(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115986
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】電源回路及び車両
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
G05F1/56 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018469
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内本 大介
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 伸次
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE05
5H430EE09
5H430EE13
5H430FF01
5H430FF13
5H430GG08
5H430HH03
5H430KK04
5H430LA04
(57)【要約】
【課題】入力電圧が急峻に立ち上がったときに出力電圧が上昇することを抑制することができる電源回路を提供する。
【解決手段】電源回路は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成される電源回路であって、スイッチングトランジスタ、又は、前記入力電圧が印加されるように構成される入力端(T1)と前記出力電圧が印加されるように構成される出力端(T2)との間に設けられる出力トランジスタ(1、2)のいずれか一方である駆動対象素子と、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記駆動対象素子を駆動するように構成されるドライバ(3)と、前記入力電圧が立ち上がったときに前記駆動対象素子の制御端子に供給する電圧を立ち上げるように構成される電圧生成部(4)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を出力電圧に変換するように構成される電源回路であって、
スイッチングトランジスタ、又は、前記入力電圧が印加されるように構成される入力端と前記出力電圧が印加されるように構成される出力端との間に設けられる出力トランジスタのいずれか一方である駆動対象素子と、
前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記駆動対象素子を駆動するように構成されるドライバと、
前記入力電圧が立ち上がったときに前記駆動対象素子の制御端子に供給する電圧を立ち上げるように構成される電圧生成部と、
を備える、電源回路。
【請求項2】
前記入力電圧が立ち上がった時点から所定時間が経過するまでの期間に前記電圧生成部に過渡的に電流が流れる、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電圧生成部は、
前記入力電圧又は前記入力電圧から生成される定電圧が印加されるように構成される電圧印加端と、
前記電圧印加端に印加される電圧によって制御されるように構成されるトランジスタと、
を備える、請求項1又は請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記電圧印加端は前記定電圧が印加されるように構成され、前記定電圧が定常状態であるときに前記定電圧は前記入力電圧より低電圧である、請求項3に記載の電源回路。
【請求項5】
前記電圧生成部は、
前記電圧印加端に印加される電圧をクランプするように構成されるクランプ回路を備える、請求項4に記載の電源回路。
【請求項6】
前記電圧生成部は、
前記電圧印加端と前記トランジスタの制御端子との間に設けられるコンデンサを備える、請求項3~5のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項7】
前記入力電圧が所定値を超えているか否かを監視するように構成される低電圧保護回路の監視結果に応じて前記電圧生成部が動作する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の電源回路を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている発明は、電源回路及び当該電源回路を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
LDO[low drop out]などのリニア電源回路は様々なデバイスの電源手段として用いられている。リニア電源回路に関する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リニア電源回路の出力トランジスタがPチャネル型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)又はPNPトランジスタである場合、リニア電源回路に供給される入力電圧が急峻に立ち上がると、出力トランジスタがオン状態になり、リニア電源回路の出力電圧が上昇してしまうおそれがある。例えば、リニア電源回路の出力電圧が中途半端に上昇すると、リニア電源回路の出力電圧を利用する負荷において問題が生じるおそれがある。なお、スイッチング電源回路においても同様の問題が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されている電源回路は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成される電源回路であって、スイッチングトランジスタ、又は、前記入力電圧が印加されるように構成される入力端と前記出力電圧が印加されるように構成される出力端との間に設けられる出力トランジスタのいずれか一方である駆動対象素子と、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記駆動対象素子を駆動するように構成されるドライバと、前記入力電圧が立ち上がったときに前記駆動対象素子の制御端子に供給する電圧を立ち上げるように構成される電圧生成部と、を備える。
【0006】
また、本明細書に開示されている車両は、上記構成の電源回路を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に開示されている発明によれば、電源回路に供給される入力電圧が急峻に立ち上がったときに電源回路の出力電圧が上昇することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るリニア電源回路の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、電圧生成部の一構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るリニア電源回路から電圧生成部を除いた場合の各部の電圧波形を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るリニア電源回路の各部の電圧波形を示す図である。
【
図5】
図5は、電圧生成部の他の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、スイッチング電源回路の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、定電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0010】
本明細書において、基準電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0011】
本明細書において、MOSFETとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなる電界効果トランジスタをいう。つまり、MOSFETのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0012】
図1は、実施形態に係るリニア電源回路の一構成例を示す図である。
図1に示すリニア電源回路は、トランジスタ1と、出力トランジスタ2A及び2Bと、抵抗R1A~R1Cと、ドライバ3と、電圧生成部4と、レギュレータ5と、低電圧保護回路6と、基準電圧源VS1と、定電流源IS1と、端子T1と、端子T2と、を備える。
【0013】
図1に示す構成例では、トランジスタ1並びに出力トランジスタ2A及び2BはPチャネル型MOSFETである。
【0014】
トランジスタ1のソースは、抵抗R1Aを介して端子T1に接続される。出力トランジスタ2A及び2Bの各ソースは端子T1に接続される。トランジスタ1のゲート及び出力トランジスタ2Aのゲートは、抵抗R1Cを介して端子T1に接続される。端子T1は、入力電圧VINが印加されるように構成される。
【0015】
トランジスタ1のドレインは、定電流源IS1の第1端に接続される。定電流源IS1の第2端はグラウンド電位に接続される。また、トランジスタ1のドレインは、トランジスタ1のゲート及び出力トランジスタ2Aのゲートに接続される。出力トランジスタ2Bのゲートは、抵抗R1Bを介して、トランジスタ1のゲート及び出力トランジスタ2Aのゲートに接続される。出力トランジスタ2A及び2Bの各ドレインは端子T2に接続される。端子T2は、出力電圧VOUTが印加されるように構成される。端子T2には、不図示の出力コンデンサ及び負荷が外付け接続される。
【0016】
ドライバ3は、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとの差に基づいてトランジスタ1並びに出力トランジスタ2A及び2Bを駆動するように構成される。
【0017】
帰還電圧VFBは、出力電圧VOUTに基づく電圧である。帰還電圧VFBは、出力電圧VOUTと同一値の電圧であってもよく、出力電圧VOUTの分圧であってもよい。帰還電圧VFBは、ドライバ3の非反転入力端子に供給される。
【0018】
基準電圧VREFは、基準電圧源VS1から出力され、ドライバ3の反転入力端子に供給される。基準電圧源VS1は、例えば入力電圧VINから基準電圧源VS1を生成する。
【0019】
ドライバ3は、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとの差に基づく誤差信号を出力する。誤差信号は、トランジスタ1及び出力トランジスタ2Aの各ゲートに供給される。また、誤差信号は、抵抗R1Bを介して出力トランジスタ2Bのゲートに供給される。
【0020】
電圧生成部4は、入力電圧VINが立ち上がったときに出力トランジスタ2A及び2Bのゲートに供給する電圧を立ち上げるように構成される。電圧生成部4の詳細については後述する。
【0021】
レギュレータ5は、入力電圧VINから定電圧VREGを生成する。定電圧VREGは、例えばドライバ3の駆動電圧として用いられる。
【0022】
低電圧保護回路6は、UVLO(under voltage lock-out)回路である。低電圧保護回路6は、入力電圧VINが所定値を超えているか否かを監視するように構成される。低電圧保護回路6は、監視結果である監視結果信号SUVLOを出力する。本実施形態では、入力電圧VINが所定値を超えていない場合に監視結果信号SUVLOはLOWレベルになり、入力電圧VINが所定値を超えている場合に監視結果信号SUVLOはHIGHレベルになる。
【0023】
図2は、電圧生成部4の一構成例を示す図である。
図2に示す構成例では、電圧生成部4は、トランジスタQ1~Q3と、コンデンサC1と、抵抗R2~R4と、端子T3~T5と、を備える。
図2に示す構成例では、トランジスタQ1及びQ2はNチャネル型MOSFETであり、トランジスタQ3はPチャネル型MOSFETである。
【0024】
トランジスタQ1のゲートには監視結果信号SUVLOが供給される。トランジスタQ1のソースはグラウンド電位に接続される。トランジスタQ1のドレインは、コンデンサC1の第1端、抵抗R2の第1端、及びトランジスタQ2のゲートに接続される。
【0025】
コンデンサC1の第2端は端子T3に接続される。端子T3は、入力電圧VINが印加されるように構成される。
【0026】
抵抗R2の第2端及びトランジスタQ2のソースはグラウンド電位に接続される。トランジスタQ2のドレインは、抵抗R3の第1端及びトランジスタQ3のゲートに接続される。
【0027】
抵抗R3の第2端は端子T4に接続される。端子T4は、入力電圧VINが印加されるように構成される。
【0028】
トランジスタQ3のソースは抵抗R4を介して端子T5に接続される。端子T5は、入力電圧VINが印加されるように構成される。トランジスタQ3のドレインからは電圧VDQ3が出力される。電圧VDQ3は、出力トランジスタ2Aのゲートに供給される。また、電圧VDQ3は、抵抗R1Bを介して出力トランジスタ2Bのゲートに供給される。
【0029】
以下、
図3及び
図4を参照しながら、電圧生成部4の機能について説明する。
図3は、実施形態に係るリニア電源回路から電圧生成部4を除いた場合の各部の電圧波形を示す図である。
図4は、実施形態に係るリニア電源回路の各部の電圧波形を示す図である。なお、
図3及び
図4は、実施形態に係るリニア電源回路が無負荷状態である場合の電圧波形を示す図である。
【0030】
電圧生成部4が設けられていないと仮定した場合、
図3に示すように、入力電圧VINが立ち上がるタイミングt1で、出力トランジスタ2Aのゲート電圧VG1及び出力トランジスタ2Bのゲート電圧VG2が立ち上がらないため、出力トランジスタ2A及び2Bはオン状態になる。これにより、出力電圧VOUTが上昇する。
【0031】
タイミングt1の後、定電圧VREGが徐々に上昇し、定電圧VREGの上昇に伴ってドライバ3が低電圧保護回路6による低電圧保護下での制御動作を徐々に開始するため、出力トランジスタ2Aのゲート電圧VG1及び出力トランジスタ2Bのゲート電圧VG2が徐々に上昇する。そして、出力トランジスタ2A及び2Bがオフになるタイミングt2まで、出力電圧VOUTの上昇が継続する。
【0032】
タイミングt2の後、監視結果信号SUVLOがHIGHレベルになるタイミングt3が到来する。タイミングt3の後、ドライバ3は、低電圧保護回路6による低電圧保護が解除された状態での制御動作を開始する。したがって、タイミングt3の後、出力電圧VOUTは目標値VTGまで上昇する。
【0033】
次に、
図2に示す構成例の電圧生成部4の動作について
図4を参照して説明する。
【0034】
図2に示す構成例の電圧生成部4では、入力電圧VINが立ち上がるタイミングt1で、監視結果信号SUVLOがLOWレベルであるためトランジスタQ1がオフになる。しがたって、入力電圧VINの立ち上がりに応じてトランジスタQ2のゲート電圧VGD2も立ち上がり、トランジスタQ2がオンになる。トランジスタQ2がオンになると、トランジスタQ3もオンになるので、電圧VDQ3は入力電圧VINと略同一値になる。これにより、タイミングt1で出力トランジスタ2Aのゲート電圧VG1及び出力トランジスタ2Bのゲート電圧VG2が立ち上がり、出力トランジスタ2A及び2Bがオフになる。そのため、
図4に示すように、タイミングt1で出力電圧VOUTは上昇しない。
【0035】
監視結果信号SUVLOがHIGHレベルになるタイミングt3が到来するまで、トランジスタQ2のゲート電圧VGD2はHIGHレベルを維持する。監視結果信号SUVLOがHIGHレベルになると、トランジスタQ1がオンになり、トランジスタQ2がオフになる。トランジスタQ2がオフになると、トランジスタQ3のゲートは抵抗R3によってプルアップされトランジスタQ3もオフになる。
【0036】
図2に示す構成例の電圧生成部4は、上述した動作によって入力電圧VINが立ち上がったときに出力トランジスタ2A及び2Bのゲートに供給する電圧VDQ3を立ち上げる。したがって、実施形態に係るリニア電源回路は、入力電圧VINが急峻に立ち上がったときに出力電圧VOUTが上昇することを抑制することができる。
【0037】
タイミングt1からタイミングt3までの期間に、
図2に示す構成例の電圧生成部4に過渡的に電流が流れる。つまり、実施形態に係るリニア電源回路が定常的な動作を行っている期間では、
図2に示す構成例の電圧生成部4に電流が流れない。したがって、実施形態に係るリニア電源回路は、省電力化を図ることができる。
【0038】
また、
図2に示す構成例の電圧生成部4は、端子T3に印加される入力電圧VINによって制御されるように構成されるトランジスタQ2を備えるので、比較的簡単な回路構成で入力電圧VINが立ち上がったときに電圧VDQ3を立ち上げることができる。
【0039】
また、
図2に示す構成例の電圧生成部4では、端子T1とトランジスタQ2のゲートとの間にコンデンサC1が設けられているので、入力電圧VINが安定していて実施形態に係るリニア電源回路が定常的な動作を行っているときに無駄な電流が流れることを防止することができる。
【0040】
また、
図2に示す構成例の電圧生成部4は、監視結果信号SUVLOに応じて動作するので、適切なタイミングで動作を終了することができる。
【0041】
図5は、電圧生成部4の他の構成例を示す図である。
図5に示す構成例の電圧生成部4は、
図2に示す構成例の電圧生成部4に対して、ダイオードD1、トランジスタQ4、抵抗R5、ツェナーダイオードD2、及び端子T6が追加され、端子T3に入力電圧VINではなく定電圧VREGが印加される構成である。
図5に示す構成例では、トランジスタQ4はNチャネル型MOSFETである。
【0042】
ダイオードD1のカソード及びトランジスタQ4のゲートは端子T3に接続され、ダイオードD1のアノード及びトランジスタQ4のソースはトランジスタQ2のドレインに接続される。トランジスタQ4のドレインは抵抗R5を介してトランジスタQ3のゲートに接続される。
【0043】
ダイオードD1、トランジスタQ4、及び抵抗R5によって構成されるクランプ回路は、端子T3に印加される電圧をクランプする。つまり、定電圧VREGに異常が生じた場合でも、端子T3に印加される電圧が過大になることを抑制することができる。
【0044】
定電圧VREGが定常状態であるとき、すなわち定電圧VREGの値が設計値通りであるときに定電圧VREGは入力電圧VINより低電圧である。したがって、入力電圧VINが高い電圧である場合でも、トランジスタQ1等を低耐圧素子にすることができる。
【0045】
端子T6は、入力電圧VINが印加されるように構成される。ツェナーダイオードD2のカソードは端子T6に接続され、ツェナーダイオードD2のアノードはトランジスタQ3のゲートに接続される。ツェナーダイオードD2は、入力電圧VINがトランジスタQ3のゲート-ソース間の耐圧より高い場合に有用である。ツェナーダイオードD2は、トランジスタQ3のゲート-ソース間電圧がトランジスタQ3のゲート-ソース間の耐圧を超えることを防止するためのクランプ素子である。
【0046】
図5に示す構成例の電圧生成部4は、電圧VGQ2がトランジスタQ2の閾値電圧以上になると、入力電圧VINが立ち上がったときに電圧VDQ3を立ち上げる。つまり、
図5に示す構成例の電圧生成部4では、定電圧VREGは入力電圧VINとほぼ同期して立ち上がる。したがって、
図5に示す構成例の電圧生成部4の各部の電圧波形は、定電圧VREGを除いて
図4に示す電圧波形と略同一になる。
図5に示す構成例の電圧生成部4の定電圧VREGの波形は、入力電圧VINの波形と略同一となる。なお、定電圧VREGのスルーレートは約29V/μsec以下であれば、出力電圧VOUTが上昇することを抑制することができることを実測において確認している。
【0047】
図6は、車両Xの外観図である。本構成例の車両Xは、不図示のバッテリから出力される電圧の供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18を搭載している。なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置は、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0048】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0049】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0050】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0051】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行う制動ユニットである。
【0052】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0053】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0054】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0055】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0056】
なお、先に説明したリニア電源回路は、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0057】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本明細書に開示されている発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0058】
上記実施形態で用いたMOSFETの代わりに、バイポーラトランジスタを用いてもよい。また、上記実施形態ではリニア電源回路が2つの出力トランジスタを備える構成であったが、出力トランジスタは1つ又は3つ以上であってもよい。
【0059】
本明細書に開示されている発明は、スイッチング電源回路にも適用することができる。
図7に示すスイッチング電源回路は、本明細書に開示されている発明をスイッチング電源回路に適用した一例である。
図7に示すスイッチング電源回路は、
図1に示すリニア電源回路のトランジスタ1、出力トランジスタ2A及び2B、抵抗R1A~R1C、並びに定電流源IS1をスイッチングトランジスタ7、ダイオードD3、インダクタL1、及び出力コンデンサC2に置換し、ドライバ3をドライバ3’に置換した構成である。ドライバ3’は、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとの差に基づいてスイッチングトランジスタ7をオン/オフするように構成される。ダイオードD3のカソードは、スイッチングトランジスタ7のドレイン及びインダクタL1の第1端に接続される。インダクタL1の第2端は、出力コンデンサC2の第1端及び端子T2に接続される。ダイオードD3のアノード及び出力コンデンサC2の第2端は、グラウンド電位に接続される。
図7に示すスイッチング電源回路は、入力電圧VINを、スイッチングトランジスタ7のスイッチングによって生成されるパルス電圧(スイッチ電圧とも称される)に変換し、当該パルス電圧を出力電圧VOUTに変換する。つまり、スイッチングトランジスタ7は、入力電圧VINをパルス電圧に変換し、当該パルス電圧を出力電圧VOUTに変換するように構成される電源回路において、スイッチングによって当該パルス電圧を生成するように構成される。
図7に示すスイッチング電源回路では、当該パルス電圧は、スイッチングトランジスタ7とダイオードD3との接続ノードに発生する電圧である。
【0060】
以上説明した電源回路は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成される電源回路であって、スイッチングトランジスタ、又は、前記入力電圧が印加されるように構成される入力端(T1)と前記出力電圧が印加されるように構成される出力端(T2)との間に設けられる出力トランジスタ(1、2)のいずれか一方である駆動対象素子と、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記駆動対象素子を駆動するように構成されるドライバ(3)と、前記入力電圧が立ち上がったときに前記駆動対象素子の制御端子に供給する電圧を立ち上げるように構成される電圧生成部(4)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0061】
上記第1の構成である電源回路は、入力電圧が急峻に立ち上がったときに出力電圧が上昇することを抑制することができる。
【0062】
上記第1の構成である電源回路において、前記入力電圧が立ち上がった時点から所定時間が経過するまでの期間に前記電圧生成部に過渡的に電流が流れる構成(第2の構成)であってもよい。
【0063】
上記第2の構成である電源回路は、省電力化を図ることができる。
【0064】
上記第1又は第2の構成である電源回路において、前記電圧生成部は、前記入力電圧又は前記入力電圧から生成される定電圧が印加されるように構成される電圧印加端(T3)と、前記電圧印加端に印加される電圧によって制御されるように構成されるトランジスタ(Q2)と、を備える構成(第3の構成)であってもよい。
【0065】
上記第3の構成である電源回路では、比較的簡単な回路構成で入力電圧が立ち上がったときに出力トランジスタの制御端子に供給する電圧を立ち上げることができる。
【0066】
上記第3の構成である電源回路において、前記電圧印加端は前記定電圧が印加されるように構成され、前記定電圧が定常状態であるときに前記定電圧は前記入力電圧より低電圧である構成(第4の構成)であってもよい。
【0067】
上記第4の構成である電源回路は、入力電圧が高い電圧である場合でも、電圧生成部の一部の素子を低耐圧素子にすることができる。
【0068】
上記第4の構成である電源回路において、前記電圧生成部は、前記電圧印加端に印加される電圧をクランプするように構成されるクランプ回路(D1、Q4、R5)を備える構成(第5の構成)であってもよい。
【0069】
上記第5の構成である電源回路は、定電圧に異常が生じた場合でも、電圧印加端に印加される電圧が過大になることを抑制することができる。
【0070】
上記第3~第5いずれかの構成である電源回路において、前記電圧生成部は、 前記電圧印加端と前記トランジスタの制御端子との間に設けられるコンデンサ(C1)を備える構成(第6の構成)であってもよい。
【0071】
上記第6の構成である電源回路は、入力電圧が安定していて電源回路が定常的な動作を行っているときに無駄な電流が流れることを防止することができる。
【0072】
上記第1~第6いずれかの構成である電源回路において、前記入力電圧が所定値を超えているか否かを監視するように構成される低電圧保護回路(6)の監視結果に応じて前記電圧生成部が動作する構成(第7の構成)であってもよい。
【0073】
上記第7の構成である電源回路は、適切なタイミングで動作を終了することができる。
【0074】
以上説明した車両は、上記第1~第7いずれかの構成である電源回路を備える構成(第8の構成)である。
【0075】
上記第8の構成である車両では、電源回路に供給される入力電圧が急峻に立ち上がったときに電源回路の出力電圧が上昇することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、Q1~Q4 トランジスタ
2A、2B 出力トランジスタ
1’ スイッチングトランジスタ
3、3’ ドライバ
4 電圧生成部
5 レギュレータ
6 低電圧保護回路
7 スイッチングトランジスタ
C1 コンデンサ
C2 出力コンデンサ
D1、D3 ダイオード
D2 ツェナーダイオード
IS1 定電流源
L1 インダクタ
R1A~R1C、R2~R4 抵抗
T1~T6 端子
VS1 基準電圧源
X 車両
X11~X18 電子機器