(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115720
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】複合操作の単一化による操作機構
(51)【国際特許分類】
G05G 13/00 20060101AFI20230814BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G05G13/00
G05G1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018088
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005234
【氏名又は名称】株式会社筑水キャニコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】包行 良光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 壮一郎
【テーマコード(参考)】
3J070
【Fターム(参考)】
3J070AA03
3J070BA32
3J070CB02
3J070CC12
3J070CC71
3J070DA03
3J070EA31
(57)【要約】
【課題】動力源として電動モーターを用い、本機構により走行するときのみ、また作業するときのみ電動モーターから動力を得られるようにすることで、作業していない間の電力消費を抑え長時間の作業を可能とする複合操作の単一化による操作機構の提供。
【解決手段】走行装置1と作業装置2を備えた作業車両Aにおいて、両装置1、2を駆動する駆動源としての電動モーター3と、該電動モーター駆動スイッチ4と、走行装置1を駆動操作する走行クラッチレバー5と、作業装置2を駆動操作する作業操作レバー6とを備え、各レバー5、6を個別に操作することで、それぞれ電動モーター駆動スイッチ4が押されて電動モーター3が駆動するように構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と作業装置を備えた作業車両において、前記両装置を駆動する駆動源としての電動モーターと、該電動モーター駆動スイッチと、前記走行装置を駆動操作する走行クラッチレバーと、前記作業装置を駆動操作する作業操作レバーとを備え、
前記各レバーを個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチが押されて電動モーターが駆動するように構成されていることを特徴とする複合操作の単一化による操作機構。
【請求項2】
請求項1記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記各レバーを個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチが押されて電動モーターが駆動する機構として、前記駆動スイッチには支点を中心として回動することによりスイッチレバーを介して前記駆動スイッチを押すロッドを備え、各レバーの回動支点の先端には各レバーを操作することで前記ロッドを押しスイッチレバーを介して駆動スイッチを押すカム機構をそれぞれ備えていることを特徴とする複合操作の単一化による操作機構。
【請求項3】
請求項1又は2記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記作業装置として前記電動モーターで駆動する油圧ポンプモーターを介して油圧シリンダーで駆動操作するバケットを備えることを特徴とする複合操作の単一化による操作機構。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記電動モーターの駆動力はそれぞれVベルトを介して走行装置と作業装置に伝達され、
前記走行クラッチレバーを操作していない時には前記電動モーターの駆動力が走行装置に伝達しないように構成されていることを特徴とする複合操作の単一化による操作機構。
【請求項5】
請求項4記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記走行装置へ原動力を伝達するVベルトにテンションを加えるテンション装置を備え、
前記走行クラッチレバーを操作していない時には、テンション装置のテンションを緩めるように構成されていることを特徴とする複合操作の単一化による操作機構。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記走行装置には機械的ブレーキ装置を備えることを特徴する複合操作の単一化による操作機構。
【請求項7】
請求項6記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記機械的ブレーキ装置は、ワイヤーを介してブレーキ操作レバー操作が走行装置のブレーキ装置を作動させ、走行装置にブレーキをかけるように構成されていることを特徴とする複合操作の単一化による操作機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モーターで駆動する走行装置とバケット装置(作業装置)とを備えた運搬車等における複合操作の単一化による操作機構に関し、複数の操作機構に対し1つの入力で必要な時のみ駆動して動力を得られる機構を設け、電動モーターの消費電力を抑えることを可能とする技術。
【背景技術】
【0002】
一般に、運搬車はエンジン等の原動機によって駆動される走行部と油圧で駆動するバケットや荷箱を備えており、作業者が操作を行いながら荷物を運搬する構成となっている。
運搬車は、走行装置を駆動させるためにシャーシフレームに備えられた走行装置へVベルトを介して原動力を伝達している。また、バケットなどの作業系も車両シャーシフレームに備えられた油圧ポンプモーターにVベルトを介して原動力を伝達している。
(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の作業機では走行、作業に介して動力を得る際、常に原動機を駆動させ動力を得ている。
電動化において同様に常に電動モーターを駆動させているほうが機構的にも従来のものから簡易的に電動化することができる。しかし、作業や走行を行っていない間も電動モーターを駆動し続けるため電力の消費が大きく作業時間が短くなるという問題点がある。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、動力源として電動モーターを用い、本機構により走行するときのみ、また作業するときのみ電動モーターから動力を得られるようにすることで、作業していない間の電力消費を抑え長時間の作業を可能とする複合操作の単一化による操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の複合操作の単一化による操作機構は、走行装置と作業装置を備えた作業車両において、前記両装置を駆動する駆動源としての電動モーターと、該電動モーター駆動スイッチと、前記走行装置を駆動操作する走行クラッチレバーと、前記作業装置を駆動操作する作業操作レバーとを備え、
前記各レバーを個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチが押されて電動モーターが駆動するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の複合操作の単一化による操作機構は、請求項1記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記各レバーを個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチが押されて電動モーターが駆動する機構として、前記駆動スイッチには支点を中心として回動することによりスイッチレバーを介して前記駆動スイッチを押すロッドを備え、各レバーの回動支点の先端には各レバーを操作することで前記ロッドを押しスイッチレバーを介して駆動スイッチを押すカム機構をそれぞれ備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の複合操作の単一化による操作機構は、請求項1又は2記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記作業装置として前記電動モーターで駆動する油圧ポンプモーターを介して油圧シリンダーで駆動操作するバケットを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の複合操作の単一化による操作機構は、請求項1~3のいずれかに記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記電動モーターの駆動力はそれぞれVベルトを介して走行装置と作業装置に伝達され、
前記走行クラッチレバーを操作していない時には前記電動モーターの駆動力が走行装置に伝達しないように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の複合操作の単一化による操作機構は、請求項4記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記走行装置へ原動力を伝達するVベルトにテンションを加えるテンション装置を備え、
前記走行クラッチレバーを操作していない時には、テンション装置のテンションを緩めるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の複合操作の単一化による操作機構は、請求項1~5のいずれかに記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記走行装置には機械的ブレーキ装置を備えることを特徴する。
【0012】
請求項7記載の複合操作の単一化による操作機構は、請求項6記載の複合操作の単一化による操作機構において、
前記機械的ブレーキ装置は、ワイヤーを介してブレーキ操作レバー操作が走行装置のブレーキ装置を作動させ、走行装置にブレーキをかけるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の複合操作の単一化による操作機構では、上述のように、前記各レバーを個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチが押されて電動モーターが駆動するように構成されていることで、動力源として電動モーターを用い、本機構により走行するときのみ、また作業するときのみ電動モーターから動力を得られるので、電動モーター作動による消費電力が抑えられ、機械稼働時間の延長化が図れるようになるという効果が得られる。
【0014】
また、電動モーターが駆動する機構として、前記駆動スイッチには支点を中止として回動することによりスイッチレバーを介して前記駆動スイッチを押すロッドを備え、各レバーの回動支点の先端には各レバーを操作することで前記ロッドを押しスイッチレバーを介して駆動スイッチを押すカム機構をそれぞれ備えることで、電動モーター作動による消費電力が抑えられ、機械稼働時間の延長化が図れるようになるという効果が得られる。
【0015】
また、前記走行クラッチレバーを操作していない時には前記電動モーターの駆動が走行装置に伝達しないように構成されることで、作業操作レバーを操作して電動モーターを駆動させても走行装置を駆動させることを阻止することができる。
【0016】
また、前記走行装置には機械的ブレーキ装置を備えることで、走行クラッチレバーを操作していない時、即ち電動モーターの駆動力が走行装置に伝達されず、走行装置の駆動がフリー状態の時でも走行装置が自然に動きだすことを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1の複合操作の単一化による操作機構を備えた作業車両(運搬車両)を示す平面図である。
【
図4】電動モーターによる走行装置と作業装置の動力伝達状態を示す側面図である。
【
図5】電動モーターによる走行装置と作業装置の動力伝達状態を示す背面図である。
【
図6】実施例1の複合操作の単一化による操作機構の要部を示す正面図である。
【
図7】実施例1の複合操作の単一化による操作機構の要部を示す側面図である。
【
図8】複合操作の単一化による操作機構における走行クラッチレバー操作切り時の状態を示す説明図である。
【
図10】複合操作の単一化による操作機構における走行クラッチレバー入り時の状態を示す説明図である
【
図12】複合操作の単一化による操作機構における作業操作レバー(ダンプレバー)操作切り時の状態を示す説明図である。
【
図14】複合操作の単一化による操作機構における作業操作レバー(ダンプレバー)操作入り時(上向き操作時)の状態を示す説明図である
【
図16】複合操作の単一化による操作機構における作業操作レバー(ダンプレバー)操作入り時(下向き操作時)の状態を示す説明図である
【
図21】機械的ブレーキ装置の詳細を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【実施例0019】
まず、この実施例1の複合操作の単一化による操作機構を図面に基づいて説明する。
この実施例1の複合操作の単一化による操作機構は、
図1~6に示すように、走行装置1と作業装置2を備えた作業車両Aにおいて、前記両装置1,2を駆動する駆動源としての電動モーター3と、該電動モーター駆動スイッチ4と、前記走行装置1を駆動操作する走行クラッチレバー5と、前記作業装置1を駆動操作する作業操作レバー6と、機械的ブレーキ装置7と、を主な構成として備え、前記各レバー5,6を個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチ4が押されて電動モーター3が駆動するように構成されている。
前記作業車両Aは、走行装置1として無限軌道11を備える。
尚、図において12は作業車両Aのハンドルである。
【0020】
さらに詳述すると、前記各レバー5,6を個別に操作することで、それぞれ前記駆動スイッチ4が押されて電動モーター3が駆動する機構として、
図7~17に示すように、前記駆動スイッチ4には支点41を中止として回動することによりスイッチレバー42を介して前記駆動スイッチ4を押すロッド43を備え、各レバー5,6の回動支点51,61の先端には各レバー5,6をそれぞれ操作することで前記ロッド43を押しスイッチレバー41,42を介して駆動スイッチ4を押す走行レバーカム機構52、作業操作レバーカム機構62をそれぞれ備えている。
尚、図において44は、ロッド43の回動領域を制限する長孔である。
【0021】
また、前記電動モーター3の駆動力は、
図4,5に示すように、各レバー5,6の操作によりVベルト31,32を介してそれぞれ走行装置1と作業装置2に伝達されるが、前記走行装置2へ原動力を伝達するVベルト31にテンションを加えるテンション装置7を備える。
このテンション装置7は、支点71を中心として回動するテンションプーリー72でVベルト31を押圧することによりVベルト31にテンションを与え、電動モーター3の動力を走行装置2へ伝達するようになっている。
前記走行クラッチレバー5を操作(クラッチ入)することによりクラッチワイヤ73を介してテンション装置7を作動させ、前記走行クラッチレバー5を操作していない時(クラッチ切)には、テンション装置7のテンションを緩めるように構成されることで、前記走行クラッチレバー5を操作していない時には前記電動モーター3の駆動力が走行装置1に伝達しないように構成されている。
なお、図において3aは電動モーター3側のダブルプーリー、3bは走行装置1側のプーリー、3cは油圧ポンプモーター21側のプーリー、74はテンション解除スプリングである。
【0022】
前記作業装置2としてこの実施例では、バケット23を備えている。
前記バケット33の油圧構成は、
図18、19に示すように、
前記電動モーター3で駆動する油圧ポンプモーター21を介して油圧シリンダー22で駆動操作するバケット23を備え、作業操作レバー(ダンプレバー)6の操作により油圧ポンプモーター21が駆動すると、油圧シリンダー22が駆動してバケット23を傾動させて所定の場所に荷物を落下させる。
尚、図において24はプッシュプルワイヤー、25は油圧ホースである。
【0023】
前記機械的ブレーキ装置8は、
図20、21に示すように、ブレーキワイヤー81を介してブレーキ操作レバー82の操作が走行装置1のブレーキ装置83を作動させ、走行装置1にブレーキをかけるように構成されている。
【0024】
次に実施例1の複合操作の単一化による操作機構の作用について説明する。
【0025】
先ず、走行クラッチレバー5の操作について説明する。
1.走行クラッチレバー5の操作切り時は、
図8,9図に示すように、ロッド43が支点41を中心としてスイッチレバー42への押圧を解除する方向に回動することで、電動モーター駆動スイッチ4がオフ(電動モーター3が駆動停止)の状態に維持されている。
【0026】
2.走行クラッチレバー5の操作入り時は、
図10,11図に示すように、走行レバーカム機構52が回動支点51を中心として上向きに回動することで、ロッド43が支点41を中心としてスイッチレバー42を押圧する方向に回動して電動モーター駆動スイッチ4がオン(電動モーター3駆動)の状態になる。
【0027】
次に、作業操作レバー6の操作について説明する。
1.作業操作レバー6の操作切り時は、
図12,13図に示すように、ロッド43が支点41を中心としてスイッチレバー42への押圧を解除する方向に回動することで、電動モーター駆動スイッチ4がオフ(電動モーター3が駆動停止)の状態に維持されている。
【0028】
2.作業操作レバー6の操作入り時(上向き操作時)は、
図14,15図に示すように、作業操作レバーカム機構62が回動支援61を中心として上向きに回動することで、ロッド43が支点41を中心としてスイッチレバー42を押圧する方向に回動して電動モーター駆動スイッチ4がオン(電動モーター3駆動)の状態になる。
3.作業操作レバー6の操作入り時(下向き操作時)は、
図16,17図に示すように、作業操作レバーカム機構62が回動支援61を中心としてした下向きに回動することで、ロッド43が支点41を中心としてスイッチレバー42を押圧する方向に回動して電動モーター駆動スイッチ4がオン(電動モーター3駆動)の状態になる。
【0029】
次に実施例1の効果を説明する
本発明実施例の複合操作の単一化による操作機構では、上述のように、前記各レバー5,6を個別に操作することで、それぞれ前記電動モーター駆動スイッチ4が押されて電動モーター3が駆動するように構成されていることで、動力源として電動モーター3を用い、本機構により走行するときのみ、また作業するときのみ電動モーター3から動力を得られるので、電動モーター3作動による消費電力が抑えられ、機械稼働時間の延長化が図れるようになるという効果が得られる。
【0030】
また、電動モーター3が駆動する機構として、前記電動モーター駆動スイッチ4には支点41を中止として回動することによりスイッチレバー42を介して前記電動モーター駆動スイッチ4を押すロッド43を備え、各レバー5,6の回動支点51、61の先端には各レバー5,6を操作することで前記ロッド43を押しスイッチレバー42を介して電動モーター駆動スイッチ4を押すカム機構52、62をそれぞれ備えることで、電動モーター3作動による消費電力が抑えられ、機械稼働時間の延長化が図れるようになるという効果が得られる。
【0031】
また、前記走行クラッチレバー5を操作していない時には前記電動モーター3の駆動が走行装置1に伝達しないように構成されることで、作業操作レバー6を操作して電動モーター3を駆動させても走行装置1を駆動させることを阻止することができる。
【0032】
また、前記走行装置1には機械的ブレーキ装置8を備えることで、走行クラッチレバー5を操作していない時、即ち電動モーター3の駆動力が走行装置1に伝達されず、走行装置1の駆動がフリー状態の時でも走行装置1が自然に動きだすことを阻止することができる。
【0033】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0034】
例えば、実施例1では、作業装置1としてバケット23を備える場合を例示したが、これには限定されず、その他の作業装置を備える場合についても本発明に含まれる。