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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115734
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20230814BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230814BHJP
   F25B 49/02 20060101ALN20230814BHJP
【FI】
F25B1/00 381D
F25D11/00 101U
F25B49/02 520Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018121
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】関 和芳
(72)【発明者】
【氏名】加賀 進一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA05
3L045LA10
3L045LA17
3L045MA02
3L045NA03
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】可燃性冷媒が漏出した場合に可燃性冷媒が滞留するのを効果的に防止できる冷却装置を提供する。
【解決手段】空気の流通が許容される機械室に圧縮機と、凝縮器と、当該凝縮器を冷却する冷却ファンとが設けられると共に、当該機械室から区画した冷却空間に蒸発器が設けられて、圧縮機により可燃性冷媒を圧縮して冷却運転を行い得るよう構成する。そして、圧縮機の動作を停止した状態で、当該圧縮機の動作時よりも低い回転速度となるように冷却ファンを動作させるよう構成して、圧縮機の運転状態に応じて冷却ファンの回転速度を変化させるように当該冷却ファンを可変制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流通が許容される開放空間に圧縮機と、凝縮器と、当該凝縮器を冷却する冷却ファンとが設けられると共に、当該開放空間から区画した冷却空間に冷却器が設けられて、前記圧縮機により圧縮する冷媒として可燃性冷媒が用いられている冷却装置において、
前記圧縮機の運転状態に応じて前記冷却ファンの回転速度を変化させるように当該冷却ファンを可変制御するよう構成されている
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記圧縮機の動作を停止した状態で、当該圧縮機の動作時よりも低い回転速度で前記冷却ファンを動作させるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記圧縮機の動作を停止した状態で、前記冷却ファンの回転速度を可変するよう構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記圧縮機の動作を停止した状態で、前記冷却ファンを間欠的に動作させるよう構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、圧縮機と、凝縮器と、凝縮器を冷却する冷却ファンとを備え、冷媒として可燃性冷媒が用いられている冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
喫茶店やレストラン等の厨房施設で好適に使用される冷蔵庫や製氷機等の冷却機器は、圧縮機、凝縮器および冷却器等からなる冷却装置を備えており、前記圧縮機から供給される高圧気体冷媒を、前記凝縮器で冷却(熱交換)して凝縮液化させ、この凝縮液化した冷媒が気化する際の気化熱を利用して冷却器を冷却するようになっている。また、前記凝縮器に近接した位置には、凝縮器用の冷却ファンが配設されており、該冷却ファンを運転することで外部空気を機械室に取入れて凝縮器を空冷することで、効率的に冷媒が凝縮液化されるよう構成されている。また、このような冷却装置に用いられる冷媒としては、環境負荷の高いフロンガスや代替フロンに代えて、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素(HC系)などの可燃性冷媒を利用することで環境負荷の削減を図る取り組みが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-287343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷媒として可燃性冷媒を利用する構成では、経年劣化や何らかの外的要因により冷媒配管が損傷した際に、可燃性冷媒が漏出する可能性がある。このため、特許文献1では、機械室内において、冷却ファンの風の流れに対して最も風上側に冷却ファンを配置するようにしてある。しかしながら、冷却ファンを最も風上側に配置した場合でも、機械室内に漏出した可燃性冷媒が局所的に滞留することが懸念される。
【0005】
そこで、本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題を好適に解決するべく提案されたものであって、可燃性冷媒が漏出した場合に可燃性冷媒が滞留するのを効果的に防止できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の発明は、
空気の流通が許容される開放空間(20)に圧縮機(32)と、凝縮器(34)と、当該凝縮器(34)を冷却する冷却ファン(36)とが設けられると共に、当該開放空間(20)から区画した冷却空間に冷却器(38)が設けられて、前記圧縮機(32)により圧縮する冷媒として可燃性冷媒が用いられている冷却装置において、
前記圧縮機(32)の運転状態に応じて前記冷却ファン(36)の回転速度を変化させるように当該冷却ファンを可変制御するよう構成されていることを要旨とする。
この発明によれば、圧縮機の運転状態に応じて冷却ファンの回転速度を変化させるように当該冷却ファンを可変させることで、腐食等が生じて孔空き(孔食)が発生して可燃性冷媒が漏出した場合でも、冷却ファンが発生させた冷却風により漏出した可燃性冷媒を機外に排出することができ、可燃性冷媒が滞留するのを防ぐことができる。
【0007】
第2の発明は、
前記圧縮機(32)の動作を停止した状態で、当該圧縮機(32)の動作時よりも低い回転速度で前記冷却ファン(36)を動作させるよう構成されていることを特徴とすることを要旨とする。
この発明によれば、圧縮機の動作を停止している場合に、圧縮機を動作している時よりも低速で冷却ファンを回転させることで、冷却ファンの回転速度を一定速度で回転させ続けるよりも消費電力を抑制しつつ、可燃性冷媒の滞留を防ぐことができる。
【0008】
第3の発明は、
前記圧縮機(32)の動作を停止した状態で、前記冷却ファン(36)の回転速度を可変するよう構成されていることを要旨とする。
この発明によれば、冷却ファンの回転速度を可変することで、圧縮機の動作を停止している状態で圧縮機が配置された内を流れる空気の状態(風の状態)を変化させることができるから、可燃性冷媒の滞留をより効果的に防ぐことが可能になる。
【0009】
第4の発明は、
前記圧縮機(32)の動作を停止した状態で、前記冷却ファン(36)を間欠的に動作させるよう構成されていることを要旨とする。
この発明によれば、冷却ファンをオンオフ制御するだけで圧縮機を停止している間に冷却ファンの回転速度を可変して、可燃性冷媒の滞留を防ぐことができる利点がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る冷却装置によれば、可燃性冷媒が漏出した場合に可燃性冷媒が滞留するのを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る冷蔵庫を一部破断して示す概略側面図である。
図2】冷蔵庫の制御構成の要部を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る冷却装置における圧縮機と冷却ファンの動作の関係を示す説明図である。
図4】実施形態2に係る冷却装置における圧縮機と冷却ファンの動作の関係を示す説明図である。
図5】実施形態3に係る冷却装置における圧縮機と冷却ファンの動作の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る冷却装置の好適な実施形態に関し、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を収納し得る冷蔵庫に設けられる冷却装置を例に挙げて説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1に係る冷蔵庫10は、収納室(閉鎖空間)14を内部画成した断熱構造の箱体12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18などで外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設される。また箱体12の前部には、断熱扉22が図示しないヒンジにより回動可能に配設され、断熱扉22を開放することで開口部12aを介して収納室14に対する物品の出し入れが許容されると共に、断熱扉22を閉成することで収納室14を密閉し得るようになっている。そして、前記キャビネット16の内部に機械室(開放空間)20が画成されており、当該機械室20の底部を形成する底板20aに、前記収納室14を冷却するための冷却装置30の一部および該冷却装置30を制御する制御装置50が配設されている。なお、キャビネット16は、機械室20の上方が開放する箱状に形成されると共に、キャビネット16の前面を形成するフロントパネル24aやリアパネル24bなどの適宜位置に空気流通孔(図示せず)が開設されており、機械室20の内外を空気が流通し得るようになっている。そして、前記箱体12の上部には、前記収納室14と連通して蒸発器(冷却器)38および庫内ファン26が収納された冷却室28を画成した冷却ダクト29が設けられ、庫内ファン26を運転することにより、蒸発器38で冷却された冷気を前記収納室14に循環させて冷却するようになっている。
【0014】
前記キャビネット16における前記機械室20を形成する底板20a上に配設される前記冷却装置30は、冷媒を圧縮する圧縮機32、圧縮した気化冷媒を凝縮して液化する凝縮器34、当該凝縮器34の冷却用の冷却ファン36などから構成され、該機械室20の前側から凝縮器34、冷却ファン36および圧縮機32の順で配設されている。そして、前記圧縮機32から導出した冷媒管(図示省略)が前記凝縮器34に接続され、該凝縮器34から導出した冷媒管が、図示しないキャピラリーチューブ等を介して前記蒸発器38に接続されると共に、該蒸発器38から導出された冷媒管が圧縮機32に接続されて、冷凍回路を形成するよう構成されている。このように、前記冷却ファン36を回転させることで、前記フロントパネル24aに形成した空気流通孔を介して外部空気を機械室20内に吸込んで、前記凝縮器34および圧縮機32を空冷するようになっている。そして、前記凝縮器34および圧縮機32と熱交換して温度上昇した空気を、キャビネット16における機械室20の後側を画成するリアパネル24bに開設した空気流通孔や機械室20の上部の開口を介して外部に排出される。すなわち、前記冷却ファン36を回転(運転)すると、前側から後側に空気が流通するよう構成される。
【0015】
前記冷却ファン36は、回転翼36aと、該回転翼36aを回転駆動する駆動モータ36bとを備え、当該冷却ファン36が前記凝縮器34の後側に配置されている。また、機械室20の底板20aには、冷却ファン36の回転によって生ずる風を整流して凝縮器34を効率よく空冷するためのシュラウド(風洞)42が設けられており、該シュラウド424は、凝縮器34を囲繞すると共に前後方向に開口するよう構成される。ここで、本実施形態では、冷却ファン36の駆動モータ36bとして、回転数を変速制御可能なサーボモータなどの可変速モータが用いられている。また、本実施形態の冷蔵庫10は、図2に示すように、前記圧縮機32および冷却ファン36(駆動モータ36b)が接続する制御装置50に、前記冷却室28(収納室14)の温度を検出する温度検出手段44が接続されている。
【0016】
そして、図3に示すように、温度検出手段44が、予め設定された下限温度を検出することで、前記圧縮機32の運転を停止(冷却運転を停止)するように、該圧縮機32が制御手段22により制御される。また、冷却運転の停止により、収納室14の温度が上昇し、温度検出手段44が予め設定された上限温度を検出することで、圧縮機32の運転を再開するように、該圧縮機32が制御手段22により制御される。すなわち、冷却装置30は、温度検出手段44の検出温度に応じて運転・停止を反復するよう制御手段22により制御されることで、収納室14の温度を所定温度範囲内に維持するように構成されている。
【0017】
ここで、温度検出手段44が下限温度を検出して圧縮機32を停止した場合に圧縮機32の停止状態を維持する最低停止時間が設定されており、最低停止時間が経過するまでの間は、温度検出手段44が上限温度を検出した場合でも圧縮機32の停止状態を維持するようになっている。このように、冷却運転の終了後には、圧縮機32を最低停止時間以上の時間に亘って停止させることで、冷凍回路内の冷媒の状態を安定させて、冷却運転を再開した際の負荷を抑制している。
【0018】
また、図3に示すように、前記制御装置50は、前記圧縮機32の運転状態に応じて前記冷却ファン36の回転速度が変化するように当該冷却ファン36(駆動モータ36b)の回転速度を可変制御するよう構成されている。具体的に、実施形態1の冷却装置30は、圧縮機32が動作している場合(冷却運転を行っている場合)に、前記冷却ファン36を第1の回転速度で回転させるよう制御装置50が冷却ファン36を制御すると共に、圧縮機32を停止している場合に、第1の回転速度より低い第2の回転速度で回転するよう制御装置50が冷却ファン36を制御するよう構成されている。すなわち、温度検出手段44による下限温度の検出を契機として、冷却ファン36の回転速度が第1の回転速度から低速の第2の回転速度に切り替えられると共に、温度検出手段44による上限温度の検出を契機として、冷却ファン36の回転速度が第2の回転速度より高速の第1の回転速度に切り替えられるよう構成されている。
【0019】
このように、圧縮機32の動作を停止している状態でも冷却ファン36の動作を継続するようにすることで、腐食等が生じて冷媒管40に孔空き(孔食)が発生して機械室20内に可燃性冷媒が漏出した場合でも、冷却ファン36が発生させた冷却風により漏出した可燃性冷媒を機外に排出することができ、機械室20内に可燃性冷媒が滞留するのを防ぐことができる。冷却装置30の冷媒回路に封入される冷媒量は当該冷却装置30の冷却能力などによっても変化するものであるが、可燃性冷媒の封入量は多くの場合で150g以下と少なく、回転速度を低下させた冷却ファン36の冷却風でも可燃性冷媒を十分に拡散することが可能である。このように、圧縮機32の動作を停止している場合には、圧縮機32を動作している冷却運転時よりも低速で冷却ファン36を回転させることで、冷却ファン36の回転速度を一定速度で回転させ続けるよりも消費電力を抑制しつつ、機械室20内における可燃性冷媒の滞留を防ぐことができる。
【0020】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る冷却装置について説明する。なお、実施形態2に係る冷却装置は、実施形態1の冷却装置30と基本的に同一構成であり、冷却ファン36の回転制御のみが異なっている。
【0021】
実施形態2に係る冷却装置30は、図4に示すように、圧縮機32が動作している場合(冷却運転を行っている場合)は、前述した実施形態1と同ように、前記冷却ファン36を第1の回転速度で回転させるよう制御装置50が冷却ファン36を制御するようになっている。そして、圧縮機32を停止している場合には、第1の回転速度より低い第2の回転速度で冷却ファン36を回転すると共に、当該圧縮機32を停止している状態で冷却ファン36の回転速度を可変するよう制御装置50が冷却ファン36を制御するよう構成されている。このように冷却ファン36の回転速度を可変することで、機械室20内で空気が流れる状態(風が流れる状態)を変化させることができるから、機械室20内における可燃性冷媒の滞留をより効果的に防ぐことが可能になる。
【0022】
具体的に、実施形態2では、温度検出手段44による下限温度の検出(圧縮機32の停止)を契機として、冷却ファン36の回転速度が第1の回転速度から低速の第2の回転速度に切り替えられると共に、温度検出手段44が下限温度を検出してから第1の切替時間T1が経過した場合に、冷却ファン36の回転速度を第2の回転速度から当該第2の回転速度より高い第3の回転速度に切り替えて冷却ファン36を回転するよう制御装置50が冷却ファン36を制御している。ここで、第3の回転速度としては、第2の回転速度より高い回転速度であれば、前記第1の回転速度より高い回転速度、第1の回転速度と同じ回転速度、第1の回転速度より低い回転速度の何れにするようにしてもよい。第3の回転速度と第1の回転速度とを同じ回転速度とした場合には、簡便に速度制御を行うことができ、第3の回転速度を第1の回転速度より低い回転速度とした場合には、圧縮機32を停止している状態での消費電力を抑制しつつ、機械室20内における可燃性冷媒の滞留を防ぐことができる利点がある。ここで、図4に示すように、この実施形態2では、第3の回転速度を第1の回転速度より低く、第2の回転速度より高い回転速度となるよう設定されており、第1の切替時間T1の経過に伴い冷却ファン36の回転速度が増速するようにしてある。
【0023】
また、実施形態2の冷却装置30は、冷却ファン36の回転速度を第3の回転速度に切り替えてから第2の切替時間T2が経過した場合に、冷却ファン36の回転速度を第3の回転速度から第2の回転速度に戻して冷却ファン36を回転するよう制御装置50が冷却ファン36を制御している。そして、圧縮機32を停止している間、第1の切替時間T1および第2の切替時間T2が経過する毎に第2の回転速度および第3の回転速度に回転速度を可変するサイクルを繰り返すように制御装置50が冷却ファン36を制御するようになっている。このように、圧縮機32を停止している間、冷却ファン36の回転速度を可変することで、継続的に機械室20内で空気が流れる状態を変化させ、機械室20内における可燃性冷媒の滞留を防止するようにしてある。
【0024】
ここで、冷却ファン36の回転速度を第2の回転速度から第3の回転速度に切り替える第1の切替時間T1を、圧縮機32の最低停止時間よりも短い時間に設定することが好ましい。最低停止時間よりも第1の切替時間T1を短くすることで、圧縮機32を停止している状態の間に冷却ファン36の回転速度を確実に可変させて、機械室20内における可燃性冷媒の滞留を効果的に防ぐことが可能になる。また、第1の切替時間T1と第2の切替時間T2を加算した時間(第2の回転速度から第3の回転速度に切り替えて再度第2の回転速度にするまでの1回のサイクル時間)を、圧縮機32の最低停止時間よりも短い時間に設定することが好ましい。このように、冷却ファン36の回転速度を可変するサイクル時間を最低停止時間よりも短くすることで、圧縮機32を停止している状態の間の機械室20内の空気の流れを効果的に撹拌して可燃性冷媒の滞留をより効果的に防ぐことが可能になる。この実施形態2では、圧縮機32の最低停止時間を5分、第1の切替時間T1を2分、第2の切替時間T2を10秒として、圧縮機32を停止している状態で、温度検出手段44が上限温度を検出するまでの間、冷却ファン36の回転速度を繰り返し可変するよう構成されており、このように最低停止時間が経過するまでの間に、冷却ファン36の回転速度が複数回切り替わるようにすることで、機械室20内での可燃性冷媒の滞留をより効果的に防ぐ効果が期待できる。
【0025】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る冷却装置について説明する。なお、実施形態3に係る冷却装置は、実施形態1の冷却装置30と基本的に同一構成であり、冷却ファン36の回転制御のみが異なっている。
【0026】
実施形態3に係る冷却装置30は、図5に示すように、圧縮機32が動作している場合(冷却運転を行っている場合)は、前述した実施形態1と同ように、前記冷却ファン36を第1の回転速度で回転させるよう制御装置50が冷却ファン36を制御するようになっている。そして、圧縮機32を停止している場合に、前記冷却ファン36を間欠的に動作させるように制御装置50が冷却ファン36を制御するよう構成されている。このように、圧縮機32が動作している状態で、冷却ファン36の回転速度を可変(回転動作する状態と回転停止した状態とに可変)することで、機械室20内で空気が流れる状態を変化させることができるから、機械室20内における可燃性冷媒の滞留をより効果的に防ぐことが可能になる。
【0027】
具体的に、実施形態3では、温度検出手段44による下限温度の検出(圧縮機32の停止)を契機として、冷却ファン36を停止すると共に、温度検出手段44が下限温度を検出してから第1の切替時間T1が経過した場合に、冷却ファン36の動作を再開して冷却ファン36を回転するよう制御装置50が冷却ファン36を制御している。ここで、冷却ファン36の回転動作再開時の回転速度としては、前記第1の回転速度より高い回転速度、第1の回転速度と同じ回転速度、第1の回転速度より低い回転速度の何れにするようにしてもよい。再開時の冷却ファン36の回転速度を第1の回転速度と同じ回転速度とすることで、冷却ファン36をオンオフ制御するよう構成するだけで圧縮機32を停止している間に冷却ファン36の回転速度を可変することが可能になる。また、再開時の冷却ファン36の回転速度を第1の回転速度より低い回転速度とした場合には、圧縮機32を停止している状態での消費電力を抑制しつつ、機械室20内における可燃性冷媒の滞留を防ぐことができる利点がある。
【0028】
また、実施形態3の冷却装置30は、冷却ファン36の動作を再開してから第2の切替時間T2が経過した場合に、冷却ファン36を停止するよう制御装置50が冷却ファン36を制御している。そして、圧縮機32を停止している間、第1の切替時間T1および第2の切替時間T2が経過する毎に、冷却ファン36を動作および動作停止するサイクルを繰り返すように制御装置50が冷却ファン36を制御するようになっている。このように、圧縮機32を停止している間、冷却ファン36の間欠的に動作させて回転速度を可変することで、継続的に機械室20内で空気が流れる状態を変化させ、機械室20内における可燃性冷媒の滞留を防止するようにしてある。
【0029】
(変更例)
本発明に係る冷却装置としては、前述した各実施形態に示すものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。また、各実施形態の構成は、適宜に組み合わせて適用し得るものである。
【0030】
(1) 圧縮機32を停止している状態で、冷却ファン36を一定の速度(第2の回転速度)で動作させたり、切替時間の経過に伴って回転速度を可変するよう構成したが、圧縮機32を停止している状態で冷却ファン36の回転速度を連続的に増減速するように変化させてもよい。
(2) 圧縮機32を停止している状態での時間経過(第1の切替時間T1および第2の切替時間T2の経過)に伴って、冷却ファン36の回転速度を第2の回転速度および第3の回転速度に交互に可変するよう構成したが、第1の切替時間T1および第2の切替時間T2の経過に伴って第2の回転速度で動作する状態と動作停止する状態とに切り替えるようにしてもよい。
(3) 冷却装置30を冷蔵庫10に採用する場合を例にして説明したが、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫、その他空調機器等にも適用可能である。
(4) 収納室14を内部画成した断熱構造の箱体12の下部側に機械室20が配置された冷蔵庫10を例に説明したが、収納室(閉鎖空間)14の上部側に機械室20が配置されたタイプの冷蔵庫などであってもよく、また収納室(閉鎖空間)14の側部側に機械室20が配置された横型の冷蔵庫などに対しても、本発明を好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0031】
20 機械室(開放空間),32 圧縮機,34 凝縮器,
36 冷却ファン,38 蒸発器(冷却器)
図1
図2
図3
図4
図5