(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115730
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】無線タグ、検査システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 5/02 20060101AFI20230814BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20230814BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20230814BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20230814BHJP
G06K 19/067 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H04B5/02
H04B1/59
G06K19/077 264
G06K19/07 240
G06K19/067 020
G06K19/077 248
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018109
(22)【出願日】2022-02-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼発行日 令和 3年2月11日 ▲2▼刊行物 映像情報メディア学会技術報告 ITE Technical Report Vol. 45, No. 5 BCT2021-9 (Feb. 2021) ▲3▼公開者 齊藤 一幸、小林 亨有 ▲4▼公開された発明の内容 齊藤 一幸及び小林 亨有が、映像情報メディア学会技術報告により令和3年2月11日付けで発行された予稿集において、特許出願に関連する発明(本件発明)について公開した。 ▲1▼催日 令和3年2月18日 ▲2▼集会名 映像情報メディア学会 放送技術研究会(開催場所:ウェブ会議) ▲3▼公開者 齊藤 一幸、小林 亨有 ▲4▼公開された発明の内容 齊藤 一幸及び小林 亨有が、映像情報メディア学会により開催された放送技術研究会において、本件発明について公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】堀井 宏祐
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 一幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 亨有
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AB09
5K012AC08
5K012AC10
(57)【要約】
【課題】 水環境において向上した性能を示す無線タグ、及び、この無線タグを含むシステム等を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る無線タグは、コイルと、該コイルが30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を受信することに伴い、該第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を生成して前記コイルに送信させる、該コイルに接続されたダイオードと、を具備し、集積回路を欠くことができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
該コイルが30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を受信することに伴い、該第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を生成して前記コイルに送信させる、該コイルに接続されたダイオードと、
を具備し、
集積回路を欠くことを特徴とする無線タグ。
【請求項2】
前記ダイオードがショットキーバリアダイオードである、請求項1に記載の無線タグ。
【請求項3】
前記第1周波数成分が40.68MHzの成分を有する、請求項1又は請求項2に記載の無線タグ。
【請求項4】
前記コイルと前記ダイオードとが、直列に接続され、1つの閉じた回路を形成する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線タグ。
【請求項5】
前記コイル及び前記ダイオードを収容するケースをさらに含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の無線タグ。
【請求項6】
前記ケースが、開口部を有し、前記コイル及び前記ダイオードを収容する筒状部材と、該開口部を覆うように該筒状部材に取り付けられる蓋部材と、を含むか、又は、
前記ケースが、一方のシートと、該一方のシートとの間に前記コイル及び前記ダイオードを挟んで該一方のシートに貼り付けられる他方のシートと、を含む、請求項5に記載の無線タグ。
【請求項7】
コイルと該コイルに接続されたダイオードとを含み、集積回路を欠く無線タグと、
30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を少なくとも1つの送信アンテナを介して前記無線タグに向けて送信することにより、該第1信号を受信した該無線タグに対して、前記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を送信させる、ように構成される送信ユニットと、
前記無線タグにより送信される前記第2信号を少なくとも1つの受信アンテナを介して受信する、ように構成される受信ユニットと、
を具備することを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記ダイオードがショットキーバリアダイオードである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1周波数成分が40.68MHzの成分を有する、請求項7又は請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記受信ユニットが、前記第2信号を受信することに応答して、警告情報を表示する又は警告音を発生させるように構成される警告装置を含む、請求項7から請求項9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
コイルと該コイルに接続されたダイオードとを含み、集積回路を欠く無線タグに組み合わせて用いられる、送信ユニット及び受信ユニットを作動させる方法であって、
前記送信ユニットが、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を少なくとも1つの送信アンテナを介して被検査体に向けて送信する段階と、
前記受信ユニットが、前記第1信号を受信した前記被検査体の内部に存在する前記無線タグにより送信される、前記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を少なくとも1つの受信アンテナを介して受信する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記ダイオードがショットキーバリアダイオードである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1周波数成分が40.68MHzの成分を有する、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願に開示される技術は、無線タグ、及び、この無線タグを含むシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触方式の個体管理技術として、RFID(Radiation Frequency Identification)が広く用いられている。RFIDでは、数mmから最大で10m程度の範囲における通信が可能である。さらに、RFIDは、集積回路(Integrated Circuit;IC)を用いているため、内蔵メモリにデータを非接触方式により保存することができることにより、個体管理を可能とすることから、様々な分野で活用されている。このような従来技術に係るRFIDとして、特開2007-155554号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
【0003】
なお、特開2007-155554号公報は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来技術に係るRFIDが、例えば人体の内部等の水を含む環境(水環境)に存在する場合には、このRFIDにより送信される信号は、水に吸収されるため、このRFIDの通信範囲が極端に小さくなる。
【0006】
加えて、上記従来技術に係るRFIDの応答信号は微弱であるため、仮に外部からこのRFIDに向けて信号を送信する送信源の送信電力を大きくしても、このRFIDが水環境に存在する場合には、このRFIDにより送信される応答信号を水環境の外部において捕捉することが困難である。
【0007】
したがって、本件出願に開示された技術は、水環境において向上した性能を示す無線タグ、及び、この無線タグを含むシステム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る無線タグは、「コイルと、該コイルが30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を受信することに伴い、該第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を生成して前記コイルに送信させる、該コイルに接続されたダイオードと、を具備し、集積回路を欠く」構成を採ることができる。
【0009】
一態様に係るシステムは、「コイルと該コイルに接続されたダイオードとを含み、集積回路を欠く無線タグと、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を少なくとも1つの送信アンテナを介して前記無線タグに向けて送信することにより、該第1信号を受信した該無線タグに対して、前記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を送信させる、ように構成される送信ユニットと、前記無線タグにより送信される前記第2信号を少なくとも1つの受信アンテナを介して受信する、ように構成される受信ユニットと、を具備する」構成を採ることができる。
【0010】
一態様に係る方法は、「コイルと該コイルに接続されたダイオードとを含み、集積回路を欠く無線タグに組み合わせて用いられる、送信ユニット及び受信ユニットを作動させる方法であって、前記送信ユニットが、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を少なくとも1つの送信アンテナを介して被検査体に向けて送信する段階と、前記受信ユニットが、前記第1信号を受信した前記被検査体の内部に存在する前記無線タグにより送信される、前記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を少なくとも1つの受信アンテナを介して受信する段階と、を含む」ことができる。
【0011】
この[発明の概要]の欄は、選択された様々な概念を簡略化された形式により導入するために記載されており、これらの様々な概念については[発明を実施するための形態]の欄において後述する。本明細書において用いられるすべての商標は、これらの商標の保有者の財産である。この[発明の概要]の欄の記載は、特許請求の範囲に記載された発明の重要な特徴又は不可欠な特徴を特定することを意図するものでもなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定することを意図するものでもない。特許請求の範囲に記載された発明の、上述した又は他の目的、特徴及び効果は、添付図面を参照して以下に示される[発明を実施するための形態]の欄の記載からより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る無線タグの動作原理を概念的に示す模式図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る無線タグの動作原理を概念的に示す模式図である。
【
図3】
図3は、周期Tを有する正弦波をダイオードを用いて歪ませることにより生成された波形を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した波形をフーリエ級数展開することにより生ずる高調波の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る無線タグを含む検査システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した無線タグ100の構成の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した無線タグ100を構成するケース106の構成の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5に示した検査システムに含まれる各送信アンテナ206及び各受信アンテナ302の特性の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、
図5に示した検出装置304として用いられるスペクトラムアナライザにより表示される情報の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、
図5に示した検査システムの一部を変形又は簡略化して示す当該検査システムの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、いかなる方法によっても限定されることを意図していない、代表的な様々な実施形態という意味により記載される。
【0014】
本明細書において記載される、様々なシステム、方法及び装置は、いかなる方法によっても限定されるものとして解釈されるべきではない。実際には、本開示は、開示された様々な実施形態の各々、これら様々な実施形態を相互に組み合わせたもの、及び、これら様々な実施形態の一部を相互に組み合わせたもの、のうちのあらゆる新規な特徴及び態様に向けられている。本明細書において記載される、様々なシステム、方法及び装置は、特定の態様、特定の特徴、又は、このような特定の態様と特定の特徴とを組み合わせたものに限定されないし、本明細書に記載される物及び方法は、1若しくはそれ以上の特定の効果が存在すること又は課題が解決されることを、要求するものでもない。さらには、本明細書において記載された様々な実施形態のうちの様々な特徴若しくは態様、又は、そのような特徴若しくは態様の一部は、相互に組み合わせて用いられ得る。
【0015】
本明細書において開示された様々な方法のうちの幾つかの方法の動作が、便宜上、特定の順序に沿って記載されているが、このような手法による記載は、特定の順序が以下特定の文章によって要求されていない限り、上記動作の順序を並び替えることを包含する、と理解すべきである。例えば、順番に記載された複数の動作は、幾つかの場合には、並び替えられるか又は同時に実行される。さらには、簡略化を目的として、添付図面は、本明細書に記載された様々な事項及び方法が他の事項及び方法とともに用いられ得るような様々な方法を示していない。
【0016】
本開示の装置又は方法に関連して本明細書に提示される、動作理論、科学的原理又は他の理論的な記載は、よりよい理解を目的として提供されており、技術的範囲を限定することを意図していない。添付した特許請求の範囲における装置及び方法は、このような動作理論により記載される方法により動作する装置及び方法に限定されない。
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要素には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
【0018】
1.概要
本件出願に開示される技術では、集積回路(IC)を使用せず、汎用の1又はそれ以上のダイオード及びコイルを使用した無線タグを提供する。このような無線タグは、集積回路を使用していないため、個体管理を行うことはできない。しかし、かかる無線タグは、従来技術に係るRFIDとは異なり、外部からの送信電力に比例した応答信号を送信することができる。これにより、外部からの送信電力を大きくすることにより、かかる無線タグは、水環境におかれても、より大きな応答信号を送信することができる。このような無線タグにより送信される応答信号は、水環境の外部に配置される受信ユニットにより容易に捕捉(キャッチ)され得る。したがって、水環境の外部に配置される受信ユニットは、水環境において無線タグの存在の有無を調べることができる。
【0019】
本件出願に開示される様々な無線タグは、1つの適した例として、医療現場において用いられ得る。近年の医療現場では、工学の発達に伴い、様々な医療器具が導入されている。その際に、使用した医療器具、例えば、カプセル内視鏡及び手術用チューブ等が、体内から取り忘れられ、体内に取り残される事象が起きている。取り忘れ防止対策として、手術前後で使用した器具の数を確認すること、及び、手術後にX線撮影装置を用いて撮影した画像を確認すること等が、行われている。しかし、前者の場合には、器具の数の数え間違いが生ずることがある。後者の場合には、撮影されたX線画像において、取り忘れた物体と骨とが重なった際に、そのような物体を確認することが困難となる。これらが、器具を体内から取り忘れる原因となっている。そのため、医療器具が体内に取り忘れられていないかを容易に確認する手法が医療現場では求められている。
【0020】
そこで、使用する医療器具に本件出願に開示される無線タグを取り付け、受信ユニットが、送信ユニットにより送信された信号に対するこの無線タグからの応答信号をキャッチすることにより、医療器具が体内に残留していないかを確認することができる。
【0021】
2.動作原理
図1及び
図2は、一実施形態に係る無線タグの動作原理を概念的に示す模式図である。物体(例えば医療器具)に取り付けられた無線タグは、外部の送信アンテナ(送信ユニット)から電力を受信すると、応答信号を返すことができる。外部の受信アンテナ(受信ユニット)が、その応答信号をキャッチすることにより、無線タグの有無を確認することができる。
【0022】
図1に示すように、送信アンテナから送信される信号の周波数(f
1)と無線タグから送信される信号の周波数(f
1)とを同一としてしまうと、受信ユニットは、受信する信号が、無線タグから送信された信号であるのか又は送信アンテナから送信された信号であるのかを識別することができなくなってしまう。
【0023】
したがって、このような識別を可能にするために、無線タグから送信される信号の周波数を、送信アンテナから送信される信号の周波数とは異なる周波数に変換することができる。そこで、本件出願に開示される技術では、
図2に示すように、無線タグは、受信信号の2倍の周波数を有する信号を送信することができる。
【0024】
例えば周期Tの正弦波をフーリエ級数展開すると、この正弦波は、基本波である1/Tの周波数成分のみを有する。ここで、正弦波をダイオードを用いて歪ませることにより生成される
図3に示すような波形をフーリエ級数展開すると、
図4に示す式(1)のように、基本周波数1/Tの他に、第2次高調波である2/T周波数成分、第4次高調波である4/T周波数成分、・・・というように、基本波の整数倍の周波数成分を有する高調波が生じる。
【0025】
また、或る周波数成分を有する信号の生体組織内での減衰量は、その周波数成分が高くなるにつれて大きくなることが明らかになっている。そこで、送信ユニットが無線タグに向けて送信する信号(
図2中のf
1)として、生体組織内での減衰量を抑えるべく、低い周波数成分(第1周波数成分)を有する信号(第1信号)が用いられ得る。
【0026】
例えば、好ましい実施形態では、第1信号として、30MHz~60MHzの範囲にある周波数成分を有する信号が用いられ得る。
【0027】
より好ましい実施形態では、第1信号として、産業科学医療分野において汎用的に使用するために割り当てられた周波数帯域であるISM(Industry Science and Medical)バンドの40.68MHzが用いられ得る。この場合、無線タグが存在するときには、受信ユニット(受信アンテナ)は、第1周波数成分の2倍の第2周波数成分である81.36MHzを有する信号(第2信号)を無線タグから受信することができる。
【0028】
他の実施形態では、第1信号として、例えば、45MHzの周波数成分を有する信号が用いられる場合には、無線タグが存在するときには、受信ユニット(受信アンテナ)は、第1周波数成分の2倍の第2周波数成分である90MHzを有する信号(第2信号)を無線タグから受信することができる。
【0029】
3.様々な実施形態
次に、上述した動作原理に基づく様々な実施形態について説明する。
【0030】
3-1.構成
図5は、一実施形態に係る無線タグを含む検査システムの構成の一例を示す模式図である。
図5に示すように、検査システム1は、大きく分けて、無線タグ100と、送信ユニット200と、受信ユニット300と、を含むことができる。
【0031】
(1)無線タグ100
図6は、
図5に示した無線タグ100の構成の一例を示す模式図である。
図6において、左部には、無線タグ100の構成を示す模式図が示され、右部には、無線タグ100が有する電気回路を示す模式図が示されている。
【0032】
図6を参照すると、無線タグ100は、コイル102と、コイル102に接続された1個のダイオード104と、コイル102及びダイオード104を収容するケース106と、を含むことができる。なお、無線タグ100は、当然、コイル102とダイオード104とを接続するワイヤ及び/又は半田等を含み得る。
【0033】
コイル102は、例えば、任意のサイズを有する任意の金属製のワイヤ(線)により形成され得る。一例として、ここでは、コイル102は、直径0.5mmのエナメル線を直径25mm(第1周波数として40.68MHzを用いる場合)の円を呈するように複数回(ここでは例えば約5回)巻くことにより形成され得る。
なお、第1周波数として、30MHz~60MHzのいずれの周波数を用いた場合にも、コイル102のサイズを変化させる必要はないため、一実施形態では、コイル102のサイズを固定(例えば直径25mm)とすることもできる。これは、第1周波数の波長に比べてコイル102のサイズが非常に小さいためである(勿論、別の実施形態では、コイル102のサイズを変化させてもよい)。
さらに、コイル102に誘起される電圧の大きさは、コイル102に鎖交している時間変動する磁束に比例すると考えられることから、別の実施形態では、コイル102の巻数を、第1周波数に反比例させてもよい。例えば、第1周波数が30MHzである場合には、コイル102の巻数を約6回とすることができ、第1周波数が60MHzである場合には、コイル102の巻数を約3回とすることができる。ここで例示するコイル102の巻数は、単なる例示であり、目的とする電圧の大きさ等を含む様々な要素に応じて任意なものとすることができる。
【0034】
ダイオード104は、高調波を生じさせるための任意のダイオードであり得る。一例として、ダイオード104は、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号に対して十分な整流作用を果たすことができる、すなわち、優れた高周波特性を示す、という観点から、任意のショットキーバリアダイオード(例えば、東芝社製 1SS154)であり得る。
【0035】
ここでは、ダイオード104として、1個のダイオード104を用いるが、直列及び/又は並列に接続された複数のダイオードを用いることも可能である。
【0036】
図6の右部に示されているように、コイル102とダイオード104とが、直列に接続され、1つの閉じた回路を形成することができる。
【0037】
ケース106は、第1の例では、筒状部材106Aと、蓋部材106Bと、を含むことができる。
図7に示されるように、筒状部材106Aは、全体として円柱状を呈することができる。筒状部材106Aは、この筒状部材106Aの内部と外部とを連通させる開口部106A
1を有することができる。この筒状部材106Aは、内部にコイル102及びダイオード104を収容することができる。
【0038】
蓋部材106Bは、例えば円形状を呈する板により形成され、筒状部材106Aの開口部106A1を覆うように筒状部材106Aに取り付けられ得る。
【0039】
筒状部材106A及び蓋部材106Bは、それぞれ、プラスチック、樹脂、金属、紙、木等を含む任意の材料により形成され得る。
【0040】
このようなケース106は、医療器具等の物品に対して例えば接着剤又は接着テープ等を用いて固定され得る。
【0041】
ケース106は、第2の例では、円形状又は矩形状を呈する一方のシート(図示しない)と、この一方のシートに貼り付けられる円形状又は矩形状を呈する他方のシート(図示しない)と、を含むことができる。これら2枚のシートの間に、コイル102及びダイオード104が封入され得る。このようなケース106は、接着剤又は接着テープ等を用いて、医療器具等の物品に対して固定され得る。或いはまた、このようなケース106は、もう1枚の円形状又は矩形状のシート/シール(図示しない)を用いて、医療器具等の物品に対して固定され得る(この場合、当該もう1枚のシート(シール)は、ケース106との間に上記2枚のシートを挟んでケース106に接着させられ得る)。
【0042】
上記構成を有する無線タグ100が取り付けられる医療器具は、例えば、手術の際に人体の内部に取り残される可能性を有する任意の器具であり得る。かかる医療器具は、ガーゼ、メス、カプセル内視鏡、手術用チューブ、縫合針、金属プラグ、シャントチューブ、ネジ、開創器部品、スプーン、血管テープ、プレート、洗浄用ノズル等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0043】
無線タグ100が取り付けられる医療器具が、無線タグ100のサイズに比べて小さいために、無線タグ100に対して直接的に貼り付ける又は取り付けることが困難である場合もあり得る。かかる場合には、無線タグ100とこのような小さい医療器具とは、紐、糸又はワイヤ等により接続する形式(このような紐等の一端が無線タグ100に接着及び/又は巻回され、その他端が小さいサイズの医療器具に接着及び/又は巻回され得る形式)により結合され得る。
【0044】
(2)送信ユニット200
図5に戻り、送信ユニット200は、例えば、ジェネレータ202と、増幅器204と、少なくとも1つの(
図5においては2つの)送信アンテナ206と、を含むことができる。
【0045】
ジェネレータ202は、第1周波数成分を有する第1信号を生成することが可能な任意の装置であり得る。ジェネレータ202として、例えば、HewLett Packard Technologies社の8657B等を用いることが可能である。増幅器204は、ジェネレータ202により生成された第1信号を増幅することができる。
【0046】
送信アンテナ206は、増幅器204により増幅された第1信号を空気中に向けて送信することができる。
【0047】
図5には、2つの送信アンテナ206が用いられる例が示されているが、送信アンテナ206の総数は、1つであっても複数であってもよい。各送信アンテナ206は、一例として、円形状、矩形状又は三角形状等をなす板状であり得る。各送信アンテナ206は、小型、薄型及び軽量であることが好ましい。
【0048】
図8(a)に示すように、各送信アンテナ206は、第1周波数(ここでは例えば40.68MHz)において適切な反射係数(ここでは例えば-18.2dBという反射係数)を示すように、整合回路を用いて調整され得る。
【0049】
(3)受信ユニット300
図5に戻り、受信ユニット300は、例えば、少なくとも1つの(
図5においては2つの)受信アンテナ302と、検出装置304と、を含むことができる。
【0050】
各受信アンテナ302は、無線タグ100により送信された信号(第2信号)を受信するように構成され得る。
【0051】
図5には、2つの受信アンテナ302が用いられる例が示されているが、受信アンテナ302の総数は、送信アンテナ206の総数に制限されることなく、1つであっても複数であってもよい。各受信アンテナ302は、一例として、円形状、矩形状又は三角形状等をなす板状であり得る。各受信アンテナ302は、小型、薄型及び軽量であることが好ましい。
【0052】
図8(b)に示すように、各受信アンテナ302は、第2周波数(ここでは例えば81.36MHz)において適切な反射係数(ここでは例えば-10.9dBという反射係数)を示すように、整合回路を用いて調整され得る。
【0053】
検出装置304は、各受信アンテナ302により第2信号が受信された旨を検出する装置であり得る。検出装置304としては、例えば、スペクトラムアナライザ、又は、第2信号が有する第2周波数(例えば、81.36MHz)を受信可能な受信機(FMラジオを利用した受信機等)等を用いることが可能である。
【0054】
検出装置304としてスペクトラムアナライザを用いる場合には、かかるスペクトラムアナライザは、横軸を周波数(MHz)とし、縦軸を受信電力(dBm)として、各受信アンテナ302により受信された信号の周波数及び受信電力を表示することができる。
【0055】
図9は、
図5に示した検出装置304として用いられるスペクトラムアナライザにより表示される情報の一例を示す模式図である。
図9に示すように、各受信アンテナ302により第1周波数成分(40.68MHz)の2倍の第2周波数成分(81.36MHz)を有する第2信号が受信された場合には、81.36MHz周辺において大きな受信電力を有する第2次高調波が、表示され得る。
【0056】
検出装置304として受信機を用いる場合には、各受信アンテナ302により第1周波数成分(40.68MHz)の2倍の第2周波数成分(81.36MHz)を有する第2信号が受信された場合には、受信機は、FMラジオと同様に、第2周波数に対して同調することにより、より大きな音を発することができる。
【0057】
さらにまた、検出装置304は、情報処理装置(図示しない)を含むことができる。この情報処理装置は、少なくとも1つのプロセッサと、このプロセッサにより実行される命令及びデータ(すなわち、コンピュータプログラム/アプリケーションプログラム)並びにこのプロセッサにより演算されたデータ等を記憶する各種メモリと、命令を実行するプロセッサにより制御される、入力装置(マウス、ポインティングデバイス、タッチディスプレイ等)及び出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)、入出力インターフェイス装置等と、を含むことができる。このような情報処理装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、スーパーコンピュータ、タブレット又は携帯情報端末等であり得る。
【0058】
このような情報処理装置は、少なくとも1つのプロセッサが上記コンピュータプログラムを実行することにより、各受信アンテナ302により第2信号が受信されたことを検出する機能、及び、第2信号が受信されたことを検出したときに、その旨を示す警告情報を表示する(又は警告音を発生させる)機能、を果たすように構成され得る。かかる情報処理装置は、単独で、又は、上述したスペクトラムアナライザ又は受信機と組み合わせて、このような機能を実現することが可能である。
【0059】
3-2.動作
次に、上記構成を有する検査システムにより実行される動作について、
図1~
図9に加えて
図10を参照して説明する。
図10は、
図5に示した検査システムの一部を変形又は簡略化して示す当該検査システムの構成の一例を示す模式図である。
【0060】
図10には、
図5に示したシステムが、より実際のアプリケーションに適するように具体化された構成が示されている。例えば、複数の(例えば4個の)送信アンテナ206が、手術台902に置かれるマット904の中に又は下に配置され得る。ここでは、複数の送信アンテナ206として、例えば4個の送信アンテナ206が設けられている。送信アンテナ206の総数が多い程、かかる送信アンテナ206により送信される信号がマット904の上に位置する被検査体/被験者(図示せず)におけるより広い範囲に到達することから、被検査体の内部に取り残された医療器具(に取り付けられた無線タグ100)を検査することが可能な領域(検査可能領域)906を広げることができる。一方、送信アンテナ206の総数が多い程、送信ユニット200全体を構成する回路が複雑になり得る。したがって、検査可能領域906と回路の複雑さとの兼ね合いに応じて、送信アンテナ206の総数を決定することが好ましい。
【0061】
また、受信アンテナ302は、上面に把手908が取り付けられた容器910の内部に収容され得る。これにより、検査を行うオペレータ(看護師又は医師等)は、把手908を握持して、受信アンテナ302を収容する容器910を、適切な場所(例えば、手術台902に横たわった被検査体の内臓の上方等)に容易に位置させることができる。なお、
図10には、容器910に1個の受信アンテナ302が収容される例が示されているが、容器910には、複数の受信アンテナ302を収容することも可能である。
【0062】
まず、第1段階において、
図10に例示されるように、手術台902の位置を中心にして、送信ユニット200及び受信ユニット300が準備される。
【0063】
第2段階において、無線タグ100が取り付けられた医療器具(図示せず)が体内に取り残されていないかに関する検査を受ける被検査体(図示せず)が、手術台902に横たわる。被検査体は、その内臓が検査可能領域906に位置するように手術台902に横たわることが好ましい。
【0064】
第3段階において、送信ユニット200が、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分(好ましくは40.68MHz)を有する第1信号を少なくとも1つ(
図10では一例として4つ)の送信アンテナ206を介して被検査体に向けて送信することができる。オペレータは、被検査体の内臓の上方全体を万遍なくトレースするように容器910を移動させることが好ましい。
【0065】
第4段階において、被検査体の内部に無線タグ100が取り付けられた医療器具が取り残されて「いない」場合には、上記第1信号に応答して第2信号を送信する無線タグ100が存在しないため、受信ユニット300は、第2信号を受信アンテナ302を介して受信することができない。
【0066】
一方、被検査体の内部に無線タグ100が取り付けられた医療器具が取り残されて「いる」場合には、受信ユニット300が、上記第1信号を受信した被検査体の内部に存在する無線タグ100により送信される、上記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分(好ましくは81.36MHz)を有する第2信号を、少なくとも1つ(ここでは1つ)の受信アンテナ302を介して受信することができる。
【0067】
この場合、検査装置304としてのスペクトルアナライザは、第2信号の第2周波数付近において、大きな受信電力を有する第2次高調波を、表示することができる(
図9参照)。検査装置304としての受信機は、第2周波数に対して同調するように調整された状態において、より大きな音を発することができる。
【0068】
上述した情報処理装置306が、単独で、又は、検査装置304に組み合わせて設けられているときには、かかる情報処理装置306は、被検査体の内部に医療器具(に取り付けられた無線タグ100)が取り残されている旨を示す警告音を発すること、及び/又は、被検査体の内部に医療器具(に取り付けられた無線タグ100)が取り残されている旨を示す警告情報を表示することができる。
【0069】
なお、被検査体の内部に医療器具が取り付けられた無線タグ100が取り残されている場合には、無線タグ100は、第2周波数成分を有する第2信号(第2次高調波)だけでなく、第4次高調波及び第6次高調波等をも送信し得る。しかし、これらの高調波のうち、最も大きな振幅を有する高調波は、第2次高調波であるので、受信ユニット300による検査の対象とされる高調波は、第2次高調波のみとされ得る。無論、別の実施形態では、受信ユニット300による検査の対象とされる高調波は、第2次高調波、第4次高調波、第6次高調波等のうちの任意の少なくとも1つの高調波とされ得る。
【0070】
4.様々な実施形態による効果
上述した様々な実施形態に係る検査システムにあっては、高い周波数成分を有する信号は、水を含む環境(水環境)、例えば生体組織には、浸透し難い一方、低い周波数成分を有する信号は、水環境に浸透し易い反面、人間が握持することができる程度に送受信アンテナを小さくすることが困難であることに着目し、水環境に浸透し易くかつ送受信アンテナを小さくするという条件を満たす第1周波数として、30MHz~60MHzという範囲に含まれる周波数を採用している。より好ましくは、第1周波数として、ISM(工業、科学及び医療用)周波数の1つであって免許不要で使用可能である、40.68MHzを採用している。
【0071】
これにより、送信ユニットが、生体組織内に取り残された、無線タグが取り付けられた物品(例えば医療器具)に向けて、第1周波数成分を有する第1信号を送信することにより、送信された第1信号は、生体組織に浸透して無線タグに到達することができる。これに応答して、コイル及びダイオードを含む無線タグは、第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を生成して送信することができる。送信された第2信号は、受信ユニットにより受信及び検出され得る。
【0072】
この点につき、上述した特開2007-155554号公報(特許文献1)に開示されたRFIDは、送信装置がRFIDに対して送信する信号の周波数として、953MHzしか記載していない(例えば、段落[0003]、[0008]及び[0028]並びに
図3)。このような高い周波数成分を有する信号は水環境に浸透し難いため、特許文献1に開示された発明では、本件出願が解決しようとする課題を解決することができない。
【0073】
また、仮に、送信ユニットにより送信された第1信号の電力が十分でないために、受信ユニットが無線タグから第2信号を受信することが困難である場合には、送信ユニットは、より大きな電力で第1信号を送信することができる。様々な実施形態に係る無線タグは、従来技術に係るRFIDとは異なり、集積回路(IC)を欠いた構成(集積回路を搭載しない)構成を採用していることから、受信する第1信号の電力に比例した電力により第2信号を送信することができる。したがって、無線タグは、受信する第1信号の電力に比例した電力により第2信号を送信することができるため、送信ユニットは、第1信号の電力を増加させることにより、受信ユニットが受信する第2信号の電力を増加させることができる。これにより、受信ユニットは、無線タグからより確実に第2信号を受信することができる。
【0074】
この点につき、上述した特許文献1は、集積回路を欠くRFIDを何ら教示しておらず、むしろ、記憶回路及びロジック回路を含むデータ処理回路を具備するRFIDを、すべての実施形態において開示している(段落[0026]、並びに、
図2、
図10、
図11、及び
図12)。したがって、この意味においても、特許文献1に開示された発明では、本件出願が解決しようとする課題を解決することができない。
【0075】
また、様々な実施形態に係る検査システムは、無線タグが高調波(特に第2次高調波)を積極的に使用して送信する構成を採用している。通常の電気回路では、高調波は邪魔な要素であるため、当業者は、高調波をいかに抑えるかということを重視する。これに対して、様々な実施形態に係る検査システムは、通常抑えるべきと考えられてきた高調波を逆に積極的に利用して、無線タグにかかる高調波を送信させる。したがって、当業者にとって、このような高調波を積極的に利用する様々な実施形態に係る無線タグ、及び、かかる無線タグを有する検査システムに想到することは困難である。
【0076】
本開示の利益を有する当業者により容易に理解されるように、上述した様々な例は、矛盾の生じさせない限りにおいて、相互に様々なパターンで適切に組み合わせて用いられ得る。
【0077】
5.様々な態様
第1の態様に係る無線タグは、「コイルと、該コイルが30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を受信することに伴い、該第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を生成して前記コイルに送信させる、該コイルに接続されたダイオードと、を具備し、集積回路を欠く」構成を採ることができる。
【0078】
第2の態様に係る無線タグは、上記第1の態様において「前記ダイオードがショットキーバリアダイオードである」構成を採ることができる。
【0079】
第3の態様に係る無線タグは、上記第1の態様又は上記第2の態様において「前記第1周波数成分が40.68MHzの成分を有する」構成を採ることができる。
【0080】
第4の態様に係る無線タグは、上記第1の態様から上記第3の態様のいずれかにおいて「前記コイルと前記ダイオードとが、直列に接続され、1つの閉じた回路を形成する」構成を採ることができる。
【0081】
第5の態様に係る無線タグは、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかにおいて「前記コイル及び前記ダイオードを収容するケースをさらに含む」構成を採ることができる。
【0082】
第6の態様に係る無線タグは、上記第5の態様において「前記ケースが、開口部を有し、前記コイル及び前記ダイオードを収容する筒状部材と、該開口部を覆うように該筒状部材に取り付けられる蓋部材と、を含むか、又は、前記ケースが、一方のシートと、該一方のシートとの間に前記コイル及び前記ダイオードを挟んで該一方のシートに貼り付けられる他方のシートと、を含む」構成を採ることができる。
【0083】
第7の態様に係るシステムは、「コイルと該コイルに接続されたダイオードとを含み、集積回路を欠く無線タグと、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を少なくとも1つの送信アンテナを介して前記無線タグに向けて送信することにより、該第1信号を受信した該無線タグに対して、前記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を送信させる、ように構成される送信ユニットと、前記無線タグにより送信される前記第2信号を少なくとも1つの受信アンテナを介して受信する、ように構成される受信ユニットと、を具備する」構成を採ることができる。
【0084】
第8の態様に係るシステムは、上記第7の態様において「前記ダイオードがショットキーバリアダイオードである」構成を採ることができる。
【0085】
第9の態様に係るシステムは、上記第7の態様又は上記第8の態様において「前記第1周波数成分が40.68MHzの成分を有する」構成を採ることができる。
【0086】
第10の態様に係るシステムは、上記第7の態様から上記第9の態様のいずれかにおいて「前記受信ユニットが、前記第2信号を受信することに応答して、警告情報を表示する又は警告音を発生させるように構成される警告装置を含む」構成を採る。
【0087】
第11の態様に係る方法は、「コイルと該コイルに接続されたダイオードとを含み、集積回路を欠く無線タグに組み合わせて用いられる、送信ユニット及び受信ユニットを作動させる方法であって、前記送信ユニットが、30MHz~60MHzの範囲にある第1周波数成分を有する第1信号を少なくとも1つの送信アンテナを介して被検査体に向けて送信する段階と、前記受信ユニットが、前記第1信号を受信した前記被検査体の内部に存在する前記無線タグにより送信される、前記第1周波数成分の2倍の第2周波数成分を有する第2信号を少なくとも1つの受信アンテナを介して受信する段階と、を含む」ことができる。
【0088】
第12の態様に係る方法は、上記第11の態様において「前記ダイオードがショットキーバリアダイオードである」構成を採ることができる。
【0089】
第13の態様に係る方法は、上記第11の態様又は上記第12の態様において「前記第1周波数成分が40.68MHzの成分を有する」構成を採ることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 検査システム
100 無線タグ
102 コイル
104 ダイオード
106 ケース
106A 筒状部材
106B 蓋部材
200 送信ユニット
202 ジェネレータ
204 増幅器
206 送信アンテナ
300 受信ユニット
302 受信アンテナ
304 スペクトラムアナライザ
306 情報処理装置