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特開2023-115613排出データ管理システム、サーバ装置、排出データ管理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115613
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】排出データ管理システム、サーバ装置、排出データ管理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230814BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20230814BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017932
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西村 健志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真人
(72)【発明者】
【氏名】嶋澤 祐子
(72)【発明者】
【氏名】松永 博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】柿田 幸佑喜
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】より適切にデータを管理することができる排出データ管理システム等を提供する。
【解決手段】排出データ管理システム10は、排出物を撮像することにより排出物画像を生成するセンサ24a(撮像器)を有し、前記排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置と、前記排出物検知装置に通信接続され、排出物検知装置とは離間されたサーバ装置(第1記憶サーバ40、分析サーバ70、及び、第2記憶サーバ)と、を備え、前記サーバ装置は、生成された前記排出物画像を取得して記憶する第1記憶部41と、前記第1記憶部41に記憶されている前記排出物画像を分析することによって当該排出物に関する排出データを出力する分析部72と、出力された前記排出データを記憶する第2記憶部81と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、前記排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置と、
前記排出物検知装置に通信接続され、前記排出物検知装置とは離間されたサーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
生成された前記排出物画像を取得して記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶されている前記排出物画像を分析することによって当該排出物に関する排出データを出力する分析部と、
出力された前記排出データを記憶する第2記憶部と、を有する
排出データ管理システム。
【請求項2】
前記第1記憶部は、
前記排出物画像とともに、当該排出物画像に写る排出物を排出した前記排出物検知装置のユーザを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得し、
前記排出物画像と、当該排出物画像とともに取得された前記ユーザIDとを紐づけて記憶する
請求項1に記載の排出データ管理システム。
【請求項3】
前記第1記憶部は、前記排出物検知装置のユーザの、前記便器装置が設置された個室への入室から退室までの在室期間内に生成された1以上の前記排出物画像に対して、前記在室期間内に当該ユーザによって入力された1つの前記ユーザIDを紐づけて記憶する
請求項2に記載の排出データ管理システム。
【請求項4】
前記第1記憶部は、
前記排出物画像とともに、前記排出物検知装置を他の排出物検知装置から識別するための機器IDを取得し、
前記排出物画像と、当該排出物画像とともに取得された前記機器IDとを紐づけて記憶する
請求項1~3のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項5】
排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置に通信接続され、前記排出物検知装置とは離間されたサーバ装置であって、
生成された前記排出物画像を取得する取得部と、
取得した前記排出物画像を分析することによって前記排出物に関する排出データを出力する分析部と、
出力された前記排出データを記憶する記憶部と、を備える
サーバ装置。
【請求項6】
排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置に通信接続され、前記排出物検知装置とは離間されたサーバ装置で実行される排出データ管理方法であって、
生成された前記排出物画像を取得し、
取得した前記排出物画像を分析することによって前記排出物に関する排出データを出力し、
出力された前記排出データを記憶する
排出データ管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の排出データ管理方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出物に関する排出データを管理するサーバ装置、当該サーバ装置を備える排出データ管理システム、排出データ管理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの健康状態等を管理するため、便器装置に設置された画像センサ等を介して、排出物の性状を推定する装置などが知られている。特許文献1には、便の性状を推定するために画像センサ(カメラ)を用いて落下便の静止画像を取得するように構成された便器装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-137707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より適切にデータを管理することができる排出データ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る排出データ管理システムは、排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、前記排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置と、前記排出物検知装置に通信接続され、前記排出物検知装置とは離間されたサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置は、生成された前記排出物画像を取得して記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶されている前記排出物画像を分析することによって当該排出物に関する排出データを出力する分析部と、出力された前記排出データを記憶する第2記憶部と、を有する。
【0006】
本発明の一態様に係るサーバ装置は、排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置に通信接続され、前記排出物検知装置とは離間されたサーバ装置であって、生成された前記排出物画像を取得する取得部と、取得した前記排出物画像を分析することによって前記排出物に関する排出データを出力する分析部と、出力された前記排出データを記憶する記憶部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る排出データ管理方法は、排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置に通信接続され、前記排出物検知装置とは離間されたサーバ装置で実行される排出データ管理方法であって、生成された前記排出物画像を取得し、取得した前記排出物画像を分析することによって前記排出物に関する排出データを出力し、出力された前記排出データを記憶する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、上記に記載の排出データ管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排出データ管理システム等は、より適切にデータを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る排出データ管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る排出データ管理システムの排出データ送信動作のフローチャートである。
図3図3は、実施の形態に係る排出データ管理システムにおいて送受信される送信データの一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る排出データ管理システムのデータ管理動作のフローチャートである。
図5図5は、実施の形態に係る排出データ管理システムの第3閲覧データの一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態に係る排出データ管理システムの第1閲覧データの一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る排出データ管理システムの第2閲覧データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
以下、実施の形態に係る排出データ管理システムについて説明する。図1は、実施の形態に係る排出データ管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0014】
実施の形態に係る排出データ管理システム10は、電気便座一体型便器20と、ルータ30と、第1記憶サーバ40と、分析サーバ70と、第2記憶サーバ80と、携帯端末50とを備える。
【0015】
排出データ管理システム10において、電気便座一体型便器20は、ルータ30を介して広域通信ネットワーク60に接続することにより、第1記憶サーバ40と通信を行う。例えば、電気便座一体型便器20は、当該電気便座一体型便器20によって得られる、ユーザの排出物を撮像することにより得られた排出物画像を第1記憶サーバ40へ送信する。これにより、第1記憶サーバ40は、ユーザの排出物画像を記憶し、必要に応じて別の装置へと出力するなどの画像情報の管理をすることができる。そして、分析サーバ70が第1記憶サーバ40へアクセスすることにより、排出物画像を取得することができ、排出物画像の分析をすることができる。さらに、分析結果である排出データは、第2記憶サーバ80に記憶される。ユーザは、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末50を用いて第2記憶サーバ80へアクセスすることにより、排出データを、携帯端末50等を通じてモニタすることができる。
【0016】
例えば、ユーザは、排出データをモニタすることで、自身又は電気便座一体型便器20を共有する家族等の排出物に関する各種パラメータの変動を把握でき、排出物に現れる健康状態の変化等を把握することができる。このように、排出データ管理システム10は、例えば、見守りシステムとして機能し、ユーザに見守りサービスを提供することができる。さらに、介護施設等に排出データ管理システム10を導入すれば、介護施設を利用する利用者の健康状態を介護施設の職員や提携医療機関の医師等によって把握することなどができる。
【0017】
また、排出データと紐づけて飲食物の摂取、及び、医薬品等の服用の情報が記憶され、排出データをモニタできれば、飲食物の摂取、及び、医薬品等の服用が、排泄物にどのように影響するかの調査に活用することができる。このような用途は、飲食物及び医薬品等のメーカにおける、当該飲食物及び医薬品等の効能及び副作用などの評価に有用である。
【0018】
ここで、排出物の状態をモニタするためには、同じユーザから排出された排出物の排出データと、他のユーザによって排出された排出物の排出データとが区別されて、蓄積(つまり記憶)されていく必要がある。そのため、本実施の形態では、排出データと、その排出データに関連する排出を行ったユーザを他のユーザから識別するためのユーザIDとが紐づけられて記憶される。また、本実施の形態では、排出物画像を記憶するサーバ装置と、排出物画像を分析して分析結果として排出データを生成するサーバ装置とが異なるサーバ装置として実現される。したがって、排出物画像についてもその排出物の排出を行ったユーザを他のユーザから識別するためのユーザIDが紐づけられて記憶されている。
【0019】
ところで、排出データを健康状態のモニタのために利用する際、ユーザ本人では健康状態の判断の知識に欠けて適切なモニタができないことや、ユーザ本人が健康状態に無頓着であることなど、様々な理由から、他の閲覧者(閲覧権限者)がユーザ本人に代わって健康状態のモニタを行いたいという需要がある。そこで、本開示では、ユーザの排出データから、健康状態のモニタの観点で生成された閲覧データを、ユーザ本人に代わって閲覧権限者が閲覧することが可能となっている。これにより、閲覧権限者によって、ユーザ本人に代わって排出データに基づく健康状態のモニタを行うことが可能となる。
【0020】
以下、排出データ管理システム10の各構成要素について説明する。以下の説明では、排出物として、ユーザから排出される便について例に挙げて説明するが、本開示の内容は、排出物としてユーザから排出される尿及びユーザから排出される経血についても適用することができる。なお、排出物は、排泄物と呼ばれる場合がある。
【0021】
電気便座一体型便器20は、便器洗浄機能、及び、温水便座機能などの機能を有する多機能の便器である。電気便座一体型便器20は、便器装置、便座装置、及び、排出物検知装置を含む。したがって以下説明される電気便座一体型便器20の機能には、便器装置によって実行されるもの、便座装置によって実行されるもの、及び排出物検知装置によって実行されるものが含まれる。また、排出物検知装置を便器装置と一体化して実現したり、便座装置と一体化して実現してもよい。電気便座一体型便器20は、具体的には、電源モジュール21と、モジュール型のセンシング部22と、通信モジュール23と、操作パネル25と、を備える。電源モジュール21、センシング部22、及び、通信モジュール23は、例えば、互いに独立した基板モジュールである。電源モジュール21、センシング部22、及び、通信モジュール23は、例えば、電気便座一体型便器20の本体に取り付けられた筐体24内に収容される。また、操作パネル25は、電気便座一体型便器20が設置された個室内の壁部などに設置される。
【0022】
電源モジュール21は、電気便座一体型便器20が備える電源プラグ(図示せず)から得られる交流電力を直流電力に変換し、当該直流電力を、動作に電力を必要とする他の構成要素に供給する基板モジュールである。電源モジュール21は、例えば、基板に回路素子が実装されることによって実現される。当該回路素子には、AC-DCコンバータ、及び、DC-DCコンバータなどが含まれる。電源モジュール21は、例えば、通信モジュール23に含まれる通信制御部への電力の供給を行う。図1では図示されないが、電源モジュール21は、センシング部22が有する構成要素、及び、通信モジュール23が有する構成要素以外の他の構成要素(例えば、電気便座一体型便器20の主機能である、便器洗浄機能、及び、温水便座機能のための構成要素)にも直流電力を供給する。
【0023】
センシング部22は、排出データの生成に用いられるセンシングを行うためのモジュール型の機能部分である。センシング部22には、ボウルに設置されたセンサ24aが接続されている。
【0024】
センシング部22は、ボウルに設置されたセンサ24aから、センシングによって得られたセンサ値を取得する処理を行う。センシング部22は、センサ24aと通信するための通信モジュール(不図示)を介してセンサ24aからセンサ値を取得し、処理可能な形式に変換して出力する。
【0025】
ここで、センサ24aについて説明する。センサ24aは、排出物に関する物理量をセンシングするための機器である。センサ24aは、例えば、排出物の形状に対応するセンシングを行う場合、撮像器(つまり、カメラ)を用いて実現される。また、センサ24aは、排出物の臭気に対応するセンシングを行う場合、臭気センサを用いて実現される。センサ24aとしては、排出データ管理システム10において、分析サーバ70において生成される排出データの構成に対応した撮像器及び臭気センサ等の適切なセンサ24aは、上記以外の他のセンサを含んでもよい。また、ユーザが便座に着座するため、ボウル内に届く外光(例えば、電気便座一体型便器20が設置された個室の照明光)は限られる。そのため、本実施の形態では、撮像器によるセンシング用の照明装置がボウル内に設けられる。このような照明装置は、ユーザが着座した後に点灯される。
【0026】
通信モジュール23は、電気便座一体型便器20がルータ30を介して第1記憶サーバ40と通信を行うための基板モジュールである。通信モジュール23は、具体的には、基板に回路素子が実装されることによって実現される。通信モジュール23は、いずれも図示しないが、通信部と、通信制御部と、記憶部とを有する。
【0027】
通信部は、電気便座一体型便器20がルータ30を介して通信を行うためのアンテナ素子などを含む通信回路である。
【0028】
通信制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、通信部による通信を実現するための情報処理を行う。通信制御部は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0029】
記憶部は、通信制御部が実行するプログラムが記憶される記憶装置である。例えば、通信制御部に電力が投入されたときに通信制御部が実行する起動処理は、記憶部に記憶された起動プログラムに基づいて実行される。記憶部は、半導体メモリなどによって実現される。
【0030】
操作パネル25は、複数の操作ボタン25aが配置されたインタフェース装置である。複数の操作ボタン25aのそれぞれには、電気便座一体型便器20の各種機能を実行又は停止するといったスイッチ機能が割り当てられている。また、本実施の形態では、ユーザIDの特定のためにこの操作パネル25に配置された操作ボタン25aが用いられる。例えば、電気便座一体型便器20は、ユーザIDを特定するために、ユーザの認証受付を行う。この認証受付は、複数の操作ボタン25aのそれぞれに、あらかじめ複数のユーザのそれぞれに対して発番した番号が表示されており、ユーザが、自身に対応する番号の部分を押下するなどして、操作パネル25に認証情報(つまりユーザそれぞれの番号)を入力することで行われる。操作パネル25は、入力された認証情報を用いて、認証情報とユーザIDとを対応付けるデータテーブルを参照することにより、操作ボタン25aを押下したユーザのユーザIDを特定する。以下では認証情報の番号と、ユーザIDとを、番号およびユーザIDを示す数字として区別することなく用いる場合があるが、セキュリティなどの観点から、認証情報とユーザIDとは異なっていてもよい。
【0031】
また、認証受付は上記の他に、各ユーザが所有する端末装置(スマートフォン、タブレット端末、又は、専用の携行デバイス)により、電気便座一体型便器20と近距離無線通信を行うことで、入室しただけで行われてもよいし、個室内に設置されたカメラでの顔認証又は指紋認証デバイスでの指紋認証などの生体認証が行われてもよい。
【0032】
ルータ30は、電気便座一体型便器20とサーバ40との通信を中継する通信装置である。ルータ30は、電気便座一体型便器20が設置された施設と同一の施設内に設置される。ルータ30は、ゲートウェイの一例である。ルータ30は、具体的には、無線LAN(Local Area Network)ルータなどである。
【0033】
第1記憶サーバ40は、通信モジュール23を介してセンシング結果としてのセンサ値を取得して記憶する記憶サーバである。第1記憶サーバ40は、第1記憶部41を備える。第1記憶部41は、磁気ディスク、光学ディスク、及び半導体メモリなどによって実現される。第1記憶部41は、情報を記憶し、読み出し要求に応じて記憶している情報を出力できるようになっている。
【0034】
一例として、第1記憶部41は、センサ24aの1つである撮像器によって撮像された排出物の画像である排出物画像を取得して記憶する。この排出物画像には、上記に説明した個人IDが紐づけられて記憶されている。また、このほか、排泄物画像には、排泄物の排泄が行われた日時、着座から排泄開始までに要した時間など、ユーザの排泄に関する付加的な情報が紐づけられている。
【0035】
また、本実施の形態では、個人の排泄物による健康状態などの推定を目的としているが、排泄データの別の用途として、大規模なデータを集積することで実施される疫学的調査なども想定される。この場合は、個人の特定を必要とせず、一方で、家族間の差や地域性などを必要とする場合もある。したがって、この例に排泄データ管理システム10を適用する場合には、個人IDの代わりに、電気便座一体型便器20を他の同様の電気便座一体型便器20と区別するための機器IDが紐づけられていてもよい。こうすることで、機器IDが同じ排泄データを集約すれば、当該電気便座一体型便器20を共有する家族の排泄データについて、評価することができる。同様に、機器IDから特定の地域に属している電気便座一体型便器20のユーザ分の排泄データを集約することで当該特定の地域で暮らすユーザの排泄データについて、評価することができる。
【0036】
このように、センサ値(例えば、排泄物画像)と、付加的な情報とが紐づけられて記憶されていることで、分析サーバ70による分析結果とともに評価する際に利用することができる。なお、上記の個人ID及び機器IDなどの付加的な情報は、第1記憶部41において排泄物画像に紐づけられて記憶されていてもよいし、後述する第2記憶部81において、分析結果である排泄データに紐づけられて記憶されていてもよいし、その両方であってもよい。
【0037】
第1記憶サーバ40は、電気便座一体型便器20が設置された施設の外など、電気便座一体型便器20とは離間された空間に設置されたクラウドサーバである。第1記憶サーバ40は、例えば、電気便座一体型便器20の製造事業者によって運用され、電気便座一体型便器20と通信を行うことにより、上述の見守りサービスなどを提供する。
【0038】
第1記憶サーバ40は、電気便座一体型便器20のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する。なお、ユーザIDを取得するとは、電気便座一体型便器20が設置された個室から通信を介してユーザIDの情報を取得する動作であるが、最終的に第1記憶サーバ40の第1記憶部41にユーザIDを提供することができればどのように構成されてもよい。
【0039】
分析サーバ70は、第1記憶部41に記憶された排出物画像の取得のために、第1記憶サーバ40と通信を行う。分析サーバ70は、取得部71と、分析部72と、を備える。
【0040】
取得部71は、第1記憶サーバ40に対して、分析対象とする排出物画像の送信要求を発信し、これに応答して、第1記憶サーバ40から送信された排出物画像を取得する。なお、ここで取得される排出物画像にも付加的な情報が紐づけられていてもよい。
【0041】
分析部72は、ユーザから排出される排出物のセンサ値に基づいて、排出物の形状及び臭気等の状態を計測する処理部である。分析部72は、撮像器から得られた画像、及び、臭気センサから得られた臭気の強度値等に基づいて、排出物の状態を計測する。
【0042】
分析部72による排出物の状態の計測は、センサ値が画像である場合、画像解析によって行われる。例えば、画像に写る落下中の排出物の通過断面積及び落下速度等によって、この排出物がどのような形状であるかを推定によって計測する。分析部72によって検出された排出物の形状の計測結果は、例えば、7段階のスケールのどの段階に相当する形状であるかを示す数値として出力される。この排出物の形状を評価する7段階のスケールは、いわゆるブリストルスケールとして知られ、消化管の通過時間の長短に対応する便形状の変化を7つの閾値で分けて評価するスケールである。ブリストルスケールでは、数値が小さいほど、長い時間を要して消化管を通過した硬い便であることを示し、数値が大きいほど短い時間で消化管を通過した水分を多量に含む便であることを示している。そして、ブリストルスケールの数値が中間の値(つまり4)に近いほど便形状として健康的であるといえる。
【0043】
一方で、分析部72による排出物の状態の計測は、センサ値が臭気の強度値である場合、このセンサ値を検量線などにあてはめて標準化することによって行われる。例えば、臭気物質を特に区別することなく、その物質量によって評価する場合、臭気物質が多い場合、長い時間を要して消化管を通過して腸内細菌の繁殖が進んでいること臭気物質の増加を示している、又は、短い時間を要して消化管を通過したために未消化の食物が多く臭気物質が増加したことを示している。したがって、臭気物質が少ないほど便臭気、屁として健康的であるといえる。また、臭気物質を特定してその特定の臭気物質の物質量によって評価する場合、腸内細菌の繁殖によって発生する臭気物質の量と、未消化の食物が多い場合に発生する臭気物質の量とを個別に評価すればよい。これらいずれの臭気物質も少ないほど便臭気、屁として健康的であるといえる。
【0044】
また、これらの他に、便形状、便臭気、及び、屁を評価するための任意の評価方法が適用されてもよい。分析部72によって分析された分析結果として、排出データが生成され、第2記憶サーバ80に出力される。また、排出物画像に対して紐づけられていた付加的な情報は、排出データに紐づけられた状態で、第2記憶サーバ80へと出力される。
【0045】
第2記憶サーバ80は、電気便座一体型便器20によって得られた排出物画像から分析によって生成された、ユーザの排出物に関する排出データを取得する。第2記憶サーバ80は第2記憶部81を備える。第2記憶部81は、磁気ディスク、光学ディスク、及び半導体メモリなどによって実現される。第2記憶部81は、情報を記憶し、読み出し要求に応じて記憶している情報を出力できるようになっている。第2記憶部81は、取得した排出データを記憶し、外部の装置からの要求に応じて、出力することができる。つまり、第2記憶部81は、排出データを記憶する記憶部としての機能の他に、排出データを出力する出力部の機能も有するといえる。
【0046】
例えば、第2記憶部81は、記憶された排出データから、ユーザ又は閲覧権限者の閲覧用の情報である閲覧データを生成して出力する。このような閲覧データの出力の詳細は、排出データ管理システム10の動作の説明と併せて後述する。
【0047】
なお、以上に説明した第1記憶サーバ40、分析サーバ70、及び、第2記憶サーバ80は1つのサーバ装置に備えられた複数の機能のそれぞれとっして実現されてもよいし、1つの局所ネットワーク内(例えば、同一のファイアウォールの内側など)に存在し、局所ネットワーク内で通信可能に構成されていてもよい。こうすることで、第1記憶サーバ40、分析サーバ70、及び、第2記憶サーバ80間での情報の送受信を第3者に傍受される可能性が低減できるので、セキュリティ上好ましい。
【0048】
携帯端末50は、電気便座一体型便器20のユーザ(又は又は、その家族等)が所有する携帯型の情報端末であり、具体的には、スマートフォン又はタブレット端末などである。上述のようにユーザは、携帯端末50を用いて第2記憶サーバ80へアクセスすることにより、排出データの記録などを、携帯端末50を通じてモニタすることができる。また、ユーザは、携帯端末50をユーザインターフェースとして、便座の温度、及び、シャワーの強さなどの個人設定を行うこともできる。
【0049】
[動作]
以上のように構成された排出データ管理システム10の動作について、図2図7を用いて説明する。図2は、実施の形態に係る排出データ管理システムの動作のフローチャートである。ここでは、排出データ管理システム10の動作として、電気便座一体型便器20、第1記憶サーバ40、及び、分析サーバ70の動作を中心に説明する。また、後述する図4において、排出データを第2記憶部81に記憶させ、閲覧データを生成して出力する際の動作について説明する。一方で、送信されたデータの利用等については、排出データ管理システム10の運用目的によって、利用方法等が異なるため、ここでの説明は省略する。
【0050】
まず、電気便座一体型便器20が設置された個室へのユーザの入室が電気便座一体型便器20の人感センサ等によって検知される(S101)。すると、電気便座一体型便器20の電動開閉式の蓋が開かれ、便座が着座可能な状態になる。ユーザの入室時点では、センサ24aなどの、排出物のセンシングのためのセンサは起動されていないが、便座が着座可能になるとともにこれらのセンサが起動される(S102)。なお、センサ24aの起動タイミングはこれに限らず、ユーザの入室時点でもよいし、常時起動状態であってもよい。立小便の場合は、便座が開いた時点でセンサが起動してもよい。また、センサの起動とともに、撮像器でのセンシング用の照明装置が点灯される。詳細は述べないが、撮像器は、排出データに含まれる排出物の色の判定にも用いられることがあるため、このような場合には、画像における色ずれの影響を抑制するために白色の光色に近い光源が選択される。なお、電気便座一体型便器20を夜間に利用する場合があるため、撮像器でのセンシング用の照明装置の他に、視認性の観点でボウル内を照らす照明装置が備えられ、撮像器でのセンシング用の照明装置の点灯よりも前から点灯されていてもよい。このような視認性の観点での照明装置は、ユーザの覚醒を誘発しないように暖色(低い色温度)の光色の光源が選択される。照明装置は、同じ1つの照明装置で、自動的に暖色から白色の光色に変更されるものであってもよい。
【0051】
次に、電気便座一体型便器20は、ユーザの認証受付を開始する(S103)。認証受付は、上記したように複数の操作ボタン25aのいずれが押下されたかによって行われる。また、誤ってユーザが押下した場合など、2以上の操作ボタン25aが押下された場合に、最後に押下された操作ボタン25aに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDを取得するとしてもよい。本実施の形態では、電気便座一体型便器20が設置された個室への入室から退室までの在室期間内にユーザによって押下された操作ボタン25aに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDが取得される。ところで、撮像器は、ユーザの排出物を連続的に取得している。具体的には、撮像器は、電気便座一体型便器20が設置された個室へのユーザの入室タイミングと、実際に排出が開始されるタイミングと間の第1タイミングから撮像を開始し、排出が終了するタイミングと個室からのユーザの退室タイミングとの間の第2タイミングに撮像を終了する。この間、時間的に連続した1以上の画像が生成される。この1以上の画像のうち、実際に排出物が写る1以上の時間部分の画像のみが排出物画像として生成出力される。
【0052】
電気便座一体型便器20では、排出物画像を送信する際に、入力された認証情報からユーザIDを特定し、特定したユーザIDを含む送信データを生成するようになっている。認証受付は、ユーザによる排出が終了(個室から退出、又は便座より離座)するまでの間継続される。これにより、ユーザが任意のタイミングで排出データ管理システム10への認証情報の入力を行うことができる。
【0053】
ユーザが便座に着座し、排出を開始すると、センシング部22は、センサ24aから排出物画像(センサ値)を取得する(S104)。排出物画像の取得は、経時的に行われ、時間領域で連続した排出物画像が取得される。この排出物画像は、ユーザIDなどの付加的な情報とともに第1記憶サーバ40に送信され、第1記憶部41に記憶される。このとき排出物画像は、ユーザIDなどの付加的な情報が紐づけられた状態で第1記憶部41に記憶される(S105)。
【0054】
その後、取得部71が、分析対象である排出物画像をユーザIDなどの付加的な情報とともに読み出し要求を発信し、排出物画像を取得する。分析部72は、排出物画像に基づいて排出物の状態を計測する。分析部72による排出物の状態の計測は経時的に行われ、連続した排出物画像に対応して、連続的な計測結果が出力される。そして、分析部72は、計測結果として、排出データを生成する(S106)。
【0055】
そして、分析サーバ70は、排出データを第2記憶サーバ80へと送信する(S107)。
【0056】
ここで、図3は、排出データ管理システムにおいて送受信される排出データの一例を示す図である。
【0057】
図3に示すように、本実施の形態において分析サーバ70が送信する排出データは、ユーザIDに加えて、排出が行われた日時と、排出物の種別と、排出物の形状と、排出物の量と、排出物の色と、排出物の臭気と、着座から排出開始までの所要時間と、排出前に行ったおしり洗浄の時間と、排出後に行ったおしり洗浄の時間と、の複数の排出物に関するパラメータを含む。その他のパラメータとして、排出データには、排出物の太さ、排出物の途切れの有無、入室から着座までの時間、入室から便座を開くまでの時間、便座の開閉の有無、便座を開いた時点から排尿開始までの時間、ビデ洗浄の時間、臭気の成分、臭気の強度などが含まれていてもよい。
【0058】
第2記憶サーバ80では、排出データを受信すると、図4のように動作する。図4は、実施の形態に係る排出データ管理システムのデータ管理動作のフローチャートである。
【0059】
図4に示すように、排出データを受信すると、第2記憶サーバ80は、排出データ内のユーザIDにあたる記述を参照して、ユーザIDを取得し(S201)、その他の記述を参照して残りの排出データを取得する(S202)。これらのステップS201~S202は、順次行われてもよいし、並行して行われてもよい。さらに、その順番に限定はなく、上記と異なる順に処理がされてもよい。
【0060】
次に第2記憶部81は、ユーザIDと、排出データとが紐づけられたデータセットを記憶する(メモリ素子に記憶させる)(S203)。
【0061】
その後、第2記憶部81に格納された各種のデータセットを閲覧する権限を有する者の携帯端末50へと送信するための(閲覧に供するための)閲覧データを生成する。このステップでは、具体的には、ステップS204~S209が行われる。
【0062】
まず、第2記憶サーバ80は、第2記憶部81に記憶された排出データの内容に異常があるか否かを判定する。この判定は、排出データ管理システム10において、「異常」として設定されている内容に合わせて設けられた所定の条件を満たすか否かによって判定される。すなわち、第2記憶サーバ80は、排出データが所定の条件を満たすか否かを判定する(S204)。排出データが所定の条件を満たすと判定された場合(S204でYes)、排出データには異常があるということになるので、第2記憶サーバ80は、異常の発生を通知するための第3閲覧データを生成して出力する(S205)。第3閲覧データは、閲覧権限者の所有する携帯端末50へと出力される。閲覧権限者については、後述する。
【0063】
例えば、閲覧権限者の携帯端末50には、図5に示すようなプッシュ通知が送信されて、画面などに表示される。図5は、実施の形態に係る排出データ管理システムの第3閲覧データの一例を示す図である。図5に示すように、閲覧権限者の作業画面に重複されるようにして、排出データ管理システム10からの通知が最前面に表示されるので、閲覧権限者は異常の発生を把握できるとともに、「確認する」ボタンを押下する等の追加の操作によってその詳細を確認することが可能となる。
【0064】
図4に戻り、上記ステップS204における所定の条件について説明する。ここでの所定の条件は、上記したように排出データ管理システム10において、「異常」として設定されている内容に合わせて設けられた基準である。したがって、所定の条件は、排出データ管理システム10を管理、運用する目的によって異なる条件である。
【0065】
以下は、所定の条件の一例である。例えば、1日の尿の排出回数が基準回数を超えた場合に、第2記憶サーバ80は、所定の条件を満たすと判定する。このように、ある期間内で排出の回数が多すぎることをもって異常とする場合には、第2記憶サーバ80は、最新の排出データから遡って過去の所定の期間内で排出が行われた回数を積算し、基準回数と比較することにより、所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、異常の発生を知らせるとともに「トイレの回数が多いですね。医師に相談してみましょう。」などの提案メッセージを含む第3閲覧データが生成されて出力される。
【0066】
また、例えば、生理予定日を3日、又は、1週間等の基準期間を過ぎても経血の排出に関する排出データが記憶されない場合に、第2記憶サーバ80は、所定の条件を満たすと判定する。このように、定期的に行われる排出に対して、その予定となる日を大幅に過ぎたことをもって異常とする場合には、第2記憶サーバ80は、直近の排出データ予定される次の排出データの記憶の予定日から所定の期間内で排出データが記憶されていないことにより、所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、異常の発生を知らせるとともに「生理予定日から3日(又は、1週間)が過ぎました。」などの状況についてのメッセージを含む第3閲覧データが生成されて出力される。
【0067】
また、例えば、泥状、液体状、かつ、黒色の便の排出に関する排出データが記憶された場合に、第2記憶サーバ80は、所定の条件を満たすと判定する。このように、排出データに含まれる特定のパラメータの異常値をもって異常とする場合には、第2記憶サーバ80は、最新の排出データ内のパラメータを異常値の基準と比較することにより、所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、異常の発生を知らせるとともに「腹痛、発熱、嘔吐、吐き気などはありませんか?早めに医師に相談しましょう。」などの提案メッセージを含む第3閲覧データが生成されて出力される。
【0068】
また、例えば、ある便の排出と次の便の排出との間隔が、過去の当該間隔の最大を超えた場合に、第2記憶サーバ80は、所定の条件を満たすと判定する。このように、同系の排出に関する2つの排出データの間隔が長すぎることをもって異常とする場合には、第2記憶サーバ80は、最新の2つの排出データの間隔を、過去の最大間隔と比較することにより、所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、異常の発生を知らせるとともに「前回の排便から4日間排便記録がありません。」などの状況についてのメッセージを含む第3閲覧データが生成されて出力される。
【0069】
また、例えば、最新の排出における便タイプ(例えば、便秘タイプ、下痢タイプ、標準タイプ、混合タイプなどの4分類)と、過去の所定期間内の排出における統計的な便タイプの傾向とが異なる場合に、第2記憶サーバ80は、所定の条件を満たすと判定する。このように、過去の所定期間内の排出における統計的な状態と、最新の排出における状態とが異なることをもって異常とする場合には、第2記憶サーバ80は、最新の排出データから算出される当該排出物の状態と、過去の所定期間の排出データから算出される統計的な排出物の状態とを比較することにより、所定の条件を満たすか否かを判定する。そして、異常の発生を知らせるとともに「便秘タイプから標準タイプになりました。良い調子ですね。」、及び、「標準タイプから便秘タイプになりました。また標準タイプを目指しましょう。」などの状況についてのメッセージを含む第3閲覧データが生成されて出力される。
【0070】
図4の説明に戻り、ステップS205の後、及び、排出データが所定の条件を満たさないと判定された場合(S204でNo)、ステップS206へと進む。ステップS206では、第2記憶サーバ80は、ユーザ自身による、当該ユーザの排出データに関する閲覧の要求(第1閲覧要求)を受け付けたか否かを判定する。第2記憶サーバ80は、閲覧要求に、ユーザIDが伴っているか否かを判定することによって、その閲覧要求が、第1閲覧要求であるか否かを判定する。そして、第2記憶サーバ80は、第1閲覧要求を受け付けたと判定した場合に(S206でYes)、第1閲覧データを生成して出力する(S207)。第1閲覧データは、第1閲覧要求に伴われたユーザIDに対応するユーザが所有する携帯端末50へと出力される。
【0071】
例えば、ユーザの携帯端末50には、図6に示すような画面などが表示される。図6は、実施の形態に係る排出データ管理システムの第1閲覧データの一例を示す図である。図6に示すように、第1閲覧データでは、対応するユーザの排出データに含まれる各種のパラメータが加工されることなくすべて閲覧可能になっている。
【0072】
図4の説明に戻り、ステップS207の後、及び、第2記憶サーバ80が第1閲覧要求を受け付けなかったと判定した場合に(S206でNo)、ステップS208へと進む。ステップS208では、第2記憶サーバ80は、例えば、ひとつの前記便器装置を共有する全てのユーザを含むグループにおいて設定された閲覧権限者による、当該グループ内のユーザ全ての排出データに関する閲覧の要求(第2閲覧要求)を受け付けたか否かを判定する。第2記憶サーバ80は、閲覧要求に、閲覧権限者IDが伴っているか否かを判定することによって、その閲覧要求が、第2閲覧要求であるか否かを判定する。そして、第2記憶サーバ80は、第2閲覧要求を受け付けたと判定した場合に(S208でYes)、第2閲覧データを生成して出力する(S209)。第2閲覧データは、第2閲覧要求に伴われた閲覧権限者IDと対応する閲覧権限者が所有する携帯端末50へと出力される。
【0073】
例えば、閲覧権限者の携帯端末50には、図7に示すような画面などが表示される。図7は、実施の形態に係る排出データ管理システムの第2閲覧データの一例を示す図である。図7に示すように、第2閲覧データでは、閲覧権限者が閲覧することができるのは、排出データから推定される健康度であって、当該排出データと紐づけられたユーザIDに対応するユーザの健康度のみである。具体的には、第2閲覧データでは、排出を行ったユーザを特定するためのユーザ名(ユーザ1~ユーザ4)と、各ユーザの健康度(排出データに基づいて、排出データ管理システム10の運用方針等に従って算出される)とが閲覧可能である。一方で、排出データに含まれている直接的なパラメータは含まれておらず、閲覧不可能である。
【0074】
例えば、閲覧権限者が自身とは異なる別のユーザなどである場合、いかに閲覧権限者といえども、ユーザは排出物の形状又は量などのパラメータの閲覧がされることに心的抵抗を感じる場合がある。上記のようにすることで、ユーザの心的抵抗を抑制しつつ、グループ内のユーザの健康度状態をモニタすることができる。なお、閲覧者が本人である場合(例えば、図7において「自分の詳細データ」ボタンを押下)や、心的抵抗感が少ないユーザ間の関係性などの場合、閲覧権限者は排出データの全てのパラメータを閲覧可能であってもよい。
【0075】
図4に戻り、ステップS209の後、及び、第2記憶サーバ80が第2閲覧要求を受け付けなかったと判定した場合に(S208でNo)、処理が終了する。
【0076】
以上のようにして、本実施の形態では、ユーザの排出データから、健康状態のモニタの観点で生成された閲覧データを、ユーザ本人に代わって閲覧権限者が閲覧することが可能となっている。この結果、閲覧権限者によって、ユーザ本人に代わって排出データに基づく健康状態のモニタを行うことが可能となるため、より適切に排出データを管理することができる。
【0077】
[効果等]
以上説明したように、排出データ管理システム10は、排出物を撮像することにより排出物画像を生成するセンサ24a(撮像器)を有し、排出物の処理に用いられる電気便座一体型便器20(便器装置及び便器装置に設置された排出物検知装置を含む)と、排出物検知装置に通信接続され、電気便座一体型便器20とは離間されたサーバ装置(第1記憶サーバ40、分析サーバ70、及び、第2記憶サーバ)と、を備え、サーバ装置は、生成された排出物画像を取得して記憶する第1記憶部41と、第1記憶部41に記憶されている排出物画像を分析することによって当該排出物に関する排出データを出力する分析部72と、出力された排出データを記憶する第2記憶部81と、を有する。
【0078】
このような排出データ管理システム10では、電気便座一体型便器20とは離間されたサーバ装置において排出物画像を取得して記憶し、排出物画像を分析して排出データを出力し、排出データを記憶することができる。例えば、電気便座一体型便器20には、単に撮像器と、撮像された排出物画像を送信する機能部とが備えられれば良いので、電気便座一体型便器20の導入コストを低下させることができるというメリットがある。また、排出物画像が得られた後の処理(すなわち管理)は、全てサーバ装置において行われるので、サービス拡大による記憶容量の拡張、及び、分析プログラムの更新などを個別の電気便座一体型便器20に対して実施する必要がなく、サービス運用の観点でも効率が良い。このように、排出データ管理システムでは、サーバ装置を介して各種のデータを適切に管理することができる。
【0079】
また、例えば、第1記憶部は、排出物画像とともに、当該排出物画像に写る排出物を排出した排出物検知装置のユーザを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得し、排出物画像と、当該排出物画像とともに取得されたユーザIDとを紐づけて記憶してもよい。
【0080】
これによれば、ユーザIDによって、排出物画像に写る排出物の排出に関わるユーザを特定できる。あるいは、特定のユーザが排出に関わる排出物が写った排出物画像を抽出できる。
【0081】
また、例えば、第1記憶部は、排出物検知装置のユーザの、便器装置が設置された個室への入室から退室までの在室期間内に生成された1以上の排出物画像に対して、在室期間内に当該ユーザによって入力された1つのユーザIDを紐づけて記憶してもよい。
【0082】
これによれば、1つのユーザIDによって、入室から退室までの在室期間内に生成された1以上の排出物画像に写る排出物の排出に関わるユーザを特定できる。あるいは、特定のユーザが排出に関わる排出物が写った、入室から退室までの在室期間内に生成された1以上の排出物画像を抽出できる。
【0083】
また、例えば、第1記憶部は、排出物画像とともに、排出物検知装置を他の排出物検知装置から識別するための機器IDを取得し、排出物画像と、当該排出物画像とともに取得された機器IDとを紐づけて記憶してもよい。
【0084】
これによれば、機器IDによって、排出物画像に写る排出物の排出に用いられた電気便座一体型便器20を特定できる。あるいは、特定の電気便座一体型便器20が排出のために用いられた排出物が写った排出物画像を抽出できる。
【0085】
また、サーバ装置は、排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置に通信接続され、排出物検知装置とは離間されたサーバ装置であって、生成された排出物画像を取得する取得部と、取得した排出物画像を分析することによって排出物に関する排出データを出力する分析部と、出力された排出データを記憶する記憶部と、を備える。
【0086】
このようなサーバ装置は、電気便座一体型便器20とともに用いられることで、上記に記載の排出データ管理システム10と同様の効果を奏することができる。できる。
【0087】
また、排出データ管理方法では、排出物を撮像することにより排出物画像を生成する撮像器を有し、排出物の処理に用いられる便器装置に設置された排出物検知装置に通信接続され、排出物検知装置とは離間されたサーバ装置で実行される排出データ管理方法であって、生成された排出物画像を取得し、取得した排出物画像を分析することによって排出物に関する排出データを出力し、出力された排出データを記憶する。
【0088】
これによれば、上記に記載の排出データ管理システム10と同様の効果を奏することができる。
【0089】
また、プログラムは、上記に気足の排出データ管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0090】
これによれば、コンピュータを用いれ上記に記載の排出データ管理システム10と同様の効果を奏することができる。
【0091】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0092】
上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。例えば、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0093】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0095】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0096】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0097】
例えば、本発明は、コンピュータが実行する情報処理方法(排出データ管理方法)として実現されてもよいし、このような情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0098】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10 排出データ管理システム
20 電気便座一体型便器(排出物検知装置)
24a センサ(撮像器)
41 第1記憶部
72 分析部
81 第2記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7