(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115877
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】導電性ペーストの製造方法及び積層セラミック電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230814BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H01G4/30 311D
H01B13/00 Z
H01G4/30 516
H01G4/30 517
H01G4/30 201D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071375
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0016323
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テ ギュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ソク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AC10
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E082AB03
5E082BC36
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082LL02
5E082LL03
5E082MM24
5E082PP09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートアタック現象を防止し、それにより積層セラミック電子部品のショート不良を防止するエマルジョン状態の導電性ペーストの製造方法及び積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】導電性ペーストの製造方法は、金属粒子11、第1溶媒12及びバインダー13を含む第1溶液10を設ける段階、第2溶媒20を設ける段階、コア粒子及びコア粒子の表面に形成された有機物質を含む界面活性剤30を設ける段階及び第1溶液、第2溶媒及び界面活性剤を混合して混合溶液40を形成する段階を含む。
【効果】エマルジョン状態の導電性ペーストを提供することにより、シートアタック現象を防止することができ、シートアタック現象を防止することにより、積層セラミック電子部品のショート不良を防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子及び第1溶媒を含む第1溶液を設ける段階と、
第2溶媒を設ける段階と、
コア粒子及び前記コア粒子の表面に形成された有機物質を含む界面活性剤を設ける段階と、
前記第1溶液、前記第2溶媒及び前記界面活性剤を混合して混合溶液を形成する段階と、を含む、導電性ペーストの製造方法。
【請求項2】
前記混合溶液を超音波処理してエマルジョン化する段階をさらに含む、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項3】
前記第1溶媒は疎水性溶媒であり、前記第2溶媒は親水性溶媒である、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項4】
前記第2溶媒の体積に対して前記第1溶液が占める体積比率は1以下である、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項5】
前記コア粒子は、セラミック粒子、ポリマー粒子、半導体粒子及び金属粒子のうち一つ以上を含む、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項6】
前記有機物質は、親水性有機物質、疎水性有機物質及び両親媒性有機物質のうち一つ以上を含む、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項7】
前記界面活性剤のセラミック粒子はチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項8】
前記界面活性剤の前記金属粒子は、金(Au)、銀(Ag)及び白金(Pt)のうち一つ以上を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項9】
前記コア粒子の平均直径は5~100nmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項10】
セラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記セラミックグリーンシート上に金属粒子及び第1溶媒を含む第1溶液、第2溶媒、及びコア粒子及び前記コア粒子の表面に形成された有機物質を含む界面活性剤を含む導電性ペーストを塗布する段階と、
前記導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、
前記セラミック積層体を焼成する段階と、を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記第1溶媒は疎水性溶媒であり、前記第2溶媒は親水性溶媒である、請求項10に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記導電性ペーストは水中油エマルジョン状態である、請求項10に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記コア粒子は、セラミック粒子、ポリマー粒子、半導体粒子及び金属粒子のうち一つ以上である、請求項10に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記有機物質は、親水性有機物質、疎水性有機物質及び両親媒性有機物質のうち一つ以上を含む、請求項10に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記界面活性剤のセラミック粒子はチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記界面活性剤の金属粒子は、金(Au)、銀(Ag)及び白金(Pt)のうち一つ以上を含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペーストの製造方法及び積層セラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層セラミック電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC;Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの本体は、セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを印刷して内部電極パターンを形成し、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層した後、焼成することにより形成することができる。このとき、セラミックグリーンシートは、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのセラミック粉末と有機バインダーとを主成分として含み、内部電極用導電性ペーストは、金属粉末、溶媒、バインダー、分散剤などを含む。
【0005】
このとき、内部電極用導電性ペーストが有機溶媒を含む場合、上記有機溶媒がセラミックグリーンシートに含まれた有機バインダーを膨潤又は溶解させるシートアタック(Sheet attack)現象が発生するという問題点があった。このようなシートアタック現象は、積層セラミックキャパシタに含まれた誘電体層の絶縁性を低下させたり、ショート発生率を増加させたりする問題をもたらした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2021-0120006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、エマルジョン状態の導電性ペーストを提供することにより、シートアタック現象を防止することである。
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、シートアタック現象を防止することにより、積層セラミック電子部品のショート不良を防止することである。
【0009】
ただし、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、金属粒子及び第1溶媒を含む第1溶液を設ける段階、第2溶媒を設ける段階、コア粒子及び上記コア粒子の表面に形成された有機物質を含む界面活性剤を設ける段階、及び上記第1溶液、第2溶媒及び界面活性剤を混合して混合溶液を形成する段階、を含む導電性ペーストの製造方法を提供する。
【0011】
本発明の他の一実施形態は、セラミックグリーンシートを設ける段階、上記セラミックグリーンシート上に金属粒子及び第1溶媒を含む第1溶液、第2溶媒、及びコア粒子及び上記コア粒子の表面に形成された有機物質を含む界面活性剤を含む導電性ペーストを塗布する段階、上記導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階、及び上記セラミック積層体を焼成する段階を含む積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果の一つとして、エマルジョン状態の導電性ペーストを提供することにより、シートアタック現象を防止することができる。
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、シートアタック現象を防止することにより、積層セラミック電子部品のショート不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による導電性ペーストの製造方法を概略的に示すものである。
【
図3】セラミック粒子を含む界面活性剤の製造過程(a)及び金属粒子を含む界面活性剤の製造過程(b)を概略的に示す図である。
【
図4】導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを概略的に示すものである。
【
図5】本発明の比較例により製造された導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートを光学顕微鏡(Optical microscope)で撮影した画像(a)及び本発明の実施例により製造された導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートを光学顕微鏡で撮影した画像(b)である。
【
図6】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造工程を示す工程フローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態によって製造された積層セラミック電子部品を概略的に示す斜視図である。
【
図8】積層セラミック電子部品の本体を概略的に示す斜視図である。
【
図9】
図7のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
【
図10】
図7のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0016】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、第1方向は長さL方向、第2方向は厚さT方向又は積層方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0018】
<導電性ペーストの製造方法>
図1は、本発明の一実施形態による導電性ペーストの製造方法を概略的に示すものであり、
図2は、
図1のB領域を示す拡大図であり、
図3は、セラミック粒子を含む界面活性剤の製造過程(a)及び金属粒子を含む界面活性剤の製造過程(b)を概略的に示すものであり、
図4は、導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを概略的に示すものである。
【0019】
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態による導電性ペーストの製造方法について詳細に説明する。
【0020】
本発明の一実施形態による導電性ペーストの製造方法は、金属粒子11及び第1溶媒12を含む第1溶液10を設ける段階、第2溶媒20を設ける段階、コア粒子31及びコア粒子31の表面に形成された有機物質32を含む界面活性剤30を設ける段階及び第1溶液10、第2溶媒20及び界面活性剤30を混合して混合溶液40を形成する段階を含む導電性ペーストの製造方法を提供する。
【0021】
第1溶液10は、第1溶媒12に金属粒子11を添加することにより形成することができる。このとき、金属粒子11は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよく、より好ましくはニッケル(Ni)を含んでもよい。このとき、第1溶液10に含まれる金属粒子11の平均直径は150~300nmであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。金属粒子11の平均直径は、直径測定法又はASTM結晶粒度試験法など様々な方法で測定することができる。
【0022】
第1溶媒12は疎水性溶媒であってもよく、アセテート系溶媒、テルペン系溶媒、炭化水素系溶媒、カルボン酸系溶媒及びエステル系溶媒のうち一つ以上を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記アセテート系溶媒は、例えば、ジヒドロテルピニルアセテート(dihydroterpinyl acetate)、イソボルニルアセテート(isobornyl acetate)、イソボルニルプロピオネート(isobornyl propionate)、イソボルニルブチレート(isobornyl butyrate)、イソボルニルイソブチレート(isobornyl isobutylate)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ethylene glycol monobutyl ether acetate)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(dipropylene glycol methyl ether acetate)などを使用することができる。上記テルペン系溶媒としては、例えば、テルピネオール(terpineol)、ジヒドロテルピネオール(dihydroterpineol)等を使用することができる。炭化水素系溶媒は、例えば、ヘキサデカン(Hexadecane)、オクタデカン(Octadecane)のうち一つ以上であってもよい。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
第1溶液10はバインダー13を含むことができる。バインダー13は、導電性ペーストに含まれる粒子間の結合性向上に寄与する有機成分を意味する。バインダー13は、これに限定されるものではないが、ポリビニルブチラール(Polyvinyl butyral)、セルロース(cellulose)系樹脂などを使用することができる。バインダー13の含量はこれに限定されるものではないが、例えば、金属粒子11の100重量部に対して1~20重量部であってもよい。このとき、第1溶液10は、第1溶媒12内に金属粒子11及びバインダー13が均一に分散している形態で存在することができる。
【0024】
第2溶媒20は、例えば、親水性溶媒であってもよく、例えば、水(H2O)及び/又はジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide)であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
界面活性剤30は両親媒性を有し、混ざらない2つの溶媒、例えば、親水性溶媒及び疎水性溶媒の境界面に存在することができる。例えば、界面活性剤30は、疎水性溶媒である第1溶媒12を含む第1溶液10と親水性溶媒である第2溶媒20との間の境界面に存在することができる。このとき、界面活性剤30が互いに混ざらない第1溶液10及び第2溶媒20の界面に存在することにより、第1溶液10を第2溶媒20内に均一に分散させることができる。これにより、第1溶液10、第2溶媒20及び界面活性剤が混合された混合溶液40が安定化したエマルジョン(Emulsion)状態を保持することができる。界面活性剤30に関する詳細は後述する。
【0026】
本発明の一実施形態による導電性ペーストの製造方法は、混合溶液40を超音波処理(Sonification)してエマルジョン化させる段階をさらに含むことができる。混合溶液40を超音波処理により攪拌することにより、第1溶液10を第2溶媒20内に均一に分散させることができる。これにより、混合溶液40は、第1溶液10が第2溶媒20内に分散された水中油(oil in water)エマルジョン状態であることができる。
【0027】
上述したように、導電性ペーストが有機溶媒を含む場合、上記有機溶媒がセラミックグリーンシートCSに含まれた有機バインダーを膨潤又は溶解させるシートアタック現象が発生した。このようなシートアタック現象は、積層セラミック電子部品に含まれた誘電体層の絶縁性を低下させたり、ショート発生率を増加させたりする問題点が発生した。
【0028】
これに対し、本発明の一実施形態によって製造された導電性ペーストは、第1溶液10が第2溶媒20内に均一に分散した水中油エマルジョン状態で存在することができる。よって、例えば、疎水性溶媒である第1溶媒12がセラミックグリーンシートCSと直接に接触しなくなるため、導電性ペーストをセラミックグリーンシートCS上に塗布しても、第1溶媒12がセラミックグリーンシートCSに含まれた有機バインダーを膨潤又は溶解させないことができる。また、例えば、親水性溶媒である第2溶媒20がセラミックグリーンシートCSと直接に接触しても、親水性を示す第2溶媒20は、セラミックグリーンシートCSに含まれた有機バインダーとの相溶性を有さないことにより、シートアタック現象を防止することができる。
【0029】
セラミックグリーンシートCS上に塗布された導電性ペーストを乾燥する過程を経ている間にも、第1溶液10と第2溶媒20との間の境界面に存在する界面活性剤30により導電性ペーストはエマルジョン状態を保持することができる。これにより、第1溶媒12及び第2溶媒20が乾燥及び除去される過程においても、金属粒子11、バインダー13及び界面活性剤30はセラミックグリーンシートCSと相(phase)が分離されたまま存在することができる。結果として、導電性ペーストの乾燥塗膜は、多数の金属粒子11の集合体と金属粒子11との間に存在するバインダー13及び界面活性剤30が均一に分散した形態を有することができる。
【0030】
したがって、導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートCSを複数個積層しても、既積層されたセラミックグリーンシートCSに対するシートアタック現象を防止することができる。
【0031】
一実施例において、第2溶媒20の体積に対して第1溶液10が占める体積比率は1以下であってもよい。例えば、第1溶媒12が疎水性溶媒で、第2溶媒20が親水性溶媒である場合、上記条件を満たすとき、第1溶液10の粒子が第2溶媒20内に分散した水中油エマルジョン状態が安定的に保持されることができる。第2溶媒20の体積に対して第1溶液10が占める体積比率の下限値は特に限定されないが、内部電極の導電性を考慮して0.01以上、又は0.1以上であってもよい。
【0032】
界面活性剤30は、コア粒子31及びコア粒子31の表面に形成された有機物質32を含む。ここで、コア粒子31は、有機物質32が結合できる結合サイトAを含むものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、セラミック粒子、ポリマー粒子、半導体粒子及び金属粒子のうち一つ以上を含むことができる。このようなコア粒子-有機物質形態の界面活性剤30は、従来の両親媒性有機物質形態の界面活性剤と類似の特性を有しながらも、第1溶液10と第2溶媒20との間の界面における吸着エネルギーが高く、エマルジョン状態の導電性ペーストをさらに安定的に保持させることができ、コア粒子31の種類に応じた性質をさらに有することにより、従来の界面活性剤よりも多様な機能を行うことができる。
【0033】
例えば、界面活性剤30のコア粒子31は、上記セラミック粒子としてチタン酸バリウム(BaTiO3)を含むことができる。コア粒子31がセラミック粒子、より具体的にチタン酸バリウム(BaTiO3)である場合、焼成時に金属粒子11の焼結収縮を制御するための共材としての役割を併せて行うことができる。すなわち、界面活性剤30は、第1溶液10の金属粒子11を分散させる機能を行い、導電性ペーストをエマルジョン状態に保持しながらも、焼成時の共材としての機能も併せて行うことができる。
【0034】
また、界面活性剤30のコア粒子31が、例えば、金属粒子である場合、界面活性剤30が第1溶液10の金属粒子11を分散する機能を行い、導電性ペーストをエマルジョン状態に保持しながらも、電気伝導性を有するコア粒子31を含んで内部電極の導電性を向上させることができる。上記界面活性剤30のコア粒子31としての金属粒子は、特に限定されるものではないが、例えば、金(Au)、銀(Ag)及び白金(Pt)のうち一つ以上を含むことができる。
【0035】
また、界面活性剤30のコア粒子31がポリマー粒子である場合、有機物質32が結合できる結合サイトA、例えば、ヒドロキシル基(-OH)を多数含んでいるという利点があり、コア粒子31が半導体粒子である場合、太陽電池などの様々な分野で使用されており、商業的に使用しやすいという利点がある。上記半導体粒子は、特に限定されるものではないが、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs及びInSbのうち一つ以上を含むことができる。
【0036】
このとき、コア粒子31の平均直径は5~100nmであってもよい。コア粒子31の平均直径が100nmを超える場合、コア粒子31の大きなサイズによりエマルジョン状態の保持力が低下する可能性がある。
【0037】
また、コア粒子31の形態は特に限定されるものではなく、例えば、円柱、四角柱、三角柱、五角柱、六角柱、八角柱、球、半球、球の一部分、楕円球、半楕円球、楕円球の一部分、四角錐、四角双角、四角錐台、三角錐、三角双角、三角錐台、円錐、円錐台、リング、及び立方体(cube)のうち一つ以上であってもよく、界面活性剤30が両親媒性を有することができれば、如何なる形態であっても構わない。
【0038】
界面活性剤30の有機物質32は、コア粒子31の表面に複数個形成されることができ、有機物質32はコア粒子31内の結合サイトAを介してコア粒子31と化学的に結合することができる。このとき、界面活性剤30が両親媒性を有するようにコア粒子31の表面を改質するために、上記有機物質32は、親水性有機物質、疎水性有機物質及び両親媒性有機物質のうち一つ以上を含むことができる。
【0039】
例えば、コア粒子31が親水性を有する場合、疎水性有機物質32をコア粒子31の表面に形成することにより、界面活性剤30が両親媒性を有するようにすることができ、コア粒子31が疎水性を有する場合、親水性有機物質32をコア粒子31の表面に形成することにより、界面活性剤30が両親媒性を有するようにすることができる。
【0040】
より具体的に、コア粒子31が水熱合成されたチタン酸バリウム(BaTiO3)である場合、水熱合成過程でヒドロキシル基(-OH)が反応に関与することができる。これにより、チタン酸バリウムのペロブスカイト(perovskie)結晶構造のうち酸素部位にヒドロキシル基が置換されることができる。これにより、チタン酸バリウムは全体的に親水性を有することができる。このとき、チタン酸バリウムのヒドロキシル基は前述の結合サイトAとして作用することができ、ヒドロキシル基と水素結合(Hydrogen bonding)可能な疎水性有機物質が結合することにより、コア粒子-有機物質形態の界面活性剤30は全体的に両親媒性を有することができる。両親媒性を有する界面活性剤30は、第1溶液10と第2溶媒20との間の境界面に存在することができ、エマルジョン状態の導電性ペーストを安定的に保持することができる。一方、コア粒子31がポリマー粒子である場合、結合サイトとして作用し得るヒドロキシル基等を多数含んでおり、親水性有機物質、疎水性有機物質及び/又は両親媒性有機物質が上記ヒドロキシル基に水素結合することにより、界面活性剤30は両親媒性を有することができる。
【0041】
また、コア粒子31が金属粒子Mである場合、有機物質32が結合できる結合サイトが存在しなくてもよい。このとき、コア粒子31の表面に結合サイトAとしてリガンドRDを化学的に結合させた後、リガンドRDと化学的に結合できる有機物質32をコア粒子31の表面に形成することができる。より具体的に、金属粒子Mの表面に親水性リガンド及び/又は疎水性リガンドを、還元剤を用いた湿式還元法、プラズマ工程、アーク放電法等で形成させた後、リガンドRDと化学的に結合できる有機物質32を金属粒子Mの表面に形成することにより、両親媒性の界面活性剤30を形成することができる。
【0042】
上記親水性リガンドRDは、例えば、ポリエチレングリコール、モノサッカライドホスフェート、クエン酸及びベタインのうち一つ以上を含むことができる。また、上記疎水性リガンドRDとしては、例えば、カプロン酸、ステアリン酸、オレイン酸、オレイルアミン、ブチルアミン及びオクチルアミンなどのような脂肪酸又は脂肪酸アミンを使用することができる。
【0043】
コア粒子31に、例えば、親水性リガンドRDが形成された場合、上記親水性リガンドと水素結合が可能な疎水性有機物質32を結合させることにより両親媒性界面活性剤30を形成することができ、コア粒子31に、例えば、疎水性リガンドRDが形成された場合、上記疎水性リガンドと水素結合が可能な親水性有機物質32を結合させることにより両親媒性界面活性剤30を形成することができる。また、コア粒子31に両親媒性有機物質32を結合させた後、上記リガンドRDを溶解させて除去することもできるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
上記親水性有機物質32は、水素結合が可能な有機物質であることが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、ポリアクリルアミド(Polyacrylamide)、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)及びポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)のうちいずれか一つ以上であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。また、上記疎水性有機物質32は、例えば、ポリラクチド(Polylactide)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)及びポリペプチド(Polypeptide)のうちいずれか一つ以上であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。また、上記両親媒性有機物質32は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium dodecyl sulfate)であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
コア粒子-有機物質形態の界面活性剤30は、上述のように、コア粒子31内の結合サイトAを介してコア粒子31に有機物質32を化学的に接合させることにより製造することができる。例えば、コア粒子31が溶解された溶液に上記有機物質32を添加し、一定の温度で加熱することにより形成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。このとき、界面活性剤30は、第2溶媒20の100重量部に対して0.1~25重量部含まれてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
図5は、本発明の比較例によって製造された導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートを光学顕微鏡(Optical microscope)で撮影した画像(a)及び本発明の実施例によって製造された導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートを光学顕微鏡で撮影した画像(b)である。本発明の比較例は、疎水性を示す有機溶媒内に金属粒子が分散した導電性ペーストをセラミックグリーンシート上に塗布したものである。
【0047】
図5を参照すると、比較例によって製造された導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートの場合、シートアタック現象が発生したことが確認できる。これは、有機溶媒のみを含む比較例の場合、上記有機溶媒がセラミックグリーンシートに含まれた有機バインダーを膨潤又は溶解させるためである。これに対し、本発明の実施例によって製造された導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートの場合、シートアタック現象が発生しないことが確認できる。これは、疎水性溶媒である第1溶媒がセラミックグリーンシートと直接に接触せず、セラミックグリーンシートに含まれた有機バインダーとの相溶性を有さない親水性溶媒である第2溶媒がセラミックグリーンシートと直接に接触することにより、シートアタック現象を防止するためである。
【0048】
<積層セラミック電子部品の製造方法>
本発明の一実施形態によって製造された導電性ペーストは、積層セラミック電子部品の内部電極を製造するための用途として使用されることができる。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造工程を示す工程フローチャートであり、
図7は、本発明の一実施形態によって製造された積層セラミック電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図8は、積層セラミック電子部品の本体を概略的に示す斜視図であり、
図9は、
図7のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図であり、
図10は、
図7のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
【0050】
図6~
図10を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、セラミックグリーンシートを設ける段階(P1)、上記セラミックグリーンシート上に金属粒子及び第1溶媒を含む第1溶液、第2溶媒、及びコア粒子及び上記コア粒子の表面に形成された有機物質を含む界面活性剤を含む導電性ペーストを塗布する段階(P2)、上記導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階(P3)、及び上記セラミック積層体を焼成する段階(P4)を含む。
【0051】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を各段階別に詳細に説明する。まず、セラミック粉末を含むセラミックグリーンシートを設ける(P1)。上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤などを混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法により数μmの厚さを有するシート(sheet)状に作製することができる。上記セラミックグリーンシートは、焼成されて一誘電体層111を形成することができる。
【0052】
上記セラミックグリーンシートの平均厚さは0.6μm以下であってもよく、焼成後の誘電体層111の平均厚さは0.4μm以下であってもよい。本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法の場合、エマルジョン状態の導電性ペーストを上記セラミックグリーンシート上に塗布することにより、上記セラミックグリーンシートが非常に薄い厚さを有する場合でもシートアタック現象を防止することができ、薄い厚さの一誘電体層111を間に挟んで積層された第1内部電極121及び第2内部電極122間の接触によるショートの発生を防止することができる。
【0053】
次に、上記セラミックグリーンシート上に金属粒子11及び第1溶媒12を含む第1溶液10、第2溶媒20、及びコア粒子31及びコア粒子31の表面に形成された有機物質32を含む界面活性剤30を含む導電性ペーストを塗布する(P2)。
【0054】
このとき、第1溶媒12は疎水性溶媒であり、第2溶媒20は親水性溶媒であることができる。すなわち、上述したように、上記導電性ペーストは、疎水性溶媒を含む第1溶液10が親水性溶媒である第2溶媒20内に分散した水中油(oil in water)エマルジョン状態であってもよい。
【0055】
これにより、疎水性溶媒である第1溶媒12がセラミックグリーンシートと直接に接触しなくなるため、導電性ペーストをセラミックグリーンシート上に塗布しても、第1溶媒12がセラミックグリーンシートに含まれた有機バインダーを膨潤又は溶解させないことができる。また、第2溶媒20がセラミックグリーンシートと直接に接触しても、親水性を示す第2溶媒20はセラミックグリーンシートに含まれた有機バインダーとの相溶性を有さないことにより、シートアタック現象を防止することができる。
【0056】
したがって、上記導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数回積層しても、既積層されたセラミックグリーンシートに対するシートアタック現象を防止することができる。
【0057】
次に、上記導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成することができる(P3)。このとき、上記セラミック積層体を積層方向に加圧して圧着させることができる。また、上記セラミック積層体を一つの電子部品に対応する領域に切断してチップ化することができる。
【0058】
次に、上記セラミック積層体を焼成することができる(P4)。すなわち、一つの電子部品に対応する領域に切断された上記セラミック積層体を焼成することにより、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110を形成することができる。上記焼成工程は還元雰囲気で行うことができる。なお、焼成工程は昇温速度を調節して行うことができ、これに限定されるものではないが、上記昇温速度は700℃以下で30℃/60s~50℃/60sであってもよい。
【0059】
次に、本体110の外部に内部電極121、122と連結される外部電極131、132を形成することができる。外部電極131、132を形成する方法は、特に限定されるものではないが、本体110を導電性金属及びガラス成分を含む外部電極用導電性ペーストにディッピング(Dipping)する方法、導電性金属及びガラス成分を含むシートを転写する方法、又は導電性金属及び樹脂成分を含む外部電極用導電性ペーストを塗布及び硬化する方法などで形成することができる。
【0060】
上記本発明の他の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、上述した本発明の一実施形態による導電性ペーストの一実施例と同様の構成を有することができる。したがって、上述した本発明の一実施形態と重複する説明を省略する。
【0061】
<積層セラミック電子部品>
上述した本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法により製造された積層セラミック電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110及び本体110の外部に配置される外部電極131、132を含む。
【0062】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0063】
本体110は、第1方向に相対する第1面及び第2面1、2、第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に相対する第3面及び第4面3、4、第1面~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に相対する第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0064】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていてもよい。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0065】
このとき、誘電体層111の平均厚さは0.4μm以下であってもよい。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第1方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。また、このような平均値の測定を多数の誘電体層111に拡張して平均値を測定すれば、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0066】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの上部に配置される第1カバー部112及び容量形成部Acの下部に配置される第2カバー部113を含むことができる。第1カバー部112及び第2カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第2方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0067】
本体110は、第3方向を基準に容量形成部Acの側面に配置されるマージン部114、115をさらに含むことができる。マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置される第1マージン部114と、第6面6に配置される第2マージン部115とを含むことができる。マージン部114、115は、本体110を第2方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。または、積層後に内部電極121、122が本体の第5面及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向の両側面に積層して形成することもできる。
【0068】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されてもよく、複数の第1内部電極121と複数の第2内部電極122は誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されてもよい。例えば、複数の第1内部電極121は、それぞれ第2面2と離隔し、第1面1を介して露出することができる。また、複数の第2内部電極122は、それぞれ第1面1と離隔し、第2面2を介して露出することができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0069】
このとき、内部電極121、122の平均厚さは0.4μm以下であってもよい。内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極の多数の地点、例えば、第1方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。このような平均値の測定を多数の内部電極に拡張して平均値を測定すれば、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0070】
外部電極131、132は、本体110の第1面及び第2面1、2に配置されて第3面、第4面、第5面及び第6面3、4、5、6にそれぞれ一部が延長されることができる。外部電極131、132は、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0071】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。例えば、外部電極131、132は、本体110上に配置される第1電極層131a、132a及び第1電極層上に配置される第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0072】
第1電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。ここで樹脂は絶縁性樹脂を使用することができ、例えば、エポキシ樹脂を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。第1電極層131a、132aに含まれる導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及び/又はこれらを含む合金などを含むことができ、好ましくは、銅(Cu)及び/又はニッケル(Ni)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
第2電極層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及び/又はこれを含む合金等を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。第2電極層131b、132bは、例えば、ニッケル(Ni)めっき層又はスズ(Sn)めっき層であってもよく、ニッケル(Ni)めっき層及びスズ(Sn)めっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、第2電極層131b、132bは、複数のニッケル(Ni)めっき層及び/又は複数のスズ(Sn)めっき層を含んでもよい。
【0074】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0075】
なお、本開示で使用される「一実施例」という表現は、互いに同一の実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記に提示された一実施例は、他の一実施例の特徴と結合して実現されることを排除するものではない。例えば、特定の一実施例に説明された事項が他の一実施例に説明されていない場合であっても、他の一実施例においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施例に関連する説明として理解されることができる。
【符号の説明】
【0076】
10:第1溶液
11:金属粒子
12:第1溶媒
20:第2溶媒
30:界面活性剤
31:コア粒子
32:有機物質
40:混合溶液
CS:セラミックグリーンシート
RD:リガンド
100:積層セラミック電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
131a、132a:第1電極層
131b、132b:第2電極層