(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115818
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】実装システム、及び実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20230814BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018239
(22)【出願日】2022-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 悠人
(72)【発明者】
【氏名】杉野 晋平
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353CC21
5E353EE52
5E353EE53
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH11
5E353HH51
5E353HH71
5E353JJ02
5E353JJ21
5E353JJ28
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353KK25
5E353LL03
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】 実装ヘッドと同期して移動する撮像部を用いながら、捕捉部の位置ずれを判定できる実装システム、及び実装方法を提供する。
【解決手段】 実装システム1では、撮像部3は、実装ヘッド2と同期して移動し、少なくとも捕捉部21の先端を撮像領域に含む。基準体8は、実装ヘッド2と別体に設けられている。判定部53は、撮像部3が捕捉部21の先端及び基準体8を撮像領域に含んで撮像した撮像画像に基づいて捕捉部21の先端と基準体8との相対位置を検出し、相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。出力部54は、判定部53の判定結果に基づく信号を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物に第2対象物を実装する実装システムであって、
前記第2対象物を捕捉可能な捕捉部を有して移動可能な実装ヘッドと、
前記実装ヘッドと同期して移動し、少なくとも前記捕捉部の先端を撮像領域に含む撮像部と、
前記実装ヘッドと別体に設けられている基準体と、
前記撮像部が前記捕捉部の先端及び前記基準体を前記撮像領域に含んで撮像した撮像画像に基づいて前記捕捉部の先端と前記基準体との相対位置を検出し、前記相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づく信号を出力する出力部と、を備える
実装システム。
【請求項2】
前記相対位置は、前記基準体の位置に対する前記捕捉部の先端の位置ずれであり、
前記判定部は、前記位置ずれが許容範囲に収まっているか否かを判定する
請求項1の実装システム。
【請求項3】
前記基準体が設けられている部材を更に備える
請求項1又は2の実装システム。
【請求項4】
前記実装ヘッドを駆動して、前記実装ヘッドを移動させる駆動部を更に備え、
前記判定部は、前記実装ヘッドが前記基準体の位置に対応する目標位置に移動したときに、前記相対位置を検出する
請求項1乃至3のいずれか1つの実装システム。
【請求項5】
前記捕捉部及び前記撮像部が取り付けられているヘッドユニットを更に備え、
前記撮像部の撮像光軸は、鉛直方向に対して斜めに延びている
請求項1乃至4のいずれか1つの実装システム。
【請求項6】
第1対象物に第2対象物を実装する実装方法であって、
前記第2対象物を捕捉可能な捕捉部を有して移動可能な実装ヘッドと同期して移動する撮像部が、前記捕捉部の先端及び前記実装ヘッドと別体に設けられている基準体を含む撮像領域を撮像する撮像ステップと、
前記撮像部の撮像画像に基づいて前記捕捉部の先端と前記基準体との相対位置を検出し、前記相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づく信号を出力する出力ステップと、を含む
実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装システム、及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の部品実装装置は、吸着ヘッド部と、部品認識カメラと、基板認識カメラと、ノズル認識カメラと、補正治具と、を有する。
【0003】
吸着ヘッド部は、部品を吸着する吸着ノズルを備え、吸着ノズルをほぼ鉛直方向に昇降させるとともに、吸着ノズルをそのノズル軸とほぼ一致する鉛直軸回りに回転させる。
【0004】
部品認識カメラは、吸着ノズルに吸着された部品を撮像して、部品の姿勢を認識する。
【0005】
基板認識カメラは、部品を搭載する基板を撮像して、基板の配置状態を認識する。
【0006】
ノズル認識カメラは、部品認識カメラで部品を撮像する際の吸着ノズルの高さ位置よりも下降した高さ位置にある吸着ノズルの先端を撮像して、吸着ノズルの下降に伴う吸着ノズル先端の中心位置の水平方向のずれ量を認識する。
【0007】
補正治具は、ノズル認識カメラの上方に配置され、ずれ量を認識する際の基準となる補正基準マークが上面に印された透明な治具である。
【0008】
そして、部品実装装置は、吸着ノズルの下降に伴う吸着ノズル先端の水平方向のずれ量を補正して、部品の吸着および搭載を行う。
【0009】
特許文献1では、ノズル認識カメラは、部品認識カメラと並んで配置され、部品供給部の側部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実装ヘッドと同期して移動する撮像部を備える実装システムにおいても、捕捉部の位置ずれを判定することの要望がある。
【0012】
本開示の目的は、実装ヘッドと同期して移動する撮像部を用いながら、捕捉部の位置ずれを判定できる実装システム、及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様に係る実装システムは、第1対象物に第2対象物を実装する。前記実装システムは、実装ヘッドと、撮像部と、基準体と、判定部と、出力部と、を備える。前記実装ヘッドは、前記第2対象物を捕捉可能な捕捉部を有して移動可能である。前記撮像部は、前記実装ヘッドと同期して移動し、少なくとも前記捕捉部の先端を撮像領域に含む。前記基準体は、前記実装ヘッドと別体に設けられている。前記判定部は、前記撮像部が前記捕捉部の先端及び前記基準体を前記撮像領域に含んで撮像した撮像画像に基づいて前記捕捉部の先端と前記基準体との相対位置を検出し、前記相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。前記出力部は、前記判定部の判定結果に基づく信号を出力する。
【0014】
本開示の一態様に係る実装方法は、第1対象物に第2対象物を実装する。前記実装方法は、撮像ステップと、判定ステップと、出力ステップと、を含む。前記撮像ステップは、前記第2対象物を捕捉可能な捕捉部を有して移動可能な実装ヘッドと同期して移動する撮像部が、前記捕捉部の先端及び前記実装ヘッドと別体に設けられている基準体を含む撮像領域を撮像する。前記判定ステップは、前記撮像部の撮像画像に基づいて前記捕捉部の先端と前記基準体との相対位置を検出し、前記相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。前記出力ステップは、前記判定ステップの判定結果に基づく信号を出力する。
【発明の効果】
【0015】
本開示では、実装ヘッドと同期して移動する撮像部を用いながら、捕捉部の位置ずれを判定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態の実装システムを示す構成図である。
【
図2】
図2は、同上の実装システムの要部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の実装システムを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の実装システムの捕捉部及び撮像部の近傍を示す側面図である。
【
図7】
図7は、同上の実装システムの判定処理を説明する斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の実装システムの判定処理を説明する別の斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の実装システムが実行する実装方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、同上の実装システムの撮像部の変形例を示す側面図である。
【
図11】
図11は、同上の実装システムの基準体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施形態は、一般に、実装システム、及び実装方法に関する。より詳細には、第1対象物に第2対象物を実装する生産動作を行う実装システム、及び実装方法に関する。
【0018】
以下、実施形態に係る実装システム、及び実装方法について、
図1~
図10を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0019】
また、以下の説明では、特に断りのない限り、
図1及び
図2において、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を規定する。本実施形態では、X軸及びY軸は水平方向に延び、Z軸は鉛直方向に延びている。
【0020】
(1)実装システムの概要
以下、本実施形態に係る実装システム1の概要について説明する。
【0021】
実装システム1は、
図1、
図5A~
図5Dに示すように、第1対象物T1に第2対象物T2を実装する実装装置(実装機)である。実装システム1は、例えば、工場、研究所、事務所及び教育施設等の施設において、電子機器、自動車、衣料品、食料品、医薬品及び工芸品等の種々の製品の製造のための作業に用いられる。
【0022】
本実施形態では、実装システム1が、工場での電子機器の製造に用いられる場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路ブロックを有している。これらの回路ブロックの製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程、及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板を含む)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品(電子部品を含む)が実装(搭載)される。はんだ付け工程では、例えば、部品が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。実装システム1は、実装工程において、第1対象物T1である基板T10に対して、第2対象物T2である部品T20を実装する作業を行う。すなわち、本実施形態に係る実装システム1では、第1対象物T1は、基板T10であり、第2対象物T2は、基板T10に実装される部品T20である。
【0023】
このように、第1対象物T1(基板T10)への第2対象物T2(部品T20)の実装に用いられる実装システム1は、
図1に示すように、実装ヘッド2、撮像部3、駆動部4、制御部5、基台61、搬送装置62、複数の部品供給装置63、及び固定カメラ7を備えている。
【0024】
搬送装置62は、基台61上をX軸方向に延びた一対のコンベア機構62aを有しており、第1対象物T1である基板T10をX軸方向に搬送して所定の実装スペースに位置決めする。
【0025】
複数の部品供給装置63は、基台61に連結される台車64のフィーダベース65にX軸方向に並んで取り付けられたテープフィーダを有する。各部品供給装置63は、リール66より供給されるキャリアテープ67をピッチ送りし、キャリアテープ67に保持された第2対象物T2である部品T20を部品供給口63aに供給する。リール66は台車64に保持されている。固定カメラ7は、基台61上に取り付けられ、上方を撮像する。
【0026】
実装ヘッド2は、X-Y平面に沿って移動可能であり、さらに第2対象物T2を捕捉するための捕捉部21を有する。捕捉部21は、一例としてZ軸に沿って鉛直方向に移動(上昇及び下降)するストローク動作が可能な吸着ノズルからなる。
【0027】
実装システム1は、実装工程において、基板T10(第1対象物T1)に部品T20(第2対象物T2)を実装する。実装工程における捕捉部21の位置制御は、高い位置決め精度を要する。
【0028】
そこで、本実施形態の実装システム1は、実装ヘッド2と、撮像部3と、基準体8と、判定部53と、出力部54と、を備える。実装ヘッド2は、部品T20を捕捉可能な捕捉部21を有する。撮像部3は、実装ヘッド2と同期して移動し、少なくとも捕捉部21の先端210を撮像領域R1(
図4参照)に含む。基準体8は、実装ヘッド2と別体に設けられている。判定部53は、撮像部3が捕捉部21の先端210及び基準体8を撮像領域R1に含んで撮像した撮像画像に基づいて捕捉部21の先端210と基準体8との相対位置を検出し、相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。出力部54は、判定部53の判定結果に基づく信号を出力する。
【0029】
上述の実装システム1は、実装ヘッド2と同期して移動する撮像部3を用いながら、捕捉部21の位置ずれを判定できる。
【0030】
(2)詳細
(2.1)前提
本実施形態では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品T20の実装に、実装システム1が用いられる場合について説明する。つまり、部品T20は、表面実装用の部品(SMD:Surface Mount Device)であって、基板T10の実装面T11(表面)上に配置されることをもって実装される。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品T20の実装に、実装システム1が用いられてもよい。この場合、部品T20は、リード端子を有する挿入実装用の部品であり、基板T10の孔にリード端子を挿入することをもって、基板T10の実装面T11上に実装される。
【0031】
また、本開示でいう「撮像光軸」は、撮像部3で撮像される画像(撮像部3の撮像画像)についての光軸であって、撮像部3の撮像素子31(
図3参照)及び光学系32(
図3参照)の両方によって定まる光軸である。つまり、撮像素子31の受光面の中心と、光学系32を通して撮像素子31の受光面の中心に結像する撮像領域R1(
図4参照)内の部位と、を結ぶ直線が撮像部3の撮像光軸AX1(
図4参照)となる。
【0032】
また、本開示において、撮像部3の撮像画像は、静止画(静止画像)及び動画(動画像)を含む。さらに、「動画」は、コマ撮り等により得られる複数の静止画にて構成される撮像画像を含む。撮像部3の撮像画像は、撮像部3から出力されたデータそのものでなくてもよい。例えば、撮像部3の撮像画像は、必要に応じて適宜データの圧縮、他のデータ形式への変換、又は撮像部3の撮像画像から一部を切り出す加工、ピント調整、明度調整、若しくはコントラスト調整等の加工が施されていてもよい。本実施形態では一例として、撮像部3の撮像画像は、フルカラーの動画である。
【0033】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、基板T10の実装面T11に平行な軸を「X軸」及び「Y軸」とし、基板T10の厚み方向に平行な軸を「Z」軸とする。さらに、Z軸に沿う両方向のうち一方向を上方向とし、他方向を下方向とする。例えば、捕捉部21が基板T10の実装面T11に対向しているとき、基板T10は、捕捉部21の下方に位置する。なお、X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は実装システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0034】
また、実装システム1には、冷却水の循環用のパイプ、電力供給用のケーブル及び空圧(正圧及び真空を含む)供給用のパイプ等が接続されるが、本実施形態では、これらの図示を適宜省略する。
【0035】
(2.2)全体構成
次に、本実施形態に係る実装システム1の要部について、
図1~
図4、
図5A及び
図5Bを参照して説明する。
【0036】
本実施形態に係る実装システム1は、実装ヘッド2と、撮像部3と、駆動部4と、制御部5と、基準体8と、を備えている。また、本実施形態では、実装システム1は、
図3に示すように、実装ヘッド2、撮像部3、駆動部4、制御部5、及び基準体8に加えて、搬送装置62、部品供給装置63、及び固定カメラ7を更に備えている。ただし、搬送装置62、部品供給装置63、及び固定カメラ7は、実装システム1に必須の構成ではない。つまり、搬送装置62、部品供給装置63、及び固定カメラ7の全部又は一部は、実装システム1の構成要素に含まれなくてもよい。また、
図2では、実装ヘッド2、撮像部3、駆動部4、及び基準体8のみを図示し、その他の実装システム1の構成の図示を適宜省略している。また、
図4では、実装ヘッド2の周辺を図示し、その他の実装システム1の構成の図示を適宜省略している。
【0037】
実装ヘッド2は、少なくとも1つの捕捉部21を有している。本実施形態では、実装ヘッド2はヘッドユニット23を有し、ヘッドユニット23には1つの捕捉部21が取り付けられている。そして、実装ヘッド2は、捕捉部21にて部品T20を捕捉した状態で、捕捉部21を基板T10に近づけるように移動させ、部品T20を基板T10の実装面T11に実装する。つまり、実装ヘッド2は、捕捉部21を、基板T10に向けて移動可能に保持する。
【0038】
撮像部3は、実装ヘッド2のヘッドユニット23に固定されている。撮像部3は、撮像素子31と、光学系32と、を有している。撮像部3は、例えば、動画を撮像するビデオカメラである。撮像部3は、捕捉部21の少なくとも先端210を含む撮像領域R1を有する。
【0039】
上述の捕捉部21及び撮像部3はヘッドユニット23に取り付けられており、捕捉部21及び撮像部3は、実装ヘッド2と同期して移動する。
【0040】
制御部5は、実装システム1の各部を制御する。制御部5は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。すなわち、制御部5では、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、制御部5の一部又は全部の機能が実現される。制御部5は、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは集約して配置されてもよいし、分散して配置されてもよい。
【0041】
制御部5は、例えば、実装ヘッド2、撮像部3、駆動部4、搬送装置62、部品供給装置63、及び固定カメラ7の各々と電気的に接続されている。制御部5は、実装ヘッド2、及び駆動部4に制御信号を出力し、捕捉部21にて捕捉した部品T20を基板T10の実装面T11に実装するように、実装ヘッド2及び駆動部4を制御する。また、制御部5は、撮像部3及び固定カメラ7に制御信号を出力して、撮像部3及び固定カメラ7を制御したり、撮像部3及び固定カメラ7のそれぞれの撮像画像を撮像部3及び固定カメラ7のそれぞれから取得したりする。
【0042】
駆動部4は、実装ヘッド2を移動させる装置である。本実施形態では、駆動部4は、X-Y平面内で、実装ヘッド2を移動させる。ここでいう「X-Y平面」は、X軸及びY軸を含む平面であって、Z軸と直交する平面である。言い換えると、駆動部4は、実装ヘッド2をX軸方向及びY軸方向に移動させる。本実施形態では、撮像部3が実装ヘッド2に固定されているため、駆動部4は、撮像部3についても実装ヘッド2と共に移動させる。言い換えると、
図1において、実装ヘッド2及び撮像部3は、駆動部4によって、搬送装置62の実装スペースに位置決めされている基板T10の上方と部品供給装置63の部品供給口63aの上方との間を移動する。
【0043】
具体的には、駆動部4は、
図2に示すように、X軸駆動部41と、Y軸駆動部42と、を有している。X軸駆動部41は、実装ヘッド2をX軸方向に直進移動させる。Y軸駆動部42は、実装ヘッド2をY軸方向に直進移動させる。Y軸駆動部42は、実装ヘッド2を、X軸駆動部41ごとY軸に沿って移動させることで、実装ヘッド2をY軸方向に直進移動させる。本実施形態では一例として、X軸駆動部41及びY軸駆動部42の各々は、リニアモータを含み、電力供給を受けてリニアモータで発生する駆動力により、実装ヘッド2を移動させる。
【0044】
部品供給装置63は、実装ヘッド2の捕捉部21にて捕捉される部品T20を供給する。部品供給装置63は、一例として、キャリアテープに収容された部品T20を供給するテープフィーダを有している。または、部品供給装置63は、複数の部品T20が載せ置かれたトレイを有していてもよい。実装ヘッド2は、このような部品供給装置63から、部品T20を捕捉部21にて捕捉する。
【0045】
搬送装置62は、基板T10を搬送する装置である。搬送装置62は、例えば、ベルトコンベヤ等で実現される。搬送装置62は、基板T10を、例えば、X軸に沿って搬送する。搬送装置62は、少なくとも実装ヘッド2の下方、つまりZ軸方向において捕捉部21と対向する実装スペースに、基板T10を搬送する。そして、搬送装置62は、実装ヘッド2による基板T10への部品T20の実装が完了するまでは、実装スペースに基板T10を停止させる。
【0046】
図5A~
図5Dは、実装工程で行われる生産動作の概略を示す。まず、
図5Aでは、部品T20を捕捉していない捕捉部21が部品供給口63aの上方に位置している。そして、捕捉部21は、矢印M1で示される鉛直方向に下降して、部品供給口63aに位置する部品T20を捕捉(保持)する捕捉動作を行う。そして、
図5Bに示すように、実装ヘッド2は、基板T10に近付くように、矢印M2で示される水平方向に移動する。すなわち、部品T20を捕捉している捕捉部21は、基板T10に近付くように移動する。そして、
図5Cに示すように、実装ヘッド2は、捕捉部21が基板T10の上方にまで移動すると停止する。そして、
図5Dに示すように、捕捉部21が矢印M3で示される鉛直方向に下降して、基板T10の実装面T11に部品T20を実装する実装動作を行う。なお、
図5Bにおいて、実装ヘッド2が水平方向に移動しているときに、捕捉部21が下降を開始してもよい。
【0047】
実装システム1は、上記構成に加えて、バックアップ装置、照明装置、及び通信部などを備えていてもよい。
【0048】
バックアップ装置は、搬送装置62によって実装スペースに搬送された基板T10をバックアップする。つまり、搬送装置62によって実装スペースに搬送された基板T10は、バックアップ装置にて、実装スペースに保持される。
【0049】
照明装置は、撮像部3の撮像領域R1を照明する。照明装置は、少なくとも撮像部3が撮像するタイミングで点灯すればよく、例えば、撮像部3の撮像タイミングに合わせて発光する。本実施形態では、撮像部3の撮像画像は、フルカラーの動画であるので、照明装置は、白色光等の可視光領域の波長域の光を出力する。本実施形態では一例として、照明装置は、LED(Light Emitting Diode)等の光源を複数有している。照明装置は、これら複数の光源を発光させることで、撮像部3の撮像領域R1を照らす。照明装置は、例えば、リング照明又は同軸落射照明等の適宜の照明方式にて実現される。照明装置は、例えば、撮像部3と共に実装ヘッド2に固定されている。
【0050】
通信部は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、上位システムと通信するように構成されている。これにより、実装システム1は、上位システムとの間でデータを授受することが可能である。
【0051】
(2.3)実装ヘッド
実装ヘッド2のより詳細な構成について、
図2、
図3、及び
図4を参照して説明する。
【0052】
本実施形態では、実装ヘッド2は、捕捉部21に加えて、捕捉部21を移動させるためのアクチュエータ22(
図3参照)と、捕捉部21及びアクチュエータ22を保持するヘッドユニット23と、を更に有している。本実施形態に係る実装システム1では、1つのヘッドユニット23に、捕捉部21及びアクチュエータ22が1つずつ取り付けられている。これにより、実装ヘッド2では、1つの部品T20を捕捉可能である。
【0053】
捕捉部21は、例えば、吸着ノズルである。捕捉部21は、制御部5にて制御され、部品T20を捕捉(保持)する捕捉状態と、部品T20を解放(捕捉を解除)する解放状態と、を切替可能である。ただし、捕捉部21は、吸着ノズルに限らず、例えば、ロボットハンドのように部品T20を挟む(摘む)ことによって捕捉(保持)する構成でもよい。
【0054】
捕捉部21による部品T20の捕捉に関しては、実装ヘッド2は、動力としての空圧(真空)の供給を受けて動作する。つまり、実装ヘッド2は、捕捉部21に繋がる空圧(真空)の供給路上のバルブを開閉することによって、捕捉部21の捕捉状態と、解放状態と、を切り替える。
【0055】
アクチュエータ22は、捕捉部21をZ軸方向に直進移動させる。さらに、アクチュエータ22は、捕捉部21をZ軸方向に沿った軸線を中心とする回転方向(以下、「θ方向」という)に回転移動させる。本実施形態では一例として、Z軸方向への捕捉部21の移動に関しては、アクチュエータ22は、リニアモータで発生する駆動力にて駆動する。θ方向への捕捉部21の移動に関しては、アクチュエータ22は、回転型モータで発生する駆動力にて駆動する。一方で、上述したように、実装ヘッド2は、駆動部4によりX軸方向及びY軸方向に直進移動する。結果的に、実装ヘッド2に含まれる捕捉部21は、駆動部4及びアクチュエータ22によって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向に移動することが可能である。
【0056】
ヘッドユニット23は、一例として、金属製であって直方体状に形成されている。捕捉部21及びアクチュエータ22がヘッドユニット23に組み付けられることによって、ヘッドユニット23は捕捉部21及びアクチュエータ22を保持する。本実施形態では、捕捉部21は、Z軸方向及びθ方向への移動が可能な状態で、アクチュエータ22を介してヘッドユニット23に間接的に保持される。実装ヘッド2は、ヘッドユニット23が駆動部4にてX-Y平面内で移動させられることによって、X-Y平面内を移動する。
【0057】
上述した構成によれば、実装ヘッド2は、部品T20を捕捉していない捕捉部21を部品供給口63aに近付けるように移動させ、部品供給装置63において部品T20を捕捉(保持)する捕捉動作を行うことが可能となる。また、実装ヘッド2は、実装システム1は、捕捉部21にて部品T20を捕捉した状態で、捕捉部21を基板T10に近づけるように移動させ、部品T20を基板T10の実装面T11に実装する実装動作を行うことが可能となる。
【0058】
(2.4)撮像部
撮像部3のより詳細な構成について、
図2~
図4を参照して説明する。
【0059】
本実施形態では、撮像部3は、
図4に示すように実装ヘッド2とともに移動する1つの移動カメラ3aで構成されており、
図3に示すように、撮像素子31と、光学系32と、を有している。光学系32は、撮像素子31に対して、撮像領域R1を撮像した撮像画像を結像する。
【0060】
撮像素子31は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)のようなイメージセンサである。撮像素子31は、受光面に結像した画像を電気信号に変換して出力する。
【0061】
光学系32は、1つ以上のレンズ及びミラー等を含んでいる。本実施形態では一例として、光学系32は、複数のレンズの組み合わせ(レンズ群)にて実現される。光学系32は、撮像領域R1からの光を撮像素子31の受光面に結像させる。なお、光学系32は、上記の構成に限定されない。
【0062】
撮像部3は、少なくとも捕捉部21の先端(下端)210(
図4参照)を撮像領域R1に含むように、捕捉部21との相対的な位置を決められている。したがって、撮像部3の撮像画像には、少なくとも捕捉部21の先端210が写る。
【0063】
具体的には、
図1に示すように、撮像部3は、ヘッドユニット23の下方において、Z軸方向から見た平面視において捕捉部21の側方に配置されることになる。このように、撮像部3は捕捉部21とともにヘッドユニット23に取り付けられており、捕捉部21と撮像部3とは同時に移動する。したがって、実装システム1は、捕捉部21と撮像部3とを別々に移動させる構成に比べて実装に要する時間を短縮して、生産性を向上させることができる。
【0064】
さらに、撮像部3は、Z軸(鉛直方向)に対して交差する撮像光軸AX1を有している。言い換えると、撮像光軸AX1は、鉛直方向に対して斜めに延びている。つまり、撮像部3は、撮像部3の撮像方向が鉛直方向に交差するように、ヘッドユニット23に固定されており、捕捉部21を斜め上方から撮像する。したがって、撮像部3は、水平方向における捕捉部21の挙動、及び鉛直方向における捕捉部21の挙動を撮像することができる。なお、水平方向はX-Y平面に沿った方向であり、鉛直方向は水平方向に直交する方向(Z軸に沿う方向)である。
【0065】
(2.5)固定カメラ
固定カメラ7のより詳細な構成について、
図1を参照して説明する。
【0066】
固定カメラ7は、実装スペースに位置決めされている基板T10の上方と部品供給装置63の部品供給口63aの上方との間を移動している実装ヘッド2を下方から撮像する。したがって、固定カメラ7の撮像画像には、捕捉部21に捕捉されている部品T20が写っている。すなわち、固定カメラ7の撮像画像には、捕捉部21と部品T20との相互の位置関係の情報、言い換えると捕捉部21に対する部品T20のずれの情報が含まれている。
【0067】
なお、固定カメラ7は、部品供給口63aから基板T10に移動している実装ヘッド2を下方から撮像することが好ましい。この場合、固定カメラ7は、常時撮像するのではなく、部品T20を捕捉している捕捉部21が固定カメラ7の上方を通過するタイミングで撮像する。
【0068】
また、固定カメラ7は、部品供給口63aの下方に設置されてもよい。
【0069】
また、実装システム1は、固定カメラ7の撮像領域を照明する照明装置を更に備えることが好ましい。
【0070】
(2.6)基準体
基準体8は、基台61の天面において固定カメラ7と搬送装置62との間に配置されている。すなわち、基準体8は、固定カメラ7と搬送装置62との間において、実装ヘッド2と別体に設けられている。基準体8は、一例として、基台61の天面から上方に延びている円柱形状の棒体である。基準体8の先端面81(上端面)は円形状である。ここでは、基台61が、基準体8が設けられている部材に相当する。
【0071】
基準体8は、判定部53が後述の判定処理を行う際に、捕捉部21の先端210の位置ずれを判定するための基準点(又はマーカ)の機能を有する。
【0072】
(2.7)制御部
制御部5は、ヘッド制御部51、画像取得部52、判定部53、及び出力部54を備える。
【0073】
(2.7.1)ヘッド制御部
ヘッド制御部51は、実装ヘッド2及び駆動部4に制御信号を出力することで、実装ヘッド2及び駆動部4を制御する。
【0074】
具体的に、ヘッド制御部51は、駆動部4に水平制御信号を出力し、駆動部4を制御することで、実装ヘッド2及び撮像部3をX-Y平面内で移動させる。また、ヘッド制御部51は、アクチュエータ22に鉛直制御信号を出力し、アクチュエータ22を制御することで、捕捉部21をZ軸に沿って移動させる。また、ヘッド制御部51は、アクチュエータ22に回転制御信号を出力し、アクチュエータ22を制御することで、捕捉部21をθ方向に回転させる。
【0075】
特に、ヘッド制御部51は、部品T20を捕捉する捕捉動作、及び部品T20を実装する実装動作では、撮像部3の撮像画像に基づいて駆動部4及びアクチュエータ22をフィードバック制御する。ヘッド制御部51は、撮像部3の撮像画像に基づいて駆動部4及びアクチュエータ22をフィードバック制御することで、捕捉位置及び実装位置を補正する。この結果、実装システム1は、捕捉動作における捕捉精度、及び実装動作における実装精度を向上させることができる。
【0076】
(2.7.2)画像取得部
画像取得部52は、撮像部3から撮像画像のデータを取得する(受け取る)通信インタフェースの機能を有する。
【0077】
撮像部3と画像取得部52との間の通信は、無線通信及び有線通信のいずれでもよい。無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)、又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した無線通信である。有線通信は、例えばツイストペアケーブル、専用通信線、又はLAN(Local Area Network)ケーブルなどを介した有線通信である。
【0078】
(2.7.3)判定部
判定部53は、撮像部3の撮像画像に基づいて、捕捉部21の位置ずれを判定する。
【0079】
具体的に、判定部53は、撮像部3が捕捉部21の先端210及び基準体8を撮像領域R1に含んで撮像した撮像画像に基づいて捕捉部21の先端210と基準体8との相対位置を検出し、相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、相対位置は、基準体8の位置に対する捕捉部21の先端210の位置ずれである。そして、判定部53は、先端210の位置ずれが許容範囲に収まっているか否かを判定する。この場合、判定部53が用いる所定条件は「位置ずれが許容範囲に収まっている」である。このような判定部53を備える実装システム1は、捕捉部21の位置ずれを精度よく判定できる。
【0080】
以下、判定部53の判定処理について、
図6A、
図6B、
図7及び
図8を用いて説明する。なお、この判定処理は、実装システム1が生産動作を行っているときに実行されてもよいし、実装システム1がメンテナンスのための診断動作を行っているときに実行されてもよい。
【0081】
図6Aは、部品T20を補足していない開放状態の捕捉部21を示す。そして、ヘッド制御部51は、予め決められたアルゴリズムを実行して駆動部4を制御し、実装ヘッド2をX-Y平面の目標位置へ移動させる。目標位置は、基準体8の位置に対応して予め決められている。例えば、駆動部4が実装ヘッド2の位置を検出するためのエンコーダを備えていれば、目標位置は、エンコーダのカウント値で表される。
【0082】
図6Bは、目標位置へ移動した実装ヘッド2を示す。このとき、捕捉部21は、基準体8の上方に位置し、撮像部3の撮像領域R1には、捕捉部21の先端210及び基準体8が含まれている。そして、判定部53は、実装ヘッド2が目標位置に移動した後に、相対位置を検出する。撮像部3は捕捉部21を斜め上方から撮像しているので、判定部53は、撮像部3の撮像画像に基づいて、捕捉部21の先端210と基準体8とのX-Y平面上の位置ずれを検出できる。この場合、相対位置は、捕捉部21の先端210と基準体8とのX-Y平面上の位置ずれである。言い換えると、相対位置は、Z軸方向から見た平面視における先端210と基準体8との位置ずれである。
【0083】
具体的に、基準体8の上方に位置する捕捉部21(
図6B参照)は、捕捉部21の挙動が不調でない通常時であれば、
図7に示すように、先端210の位置ずれが許容範囲G1に収まっている。許容範囲G1は、X-Y平面上で先端面81の中心P1を中心とし、かつ、半径がL1となる円形状の内部である。すなわち、先端面81の中心P1に対する先端210の位置ずれ量W1が、閾値L1以下になっている。なお、位置ずれ量W1は、Z軸方向から見た平面視(X-Y平面)における先端面81の中心P1と捕捉部21の先端210との間の距離である。閾値L1は、円形の許容範囲G1の半径の寸法であり、位置ずれ量W1に対して許容される上限値である。
【0084】
基準体8の上方に位置する捕捉部21(
図6B参照)は、捕捉部21の挙動が不調である不調時であれば、
図8に示すように、先端210の位置ずれが許容範囲G1に収まっていない。すなわち、先端面81の中心P1に対する先端210の位置ずれ量W1が、閾値L1より大きくなっている。
【0085】
なお、「不調」とは、異常だけでなく、調子が悪い状態も含む。具体的に、不調は、捕捉部21の位置制御の精度が低下する状態であり、駆動部4が備えるリニアモータなどの発熱によって、駆動部4のシャフトが歪むことを含む。また、不調は、機械構造の摩耗、歪みなどの経年劣化によって、捕捉部21の位置制御の精度が低下する状態も含む。また、不調は、駆動部4への異物の噛み込み、潤滑材の不足などを含む。また、不調は、ボルトの緩みを含む。
【0086】
また、「通常」とは、捕捉部21の位置制御の精度を所定精度以上に保つことができる状態である。
【0087】
(2.7.4)出力部
出力部54は、判定部53の判定結果に基づく信号を出力する。
【0088】
具体的に、出力部54は、判定部53の判定結果が「位置ずれが許容範囲G1に収まっていない」であれば、捕捉部21の挙動が不調であることを通知する通知信号を出力する。通知信号には、警告、位置ずれ量W1と閾値L1との比較結果、及び不調の要因などの情報が含まれる。
【0089】
具体的に、出力部54は、管理者が使用する設備モニタ、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの情報端末に通知信号を出力する。この場合、通知信号は、画像情報を含む信号であり、さらには音声情報を含んでいてもよい。この通知信号は、実装システム1のメンテナンスの実施を管理者に促す信号である。管理者は、情報端末に表示された画像情報を見て、不調の状況を把握して、実装システム1のメンテナンスを行う。すなわち、管理者は、捕捉部21の挙動を通常の挙動に戻すための適切な対応をとることができる。
【0090】
また、出力部54は、管理システムに通知信号を出力してもよい。この場合、管理システムは、通知信号に基づいて、実装システム1のメンテナンスを行うためのメンテナンススケジューラを更新する。すなわち、管理システムは、捕捉部21の挙動を通常の挙動に戻すための適切な対応をとることができる。
【0091】
なお、出力部54は、判定部53の判定結果が「位置ずれが許容範囲G1に収まっている」であれば、捕捉部21の挙動が通常であることを通知する通知信号を出力してもよい。通知信号には、挙動が通常であることを示す情報、及び位置ずれ量W1と閾値L1との比較結果の情報などが含まれる。
【0092】
(3)利点
上述のように、実装システム1は、実装ヘッド2とともに(同期して)移動する捕捉部21の撮像画像に基づいて、捕捉部21の位置ずれを判定する。すなわち、実装システム1は、実装ヘッド2と同期して移動する撮像部3を用いながら、生産動作中又は診断動作中に捕捉部21の位置ずれを判定できる。また、実装システム1に備わる基準体8を使用するので、位置ずれを判定するための治具を別途用意する必要がない。
【0093】
また、実装システム1は、捕捉部21の位置ずれの判定結果を通知することで、捕捉部21の挙動が、通常の挙動(好ましい挙動)から外れたことを、管理者又は管理システムに通知できる。「不調」とは、異常だけでなく、調子が悪い状態も含む。また、「通常の挙動」とは、捕捉部21の位置制御の位置決め精度を所定精度以上に保つことができる挙動である。管理者又は管理システムは、挙動が不調であることを通知されると、捕捉部21の挙動を通常の挙動に戻すための対応をとることができる。この結果、実装システム1は、捕捉部21の挙動が通常の挙動から外れることを抑制して、動作の精度を更に向上させることができる。
【0094】
また、従来は、決められた周期で定期的に実装システムのメンテナンスを実施していた。しかし、従来のメンテナンス方法では、メンテナンスの頻度を減らすことができず、管理者又は作業者などのオペレータの負担を軽減させることができなかった。従来のメンテナンス方法は、実装システムの性能の低下が許容できなくなる前にメンテナンスを実施できるように、メンテナンス周期を、実装システムの性能を確保可能な期間より短い周期としている。このため、オペレータの独断でメンテナンスの実施タイミングを変更すると、実装システムの性能を維持できない可能性がある。
【0095】
一方、実装システム1は、捕捉部21の位置ずれに基づいて不調の予兆を検知し、実装システム1にとって必要なタイミングで、メンテナンスの実施を指示することができる。この結果、適切なタイミングでのメンテナンスが可能となるため、実装システム1の性能を維持しながらメンテナンスの頻度を低減でき、オペレータの作業負荷が軽減される。また、メンテナンスに実施が遅くなって、実装システム1の性能が低下し過ぎることも抑制できる。
【0096】
(4)実装方法
上述の実装システム1が実行する実装方法をまとめると、
図9のフローチャートで表される。
【0097】
実装方法は、基板T10に部品T20を実装する。実装方法は、撮像ステップS1と、判定ステップS2と、出力ステップS3と、を含む。撮像ステップS1では、部品T20を捕捉可能な捕捉部21を有して移動可能な実装ヘッド2と同期して移動する撮像部3が、捕捉部21の先端210及び実装ヘッド2と別体に設けられている基準体8を含む撮像領域R1を撮像する。判定ステップS2では、判定部53が、撮像部3の撮像画像に基づいて捕捉部21の先端210と基準体8との相対位置を検出し、相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。出力ステップS3では、出力部54が、判定部53の判定結果に基づく信号を出力する。
【0098】
上述の実装方法は、実装ヘッド2と同期して移動する撮像部3を用いながら、捕捉部21の位置ずれを判定できる。
【0099】
また、実装方法は、挙動が不調であることを通知することで、捕捉部21の挙動が通常の挙動から外れることを抑制して、動作の精度を更に向上させることができる。
【0100】
また、実装方法は、実装システム1の性能を維持しながらメンテナンスの頻度を低減でき、オペレータの作業負荷が軽減される。また、メンテナンスに実施が遅くなって、実装システム1の性能が低下し過ぎることも抑制できる。
【0101】
(5)第1変形例
図10は、撮像部3の変形例を示す。
【0102】
図10の撮像部3は2つの移動カメラ3b、3cを備える。移動カメラ3b、3cは、Y軸方向に沿って並んで配置された、所謂ステレオカメラである。したがって、撮像部3は、水平方向における捕捉部21の挙動、及び鉛直方向における捕捉部21の挙動を撮像することができる。
【0103】
(6)第2変形例
実装システム1は、複数の基準体8を備えていてもよい。
【0104】
基準体8の形状は、棒体に限定されず、球体、又は円板などの他の形状であってもよい。また、基準体8は、基台61などの部材に印刷又は塗布されたマークでもよい。マークは、例えば点形状、特定のシンボル、又は特定の図形である。
【0105】
図11は、基準体の変形例である基準体8Aを示す。
図11において、水平方向に延びる矩形板状のバー部材68が、基台61の上面(天面)に設置されている。そして、基準体8Aは、矩形板状のバー部材68の上面に設けられた円形状のマークである。基準体8Aは、基台61に印刷又は塗布された塗料、並びに基台61に形成された凹部及び凸部のいずれであってもよい。
【0106】
上述の基準体8は、熱補正ポールを兼用してもよい。熱補正ポールは、駆動部4が備えるリニアモータなどの発熱によって、駆動部4のシャフト軸が歪むことによる捕捉部21の位置ずれを補正するための棒体である。この場合、制御部5のヘッド制御部51は、捕捉部21の位置ずれ量W1に基づいて、実装ヘッド2の位置制御を補正することで、捕捉部21の位置決め精度が低下することを抑制する。
【0107】
(7)第3変形例
撮像部3は、実装ヘッド2のヘッドユニット23に固定されていなくてもよく、撮像部3は、実装ヘッド2と同期(連動)して移動する撮像用移動体に固定されていてもよい。すなわち、撮像用移動体は、実装ヘッド2と同一方向、同一距離、同一速度で移動する。
【0108】
許容範囲G1は、円形状以外であってもよい。例えば、許容範囲G1は、X軸又はY軸に長い長円形状又は矩形状などであってもよい。
【0109】
また、捕捉部21と基板T10などの第1対象物T1との相対的な位置は、Z軸に沿った上下方向に対向する構成に限定されない。すなわち、捕捉部21と第1対象物T1との相対的な位置は、水平方向に対向する構成などの他の構成であってもよい。
【0110】
上述の実施形態、及び各変形例で説明した構成は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0111】
(8)まとめ
実施形態に係る第1の態様の実装システム(1)は、第1対象物(T1)に第2対象物(T2)を実装する。実装システム(1)は、実装ヘッド(2)と、撮像部(3)と、基準体(8、8A)と、判定部(53)と、出力部(54)と、を備える。実装ヘッド(2)は、第2対象物(T2)を捕捉可能な捕捉部(21)を有して移動可能である。撮像部(3)は、実装ヘッド(2)と同期して移動し、少なくとも捕捉部(21)の先端(210)を撮像領域(R1)に含む。基準体(8、8A)は、実装ヘッド(2)と別体に設けられている。判定部(53)は、撮像部(3)が捕捉部(21)の先端(210)及び基準体(8、8A)を撮像領域(R1)に含んで撮像した撮像画像に基づいて捕捉部(21)の先端(210)と基準体(8、8A)との相対位置を検出し、相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。出力部(54)は、判定部(53)の判定結果に基づく信号を出力する。
【0112】
上述の実装システム(1)は、実装ヘッド(2)と同期して移動する撮像部(3)を用いながら、捕捉部(21)の位置ずれを判定できる。
【0113】
実施形態に係る第2の態様の実装システム(1)では、第1の態様において、相対位置は、基準体(8、8A)の位置に対する捕捉部(21)の先端(210)の位置ずれであり、判定部(53)は、位置ずれが許容範囲(G1)に収まっているか否かを判定することが好ましい。
【0114】
上述の実装システム(1)は、捕捉部(21)の位置ずれを精度よく判定できる。
【0115】
実施形態に係る第3の態様の実装システム(1)は、第1又は第2の態様において、基準体(8、8A)が設けられている部材(61、68)を更に備えることが好ましい。
【0116】
上述の実装システム(1)は、判定部(53)の判定処理に用いる基準体(8、8A)を実現できる。
【0117】
実施形態に係る第4の態様の実装システム(1)は、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、実装ヘッド(2)を駆動して、実装ヘッド(2)を移動させる駆動部(4)を更に備えることが好ましい。判定部(53)は、実装ヘッド(2)が基準体(8、8A)の位置に対応する目標位置に移動したときに、相対位置を検出する。
【0118】
上述の実装システム(1)は、捕捉部(21)の先端(210)と基準体(8、8A)との相対位置を精度よく検出できる。
【0119】
実施形態に係る第5の態様の実装システム(1)は、第1乃至第4の態様のいずれか1つにおいて、捕捉部(21)及び撮像部(3)が取り付けられているヘッドユニット(23)を更に備えることが好ましい。撮像部(3)の撮像光軸(AX1)は、鉛直方向に対して斜めに延びている。
【0120】
上述の実装システム(1)は、捕捉部(21)の先端(210)の位置を精度よく検出できる。
【0121】
実施形態に係る第6の態様の実装方法は、第1対象物(T1)に第2対象物(T2)を実装する。実装方法は、撮像ステップ(S1)と、判定ステップ(S2)と、出力ステップ(S3)と、を含む。撮像ステップ(S1)は、第2対象物(T2)を捕捉可能な捕捉部(21)を有して移動可能な実装ヘッド(2)と同期して移動する撮像部(3)が、捕捉部(21)の先端(210)及び実装ヘッド(2)と別体に設けられている基準体(8、8A)を含む撮像領域(R1)を撮像する。判定ステップ(S2)は、撮像部(3)の撮像画像に基づいて捕捉部(21)の先端(210)と基準体(8、8A)との相対位置を検出し、相対位置が所定条件を満たすか否かを判定する。出力ステップ(S3)は、判定ステップ(S2)の判定結果に基づく信号を出力する。
【0122】
上述の実装方法は、実装ヘッド(2)と同期して移動する撮像部(3)を用いながら、捕捉部(21)の位置ずれを判定できる。
【符号の説明】
【0123】
1 実装システム
2 実装ヘッド
21 捕捉部
210 先端
23 ヘッドユニット
3 撮像部
4 駆動部
53 判定部
54 出力部
61 基台(部材)
68 バー部材(部材)
8、8A 基準体
T1 第1対象物
T2 第2対象物
R1 撮像領域
W1 位置ずれの量
L1 閾値
AX1 撮像光軸
S1 撮像ステップ
S2 判定ステップ
S3 出力ステップ