(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115909
(43)【公開日】2023-08-21
(54)【発明の名称】吻合中のアンビル解放の判定
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
A61B17/115
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016623
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】17/666,652
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー イー. ストラスナー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェイ. ハート
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ アール. コーラル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC37
4C160DD02
4C160NN09
(57)【要約】
【課題】外科的処置を行うための手持ち式電気機械的外科用システムを提供すること。
【解決手段】外科用デバイスは、複数のステープルを有するリロードアセンブリと、リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、を含む。デバイスはまた、電源と、電源に結合されたモータと、を含む。デバイスは、モータによって移動可能であり、かつリロードアセンブリに対してアンビルアセンブリを移動させるように構成された伝達アセンブリを更に含む。デバイスは、伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサを更に含む。デバイスはまた、測定された歪みに基づいて、アンビルアセンブリが、リロードアセンブリとアンビルアセンブリとの間に把持された組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用デバイスであって、
複数のステープルを含むリロードアセンブリと、
前記リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、
電源と、
前記電源に結合されたモータと、
前記モータによって移動可能であり、前記リロードアセンブリに対して前記アンビルアセンブリを移動させるように構成された伝達アセンブリと、
前記伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサと、
前記アンビルアセンブリが、前記測定された歪みに基づいて、前記リロードアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に把持された組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラと、を備える、外科用デバイス。
【請求項2】
前記アンビルアセンブリが、
ロッドと、
前記ロッドに対して傾斜位置から非傾斜位置へ枢動可能なアンビルヘッドと、を含み、
保持器が、前記アンビルヘッドを前記非傾斜位置に維持するように構成されている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
前記アンビルアセンブリが、前記保持器に結合された切断リングを更に含む、請求項2に記載の外科用デバイス。
【請求項4】
前記切断リングが、前記保持器を変形させること又は破損させることのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項3に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記コントローラが、前記保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、前記アンビルアセンブリが傾斜していることを判定するように更に構成されている、請求項4に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記コントローラが、前記アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記伝達アセンブリを囲む長手方向シャフトを更に備える、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記歪みセンサが、前記長手方向シャフト内に配設され、前記伝達アセンブリに接触する、請求項7に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
外科用デバイスであって、
複数のステープルを含むリロードアセンブリと、
前記リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、
電源と、
前記電源に結合された第1のモータと、
前記第1のモータによって移動可能であり、前記リロードアセンブリに対して前記アンビルアセンブリを移動させるように構成された第1の伝達アセンブリと、
前記電源に結合された第2のモータと、
前記第2のモータによって移動可能であり、ナイフアセンブリを移動させて、前記リロードアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に把持された組織を切断するように構成された第2の伝達アセンブリと、
前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサと、
前記測定された歪みに基づいて、前記アンビルアセンブリが前記組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラと、を備える、外科用デバイス。
【請求項10】
前記アンビルアセンブリが、
ロッドと、
前記ロッドに対して傾斜位置から非傾斜位置へ枢動可能なアンビルヘッドと、を含み、
保持器が、前記アンビルヘッドを前記非傾斜位置に維持するように構成されている、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項11】
前記アンビルアセンブリが、前記保持器に結合され、かつ前記ナイフに接触する、切断リングを更に含む、請求項10に記載の外科用デバイス。
【請求項12】
前記切断リングが、前記保持器を変形させること又は破損させることのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項11に記載の外科用デバイス。
【請求項13】
前記コントローラが、前記保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、前記アンビルアセンブリが傾斜していることを判定するように更に構成されている、請求項12に記載の外科用デバイス。
【請求項14】
前記コントローラが、前記アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定するように更に構成されている、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項15】
前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリの各々の少なくとも一部分を囲む長手方向シャフトを更に備える、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項16】
前記歪みセンサが、前記長手方向シャフト内に配設され、前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリに接触する、請求項15に記載の外科用デバイス。
【請求項17】
電動外科用ステープラを制御するための方法であって、
第1のモータを起動させて、複数のステープルを有するリロードアセンブリに対して移動可能であるアンビルアセンブリに結合された第1の伝達アセンブリを移動させることと
第2のモータを起動させて、前記リロードアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に把持された組織を切断するように構成されたナイフアセンブリに結合された第2の伝達アセンブリを移動させることと、
歪みセンサを介して、前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリに付与された歪みを測定することと、
コントローラにおいて、前記測定された歪みに基づいて、前記アンビルアセンブリが前記組織に接着されているかどうかを判定することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記アンビルアセンブリのアンビルヘッドを枢動させることと、
保持器を使用して、前記アンビルヘッドを非傾斜位置に固定することと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラにおいて、前記保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みの変化に基づいて、前記アンビルアセンブリが傾斜していることを判定する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラにおいて、前記アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用デバイスに関する。より具体的には、本開示は、外科的処置を行うための手持ち式電気機械的外科用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
円形ステープラが、以前に横切された直腸部分を再付着させる外科的処置、又は同様の処置で使用される。円形クランプ器具、切断器具、及びステープル留め器具は、手動式に作動され得、機器から伸長する細長いシャフト及び細長いシャフトの遠位端で支持されるステープルカートリッジを有するピストル構造又は直線状把持構造を含み得る。医師は、切開部を通して、かつ横切された直腸部分に向かって、円形ステープル留め器具のアンビルアセンブリを挿入し得る。医師はまた、円形ステープル留め器具の残りの部分(カートリッジアセンブリを含む)を患者の直腸内に挿入し、この器具を患者の結腸管まで、横切された直腸部分に向かって操作し得る。アンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとを互いに向かって近接させ、ステープルをカートリッジアセンブリからアンビルアセンブリに向かって放出して、端から端までの吻合に影響を及ぼすようにステープルを組織内で成形し、環状ナイフを、クランプした組織部分の一部分の中心を取り出すように前進させる。端から端までの吻合に影響が及ぼされた後に、円形のステープル留め装置は、手術部位から取り外される。電動外科用ステープラも開発されており、1つ以上のモータを利用して、組織をクランプし、切断し、ステープル留めする。
【0003】
手動式及び電動円形ステープラを用いる、特定の場合に、アンビルが、アンビル取り出し中に吻合から完全に解放されない場合がある。これは、組織に対する引張応力が組織の健全性又はステープルラインの完全性に影響を及ぼし得るために、吻合の完全性を脅かし得る。したがって、外科医は、現在、除去力を厳密に監視し、デバイスをゆっくりとかつ慎重に取り外す必要があり、アンビルが吻合から確実に解放されるように随時デバイスを操作する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、構造(例えば、腸、結腸など)の2つの部分を接続することによって吻合を形成する3つのシーケンス、すなわち、クランプ、ステープル留め、及び切断で動作するように構成されている電動円形ステープラを提供する。電動円形ステープラは、電源と、電源に結合された1つ以上のモータと、を有する、ハンドルアセンブリを含む。ステープラはまた、電動ハンドルからの作動を伝達する複数の伝達アセンブリ、例えば、駆動シャフトを有するアダプタアセンブリを含む。電動ハンドルアセンブリ及びアダプタアセンブリは、再使用可能であり得る。
【0005】
電動外科用ステープラは、4つのフェーズ、すなわち、クランプ、ステープル留め、切断、及びクランプ解除で動作する。クランプは、アンビルを近位方向に移動させて、アンビルと、複数のステープルを含むリロードアセンブリとの間で組織を圧縮することによって達成される。アンビル及びリロードアセンブリは、使い捨て可能であり得る。ステープル留めの間、ステープルは、リロードアセンブリからクランプされた組織内に押し出され、アンビルに対して変形される。切断は、ナイフがアンビルに接触するまで、圧縮されかつステープル留めされた組織を通して環状ナイフを移動させることを含む。クランプ解除中に、アンビルアセンブリは、切断された組織及びリロードアセンブリから離れるように遠位に移動される。
【0006】
アンビルは、切断リング、すなわち、環状ナイフに接触する表面を、アンビルアセンブリの傾斜可能なアンビルヘッドの内側に固定するように構成された破損可能な保持器を含む。保持器部材の破損時に、切断リングは、アンビル内に押し込まれる。加えて、保持器の破損はまた、アンビルヘッドが傾斜することを可能にし、その結果、アンビルがリロードから離れるように移動されると、アンビルヘッドは、組織から解放され、傾斜される。
【0007】
クランプフェーズ、ステープル留めフェーズ、切断フェーズ、及びクランプ解除フェーズの各々は、切断プロセスが完了した後の適切なアンビル解放を含む、電動外科用ステープラの適切な動作を確実にするように監視され得る。電動外科用ステープラはまた、プロセスの各々の間に力を測定するように構成されたセンサ、例えば、歪みゲージと、力を監視し、電動外科用ステープラの動作中にいかなる異常も検出するように構成されたコントローラと、を含む。特に、コントローラは、クランプ解除中の力を監視し、アンビルアセンブリに対するいかなる予想外の力も特定するように構成される。このような力が検出される場合、これは、アンビルが吻合から解放されていないことに起因する場合がある。したがって、コントローラは、電動外科用ステープラへの何らかの損傷及び/又は吻合への傷害を防止するクランプ解除プロセスを一時停止及び/又は終了し得る。コントローラはまた、クランプ解除プロセスに介入するように、例えば、アンビルアセンブリを手動で解放するように、ユーザに警告するように構成され得る。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、外科用デバイスが開示される。外科用デバイスは、複数のステープルを有するリロードアセンブリと、リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、を含む。デバイスはまた、電源と、電源に結合されたモータと、を含む。デバイスは、モータによって移動可能であり、かつリロードアセンブリに対してアンビルアセンブリを移動させるように構成された伝達アセンブリを更に含む。デバイスは、伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサを更に含む。デバイスはまた、測定された歪みに基づいて、アンビルアセンブリが、リロードアセンブリとアンビルアセンブリとの間に把持された組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラを含む。
【0009】
上記の実施形態の実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上記実施形態の一態様によれば、アンビルアセンブリは、ロッドと、ロッドに対して傾斜位置から非傾斜位置に枢動可能なアンビルヘッドと、を含み得、保持器は、アンビルヘッドを非傾斜位置に維持するように構成されている。アンビルアセンブリは、保持器に結合された切断リングを更に含み得る。切断リングは、保持器を変形させること又は破損させることのうちの少なくとも1つを行うように構成され得る。コントローラは、保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、アンビルアセンブリが傾斜していることを判定するように更に構成され得る。コントローラはまた、クランプ解除中にアンビルアセンブリが移動可能であるかどうかを判定するように構成され得る。外科用デバイスはまた、伝達アセンブリを囲む長手方向シャフトを含み得る。歪みセンサは、長手方向シャフト内に配設され得、伝達アセンブリに接触する。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、外科用デバイスが開示される。外科用デバイスは、複数のステープルを有するリロードアセンブリと、リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、を含む。デバイスはまた、電源と、電源に結合された第1のモータと、第1のモータによって移動可能であり、かつリロードアセンブリに対してアンビルアセンブリを移動させるように構成された第1の伝達アセンブリと、を含む。デバイスは、電源に結合された第2のモータと、第2のモータによって移動可能であり、ナイフアセンブリを移動させて、リロードアセンブリとアンビルアセンブリとの間に把持された組織を切断するように構成された第2の伝達アセンブリと、を更に含む。デバイスは、第1の伝達アセンブリ及び第2の伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサを更に含む。デバイスは、測定された歪みに基づいて、アンビルアセンブリが組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラを更に含む。
【0011】
上記の実施形態の実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上記実施形態の一態様によれば、アンビルアセンブリは、ロッドと、ロッドに対して傾斜位置から非傾斜位置に枢動可能なアンビルヘッドと、を含み得、保持器は、アンビルヘッドを非傾斜位置に維持するように構成されている。アンビルアセンブリは、保持器に結合され、ナイフに接触する切断リングを更に含み得る。切断リングは、保持器を変形させること又は破損させることのうちの少なくとも1つを行うように構成され得る。コントローラは、保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、アンビルアセンブリが傾斜していることを判定するように更に構成され得る。コントローラはまた、クランプ解除中にアンビルアセンブリが移動可能であるかどうかを判定するように構成され得る。外科用デバイスはまた、第1の伝達アセンブリ及び第2の伝達アセンブリの各々の少なくとも一部分を囲む長手方向シャフトを含み得る。歪みセンサは、長手方向シャフト内に配設され、第1の伝達アセンブリ及び第2の伝達アセンブリに接触し得る。
【0012】
本開示の更なる実施形態によれば、電動外科用ステープラを制御するための方法が開示されている。方法は、第1のモータを起動させて、複数のステープルを有するリロードアセンブリに対して移動可能であるアンビルアセンブリに結合された第1の伝達アセンブリを移動させることを含む。方法はまた、第2のモータを起動させて、リロードアセンブリとアンビルアセンブリとの間に把持された組織を切断するように構成されたナイフアセンブリに結合された第2の伝達アセンブリを移動させることを含む。方法は、歪みセンサを通して、第1の伝達アセンブリ及び第2の伝達アセンブリに付与された歪みを測定することを更に含む。方法は、コントローラにおいて、測定された歪みに基づいて、アンビルアセンブリが組織に接着されているかどうかを判定することを更に含む。
【0013】
上記の実施形態の実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上記実施形態の一態様によれば、方法はまた、アンビルアセンブリのアンビルヘッドを枢動させることと、保持器を使用してアンビルヘッドを非傾斜位置に固定することと、を含み得る。方法は、コントローラにおいて、保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、アンビルアセンブリが傾斜可能であることを判定することを更に含む。方法はまた、コントローラにおいて、アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定することを含む。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
外科用デバイスであって、
複数のステープルを含むリロードアセンブリと、
前記リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、
電源と、
前記電源に結合されたモータと、
前記モータによって移動可能であり、前記リロードアセンブリに対して前記アンビルアセンブリを移動させるように構成された伝達アセンブリと、
前記伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサと、
前記アンビルアセンブリが、前記測定された歪みに基づいて、前記リロードアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に把持された組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラと、を備える、外科用デバイス。
(項目2)
前記アンビルアセンブリが、
ロッドと、
前記ロッドに対して傾斜位置から非傾斜位置へ枢動可能なアンビルヘッドと、を含み、
保持器が、前記アンビルヘッドを前記非傾斜位置に維持するように構成されている、上記項目に記載の外科用デバイス。
(項目3)
前記アンビルアセンブリが、前記保持器に結合された切断リングを更に含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目4)
前記切断リングが、前記保持器を変形させること又は破損させることのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目5)
前記コントローラが、前記保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、前記アンビルアセンブリが傾斜していることを判定するように更に構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目6)
前記コントローラが、前記アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定するように更に構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目7)
前記伝達アセンブリを囲む長手方向シャフトを更に備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目8)
前記歪みセンサが、前記長手方向シャフト内に配設され、前記伝達アセンブリに接触する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目9)
外科用デバイスであって、
複数のステープルを含むリロードアセンブリと、
前記リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、
電源と、
前記電源に結合された第1のモータと、
前記第1のモータによって移動可能であり、前記リロードアセンブリに対して前記アンビルアセンブリを移動させるように構成された第1の伝達アセンブリと、
前記電源に結合された第2のモータと、
前記第2のモータによって移動可能であり、ナイフアセンブリを移動させて、前記リロードアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に把持された組織を切断するように構成された第2の伝達アセンブリと、
前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサと、
前記測定された歪みに基づいて、前記アンビルアセンブリが前記組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラと、を備える、外科用デバイス。
(項目10)
前記アンビルアセンブリが、
ロッドと、
前記ロッドに対して傾斜位置から非傾斜位置へ枢動可能なアンビルヘッドと、を含み、
保持器が、前記アンビルヘッドを前記非傾斜位置に維持するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目11)
前記アンビルアセンブリが、前記保持器に結合され、かつ前記ナイフに接触する、切断リングを更に含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目12)
前記切断リングが、前記保持器を変形させること又は破損させることのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目13)
前記コントローラが、前記保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みにおける変化に基づいて、前記アンビルアセンブリが傾斜していることを判定するように更に構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目14)
前記コントローラが、前記アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定するように更に構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目15)
前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリの各々の少なくとも一部分を囲む長手方向シャフトを更に備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目16)
前記歪みセンサが、前記長手方向シャフト内に配設され、前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリに接触する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
(項目17)
電動外科用ステープラを制御するための方法であって、
第1のモータを起動させて、複数のステープルを有するリロードアセンブリに対して移動可能であるアンビルアセンブリに結合された第1の伝達アセンブリを移動させることと
第2のモータを起動させて、前記リロードアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に把持された組織を切断するように構成されたナイフアセンブリに結合された第2の伝達アセンブリを移動させることと、
歪みセンサを介して、前記第1の伝達アセンブリ及び前記第2の伝達アセンブリに付与された歪みを測定することと、
コントローラにおいて、前記測定された歪みに基づいて、前記アンビルアセンブリが前記組織に接着されているかどうかを判定することと、を含む、方法。
(項目18)
前記アンビルアセンブリのアンビルヘッドを枢動させることと、
保持器を使用して、前記アンビルヘッドを非傾斜位置に固定することと、を更に含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記コントローラにおいて、前記保持器の変形又は破損のうちの少なくとも1つを示す測定された歪みの変化に基づいて、前記アンビルアセンブリが傾斜していることを判定する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記コントローラにおいて、前記アンビルアセンブリがクランプ解除中に移動可能であるかどうかを判定する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(摘要)
外科用デバイスは、複数のステープルを有するリロードアセンブリと、リロードアセンブリに対して移動可能なアンビルアセンブリと、を含む。デバイスはまた、電源と、電源に結合されたモータと、を含む。デバイスは、モータによって移動可能であり、かつリロードアセンブリに対してアンビルアセンブリを移動させるように構成された伝達アセンブリを更に含む。デバイスは、伝達アセンブリに付与される歪みを測定するように構成された歪みセンサを更に含む。デバイスはまた、測定された歪みに基づいて、アンビルアセンブリが、リロードアセンブリとアンビルアセンブリとの間に把持された組織に接着されているかどうかを判定するように構成されたコントローラを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に記載されている。
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態による、ハンドルアセンブリ、アダプタアセンブリ、及びエンドエフェクタを含む電動円形ステープラの斜視図である。
【0016】
【
図2】
図1のハンドルアセンブリ、アダプタアセンブリ、及びエンドエフェクタの概略図である。
【0017】
【
図3】本開示の実施形態による、
図1のアダプタアセンブリに取り付けられた、アダプタアセンブリ及びエンドエフェクタ、環状リロード及びアンビルアセンブリの側面斜視図である。
【0018】
【
図4】部分的に仮想線で示されている、
図1のアダプタアセンブリ内に配設されたクランプ伝達アセンブリの斜視図である。
【0019】
【
図5】部分的に仮想線で示されている、
図1のアダプタアセンブリ内に配設されたステープル留め伝達アセンブリの斜視図である。
【0020】
【
図6】部分的に仮想線で示されている、
図1のアダプタアセンブリ内に配設された切断伝達アセンブリの斜視図である。
【0021】
【
図7】
図1のエンドエフェクタのリロードの断面図である。
【0022】
【
図8】
図1のアンビルアセンブリの分離された部品の斜視図である。
【0023】
【
図9】歪みゲージアセンブリを有する、部分的に分解されて示されるアダプタアセンブリの斜視図である。
【0024】
【
図10】本開示の実施形態による、吻合処置中にアンビル解放を判定するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の外科用デバイス、並びに外科用デバイスのためのアダプタアセンブリ及び/又はハンドルアセンブリの実施形態が、図面を参照して詳細に説明されており、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一又は対応する要素を示す。本明細書で使用されるとき、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い、外科手術器具のその部分又はその構成要素を指し、一方、「近位」という用語は、ユーザにより近い、外科手術器具のその部分又はその構成要素を指す。
【0026】
本開示は、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリに結合されたアダプタアセンブリと、アダプタアセンブリに結合されたエンドエフェクタと、を有する、電動円形ステープラ10を提供する。ステープラは、3つの機能であるクランプ、ステープル留め、及び切断の完全な独立制御を可能にする。これにより、組織が非理想的な状況を示す場合であっても、ステープラの特定の部分が適合することが可能となる。
【0027】
図1には、例えば、アダプタアセンブリ200との選択的接続のために構成されているハンドルアセンブリ100を含む、端から端までの吻合(end-to-end anastomosis、「EEA」)を形成するための電動円形ステープラ10などの外科用デバイスが示されている。アダプタアセンブリ200は、リロード400及びアンビルアセンブリ500を含むエンドエフェクタ300との選択的接続のために構成される。エンドエフェクタ300は、患者の組織に外科的効果を生じさせるように、すなわち、エンドエフェクタ300内に把持された組織をクランプし、ステープル留めし、切断することによって構造(例えば、腸、結腸など)の2つの部分を接続させることによって吻合を形成するように構成される。
【0028】
ハンドル組立体100は、パワーハンドル101と、パワーハンドル101を選択的に受容する及び包むように構成された外側シェルハウジング11と、を含む。シェルハウジング11は、遠位半部11aと、遠位半部11aに枢動可能に接続された近位半部11bと、を含む。連結されると、遠位半部11a及び近位半部11bはその中にシェルキャビティを画定し、このシェルキャビティ内に、パワーハンドル101が配設される。
【0029】
電動円形ステープラ10は、本明細書では、ハンドルアセンブリ100、取り外し可能なシェルハウジング11及びアダプタアセンブリ200などの複数の相互接続構成要素を含むモジュール式デバイスとして説明されているが、電動円形ステープラ10は、例えば、電動円形ステープラの製造中に、構成要素のうちの1つ以上が互いにしっかりと取り付けられた一体化されたデバイスとして形成され得る。
【0030】
シェルハウジング11の遠位半部11a及び近位半部11bは、アダプタアセンブリ200手方向軸「X」を横切る平面に沿って分割されている。シェルハウジング11遠位半部11aは、アダプタアセンブリ200の対応する駆動結合アセンブリ210(
図3)を受け入れるように構成された接続部分20を画定する。シェルハウジング11の遠位半部11aは、トグル制御ボタン30を支持する。トグル制御ボタン30は、4つの方向(例えば、左、右、上、及び下)に作動され得る。
【0031】
図1及び
図2を参照すると、パワーハンドル101は、主コントローラ回路基板142と、ハンドルアセンブリ100の電気構成要素のいずれかに電力を供給するように構成された充電式バッテリ144と、バッテリ144に結合された複数のモータ、すなわち、第1のモータ152a、第2のモータ152b、第3のモータ152cと、を含む。パワーハンドル101はまた、ディスプレイ146を含む。実施形態では、モータ152a、152b、152cは、AC/DC変圧器などの、モータ152a、152b、152cに電気エネルギーを提供するように構成された任意の好適な電源に結合され得る。モータ152a、152b、152cの各々は、バッテリ144からモータ152a、152b、152cへの電気エネルギーの流れを含む、対応するモータ152a、152b、152cの動作を制御するモータコントローラ143に結合される。パワーハンドル101を制御する主コントローラ147が設けられている。主コントローラ147は、パワーハンドル101の動作を制御するクランプアルゴリズム、ステープル留めアルゴリズム、及び切断アルゴリズムなどの、本明細書に開示されるアルゴリズムを具現化するソフトウェア命令を実行するように構成される。
【0032】
モータコントローラ143は、モータ152a、152b、152c及びバッテリ144の動作状態を測定するように構成された複数のセンサ408a...408nを含む。センサ408a~nは、歪みゲージ408bを含み、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、テレメトリセンサ、光学センサ、及びそれらの組み合わせを含み得る。センサ408a~408nは、バッテリ144によって供給される電気エネルギーの電圧、電流、及び他の電気的特性を測定し得る。センサ408a~408nはまた、モータ152a、152b、152cの、1分間当たりの回転数(revolutions per minute、RPM)としての角速度(例えば、回転速度)、トルク、温度、電流引き込み、及び他の動作特性を測定し得る。センサ408aはまた、モータ152a、152b、152cの回転又は他の指標を計数するように構成されたエンコーダを含み、これは、次いで、モータ152a、152b、152cによって移動可能な構成要素の直線的移動を計算する主コントローラ147によって使用される。角速度は、モータ152a、152b、152c、又はそれらに結合された及びモータ152a、152b、152cによって回転可能な駆動シャフト(図示せず)の回転を測定することによって決定され得る。様々な軸方向に移動可能な駆動シャフトの位置はまた、シャフト内又はシャフトに近接して配設された様々なリニアセンサを使用することによって決定され得るか、又はRPM測定値から外挿され得る。実施形態では、トルクは、一定のRPMでのモータ152a、152b、152cの調整された電流引き込みに基づいて計算され得る。更なる実施形態では、モータコントローラ143及び/又は主コントローラ147は、時間を測定し、積分及び/又は微分を含む、時間の関数として上述の値を処理して、例えば、測定値における変化率を決定し得る。主コントローラ147はまた、モータ152a、152b、152cの回転を計数することによって、アダプタアセンブリ200及び/又はエンドエフェクタ300の様々な構成要素の移動距離を決定するように構成される。
【0033】
モータコントローラ143は、モータコントローラ143とインターフェースをとるための複数の入力及び出力を含む主コントローラ147に結合される。特に、主コントローラ147は、モータ152a、152b、152c及びバッテリ144の動作状態に関するモータコントローラ143からの測定されたセンサ信号を受信し、次に、制御信号をモータコントローラ143に出力して、センサ読み取り値及び特定のアルゴリズム命令に基づいてモータ152a、152b、152cの動作を制御する。主コントローラ147はまた、ユーザインターフェース(主コントローラ147に結合される、例えば、スイッチ、ボタン、タッチスクリーンなど)から複数のユーザ入力を受け入れるように構成される。
【0034】
主コントローラ147はまた、メモリ141に結合される。メモリ141は、パワーハンドル101を動作させるためのソフトウェア命令を含むデータを記憶するように構成された揮発性(例えば、RAM)及び不揮発性記憶デバイスを含み得る。主コントローラ147はまた、有線接続又は無線接続を使用してアダプタアセンブリ200の歪みゲージ408bに結合され、パワーハンドル101の動作中に使用される歪みゲージ408bから歪み測定値を受信するように構成される。
【0035】
パワーハンドル101は、各々がそれから伸長するそれぞれのモータシャフト(明示的に図示せず)を含み、かつそれぞれの伝達アセンブリを駆動させるように構成された、複数のモータ152a、152b、152cを含む。それぞれのモータによるモータシャフトの回転は、ハンドルアセンブリ100の様々な動作を行うために、シャフト及び/又はアダプタアセンブリ200のギア構成要素を駆動するように機能する。特に、パワーハンドル101のモータ152a、152b、152cは、アダプタアセンブリ200のトロカールアセンブリ270のトロカール部材274(
図4)を選択的に伸長/後退させるために、アダプタアセンブリ200のシャフト及び/又はギア構成要素を駆動するように構成される。トロカール部材274の伸長/後退は、エンドエフェクタ300を開閉し(アンビルアセンブリ500がトロカールアセンブリ270のトロカール部材274に接続されているとき)、リロード400のステープル423の環状アレイを始動させ、リロード400の環状ナイフ444を移動させる。
【0036】
ここで
図3及び
図4を参照すると、アダプタアセンブリ200は、外側ノブハウジング202と、ノブハウジング202の遠位端から伸長する外管206と、を含む。ノブハウジング202及び外管206は、アダプタアセンブリ200の構成要素を収容するように構成及び寸法決定されている。ノブハウジング202は、電気コネクタ312と、それに結合された記憶デバイス310と、を含む。記憶デバイス310は、アダプタアセンブリ200に関する様々な動作パラメータを記憶するように構成されている。アダプタアセンブリ200は、ハンドルアセンブリ100の結合シャフト(明示的に図示せず)の回転を、アダプタアセンブリ200のトロカールアセンブリ270、アンビルアセンブリ500、及び/又はリロード400のステープルドライバ430若しくはナイフアセンブリ440を動作させるために有用な軸方向並進に変換するように構成されている。
【0037】
アダプタアセンブリ200は、外管206の遠位端に取り外し可能に支持されたトロカールアセンブリ270を更に含む。トロカールアセンブリ270は、トロカール部材274と、外管206に対してトロカール部材274を軸方向に移動させるために、トロカール部材274内に動作可能に受容される駆動ねじ276と、を含む。トロカール部材274の遠位端274bは、アンビルアセンブリ500に選択的に係合するように構成され、その結果、駆動ねじ276の回転を介したトロカール部材274の軸方向移動は、アンビルアセンブリ500の付随する軸方向移動をもたらす。
【0038】
図4を参照すると、クランプ伝達アセンブリ240は、第1のモータ152aに結合された第1の回転可能な近位駆動シャフト212と、第2の回転可能な近位駆動シャフト281と、回転可能な遠位駆動シャフト282と、結合部材286と、を含み、これらの各々は、アダプタアセンブリ200の外管206内に支持される。クランプ伝達アセンブリ240は、アダプタアセンブリ200のトロカールアセンブリ270のトロカール部材274を伸長/後退させ、アンビルアセンブリ510がトロカール部材274に接続されるときにアンビルアセンブリ510を開放/閉鎖するように機能する。
【0039】
図5を参照すると、アダプタアセンブリ200は、第2のモータ152bとリロード400の第2の軸方向に並進可能な駆動部材とを相互接続するためのステープル留め伝達アセンブリ250を含み、ステープル留め伝達アセンブリ250は、第2のモータ152bの回転をアダプタアセンブリ200の外側可撓性バンドアセンブリ255の軸方向並進に変換して伝達し、次に、リロード400のステープルドライバ430に伝達し、リロード400のステープルドライバ430はリロード400からかつアンビルアセンブリ510に対してステープル423を始動させる。
【0040】
アダプタアセンブリ200のステープル留め伝達アセンブリ250は、ステープルドライバカプラ254に固定された外側可撓性バンドアセンブリ255を含む。第2の回転可能な近位駆動シャフト220は、第2のモータ152bに結合され、回転運動を長手方向運動に変換するステープルドライバカプラ254を作動させるように構成されている。外側可撓性バンドアセンブリ255は、その近位端で支持リング255cに、及びその遠位端で遠位プッシャ255dの近位端に、横方向に離間され、かつ接続された第1及び第2の可撓性バンド255a、255bを含む。第1及び第2の可撓性バンド255a、255bの各々は、支持リング255c及び遠位プッシャ255dに取り付けられる。外側可撓性バンドアセンブリ255は、支持リング255cから近位に伸長する第1及び第2の接続伸長部255e、255fを更に含む。第1及び第2の接続伸長部255e、255fは、外側可撓性バンドアセンブリ255をステープル留め伝達アセンブリ250のステープルドライバカプラ254に動作可能に接続するように構成されている。
【0041】
図6を参照すると、アダプタアセンブリ200はまた、第3のモータ152cとリロード400の環状ナイフ444とを相互接続するための第3の回転可能な近位駆動シャフト222を有する切断伝達アセンブリ260を含み、切断伝達アセンブリ260は、第3のモータ152cのうちの1つの回転をアダプタアセンブリ200の外側可撓性バンドアセンブリ265の軸方向並進に変換して伝達し、次に、リロード400のナイフキャリア442はリロード400からかつアンビルアセンブリ510に対して環状ナイフ444を前進させる。
【0042】
内側可撓性バンドアセンブリ265は、その近位端で支持リング265cに、及びその遠位端で支持ベース265dの近位端に、横方向に離間され、かつ接続された第1及び第2の可撓性バンド265a、265bを含む。第1及び第2の可撓性バンド265a、265bの各々は、支持リング265c及び支持ベース265dに取り付けられる。
【0043】
内側可撓性バンドアセンブリ265は更に、支持リング265cから近位に伸長する第1及び第2の接続伸長部265e、265fを含む。第1及び第2の接続伸長部265e、265fは、内側可撓性バンドアセンブリ265を切断伝達アセンブリ260のナイフドライバ264に動作可能に接続するように構成されている。支持ベース265dは、可撓性バンド265a、265bから遠位に伸長し、リロード400のナイフアセンブリ440と接続するように構成されている。
【0044】
図7を参照すると、リロード400のステープルドライバ430は、ドライバアダプタ432及びドライバ434を有するステープルカートリッジ420を含む。ドライバアダプタ432の近位端432aは、アダプタアセンブリ200のステープル留め伝達アセンブリ250の外側可撓性バンドアセンブリ255の遠位プッシャ255dとの選択的接触及び当接のために構成されている。動作中、外側可撓性バンドアセンブリ255の遠位前進中に、上記で説明されるように、外側可撓性バンドアセンブリ255の遠位プッシャ255dは、ドライバアダプタ432の近位端432aに接触して、ドライバアダプタ432及びドライバ434を第1の位置又は近位位置から第2の位置又は遠位位置に前進させる。ドライバ434は、ステープル423との接触のためにステープルカートリッジ420のステープルポケット421と位置合わせされた複数のドライバ部材436を含む。したがって、ステープルカートリッジ420に対するドライバ434の前進は、ステープルカートリッジ420からのステープル423の放出を引き起こす。
【0045】
リロード400のナイフアセンブリ440は、ナイフキャリア442と、ナイフキャリア442の遠位端442bの周りに固定された環状ナイフ444と、を含む。ナイフキャリア442の近位端442aは、内側可撓性バンドアセンブリの支持ベース265dに係合するように構成されている。動作中、内側可撓性バンドアセンブリ265の遠位前進中に、内側可撓性バンドアセンブリ265の支持ベース265dは、ナイフキャリア442の近位端442aと接続して、ナイフキャリア442及び環状ナイフ444を第1の位置又は近位位置から第2の位置又は前進位置に前進させて、ステープルカートリッジ420とアンビルアセンブリ510との間に配設された組織の切断を引き起こす。
【0046】
トロカール部材274の作動、エンドエフェクタ300の閉鎖(例えば、リロード400に対するアンビルアセンブリ500の後退)、リロード400からのステープル423の放出、及びナイフアセンブリ440の前進中の力は、リロード400からのステープル423の始動などの様々なプロセスを監視及び制御し、ステープル423がリロード400から放出されているときにステープル423の始動及び形成中の力を監視し、組織の異なる指標のためにステープル423がリロード400から排出されているときにステープル423の形成(例えば、ステープルクリンプ高さ)を最適化し、かつリロード400の環状ナイフの始動を監視及び制御するために、歪みゲージ408bによって測定され得る。
【0047】
図8を参照すると、アンビルアセンブリ500は、ヘッドアセンブリ512及び中央ロッドアセンブリ514を含む。ヘッドアセンブリ512は、ポスト516、ハウジング518、切断リング522、切断リングカバー523、アンビルプレート524、スペーサ又はワッシャ525、カムラッチ526、及び保持器部材527を含む。ポスト516は、ハウジング518内の中央に位置決めされている。アンビルプレート524は、ハウジング518の外側環状凹部528内に支持されており、その中に形成され、ステープルを受容及び形成するように構成された複数のステープルポケット530を含む。
【0048】
切断リング522は、ポスト516と外側環状凹部528との間のハウジング518の内側環状凹部内のポスト516の周りに位置決めされている中央開口部を含む。切断リング522は、金属又はポリマー(例えば、ポリエチレン)などの任意の好適な材料から形成され得る。切断リングカバー523はまた、切断リング522の外側に向いた面又は近位面に固定されている。
【0049】
保持器部材527は、切断リング522とハウジング518の後壁との間の内側環状凹部内に位置決めされている。保持器部材527は、環状形状を有し得、切断リング522の後面に係合する複数の変形可能なタブを含み得る。保持器部材527は、タブを破損及び/又は変形させるのに十分な所定の力が切断リング522に加えられるまで、切断リング522が、移動するのを又はハウジング518の内側環状凹部内に押し込まれるのを防ぐ。組織の切断中に、環状ナイフ444が切断リング522に接触するまで、環状ナイフ444は前進させられる。切断リング522に対する環状ナイフ444による連続的な圧力は、保持器部材527の破損をもたらし、これは、切断リング522がハウジング518内に移動し、組織から分離されることを可能にする。これは、組織からのアンビルアセンブリ500の分離を可能にし、クランプ解除プロセスを容易にする。
【0050】
カムラッチ部材526は、ハウジング518のポスト516の横方向スロット内に及び枢動ピン562の周りに枢動可能に装着されている。カムラッチ部材526は、カムラッチ部材526が時計回り方向に回転するときにプランジャー554が前方に移動されることを可能にし、かつカムラッチ部材526が反時計回り方向に回転するときにプランジャー554が後退されることを可能にする、外側カムプロファイルを有する。
【0051】
プランジャー554は、中央ロッド552の第1の端部に形成されたボアに摺動可能に位置決めされている。プランジャー554は、アンビルヘッドアセンブリ512の枢動軸からオフセットされ、かつカムラッチ526のエッジと係合するように付勢された係合フィンガを含む。プランジャー554のフィンガとカムラッチ526のエッジとの係合により、カムラッチ526のエッジの先端部分が切断リング522の内周に押し付けられて、アンビルヘッドアセンブリ512を中央ロッド552上の動作位置又は非傾斜位置に付勢する。
【0052】
アンビルヘッドアセンブリ512は、始動前の傾斜位置で、アンビル中央ロッドアセンブリ514に対して傾斜され得る。アンビル中央ロッドアセンブリ514に対するアンビルヘッドアセンブリ512の傾斜により、カムラッチ部材526の本体部分はプランジャー554のフィンガと係合される。カムラッチ部材526がアンビルヘッドアセンブリ512の傾斜により回転するとき、プランジャー554はアンビル中央ロッドアセンブリ514のボアにより後退し、それによって、ねじ556が圧縮される。このように、プランジャー554のフィンガ566は、カムラッチ部材526の本体部分に対して遠位方向に付勢される。
【0053】
カムラッチ部材526はまた、フィンガを介して保持器部材527に係合するように構成されている。一旦係合されると、カムラッチ部材526は、アンビルヘッドアセンブリ512を非傾斜位置に維持する。保持器部材527が切断リング522によって変形又は破損されると、カムラッチ部材526はまた、アンビルヘッドアセンブリ512から係合解除され、これは、アンビルヘッドアセンブリ512が、クランプ解除中に始動前傾斜位置に傾斜することを可能にする。アンビルアセンブリの構成及び動作に関する更なる詳細については、2013年11月13日に出願された米国特許第9554802号を参照することができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
図9を参照すると、アダプタアセンブリ200の歪みゲージ408bは、歪みゲージハウジング320内に配設されている。歪みゲージ408bは、トロカール部材274の後退、並びにリロード400からのステープル423の放出及び形成を測定及び監視する。エンドエフェクタ300の閉鎖中に、アンビルアセンブリ500が、組織、通過障害物、リロード400の組織接触表面、ステープル放出などに接触するとき、反力が、概ね遠位方向にあるアンビルアセンブリ500に対して付与される。この遠位方向に方向付けられた反力は、アンビルアセンブリ500から歪みゲージ408bに伝達される。次いで、歪みゲージ408bは、ハンドルアセンブリ100のパワーハンドル101の主コントローラ回路基板142に信号を通信する。次いで、図形(
図8)が、ハンドルアセンブリ100のディスプレイ146に表示されて、ハンドルアセンブリ100の始動の状態に関するリアルタイム情報をユーザに提供する。
【0055】
トロカールアセンブリ270は、アダプタアセンブリ200の外管206内に軸方向に及び回転可能に固定されている。
図8を参照すると、アダプタアセンブリ200は、外管206内に固定的に配設された支持ブロック292を含む。歪みゲージハウジング320は、支持ブロック292とコネクタスリーブ290との間に配設されている。リロード400は、コネクタスリーブ290に取り外し可能に結合される。
【0056】
動作中、アダプタアセンブリ200の歪みゲージ408bは、歪みゲージ408bを通過するトロカール部材274の後退を測定及び監視する。第1及び第2の可撓性バンド2fthir55a、255bはまた、歪みゲージ408bを通過するため、アダプタアセンブリ200の歪みゲージ408bはまた、リロード400からのステープル423の放出を測定及び監視する。クランプ、ステープル留め、及び切断中に、反力が、アンビルアセンブリ500及びリロード400に対して付与され、この反力は、支持ブロック292に伝達され、次いで、この支持ブロックは、この反力を歪みゲージ408bの歪みセンサに伝達する。
【0057】
歪みゲージ408bの歪みセンサは、それが接着される物体(例えば、支持ブロック292)における歪み(無次元量)を測定するように構成された任意のデバイスであり得、その結果、物体が変形するときに、歪みセンサの金属箔も変形し、その電気抵抗を変化させ、次いで、この電気抵抗の変化は、トロカールアセンブリ270によって経験される負荷を計算するために使用される。歪みゲージ408bは、第1、第2及び第3の力/回転伝達/変換アセンブリによって示される始動/クランプ負荷に閉ループフィードバックを提供する。
【0058】
次いで、歪みゲージ408bの歪みセンサは、信号を主コントローラ回路基板142に通信する。次いで、図形が、ハンドルアセンブリ100の電源パックコアアセンブリ106のディスプレイ146に表示されて、ハンドルアセンブリ100の始動の状態に関するリアルタイム情報をユーザに提供する。歪みゲージ408bはまた、近位ハーネスアセンブリ314及び遠位ハーネスアセンブリ316を介して電気コネクタ312(
図3)に電気的に接続される。
【0059】
円形ステープラ及びその構成要素の構成及び動作に関する更なる詳細については、2019年7月3日に出願されたPCT国際出願/米国特許出願第2019/040440号を参照することができ、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
リロード400は、記憶デバイス402を含み、円形アダプタアセンブリ200はまた、記憶デバイス310(
図4)を含む。記憶デバイス402及び310は、使用回数、識別情報、モデル番号、シリアル番号、ステープルサイズ、ストローク長、最大作動力、最小作動力、工場較正データなどが含まれるが、これらに限定されない、それぞれ、リロード400及び円形アダプタアセンブリ200に関する任意のデータを記憶するように構成されている不揮発性記憶媒体(例えば、EEPROM)を含む。実施形態では、データは、暗号化され得、適切なキーを有するデバイス(主コントローラ147)によってのみ解読可能である。データはまた、円形アダプタアセンブリ200及び/又はリロード400を認証する主コントローラ147によって使用され得る。記憶デバイス402及び310は、読み取り専用モード又は読み取り/書き込みモードで構成され得、これにより、主コントローラ147は記憶デバイス402及び310上のデータを読み取りかつそれに書き込むことが可能になる。
【0061】
電動円形ステープラ10の動作に先立って、パワーハンドル101は、アダプタアセンブリ200がハンドルアセンブリ100に結合されるシェルアセンブリ11内に囲まれる。円形アダプタアセンブリ200の取り付け後、ハンドルアセンブリ100は、最初に、円形アダプタアセンブリ200の記憶デバイス310との通信を確立することによって円形アダプタアセンブリ200がハンドルアセンブリ100に結合されていることを検証し、円形アダプタアセンブリ200を認証する。記憶デバイス310に記憶されたデータ(例えば、使用回数)は、暗号化され、記憶デバイス310に記憶された使用回数が閾値を超えているかどうか(例えば、アダプタアセンブリ200が以前に使用されていたかどうか)を判定する前に、パワーハンドル101によって認証される。次いで、パワーハンドル101は、トロカール部材274が取り付けられていることをハンドルアセンブリ100が確認した後に、検証チェック(例えば、寿命チェック、トロカール部材274の欠損など)を行い、かつ円形アダプタアセンブリ200を較正する。
【0062】
ユーザは、結腸直腸又は上部胃腸領域内にトロカール部材274及びアンビルアセンブリ510を含むアダプタアセンブリ200を位置付けることによって、外科的処置を開始する。ユーザは、トグル制御ボタン30を押して、トロカール部材274が組織を貫通するまでトロカール部材を伸長させる。トロカール部材274の伸長後に、外科医によって以前に位置決めされたアンビルアセンブリ510がトロカール部材274に取り付けられ、ユーザは、トグル制御ボタン30の底部分を押すことによって、リロード400とアンビルアセンブリ510との間に挟まれた組織に対するクランププロセスを開始する。
【0063】
クランププロセスは、所望の閾値に達するまで、制御された組織圧縮を含み得る。一旦組織が圧縮されると、ユーザは、トグル制御ボタン30を押すことによって、ステープル留めプロセスを開始し得る。実施形態では、ステープル留めプロセスは、一旦組織圧縮が主コントローラ147によって確認されると、自動的に開始され得る。主コントローラ147によっても監視され得る、ステープル留めが完了した後に、切断プロセスは、自動的に又はトグル制御ボタン30を押すことによって開始され得る。
【0064】
図9は、アンビルアセンブリ500が吻合から解放されたかどうかを判定するための方法のフローチャートを示す。方法は、ステップ600において、トグル制御ボタン30を押すことによって、及び/又は主コントローラ147によるテープル留めプロセスが完了したことの判定に基づいて、例えば、歪み、距離、及び/又は時間測定に基づいて自動的に、切断プロセスを開始することを含む。
【0065】
ステップ602において、第3のモータ152cは、アダプタアセンブリ200の外側可撓性バンドアセンブリ265を移動させ、次に、環状ナイフ444が切断リング522に接触するまで、環状ナイフ444をリロード400から前進させる。ステップ604において、外側可撓性バンドアセンブリ265に対する歪みが、歪みゲージ408bによって測定される。測定された歪みは、ステップ606において、歪み閾値、及び/又は保持部材を示す歪みパターン、例えば、歪みの急激な低下と、比較される。歪み測定が切断プロセスの完了に対応しない場合、方法は、環状ナイフ444を移動させ続ける。加えて、方法はまた、例えば、タイムアウトが発生し、歪みが完了を示さない場合に、ディスプレイ146にエラーを出力することを含み得る。
【0066】
一旦切断プロセスが完了すると、ステップ608において、トグル制御ボタン30を押すことによって、及び/又は、例えば、歪み、距離、及び/又は時間測定に基づいて、切断プロセスが主コントローラ147によって完了したという判定に基づいて自動的に、クランプ解除プロセスが開始される。
【0067】
ステップ610において、第1のモータ152aは、クランプ伝達アセンブリ240を作動させて、アンビルアセンブリ500は遠位方向にリロード400から離れるように移動される。ステップ612において、クランプ伝達アセンブリ240上の歪みが、歪みゲージ408bによって測定される。測定された歪みは、ステップ614において、アンビルアセンブリ500が組織に取り付けられていることを示す歪み閾値及び/又はパターン、例えば、自由に移動可能なアンビルアセンブリ500の閾値を超える歪みと比較される。歪み測定によって、アンビルアセンブリ500に吻合がないことが示されない場合、ステップ616において、主コントローラ147は、クランプ解除プロセスを停止し、及び/又はディスプレイ146にエラーを出力し得る。エラーは、タイムアウトが生じた場合に表示され得、歪みは、アンビルアセンブリ500が吻合に接着しているか、又は別様に移動可能ではないことを示す。歪みが、アンビルアセンブリ500が自由でありかつ移動可能であることを示す場合、ステップ618において、クランプ解除プロセスは、それが完了するまで継続する。様々な警告に加えて、ディスプレイ146はまた、クランププロセス、クランプ解除プロセス、ステープル留めプロセス、及び切断プロセスの各々を表すプログレスバー及び他のしるしを出力し得る。
【0068】
本開示のアダプタアセンブリの実施形態に対して様々な改変がなされ得ることが理解される。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨内での他の改変を想定するであろう。
【0069】
1つ以上の実施例では、記載された技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施され得る。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、又は命令若しくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体)などの有形媒体に対応する、非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0070】
命令は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、又は他の同等の集積回路若しくは別個の論理回路など、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用するとき、前述の構造のいずれか、又は記載された技術の実施に好適な任意の他の物理的構造を指し得る。また、技術は、1つ以上の回路又は論理素子で完全に実施され得る。