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特開2023-115616学習支援システム、学習支援方法、および予測モデル
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  • 特開-学習支援システム、学習支援方法、および予測モデル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115616
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】学習支援システム、学習支援方法、および予測モデル
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/02 20060101AFI20230814BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20230814BHJP
【FI】
G09B7/02
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017936
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(71)【出願人】
【識別番号】300075061
【氏名又は名称】ポトス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】清田 公保
(72)【発明者】
【氏名】木村 龍英
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028BA01
2C028BB01
2C028BC01
2C028BD01
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】解答中にも解答者に有用な参考情報の提示や、問題の難度を調整する学習支援システム等を提供することを目的とする。
【解決手段】タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援システムであり、既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得部で取得し、予測モデル作成部で、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデルと、現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、前記予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する提示部と、を有する学習支援システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援システムであり、
既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデルを用いて、
現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、前記予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する学習支援システム。
【請求項2】
前記提示部が、前記現解答者が、正答を導出する可能性が低いと判断されたときに、参考情報を提示するものである、請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記入力情報が、入力された内容と、その内容が入力されるまでの時間を含むものである、請求項1または2に記載の学習支援システム。
【請求項4】
タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援方法であり、
現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測するものとして作成された予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する提示工程を有する学習支援方法。
【請求項5】
解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は学習支援システムに関する。また、本発明は学習支援方法に関する。また、これらに用いるための予測モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに接続された情報端末において、指やタッチペンを利用した手書き入力システムが利用されている。これまで、塾や自宅学習における遠隔学習システムでは、出題された質問事項に対して、タブレット上に直接、手書き入力して解答を記入する方式や手書きされた文字をオンライン認識技術によりテキストデータ等に変換し、出題サーバーへ送られて、解答例との照合を行い採点、評価を行う手段が一般に用いられている。送信時には最終結果のみが採用されて捨てられていた。
【0003】
特許文献1の学習支援装置および学習支援用プログラムは、ユーザが学習の仕方を考えるのに有用な情報を提供できるようにするものである。ここには、既回答者が個々の問題に正解するまでに要した学習の程度を表す要学習度スコアSNを算出する要学習度スコア算出部と、現回答者が個々の問題に対して現時点までに要した学習の程度を表す現進捗学習度スコアSPを算出する現進捗学習度スコア算出部と、要学習度スコアSNおよび現進捗学習度スコアSPに基づいて、現回答者が不正解の問題について正解に至るまでの進捗度を表す学習進捗度を算出する学習進捗度算出部と、算出した学習進捗度を提示する学習進捗度提示部とを備え、現回答者が不正解した問題について、正解に至るまでの学習進捗度が不正解問題ごとに現回答に提示されるようにすることで、正解できるようになるまでにあとどの程度の学習を要するかについて参考となる情報を提供できるようにするものなどが開示されている。
【0004】
特許文献2の学習データの精練方法及び計算機システムは、モデルの予測精度を向上させる学習データセットを生成するものである。ここには、学習データの精練方法であって、計算機は、学習データセット及び検証データセットを格納するDBと接続し、検証データセットからサンプルデータセットを複数生成するステップと、複数の学習データの各々について、学習データが、一つのサンプルデータセットに対するモデルの予測精度に与える影響の強さを表すスコアを算出するステップと、スコアに基づいて、サンプルデータセットに対するモデルの予測精度に悪影響を与える有害学習データを特定するステップと、スコアに基づいて、有害学習データを削除するか否かを判定するステップと、判定の結果に基づいて学習データセットから有害学習データが削除された精練学習データセットを生成するステップと、を含むものなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-191388号公報
【特許文献2】特開2021-033544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
教育などの場面で学習者がタッチパネルを用いた端末で学習することが増えている。特許文献1、2等も含めて従来の学習支援システムでは、最終結果のみが採用されていた。すわなち、解答が完了した後の、正解か不正解の評価しかできない。また、最終的な解答を入力するまでの処理を待つ必要があった。しかし、学習者がより効率よく学習するためには、学習の状況に応じた適切な情報提示がされたほうが良いと考えられる。
【0007】
本発明は、解答中にも解答者に有用な参考情報の提示や、次の問題の難度を調整することができる学習支援システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0009】
<1> タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援システムであり、
既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデルを用いて、
現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、前記予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する学習支援システム。
<2> 前記提示部が、前記現解答者が、正答を導出する可能性が低いと判断されたときに、参考情報を提示するものである、前記の学習支援システム。
<3> 前記入力情報が、入力された内容と、その内容が入力されるまでの時間を含むものである、前記の学習支援システム。
<4> タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援方法であり、
現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測するものとして作成された予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する提示工程を有する学習支援方法。
<5> 解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデル。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、問題の解答中にも解答者に有用な参考情報の提示することができる。これにより、解答者はより効率的な学習ができることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の学習支援システムの概要図である。
図2】本発明の学習支援システムを使用する状況を説明するための概要図である。
図3】学習支援システムのモデル作成用の入力情報を説明するための図である。
図4】学習支援システムにより参考情報を表示する状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0013】
[本発明の学習支援システム]
本発明の学習支援システムは、タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援システムであり、既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデルと、現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、前記予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する提示部と、を有する学習支援システムである。
【0014】
[本発明の学習支援方法]
本発明の学習支援方法は、タッチパネルに解答を入力して学習するための学習支援方法であり、現解答者がタッチパネルに入力した入力情報を、既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測するものとして作成された予測モデルに適用して、前記現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示する提示工程を有する学習支援方法である。
【0015】
[本発明の予測モデル]
本発明の予測モデルは、解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果を取得し、前記入力情報および前記評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の変化から正答に到達するかを予測する予測モデルである。
【0016】
本発明によれば、問題を解いている途中にも、その解答者に適した、有用な参考情報を提示することができる。本願において、本発明の予測モデルは、本発明の学習支援システムや本発明の学習支援方法に用いることができる。本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0017】
図1は、本発明の学習支援システムの概要図である。図2は、本発明の学習支援システムを使用する状況を説明するための概要図である。解答者11、12は、タッチパネル21、22に解答を入力する。入力された解答は、個人別キャッシュデータベース(個人別キャッシュDB)である、解答者インクデータデータベース(DB)41、42に、インクデータとして保存される。また、解答者の学習履歴は、解答者学習履歴データベース(DB)51、52に保存される。個人別のデータは、問題・解答・補足情報生成エンジン61で処理される。問題・解答・補足情報生成エンジン61で扱う情報や、処理された情報、入力情報と照合する評価用の情報とその評価結果は、適宜、データベース7に保存される。
【0018】
[学習支援システム]
本発明は、学習支援システムに関する。学習支援システムは、学習を支援するシステムである。学習対象は、様々な科目や、試験などが行われる各種資格など、任意のものとすることができる。小学校や中学校、高校、大学、大学院、各種専門学校、予備校、資格試験・教養の学校などでの学習対象を扱うことができる。例えば、国語、算数、数学、理科、化学、社会、歴史、地理、外国語、英語、体育、美術、音楽などを対象とすることもできる。特に、択一式の選択や、直ちに解答ができるものよりも、問題を解く過程で、検討経緯を適宜記載しながら解くような問題において有用である。
【0019】
[解答者]
解答者は、出題される問題を解く者である。解答者には、既解答者と、現解答者が含まれる。既解答者は、支援対象の同様の問題を過去に解いた者である。現解答者は、支援対象の問題を解いている者である。現解答者と既解答者は同一人物であってもよく、他者でもよい。現解答者がが、過去に既解答者として解いた問題を再度解くときは、同一人物が現解答者であり、既解答者となる場合もある。既解答者は、機械学習するためのサンプルデータを提供する者となるため、より多い方がよく、現解答者も、採点完了後は、既解答者としての情報として追加し、継続して機械学習するものとしてもよい。
【0020】
[タッチパネル]
本発明の学習支援システムは、タッチパネルに入力された入力情報を用いて、学習を支援する。タッチパネルは、スマートフォンや、タブレット端末、ラップトップ端末のように携帯性が高い各種電子計算機として一体化されているものや、適宜電子計算機の本体と接続して用いられるような入力用の端末等を用いることができる。タッチパネルには、電子ペンや、指などで入力を行う。
【0021】
[入力情報]
図3は、学習支援システムのモデル作成用の教師データとして利用する入力情報を説明するための図である。端末等のタッチパネルに解答者は、解答を入力するまでに、各種の検討経緯を記載する場合がある。入力情報は、このように、解答者が解答するまでに、タッチパネルに入力した情報である。入力される情報は、インクデータとして入力される。具体的には問題の種類にもよるが、問題を解くための、検討経緯の文字や記号、図形などが入力される。
【0022】
問題の解答を確定するまでの間に、解答者は、様々な検討を行う場合がある。例えば、数学などの問題であれば、途中の計算式や、設問を把握するための記号や図形による場合分け等のメモを記載する場合がある。また、問題を解くための検討経緯や解法は複数考えられるような問題もある。また、各検討経緯の入力情報が短時間で入力される場合や、入力せずに暗算などで直ちに答えにたどり着く場合もあり、解答するまでの検討経緯も重要な場合がある。
【0023】
そして、これらの検討経緯が適切な場合、最終的に正答を見出すことができる。一方で、検討途中で、間違った検討を始めたり、問題に無関係で集中力を欠くような入力情報いわゆる落書きをしていたり、何も検討していない場合は、誤答となってしまいやすい。
【0024】
このような様々な検討経緯に伴う入力情報を、どの程度の時間で入力しているかによって、正答や誤答に至る傾向を、機械学習する。これにより、入力情報やその時間について、正答に至る可能性があるかを判別することができる予測モデルを得ることができる。
【0025】
このように入力情報を分析することで、問題の解答の途中経過でも、どのような解答に向かっているかの傾向を掴める。また、間違いの方向や傾向も分類できる。なお、予測モデルは、新解答者の入力情報もデータベースに登録して、改良しながらもちいてもよい。
【0026】
[インクデータ]
入力情報はインクデータを用いることができる。ペンなどによる入力デバイスから得られる点列データをインクデータとも表現することができる。インクデータは、経時変化と合わせて取得することで、電子ペンの位置情報や筆圧、点列の時系列情報・xy座標、筆記速度が得られ、それらをベースにインクデータが生成される。
【0027】
インクデータを構成する要素は、電子ペンをどのような文具として設定して利用しているかによっても状態が変わる場合がある。例えば、筆記具、消しゴム、指示具といった文具情報、筆記具においてもボールペン、筆、マーカといった種類などがあげられる。
【0028】
また、その筆記具で表現される線の太さや色、消しゴムであれば消去域の大きさなどといった文具の属性情報も設定できる。また、いつ記載したかの時間情報や運筆速度さらに独自情報として付与した特異点情報(始点、終点、折れ曲がり点、運筆の速度変化点など)がタブレット上における電子ペンの軌跡情報とともに記録される。また、入力情報は、入力された内容と、その内容が入力されるまでの時間を含むものとすることができる。
【0029】
これにより、瞬間的な記録情報、すなわち、解答に至るまでにかかった時間情報や、何度か記入して消しゴムツールで消された情報、解答を導きだすまでの非公開情報に着目することで、直前のインクデータと過去の学習記録の相互を解析する。
【0030】
本発明のシステムは取得部を用いるものとすることができる。取得部は、既解答者によりタッチパネルに入力された入力情報と、その入力情報の評価結果とを取得する部分である。また、取得部は、タッチパネルに入力された入力情報以外の情報も取得してもよい。例えば、入力情報としては、解答者の属性や、解答回数、解答時期、時間などをアンケートしたものを取得してもよい。また、評価結果は、問題の正誤や、評点などに関する評価用のデータベースに保存されているそれぞれの問題の解答を評価するためのデータと、入力情報とを照合した結果である。評価用のデータベースとしては、問題・解答・補足情報DB7などを用いることができる。複数の解答者(学習者、筆記者)による問題への解答は、これまで最終的な点列情報として収集してデータベースに収録され、これを分析し、分析結果に応じて、採点や個人情報の登録が完了するものだった。本発明によると、操作中でも、筆記情報を取得して、その情報を利用する。図1の構成では、問題・解答・補足情報生成エンジン61がこの取得部として機能することができる。
【0031】
本発明のシステムは作成部を用いるものとすることができる。作成部は、取得部で取得された入力情報および評価結果に基づき、機械学習を行い、解答状況の経時変化を予測する予測モデルを作成する部分である。機械学習は、例えば、教師あり学習で分類する類型のアルゴリズムなどを用いて行うことができる。作成部は、どのような入力情報が、適宜、どのようなタイミング(時間)で入力されたかと、その入力情報の結果がその問題に対して「正解」か「不正解」か、またはその得点などを教師データとして機械学習を行い、予測モデルを作成する。このような機械学習をするための入力情報は、入力された内容と、その内容が入力されるまでの時間を含むものを用いることができる。図1の構成では、問題・解答・補足情報生成エンジン61がこの作成部として機能することもできる。
【0032】
[予測モデル]
予測モデルは、取得部で取得された入力情報および評価結果に基づき、機械学習を行うことで作成されたモデルである。予測モデルの作成は、教師データの収集や機械学習の手段に応じて、適した手段で作成され、例えば、問題・解答・補足情報生成エンジン61で行ってもよいし、図1に図示しない他のネットワークやクラウドなどを利用した構成で作成してもよい。このように機械学習されたモデルは、解答状況の変化を入力情報として、正答に到達するかを予測する。解答状況の変化とは、解答者により、どのような入力情報がどの問題に対してどのようなタイミング(時間)で入力されたか、およびその入力情報の結果(正誤)やその得点などの変化である。このように、予測モデルはどの時間までにどのような情報がタッチパネルに入力がされているとき、正答する可能性が高いか、誤答する可能性が高いか、想定される得点などを予測するものとなる。
【0033】
図4は、学習支援システムにより参考情報を表示する状態を説明するための図である。提示部は、現解答者の入力情報を、作成部が作成した予測モデルに適用して、現解答者の解答状況に応じた参考情報を提示するための処理を行う。提示する参考情報は、例えば、図1における問題・解答・補足情報生成エンジン61で処理した結果に基づいて、問題・解答・補足情報DB7から抽出して提示することができる。例えば、現解答者がそのまま正答になる可能性が高い場合は、参考情報を提示する必要性が低い。このため、現解答者が、正答を導出する可能性が低いと判断されたときや、得点が低くなる可能性が高いと判断されたときに、参考情報を提示するものとすることが好ましい。
【0034】
[参考情報]
参考情報は、学習の設定に応じて、設問後に表示される情報である。参考情報としては、例えば、問題を解くために参考となる助言となるようなもの(いわゆるヒント)や、激励するもの、時間経過を通知するもの、注意を促すもの、正答する可能性の評価状況を通知するものなどがあげられる。参考情報は、任意の手段で表示することができる。例えば、解答者のタッチパネルのモニターに表示してもよいし、音声で通知してもよいし、解答者が使用している者とは別の端末などの表示手段を設けて表示してもよい。
【0035】
解答者に直接認識できるように参考情報を通知することで、解答者は自主的に問題を解くことができる。また、参考情報を、他の端末に表示するものとして、この他の端末を教師や保護者などが管理することで、解答者を支援するタイミングの参考として利用することなどもできる。
【0036】
このように既解答者の入力情報を用いる予測モデルにより、解答者の傾向からひっかかりやすいところを把握できる。また、解答が難しいままで時間がかかったりすると、学習効率が悪いが、本発明により取り組む時間の管理なども行いやすい。一方で、従来の解答のみを評価するものでは、解答者の取り組み状況もわからなかった。
【0037】
[問題の難度]
本発明の学習支援システムは、解答状況を評価して、次の問題の難度を調整するものとすることもできる。解答の正誤のみでは評価できなかった解答者のレベルに合わせて、筆記時のデジタル情報の分析に基づき適切な学習素材を個別に提供することができる。
【0038】
本発明は、解答を導くためのヒントを出すタイミングを予測し、解答者(学習者)に対して、補足情報、関連情報などの付加価値を持つ学習素材データを提供する学習支援装置を備えたペンインタフェースを提供するものである。本発明によれば、教師の負担解消や、学習進捗に合わせた効率向上にも寄与することができる。
【0039】
デジタル入力装置として、インクツール(ペンインタフェース)を用いた発明であり、これまで筆者認識、手書き文字によるテキスト入力、ジェスチャー入力やコマンド操作で利用されてきた、筆跡時のデジタルデータ情報に着目するもので従来の手法と大きく異なる。
【0040】
これらの時系列情報は、文字認識結果などの出力が行われた際には、利用されていなかった情報である。本発明では、過去の筆記データ(インクデータ)をインクファイルとしてデータベースに蓄積しており、ペンインタフェースを利用している時のオンライン情報を記録する。そして、過去の問題の正誤情報、解答に要した時間、繰り返し修正した記録情報などを総合的に機械学習等で予測し判断する。
【0041】
また、過去の蓄積データから個々の学習効果や入力操作の所要時間を基に、補足情報の設定へのフィードバックにも貢献できる。また、入力インタフェースの記入枠の大きさや、質問の配置、順番などの情報といったフォーマット設計へのフィードバックなどにも貢献できる。
【0042】
タッチパネルの筆記情報に、筆跡データ、各ポイントの時系列情報、打点時間、タブレットの位置を示すGPS情報などを記録し、個人毎の問題と解答が紐づけされた記録情報をデータベースに保存する。
【0043】
個々の学習者の筆記時の時系列情報から、解答に至るまでにかかった時間やメモ情報など学習過程における理解度や正解を導くための過程情報を機械学習などにより解析する。
【0044】
問題の難易度や提示順、関連する補足情報などを検索し予測する装置を用いて、その結果をヒントや補足情報として提示することでユーザの個別対応が可能な学習支援システムを提供する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、学習支援システムとして利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0046】
11、12 解答者
21、22 タッチパネル
3 参考情報
41、42 解答者インクデータデータベース
51、52 解答者学習履歴データベース
61 問題・解答・補足情報生成エンジン
7 問題・解答・補足情報生成データベース
図1
図2
図3
図4