサレール41aの一部および検出部51aを拡大して示す概略側面図である。
図6は、
図5に示すセンサレール41aの一部および検出部51aを
図5中の線分VI-VIで切断した場合の概略断面図である。
図7は、センサレール41aおよび検出部51aを拡大して示す概略正面図である。
図8は、センサレール41aおよび検出部51aを
図6中の線分VIII-VIIIで切断した場合の拡大断面図である。
図9は、
図7中のIXで示す領域の拡大図である。
図5~
図9においては、検出部51aの位置を調整する際に用いられる位置調整治具71aも図示している。
【0028】
図5~
図9を併せて参照して、センサレール41aは、底壁部44aと、一対の側壁部45a,46aと、天壁部47aと、を含む。底壁部44a、一対の側壁部45a,46aおよび天壁部47aはそれぞれ、平板状である。底壁部44aは、ガイドレール21aと接触して配置される。具体的には、底壁部44aが第1のレール部23aの外側面25aに固定される。一対の側壁部45a,46aはそれぞれ、底壁部44aと連なって底壁部44aの厚さ方向に立ち上がるように配置される。一対の側壁部45a,46aは、間隔をあけて配置される。本実施形態においては、一対の側壁部45a,46aは、Z方向に間隔をあけて平行に配置される。天壁部47aは、一対の側壁部45a,46aのそれぞれと連なって配置される。天壁部47aは、底壁部44aと間隔をあけて配置される。本実施形態においては、天壁部47aは、X方向に間隔をあけて底壁部44aと平行に配置される。天壁部47aには、スリット43aが設けられている。スリット43aが設けられている位置は、Z方向において、天壁部47aの中央である。
【0029】
空隙42aは、底壁部44a、一対の側壁部45a,46aおよび天壁部47aによって取り囲まれて形成されている。空隙42aを取り囲む底壁部44a、一対の側壁部45a,46aおよび天壁部47aの内壁面は、Y方向に見て矩形状である。
【0030】
検出部51aは、センサレール41aにより長手方向に移動可能に保持される。検出部51aは、直線運動方向(長手方向)におけるテーブル部13aの位置を検出する。検出部51aは、センサブロック52aと、センサ53aと、固定ねじ54aと、を含む。センサブロック52aは、空隙42a内に配置される。センサブロック52aは、空隙42a内に配置可能な大きさであり、Z方向において、スリット43aの開口幅よりも大きい幅を有する。センサ53aは、センサレール41a外に配置される。
【0031】
なお、センサ53aは、光を出射する出射部62aと、出射部62aから出射された光を受光する受光部63aと、を含む。センサ53aは、受光部63aにおける受光量に応じて、テーブル部13aの位置を検出する。
【0032】
固定ねじ54aは、スリット43a内に配置される胴部55aを含む。固定ねじ54aは、締め付けによりセンサ53aおよびセンサブロック52aをセンサレール41aに固定する。すなわち、固定ねじ54aを締め付けることにより、検出部51aをセンサレール41aに固定することができる。
【0033】
ここで、検出部51aは、センサブロック52aに取り付けられ、押し縮められた状態でセンサレール41aの内壁面48aと接触する弾性部材としての板バネ56aを含む。板バネ56aは、センサブロック52aのうち、底壁部44aの内壁面48aに対向する面57aにねじ58aにより取り付けられている。板バネ56aは、帯状の金属板を折り曲げることにより形成されている。本実施形態においては、板バネ56aは、X方向に押し縮められている。板バネ56aのうちの内壁面48aに接触する領域には、内壁面48a側に突出する円弧面59aが設けられている。円弧面59aは、Z方向に見て円弧状である。本実施形態においては、帯状の金属板の先端を含む領域を円弧状に折り曲げることにより円弧面59aが形成される。
【0034】
また、センサレール41aおよびセンサブロック52aの少なくともいずれか一方には、直線運動方向(長手方向)に垂直な断面において、板バネ56aによる弾性力により、板バネ56aの押し縮められる方向に交差する方向へのセンサレール41aに対する検出部51aの位置を調整する位置調整部61aとしての第1傾斜面66a,66bが設けられている。本実施形態においては、位置調整部61aとしての第1傾斜面66a,66bは、
図8に示す断面において、板バネ56aの押し縮められるX方向に直交するZ方向へのセンサレール41aに対する検出部51aの位置を調整する。すなわち、位置調整部61aは、センサブロック52aに設けられ、天壁部47aの内壁面67a,67bに対して傾斜しており、天壁部47aのスリット43a側に位置する角部68a,68bと接触する第1傾斜面66a,66bを含む。
【0035】
なお、検出部51aをセンサレール41aに固定する際に、位置調整治具71aが用いられる。位置調整治具71aにより、検出部51aの位置、具体的には、検出部51aの直線運動方向(長手方向)(Y方向)の位置が微調整される。位置調整治具71aは、止めねじ72aと、ブラケット73aと、位置調整ブロック74aと、2つのねじ75a,76aと、を含む。止めねじ72aは、ブラケット73aに取り付けられる。止めねじ72aは、止めねじ72aの胴部が延びる方向が直線運動方向(長手方向)(Y方向)となるように配置される。ブラケット73aは、センサレール41a外となるように配置される。位置調整ブロック74aは、空隙42a内となるよう配置される。ねじ75a,76aは、それぞれの胴部が、スリット43a内となるよう配置され、ブラケット73aと位置調整ブロック74aとを連結する。ねじ75a,76aはそれぞれ、締め付けにより位置調整治具71aを、センサレール41aの長手方向の所定の箇所に固定することができる。
【0036】
次に、検出部51aのセンサレール41aへの固定方法について、簡単に説明する。まず、固定ねじ54aを緩めた状態で、センサブロック52aが空隙42a内となり、センサ53aがセンサレール41a外となるよう配置する。この時、例えば、センサレール41aの長手方向の一方の端部側から空隙42a内にセンサブロック52aを収容するようにして配置する。その後、検出部51aを固定したいおおよその所定の位置まで検出部51aをスライドさせて移動させる。
【0037】
次に、位置調整治具71aを配置する。この場合、ねじ75a,76aを緩めた状態で、位置調整ブロック74aが空隙42a内となり、ブラケット73aがセンサレール41a外となるよう配置する。この時、例えば、センサレール41aの長手方向の一方の端部側から空隙42a内に位置調整ブロック74aを収容するようにして配置する。そして、位置調整治具71aに含まれる止めねじ72aが、検出部51aのセンサ53aに近接するまで位置調整治具71aをスライドさせて移動させる。
【0038】
その後、固定ねじ54aを緩めた状態として、止めねじ72aを回転させて長手方向に延ばし、検出部51a、具体的には検出部51aのセンサ53aに接触させる。そして、さらに止めねじ72aを回転させてセンサ53aを長手方向に押す。このようにして、検出部51aが所定の位置となるよう、位置調整治具71aによる検出部51aの位置の調整を行う。一旦固定ねじ54aを締め付けた後、検出部51a自体の位置を測定する。検出部51aの位置が、狙いの位置に対してずれていれば、再び固定ねじ54aを緩めた状態とし、止めねじ72aによってセンサ53a、引いては検出部51aを押し進めて、正確に検出部51aが所定の位置となるよう微調整を行う。なお、検出部51bについても同様にしてセンサレール41aに固定する。
【0039】
検出部51a,51bを固定した後、板状部17aを取り付けたテーブル部13aを直線運動させて、板状部17aがどのタイミングで検出部51a,51bに到達するか、どのタイミングで検出部51a,51bが固定された位置から外れるのかをセンサ53aにより測定する。
【0040】
上記構成の直動装置10aによれば、検出部51aの位置の微調整を行う場合において、固定ねじ54aを緩めている際に、板バネ56aの弾性力により、板バネ56aの押し縮められた方向であるX方向において、センサブロック52aおよび板バネ56aがセンサレール41aの内壁面48aに押し当てられた状態となっている。そうすると、固定ねじ54aを緩めた状態においても、板バネ56aが押し縮められる方向において、センサブロック52aおよび板バネ56aとセンサレール41aの内壁面48aとの間に隙間が生じない。したがって、板バネ56aの押し縮められた方向における検出部51aのがたつきを低減して、検出部51aの位置のずれを抑制することができる。この場合、板バネ56aは、押し縮められた状態で接触しているため、検出部51aの長手方向の移動は容易である。また、上記構成の位置調整部61aが設けられているため、板バネ56aの押し縮められた方向に交差する方向における検出部51aの位置のずれも抑制することができる。したがって、正確な位置に検出部51aを固定することができる。そして、検出部51aによるテーブル部13aの直線運動を正確に検出することができる。その結果、このような構成の直動装置10aによると、テーブル部13aの正確な直線運動を担保することができる。
【0041】
本実施形態においては、弾性部材として板バネ56aを利用している。よって、安価な構成を確保しながら、適度な弾性力でセンサレール41aの空隙42a内にセンサブロック52aを配置させることが容易となる。
【0042】
本実施形態においては、板バネ56aのうちの内壁面48aに接触する領域には、内壁面48a側に突出する円弧面が設けられている。よって、板バネ56aとセンサレール41aの内壁面48aとの間における滑りを良好にして、円滑に検出部51aを移動させることができる。
【0043】
本実施形態においては、センサレール41aは、ガイドレール21aと接触して配置される平板状の底壁部44aと、底壁部44aとそれぞれ連なって底壁部44aの厚さ方向に立ち上がるように配置される一対の平板状の側壁部45a,46aと、スリット43aが設けられており、一対の側壁部45a,46aのそれぞれと連なって、底壁部44aと間隔をあけて配置される天壁部47aと、を含む。空隙42aは、底壁部44a、一対の側壁部45a,46aおよび天壁部47aによって取り囲まれて形成されている。板バネ56aは、底壁部44aの内壁面48aと接触する。よって、板バネ56aとセンサレール41aの内壁面48aとを適切に接触させながら、検出部51aの位置を微調整して検出部51aを正確な位置に固定することができる。
【0044】
本実施形態においては、位置調整部61aは、センサブロック52aに設けられ、天壁部47aの内壁面67a,67bに対して傾斜しており、天壁部47aのスリット43a側に位置する角部68a,68bと接触する第1傾斜面66a,66bを含む。よって、板バネ56aの弾性力により天壁部47aのスリット43a側に位置する角部68a,68bを第1傾斜面66a,66bに押し当てて、板バネ56aの押し縮められた方向に交差する方向であるZ方向における検出部51aの位置のずれを是正することができる。したがって、板バネ56aの押し縮められた方向に交差する方向において、より正確な位置に検出部51aを固定することができる。
【0045】
なお、位置調整治具の構成については、以下の構成としてもよい。
図10および
図11はそれぞれ、位置調整治具の他の実施の形態を拡大して示す概略側面図である。
図12は、位置調整治具の他の実施の形態を拡大して示す概略背面図である。
図10および
図11は、X方向に見た場合を示し、
図12は、Y方向に見た場合を示す。
図10は、位置調整治具を取り付けた後の状態を示し、
図11は、位置調整治具を取り付ける前の状態を示す。
図12は、
図11に示す位置調整治具の概略背面図である。
【0046】
図10、
図11および
図12を参照して、位置調整治具71bは、止めねじ72bと、ブラケット73bと、ナット81bと、ねじ75bと、を含む。止めねじ72bは、ブラケット73bに取り付けられる。ブラケット73bは、センサレール41a外となるように配置される。ナット81bは、空隙42a内となるよう配置される。ねじ75bは、締め付けにより位置調整治具71bを、センサレール41aの長手方向の所定の箇所に固定することができる。
【0047】
ここで、ナット81bは、一対の突出部82b,83bを含む。突出部82b,83bはそれぞれ、
図10に示す状態において、Z方向に突出するように設けられる。すなわち、突出部82b,83bはそれぞれ、止めねじ72bの胴部が延びる方向と垂直な方向に突出するよう設けられる。突出部82b,83bの突出量は、ナット81bが空隙42a内に収まり、
図10に示す状態において、突出部82b,83bがセンサレール41aの側壁部に干渉しない量である。また、突出部82b,83bの先端同士の間隔は、スリット43aの幅よりも大きい。また、
図10に示す状態において、ナット81bの側面84b,85bのY方向の間隔は、スリット43aの幅よりも小さい。
【0048】
このような構成の位置調整治具71bは、まず
図11および
図12に示すように、止めねじ72bがZ方向に延び、突出部82b,83bがY方向に延びるようにした状態で、ナット81bを空隙42a内に配置させる。この時、側面84b,85bの間隔は、スリット43aの幅よりも小さいため、突出部82b,83bが天壁部47aに干渉すること無く、スムースにナット81bを空隙42内に収容することができる。
【0049】
そして、位置調整治具71bを、
図11中の太い矢印で示すように90度回転させる。そうすると、
図10に示す状態となる。この時、突出部82b,83bの先端同士の間隔は、スリット43aの幅よりも大きいため、天壁部47aとナット81bの突出部82b,83bとが引っ掛かることになる。このように構成することにより、位置調整治具71bを、センサレール41aの端部からではなく、センサレール41aの中央から取り付けることができる。そして、突出部82b,83bにより位置調整治具71bのセンサレール41aからの脱落を防止することができる。位置調整治具71bの位置を所定の位置に配置させた後は、ねじ75bを締めこんで、センサレール41aに位置調整治具71bを固定すればよい。
【0050】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態においては、弾性部材は、板バネであることとしたが、これに限らない。弾性部材は、金属製でなくともよく、樹脂製であってもよい。弾性部材は、ゴム状のブロック状の部材であってもよい。
【0051】
また、上記実施の形態においては、弾性部材のうちの内壁面に接触する領域には、内壁面側に突出する円弧面が設けられていることとしたが、これに限らず、弾性部材のうちの内壁面に接触する領域は、内壁面に沿った平面であってもよいし、内壁面に対して傾斜した平面であってもよい。また、円弧面は、Y方向に見て円弧状に見える面であってもよい。
【0052】
なお、上記実施の形態においては、位置調整部は、センサブロックに設けられ、天壁部の内壁面に対して傾斜しており、天壁部のスリット側に位置する角部と接触する第1傾斜面を含むこととしたが、これに限らず、位置調整部は、天壁部に設けられ、天壁部に対向するセンサブロックの外周面に対して傾斜しており、天壁部と対向するセンサブロックの角部と接触する第2傾斜面を含むこととしてもよい。すなわち、上記第1傾斜面は、傾斜した面をセンサブロック側に設けることとしたが、上記第2傾斜面として傾斜した面をセンサレール側に設けることとしてもよい。また、上記第1傾斜面と上記第2傾斜面とを両方設けることにしてもよい。この場合、それぞれの傾斜の角度を同じとしてもよいし、異ならせてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態においては、第1傾斜面は、平面であることとしたが、これに限らず、円弧面であってもよいし、円弧面と平面とが複数連なって第1傾斜面が構成されていてもよい。
【0054】
なお、上記実施の形態においては、直動装置がボールねじ駆動装置である場合について説明したが、これに限らない。例えば、直動装置として、リニアモータを適用してもよいし、タイミングベルトを適用してもよい。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10a 直動装置、11a ボールねじ、12a ねじ軸、13a テーブル部、17a 板状部、21a ガイドレール、22a ベース部、23a 第1のレール部、24a 第2のレール部、25a 外側面、31a 支持機構、32a 支持部(第1支持部)、33a 支持部(第2支持部)、34a,35a 貫通孔、41a センサレール、42a 空隙、43a スリット、44a 底壁部、45a,46a 側壁部、47a 天壁部、48a,67a,67b 内壁面、51a,51b 検出部、52a センサブロック、53a センサ、54a 固定ねじ、55a 胴部、56a 板バネ、57a 面、58a,75a,75b,76a ねじ、59a 円弧面、61a 位置調整部、62a 出射部、63a 受光部、66a,66b 第1傾斜面、68a,68b 角部、71a,71b 位置調整治具、72a,72b 止めねじ、73a,73b ブラケット、74a 位置調整ブロック、81b ナット、82b,83b 突出部、84b,85b 側面。