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  • 特開-ディスペンサ 図1
  • 特開-ディスペンサ 図2A
  • 特開-ディスペンサ 図2B
  • 特開-ディスペンサ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115796
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018208
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】519231500
【氏名又は名称】ハンファ精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】川島 啓吾
【テーマコード(参考)】
4F041
【Fターム(参考)】
4F041AA01
4F041AA03
4F041AA05
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA11
4F041BA36
(57)【要約】
【課題】レバー部材を支点部材に対して高速で回転させたとしても、支点部材とレバー部材とが焼き付きにくいディスペンサを提供する。
【解決手段】ノズルと、前記ノズルに液体材料を供給する供給流路と、先端部が前記供給流路内を上下方向に往復動作するタペット34と、タペット34に変位を与える変位拡大機構14と、アクチュエータ15とを備えるディスペンサである。変位拡大機構14は、支点部材141と、支点部142a、作用点部142b及び力点部142cを有するレバー部材142とを含む。更に、タペット34を上方に向けて弾性的に付勢する第1付勢部材342と、レバー部材142の作用点部142bとは反対側の端部を下方に向けて弾性的に付勢する第2付勢部材143とを備え、支点部材141が支点部(凹曲面)142aに対して転がり接触するように、第1付勢部材342及び第2付勢部材143による各付勢力の絶対値を設定している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体材料を吐出するノズルと、前記ノズルに液体材料を供給する供給流路と、先端部が前記供給流路内を上下方向に往復動作するタペットと、前記タペットに変位を与える変位拡大機構と、前記変位拡大機構に変位を与えるアクチュエータとを備えるディスペンサであって、
前記変位拡大機構は、円柱形状の支点部材と、前記支点部材に接触する支点部、前記タペットの上端部に接触する作用点部、及び前記アクチュエータの下端部に接触する力点部を有するレバー部材とを含み、
前記支点部は、前記支点部材の曲率半径より大きい曲率半径を有する凹曲面であり、
前記力点部は、前記支点部と前記作用点部との間にあり、
更に、前記タペットを上方に向けて弾性的に付勢する第1付勢部材と、前記レバー部材の作用点部とは反対側の端部を下方に向けて弾性的に付勢する第2付勢部材とを備え、
前記支点部材が前記支点部に対して転がり接触するように、前記第1付勢部材による付勢力の絶対値、及び前記第2付勢部材による付勢力の絶対値を設定している、ディスペンサ。
【請求項2】
前記アクチュエータはピエゾ素子を含む、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材はいずれも圧縮コイルばねよりなる、請求項1又は2に記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体材料を吐出するディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
水、油、レジンなどの液体材料を吐出するディスペンサは、半導体工程や医療分野などの様々な分野に使われている。特に半導体工程においては、アンダーフィル工程にディスペンサが多く使われており、半導体素子のパッケージの内部をレジンで充填する用途にもディスペンサが多く使われている。LED素子の製造工程においては、蛍光物質とレジンとが混合された蛍光液をLEDチップに塗布する工程にディスペンサが使われている。
【0003】
このように液体材料を吐出するディスペンサとしては、タペットの往復動作によってノズルから液体材料を吐出する形式のものが知られており、特許文献1では、液体材料を吐出するノズルと、ノズルに液体材料を供給する供給流路と、先端部が供給流路内を上下方向に往復動作するタペット(プランジャ)と、タペット(プランジャ)に変位を与える変位拡大機構と、変位拡大機構に変位を与えるアクチュエータとを備えるディスペンサ(液体塗布装置)が開示されている。また、特許文献1には、変位拡大機構として円柱形状の支点部材とレバー部材とを有する、いわゆるてこ機構が開示されており、このてこ機構においてレバー部材の支点部材に接触する部分は、支点部材の曲率半径に比べて同等以上の曲率半径の凹曲面であることが好ましいことも開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の変位拡大機構では、支点部材とレバー部材の凹曲面との接触が滑り接触となるため、特にタペット(プランジャ)を高速で往復動作させるためにアクチュエータを高速で駆動させてレバー部材を高速で回転させた場合、支点部材とレバー部材の凹曲面とが焼き付いてしまうという問題がある。支点部材とレバー部材の凹曲面とが焼き付いてしまうと、アクチュエータの高速駆動に対するレバー部材の回転動作の追従性(応答性)が低下し、結局のところタペット(プランジャ)を高速で往復動作させることができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-30865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、レバー部材を支点部材に対して高速で回転させたとしても、支点部材とレバー部材とが焼き付きにくいディスペンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、次のディスペンサが提供される。
液体材料を吐出するノズルと、前記ノズルに液体材料を供給する供給流路と、先端部が前記供給流路内を上下方向に往復動作するタペットと、前記タペットに変位を与える変位拡大機構と、前記変位拡大機構に変位を与えるアクチュエータとを備えるディスペンサであって、
前記変位拡大機構は、円柱形状の支点部材と、前記支点部材に接触する支点部、前記タペットの上端部に接触する作用点部、及び前記アクチュエータの下端部に接触する力点部を有するレバー部材とを含み、
前記支点部は、前記支点部材の曲率半径より大きい曲率半径を有する凹曲面であり、
前記力点部は、前記支点部と前記作用点部との間にあり、
更に、前記タペットを上方に向けて弾性的に付勢する第1付勢部材と、前記レバー部材の作用点部とは反対側の端部を下方に向けて弾性的に付勢する第2付勢部材とを備え、
前記支点部材が前記支点部に対して転がり接触するように、前記第1付勢部材による付勢力の絶対値、及び前記第2付勢部材による付勢力の絶対値を設定している、ディスペンサ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、支点部材がレバー部材の支点部(凹曲面)に対して転がり接触することから、レバー部材を支点部材に対して高速で回転させたとしても、支点部材とレバー部材とが焼き付きにくい。そのため、タペットを従来よりも高速で往復動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態であるディスペンサを一側面側から見た斜視図。
図2A図1のディスペンサの要部の側面図。
図2B図1のディスペンサの要部の縦断面図。
図3】タペット、変位拡大機構及びアクチュエータの関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本発明の一実施形態であるディスペンサを一側面側から見た斜視図で示している。また、図2A及び図2Bにはそれぞれ図1のディスペンサの要部を、側面図及び縦断面図として示している。
本実施形態のディスペンサXは、ディスペンサ本体1と、ディスペンサ本体1に着脱可能に装着されるノズルブロック3とを備えている。
【0011】
ディスペンサ本体1は、メインフレーム11の両側面がカバー111で覆われた形状を有し、その内部に後述する各部材が設置されている。なお、メインフレーム11の上面部には、メインフレーム11内に設置されている各部材へ電源を供給するための電源端子12、並びにメインフレーム11内に冷却用のエアを導入し排出するためのエア導入部13A及びエア排出部13Bが設けられている。
【0012】
ノズルブロック3は、メインフレーム11の下面側に着脱可能に装着されている。ノズルブロック3は、ブロック本体31と、液体材料を吐出するノズル32と、ノズル32に液体材料を供給する供給流路33と、先端部が供給流路33内を上下方向に往復動作するタペット34とを含む。
ノズル32は、ノズルナット321により、ブロック本体31の下面側のノズル装着部311に装着されている。
供給流路33は、ブロック本体31の上面部に設けられている液体材料導入部312とノズル32とを連通するように、ブロック本体31内に形成されている。なお、液体材料導入部312には、液体材料を貯留するタンク(図示省略)から液体材料が導入される。
タペット34はタペットホルダ341に保持されており、このタペット34を保持したタペットホルダ341が、ディスペンサ本体1のメインフレーム11の下面部に設けられているタペット装着孔112に装着されており、タペットホルダ341に保持されているタペット34の上端部がメインフレーム11内に突出している。また、タペットホルダ341にはタペット34を上方に向けて弾性的に付勢する第1付勢部材342が組み込まれている。第1付勢部材342としては典型的には圧縮コイルばねを用いることができる。
【0013】
図2Bに表れているようにディスペンサ本体1は、メインフレーム11内に、タペット34に変位を与える変位拡大機構14と、変位拡大機構14に変位を与えるアクチュエータ15とを更に備えている。ここで、図3には、上述のタペット34、変位拡大機構14及びアクチュエータ15の関係を模式的に示している。
図2B及び図3に表れているように変位拡大機構14は、支点部材141とレバー部材142とを含む。支点部材141は円柱形状であり、メインフレーム11に固定されている。レバー部材142は、支点部材141に接触する支点部142a、タペット34の上端部に接触する作用点部142b、及びアクチュエータ15の下端部に接触する力点部142cを有する。そして、支点部142aは支点部材の曲率半径より大きい曲率半径を有する凹曲面であり、力点部142cは、支点部142aと作用点部142bとの間にある。また、レバー部材の作用点部142bとは反対側の端部には、この端部を下方に向けて弾性的に付勢する第2付勢部材143が配置されている。第2付勢部材143としては典型的には圧縮コイルばねを用いることができる。このように変位拡大機構14は「てこ機構」であり、タペット34の上下方向の変位量をアクチュエータ15の上下方向の変位量よりも拡大する機能を担っている。
【0014】
一方、アクチュエータ15は変位拡大機構14に上下方向の変位を与え、その結果としてタペット34を上下方向に往復動作させるための駆動源として用いられ、モータやエア、ピエゾ素子などを含んで構成することができる。本実施形態においてアクチュエータ15はピエゾ素子を含んで構成している。ピエゾ素子は高速で駆動(伸縮)できる点で特に好ましい。
【0015】
このような構成において本実施形態では、支点部材141とレバー部材142の支点部である凹曲面142aとの接触が転がり接触となるように、言い換えれば支点部材141が支点部(凹曲面)142aに対して転がり接触するように、第1付勢部材342による付勢力の絶対値、及び第2付勢部材143による付勢力の絶対値を設定している。これら第1付勢部材342及び第2付勢部材143による付勢力の絶対値は、概して従来技術よりも大きく設定するが、具体的な絶対値については、レバー部材142のサイズ、支点部材141及びレバー部材142の支点部(凹曲面)142aの表面性状などを考慮して、適宜設定する。
【0016】
ここで、支点部材141とレバー部材142の支点部(凹曲面)142aとの接触が「転がり接触」であるか「滑り接触」であるかは、使用後の支点部材141及びレバー部材142の支点部(凹曲面)142aの表面性状を観察することにより判別することができる。すなわち、支点部材141とレバー部材142の支点部(凹曲面)142aとの接触が「転がり接触」である場合は、両者に焼付きや摩擦による損傷は実質的に観察されないが、「滑り接触」である場合は、両者に焼付きや摩擦による損傷が観察される。例えば、支点部材141及びレバー部材142の支点部(凹曲面)142aがDLC(ダイヤモンドライクカーボン)でコーティングされている場合、「転がり接触」ではDLCの剥落は実質的に観察されないが、「滑り接触」ではDLCの剥落が観察される。
【0017】
また、支点部材141とレバー部材142の支点部(凹曲面)142aとの接触が「転がり接触」となるには、支点部(凹曲面)142aが支点部材141の曲率半径より大きい曲率半径を有することが前提条件となる。支点部材141と支点部(凹曲面)142aとの接触が「転がり接触」となるようにする観点からは、支点部(凹曲面)142aの曲率半径(支点部材141の曲率半径との差)は大きいことが好ましい。ただし、支点部(凹曲面)142aの曲率半径(支点部材141の曲率半径との差)が大きくなると、支点部材141を支点部(凹曲面)142aに位置決めしにくくなるといった弊害が生じ得る。そこで、現実的には「転がり接触」となることを前提条件として位置決めのしやすさ等を考慮して、支点部(凹曲面)142aの曲率半径(支点部材141の曲率半径との差)を設定すればよい。
【0018】
次に、ディスペンサXの動作について説明する。
液体材料導入部312を介して液体材料が導入、充填されている供給流路33内をタペット34の先端部が上方向に移動する際にノズル32近傍に液体材料が供給される。このとき液体材料導入部312に導入される液体材料には、液体材料の粘性等の性状に応じて適切な値の背圧をかけておく。
タペット34の先端部が供給流路33内をノズル32に近接する方向すなわち下方向に移動する際に、ノズル32近傍の液体材料圧力が上昇して液体材料が吐出される。
その後、タペット34の先端部が供給流路33内を上方向に移動すると再びノズル32近傍に液体材料が供給され、更にその後、タペット34の先端部が供給流路33内を下方向に移動するとノズル32から液体材料が吐出される。このようにタペット34の先端部が供給流路33内を上下方向に往復動作することで、ノズル32から液体材料が間欠的に吐出される。
【0019】
ここで上述の通り本実施形態では、支点部材141が支点部(凹曲面)142aに対して転がり接触するように第1付勢部材342による付勢力の絶対値及び第2付勢部材143による付勢力の絶対値を設定している。そのため、レバー部材142を支点部材141に対して高速で回転させたとしても、支点部材141とレバー部材142とが焼き付きにくく摩擦による損傷も生じにくい。したがって、タペット34を従来よりも高速で往復動作させることが可能となる。
【0020】
なお、本実施形態では、ノズルブロック3をディスペンサ本体1に着脱可能に装着するようにしているが、ノズルブロック3の構成をディスペンサ本体1に組み込んで一体化してもよい。
【符号の説明】
【0021】
X ディスペンサ
1 ディスペンサ本体
11 メインフレーム
111 カバー
112 タペット装着孔
12 電源端子
13A エア導入部
13B エア排出部
14 変位拡大機構
141 支点部材
142 レバー部材
142a 支点部(凹曲面)
142b 作用点部
142c 力点部
143 第2付勢部材
15 アクチュエータ
3 ノズルブロック
31 ブロック本体
311 ノズル装着部
312 液体材料導入部
32 ノズル
321 ノズルナット
33 供給流路
34 タペット
341 タペットホルダ
342 第1付勢部材
図1
図2A
図2B
図3