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特開2023-115602コンクリート敷均装置及びコンクリート敷均方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115602
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】コンクリート敷均装置及びコンクリート敷均方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017910
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 雅嘉
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA01
2D052AC01
2D052BD12
2D052DA31
(57)【要約】
【課題】施工対象路面に敷き均されるコンクリートの強度低下を抑制する。
【解決手段】コンクリート敷均装置100は、フレーム200と、フレーム200を走行させる走行装置300と、フレーム200に取り付けられた第1のスクリード400及び第2のスクリード500と、第1のスクリード400及び第2のスクリード500のうち、フレーム200の走行方向の最前方に位置するする第1のスクリード400に取り付けられた振動装置600と、を備えている。ここで、第1のスクリード400及び第2のスクリード500は、フレーム200の走行方向に対して左右方向に延びつつ、走行方向の離間した位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームを走行させる走行装置と、
前記フレームの走行方向に対して左右方向に延びつつ当該走行方向の離間した位置に配置され、かつ前記フレームに取り付けられた複数のスクリードと、
前記フレームの走行方向の最前方に位置するするスクリードに取り付けられた振動装置と、
を備えたコンクリート敷均装置。
【請求項2】
前記複数のスクリードは、互いに異なる位相で左右方向に往復動する、
請求項1に記載のコンクリート敷均装置。
【請求項3】
前記複数のスクリードの後方に、前記フレームの走行方向と平行に延びつつ、前記フレームの走行方向に対して左右方向に往復動する仕上げコテが取り付けられた、
請求項1又は請求項2に記載のコンクリート敷均装置。
【請求項4】
前記仕上げコテは、前記フレームの走行方向と平行に更に往復動する、
請求項3に記載のコンクリート敷均装置。
【請求項5】
前記仕上げコテは、
前記フレームの走行方向と平行に延びるコテ本体と、
前記コテ本体の上面において、前記コテ本体の延設方向の離間した2位置から上方に向かって延びる一対のブラケットと、
前記一対のブラケットの一方に相対回転可能に連結された第1の部材と、
前記一対のブラケットの他方に相対回転可能に連結された第2の部材と、
前記第1の部材の一端部と前記第2の部材の一端部とを相対回転可能に連結しつつ、前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記一対のブラケットを介して、前記コテ本体を前記フレームに取り付ける取付フレームと、
を備え、
前記一対のブラケットの一方は、前記コテ本体の延設方向に関して所定範囲内でスライド可能になっている、
請求項1~請求項4のいずれか1つに記コンクリート敷均装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1つに記載のコンクリート敷均装置を使用して、前記走行装置によって前記フレームを走行させて、前記フレームの走行方向の最前方に位置するスクリードに取り付けられた振動装置を作動させつつコンクリートを施工対象路面に敷き均した後、他のスクリードによってコンクリートを施工対象路面に更に敷き均す、コンクリート敷均方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートを敷き均すコンクリート敷均装置、及びコンクリート敷均方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施工対象路面にコンクリートを敷き均すコンクリート敷均装置は、特開2014-62432号公報(特許文献1)に記載されるように、左右方向に延びるスクリードによって1工程でコンクリートを路面に敷き均している。ここで、特許文献1に記載のコンクリート敷均装置では、コンクリートの密度を高めて仕上がりを良好にするために、スクリードに取り付けられた振動装置を作動させつつコンクリートを敷き均している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-62432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンクリートは、主成分としてのモルタル(セメント)及び骨材(石、砕石、砂など)を適宜混合して生成されている。このようなコンクリートを路面に敷き均すとき、スクリードが振動することによって、コンクリートの密度を向上させている。しかしながら、過剰な振動によってコンクリートに含まれるモルタル成分が表面に過剰に浮いてしまう。この状態でコンクリートが硬化すると、骨材の上にモルタル層が形成されて強度が低下し、所要の強度が得られなくなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、施工対象路面に敷き均されるコンクリートの強度低下を抑制することができる、コンクリート敷均装置及びコンクリート敷均方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンクリート敷均装置は、フレームと、フレームを走行させる走行装置と、フレームに取り付けられた複数のスクリードと、フレームの走行方向の最前方に位置するスクリードに取り付けられた振動装置と、を備えている。ここで、複数のスクリードは、フレームの走行方向に対して左右方向に延びつつ、走行方向の離間した位置に配置されている。
【0007】
また、コンクリート敷均方法では、上記のように構成されたコンクリート敷均装置を使用して、走行装置によってフレームを走行させて、フレームの走行方向の最前方に位置するスクリードに取り付けられた振動装置を作動させつつコンクリートを施工対象路面に敷き均した後、他のスクリードによってコンクリートを施工対象路面に更に敷き均す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、施工対象路面にコンクリートを路面に敷き均すとき、コンクリートに含まれるモルタル成分が表面に浮くことを抑制して、コンクリートの強度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コンクリート敷均装置の一例を示す上面図である。
図2】コンクリート敷均装置の一例を示す正面図である。
図3】コンクリート敷均装置の一例を示す側面図である。
図4】仕上げコテの一例を示す拡大図である。
図5】仕上げコテを折り曲げた状態の説明図である。
図6】仕上げコテを展開した状態の説明図である。
図7】コンクリートを敷き均す手順の一例を示すフローチャートである。
図8】仕上げコテに作用する荷重の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1図3は、施工対象路面にコンクリートを敷き均すコンクリート敷均装置100の一例を示している。コンクリート敷均装置100によって施工対象路面に敷き均されるコンクリートは、主成分としてのモルタル(セメント)及び骨材(石、砕石、砂など)、並びに水及び若干の空気泡を適宜混合して生成されている。なお、コンクリートとしては、例えば、滑走路などの高温に晒される路面で使用される、耐熱性を有するコンクリートを含んでいてもよい。
【0011】
コンクリート敷均装置100は、フレーム200と、フレーム200を一方向(図1に示す一例では上方)に走行させる走行装置300と、フレーム200に取り付けられた第1のスクリード400及び第2のスクリード500と、を備えている。第1のスクリード400及び第2のスクリード500は、フレーム200の走行方向に対して垂直な左右方向に延びている。そして、第1のスクリード400は、フレーム200の走行方向に関して、第2のスクリード500の前方に配置されている。また、コンクリート敷均装置100は、上記の構成に加えて、第1のスクリード400及び第2のスクリード500のうち、フレーム200の走行方向の最前方に位置する第1のスクリード400の離間した2位置に取り付けられた2つの振動装置600を備えている。ここで、第1のスクリード400に取り付けられた振動装置600は、2つに限らず、例えば、振動特性、施工対象路面の幅などに適合した任意の個数とすることができる(以下同様)。
【0012】
なお、以下で説明するコンクリート敷均装置100は、第1のスクリード400及び第2のスクリード500という2つのスクリードを備えているが、3つ以上のスクリードを備えていてもよい。この場合、振動装置600は、複数のスクリードのうち、フレーム200の走行方向の最前方に位置するスクリードに取り付けられていればよい。
【0013】
フレーム200は、複数の鋼管を適宜接合して構成されており、平面視で矩形形状の骨組みを有するメインフレーム220と、メインフレーム220に対して上下動可能に取り付けられたサブフレーム240と、を含んで構成されている。
【0014】
メインフレーム220は、材軸が上下方向に延びる4つの垂直部材222と、材軸が左右方向に延びる2つの第1の横架部材224と、材軸が前後方向に延びる2つの第2の横架部材226と、材軸が前後方向に延びる2つの連結サポート228と、垂直部材222の下端部に連結された4つの脚部材230と、材軸が前後方向に延びる2つの連結バー232と、材軸が前後方向に延びる複数、例えば、5つの補強部材234と、を含んで構成されている。
【0015】
垂直部材222は、その長さを任意に変更可能な2つの鋼管からなり、平面視で矩形形状の骨組みの四隅に夫々配置されている。第1の横架部材224は、垂直部材222の中間部の所定箇所において、左右方向に沿って配置された2つの垂直部材222を連結するように配置されている。第2の横架部材226は、垂直部材222の中間部の所定箇所において、前後方向に沿って配置された2つの垂直部材222を連結するように配置されている。連結サポート228は、垂直部材222の上部の所定箇所において、前後方向に沿って配置された2つの垂直部材222を連結するように配置されている。脚部材230は、下面が開口する平面視で矩形形状をなす箱型形状の鋼製部材であって、その長辺が前後方向に延びた状態で垂直部材222の下端部に配置されている。連結バー232は、脚部材230の上面の所定箇所において、前後方向に沿って配置された2つの脚部材230を連結するように配置されている。補強部材234は、第1の横架部材224の離間した複数の所定箇所において、前後方向に沿って配置された2つの第1の横架部材224を連結するように配置されている。
【0016】
サブフレーム240は、材軸が左右方向に延びる第1の部材242と、材軸が左右方向に延びて第1の部材242よりも全長が若干長い第2の部材244と、材軸が前後方向に延びて離間した複数箇所において第1の部材242と第2の部材244とを連結する複数の横架部材246と、材軸が斜めに延びて第1の部材242の一端部とここから左右方向に突出した第2の部材244の一端部とを連結する斜向部材248と、を含んで構成されている。ここで、第1の部材242は、フレーム200の走行方向に関して、第2の部材244の前方に配置されている。また、サブフレーム240は、上記の構成に加えて、フレーム200の走行方向の後方に位置する第2の部材244と一体化されて、後述する仕上げコテ800を左右方向にスライド可能にするレール部材250を備えている。
【0017】
そして、サブフレーム240は、メインフレーム220の離間した2位置に取り付けられた、スプリングを内蔵した2つの吊下装置260を介して、メインフレーム220に対して水平状態で弾性的に吊り下げられている。ここで、吊下装置260としては、スプリングによって吊下対象物を弾性的に吊り下げるものに限らず、例えば、電動モータ及び減速機からなるアクチュエータ、油圧シリンダなども使用することができる。
【0018】
走行装置300は、フレーム200の脚部材230の内部空間に配置されたクローラ320と、クローラ320を駆動する走行アクチュエータ340と、走行アクチュエータ340の出力軸の回転速度を減速する減速機360と、を含んで構成されている。そして、走行アクチュエータ340は、減速機360を介して、フレーム200の脚部材230の所定箇所に取り付けられている。なお、走行装置300としては、クローラ320に限らず、例えば、鉄製の車輪、ゴム製の車輪などの周知の手段を使用することもできる。
【0019】
第1のスクリード400及び第2のスクリード500はそれぞれ、サブフレーム240の離間した2位置に取り付けられた2つの支持装置700(一部不図示)を介して、サブフレーム240に対して左右方向にスライド可能に取り付けられている。また、第1のスクリード400及び第2のスクリード500は、サブフレーム240の所定箇所、例えば、第1の部材242に取り付けられた差動機構720によって、互いに異なる位相で左右方向に往復動するようなっている。具体的には、差動機構720は、サブフレーム240の第1の部材242に取り付けられた電動モータなどの差動アクチュエータ722と、差動アクチュエータ722の出力軸の回転速度を減速する減速機724と、減速機724の両側面から夫々突出する出力軸に固定された円板部材726と、円板部材726の周縁部と第1のスクリード400及び第2のスクリード500の上面の所定箇所とを相対回転可能に連結する連結部材728と、を含んで構成されている。ここで、各円板部材726に対する連結部材728の連結箇所を適宜異ならせることで、第1のスクリード400及び第2のスクリード500は、互いに異なる位相で左右方向に往復動する。
【0020】
振動装置600は、例えば、電動モータなどのアクチュエータによって回転するアンバランスウェイトを内蔵し、これが回転することで所定周波数の振動を発生させる。そして、振動装置600は、第1のスクリード400を介して、このように発生させた振動を施工対象路面に供給されたコンクリートに伝達する。
【0021】
また、コンクリート敷均装置100は、フレーム200、走行装置300、第1のスクリード400、第2のスクリード500及び振動装置600に加えて、第1のスクリード400及び第2のスクリード500によって施工対象路面に敷き均されたコンクリートの平坦度を高める仕上げコテ800を更に備えている。
【0022】
仕上げコテ800は、図3及び図4に示すように、サブフレーム240のレール部材250に対して、その延設方向である左右方向にスライド可能に取り付けられている。具体的には、仕上げコテ800は、平面視で矩形形状をなす支持フレーム810と、支持フレーム810の先端部に相対回転可能に取り付けられた垂下フレーム820と、垂下フレーム820の下端部に取り付けられたコテ830と、コテ830の高さを調整する高さ調整機構840と、を含んで構成されている。ここで、支持フレーム810及び垂下フレーム820は、取付フレームの一例として挙げられる。
【0023】
支持フレーム810の基端部は、レール部材250の上面及び下面を挟んで固定する上下一対のローラ812を介して、サブフレーム240に対して片持ち状態で取り付けられている。また、支持フレーム810の基端部の上面には、サブフレーム240に対して仕上げコテ800を左右方向にスライドさせるための駆動力を発生する、電動モータなどのアクチュエータ814が取り付けられている。アクチュエータ814の出力軸には、図示しない減速機を介して、サブフレーム240の上面に固定されたラック252と噛み合うギア816が取り付けられている。従って、アクチュエータ814を作動させると、その出力軸の回転速度が減速機によって減速されつつギア816に伝達され、これに噛み合うラック252を介して、サブフレーム240に対して仕上げコテ800を左方又は右方へとスライドさせることができる。
【0024】
垂下フレーム820は、左右方向に延びる回転軸周りに相対回転可能なように、支持フレーム810の先端部に取り付けられている。
【0025】
コテ830は、施工対象路面に敷き均されたコンクリートの仕上げを行うコテ本体832と、コテ本体832の上面の離間した2位置から上方に向かって延びる一対のブラケット834と、一対のブラケット834に対して左右方向に延びる回転軸周りに相対回転可能に連結された直線状の第1の部材836及び第2の部材838と、を含んで構成されている。第1の部材836及び第2の部材838の先端部は、左右方向に延びる回転軸周りに相対回転自由に連結され、その連結点が垂下フレーム820の下端部に連結されている。従って、仕上げコテ800のコテ本体832は、フレーム200に対して前後方向に延設された状態で固定されている。
【0026】
また、コテ830の一対のブラケット834の一方、例えば、前方に位置するブラケット834の下端部は、コテ本体832の上面に対して前後方向に移動できない状態で固定されている。一方、コテ830の一対のブラケット834の他方、例えば、後方に位置するブラケット834の下端部は、コテ本体832の上面に対して前後方向に相対変位可能に固定されている。従って、垂下フレーム820に対するコテ830の連結点とコテ本体832の底面との距離が変化したとき、後方に位置するブラケット834がコテ本体832に対して変位することで、第1の部材836と第2の部材838とがなす角度が変化し、その距離変化に容易に対応することができる。
【0027】
高さ調整機構840は、支持フレーム810の先端部に取り付けられたウィンチ842と、「く字形状」に屈曲したリンク部材844と、ウェイト846と、ローラ848と、を含んで構成されている。リンク部材844の屈曲部は、支持フレーム810の先端部近傍の上面から上方に突出する取付ブラケット818を介して、支持フレーム810に対して左右方向に延びる回転軸周りに相対回転可能なように、屈曲部が上方に位置する状態で取り付けられている。リンク部材844の一端部、具体的には、前方に位置する一端部には、左右方向に延びる回転軸周りに相対回転可能にウェイト846が取り付けられている。また、リンク部材844の他端部、具体的には、後方に位置する他端部には、左右方向に延びる回転軸周りに回転可能にローラ848が取り付けられている。そして、ウィンチ842に巻き回されたワイヤ842Aの自由端は、リンク部材844のローラ848を介して、コテ本体832の所定箇所に連結されている。
【0028】
従って、ウィンチ842を操作してワイヤ842Aの長さを変えることで、支持フレーム810に対するコテ本体832の相対位置が変化してその高さを調整することができる。このとき、上述したように、第1の部材836と第2の部材838とがなす角度が変化し、垂下フレーム820に対するコテ830の連結点とコテ本体832の底面との距離変化に容易に対応することができる。
【0029】
また、支持フレーム810の下部の所定箇所には、支持フレーム810の先端部に対して垂下フレーム820を前後方向に搖動させて、サブフレーム240に対してコテ830を前後方向に往復動させる往復動機構850が取り付けられている。往復動機構850は、回転駆動力を発生する電動モータなどのアクチュエータ852と、アクチュエータ852の出力軸の回転速度を減速しつつその回転方向を90°変向する減速機854と、減速機854の出力軸に固定された円板部材856と、円板部材856の周縁部の所定箇所と垂下フレーム820の中間部とを左右方向に延びる回転軸周りに相対回転可能に連結する連結ロッド858と、を含んで構成されている。
【0030】
従って、アクチュエータ852を作動させると、その回転軸の回転駆動力が減速機854を介して円板部材856に伝達されて、左右方向に延びる回転軸周りに円板部材856が回転する。円板部材856が回転すると、前後方向における連結ロッド858の位置が変化し、支持フレーム810の先端部に対して垂下フレーム820を前後方向に所定角度に亘って搖動させる。その結果、支持フレーム810に対するコテ830の位置が前後方向に変化し、コテ本体832の全長を超えた範囲内のコンクリートを仕上げることができる。このとき、支持フレーム810に対するコテ830の位置が前後方向に変化しても、垂下フレーム820の下端部に対する第1の部材836及び第2の部材838の連結角度が変化するので、コテ本体832の前後運動によって、コンクリートの表面からコテ本体832が離れたり必要以上に押し付けられたりすることを抑制することができる。
【0031】
ところで、仕上げコテ800は、フレーム200のサブフレーム240から後方に向かって垂直に延びているので、例えば、コンクリート敷均装置100の移送などに支障がでる可能性がある。そこで、図5に示すように、周知のリンク機構などを使用して、サブフレーム240に対して仕上げコテ800を平行に折り曲げ可能にするように構成してもよい。このようにすれば、コンクリート敷均装置100の移送時に仕上げコテ800を折り曲げることで、サブフレーム240から後方に突出する仕上げコテ800の長さが短くなり、例えば、トラックなどにコンクリート敷均装置100を積載することができるようになる。なお、コンクリート敷均装置100の移送が完了したら、図6に示すように、折り曲げておいた仕上げコテ800を展開すればよい。
【0032】
さらに、フレーム200の所定箇所には、走行装置300の走行アクチュエータ340、振動装置600、差動アクチュエータ722、並びに仕上げコテ800のアクチュエータ814及び852に駆動電流を供給する発電機(図示せず)、並びにこれらの動作を制御する制御盤(図示せず)が取り付けられている。そして、制御盤に取り付けられたスイッチなどを適宜操作することで、各種のアクチュエータ及び振動装置600などが作動し、所要の目的を達成するための機能が発揮される。なお、発電機は、コンクリート敷均装置100の外部に設置されていてもよい。また、各種のアクチュエータ及び振動装置600などは、発電機に限らず、外部に設置された商用電源から駆動電流が供給されてもよい。
【0033】
次に、このようなコンクリート敷均装置100を使用して、施工対象路面にコンクリートを敷き均す方法の一例について説明する。図7は、コンクリートを敷き均す手順を表したフローチャートを示している。なお、図7に示す手順は、図示の順序に限らず、コンクリートを敷き均すことが可能な限度において適宜変更することもできる。
【0034】
ステップ10(図7では、「S10」と略記する。以下同様。)では、作用者などが、施工対象路面上に鉄筋を縦断方向に連続的に配置する。
【0035】
ステップ11では、作業者などが、鉄筋を配置した施工対象路面の端部にコンクリート敷均装置100を設置する。
【0036】
ステップ12では、鉄筋を配置した施工対象路面であって、コンクリート敷均装置100の走行方向の前方に位置する施工対象路面上に、作業者などが、例えば、バックホーなどを使用して硬化前のコンクリートを供給し始める。このとき、作業者などは、施工対象路面上に供給されたコンクリートをさらに広げるようにしてもよい。
【0037】
ステップ13では、作業者などがコンクリート敷均装置100を操作して、各種のアクチュエータを作動させながら、コンクリート敷均装置100を走行させる。
【0038】
このようにすれば、施工対象路面に供給されたコンクリートは、コンクリート敷均装置100の走行方向の最前方に位置する第1のスクリード400が左右方向に往復動することで左右方向に敷き拡げられる。そして、このように敷き拡げられたコンクリートの表面上を第1のスクリード400が通過することで、コンクリートの敷き均し厚さを目標厚さにある程度近づけることができる。このとき、第1のスクリード400は振動装置600によって振動するので、コンクリートに含まれる骨材をしっかりと押し付けることができ、コンクリートの密度を高めることができる。また、第1のスクリード400によってコンクリートの敷き均しがすべて完了するわけでないので、振動装置600による振動を強いものとする必要がなく、コンクリートの表面にモルタル成分が浮かんでその強度が低下することを抑制できる。
【0039】
第1のスクリード400によって敷き均されたコンクリートは、その後方に位置して左右方向に往復動する第2のスクリード500によって更に敷き均される。このとき、第2のスクリード500の両端部が、コンクリートの敷き均し高さを規定する型枠(図示せず)の上面を擦りながら移動することで、コンクリートの敷き均し高さを目標高さに更に近づけることができる。また、第2のスクリード500は振動装置600によって振動しないので、コンクリートに過度に振動を与えることがなく、コンクリートに含まれるモルタル成分が表面に浮かぶ心配がほとんどない。
【0040】
第1のスクリード400及び第2のスクリード500によって施工対象路面に敷き均されたコンクリートは、これらの後方に位置する仕上げコテ800が前後方向及び左右方向に往復動することで仕上げられる。このとき、垂下フレーム820に対してコテ830の第1の部材836及び第2の部材838が相対回転可能であるので、図8に示すように、垂下フレーム820を介してコテ本体832に伝達される荷重は、第1の部材836及び第2の部材838に沿って外方へと向かう。従って、コテ本体832からコンクリートへと過度な荷重が伝達されることが回避されて、コンクリート舗装面の平坦性を損なうことが抑制される。
【0041】
なお、当業者であれば、上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置換したりすることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【0042】
その一例を挙げると、コンクリート敷均装置100のフレーム200は、上記の構成に限らず、所要の機能を発揮可能な任意の構成とすることもできる。また、コンクリート敷均装置100のフレーム200に関し、施工幅が異なる施工対象路面に対応可能とすべく、左右方向の幅を任意に調整可能な機構を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 コンクリート敷均装置
200 フレーム
220 メインフレーム
240 サブフレーム
250 レール部材
252 ラック
300 走行装置
400 第1のスクリード
500 第2のスクリード
600 振動装置
720 差動機構
800 仕上げコテ
810 支持フレーム(取付フレーム)
812 ローラ
814 アクチュエータ
816 ギア
820 垂下フレーム(取付フレーム)
832 コテ本体
834 ブラケット
836 第1の部材
838 第2の部材
850 往復動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8