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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115648
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】太陽光パネルの固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20230814BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20230814BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20230814BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20230814BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/30 A
H02S20/10 C
H02S20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017991
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森岡 誠
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM08
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】複数の太陽光パネルを所定の傾斜角で固定する構造において、集光効率を向上させることができる太陽光パネルの固定構造を得る。
【解決手段】太陽光パネルの固定構造10では、複数の縦桟34で構成される架台フレーム30の上面を架台20の設置面Gに対して所定の傾斜角を有するパネル固定面Pとしている。パネル固定面Pには、傾斜方向に沿って並ぶ第1太陽光パネル16Aと第2太陽光パネル16Bとが同一平面上に配置される。この第1太陽光パネル16Aと第2太陽光パネル16Bは、間に配置された第2固定金具50によって各パネルの端部がパネル固定面Pに固定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の桟で構成され、架台の設置面に対して所定の傾斜角を有する上面がパネル固定面とされた架台フレームと、
前記パネル固定面の傾斜方向に沿って並び、同一平面上に配置された第1太陽光パネル及び第2太陽光パネルと、
前記第1太陽光パネルと前記第2太陽光パネルとの間に配置され、前記第1太陽光パネル及び前記第2太陽光パネルの端部を前記パネル固定面に固定する固定金具と、
を備える太陽光パネルの固定構造。
【請求項2】
前記固定金具は、
前記パネル固定面に固定されるベース部と、
前記ベース部の水下側の一端と水上側の他端からそれぞれ立設され、前記パネル固定面の傾斜方向に対向する一対の間隔保持壁部と、
傾斜方向の水下側に位置する一方の前記間隔保持壁部の先端に設けられ、前記パネル固定面に前記第1太陽光パネルの端部を固定する第1固定部と、
傾斜方向の水上側に位置する他方の前記間隔保持壁部の先端に設けられ、前記パネル固定面に前記第2太陽光パネルの端部を固定する第2固定部と、
を有する、請求項1に記載の太陽光パネルの固定構造。
【請求項3】
前記固定金具は、前記一対の間隔保持壁部の間を連結して補強する連結補強部を有する、請求項2に記載の太陽光パネルの固定構造。
【請求項4】
前記連結補強部は、前記一対の間隔保持壁部と分離可能に構成され、
前記一対の間隔保持壁部は、それぞれの間隔保持壁部から前記第1固定部及び前記第2固定部に跨って延び、前記架台の上方側に開口されたスリット部を有し、
前記連結補強部は、前記第1太陽光パネル及び前記第2太陽光パネルの各端部が、前記第1固定部及び前記第2固定部によって固定された状態で、前記スリット部から挿通されて前記一対の間隔保持壁部の間を連結可能に構成されている、請求項3に記載の太陽光パネルの固定構造。
【請求項5】
前記連結補強部は、
前記一対の間隔保持壁部との間に架け渡されるボルトと、
前記ボルトに螺合されて、前記一対の間隔保持壁部の内側に配置される一対のナットと、を含んで構成されている、請求項4に記載の太陽光パネルの固定構造。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の陸屋根や地面の上等の平坦な設置面に太陽光パネルを設置する場合、太陽光パネルは、太陽光を受けやすいように設置面に対して所定の傾斜角で支持されることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、複数の太陽光パネルを所定の傾斜角で支持する支持構造体が開示されている。この支持構造体は、第1の太陽光パネルの前端を支持する第1の支持部材と、第1の太陽光パネルの後端と第1の太陽光パネルの後方に位置する第2の太陽光パネルの前端とを支持する第2の支持部材と、第2の太陽光パネルの後端を支持する第3の支持部材と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-06273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、後方に配置された第2の太陽光パネルの前端が、前方に配置された第1の太陽光パネルの後端よりも低い位置で支持される。このため、前方側の第1の太陽光パネルによって生じる影が第2の太陽光パネルにかからないようにパネル間の距離を大きく設定する必要があるため、限られた設置スペースの中で、効率的に複数の太陽光パネルを設置することが難しい。従って、上記先行技術においては、複数の太陽光パネルの間の距離を縮小させて、集光効率を向上させる点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、複数の太陽光パネルを所定の傾斜角で固定する構造において、集光効率を向上させることができる太陽光パネルの固定構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る太陽光パネルの固定構造は、複数の桟で構成され、架台の設置面に対して所定の傾斜角を有する上面がパネル固定面とされた架台フレームと、前記パネル固定面の傾斜方向に沿って並び、同一平面上に配置された第1太陽光パネル及び第2太陽光パネルと、前記第1太陽光パネルと前記第2太陽光パネルとの間に配置され、前記第1太陽光パネル及び前記第2太陽光パネルの端部を前記パネル固定面に固定する固定金具と、を備えている。
【0008】
第1の態様に係る太陽光パネルの固定構造では、複数の桟で構成される架台フレーム備える。この架台フレームは、架台の設置面に対して所定の傾斜角を有する上面がパネル固定面とされ、当該パネル固定面の上に複数の太陽光パネルが固定される。
【0009】
ここで、パネル固定面上に傾斜方向に沿って並ぶ第1太陽光パネルと第2太陽光パネルは、同一平面上に配置された状態で、固定金具を用いて固定される。この固定金具は、第1太陽光パネルと第2太陽光パネルとの間に配置され、第1太陽光パネル及び前記第2太陽光パネルの端部をパネル固定面に固定する。
【0010】
上記構成によれば、架台の設置面に対して傾斜した架台フレームの上面をパネル固定面とすることで、複数の太陽光パネルを所定の傾斜角に傾斜させ固定することができる。また、傾斜方向に並ぶ太陽光パネル同士は、パネル間に配置された固定金具を用いて同一平面上に固定されるため、傾斜方向の水下側に配置された第1太陽光パネルと水上側に配置された第2太陽光パネルの継ぎ目に高低差が生じない。従って、傾斜方向に隣接する太陽光パネルによって生じる影の影響が低減され、固定金具によって保持されるパネル間の寸法を小さく設定することができる。その結果、限られた設置スペースに複数の太陽光パネルを集約して設置することができ、集光効率を向上させることができる。
【0011】
第2の態様に係る太陽光パネルの固定構造は、第1の態様に記載の構成において、前記固定金具は、前記パネル固定面に固定されるベース部と、前記ベース部の水下側の一端と水上側の他端からそれぞれ立設され、前記パネル固定面の傾斜方向に対向する一対の間隔保持壁部と、傾斜方向の水下側に位置する一方の前記間隔保持壁部の先端に設けられ、前記パネル固定面に前記第1太陽光パネルの端部を固定する第1固定部と、傾斜方向の水上側に位置する他方の前記間隔保持壁部の先端に設けられ、前記パネル固定面に前記第2太陽光パネルの端部を固定する第2固定部と、を有する。
【0012】
第2の態様に係る太陽光パネルの固定構造では、固定金具は、パネル固定面に固定されるベース部とベース部の水下側の一端と水上側の他端からそれぞれ立設され、傾斜方向に対向する一対の間隔保持壁部とを有している。一対の間隔保持壁部の先端には、第1固定部と第2固定部がそれぞれ設けられており、傾斜方向の水下側に位置する第1固定部によって第1太陽光パネルの端部が固定され、傾斜方向の水上側に位置する第2固定部によって第2太陽光パネルの端部が固定されている。このように、パネル固定面に固定されるベース部と各太陽光パネルを固定する固定部とを一対の間隔保持壁部によって連結することにより一部品として形成することができる。これにより、部品点数を削減することができる。
【0013】
第3の態様に係る太陽光パネルの固定構造は、第2の態様に記載の構成において、前記固定金具は、前記一対の間隔保持壁部の間を連結して補強する連結補強部を有する。
【0014】
ところで、太陽光パネルが、設置面に対し傾斜した姿勢で固定される構造では、架台の下方側からの風圧などにより、固定金具の間隔保持壁部に応力が集中する場合がある。
【0015】
第3の態様に係る太陽光パネルの固定構造では、固定金具は、一対の間隔保持壁部の間を連結して補強する連結補強部を有している。これにより、太陽光パネルの下面に架台の下方側からの風圧が作用しても、連結補強部によって一対の間隔保持壁部の間隔が強固に保持されるため、風圧による太陽光パネルの脱落や位置ずれを抑制することができる。このため、対環境性能に優れる。
【0016】
第4の態様に係る太陽光パネルの固定構造は、第3の態様に記載の構成において、前記連結補強部は、前記一対の間隔保持壁部と分離可能に構成され、前記一対の間隔保持壁部は、それぞれの間隔保持壁部から前記第1固定部及び前記第2固定部に跨って延び、前記架台の上方側に開口されたスリット部を有し、前記連結補強部は、前記第1太陽光パネル及び前記第2太陽光パネルの各端部が、前記第1固定部及び前記第2固定部によって固定された状態で、前記スリット部から挿通されて前記一対の間隔保持壁部の間を連結可能に構成されている。
【0017】
第4の態様に係る太陽光パネルの固定構造では、固定金具の連結補強部が、一対の間隔保持壁部と分離可能に構成されている。また、一対の間隔保持壁部は、それぞれの間隔保持壁部から第1固定部及び第2固定部に跨って延び、架台の上方側に開口されたスリット部を有している。従って、第1太陽光パネル及び第2太陽光パネルの各端部が、第1固定部及び第2固定部によって固定された状態で、スリット部から連結補強部を挿通することにより一対の間隔保持壁部の間を連結することができる。これにより、架台の構造、及び傾斜角度に応じて好適に固定金具を補強することができる。
【0018】
第5の態様に係る太陽光パネルの固定構造は、第4の態様に記載の構成において、前記連結補強部は、前記一対の間隔保持壁部との間に架け渡されるボルトと、前記ボルトに螺合されて、前記一対の間隔保持壁部の内側に配置される一対のナットと、を含んで構成されている。
【0019】
第5の態様に係る太陽光パネルの固定構造では、一対の間隔保持壁部との間を連結する連結補強部が、ボルトとナットで構成されている。具体的に、連結補強部のボルトは、一対の間隔保持壁部に形成されたスリット部に挿通されることにより一対の間隔保持壁部との間に架け渡されている。このボルトに、一対のナットが螺合されて、一対の間隔保持壁部の内側に配置されることにより、傾斜方向の応力に対して一対の間隔保持壁部が効果的に補強されている。また、ナットの螺合位置を調整することにより、複数の太陽光パネルの組付け時の公差を吸収することができる。これにより、組付け時の公差を吸収しながら固定金具を補強することができ、更に、風圧による太陽光パネルの脱落や位置ずれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、第1の態様に係る太陽光パネルの固定構造によれば、複数の太陽光パネルを所定の傾斜角で固定する構造において、集光効率を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0021】
第2の態様に係る太陽光パネルの固定構造によれば、部品点数を削減することができるという優れた効果を有する。
【0022】
第3の態様に係る太陽光パネルの固定構造によれば、対環境性能に優れるという優れた効果を有する。
【0023】
第4の態様に係る太陽光パネルの固定構造によれば、架台の構造、及び傾斜角度に応じて好適に固定金具を補強することができるという優れた効果を有する。
【0024】
第5の態様に係る太陽光パネルの固定構造によれば、組付け時の公差を吸収しながら固定金具を補強することができ、更に、風圧による太陽光パネルの脱落や位置ずれを抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る太陽光パネルの固定構造を適用した太陽光パネルの設置状態を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る架台の側面図である。
図3】実施形態に係る架台の端部の固定構造を示す拡大側面図である。
図4】実施形態に係る架台の中間部の固定構造を示す拡大側面図である。
図5】実施形態に係る固定金具を拡大して示す分解斜視図である。
図6】実施形態に係る固定金具の拡大平面図である。
図7】実施形態に係る固定金具の変形例を示す図6に対応する拡大平面図である。
図8】実施形態に係る固定金具の変形例を示す図4に対応する拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、図1図6を用いて、本実施形態に係る太陽光パネルの固定構造10について説明する。この太陽光パネルの固定構造10は、平坦な設置面Gに対して所定の傾斜角で支持される複数の太陽光パネル16の固定構造に関する。平坦な設置面Gとは、例えば、図1に示されるように、建物12の屋上に設けられた陸屋根14や、平坦な地表面である。
【0027】
(架台20)
図1及び図2に示されるように、複数の太陽光パネル16は、陸屋根14に設置された架台20の上に固定されている。架台20は、設置面Gに固定された複数の支柱部材22と、複数の支柱部材22によって支持された架台フレーム30を含んで構成されている。
【0028】
(支柱部材22)
支柱部材22は、陸屋根14の基礎(符号省略)に固定された下部固定ブラケット24と、下部固定ブラケット24の上方側に固定された柱部26、柱部26の上方側に固定された上部固定ブラケット28とによって構成されている。
【0029】
下部固定ブラケット24は、例えば、溝形鋼やH形鋼などの形鋼を所定の長さに切断して形成されている。下部固定ブラケット24は、設置面Gに当接したフランジの取付孔(不図示)に図示しないアンカーボルトを挿通して陸屋根14の基礎に固定されている。
【0030】
柱部26は、例えば、パイプ状の鋼材を所定の長さに切断して形成されている。柱部26は、下部固定ブラケット24の上面を構成するフランジに溶接等の方法で固定され、上方側に立設されている。
【0031】
上部固定ブラケット28は、例えば、L形鋼などの形鋼を所定の長さに切断して形成されており、水平方向と上方向に開放された開断面を有している。上部固定ブラケット28は、柱部26の上端に当接した下側のフランジが、溶接等の方法で柱部26に固定されている。また、上部固定ブラケット28は、後述する架台フレーム30の横桟32が開断面の内側に収容されて、溶接等の方法で固定されている。
【0032】
上記構成の支柱部材22は、下部固定ブラケット24と上部固定ブラケット28との間に溶接される柱部26の寸法を変更することにより、高さ方向(上下方向)の寸法を容易に調整することができる。本実施形態では、横方向に直線状に配置され、同一の高さに設定された複数の支柱部材22が縦方向に3列に設置されて、架台フレーム30を支持している。
【0033】
なお、図2には、架台フレーム30の傾斜方向に沿って異なる高さに設定された支柱部材22A~22Cによって支持される架台フレーム30が側面図によって示されている。
【0034】
(架台フレーム30)
架台フレーム30は、複数の横桟32と複数の縦桟34とを含んで構成されており、横桟32と縦桟34を格子状に配置することで、矩形の格子枠状に形成されている。
【0035】
横桟32は、架台フレーム30の横方向(幅方向)に沿って延びる骨格部材であり、例えば、溝形鋼やH形鋼などの形鋼で構成されている。横桟32は、横方向に直線状に配置され、同一の高さに設定された複数の支柱部材22に架け渡されて支持されている。上述したように、横桟32は、支柱部材22の上部固定ブラケット28の開断面内に収容され、当接面同士を溶接により接合し、又は、ボルト締結により接合して固定されている。
【0036】
縦桟34は、架台フレーム30の縦方向(傾斜方向)に沿って延びる骨格部材である。縦桟34は、例えば、溝形鋼やH形鋼などの形鋼で構成されており、上面を構成する上フランジ34Aと、下面を構成する下フランジ34Bと、上フランジ34Aと下フランジ34Bとを高さ方向に繋ぐウエブ34Cを有している(図3等を参照。)。
【0037】
縦桟34は、横桟32の上に配置され、下フランジ34Bが横桟32の上面に当接している。横桟32と縦桟34は、当接面同士を溶接により接合し、又は、ボルト締結により接合して固定されている。
【0038】
上記構成により、縦桟34は、横桟32の延在方向と直交する縦方向に延在するため、縦桟34は、縦方向に高さの異なる複数の支柱部材22によって間接的に支持されている。従って、縦桟34の上面を構成する上フランジ34Aは、架台20の設置面Gに対して所定の傾斜角を有するように傾斜されている。
【0039】
本実施形態では、架台フレーム30の横方向に所定の間隔を設けて十本の縦桟34が配置されている。これら複数の縦桟34の上フランジ34Aは、設置面Gに対して所定の傾斜角を有する同一平面上に配置され、複数の太陽光パネル16のパネル固定面Pを構成している。
【0040】
上述のように、所定の傾斜角を有するパネル固定面P上には、横方向及び縦方向に並べられた複数の太陽光パネル16が固定されている。換言すると、複数の太陽光パネル16が同一平面上に敷設されている。
【0041】
(太陽光パネルの固定方法)
図2に示されるように、本実施形態では、架台フレーム30の縦方向(傾斜方向)に沿って四枚の太陽光パネル16が並べられ、縦桟34の上に敷設されている。ここで、傾斜方向の水下側を架台20の前方側とし、水上側を架台20の後方側とすると、各太陽光パネル16は、その前端部が傾斜方向の水下側に位置し、その後端部が傾斜方向の水上側に位置している。各太陽光パネル16の前端部及び後端部は、後述する第1固定金具40又は第2固定金具50を用いてパネル固定面Pに固定されている。
【0042】
第1固定金具40は、縦桟34の前端に配置された太陽光パネル16の前端部と、縦桟34の後端に配置された太陽光パネル16の後端部を固定している。図3を参照して、縦桟34の前端に配置された太陽光パネル16の前端部を固定する第1固定金具40について説明する。
【0043】
図3に示されるように、第1固定金具40は、例えば、板金を略Z字状に折り曲げて形成されたブラケットである。この第1固定金具40は、縦桟34の上フランジ34Aに固定されるベース部42と、ベース部42の一端から立設された縦壁部44と、縦壁部44の先端に設けられた固定部46とを含んで構成される。
【0044】
ベース部42は、高さ方向を板厚方向とする板状に形成されており、縦桟34の上フランジ34A上に載置されている。このベース部42は、ベース部42及び縦桟34の上フランジ34Aに形成した取付孔(不図示)にボルト60を挿通し、上フランジ34Aの下方側からナット62を螺合させることにより締結固定される。ナット62は、上フランジ34Aの下面に溶接されたウエルドナットであってもよい。
【0045】
縦壁部44は、ベース部42の一端から垂直上方に立設され、太陽光パネル16の前端側の側面に対向して配置される。固定部46は、縦壁部44の先端を太陽光パネル16の前端側の側面に向かって折り返すことによりフック状に形成されている。太陽光パネル16の前端側の側面には、モジュールケース18の側面から突出した係止片18Aが設けられている。第1固定金具40は、フック状の固定部46を係止片18Aに引っ掛けることにより太陽光パネル16の前端部を上方側から押さえ込み、縦桟34に固定する。
【0046】
第1固定金具40は、同様にして、縦桟34の後端に配置された太陽光パネル16も固定することができる。即ち、太陽光パネル16の後端側の側面に設けられた係止片18Aに固定部46を引っ掛けることにより、太陽光パネル16の後端部を縦桟34に固定する(図2参照。)。
【0047】
次に、図4を参照して、本発明の要部である第2固定金具50について説明する。第2固定金具50は、本発明に係る「固定金具」に相当する。
【0048】
第2固定金具50は、縦桟34の傾斜方向に沿って並んだ二つの太陽光パネル16の間に配置され、水下側の太陽光パネル16の後端部と水上側の太陽光パネル16の前端部とを固定する。図4では、説明を分かりやすくするために、傾斜方向水下側に配置された太陽光パネルを「第1太陽光パネル」として符号「16A」で示し、傾斜方向水上側に配置された太陽光パネルを「第2太陽光パネル」として符号「16B」で示す。
【0049】
図4に示されるように、第2固定金具50は、ブラケット状の本体部50Aと、本体部50Aから分離可能に構成された連結補強部50Bとを有している。
【0050】
本体部50Aは、例えば、板金を折り曲げて形成されたブラケットであり、上述した第1固定金具40を一対一組にして一体にした逆ハット型の形状を有している。この本体部50Aは、縦桟34の上フランジ34Aに固定されるベース部52と、ベース部52の一端と他端から立設された一対の間隔保持壁部54と、一対の間隔保持壁部54の先端に設けられた第1固定部56及び第2固定部58を含んで構成されている。
【0051】
ベース部52は、高さ方向を板厚方向とする板状に形成されており、縦桟34の上フランジ34A上に載置されている。このベース部52は、ベース部52及び縦桟34の上フランジ34Aに形成した取付孔(不図示)にボルト60を挿通し、上フランジ34Aの下方側からナット62を螺合させることにより締結固定される。ナット62は、上フランジ34Aの下面に溶接されたウエルドナットであってもよい。
【0052】
一対の間隔保持壁部54は、ベース部52の水下側の一端と水上側の一端からそれぞれ垂直上方に立設され、縦桟34の傾斜面方向に対向して配置される。
【0053】
第1固定部56は、傾斜方向の水下側(図4では左側)に位置する一方の間隔保持壁部54の先端に設けられている。この第1固定部56は、間隔保持壁部54の先端を水下側に配置された第1太陽光パネル16Aの後端側の側面に向かって折り返すことにより、フック状に形成されている。第2固定金具50は、フック状の第1固定部56を第1太陽光パネル16Aの後端側の側面に設けられた係止片18Aに引っ掛けることにより、第1太陽光パネル16Aの後端部を上方側から押さえ込み、縦桟34に固定する。
【0054】
一方、第2固定部58は、傾斜方向の水上側(図4では右側)に位置する他方の間隔保持壁部54の先端に設けられている。この第2固定部58は、間隔保持壁部54の先端を水上側に配置された第2太陽光パネル16Bの前端側の側面に向かって折り返すことにより、フック状に形成されている。第2固定金具50は、フック状の第2固定部58を第2太陽光パネル16Bの前端側の側面に設けられた係止片18Aに引っ掛けることにより、第2太陽光パネル16Bの前端部を上方側から押さえ込み、縦桟34に固定する。
【0055】
図5及び図6に示されるように、一対の間隔保持壁部54は、それぞれの間隔保持壁部54から第1固定部56及び第2固定部58に跨って延び、架台20の上方側に開口されたスリット部70を有している。ここでは、説明を分かりやすくするために、水下側に配置される一方の間隔保持壁部54と第1固定部56に跨って形成されたスリット部を第1スリット部72と称し、水上側に配置される他方の間隔保持壁部54と第2固定部58に跨って形成されたスリット部を第2スリット部74と称する。
【0056】
第1スリット部72と第2スリット部74は、一対の間隔保持壁部54と第1固定部56及び第2固定部58を板厚方向に貫通して設けられており、上方側に開口している。また、第1スリット部72と第2スリット部74とは、縦桟34の傾斜方向に沿って向かい合う位置に配置されている。第1スリット部72及び第2スリット部74には、後述する連結補強部50Bを構成するボルト64の両端が挿通される。
【0057】
連結補強部50Bは、本体部50Aの一対の間隔保持壁部54の間を連結して補強する補強部材である。本実施形態の連結補強部50Bは、例えば、全ネジボルト等で構成された一つのボルト64と、ボルト64に螺合された一対のナット66を含んでされており、一対の間隔保持壁部54から分離可能に構成されている。
【0058】
ボルト64は、一対の間隔保持壁部54に架け渡されるようにしてスリット部70に挿通される。この状態では、ボルト64の両端部が第1スリット部72と第2スリット部74に挿通されて一対の間隔保持壁部54を貫通して配置される。また、一対のナット66は、一対の間隔保持壁部54の内側に配置され、ボルト64に螺合している。これにより、連結補強部50Bによって一対の間隔保持壁部54の間が連結されるため、間隔保持壁部54に対して縦桟34の傾斜方向に沿った荷重が作用した場合であっても、一対の間隔保持壁部54の間隔が強固に保持される。
【0059】
上記構成の第2固定金具50は、先ず、傾斜方向の水下側に配置された第1太陽光パネル16Aの後端部に第1固定部56を引っ掛けて、縦桟34にベース部52を仮留めする。その後、第2固定金具50の水上側に第2太陽光パネル16Bを配置して、第2固定部58を第2太陽光パネル16Bの前端部に引っ掛けて固定して。ベース部52のボルト60を締結する。最後に、第1太陽光パネル16Aの後端部と第2太陽光パネル16Bの前端部が、第1固定部56及び第2固定部58によって固定された状態で、スリット部70から連結補強部50Bを挿通させ、一対のナット66を所定の締結トルクで締結させて施工が完了する。
【0060】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施形態に係る太陽光パネルの固定構造10では、平坦な設置面Gに対して所定の傾斜角で支持される複数の太陽光パネル16を固定可能に構成されている。
【0061】
具体的に、太陽光パネルの固定構造10は、複数の横桟32及び縦桟34で構成される架台フレーム30備える。この架台フレーム30は、架台20の設置面Gに対して所定の傾斜角を有する上面がパネル固定面Pとされ、当該パネル固定面Pの上に複数の太陽光パネル16が固定される。
【0062】
ここで、図4に示すように、パネル固定面P上に傾斜方向に沿って並ぶ第1太陽光パネル16Aと第2太陽光パネル16Bは、同一平面上に配置された状態で、第2固定金具50を用いて固定される。この第2固定金具50は、第1太陽光パネル16Aと第2太陽光パネル16Bとの間に配置され、第1太陽光パネル16Aの後端部と第2太陽光パネル16Bの前端部をパネル固定面Pに固定する。
【0063】
上記構成によれば、架台20の設置面Gに対して傾斜した架台フレーム30の上面をパネル固定面Pとすることで、複数の太陽光パネル16を所定の傾斜角に傾斜させ固定することができる。また、傾斜方向に並ぶ太陽光パネル16(16A,16B)同士は、パネル間に配置された第2固定金具50を用いて同一平面上に固定されるため、傾斜方向の水下側に配置された第1太陽光パネル16Aと水上側に配置された第2太陽光パネル16Bの継ぎ目に高低差が生じない。従って、傾斜方向に隣接する太陽光パネル16によって生じる影の影響が低減され、第2固定金具50によって保持されるパネル間の寸法を小さく設定することができる。その結果、限られた設置スペースに複数の太陽光パネルを集約して設置することができ、集光効率を向上させることができる。
【0064】
また、第2固定金具50は、パネル固定面Pに固定されるベース部52とベース部52の水下側の一端と水上側の他端からそれぞれ立設され、傾斜方向に対向する一対の間隔保持壁部54とを有している。一対の間隔保持壁部54の先端には、第1固定部56と第2固定部58がそれぞれ設けられており、傾斜方向の水下側に位置する第1固定部56によって第1太陽光パネル16Aの後端部が固定され、傾斜方向の水上側に位置する第2固定部58によって第2太陽光パネル16Bの前端部が固定されている。このように、パネル固定面Pに固定されるベース部52と各太陽光パネル16を固定する第1固定部56及び第2固定部58とを一対の間隔保持壁部54によって連結することにより一部品として形成することができる。これにより、部品点数を削減することができる。
【0065】
ところで、太陽光パネル16が、設置面Gに対し傾斜した姿勢で固定される構造では、架台20の下方側からの風圧などにより、第2固定金具50の間隔保持壁部54に応力が集中する場合がある。
【0066】
これに対し、本実施形態によれば、第2固定金具50は、一対の間隔保持壁部54の間を連結して補強する連結補強部50Bを有している。これにより、太陽光パネル16の下面に架台20の下方側からの風圧が作用しても、連結補強部50Bによって一対の間隔保持壁部54の間隔が強固に保持されるため、風圧による太陽光パネル16の脱落や位置ずれを抑制することができる。このため、対環境性能に優れる。
【0067】
また、本実施形態では、第2固定金具50の連結補強部50Bが、一対の間隔保持壁部54と分離可能に構成されている。また、一対の間隔保持壁部54は、水下側と水上側に配置されたそれぞれの間隔保持壁部54から第1固定部56及び第2固定部58に跨って延び、架台20の上方側に開口されたスリット部70を有している。従って、第1太陽光パネル16A及び第2太陽光パネル16Bの各端部が、第1固定部56及び第2固定部58によって固定された状態で、スリット部70から連結補強部50Bを挿通することにより一対の間隔保持壁部54の間を連結することができる。これにより、架台20の構造、及び傾斜角度に応じて好適に第2固定金具50を補強することができる。
【0068】
更に、上記実施形態では、一対の間隔保持壁部54との間を連結する連結補強部50Bが、ボルト64とナット66で構成されている。具体的に、連結補強部50Bのボルト64は、一対の間隔保持壁部54に形成されたスリット部70に挿通されることにより一対の間隔保持壁部54との間に架け渡されている。このボルト64に、一対のナット66が螺合されて、一対の間隔保持壁部54の内側に配置されることにより、傾斜方向の応力に対して一対の間隔保持壁部54が効果的に補強されている。また、ナット66の螺合位置を調整することにより、複数の太陽光パネル16の組付け時の公差を吸収することができる。これにより、組付け時の公差を吸収しながら第2固定金具50を補強することができる。
【0069】
[補足説明]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態の各構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や組み合わせが可能である。例えば、上記実施形態では、連結補強部50Bが一対の間隔保持壁部54から分離可能に構成されたが、本発明はこれに限らない。
【0070】
(連結補強部の変形例)
図7に示される第2固定金具80のように、連結補強部82は、第2固定金具80から分離不能に構成してもよい。なお、図7において、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。変形例に係る連結補強部82は、一対の間隔保持壁部54の幅方向の端部に架け渡された板状のプレートで構成されており、溶接によって一対の間隔保持壁部54に接合されている。図7では、一対の間隔保持壁部54の幅方向の両端に連結補強部82が架け渡されているが、一対の間隔保持壁部54の幅方向の一端にのみ架け渡される構成としてもよい。
【0071】
(第1固定部及び第2固定部の変形例)
また、上記実施形態の第1固定部56及び第2固定部58は、フック状に折り曲げられた板状に形成されたが、これに限らない。図8に示される第2固定金具90のように、第1固定部92及び第2固定部94は、一対の間隔保持壁部54の先端を略直角に折り曲げて形成した板状部で構成してもよい。当該構成では、第1固定部92及び第2固定部94が第1太陽光パネル16Aの後端部及び第2太陽光パネル16Bの前端部の上面に当接し、下方側に押さえ込むようにして固定することができる。
なお、図8においても、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0072】
また、上記実施形態及び各変形例では、第1固定金具40のベース部42と第2固定金具50,80,90のベース部52がボルト60とナット62を用いて縦桟34に固定される構成としたが、これに限らず、溶接等の方法で縦桟34に固定される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
20 架台
30 架台フレーム
32 横桟(桟)
34 縦桟(桟)
16A 第1太陽光パネル(複数の太陽光パネル16)
16B 第2太陽光パネル(複数の太陽光パネル16)
50 第2固定金具(固定金具)
50B 連結補強部
52 ベース部
54 一対の間隔保持壁部
56 第1固定部
58 第2固定部
64 ボルト
66 一対のナット
80 第2固定金具(固定金具)
82 連結補強部
90 第2固定金具(固定金具)
92 第1固定部
94 第2固定部
G 設置面
P パネル固定面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8