(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023115987
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置及び車両
(51)【国際特許分類】
G06F 11/22 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
G06F11/22 675Z
G06F11/22 673E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018470
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井置 一哉
【テーマコード(参考)】
5B048
【Fターム(参考)】
5B048CC01
5B048CC11
(57)【要約】
【課題】面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整できる半導体集積回路装置を提供する。
【解決手段】半導体集積回路装置(1)は、故障検出の対象回路(10)と、第1故障検出部(11)と、第2故障検出部(12)と、を備える。前記第1故障検出部は、前記対象回路内のネット間に成り立つ含意関係に基づき前記対象回路の故障を検出するように構成される。前記第2故障検出部は、前記第1故障検出部とは異なる手法で前記対象回路の故障を検出するように構成される。前記半導体集積回路装置は、機能安全規格を満たすように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障検出の対象回路と、
前記対象回路内のネット間に成り立つ含意関係に基づき前記対象回路の故障を検出するように構成される第1故障検出部と、
前記第1故障検出部とは異なる手法で前記対象回路の故障を検出するように構成される第2故障検出部と、
を備え、
機能安全規格を満たすように構成される、半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記対象回路は処理装置であり、
前記第2故障検出部は、前記処理装置がソフトウェアを実行して自己の故障を検出するように構成される自己診断プログラムである、請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記第1故障検出部は、前記含意関係の一部に基づき前記対象回路の故障を検出するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、半導体集積回路装置及び当該半導体集積回路装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載LSI(Large Scale Integration)の分野では、車両の機能安全を達成するためのプロセスを規定したISO26262規格への準拠が必須となってきている。車両の機能安全を達成するためには、安全機構として使われる故障検出が非常に重要となる。
【0003】
ISO26262規格では、故障が与える影響の大きさにより、故障が発生した場合に安全を回避することができる故障の割合を示す指標が規定されている。
【0004】
図1は、ASIL(Automotive Safety Integrity Level)毎に設定されたSPFM(Single-Point Fault Metric)及びLFM(Latent-Fault Metric)を示す図である。
【0005】
SPFM及びLFMは、故障検出のダイアグカバレッジそのものではないが、故障検出のダイアグカバレッジに非常に大きく依存する指標であり、ASIL毎に目標値が設定されている。
【0006】
ASILは、システムが非安全状態になったときの影響の深刻度を示す指標である。ASIL B、ASIL C、ASIL Dの順に影響の深刻度が増していく。そのため、最も深刻度の高いASIL Dでは、必然的に最も高い故障検出のダイアグカバレッジが求められる。
【0007】
常時監視のオンラインテストで高いダイアグカバレッジが必要な場合には、例えば故障検出の対象回路を複製して両者の結果を比較するDual Lock Stepを使用した故障検出が行われる。また、常時監視のオンラインテストで少し低いダイアグカバレッジが許容できる場合には、例えばパリティ符号などの符号を使用した故障検出が行われる。
【0008】
また、故障検出の対象回路動作を停止することができる場合には、ソフトウェアによる診断、BIST(Built-In Self-Test)などを使用した故障検出が可能である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来用いられてきた上述した故障検出手法は、その手法によって達成可能なダイアグカバレッジに限界があり、ISO26262規格などの機能安全規格の要求を満たせるとは限らない。そのため、ISO26262規格などの機能安全規格の要求を満たすために必要なダイアグカバレッジが達成できない場合には、大きな面積オーバーヘッドが必要でも一段階故障検出能力の高い故障検出手法を導入する必要がある。つまり、従来用いられてきた上述した故障検出手法だけでは、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書中に開示されている半導体集積回路装置は、故障検出の対象回路と、前記対象回路内のネット間に成り立つ含意関係に基づき前記対象回路の故障を検出するように構成される第1故障検出部と、前記第1故障検出部とは異なる手法で前記対象回路の故障を検出するように構成される第2故障検出部と、を備える。前記半導体集積回路装置は、機能安全規格を満たすように構成される。
【0012】
本明細書中に開示されている車両は、上記構成の半導体集積回路装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
本明細書中に開示されている半導体集積回路装置及び車両は、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ASIL毎に設定されたSPFM及びLFMを示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、直接含意を説明するための論理回路を示す図である。
【
図4】
図4は、間接含意を説明するための論理回路を示す図である。
【
図5】
図5は、含意チェッカーの一構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図である。
【
図7】
図7は、車両の一構成例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図である。
図2に示す第1実施形態に係る半導体集積回路装置1(以下、「半導体集積回路装置1」と略す)は、故障検出の対象回路10(以下、「対象回路10」と略す)と、含意チェッカー11と、パリティチェック回路12と、セルフテスト回路13と、端子T11~T15と、を備える。
【0016】
含意チェッカー11及びパリティチェック回路12はSPFM対策の安全機構であり、セルフテスト回路13はLFM対策の安全機構である。また、パリティチェック回路12は含意チェッカー11とは異なる手法で対象回路10の故障を検出するように構成される故障検出部である。セルフテスト回路13は、含意チェッカー11及びパリティチェック回路12それぞれの故障を検出する。
【0017】
対象回路10は、半導体集積回路装置1の外部から端子T11を介して入力信号を受け取り、当該入力信号を処理して出力信号を生成する。対象回路10は、当該出力信号を端子T12を介して半導体集積回路装置1の外部に供給する。
【0018】
含意チェッカー11は、対象回路10内のネット間に成り立つ含意関係に基づき対象回路10の故障を検出するように構成される。含意チェッカー11は、含意チェッカー11による故障検出結果を端子T13を介して半導体集積回路装置1の外部に供給する。
【0019】
本実施形態では、含意チェッカー11は、対象回路10内のネット間に成り立つ含意関係の一部に基づき対象回路10の故障を検出するように構成される。含意関係の一部として故障検出効果の高い含意関係を優先して使用することによって、半導体集積回路装置1の面積効率を上げることができる。
【0020】
ここで、含意関係について説明する。回路内のネット間に成り立つ含意関係を抽出する方法は2つある。1つは回路構造を静的に学習する方法であり、もう1つはランダム入力をベースとしたシミュレーションで成り立っている関係をSAT Solverで確認する方法である。
【0021】
回路構造を静的に学習する方法は、直接含意、間接含意による含意関係の抽出を新たな含意関係がみつからなくなるまで繰り返す方法である。
【0022】
図3は直接含意を説明するための論理回路を示す図である。
図4は間接含意を説明するための論理回路を示す図である。
図3及び
図4に示す論理回路は、ANDゲートG1及びG2と、ORゲートG3と、を備える。ANDゲートG1の第2入力端及びANDゲートG2の第1入力端には入力信号aが供給される。ANDゲートG1の出力端はORゲートG3の第1入力端に接続され、ANDゲートG2の出力端はORゲートG3の第2入力端に接続される。ORゲートG3の出力端からは出力信号dが出力される。
【0023】
直接含意は、論理ゲートの入出力関係と推移律から求められる含意である。
図3に示す例では、下記(1)及び下記(2)の関係を辿って、下記(3)の直接含意が抽出される。
(1)a=0 ⇒ b=0,a=0 ⇒ c=0
(2)b=0∩c=0⇒ d=0
(3)a=0 ⇒ d=0
【0024】
間接含意は、論理ゲートの入出力関係だけでは求められない含意である。例えば、
図4に示す例において、ORゲートG3の出力端から論理ゲートの入出力関係を辿ろうとしてもORゲートG3の第1入力端、第2入力端のどちらに「1」の信号が供給されているかは決まらない。そこで、間接含意は、「P⇒Qが真ならば、その対偶^Q⇒^Pも真」を利用して静的学習で求められる。
図4に示す例では、下記(4)の間接含意が抽出される。
(4)d=1 ⇒ a=1
【0025】
ランダム入力をベースとしたシミュレーションで成り立っている関係をSAT Solverで確認する方法は、下記の(i)(ii)(iii)の順で実行される。
【0026】
(i)例えば32000程度のランダム入力パターンでシミュレーションを行い、回路内のネットの値を全て記録する。
【0027】
(ii)全ての信号ペアに対してシミュレーション結果に等価又は反転の関係にあるものを抽出する。
【0028】
(iii)上記(ii)で抽出した関係が正しいかをSAT Solverで確認する。SAT Solverで確認された正しい関係のみを含意関係とする。
【0029】
含意チェッカー11は、上記いずれかの方法で抽出された含意関係を用いる。
図5は、含意チェッカーの一構成例を示す図である。
図5に示す含意チェッカーは、ANDゲートG4を備える。ANDゲートG4の第1入力端には信号Aが供給される。ANDゲートG4の第2入力端には信号Bの反転信号が供給される。
図5に示す含意チェッカーは、「A=1 ⇒ B=1」という含意関係が維持されているか否かを確認する。「A=1 ⇒ B=1」という含意関係が維持されていれば、ANDゲートG4の出力端から出力されるエラー信号ERRは、正常を示す「0」となる。一方、「A=1 ⇒ B=1」という含意関係が故障によって維持されていなければ、ANDゲートG4の出力端から出力されるエラー信号ERRは、故障を示す「1」となる。
【0030】
なお、上述した例では2つの信号の含意関係について説明したが、含意チェッカーによって用いられる含意関係は3つ以上の信号の含意関係であってもよい。
【0031】
図2に戻って半導体集積回路装置1の説明を続ける。パリティチェック回路12は、パリティ符号を用いて対象回路10の故障を検出するように構成される。パリティチェック回路12は、パリティチェック回路12による故障検出結果を端子T14を介して半導体集積回路装置1の外部に供給する。
【0032】
セルフテスト回路13は、セルフテストによって含意チェッカー11及びパリティチェック回路12それぞれの故障を検出するように構成される。セルフテスト回路13は、セルフテスト回路13による故障検出結果を端子T15を介して半導体集積回路装置1の外部に供給する。
【0033】
半導体集積回路装置1は、含意チェッカー11とは異なる手法で対象回路10の故障を検出するように構成される故障検出部で機能安全規格が要求するダイアグカバレッジを達成できない場合に、含意チェッカー11によって大幅に回路面積を増加させることなく簡単にダイアグカバレッジを上げることができる。具体的には、半導体集積回路装置1は、パリティチェック回路12で足りないダイアグカバレッジを含意チェッカー11で補う。
【0034】
半導体集積回路装置1では、含意チェッカー11でのチェック内容を少しずつ追加することにより、ダイアグカバレッジを少しずつ上げることができる。したがって、半導体集積回路装置1は、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整できる。これにより、機能安全規格を満たすために必要となる故障検出部の回路面積、すなわち、含意チェッカー11、パリティチェック回路12、及びセルフテスト回路13の回路面積を最小限に抑えることができる。また、含意チェッカー11は、リアルタイムでの故障検出によるソフトエラー検出に用いることもできる。ソフトエラー検出は、通常すべての回路に対して実施されるのではなく、エラーの影響が大きい場所に対して優先して実施される。つまり、半導体集積回路装置1は、含意チェッカー11をリアルタイムでの故障検出によるソフトエラー検出に用いることによって、含意チェッカー11でソフトエラーに弱い部分の故障検出能力と面積オーバーヘッドを微調整することもできる。
【0035】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図である。
図6に示す第2実施形態に係る半導体集積回路装置2(以下、「半導体集積回路装置2」と略す)は、CPU(Central Processing Unit)20と、含意チェッカー21と、セルフテスト回路22、端子T21~T25と、を備える。
【0036】
含意チェッカー21及び自己診断プログラム20AはSPFM対策の安全機構であり、セルフテスト回路22はLFM対策の安全機構である。また、自己診断プログラム20Aは含意チェッカー21とは異なる手法でCPU20の故障を検出するように構成される故障検出部である。セルフテスト回路22は、含意チェッカー21の故障を検出する。
【0037】
CPU20は、故障検出の対象回路である。CPU20は、半導体集積回路装置2の外部から端子T21を介して入力信号を受け取り、当該入力信号を処理して出力信号を生成する。CPU20は、当該出力信号を端子T22を介して半導体集積回路装置2の外部に供給する。
【0038】
CPU20は、メモリ(不図示)を備える。当該メモリは自己診断プログラム20Aを記憶する。すなわち、CPU20は、自己診断プログラム20Aを備える。なお、半導体集積回路装置2は、CPU20の代わりにCPU以外の処理装置を備えてもよい。CPU以外の処理装置としては、例えばGPU(Graphics Processing Unit)などを挙げることができる。半導体集積回路装置2がCPU20の代わりにCPU以外の処理装置を備える場合、CPU以外の処理装置は自己診断プログラムを備えるようにする。CPU20は、CPU単体の構成であってもよく、CPU単体のみならずCPUの周辺回路も含む構成であってもよい。同様に、CPU以外の処理装置は、CPU以外の処理装置単体の構成であってもよく、CPU以外の処理装置単体のみならずCPU以外の処理装置の周辺回路も含む構成であってもよい。
【0039】
自己診断プログラム20Aは、CPU20によって実行され、CPU20の故障を検出するように構成される。CPU20は、安全要求に対して支障をきたさない時間間隔で自己診断プログラム20Aを実行する。自己診断プログラム20Aの内容を変更することによってダイアグカバレッジを上げることができる。
【0040】
含意チェッカー21は、CPU20内のネット間に成り立つ含意関係に基づきCPU20の故障を検出するように構成される。含意チェッカー21の基本的な構成は含意チェッカー11と同様であるため、含意チェッカー21の詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施形態では、含意チェッカー21は、CPU20内のネット間に成り立つ含意関係の一部に基づきCPU20の故障を検出するように構成される。含意関係の一部として故障検出効果の高い含意関係を優先して使用することによって、半導体集積回路装置2の面積効率を上げることができる。
【0042】
セルフテスト回路22は、セルフテストによって含意チェッカー21の故障を検出するように構成される。セルフテスト回路22は、セルフテスト回路22による故障検出結果を端子T25を介して半導体集積回路装置2の外部に供給する。
【0043】
半導体集積回路装置2は、含意チェッカー21とは異なる手法でCPU20の故障を検出するように構成される故障検出部で機能安全規格が要求するダイアグカバレッジを達成できない場合に、含意チェッカー21によって大幅に回路面積を増加させることなく簡単にダイアグカバレッジを上げることができる。具体的には、半導体集積回路装置2は、自己診断プログラム20Aで足りないダイアグカバレッジを含意チェッカー21で補う。
【0044】
半導体集積回路装置2では、含意チェッカー21でのチェック内容を少しずつ追加することにより、ダイアグカバレッジを少しずつ上げることができる。したがって、半導体集積回路装置1は、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整できる。これにより、機能安全規格を満たすために必要となる故障検出部の回路面積、すなわち、自己診断プログラム20Aを記憶するメモリ、含意チェッカー21、及びセルフテスト回路22の回路面積を最小限に抑えることができる。また、含意チェッカー21は、リアルタイムでの故障検出によるソフトエラー検出に用いることもできる。ソフトエラー検出は、通常すべての回路に対して実施されるのではなく、エラーの影響が大きい場所に対して優先して実施される。つまり、半導体集積回路装置2は、含意チェッカー21をリアルタイムでの故障検出によるソフトエラー検出に用いることによって、含意チェッカー21でソフトエラーに弱い部分の故障検出能力と面積オーバーヘッドを微調整することもできる。なお、第1実施形態におけるパリティチェック回路12は、リアルタイムでの故障検出を行うためソフトエラー検出も可能であるが、本実施形態における自己診断プログラム20Aによる故障検出ではソフトエラーを検出できない。したがって、含意チェッカーをリアルタイムでの故障検出によるソフトエラー検出に用いることは、本実施形態において特に有用である。
【0045】
また、半導体集積回路装置2は、含意チェッカー21によって簡単にダイアグカバレッジを上げることができる。さらに、半導体集積回路装置2は、自己診断プログラム20Aの内容を変更することによってダイアグカバレッジを上げることができる。したがって、半導体集積回路装置2は、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを柔軟に微調整できる。
【0046】
<適用例>
図7は、車両Xの一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、不図示のバッテリから電力の供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18を搭載している。なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0047】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0048】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0049】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0050】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行う制動ユニットである。
【0051】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコン
トロールユニットである。
【0052】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0053】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0054】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0055】
なお、上述した半導体集積回路装置1は、車載LSIとして、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。同様に、上述した半導体集積回路装置2は、車載LSIとして、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0056】
<その他>
本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、半導体集積回路装置1及び2が満たす機能安全規格はISO26262規格であったが、半導体集積回路装置1及び2がISO26262規格以外の機能安全規格を満たすように構成されてもよい。
【0058】
上述した第1実施形態では、含意チェッカー11とは異なる手法で対象回路10の故障を検出する故障検出部としてパリティチェック回路12が用いられている。また、上述した第2実施形態では、含意チェッカー21とは異なる手法でCPU20の故障を検出する故障検出部として自己診断プログラム20Aが用いられている。しかしながら、パリティチェック回路12及び自己診断プログラム20Aはあくまで例示である。含意チェッカーは、含意チェッカーとは異なる手法で対象回路の故障を検出する任意の故障検出部と組み合わせて半導体集積回路装置に搭載することができる。
【0059】
以上説明した半導体集積回路装置(1、2)は、故障検出の対象回路(10、20)と、前記対象回路内のネット間に成り立つ含意関係に基づき前記対象回路の故障を検出するように構成される第1故障検出部(11、21)と、前記第1故障検出部とは異なる手法で前記対象回路の故障を検出するように構成される第2故障検出部(12、20A)と、を備え、機能安全規格を満たすように構成される構成(第1の構成)である。
【0060】
上記第1の構成である半導体集積回路装置は、前記第2故障検出部で機能安全規格が要求するダイアグカバレッジを達成できない場合に、前記第1故障検出部によって大幅に回路面積を増加させることなく簡単にダイアグカバレッジを上げることができる。上記第1の構成である半導体集積回路装置では、前記第1故障検出部でのチェック内容を少しずつ追加することにより、ダイアグカバレッジを少しずつ上げることができる。したがって、上記第1の構成である半導体集積回路装置は、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整できる。これにより、機能安全規格を満たすために必要となる故障検出部の回路面積(前記第1故障検出部及び前記第2故障検出部の回路面積)を最小限に抑えることができる。
【0061】
上記第1の構成である半導体集積回路装置において、前記対象回路は処理装置であり、前記第2故障検出部は、前記処理装置がソフトウェアを実行して自己の故障を検出するように構成される自己診断プログラムである構成(第2の構成)であってもよい。
【0062】
上記第2の構成である半導体集積回路装置では、前記第2故障検出部のソフトウェアの内容を変更することによってダイアグカバレッジを上げることができる。したがって、上記第2の構成である半導体集積回路装置は、面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを柔軟に微調整できる。
【0063】
上記第1又は第2の構成である半導体集積回路装置において、前記第1故障検出部は、前記含意関係の一部に基づき前記対象回路の故障を検出するように構成される構成(第3の構成)であってもよい。
【0064】
上記第3の構成である半導体集積回路装置は、前記含意関係の一部として故障検出効果の高い含意関係を優先して使用することによって、半導体集積回路装置の面積効率を上げることができる。
【0065】
以上説明した車両(X)は、上記第1~第3いずれかの構成である半導体集積回路装置を備える構成(第4の構成)である。
【0066】
上記第4の構成である車両は、半導体集積回路装置における面積オーバーヘッドとダイアグカバレッジとのトレードオフを微調整できる。
【符号の説明】
【0067】
1 第1実施形態に係る半導体集積回路装置
2 第2実施形態に係る半導体集積回路装置
10 故障検出の対象回路
11、21 含意チェッカー
12 パリティチェック回路
13、22 セルフテスト回路
20 CPU
20A 自己診断プログラム
G1、G2、G4 ANDゲート
G3 ORゲート
T11~T15、T21~T25 端子
X 車両
X11~X18 電子機器