(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115963
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】頭部形状測定用シート及び頭部形状測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
A61B5/107 110
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018420
(22)【出願日】2022-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月19日 日本大学医学部付属板橋病院にて試験を実施した。
(71)【出願人】
【識別番号】518194246
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100210675
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 潤
(72)【発明者】
【氏名】大野 秀晃
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA20
4C038VB02
4C038VC01
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】簡単な構成により、頭部表面の位置に関するデータを採取することが可能となる頭部形状測定用シートを提供する。
【解決手段】人間の頭部表面(10)に密着して、頭部を覆うように構成された頭部形状測定用シート(100)において、表面には、密着した際に対応する前記頭部表面(10)上の位置を示す表示(200,300)であって、三次元スキャン動作により読み取り可能な表示が設けられている、頭部形状測定用シート。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の頭部表面(10)に密着して、頭部を覆うように構成された頭部形状測定用シート(100)において:
表面には、密着した際に対応する前記頭部表面(10)上の位置を示す表示(200,300)であって、三次元スキャン動作により読み取り可能な表示が設けられている、
前記頭部形状測定用シート。
【請求項2】
前記表示が、略水平方向の複数の線分および/または前記略垂直方向の複数の線分である、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記略水平方向の複数の線分および/または前記略垂直方向の複数の線分の数が、各々3~20である、請求項2に記載のシート。
【請求項4】
前記略水平方向の複数の線分および/または前記略垂直方向の複数の線分の数が、各々7である、請求項3に記載のシート。
【請求項5】
前記略水平方向の複数の線分において、各線分の色が、該線分に隣接する線分の色と異なる、請求項2に記載のシート。
【請求項6】
前記略垂直方向の複数の線分において、各線分の色が、該線分に隣接する線分の色と異なる、請求項2に記載のシート。
【請求項7】
前記表示が、マトリックス状に配置された複数の点(200)である、請求項1に記載のシート。
【請求項8】
前記表示が、前記頭部表面(10)の頭頂部近傍を交点とする、複数の線分上に配置された複数の点(300)である、請求項1に記載のシート。
【請求項9】
前記表示(200,300)を構成する各点の間隔は任意に設定可能に構成される、請求項7または請求項8に記載のシート。
【請求項10】
前記表示(200,300)を構成する各点の間隔が、前記頭部表面(10)の頭頂部近傍から周縁部に向かって、小さくなるように構成される、請求項9に記載のシート。
【請求項11】
平面状シート(100)の長手方向を軸として筒状に構成され、一方の開口部は封止され、他方の開口部には頭部を挿入可能であり、前記頭部の表面(10)を覆うように、袋状に構成された、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のシート。
【請求項12】
被測定頭部を、その表面に沿って密着するようにシートで覆う第一のステップであって、前記シート表面には、密着した際に対応する前記被測定頭部の表面上の複数の位置を示す表示が設けられている、第一のステップ(S10)と、
前記第一のステップで、前記シートに覆われた前記被測定頭部を、三次元スキャンにより走査して、前記複数の位置に関するデータを採取する第二のステップ(S20,S30,S35)と、そして
前記第二のステップで採取されたデータを記録する第三のステップ(S60)と、
から成る、頭部形状測定方法。
【請求項13】
前記第二のステップで採取された、位置に関するデータが、所定の基準データの範囲内にあるかどうかを判別する第四のステップ(S40)と、
前記第四のステップで、前記所定の基準データの範囲内にあるとされた、採取されたデータを、削除するステップ(S50)と、
を更に有する、請求項12に記載の頭部形状測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の頭部の形状をスキャンして測定する際に用いられる頭部形状測定用シートに関する。これにより、シートの外周が測定対象となる頭部に沿った形状となり、正確にスキャンによるデータが採取できる。そして特には、頭部表面に設定される測定点の位置関係を示す表示が、印刷等により示されたシートに関する。また、そのようなシートを用いた、頭部形状の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の乳児、特に生後3カ月程度を経過した乳児には、頭部の形状が歪む、いわゆる斜頭症、長頭症または短頭症のような症状が現れることがある。例えば斜頭症は、乳児の頭部を上方から見た際に、後頭部が斜めに歪んで左右非対称になっているものである。そしてこのような状態を放置して、乳児の成長につれて歪みが進行すると、耳の位置や顔面が左右非対称のまま固定されてしまう。
【0003】
このようなことから、症状に応じて、生後18カ月程度までの所定の期間内で、特許文献1に記載されるような矯正用のヘルメットを乳児の頭部に被嵌させて、その状態で日常生活を送る、という治療方法が採用される。この治療により、歪んだ頭部の形状を、徐々に正常に戻すというものである。具体的なヘルメットの形状や治療を行う期間等は、医師の指導に基づくものである。
【0004】
このような矯正用のヘルメットは、現在の頭部の形状と、矯正後に想定される形状と、を考慮して、治療の対象となる乳児個々の頭部に合わせて作成される。即ち、いわゆるオーダーメイドにより作成される。その作成前には治療対象の乳児の頭部を、スキャナを用いて周知の三次元スキャン方式によりスキャンし、頭部の形状に関する詳細なデータを採取する。そして、このデータに基づき、採取されたデータに基づく形状が内表面として構成されるヘルメットが、3Dプリンタ等により作成可能となる。なお、治療期間中には、頭部の形状の微小な変化に基づき、ヘルメットの形状も適宜、微調整するのが望ましい。従って、ヘルメットの材質には合成樹脂等、弾性を有する素材が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乳児の頭部の形状に適したヘルメットを作成するには、頭部の形状を精度よくスキャンした3Dデータが要求される。しかし、本発明者らは、乳児に頭髪がある場合、そのまま頭部をスキャンすると、頭部の形状を精度よく反映した3Dデータが得られない、との課題を新たに見出した。即ち、頭髪の形状が頭部の形状として誤ってスキャンされることから、頭部の形状を精度よく反映した3Dデータが得られないからである。また、乳児の頭部の正確な3Dデータを得るには、複数の視点・角度から頭部をスキャンし、これら複数のスキャンデータを統合することが望ましい。しかし、目や耳などの特徴部分のみからではデータの適切な統合が困難であり、乳児の頭部の形状を適切に反映させた3Dデータを得ることができない、という課題も本発明者らは見出した。
【0007】
したがって、本発明は、頭部形状矯正用のヘルメットの作成にあたり必要となる頭部の形状に関するデータを、簡便かつ精度よく採取可能な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたもので、頭部形状矯正用のヘルメットの作成にあたり、頭部の形状に関するデータを採取するための三次元スキャンの際に用いられるシートであって、きわめて簡単な構成のシートで頭部全体を覆うことにより、髪の毛などがスキャン時のデータ採取に悪影響を及ぼすことを回避できるようにするものである。また、シート上には頭部表面の位置を示す表示を設けることで、より正確なデータを採取できるものである。
【0009】
上述した課題を解決するために構成した本発明の第一の態様は:
人間の頭部表面に密着して、頭部を覆うように構成された頭部形状測定用シートにおいて、その表面には、密着した際に対応するその頭部表面上の位置を示す表示であって、三次元スキャン動作により読み取り可能な表示が設けられている、頭部形状測定用シート、である。このような態様のシートにより、きわめて簡単な構成により、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0010】
また、本発明の第二の態様は:
この表示が、略水平方向の複数の線分および/または略垂直方向の複数の線分であるシートである。このような態様のシートにより、複数の線分に基づいて得られるデータにより、精度の良いデータの統合が可能となる。
【0011】
また、本発明の第三の態様は:
この略水平方向の複数の線分および/またはこの略垂直方向の複数の線分の数が、各々3~20である、シートである。このような態様のシートにより、複数の線分に基づいて得られるデータにより、やはり、精度の良いデータの統合が可能となる。
【0012】
また、本発明の第四の態様は:
この略水平方向の複数の線分および/またはこの略垂直方向の複数の線分の数が、各々7である、シートである。このような態様のシートにより、シートへの線分の印刷の容易性なども勘案し、複数の線分に基づいて得られるデータにより、精度の良いデータの統合が可能となる。
【0013】
また、本発明の第五の態様は:
この略水平方向の複数の線分において、各線分の色が、該線分に隣接する線分の色と異なるシートである。このような態様のシートにより、線分に基づくデータの採取に際して、隣接する線分同士の色が同じことによる誤動作・誤検出を回避して、精度の良いデータの統合が可能となる。
【0014】
また、本発明の第六の態様は:
この略垂直方向の複数の線分において、各線分の色が、該線分に隣接する線分の色と異なるシートである。このような態様のシートにより、線分に基づくデータの採取に際して、隣接する線分同士の色が同じことによる誤動作・誤検出を回避して、やはり、精度の良いデータの統合が可能となる。
【0015】
また、本発明の第七の態様は:
この表示が、マトリックス状に配置された複数の点であるシートである。このような態様のシートにより、シート上への表示を簡単な構成としながら、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0016】
また、本発明の第八の態様は:
この表示が、頭部表面の頭頂部近傍を交点とする、複数の線分上に配置された複数の点であるシートである。このような態様のシートにより、やはり、シート上への表示を簡単な構成としながら、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0017】
また、本発明の第九の態様は:
この表示を構成する各点の間隔は任意に設定可能に構成されるシートである。このような態様のシートにより、測定対象となる頭部の形状も勘案しながら、きわめて簡単な構成により、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0018】
また、本発明の第十の態様は:
この表示を構成する各点の間隔が、この頭部表面の頭頂部近傍から周縁部に向かって、小さくなるように構成されるシートである。このようなシートにより、測定対象となる頭部の具体的な形状も勘案しながら、やはり、きわめて簡単な構成により、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0019】
また、本発明の第十一の態様は:
平面状シートの長手方向を軸として筒状に構成され、一方の開口部は封止され、他方の開口部には頭部を挿入可能であり、この頭部の表面を覆うように、袋状に構成されたシートである。このようなシートにより、きわめて簡単な構成により、測定状態を安定させながら、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0020】
また、本発明の第十二の態様は:
被測定頭部を、その表面に沿って密着するようにシートで覆う第一のステップであって、このシート表面には、密着した際に対応するこの被測定頭部の表面上の複数の位置を示す表示が設けられている、第一のステップと、この第一のステップで、このシートに覆われたこの被測定頭部を、三次元スキャンにより走査して、この複数の位置に関するデータを採取する第二のステップとそして、この第二のステップで採取されたデータを記録する第三のステップと、から成る、頭部形状測定方法である。このような態様の方法により、きわめて簡単な手段により、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【0021】
また、本発明の第十三の態様は:
この第二のステップで採取された、位置に関するデータが、所定の基準データの範囲内にあるかどうかを判別する第四のステップと、この第四のステップで、この所定の基準データの範囲内にあるとされた、採取されたデータを、削除するステップと、を更に有する、頭部形状測定方法である。このような態様の方法により、きわめて簡単な手段により、また効率良く、測定対象となる頭部の形状に関する3Dデータを採取できる。
【発明の効果】
【0022】
本明細書中に記載の頭部形状測定用シートによれば、三次元スキャンによる測定対象となる頭部を覆うことにより、髪の毛などによる悪影響を回避することができる。
【0023】
また、本明細書中に記載の頭部形状測定用シートで頭部を覆うことにより、そのシートの形状が測定対象の頭部の形状を、髪の毛の影響を受けずに忠実に表すこととなる。従って、簡便にかつ正確に、頭部表面上の位置に関するデータを採取することが可能となるだけでなく、頭部表面上の位置に関するデータに基づき複数のスキャンデータを統合することができるため、頭部形状を精度よく反映させた頭部3Dデータを採取できる。更に本明細書中に記載の頭部形状測定用シートは、筒状の形態のシートの、一方の開口部を封止し、他方の開口部から頭部を挿入することで頭部を覆うように構成する、いわゆる袋状の態様とされる。このことから、きわめて簡単な構成により、頭頂部を中心とするシートと頭部との位置関係が安定し、正確なデータ採取が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本明細書中に記載のシートをキャップ状に構成して、頭部を覆った際の概略を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本明細書中に記載のシートを用いて、三次元スキャンにより頭部表面の位置を測定する際の測定点の組み合わせの一例を示す図であり、頭頂部から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図2と同様の、測定点の組み合わせの他の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書中に記載のシートで測定対象の頭部を覆った状態の概略を示す側面図であり、破線は、シート内側の、測定対象となる頭部を示す。
【
図5】
図5は、
図2に示す測定点が配置された、本明細書中に記載の頭部形状測定用シートが展開された状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すシートを頭部に装着した際に、シート上に設定された測定点がどのような位置関係になるかを説明する模式図である。
【
図7】
図7は、本明細書中に記載のシートを頭部に装着した際の測定点と、前もって設定される基準点との関係について説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、本明細書中に記載のシートを用いて、頭部形状のデータを採取する際のスキャン動作の概略を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本明細書中に記載のシート上に、
図2のように設定される測定点の組み合わせの、別の例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本明細書中に記載のシート上に、
図3のように設定される測定点の組み合わせの、更に別の例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本明細書中に記載のシート上に、色の異なる帯状の表示を設けて、測定の精度を調整して測定点の位置データを採取することを説明する模式図である。
【
図12】
図12は、本明細書中に記載のシートの表面に、3Dデータを採取するための、複数の直交する彩色線分を配置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本明細書中に記載のシートの実施形態について説明する。なお、以下の説明は、本明細書中に記載のシート等を何ら限定することを意図するものではない。
【0026】
本明細書中に記載のシートを用いて、斜頭症などの症状がある頭部の形状に関するデータを採取し、それに基づいて作成した頭部形状矯正用のヘルメットとしては、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。斜頭症は、後頭部が斜めに歪んで左右非対称になる症状であり、このような症状の頭部の形状に関する位置データを採取し、理想的な形状も勘案して、矯正用ヘルメットの外観形状を求めてそれによりヘルメットを作成するものである。なお、このような矯正用ヘルメットは、治療の進捗に応じて形状を微調整することが多く、ある程度の弾力性があることが望ましいことから、材質としては合成樹脂などが用いられる。
【0027】
そして、頭部の形状に関するデータを採取するための三次元スキャンとしては、スキャナを測定対象の物体に接触させて形状を測定する接触式と、スキャナを接触させない非接触式と、に大別される。そして一般には、測定時間が短く、簡便に測定が行える非接触式が用いられる。この方式の一例としては、対象物にレーザを照射し、その拡散した反射波間の位相差を求め、スキャナの移動方向から求められる照射角度も踏まえて、精密な三次元位置情報を求めるものがある。なお、接触式のスキャナは、センサやプローブを測定対象物に接触させ、センサやプローブの位置を移動させながら、接触している点の凹凸から、三次元座標のデータとして採取するものである。
【0028】
このような、物体の形状に関するデータを採取するためのスキャナの動作は、測定対象の物体の表面が平滑であって、障害物がないことが求められる。即ち、平滑な表面に沿ってスキャナを動作させることで、表面に対応した座標データが採取できるからである。
【0029】
ここで、特許文献1に記載のようなヘルメットを作成するために、ヘルメット内表面の形状に対応する乳児の頭部を直接スキャンすると、髪の毛などにより、頭部の形状を正確に測定することが困難となる。これは、頭部表面から突出している髪の毛の部分を、スキャナが頭部表面として認識することなどによる問題点である。
【0030】
このようなことから、例えば
図1に一例として示すように、乳児の頭部を、頭部表面と密着するようなキャップで覆い、このキャップをスキャンすることで採取できるデータを頭部形状のデータとすることが考えられる。この場合には、髪の毛はキャップの内側に確実に収納されるようにすることが望ましい。このように構成することにより、多少の厚みが生じたとしても、キャップの外形は頭部形状と略等しいと考えることができ、スキャンによる採取データを、特許文献1に記載のようなヘルメットの内表面として使用して、3Dプリンタ等によりヘルメットを作成することができる。
【0031】
キャップの形状は、頭部を覆うように構成されるものであれば任意に構成できる。一例として、シート状の布を、長手方向を軸に筒状とし、一方の開口部を封止して頭頂部に対応するように構成し、そして他方の開口部から頭部を挿入すれば、
図1のようなキャップ100として使用できる。このような、いわゆる袋状の構成を採用することにより、シートと頭部との位置関係が安定し、より正確なデータ採取が可能となる。
【0032】
図1の状態において、ヘルメットを作成するための位置データの採取には、通常、複数方向、例えば4方向か5方向からスキャンを行う。そして、これにより採取されたデータにより、頭部の歪の状態を、まず国際的な指標に基づいて定量的に評価することも可能である。指標としては、例えば、CA (Cranial Asymmetry), CVAI (Cranial Vault Asymmetry Index) などがある。なお、
図1では頭頂部を中心として、下方へ向けた一部分のみをキャップ状シートで覆っているが、スキャンする部分はこれに限定されるものではなく、必要に応じて、耳の部分や前頭葉部分などをスキャンしても良い。これらの部分は髪の毛がなく、キャップに覆われていなくてもスキャンして採取されたデータが、そのまま頭部形状に対応しているからである。
【0033】
なお、このようにキャップ状に構成されたシート表面には、その位置を示す表示を施すことで、例えば、スキャンの際にはその点のみについて位置データを採取する等により、より効率的に、記憶メモリの節約を図りながら測定を行うことも考えられる。以下、詳述する。
【0034】
図2及び
図3は、本明細書中に記載のシートを用いて、三次元スキャンにより頭部表面の位置を測定する際の測定点の組み合わせの一例をそれぞれ示す図であり、頭頂部から見た平面図である。
図2は測定点をマトリックス状に配置している例であり、また
図3は、頭頂部を中心に交差する線分上に測定点が配置される例を示す。
【0035】
図2は、図示の通り、マトリックス状に配置された測定点の組み合わせ200を示す。一例として、頭部表面10の上に、原点(0,0)を中心とする二次元座標平面内に、7×9の測定点が設定される状態を示す。そして後述する、本件の発明に係る頭部形状測定用シートの表面上には、このような測定点の組み合わせが表示される。頭部形状測定用シートは、頭部の形状に沿って、頭頂部を中心にして頭部に密着して、これを覆うように配置される。これにより、シート上に表示された測定点は、頭部表面10上の測定点に対応することとなる。従って、三次元スキャン動作を行うスキャナにより、シートで覆われた頭部を走査することで、頭部表面を走査したこととなり、頭部表面上の位置データが採取できる。
【0036】
このような、位置に関するデータを採取する目的で三次元スキャンを行う際には、スキャンの対象、即ち乳児の頭部に、スキャナのセンサで検知可能な表示を設定することが必要である。ここで乳児の頭部表面にそのような一種のマーキングを直接行うことは、頭部表面内での範囲が限定される。即ち、髪の毛で覆われている場所には、直接にマーキングはできない。また、マーキングのためのインクなどが良好に頭部表面で表示されない、更に、発汗などの影響でマーキングが不鮮明になり易い、などの問題もある。このようなことから、本明細書中に記載のシートのように、シート上での表示が測定点に対応している構成とすることで、表示範囲の制限なく、安定して正確に測定点に関する位置データを採取できる。
【0037】
なお、測定点の組み合わせは、
図2に示すようなマトリックス状のものには限定されない。例えば
図3に示すような、頭頂部を交点とする線分上に配置されるように構成した組み合わせ300のように構成しても良い。このような構成では、線分の数は
図3のような2本に限定されず、より多くの数の線分が配置されるように構成しても良い。
【0038】
また、頭部表面上の位置を示す表示としては、点や線で位置を特定する構成に限定されるものではなく、例えば、その他の任意の形状(円、楕円、三角、四角など)、文字(数字、ローマ字、ギリシャ文字、ひらがな、カタカナ、漢字)であってもよい。また、頭部表面上の位置を示す表示としては、例えば複数の色の線分を用いて、色を検出することで、頭部表面の形状や、特定の位置などに関するデータを採取しても良い。これらは、形状、文字、色彩情報だけでなく、QRコード(登録商標)などの情報をさらに含んでいてもよい。
【0039】
図4は、本明細書中に記載のシート100で、測定対象の頭部を覆った状態を示す模式図である。シート100は、いわゆるヘアーキャップのように、頭部全体を覆いながら更に頭部表面に密着するように配置される。即ち、測定対象の頭部を覆った状態では、頭部表面とほぼ相似の外観となる。シート自体は袋状に形成され、頭部を覆う。ここで図中の破線は、シート内側でシートに密着している頭部の形状を示す。これにより、頭部を三次元スキャンすると、シート上の表示が、測定対象の頭部の表面に直接設けられた表示と同じように機能し、表面上の位置データとして採取、更に記憶される。なお、シートの材質としては、頭部を覆ったときに、頭部形状に合わせて伸縮するような素材が望ましく、綿アクリル混や、アクリル毛混などが用いられる。このような素材によるシートを、頭部の一部または全部を覆うことのできる形状・大きさになるように適宜裁断等することで、本明細書中に記載のシートのベース部分を作成することができる。そして、該ベース部分を作成工程よりも前の工程、後の工程またはそれと同時に、頭部表面上の位置を示す表示を付すことで、本明細書中に記載のシートを得ることができる。頭部表面上の位置を示す表示を付す方法としては、印字、転写などが挙げられる。
【0040】
図5は、このように構成された、本明細書中に記載の頭部形状測定用シート100を、展開して示す平面図の一例である。シート上には、
図2に示すものと同様の、マトリックス状の測定点の組み合わせ200が設けられているものとする。位置に関するデータを採取すべき範囲に、測定点が配置されるが、この例では、頭頂部からやや前頭部側に配置されている。そして、更に前頭部側と後頭部側にそれぞれシートが延伸して、前頭部部分100aと後頭部部分100bになる。なお、図示は省略するが、シートは側頭部側に延伸する構成とすることも可能であり、これにより、シート100全体が袋状となって、測定対象の頭部を覆う構成となる。
【0041】
図6は、このようなシート100で、被測定頭部を覆った際に、シート上の測定点の表示が頭部形状によってどのように変移するか、について一例を示す模式図である。この例では
図4のマトリックス状の組み合わせ200のうち、図中の破線で表示する、中心部分の5×5の部分200aについて示す。そして、図中、ドット(・)で示されたシート上の表示が、シートが頭部を覆うことで、それぞれ×の位置に変移していることを示している。この例では、座標軸のうち、X軸の負側の二点、即ち(X-1,Y0)と(X-2,Y0)、は、正側の二点、即ち(X1,Y0)と(X2,Y0)よりも、その変移量が大きい。このことは、この頭部は、頭頂部から見たときの左側が右側より多少大きく傾斜していることを示す。即ち、左右で多少の歪を有していることが分かる。このような、頭部の形状に従って変移したシート上の測定点をスキャンすることで、頭部形状に関するデータを採取できる。そして、このようにして採取されたデータに基づいて、3Dプリンタ等により、頭部形状矯正用のヘルメットが作成される。なお、スキャンの際には、シート上の測定点のみに関するデータを採取する態様には限られない。例えば頭部形状から、更に詳細な位置データの採取が望ましいと判断されたときには、必要に応じて、手書きで適宜、シート上に測定点を追加しても良い。
【0042】
図7は、本願発明の別の実施態様としての、このように採取された頭部表面上の位置データと、前もって設定されている基準値データと、の関係について説明するための模式図である。
【0043】
本明細書中に記載のシートを利用して、スキャン動作により採取された頭部表面の位置に関するデータは、スキャナのメモリに蓄えられ、頭部形状矯正用ヘルメットの作成に用いられる。このヘルメットは、頭部形状がそれぞれ異なっていることから、前述の通り、いわゆるオーダーメイドとして作成される。また、やはり前述の通り、形状を微調整する可能性があることから、弾性を有する素材で作成される。これらにより、ヘルメットの作成の際には、あらかじめ各測定点に対して所定の範囲を有する基準位置を設定しておいて、測定データがこの範囲にあるのであれば、測定値そのものとは関係なく、その位置でのデータを基準位置のデータとすることが考えられる。即ち、ヘルメットの作成を完全なオーダーメイドではなくある程度は標準化することが可能となる。このようにして、測定データの管理の簡素化、ヘルメットの作成コストの低減、作成期間の短縮等を図ることができる。
【0044】
このようなデータの選別に関して、
図7の模式図を参照して説明する。シート100で頭部を覆うことにより、図中の測定点(X2,Y1)が、距離lだけ隔たった(X2+l,Y1)にまで変移したとする。このとき前もってメモリには、基準位置のデータとして、(X2,Y1)からΔXだけ隔たった(X2+ΔX,Y1)を記憶しておく。このようにすれば、ここでは l>ΔX なので、実際の測定点(X2+l,Y1)を測定点データとして用いる。その一方で、変移がΔXの範囲に収まるのであれば、一律に(X2+ΔX,Y1)を測定点データとして用いる。このようにして、実際に測定された位置とは無関係に、前もって設定された測定点データを用いて、測定データの管理の簡易化等を図ることができる。なお、シート100で頭部を覆うことで、どのような頭部形状であっても、頭頂部から周縁部に向かって各測定点間の間隔は広がるので、
図2に示すようなマトリックス状の測定点の組み合わせを、測定の対象となる頭部の平均的な形状などに基づいて、当初から
図6中の×に示すような点の組み合わせにしておいても良い。
【0045】
図8は、このような本明細書中に記載の、位置を示す表示がある頭部形状測定用シートを用いて、測定対象の頭部の形状に関するデータを採取する際の、スキャナの動作の概略を示すフローチャートである。
【0046】
スキャン開始後は、スキャナ固有のスキャン動作により、頭部表面上でセンサを移動させて、測定点に関する位置データを採取する(S10)。その採取されたデータは、スキャナ内に設けられたメモリに順次記憶されていく(S20)。なお、この例では、測定された測定点の数をカウンタで把握するように構成している(S30,S35)が、このような方式に限られず、所定のスキャン範囲を全てスキャンしたことを検出することで、全ての測定点をスキャンしたこととしても良い。
【0047】
ステップS30で、全ての測定点のデータが採取されたことが検出された場合は、そのままそのデータを位置データとして確定させるステップS60に、直接移行しても良い。しかしながらこの例では、
図8に示したように、採取されたデータが予め設定した基準範囲内にあるときには、その採取データを削除して(S50)、基準値のデータを位置データとして用いる。このような動作を行うことで、メモリの使用容量を削減することができ、これにより、前述のように測定データの管理を簡素化できる。
【0048】
ここで、
図2や
図3に示される測定点の組み合わせの例200,300では、各測定点の間隔は等しく構成されているが、このような構成に限定されるものではない。即ち、頭部の形状は、頭頂部を中心として周縁部に移行するにつれて、傾斜が大きくなり凹凸も大きくなる傾向にある。このことは頭部形状に歪が生じている場合でも変わらない。このことから、測定点の間隔を、頭頂部よりも周縁部で小さくすることが考えられる。
図9及び
図10は、そのように測定点を構成した場合の一例であり、
図9は
図2に、また
図10は
図3に対応する。更に
図10に示すように、測定点が配置される線分は、一直線である必要はなく、複数の直線の組み合わせでも良い。
【0049】
このようにしてスキャンした複数のデータ(例えば、四点測定の場合には四組のスキャンデータ)を、任意のデータ処理ソフトウェアに取り込み、頭部表面上の位置を示す表示に基づきデータを紐づけ・統合し(該表示が点である場合には、同じ点どうしを紐づけてもよいし、該表示が線である場合には、同じ色の線どうしを紐づけてもよい)、必要に応じてパラメータ等を調整することで、頭部形状の3Dデータを得ることができる。このようにして得られた頭部形状の3Dデータに基づき、頭部形状矯正ヘルメットを製造することができる。
【0050】
図11は、頭部表面の位置に関するデータを採取するための更に別の例である。この例では、頭部表面上の位置を示す表示として、シート上に複数の、彩色を施した線分410、420の組み合わせ400が設けられている。この線分からの光を検出して、位置に関するデータを採取する。この際、頭部表面の周縁部には、波長の短い、即ち周波数の高い色、例えば紫、の彩色を施した線分410を用いることが望ましい。これにより、波長の長い、即ち周波数の低い色、例えば赤、の彩色を施した線分420を用いた箇所より、精密な位置データを採取することができる。
【0051】
図12は、頭部表面の位置に関するデータを採取するための更に別の例である。この例では、シートの表面上に、複数組の色の異なる彩色線分を配したものである。そしてここでは、略水平方向の複数の線分500a、500b・・・と、略垂直方向の複数の線分500A、500B・・・をシートの表面上に設けている。略水平方向の複数の線分500a、500b・・・において、各線分の色は、該線分に隣接する線分の色と異なることが好ましい。例えば、線分500bの両隣が線分500aおよび線分500cの場合において、線分500bが黄色であれば、線分500aおよび線分500cを黄色以外の色(例えば、黒色、緑色、青色など)であることが好ましい。略垂直方向の線分についても同様に、各線分の色は、該線分に隣接する線分の色と異なることが好ましい。各線分の色が該線分と隣接する色と異なることで、頭部形状をスキャンしたデータの統合において、線分の色を指標に、容易且つ精度よく統合することが可能となる。使用可能な色としては、これらに限定されるものではないが、例えば、白、灰色、黒色、黄色、黄緑色、緑色、水色、青色、赤色、ピンク色、金色、銀色、銅色などが挙げられる。使用する色は、好ましくは、本明細書中に記載のシート部材と異なる色である。略水平方向の複数の線分の色の種類は、好ましくは2色以上であり、より好ましくは約3~約20色であり、さらに好ましくは約4~約10色であり、よりさらに好ましくは7色である。略垂直方向の複数の線分の色の種類は、好ましくは2色以上であり、より好ましくは約3~約20色であり、さらに好ましくは約4~約10色であり、よりさらに好ましくは7色である。略水平方向の複数の線分は、2本以上であればよく、例えば2~約100本であり、好ましくは約3~約30本であり、より好ましくは約4~約20本であり、さらに好ましくは約5~約10本であり、よりさらに好ましくは7本である。略垂直方向の複数の線分は、2本以上であればよく、例えば2~約100本であり、好ましくは約3~約30本であり、より好ましくは約4~約20本であり、さらに好ましくは約5~約10本であり、よりさらに好ましくは7本である。
【0052】
本発明の一実施態様では、頭部表面上の位置を示す表示が、略水平方向の複数の線分および/または略垂直方向の複数の線分である。本発明の一実施態様では、この略水平方向の複数の線分において、各線分の色が、該線分に隣接する線分の色と異なる。本発明の一実施態様では、この略垂直方向の複数の線分において、各線分の色が、該線分に隣接する線分の色と異なる。
【0053】
上記の態様は、あくまでも例示に過ぎない。そのため、本明細書中に記載のシート等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変、変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0054】
10:被測定頭部表面、100:頭部形状測定用シート、100a:シートの前頭部部分、100b:シートの後頭部部分、200・300・400:頭部表面測定点の組み合わせ、200a:測定点組み合わせの一部分、410・420:位置測定用バー、500A、500B、・・・、500a、500b・・・:彩色線分
【手続補正書】
【提出日】2022-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の頭部表面に密着して、頭部を覆うように構成された頭部形状測定用シートにおいて:
表面には、三次元スキャン動作により読み取り可能であり、密着した際に対応する前記頭部表面上の位置を示す複数の線分であって、各線分の色が、前記線分に隣接する線分の色と異なる、複数の線分が設けられており、
複数の線分に基づき、複数方向からの三次元スキャン動作により得られたスキャンデータの位置調整が可能な、
頭部形状測定用シート。
【請求項2】
前記複数の線分が、略水平方向の複数の線分および/または前記略垂直方向の複数の線分である、請求項1に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項3】
前記略水平方向の複数の線分および/または前記略垂直方向の複数の線分の数が、各々3~20である、請求項2に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項4】
前記略水平方向の複数の線分および/または前記略垂直方向の複数の線分の数が、各々7である、請求項2または3に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項5】
前記略水平方向の複数の線分において、各線分の色が、前記線分に隣接する線分の色と異なり、かつ、前記略垂直方向の複数の線分において、各線分の色が、前記線分に隣接する線分の色と異なる、請求項2~4のいずれか一項に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項6】
人間の頭部表面に密着して、頭部を覆うように構成された頭部形状測定用シートにおいて:
表面には、三次元スキャン動作により読み取り可能であり、密着した際に対応する前記頭部表面上の位置を示す線分上に配置された複数の点であって、複数の点により構成される前記線分が複数本であり、各線分の色が前記線分に隣接する線分の色と異なり、前記頭部表面の頭頂部近傍を交点とする、複数の点が設けられており、
複数の点に基づき、複数方向からの三次元スキャン動作により得られたスキャンデータの位置調整が可能な、
頭部形状測定用シート。
【請求項7】
複数の点の間隔は任意に設定可能に構成される、請求項6に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項8】
複数の点の間隔が、前記頭部表面の頭頂部近傍から周縁部に向かって、小さくなるように構成される、請求項6または7に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項9】
平面状シートの長手方向を軸として筒状に構成され、一方の開口部は封止され、他方の開口部には頭部を挿入可能であり、前記頭部の表面を覆うように、袋状に構成された、請求項1~8のいずれか一項に記載の頭部形状測定用シート。
【請求項10】
被測定頭部を、その表面に沿って密着するようにシートで覆う第一のステップであって、前記シート表面には、密着した際に対応する前記被測定頭部の表面上の複数の位置を示す複数の線分であって、各線分の色が前記線分に隣接する線分の色と異なる、複数の線分が設けられている、第一のステップと、
前記第一のステップで、前記シートに覆われた前記被測定頭部を、三次元スキャンにより走査して、前記複数の位置に関するデータを採取する第二のステップと、そして
前記第二のステップで採取されたデータを記録する第三のステップと、
を含み、
複数の線分に基づき、複数方向からの三次元スキャン動作により得られたスキャンデータの位置調整が可能な、
頭部形状測定方法。
【請求項11】
被測定頭部を、その表面に沿って密着するようにシートで覆う第一のステップであって、
前記シート表面には、密着した際に対応する前記被測定頭部の表面上の複数の位置を示す線分上に配置された複数の点であって、複数の点により構成される前記線分が複数本であり、各線分の色が前記線分に隣接する線分の色と異なる、複数の点が設けられている、第一のステップと、
前記第一のステップで、前記シートに覆われた前記被測定頭部を、三次元スキャンにより走査して、前記複数の位置に関するデータを採取する第二のステップと、そして
前記第二のステップで採取されたデータを記録する第三のステップと、
を含み、
複数の点に基づき、複数方向からの三次元スキャン動作により得られたスキャンデータの位置調整が可能な、
頭部形状測定方法。
【請求項12】
前記第二のステップで採取された、位置に関するデータが、所定の基準データの範囲内にあるかどうかを判別する第四のステップと、
前記第四のステップで、前記所定の基準データの範囲内にあるとされた、採取されたデータを、削除するステップと、
を更に有する、請求項10または11に記載の頭部形状測定方法。