(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115761
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
C01B 3/32 20060101AFI20230814BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20230814BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/0662 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/04791 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20230814BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20230814BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20230814BHJP
【FI】
C01B3/32
B01D53/04
H01M8/04 N
H01M8/0606
H01M8/0662
H01M8/04701
H01M8/04746
H01M8/04791
H01M8/04694
H01M8/0438
H01M8/12 101
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018157
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】日下 星野
【テーマコード(参考)】
4D012
4G140
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA07
4D012CB17
4D012CD01
4D012CD05
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF04
4D012CG01
4G140EA03
4G140EA05
4G140EB01
4G140EB04
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127BA01
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA20
5H127BA58
5H127BA59
5H127BB02
5H127DB03
5H127DC01
5H127DC02
5H127DC05
5H127DC06
5H127DC08
5H127DC83
5H127EE20
(57)【要約】
【課題】吸着剤に吸着されたアンモニアを利用することができる技術を提供する。
【解決手段】ガス供給システムは、第1容器内の吸着剤に吸着されているアンモニアを脱離する第1脱離工程を実行可能である。前記第1脱離工程では、前記第1容器内の吸着剤にアンモニアが吸着されている状態で、第1加熱器により前記第1容器内のガスを加熱すると共に、原料ガス通路を通じて改質器に原料ガスを供給することにより前記第1容器内のガスを第1吸引通路とエゼクタを通じて前記原料ガス通路内に吸引し、吸引したガスを原料ガスと共に前記原料ガス通路を通じて前記改質器に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器に原料ガスを供給する原料ガス通路と、
前記原料ガス通路に設けられているエゼクタと、
ガスに含まれるアンモニアを吸着する吸着剤が収容されている第1容器を備える第1吸着器と、
前記第1容器と前記エゼクタに接続されている第1吸引通路と、
前記第1容器内のガスを加熱する第1加熱器と、を備え、
前記第1容器内の吸着剤に吸着されているアンモニアを脱離する第1脱離工程を実行可能であり、
前記第1脱離工程では、前記第1容器内の吸着剤にアンモニアが吸着されている状態で、前記第1加熱器により前記第1容器内のガスを加熱すると共に、前記原料ガス通路を通じて前記改質器に原料ガスを供給することにより前記第1容器内のガスを前記第1吸引通路と前記エゼクタを通じて前記原料ガス通路内に吸引し、吸引したガスを原料ガスと共に前記原料ガス通路を通じて前記改質器に供給する、ガス供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載のガス供給システムであって、
前記改質器により生成される改質ガスに由来する燃料ガスを用いて発電する燃料電池を更に備える、ガス供給システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガス供給システムであって、
前記改質器と前記第1容器に接続されており、前記改質器により生成される改質ガスを前記第1容器に供給する第1改質ガス通路と、
前記第1改質ガス通路を開閉する第1開閉弁と、
前記第1吸引通路を開閉する第2開閉弁と、を更に備え、
前記改質器により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを前記第1容器内の吸着剤に吸着させる第1吸着工程を実行可能であり、
前記第1吸着工程では、前記第1開閉弁が開弁しており、前記第2開閉弁が閉弁している状態で、前記原料ガス通路を通じて前記改質器に原料ガスを供給し、前記改質器により生成される改質ガスを前記第1改質ガス通路を通じて前記第1容器内に供給し、
前記第1脱離工程の後に前記第1吸着工程を実行する場合、前記第1開閉弁が閉弁している状態で前記第2開閉弁を閉弁し、その後に、前記第2開閉弁が閉弁している状態で前記第1開閉弁を開弁してから前記第1吸着工程を実行する、ガス供給システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のガス供給システムであって、
ガスに含まれるアンモニアを吸着する吸着剤が収容されている第2容器を備える第2吸着器と、
前記改質器と前記第2容器に接続されており、前記改質器により生成される改質ガスを前記第2容器に供給する第2改質ガス通路と、を更に備え、
前記改質器により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを前記第2容器内の吸着剤に吸着させる第2吸着工程を実行可能であり、
前記第2吸着工程では、前記原料ガス通路を通じて前記改質器に原料ガスを供給することにより、前記第1脱離工程で前記原料ガス通路内に吸引したガスを原料ガスと共に前記原料ガス通路を通じて前記改質器に供給し、前記改質器により生成される改質ガスを前記第2改質ガス通路を通じて前記第2容器内に供給する、ガス供給システム。
【請求項5】
請求項4に記載のガス供給システムであって、
前記第1容器と前記第2容器に接続されており、前記第2吸着工程で前記第2容器内の吸着剤にアンモニアが吸着された後のガスを前記第1容器内に供給する連絡通路を更に備える、ガス供給システム。
【請求項6】
請求項5に記載のガス供給システムであって、
前記連絡通路に設けられており、前記第2容器から前記第1容器に供給されるガスの流量を調整する調整弁を更に備える、ガス供給システム。
【請求項7】
請求項6に記載のガス供給システムであって、
前記第1容器内の圧力を検出する第1圧力検出部と、
前記第2容器内の圧力を検出する第2圧力検出部と、
制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記第2圧力検出部の検出圧力と前記第1圧力検出部の検出圧力との差に基づいて前記調整弁の開度を制御する、ガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、ガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にガス供給システムが開示されている。特許文献1のガス供給システムは、原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、改質器に原料ガスを供給する原料ガス通路とを備えている。また、特許文献1のガス供給システムは、改質器により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着する吸着剤を有する吸着器を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のガス供給システムでは、吸着剤に吸着されたアンモニアを利用することができない。そこで本明細書は、吸着剤に吸着されたアンモニアを利用することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するガス供給システムは、原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、前記改質器に原料ガスを供給する原料ガス通路と、前記原料ガス通路に設けられているエゼクタと、ガスに含まれるアンモニアを吸着する吸着剤が収容されている第1容器を備える第1吸着器と、前記第1容器と前記エゼクタに接続されている第1吸引通路と、前記第1容器内のガスを加熱する第1加熱器と、を備えている。ガス供給システムは、前記第1容器内の吸着剤に吸着されているアンモニアを脱離する第1脱離工程を実行可能である。前記第1脱離工程では、前記第1容器内の吸着剤にアンモニアが吸着されている状態で、前記第1加熱器により前記第1容器内のガスを加熱すると共に、前記原料ガス通路を通じて前記改質器に原料ガスを供給することにより前記第1容器内のガスを前記第1吸引通路と前記エゼクタを通じて前記原料ガス通路内に吸引し、吸引したガスを原料ガスと共に前記原料ガス通路を通じて前記改質器に供給する。
【0006】
この構成によれば、第1加熱器により第1容器内のガスを加熱しつつエゼクタにより第1容器内のガスを第1吸引通路内に吸引することにより、第1容器内の吸着剤に吸着されているアンモニアを脱離させて改質器に供給することができる。したがって、吸着剤に吸着されているアンモニアを利用することができる。
【0007】
ガス供給システムは、前記改質器により生成される改質ガスに由来する燃料ガスを用いて発電する燃料電池を更に備えていてもよい。
【0008】
この構成によれば、吸着剤に吸着されているアンモニアを利用した改質ガスに由来する燃料ガスを燃料電池に供給することができる。これにより、多量の燃料ガスを燃料電池に供給することができ、燃料電池の発電を促進することができる。
【0009】
ガス供給システムは、前記改質器と前記第1容器に接続されており、前記改質器により生成される改質ガスを前記第1容器に供給する第1改質ガス通路と、前記第1改質ガス通路を開閉する第1開閉弁と、前記第1吸引通路を開閉する第2開閉弁と、を更に備えていてもよい。ガス供給システムは、前記改質器により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを前記第1容器内の吸着剤に吸着させる第1吸着工程を実行可能であってもよい。前記第1吸着工程では、前記第1開閉弁が開弁しており、前記第2開閉弁が閉弁している状態で、前記原料ガス通路を通じて前記改質器に原料ガスを供給し、前記改質器により生成される改質ガスを前記第1改質ガス通路を通じて前記第1容器内に供給してもよい。前記第1脱離工程の後に前記第1吸着工程を実行する場合、前記第1開閉弁が閉弁している状態で前記第2開閉弁を閉弁し、その後に、前記第2開閉弁が閉弁している状態で前記第1開閉弁を開弁してから前記第1吸着工程を実行してもよい。
【0010】
この構成によれば、第1脱離工程から第1吸着工程に切り換えるときに、第1改質ガス通路を通じて第1容器内に供給する改質ガスが第1吸引通路を通じてエゼクタに吸引されることを抑制することができる。
【0011】
ガス供給システムは、ガスに含まれるアンモニアを吸着する吸着剤が収容されている第2容器を備える第2吸着器と、前記改質器と前記第2容器に接続されており、前記改質器により生成される改質ガスを前記第2容器に供給する第2改質ガス通路と、を更に備えていてもよい。ガス供給システムは、前記改質器により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを前記第2容器内の吸着剤に吸着させる第2吸着工程を実行可能であってもよい。前記第2吸着工程では、前記原料ガス通路を通じて前記改質器に原料ガスを供給することにより、前記第1脱離工程で前記原料ガス通路内に吸引したガスを原料ガスと共に前記原料ガス通路を通じて前記改質器に供給し、前記改質器により生成される改質ガスを前記第2改質ガス通路を通じて前記第2容器内に供給してもよい。
【0012】
この構成によれば、第2吸着工程を第1脱離工程と同時に実行することができる。第2容器内に改質ガスを供給することを利用して、第1容器内の吸着剤に吸着されているアンモニアを脱離させることができる。
【0013】
ガス供給システムは、前記第1容器と前記第2容器に接続されており、前記第2吸着工程で前記第2容器内の吸着剤にアンモニアが吸着された後のガスを前記第1容器内に供給する連絡通路と、を更に備えていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第2容器から第1容器に供給されるガスにより、第1容器内の吸着剤に吸着されているアンモニアを脱離させることができる。これにより、第1吸着器において脱離に要する時間を短くすることができる。
【0015】
ガス供給システムは、前記連絡通路に設けられており、前記第2容器から前記第1容器に供給されるガスの流量を調整する調整弁を更に備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1吸着器におけるアンモニアの脱離の進行速度を調整することができる。例えば、調整弁の開度を大きくすることにより、アンモニアの脱離の進行速度を速くすることができ、調整弁の開度を小さくすることにより、アンモニアの脱離の進行速度を遅くすることができる。
【0017】
ガス供給システムは、前記第1容器内の圧力を検出する第1圧力検出部と、前記第2容器内の圧力を検出する第2圧力検出部と、制御部と、を更に備えていてもよい。前記制御部は、前記第2圧力検出部の検出圧力と前記第1圧力検出部の検出圧力との差に基づいて前記調整弁の開度を制御してもよい。
【0018】
この構成によれば、第1容器と第2容器におけるガスの状態を良好な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例のガス供給システムを模式的に示す図。
【
図3】実施例のガス供給システムの第1状態を模式的に示す図。
【
図4】実施例のガス供給システムの第2状態を模式的に示す図。
【
図5】実施例のガス供給システムの第3状態を模式的に示す図。
【
図6】実施例のガス供給システムの第4状態を模式的に示す図。
【
図8】変形例のガス供給システムを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例のガス供給システム2について図面を参照して説明する。
図1に示すように、実施例のガス供給システム2は、原料タンク10と、エゼクタ70と、改質器12と、第1吸着器14と、第2吸着器16と、燃料電池18と、制御装置100(制御部の一例)とを備えている。
【0021】
原料タンク10は、原料ガス(例えば、アンモニアガス、炭化水素ガス(メタンガス等の都市ガス)、ギ酸ガス、ヒドラジンガス、メチルシクロヘキサンガス等)を貯蔵している。原料タンク10には、原料ガスが流通する原料ガス通路60が接続されている。原料ガス通路60は、上流端が原料タンク10に接続されており、下流端が改質器12に接続されている。原料ガス通路60は、原料タンク10から改質器12に原料ガスを供給する。原料タンク10内の原料ガスは、原料タンク10内の圧力により、原料ガス通路60を通じて改質器12に圧送される。変形例では、原料ガスを圧送するためのポンプが原料ガス通路60に設けられていてもよい。
【0022】
原料ガス通路60にはエゼクタ70が設けられている。原料ガス通路60は、エゼクタ70よりも上流側の第1原料ガス通路601と、エゼクタ70よりも下流側の第2原料ガス通路602とを備えている。
【0023】
エゼクタ70には、後述する共通吸引通路64の下流端が接続されている。共通吸引通路64の上流端は、後述する第1吸着器14の第1容器142、および第2吸着器16の第2容器162に接続されている。エゼクタ70は、原料ガス通路60内の原料ガスの流れにより発生する負圧によって共通吸引通路64内のガスを吸引するように構成されている。エゼクタ70は、共通吸引通路64を通じて第1容器142内のガス、または、第2容器162内のガスを原料ガス通路60内に吸引することができる。エゼクタ70により吸引されたガスは、原料ガスと共に原料ガス通路60を通じて改質器12に供給される。
【0024】
図2は、実施例のエゼクタ70の断面図である。
図2に示すように、エゼクタ70は、原料ガス入口80と、吸引口82と、絞り部84と、原料ガス出口86とを備えている。原料ガス入口80には、第1原料ガス通路601の下流端が接続されている。第1原料ガス通路601から原料ガス入口80を通じてエゼクタ70内に原料ガスが導入される。吸引口82には、共通吸引通路64の下流端が接続されている。共通吸引通路64から吸引口82を通じてエゼクタ70内にガスが吸引される。原料ガス出口86には、第2原料ガス通路602の上流端が接続されている。エゼクタ70から原料ガス出口86を通じて第2原料ガス通路602に原料ガスが吐出される。
【0025】
エゼクタ70の絞り部84は、原料ガス入口80と原料ガス出口86との間に設けられている。絞り部84の通路面積は、絞り部84の上流側および下流側の通路面積よりも狭くなっている。絞り部84は、エゼクタ70を通過する原料ガスの流速を速くする部分である。
【0026】
エゼクタ70は、絞り部84を通過する原料ガスの流れにより、エゼクタ70に接続されている共通吸引通路64内の圧力を減圧するように構成されている。絞り部84を通過した原料ガスは、吸引口82から吸引されたガスと共に、原料ガス出口86から第2原料ガス通路602に吐出される。このように、エゼクタ70は、ベンチュリ効果により減圧状態を生成して流体(ガス)を吸引することができる器具である。エゼクタ70の原理については、よく知られているので更なる詳細な説明は省略する。
【0027】
図1に示すように、第2原料ガス通路602は改質器12に接続されている。改質器12は、原料ガス通路60(第1原料ガス通路601および第2原料ガス通路602)により供給される原料ガス(例えばアンモニアガス)を改質することにより改質ガスを生成する。改質器12において原料ガスの改質のために用いられる触媒は、例えば、銅、ニッケル、ルテニウム等である。改質器12により生成される改質ガスは、水素を含んでいる。また、この改質ガスは、改質による副生成物のアンモニアや未分解のアンモニアを含んでいる。
【0028】
改質器12には、改質ガスが流通する共通改質ガス通路62の上流端が接続されている。共通改質ガス通路62の下流側は、第1改質ガス通路621と第2改質ガス通路622に分岐している。第1改質ガス通路621の下流端は、第1吸着器14の第1容器142に接続されている。第2改質ガス通路622の下流端は、第2吸着器16の第2容器162に接続されている。共通改質ガス通路62および第1改質ガス通路621は、改質器12で生成される改質ガスを第1吸着器14の第1容器142内に供給する。共通改質ガス通路62および第2改質ガス通路622は、改質器12で生成される改質ガスを第2吸着器16の第2容器162内に供給する。
【0029】
第1改質ガス通路621には第1開閉弁31が設けられている。第1開閉弁31は、第1改質ガス通路621を開閉する。第1開閉弁31が開弁すると、第1改質ガス通路621を通じて第1吸着器14に改質ガスを供給可能な状態になる。第1開閉弁31が閉弁すると、改質器12から第1吸着器14に改質ガスが供給されなくなる。
【0030】
第2改質ガス通路622には第3開閉弁33が設けられている(第2開閉弁32についは後述する。)。第3開閉弁33は、第2改質ガス通路622を開閉する。第3開閉弁33が開弁すると、第2改質ガス通路622を通じて第2吸着器16に改質ガスを供給可能な状態になる。第3開閉弁33が閉弁すると、改質器12から第2吸着器16に改質ガスが供給されなくなる。
【0031】
第1吸着器14について説明する。第1吸着器14は、第1容器142と、第1容器142内に収容されている吸着剤Fとを備えている。吸着剤Fは、例えば、活性炭、ゼオライト、MOF(Metal Organic Framework)等である。吸着剤Fが第1容器142内に充填されている。吸着剤Fは、第1改質ガス通路621から第1容器142内に導入される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着する。第1吸着器14は、改質ガスに含まれるアンモニアを吸着剤Fにより吸着することによって燃料ガスを生成する。
【0032】
ガス供給システム2は、第1吸着器14の第1容器142内のガスを加熱する第1加熱器72を更に備えている。第1加熱器72は、例えば、第1吸着器14の周囲に配置されている。変形例では、第1吸着器14の第1容器142内に第1加熱器72が配置されていてもよい。第1加熱器72は、例えば、電気式またはガス式の構成である。例えば、第1加熱器72は、通電により発熱する電気ヒーターであってもよい。また、第1加熱器72は、ガスの燃焼熱により加熱対象を加熱するガスバーナーであってもよい。あるいは、第1加熱器72は、熱交換器であってもよい。ガス供給システム2では、第1容器142内のガスが第1加熱器72によって加熱されると、そのガスが膨張して体積が増大する。例えば、第1容器142内のガスの体積が加熱により約160倍に増大する。
【0033】
第1吸着器14の第1容器142には第1圧力センサ50(第1圧力検出部の一例)が設けられている。第1圧力センサ50は、第1容器142内の圧力を検出する。第1圧力センサ50の検出圧力の情報は、制御装置100に送信される。
【0034】
また、第1吸着器14の第1容器142には、第1吸引通路641の上流端が接続されている。第1吸引通路641の下流側は、後述する第2吸引通路642と合流して共通吸引通路64を構成している。共通吸引通路64の下流端は、原料ガス通路60に設けられているエゼクタ70に接続されている。原料ガス通路60を通じて原料ガスが流れると、エゼクタ70の作用により、第1容器142内のガスが第1吸引通路641と共通吸引通路64を通じて原料ガス通路60内に吸引される。
【0035】
第1吸引通路641には第2開閉弁32が設けられている。第2開閉弁32は、第1吸引通路641を開閉する。第2開閉弁32が開弁すると、第1容器142内のガスが第1吸引通路641を流通可能になり、第2開閉弁32が閉弁すると、第1容器142内のガスが第1吸引通路641を流通不能になる。
【0036】
また、第1吸着器14の第1容器142には、第1吸引通路641の他に、燃料ガスが流通する第1燃料ガス通路661の上流端が接続されている。第1燃料ガス通路661の下流側は、後述する第2燃料ガス通路662と合流して共通燃料ガス通路66を構成している。共通燃料ガス通路66の下流端は、燃料電池18に接続されている。第1燃料ガス通路661および共通燃料ガス通路66は、第1吸着器14で生成される燃料ガスを燃料電池18に供給する。
【0037】
第1燃料ガス通路661には第5開閉弁40が設けられている。第5開閉弁40は、第1燃料ガス通路661を開閉する。第5開閉弁40が開弁すると、第1燃料ガス通路661を通じて燃料電池18に燃料ガスを供給可能な状態になる。第5開閉弁40が閉弁すると、第1吸着器14から燃料電池18に燃料ガスが供給されなくなる。
【0038】
次に、第2吸着器16について説明する。第2吸着器16は、第2容器162と、第2容器162内に収容されている吸着剤Fとを備えている。吸着剤Fは、例えば、活性炭、ゼオライト、MOF(Metal Organic Framework)等である。吸着剤Fが第2容器162内に充填されている。吸着剤Fは、第2改質ガス通路622から第2容器162内に導入される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着する。第2吸着器16は、改質ガスに含まれるアンモニアを吸着剤Fにより吸着することによって燃料ガスを生成する。
【0039】
ガス供給システム2は、第2吸着器16の第2容器162内のガスを加熱する第2加熱器74を更に備えている。第2加熱器74は、例えば、第2吸着器16の周囲に配置されている。変形例では、第2吸着器16の第2容器162内に第2加熱器74が配置されていてもよい。第2加熱器74は、例えば、電気式またはガス式の構成である。例えば、第2加熱器74は、通電により発熱する電気ヒーターであってもよい。また、第2加熱器74は、ガスの燃焼熱により加熱対象を加熱するガスバーナーであってもよい。あるいは、第2加熱器74は、熱交換器であってもよい。ガス供給システム2では、第2容器162内のガスが第2加熱器74によって加熱されると、そのガスが膨張して体積が増大する。例えば、第2容器162内のガスの体積が加熱により約160倍に増大する。
【0040】
第2吸着器16の第2容器162には第2圧力センサ52(第2圧力検出部の一例)が設けられている。第2圧力センサ52は、第2容器162内の圧力を検出する。第2圧力センサ52の検出圧力の情報は、制御装置100に送信される。
【0041】
また、第2吸着器16の第2容器162には、第2吸引通路642の上流端が接続されている。第2吸引通路642の下流側は、第1吸引通路641と合流して共通吸引通路64を構成している。共通吸引通路64の下流端は、原料ガス通路60に設けられているエゼクタ70に接続されている。原料ガス通路60を通じて原料ガスが流れると、エゼクタ70の作用により、第2容器162内のガスが第2吸引通路642と共通吸引通路64を通じて原料ガス通路60内に吸引される。
【0042】
第2吸引通路642には第4開閉弁34が設けられている。第4開閉弁34は、第2吸引通路642を開閉する。第4開閉弁34が開弁すると、第2容器162内のガスが第2吸引通路642を流通可能になり、第4開閉弁34が閉弁すると、第2容器162内のガスが第2吸引通路642を流通不能になる。
【0043】
また、第2吸着器16の第2容器162には、第2吸引通路642の他に、燃料ガスが流通する第2燃料ガス通路662の上流端が接続されている。第2燃料ガス通路662の下流側は、第1燃料ガス通路661と合流して共通燃料ガス通路66を構成している。共通燃料ガス通路66の下流端は、燃料電池18に接続されている。第2燃料ガス通路662および共通燃料ガス通路66は、第2吸着器16で生成される燃料ガスを燃料電池18に供給する。
【0044】
第2燃料ガス通路662には第6開閉弁42が設けられている。第6開閉弁42は、第2燃料ガス通路662を開閉する。第6開閉弁42が開弁すると、第2燃料ガス通路662を通じて燃料電池18に燃料ガスを供給可能な状態になる。第6開閉弁42が閉弁すると、第2吸着器16から燃料電池18に燃料ガスが供給されなくなる。
【0045】
ガス供給システム2は、更に、第1燃料ガス通路661と第2燃料ガス通路662に接続されている連絡通路20と、連絡通路20に設けられている調整弁44とを備えている。連絡通路20の一端は、第5開閉弁40よりも上流側(第1吸着器14側)の第1燃料ガス通路661に接続されている。連絡通路20は、第1燃料ガス通路661を介して第1吸着器14の第1容器142に接続されている。連絡通路20の他端は、第6開閉弁42よりも上流側(第2吸着器16側)の第2燃料ガス通路662に接続されている。連絡通路20は、第2燃料ガス通路662を介して第2吸着器16の第2容器162に接続されている。調整弁44は、その開度を調整することにより、連絡通路20を流れるガスの流量を調整可能に構成されている。
【0046】
次に、燃料電池18について説明する。燃料電池18には、共通燃料ガス通路66の他に、空気が流通する空気通路69が接続されている。空気通路69は、上流端が空気供給源(不図示)に接続されており、下流端が燃料電池18に接続されている。空気通路69を通じて空気供給源から燃料電池18に空気が供給される。なお、空気通路69の上流端は外気に開放されていてもよい。
【0047】
燃料電池18は、共通燃料ガス通路66により供給される燃料ガスと、空気通路69により供給される空気とを用いて発電する。燃料電池18は、例えば、容器の内部に積み重ねられた複数の電池セル(不図示)を備えており、各電池セルが、燃料ガスに含まれる水素と、空気に含まれる酸素との化学反応により発電する。電池セルは、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC(Solid Oxide Fuel Cell))や固体高分子形燃料電池(PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell))であるが、これらに限定されない。燃料ガスを用いて発電する燃料電池18では、発電の際に未反応の燃料ガスが排ガスとして排出される。
【0048】
燃料電池18には、排ガスが流通する排ガス通路68が接続されている。排ガス通路68は、上流端が燃料電池18に接続されており、下流端が排出先(不図示)に接続されている。排ガス通路68を通じて燃料電池18から排出先に排ガスが排出される。排出先は、例えば、改質器12、第1吸着器14、第2吸着器16等であってもよい。
【0049】
制御装置100は、例えば、CPUとメモリ(いずれも不図示)を備えており、メモリに記憶されているプログラムに従ってガス供給システム2に関する様々な制御や処理を実行する。
【0050】
次に、ガス供給システム2の動作について説明する。以下では、便宜上、
図3に示す第1状態を初期状態として説明する。
【0051】
(第1状態;
図3)
ガス供給システム2の第1状態では、
図3に示すように、第1開閉弁31が閉弁しており、第2開閉弁32が開弁しており、第3開閉弁33が開弁しており、第4開閉弁34が閉弁している。また、第5開閉弁40が閉弁しており、第6開閉弁42が開弁している。調整弁44の開度は制御可能である。更に、第1状態では、第1加熱器72が動作しており、第2加熱器74が停止している。また、第1状態では、第1吸着器14の吸着剤Fにアンモニアが吸着されている。
【0052】
第1状態では、第1吸着器14において第1脱離工程が実行される。具体的には、第1状態では、第1加熱器72が第1吸着器14の第1容器142内のガスを加熱することにより、第1容器142内のガスが膨張する。この状態で原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給すると、第1容器142内で膨張したガスが、原料ガス通路60に設けられているエゼクタ70の作用により、第1吸引通路641と共通吸引通路64を通じて原料ガス通路60内に吸引される。このとき、第1吸着器14の吸着剤Fに吸着されているアンモニアが第1容器142内のガスに脱離する。これにより、吸着剤Fから脱離したアンモニアを含むガスが原料ガス通路60内に吸引される。吸着剤Fから脱離したアンモニアを含むガスは、原料ガス通路60を通じて原料ガスと共に改質器12に供給される。
【0053】
また、第1状態では、第2吸着器16において第2吸着工程が実行される。具体的には、第1状態では、原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給すると、改質器12において原料ガスが改質されて改質ガスが生成される。改質器12で生成された改質ガスは、共通改質ガス通路62と第2改質ガス通路622を通じて第2吸着器16に供給される。改質器12により生成される改質ガスにはアンモニアが含まれている。改質ガスに含まれるアンモニアは、第2吸着器16の吸着剤Fに吸着される。
【0054】
第2吸着器16では、改質ガスに含まれるアンモニアが吸着剤Fに吸着されることにより燃料ガスが生成される。実施例の燃料ガスは、改質ガスからアンモニアが除去された後のガスである。第2吸着器16で生成される燃料ガスは、第2燃料ガス通路662と共通燃料ガス通路66を通じて燃料電池18に供給される。燃料電池18は、共通燃料ガス通路66を通じて供給される燃料ガスを用いて発電する。なお、第2燃料ガス通路662を流れる燃料ガスの一部は、連絡通路20と第1燃料ガス通路661を通じて第1吸着器14の第1容器142内に供給される。
【0055】
(第2状態;
図4)
次に、第2状態について説明する。
図4に示すように、第2状態では、第1開閉弁31が閉弁しており、第2開閉弁32が閉弁しており、第3開閉弁33が開弁しており、第4開閉弁34が閉弁している。また、第5開閉弁40が閉弁しており、第6開閉弁42が開弁している。調整弁44の開度は制御可能である。更に、第2状態では、第1加熱器72が停止しており、第2加熱器74が停止している。
【0056】
ガス供給システム2では、制御装置100が第2開閉弁32を閉弁し、第1加熱器72をオフにすることにより、第1状態から第2状態に移行する。第2状態では、第1加熱器72が停止することにより、第1吸着器14の第1容器142内のガスが冷却される。また、第2状態では、第2吸着器16において第2吸着工程が実行される。第2吸着器16における第2吸着工程については、上述した通りである。
【0057】
(第3状態;
図5)
次に、第3状態について説明する。
図5に示すように、第3状態では、第1開閉弁31が開弁しており、第2開閉弁32が閉弁しており、第3開閉弁33が開弁しており、第4開閉弁34が閉弁している。また、第5開閉弁40が開弁しており、第6開閉弁42が開弁している。調整弁44の開度は制御可能である。更に、第3状態では、第1加熱器72が停止しており、第2加熱器74が停止している。ガス供給システム2では、制御装置100が第1開閉弁31を開弁し、第5開閉弁40を開弁することにより、第2状態から第3状態に移行する。
【0058】
第3状態では、第1吸着器14において第1吸着工程が実行され、第2吸着器16において第2吸着工程が実行される。具体的には、第3状態では、原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給すると、改質器12において原料ガスが改質されて改質ガスが生成される。改質器12で生成された改質ガスは、共通改質ガス通路62と第1改質ガス通路621を通じて第1吸着器14に供給される。改質器12により生成される改質ガスにはアンモニアが含まれている。改質ガスに含まれるアンモニアは、第1吸着器14の吸着剤Fに吸着される。
【0059】
第1吸着器14では、改質ガスに含まれているアンモニアが吸着剤Fに吸着されることにより燃料ガスが生成される。実施例の燃料ガスは、改質ガスからアンモニアが除去された後のガスである。第1吸着器14で生成される燃料ガスは、第1燃料ガス通路661と共通燃料ガス通路66を通じて燃料電池18に供給される。燃料電池18は、共通燃料ガス通路66を通じて供給される燃料ガスを用いて発電する。なお、第2吸着器16における第2吸着工程については、上述した通りである。
【0060】
第3状態では、改質ガスが第1吸着器14および第2吸着器16に供給される。また、第1吸着器14および第2吸着器16で生成された燃料ガスが燃料電池18に供給される。これにより、第3状態では、第1吸着器14の第1容器142内の圧力と、第2吸着器16の第2容器162内の圧力とが、略同じ圧力になる。
【0061】
(第4状態;
図6)
次に、第4状態について説明する。
図6に示すように、第4状態では、第1開閉弁31が開弁しており、第2開閉弁32が閉弁しており、第3開閉弁33が閉弁しており、第4開閉弁34が開弁している。また、第5開閉弁40が開弁しており、第6開閉弁42が閉弁している。調整弁44の開度は制御可能である。更に、第4状態では、第1加熱器72が停止しており、第2加熱器74が動作している。ガス供給システム2では、制御装置100が第3開閉弁33を閉弁し、第6開閉弁42を閉弁し、第2加熱器74を始動することにより、第3状態から第4状態に移行する。
【0062】
第4状態では、第1吸着器14において第1吸着工程が実行される。第1吸着器14における第1吸着工程については、上述した通りである。なお、第4状態では、第1燃料ガス通路661を流れる燃料ガスの一部が、連絡通路20と第2燃料ガス通路662を通じて第2吸着器16の第2容器162内に供給される。
【0063】
また、第4状態では、第2吸着器16において第2脱離工程が実行される。具体的には、第4状態では、第2加熱器74が第2吸着器16の第2容器162内のガスを加熱することにより、第2容器162内のガスが膨張する。この状態で原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給すると、第2容器162内で膨張したガスが、原料ガス通路60に設けられているエゼクタ70の作用により、第2吸引通路642と共通吸引通路64を通じて原料ガス通路60内に吸引される。このとき、第2吸着器16の吸着剤Fに吸着されているアンモニアが第2容器162内のガスに脱離する。これにより、吸着剤Fから脱離したアンモニアを含むガスが原料ガス通路60内に吸引される。吸着剤Fから脱離したアンモニアを含むガスは、原料ガス通路60を通じて原料ガスと共に改質器12に供給される。
【0064】
(第4状態から第1状態)
ガス供給システム2の状態を上記の第4状態から第1状態に移行する場合は、制御装置100が上記の制御と逆の制御を実行する。すなわち、制御装置100は、第4状態から第1状態に移行する場合は、第1吸着器14に関連する第1開閉弁31、第2開閉弁32、第5開閉弁40、第1加熱器72について、それぞれ、第2吸着器16に関連する第3開閉弁33、第4開閉弁34、第6開閉弁42、第2加熱器74について説明した制御を実行する。それとは逆に、制御装置100は、第4状態から第1状態に移行する場合は、第2吸着器16に関連する第3開閉弁33、第4開閉弁34、第6開閉弁42、第2加熱器74について、それぞれ、第1吸着器14に関連する第1開閉弁31、第2開閉弁32、第5開閉弁40、第1加熱器72について説明した制御を実行する。
【0065】
(効果)
以上、実施例のガス供給システム2について説明した。以上の説明から明らかなように、ガス供給システム2は、原料ガス通路60に設けられているエゼクタ70と、第1吸着器14の第1容器142とエゼクタ70に接続されている第1吸引通路641と、第1容器142内のガスを加熱する第1加熱器72とを備えている。ガス供給システム2は、第1容器142内の吸着剤Fに吸着されているアンモニアを脱離する第1脱離工程を実行可能である。第1脱離工程では、第1容器142内の吸着剤Fにアンモニアが吸着されている状態で、第1加熱器72により第1容器142内のガスを加熱すると共に、原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給する。これにより、第1容器142内のガスをエゼクタ70の作用により原料ガス通路60内に吸引し、吸引したガスを原料ガスと共に改質器12に供給する。
【0066】
この構成によれば、第1加熱器72により第1容器142内のガスを加熱しつつエゼクタ70により第1容器142内のガスを原料ガス通路60内に吸引することにより、第1容器142内の吸着剤Fに吸着されているアンモニアを脱離させて改質器12に供給することができる。したがって、吸着剤Fに吸着されているアンモニアを利用することができる。
【0067】
また、ガス供給システム2は、改質器12により生成される改質ガスに由来する燃料ガスを用いて発電する燃料電池18を備えている。この構成によれば、吸着剤Fに吸着されているアンモニアを利用した改質ガスに由来する燃料ガスを燃料電池18に供給することができる。これにより、多量の燃料ガスを燃料電池18に供給することができ、燃料電池18の発電を促進することができる。
【0068】
また、ガス供給システム2は、改質器12により生成される改質ガスを第1容器142に供給する第1改質ガス通路621と、第1改質ガス通路621を開閉する第1開閉弁31と、第1吸引通路641を開閉する第2開閉弁32とを備えている。ガス供給システム2は、改質器12により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを第1容器142内の吸着剤Fに吸着させる第1吸着工程を実行可能である。第1吸着工程では、第1開閉弁31が開弁しており、第2開閉弁32が閉弁している状態で、原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給する。これにより、改質器12により生成される改質ガスを第1改質ガス通路621を通じて第1容器142内に供給する。ガス供給システム2では、第1脱離工程の後に第1吸着工程を実行する場合、第1開閉弁31が閉弁している状態で第2開閉弁32を閉弁し、その後に、第2開閉弁32を閉弁している状態で第1開閉弁31を開弁してから吸着工程を実行する(
図3-
図5参照)。この構成によれば、第1脱離工程から第1吸着工程に切り換えるときに、第1改質ガス通路621を通じて第1容器142内に供給する改質ガスが第1吸引通路641を通じてエゼクタ70に吸引されることを抑制することができる。すなわち、改質ガスの逆流を防止することができる。
【0069】
また、ガス供給システム2は、第1吸着器14と第2吸着器16を備えている。ガス供給システム2は、改質器12により生成される改質ガスに含まれるアンモニアを第2吸着器16の吸着剤Fに吸着させる第2吸着工程を実行可能である。第2吸着工程では、原料ガス通路60を通じて改質器12に原料ガスを供給することにより、第1吸着器14の第1脱離工程で原料ガス通路60内に吸引したガスを原料ガスと共に改質器12に供給する。また、改質器12により生成される改質ガスを第2改質ガス通路622を通じて第2容器162内に供給する。この構成によれば、第1脱離工程と第2吸着工程を同時に実行することができる。第2容器162内に改質ガスを供給することを利用して、第1容器142内の吸着剤Fに吸着されているアンモニアを脱離させることができる。また、第1吸着器14が第1脱離工程中であっても、第2吸着器16を介して燃料電池18に燃料ガスを供給することができる。よって、燃料電池18に燃料ガスを連続的に供給することができる。
【0070】
また、ガス供給システム2は、第2容器162内の吸着剤Fにアンモニアが吸着された後のガスを第1容器142内に供給する連絡通路20を備えている。この構成によれば、第2容器162から第1容器142に供給されるガスにより、第1容器142内の吸着剤Fに吸着されているアンモニアを脱離させることができる。これにより、第1吸着器14において脱離に要する時間を短くすることができる。
【0071】
また、ガス供給システム2は、連絡通路20に設けられている調整弁44を備えている。調整弁44は、第2容器162から第1容器142に供給されるガスの流量を調整する。この構成によれば、第1吸着器14におけるアンモニアの脱離の進行速度を調整することができる。例えば、調整弁44の開度を大きくすることにより、アンモニアの脱離の進行速度を速くすることができ、調整弁44の開度を小さくすることにより、アンモニアの脱離の進行速度を遅くすることができる。
【0072】
(対応関係)
第1吸引通路641と共通吸引通路64の組み合わせが、「第1吸引通路」の一例である。共通改質ガス通路62と第1改質ガス通路621の組み合わせが、「第1改質ガス通路」の一例である。共通改質ガス通路62と第2改質ガス通路622の組み合わせが、「第2改質ガス通路」の一例である。
【0073】
(変形例)
(1)いくつかの実施形態では、ガス供給システム2の第1状態(
図3参照)において、制御装置100が、第2圧力センサ52の検出圧力P2と第1圧力センサ50の検出圧力P1と差(P2-P1)に基づいて、調整弁44の開度を制御してもよい。制御装置100は、圧力差(P2-P1)と所定の基準値Ptとの関係に基づいて、調整弁44の開度を制御してもよい。
【0074】
図7は、実施例の調整弁44の開度の制御を示す図である。制御装置100は、
図7に示すケース1の制御と、ケース2の制御とを実行してもよい。ケース1では、制御装置100は、圧力差(P2-P1)が基準値Pt以上である場合は、調整弁44の開度を大きくする(すなわち、調整弁44を開弁側に動かす。)。また、制御装置100は、圧力差(P2-P1)が基準値Pt未満である場合は、調整弁44の開度を小さくする(すなわち、調整弁44を閉弁側に動かす。)。
【0075】
ケース2では、制御装置100は、圧力差(P2-P1)が基準値Pt以上である場合は、調整弁44の開度を小さくする(すなわち、調整弁44を閉弁側に動かす。)。制御装置100は、圧力差(P2-P1)が基準値Pt未満である場合は、調整弁44の開度を大きくする(すなわち、調整弁44を開弁側に動かす。)。
【0076】
上記の構成によれば、圧力差(P2-P1)に基づいて調整弁44の開度を制御することにより、第1容器142と第2容器162におけるガスの状態を良好な状態に維持することができる。例えば、ケース1によれば、調整弁44の開度を大きくすることにより、第2吸着工程における第2容器162内の圧力が高くなり過ぎることを抑制することができる。また、調整弁44の開度を小さくすることにより、第2吸着工程における第2容器162内の圧力と、第1脱離工程における第1容器142内の圧力とが接近することを抑制することができる。
【0077】
また、ケース2によれば、調整弁44の開度を小さくすることにより、第2容器162から第1容器142にガスが過大に流入することを抑制することができる。また、調整弁44の開度を大きくすることにより、第2容器162から第1容器142へのガスの流入が過少になることを抑制することができる。
【0078】
(2)いくつかの実施形態では、
図8に示すように、連絡通路20と調整弁44が省略されてもよい。この構成では、制御装置100が、第5開閉弁40および第6開閉弁42の開度を制御してもよい。
【0079】
図8に示す構成では、第1脱離工程と第2吸着工程が同時に実行されている状態(第1状態;
図3参照)では、第5開閉弁40が開弁することにより、第2燃料ガス通路662を流れる燃料ガスの一部が、第1燃料ガス通路661を通じて第1吸着器14の第1容器142内に供給される。
【0080】
第1状態(
図3参照)では、制御装置100が第5開閉弁40の開度を制御することにより、第1燃料ガス通路661を通じて第1容器142内に燃料ガスが流入しすぎて燃料電池18に供給される燃料ガスの量が少なくなり過ぎないようにする。
【0081】
また、
図8に示す構成では、第1吸着工程と第2脱離工程が同時に実行されている状態(第4状態;
図6参照)では、第6開閉弁42が開弁することにより、第1燃料ガス通路661を流れる燃料ガスの一部が、第2燃料ガス通路662を通じて第2吸着器16の第2容器162内に供給される。
【0082】
第4状態(
図6参照)では、制御装置100が第6開閉弁42の開度を制御することにより、第2燃料ガス通路662を通じて第2容器162内に燃料ガスが流入しすぎて燃料電池18に供給される燃料ガスの量が少なくなり過ぎないようにする。
【0083】
また、
図8に示す構成では、第2状態(
図4参照)で制御装置100が第5開閉弁40の開度を制御することにより、第1容器142内の圧力が高くなり過ぎないようにしてもよい。
【0084】
(対応関係)
図8に示す構成では、第1燃料ガス通路661と第1燃料ガス通路661の組み合わせが、「連絡通路」の一例である。
【0085】
(3)各弁31、32、33、34、40、42、44は、自動で開閉されても、手動で開閉されてもよい。各弁31、32、33、34、40、42、44を開閉するための構成は特に限定されない。
【0086】
(4)共通改質ガス通路62は、第1改質ガス通路621と第2改質ガス通路622に分離されていてもよい。共通吸引通路64は、第1吸引通路641と第2吸引通路642に分離されていてもよい。共通燃料ガス通路66は、第1燃料ガス通路661と第2燃料ガス通路662に分離されていてもよい。
【0087】
(5)上記の説明における「第1」と「第2」の区別は、便宜上の区別であり、相互に入れ替え可能である。
【0088】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0089】
2:ガス供給システム、10:原料タンク、12:改質器、14:第1吸着器、16:第2吸着器、18:燃料電池、20:連絡通路、31:第1開閉弁、32:第2開閉弁、33:第3開閉弁、34:第4開閉弁、40:第5開閉弁、42:第6開閉弁、44:調整弁、50:第1圧力センサ、52:第2圧力センサ、60:原料ガス通路、62:共通改質ガス通路、64:共通吸引通路、66:共通燃料ガス通路、68:排ガス通路、69:空気通路、70:エゼクタ、72:第1加熱器、74:第2加熱器、80:原料ガス入口、82:吸引口、84:絞り部、86:原料ガス出口、100:制御装置、142:第1容器、162:第2容器、601:第1原料ガス通路、602:第2原料ガス通路、621:第1改質ガス通路、622:第2改質ガス通路、641:第1吸引通路、642:第2吸引通路、661:第1燃料ガス通路、662:第2燃料ガス通路、F:吸着剤