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  • 特開-誘導装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115548
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】誘導装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20230814BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20230814BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F11/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017822
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松田 千怜
(72)【発明者】
【氏名】福光 超
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA09
3L260CA12
3L260CA17
3L260CA29
3L260CB78
3L260GA17
3L260GA18
(57)【要約】
【課題】 例えば、固定席を持たないオフィスワーカーのワークプレイス等を誘導可能な誘導装置の一例を開示する。
【解決手段】 誘導装置10は、対象空間内のうち空気質が相対的に良好な領域を着席推奨領域として決定する。これにより、当該誘導装置10は、対象空間に在する事務員等を空気質の安全性を担保可能な領域に誘導でき得る。なお、誘導装置10は、対象空間内のうち空気質が相対的に良好な場所を誘導先として決定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物又は室内(以下、対象空間という。)に在する人を誘導する誘導装置において、
対象空間の空気質の分布を取得する空気質取得部と、
空気質を示す値を利用して誘導先を決定する決定部であって、対象空間内のうち空気質が相対的に良好な場所を誘導先として決定する決定部と
を備える誘導装置。
【請求項2】
対象空間の空調負荷の分布を取得する空調負荷取得部を備え、
前記決定部は、空気質が同等な値となる場所が複数存在する場合には、空調負荷が相対的に小さい場所を誘導先として決定する請求項1に記載の誘導装置。
【請求項3】
建物又は室内(以下、対象空間という。)に在する人を誘導する誘導装置において、
対象空間の空調負荷の分布を取得する空調負荷取得部と、
空調負荷を利用して誘導先を決定する決定部であって、空調負荷が相対的に小さい場所を誘導先として決定する決定部と
を備える誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物又は室内(以下、対象空間という。)に在する人を誘導する誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明は、数値解析により空間内の空気齢分布を演算し、空気齢が所定値以上となる流域を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/131425号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、例えば、固定席を持たないオフィスワーカーのワークプレイス等を誘導可能な誘導装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
建物又は室内(以下、対象空間という。)に在する人を誘導する誘導装置例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、対象空間の空気質の分布を取得する空気質取得部と、空気質を示す値を利用して誘導先を決定する決定部であって、対象空間内のうち空気質が相対的に良好な場所を誘導先として決定する決定部とである。
【0006】
これにより、当該誘導装置は、対象空間に在する人を空気質の安全性を担保可能な場所に誘導でき得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る誘導システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成等に限定されない。
【0009】
なお、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された誘導装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素、並びに図示された構成要素を備える。
【0010】
(第1実施形態)
<1.誘導システムの概要>
本実施形態は、固定席を持たないオフィスワーカー(以下、事務員等という。)のワークプレイス(以下、着席推奨領域という。)を誘導するための誘導システムに本開示に係る誘導装置の一例が適用されたものである。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係る誘導システムは、誘導装置10、空調装置20及びBEMS(図示せず。)等を有して構成されている。空調装置20は、建物又は室内(以下、対象空間という。)に空調風を供給する。
【0012】
なお、本実施形態に係る空調装置20は、冷房及び暖房のいずれも可能である。BEMSは、対象空間の照明や空調装置20等を制御することににより、当該対象空間の消費エネルギーを最適化するビルエネルギー管理システムである。
【0013】
誘導装置10は、誘導先決定機能及び誘導先提示機能が実行可能である。なお、本実施形態に係る誘導装置10は、CPU又はGPU等の演算ユニット、ROM及びRAM等を有するコンピュータ、記憶部11及び通信部12等を有して構成されている。
【0014】
なお、本実施形態では、誘導先決定機能及び誘導先提示機能は、ソフトウェアが演算ユニットにて実行されることにより実現される。当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0015】
<2.誘導先決定機能>
誘導先決定機能は、対象空間に在する人、つまり事務員等の着席推奨領域を決定する機能である。誘導装置10は、対象空間内における空気質の分布及び空調負荷の分布を利用して、誘導先である着席推奨領域を決定する。
【0016】
すなわち、誘導装置10には、「対象空間内の空調負荷分布を示す情報(以下、空調情報という。)」、及び「空気齢分布を決定するための情報(以下、空気情報という。)」が入力されている。
【0017】
なお、誘導装置10は、空調装置20から空気情報を取得し、BEMSから空気情報を取得する。空気情報には、空調装置20の運転状態及び対象空間に設けられた窓や換気口の開閉状態を示す情報等が少なくとも含まれている。
【0018】
本実施形態では、空気質を示す指標として、例えば、空気齢を利用している。つまり、本実施形態に係る誘導装置10は、空気齢の値が小さくなるほど、空気質が良好であると判断する。換言すれば、空気齢が小さい領域は、空気齢が大きい領域に比べて、空気質が相対的に良好な場所となる。
【0019】
空気齢は、給気口等から対象空間に流入した空気が、対象空間のある点に至るまでの時間として定義される。そこで、誘導装置10は、空気情報を利用して空気齢分布を決定する。なお、本実施形態では、例えば、以下の手法により空気齢分布を決定する。
【0020】
<2.1 空気齢分布の決定手法例>
空調装置20の運転状態及び窓や換気口の開閉状態、つまり空気情報に応じて対象空間における気流が異なる。そして、空気齢の分布は、気流の状態に応じて変化する。
【0021】
そこで、本実施形態では、対象空間について想定される複数種類の空気情報が予め決定され、かつ、それら想定される空気情報それぞれについての空気齢分布が、予め数値解析又は試験にて決定されている。
【0022】
当該決定された空気齢の分布は、空気情報に関連付けられた状態で記憶部11に予め記憶されている。そして、誘導装置10は、取得した空気情報に対応する空気齢分布を記憶部11に記憶されている空気齢分布の中から選択する。
【0023】
<2.2 着席推奨領域の決定手法>
誘導装置10は、原則として、対象空間内のうち空気質が相対的に良好な場所、つまり空気齢が相対的に小さい領域を着席推奨領域として決定する。このとき、空気質、つまり空気齢が同等な値となる領域が複数存在する場合には、空調負荷が相対的に小さい領域を着席推奨領域として決定する。
【0024】
具体的には、誘導装置10は、例えば、以下の番号順に誘導先(着席推奨領域)を決定する。
【0025】
(1)空気齢が所定値以下、かつ、空調負荷が所定値以下の領域
(2)空気齢が所定値以下、かつ、空調負荷が所定値より大きい領域
(3)空気齢が所定値より大きく、かつ、空調負荷が所定値以下の領域
(4)空気齢が所定値より大きく、かつ、空調負荷が所定値より大きい領域
<3.誘導先提示機能>
誘導先提示機能は、誘導先決定機能により決定された着席推奨領域を事務員等に提示する機能である。本実施形態に係る誘導装置10は、通信部12を介してスマートフォン等の携帯端末機30に着席推奨領域を表示させる。これにより、誘導装置10は、事務員等の対象空間に在する人を着席推奨領域に誘導する。
【0026】
<4.本実施形態に係る誘導装置の特徴>
誘導装置10は、対象空間内のうち空気質が相対的に良好な領域を着席推奨領域として決定する。これにより、当該誘導装置10は、対象空間に在する事務員等を空気質の安全性を担保可能な領域に誘導でき得る。
【0027】
また、誘導装置10は、空気質、つまり空気齢が同等な値となる領域が複数存在する場合には、空調負荷が相対的に小さい領域を着席推奨領域として決定する。これにより、当該誘導装置10は、空気質の安全性を担保しつつ、省エネルギー性を向上させることが可能な領域に事務員等を誘導でき得る。
【0028】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、予め決められた空気情報と空気齢分布との関係を利用して、取得された空気情報に対応する空気齢分布を決定した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、空気情報が取得された時に当該取得された空気情報に基づいて空気齢分布を数値解析して空気齢分布を決定する構成であってもよい。
【0029】
上述の実施形態では、空気質を示す指標として空気齢を用いた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、余命もしくは空気寿命等の換気に関する指標、又はその他の指標を用いてもよい。つまり、空気質は、空気齢、余命及び空気寿命のうち少なくとも1つの指標を含むものであってもよい。
【0030】
上述の実施形態に空調装置20は、外気導入を利用した空調機能の有無は不問である。つまり、本開示は、外気導入時及び非外気導入時のいずれも適用可能である。因みに、外気導入時の空気齢分布と非外気導入時の空気齢分布とは異なる分布となる。
【0031】
上述の実施形態では、空気齢分布の決定において、事務員等の所在位置を考慮していなかった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、赤外線カメラ等により事務員等の所在位置を把握し、当該所在位置、事務員等の体温、及び取得された空気情報に基づいて空気齢分布を数値解析して空気齢分布を決定する構成であってもよい。
【0032】
上述の実施形態では、携帯型端末機30を介して着席推奨領域を事務員等に提示した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、対象空間内に常設されている表示装置に着席推奨領域を表示する、又は音声にて着席推奨領域を提示する等の構成であってもよい。
【0033】
上述の実施形態では、空気質及び空調負荷に基づいて着席推奨領域を決定する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、空気質及び空調負荷のうちいずれか一方に基づいて着席推奨領域を決定する構成であってもよい。
【0034】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
10… 誘導装置
11… 記憶部
12… 通信部
20… 空調装置
30… 携帯端末機
図1