(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011600
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】電子機器を備えた薬物送達装置
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161749
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2019527133の分割
【原出願日】2017-11-17
(31)【優先権主張番号】62/424,306
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512297125
【氏名又は名称】ノートン (ウォーターフォード) リミテッド
【住所又は居所原語表記】Unit 301 IDA, Industrial Park, Cork Road, Waterford, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルデロン オリべラス,エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,カール エル.
(72)【発明者】
【氏名】コットン,サイモン ドイリー
(72)【発明者】
【氏名】ガーディナー,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】キブリン,ロバート オー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬物送達装置に関連する使用状況およびパラメータを感知、追跡、および/または処理するための装置、システム、および方法を説明する。
【解決手段】ユーザに薬剤を送達するための装置では、本体104、電子モジュール102、およびスライダを含む。本体104は、マウスピース106、薬剤リザーバ、およびマウスピースカバー108を含み、マウスピースカバー108は本体104にヒンジ結合されうる。電子モジュール102は、通信回路、圧力センサ、およびスイッチを含みうる。マウスピース106が閉位置から開位置に移動するとき、スライダがスイッチと係合するよう構成されうる。スイッチは、電子モジュールをオフ状態またはスリープ状態からアクティブ状態に切り替えるよう、構成されうる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに薬剤を送達するための吸入器であって、当該吸入器は:
マウスピースとマウスピースカバーとを有する本体;
前記本体内に少なくとも部分的に配置されたスライダ;および、
スイッチを有する電子モジュール;
を備え、
前記電子モジュールは、ユーザが前記マウスピースカバーを移動させて前記マウスピースを初めて露出させる前は、オフ状態にあるように構成され;
前記マウスピースカバーが前記マウスピースを露出させるように移動されるとき、前記スライダは、前記スイッチを係合させ、前記電子モジュールをオフ状態からアクティブ状態に遷移させ、前記マウスピースからのユーザによる吸入を感知させるように構成され、また、
前記電子モジュールは、ユーザによって前記マウスピースカバーが移動されて前記マウスピースを初めて露出させた後は、オフ状態に戻らないように構成される、吸入器。
【請求項2】
前記電子モジュールは、前記オフ状態から遷移するときに内部カウンタをスタートするように構成される、請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
前記電子モジュールは、前記内部カウンタに基づいて、感知された吸入または前記マウスピースカバーの開放をタイムスタンプするように構成される、請求項2に記載の吸入器。
【請求項4】
前記電子モジュールは、前記マウスピースカバーが前記閉位置から前記開位置に移動した後に前記吸入器内の少なくとも1つの大気圧を測定するように構成された圧力センサをさらに備える、請求項1に記載の吸入器。
【請求項5】
前記圧力センサは、所定の時間または所定のイベントが検出されるまで、測定を行うように構成される、請求項4に記載の吸入器。
【請求項6】
前記電子モジュールは、前記少なくとも1つの測定された大気圧に基づいて、1つまたは複数の吸入パラメータを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、請求項4に記載の吸入器。
【請求項7】
前記吸入パラメータが:
ピーク流量;
ピーク流量までの時間;
吸入量;および
吸入時間、を含む、請求項6に記載の吸入器。
【請求項8】
前記電子モジュールは、前記吸入パラメータを外部デバイスに無線で送信するように構成された通信回路をさらに含む、請求項6に記載の吸入器。
【請求項9】
前記アクティブ状態にあるとき、前記電子モジュールが:
前記マウスピースカバーを移動させてマウスピースを露出させた後、前記吸入器内の1つまたは複数の大気圧を測定すること;
前記1つまたは複数の測定された大気圧に基づいて、吸入パラメータを決定すること;
ローカルメモリに前記吸入パラメータを格納すること;
外部デバイスに通知すること;および
前記外部デバイスに前記吸入パラメータを送信すること、
のうちの少なくとも1つを実行するように構成される、請求項1に記載の吸入器。
【請求項10】
前記電子モジュールは、前記オフ状態または前記アクティブ状態にないときに、スリープ状態にあるように構成される、請求項2に記載の吸入器。
【請求項11】
前記電子モジュールは、前記電子モジュールが、圧力センサから受信された1つ以上の大気圧測定値が、前記内部カウンタに基づく所定の時間の間、前記所定の範囲内に含まれないことを決定すると、前記アクティブ状態から前記スリープ状態に変化するように構成される、請求項10に記載の吸入器。
【請求項12】
前記電子モジュールは、前記マウスピースを露出させるために前記マウスピースカバーが移動され、前記1つまたは複数の大気圧測定値が前記所定の時間内に前記所定の範囲内にない場合に、タイムアウトイベントおよび関連するタイムスタンプを格納するように構成される、請求項11に記載の吸入器。
【請求項13】
前記電子モジュールは、前記マウスピースカバーが前記マウスピースを覆うように移動されると、前記アクティブ状態からスリープ状態に変化するように構成される、請求項1に記載の吸入器。
【請求項14】
電子モジュールを備える吸入器を介して薬剤を送達する方法であって、当該方法は:
ユーザがマウスピースカバーを移動させてマウスピースを初めて露出させる前は、前記電子モジュールをオフ状態に維持すること;
前記マウスピースカバーを移動させて前記マウスピースを露出させたときにスイッチをアクチュエートすること;
前記スイッチがアクチュエートされると、前記電子モジュールがオフ状態からアクティブ状態に遷移すること;
マウスピースからのユーザの吸入を感知すること;および
薬剤の用量を送達すること
を含み、
前記電子モジュールは、前記マウスピースカバーが移動されてユーザによってマウスピースが初めて露出された後、オフ状態に戻らないように構成される、方法。
【請求項15】
前記マウスピースカバーが移動されて前記マウスピースが露出された時、前記用量の薬剤を前記マウスピースの流路に利用可能にすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記オフ状態から遷移するときに、前記電子モジュール内のプロセッサを介して内部カウンタをスタートすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記内部カウンタに基づいて、前記感知された吸入または前記マウスピースカバーの動きをタイムスタンプすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記オフ状態または前記アクティブ状態にないときに、前記電子モジュールをスリープ状態に遷移させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記スイッチは、前記吸入器のハウジング内に少なくとも部分的に配置されたスライダによって係合される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記電子モジュールのセンサを介して、前記吸入器内の複数の大気圧を測定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
所定のイベントが検出されるまで、または前記マウスピースカバーが前記マウスピースを露出させるように移動された後、所定時間にわたって、複数の大気圧を測定することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電子モジュールを介して、前記複数の測定された大気圧に基づいて、1つまたは複数の吸入パラメータを決定することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記吸入パラメータが:
ピーク流量;
ピーク流量までの時間;
吸入量;および
吸入時間
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記吸入パラメータを外部デバイスに無線で送信することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記電子モジュールが前記アクティブ状態にあるときに:
前記吸入器内の1つまたは複数の大気圧を測定すること;
1つまたは複数の測定された大気圧に基づいて吸入パラメータを決定すること;
前記吸入パラメータをローカルメモリに格納すること;
外部デバイスへ通知すること;および
前記吸入パラメータを前記外部デバイスへ送信すること、
のうちの少なくとも1つを実行することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願とのクロスリファレンス]
本出願は2016年11月18日に出願された米国仮特許出願第62/424,306号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬物送達装置は、様々な投与経路を介して患者の体内への薬物の送達を容易にする。典型的な投与経路には、経口、局所、舌下吸入、注射などが含まれる。この装置は、様々な疾患、病気、および医学的状態を治療するための薬物を送達するために使用され得る。吸入装置は例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および嚢胞性線維症(CF)を治療するために使用され得る。薬物送達装置は治療処置の一部として適切な用量の薬物を患者に送達するように設計されるが、特定の処置の有効性は患者のアドヒアランスおよびコンプライアンスなどの非生理学的因子によって影響され得る。
【0003】
薬物療法の文脈において、アドヒアランスは、患者が処方された投薬レジメンに従う程度を指し得る。例えば、患者の処方箋が毎日2回の用量を指示しており、患者が1日2回の用量を服用している場合、患者は100%アドヒアランスであると考えることができる。患者が1日1回しか服用していない場合、患者は50%だけアドヒアランスであるとみなすことができる。後者の場合、患者は彼または彼女の医師によって処方された処置を受容していないかもしれず、これは治療処置の有効性に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
コンプライアンスは、特定の薬物送達装置を使用する場合の患者のテクニックを指し得る。患者が医師または製造業者によって推奨される方法で装置を使用しているならば、装置は所望の用量の薬物を送達する可能性が高く、患者はコンプライアントであるとみなされ得る。しかし、装置が薬物投与中に適切に使用されていないならば、適切な用量の薬物を送達する装置の能力が損なわれる可能性がある。この場合、患者は、非コンプライアントであるとみなされうる。吸入装置の場合、例えば、患者は装置から患者の肺に完全な用量の薬物が送達されることを確実にするために、最低限の吸気努力を達成する必要があり得る。小児および高齢者などの一部の患者では、肺機能の制限などの身体的制限のために、完全なコンプライアンスの要件を満たすことは困難であり得る。従って、アドヒアランスと同様に、完全なコンプライアンスを達成できないことは、処方された処置の有効性を低下させ得る。
【0005】
完全なコンプライアンスを達成する患者の能力は、薬剤の何らかの物理的特性によってさらに複雑になり得る。例えば、いくつかの呼吸用薬剤は微粒子でありえ、かつ/あるいは、いかなる臭いも味も欠くものでありえる。したがって、吸入装置を使用する患者は、薬剤が吸入されているかどうか直ちに検出または感知することができない、および/または吸入された薬剤の量が処方に沿うものどうかがわからないので、コンプライアンスを満たさない使用を矯正することができない場合がある。
【発明の概要】
【0006】
薬物送達装置は、装置に関連する使用条件およびパラメータを感知、追跡、および/または処理するように(例えば、アドヒアランスおよびコンプライアンスを改善するために)構成される電子モジュールを含むように適合され得る。電子モジュールは、同様のおよび/またはさらなる処理のために、スマートフォンなどの外部デバイスに条件およびパラメータを通信するようさらに構成されてもよい。薬物送達装置における電子モジュールの包含は、装置の使用を増進するための多様なデジタルの発展や機能にドアを開くものである。この文脈では、電子モジュールは、有用なスマートフォンアプリケーションおよび強力なデータ分析を活用するためのプラットフォームを作成することができる。しかし、任意の薬物送達装置への電子機器の導入は、耐久性、信頼性、電気-機械の統合、電力管理、および薬物送達性能などのいくつかの技術的課題を導入し得る。本開示は、吸入器などの薬物送達装置に特定の電気構成要素を含めるための解決策を提供する。
【0007】
吸入装置(例えば、呼吸作動式吸入器)の例が、本明細書に提供される。吸入装置は、マウスピース及びマウスピースカバーを有する本体と、本体内に少なくとも部分的に配置されたスライダと、スイッチ及び圧力センサを有する電子モジュールとを含むことができる。電子モジュールは、ユーザがマウスピースカバーを移動させてマウスピースを初めて露出させる前は、オフ状態であるように構成されてもよい。マウスピースカバーがマウスピースを露出させるように動かされる時に、スライダがスイッチと係合するように構成されてもよく、これにより、電子モジュールはオフ状態からアクティブ状態に移行し、マウスピースを通るユーザによる吸入を感知するようにしうる。電子モジュールは、マウスピースカバーがユーザによってマウスピースを初めて露出させるように移動された後(例えば、吸入装置および/またはバッテリの寿命全体にわたって)、オフ状態に戻らないように構成されてもよい。電子モジュールは、オフ状態から移行する時に、内部カウンタをスタートするように構成されてもよい。電子モジュールは、内部カウンタに基づいて、吸入イベント、吸入の軽量、エラーイベント、圧力測定値、マウスピースカバーオープンイベント等をタイムスタンプするように構成される。
【0008】
圧力センサは、マウスピースカバーが閉位置から開位置に移動した後に、マウスピースを通るユーザの吸入に起因する吸入器内の複数の圧力変化を測定するように構成されてもよい。圧力センサは、所定の時間の間、または所定のイベント(例えば、吸入、マウスピースカバーの閉鎖など)が検出されるまで、測定を行うように構成されてもよい。電子モジュールはまた、複数の測定された圧力変化に基づいて1つまたは複数の吸入パラメータを決定するように構成されたプロセッサを含み得る。吸入パラメータは、ピーク流量、ピーク流量までの時間、吸入されたボリューム、および吸入時間を含み、これらに限定されない。電子モジュールはまた、吸入パラメータを外部デバイスに無線で送信するように構成された通信回路を含むことができる。
【0009】
アクティブ状態にあるとき、電子モジュールは、マウスピースを通じたユーザの吸入から生じる吸入器内の1つまたは複数の圧力変化を測定し、1つまたは複数の測定された圧力変化に基づいて吸入パラメータを決定し、当該吸入パラメータをローカルメモリに格納し、外部デバイスに通知し、および/または吸入パラメータを外部デバイスに送信するように構成することができる。
【0010】
電子モジュールは、オフ状態またはアクティブ状態にない時に、スリープ状態にあるように構成されてもよい。電子モジュールは、電子モジュールが圧力センサから受信した圧力測定値が所定時間の間、所定の範囲内に入らない(例えば、ユーザが所定時間の間、マウスピースから吸入しない)ことを決定すると、アクティブ状態からスリープ状態に変化するように構成されてもよく、所定時間は内部カウンタに基づく。電子モジュールは、マウスピースカバーが開位置に移動され、電子モジュールが圧力センサから受信された圧力測定値が所定時間内に所定の範囲内にあることを決定しない場合(例えば、ユーザが所定時間の間マウスピースから吸入しない場合)、タイムアウトイベントおよび関連するタイムスタンプを格納するように構成されてもよく、タイムアウトイベントのタイムスタンプは内部カウンタに基づく。
【0011】
圧力センサから受信した圧力測定値が所定の範囲内にあると判断すると、電子モジュールは、吸入イベントおよびその吸入イベントに関連するタイムスタンプを生成し、その吸入イベントおよび関連するタイムスタンプを吸入器のメモリに格納するように構成されてもよく、吸入イベントのタイムスタンプは、内部カウンタに基づく。吸入イベントおよび関連するタイムスタンプをメモリに格納すると、電子モジュールは、外部デバイスと同期するように、通信回路に第1の通知レートで通知を送信させるように構成されてもよい。通信回路が外部デバイスとの同期に成功した場合、通信回路は、吸入イベントおよび関連するタイムスタンプを外部デバイスに送信するように構成され得る。通信回路が所定時間の後に外部デバイスと首尾よく同期しない場合、通信回路は、第1の通知レートよりも遅い第2の通知レートで通知を送信するように構成され得る。
【0012】
電子モジュールは、マウスピースカバーが閉位置にあるときに、第1の速度で、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移するように構成されてもよい。電子モジュールは、マウスピースカバーが開位置にあるときに、外部デバイスと同期するように、通信回路に第1の通知レートで通知を送信させ、マウスピースカバーが閉位置にあるときに、第1の通知レートよりも遅い第2の通知レートで通知を送信させるように構成されてもよい。
【0013】
アクティブ状態にあるとき、電子モジュールは、圧力センサから受信した圧力測定値を所定のレートでサンプリングするように構成され、圧力センサから受信した圧力測定値のサンプリング時間の間では、センサシステムの電源を切るように構成されてもよい。電子モジュールは、サンプリング時間の間に、圧力センサから受け取った圧力測定値に対して計算を実行するように構成することができる。電子モジュールは、マウスピースカバーが閉位置に戻ると、アクティブ状態からスリープ状態に変化するように構成されてもよい。
【0014】
システムは:モバイルアプリケーション、及び、ユーザに薬剤を送達するための呼吸作動式吸入器を含み、前記吸入器はマウスピース、マウスピースカバー、電子モジュール、および薬剤リザーバを備え、前記マウスピースカバーは本体にヒンジ結合され、前記電子モジュールは通信回路、電源、センサシステム、バッテリ、およびスイッチを備える;前記において、電子モジュールはマウスピースカバーがユーザによって閉位置から開位置に最初に移動されると内部カウンタをスタートするように構成され;前記モバイルアプリケーションは呼吸作動式吸入器に問い合わせてイベントデータを取り出すように構成され、当該イベントデータはマウスピースカバー開イベント、タイムスタンプ、および吸入プロファイルの情報を含むものである。
【0015】
電子モジュールは、マウスピースカバーがユーザによって開位置に最初に移動された後、マウスピースカバーが閉位置にあるとき及び開位置にあるときに内部カウンタを作動させるよう構成される。吸入プロファイル情報は、センサシステムによって提供される圧力データのピークフロー、圧力データのボリューム、圧力データのピークまでの時間、または圧力データの持続時間のうちの、1つまたは複数を含む。イベントデータは、吸入イベントが低吸入であったか、良好な吸入であったか、吸入なしであったか、または呼気であったかを示す状態フラグのうちの1つまたは複数を含む。イベントデータは、マウスピースカバーが開位置にあるか閉位置にあるかに関する情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【0017】
図2は、
図1の実施例の吸入装置の内部断面斜視図である。
【0018】
図3は、電子モジュールを露出させるために頂部キャップが取り外された、
図1の実施例の吸入装置の分解斜視図である。
【0019】
図4は、
図1の実施例の吸入装置の頂部キャップ及び電子モジュールの分解斜視図である。
【0020】
図5Aは、吸入装置のマウスピースカバーが閉位置である、
図1の実施例の吸入装置の部分断面図である。
【0021】
図5Bは、吸入装置のマウスピースカバーが部分的に開位置である、
図1の実施例の吸入装置の部分断面図である。
【0022】
図5Cは、吸入装置のマウスピースカバーが部分的に開位置である、
図1の実施例の吸入装置の部分断面図である。
【0023】
図5Dは、吸入装置のマウスピースカバーが完全に開位置である、
図1の実施例の吸入装置の部分断面図である。
【0024】
図6Aおよび
図6Bは、吸入装置に関連する1つまたは複数の電源状態および/または動作モードの間で遷移するための例示的なプロセスを示すフロー図を含む。
【0025】
図7は、電子モジュールによって記録された圧力測定値に基づく、
図1の実施例の吸入装置を通る空気流量の例のグラフである。
【0026】
図8は、吸入装置を含む例示的なシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、薬物送達装置に関連する使用状況およびパラメータを感知、追跡、および/または処理するための装置、システム、および方法を説明する。装置、システム、および方法は、ユーザの肺に薬物を送達するための呼吸作動吸入装置の文脈で説明される。しかし、記載された解決策は、注射器、定量吸入器、ネブライザー、経皮パッチ、または埋め込み可能物などの他の薬物送達装置に等しく適用可能である。
【0028】
図1は、実施例の吸入装置100の正面斜視図である。
図2は、実施例の吸入装置100の内部断面斜視図である。
図3は、電子モジュールを露出させるために頂部キャップが取り外された、実施例の吸入装置100の分解斜視図である。
図4は、実施例の吸入装置100の上部キャップおよび電子モジュールの分解斜視図である。
【0029】
この実施例では、吸入装置100は呼吸作動式吸入装置でありえる。吸入装置100は、頂部キャップ102、主ハウジング104、マウスピース106、マウスピースカバー108、電子モジュール120、及び空気ベント126を含むことができる。マウスピースカバー108は、マウスピース106を露出させるために開閉できるように、主ハウジング104にヒンジ結合されることができる。ヒンジ接続として図示されているが、マウスピースカバー106は、他のタイプの接続を介して吸入装置100に接続されてもよい。さらに、電子モジュール120は、主ハウジング104の頂部の頂部キャップ102内に収容されるように図示されているが、電子モジュール120は、吸入装置100の主本体104内に一体化および/または収容されてもよい。
【0030】
主ハウジング104の内部に、吸入装置100は、薬剤リザーバ110(例えば、ホッパ)、ベローズ112、ベローズばね114、ヨーク118、投薬カップ116、投薬チャンバ117、脱凝集器121、及び流路119を含むことができる。薬剤リザーバ110は、ユーザへの送達のための、ドライパウダー薬剤などの薬剤を含み得る。マウスピースカバー108がマウスピース106を露出させるように(例えば、閉位置から開位置に)動かされると、ベローズ112は、薬剤リザーバ110から投薬カップ116に投薬量の薬剤を送達するように圧縮しうる。その後、ユーザは、薬剤の用量を受け取ろうとしてマウスピース106を通して吸入することができる。ユーザの吸入から生成される気流は、脱凝集器121に、投薬カップ116内の薬剤の凝集体を破砕することによって、薬剤の用量をエアロゾル化させることができる。脱凝集器121は、流路119を通る気流が特定の速度と合致するか、または特定の速度を超えるか、または特定の範囲内にある場合に、薬剤をエアロゾル化するように構成されてもよい。エアロゾル化されると、投薬量は投薬カップ116から投薬チャンバ117内へ移動し、流路119を通り、マウスピース106からユーザに対して出ることができる。流路119を通る空気流が特定の速度に合致しないか、または特定の速度を超えないか、または特定の範囲内にない場合、薬剤の一部または全部が投薬カップ116内に残り得る。投薬カップ116内の薬剤が脱凝集器121によってエアロゾル化されていない場合には、マウスピースカバー108がその後に開かれた時、別の用量の薬剤が薬剤リザーバ110から送達されなくてもよい。従って、薬剤の単回用量は、用量が脱凝集器121によってエアロゾル化されるまで、投薬カップ内に残ることができる。
【0031】
ユーザがマウスピース106を通して吸入すると、ユーザへの薬剤の送達のために空気の流れを提供するように、空気が空気ベント126に入りうる。流路119は投薬チャンバ117からマウスピース106の端部まで延在しうる、また、流路119は、投薬チャンバ117およびマウスピース106の内部部分を含むことができる。投薬カップ116は、投薬チャンバ117の内部またはその近傍に存在してもよい。さらに、吸入装置100は、薬剤リザーバ110内の薬剤の総用量の数に最初は設定され、マウスピースカバー108が閉位置から開位置に移動するたびに1つずつ減少するように構成される用量カウンタ111を含み得る。
【0032】
頂部キャップ102は、主ハウジング104に取り付けられてもよい。例えば、頂部キャップ102は、主ハウジング104上の凹部に係合する1つ以上のクリップを使用することによって、主ハウジング104に取り付けられ得る。頂部キャップ102は、例えば頂部キャップ102と主ハウジング104との間に実質的に気密シールが存在するように、接続されたときに主ハウジング104の一部と重なり合うことができる。主ハウジング104の上面は1つ以上(例えば、2つ)のオリフィス146を含むことができる。オリフィス146の1つは、スライダ140を受け入れるように構成することができる。例えば、頂部キャップ102が主ハウジング104に取り付けられると、スライダ140は、オリフィス146の1つを通って主ハウジング104の上面を通って突出することができる。
【0033】
スライダ140は、アーム142、ストッパ144、および遠位基部145を画定することができる。遠位端145は、スライダ140の底部であってもよい。スライダ140の遠位端145は、主ハウジング104内に存在するヨーク118に当接するように構成され得る(例えば、マウスピースカバー108は、閉位置または部分的に開位置にある)。遠位端145は、ヨーク118が任意の半径方向配向にあるとき、ヨーク118の上面の周りに構成されてもよい。例えば、ヨーク118の上面は複数の開口(図示せず)を含むことができ、スライダ140の遠位端145は例えば、開口の1つがスライダ140と位置合わせされているか否かにかかわらず、ヨーク118の上面に当接するように構成することができる。
【0034】
頂部キャップ102は、スライダばね146およびスライダ140を受けるように構成されたスライダガイド148を含むことができる。スライダばね146は、スライダガイド148内に存在することができる。スライダばね146は頂部キャップ102の内面と係合することができ、スライダばね146はスライダ140の上部(例えば、近位端)と係合する(例えば、当接する)ことができる。スライダ140がスライダガイド148内に設置されると、スライダばね146は、スライダ140の頂部と頂部キャップ102の内面との間で部分的に圧縮されうる。例えば、スライダばね146は、マウスピースカバー108が閉じられたときに、スライダ140の遠位端145がヨーク118と接触したままであるように構成されてもよい。スライダ145の遠位端145はまた、マウスピースカバー108が開または閉である間、ヨーク118と接触したままであってもよい。スライダ140のストッパ144は、例えば、スライダ140がマウスピースカバー108の開閉を通じてスライダガイド148内に保持されるように、スライダガイド148のストッパと係合することができ、その逆も同様である。ストッパ144およびスライダガイド148は、スライダ140の垂直(例えば、軸方向)移動を制限するように構成されてもよい。この制限は、ヨーク118の垂直移動よりも小さくてもよい。したがって、マウスピースカバー108が開位置に移動するにつれて、ヨーク118はマウスピース106に向かって垂直方向に移動し続けることができるが、ストッパ144が、スライダ140の遠位端145がもはやヨーク118と接触しないように、スライダ140の垂直移動を停止することができる。
【0035】
電子モジュール120はプリント回路基板(PCB)アセンブリ122、スイッチ130、電源(例えば、バッテリ126)、および/またはバッテリホルダ124を含み得る。PCBアセンブリ122は、センサシステム128、無線通信回路129、スイッチ130、およびまたは、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)などの1つまたは複数のインジケータ(図示せず)などの、表面実装コンポーネントを含むことができる。電子モジュール120は、コントローラ(例えば、プロセッサ)および/またはメモリを含み得る。コントローラおよび/またはメモリは、PCB122と物理的に区別できる構成要素であってもよい。あるいは、コントローラおよびメモリは、PCB122上に搭載された別のチップセットの一部であってもよい。例えば、無線通信回路129は、電子モジュール120のためのコントローラ及び/またはメモリを含むことができる。電子モジュール120のコントローラは、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または任意の適切な処理デバイスもしくは制御回路を含み得る。
【0036】
コントローラはメモリからの情報にアクセスし、メモリにデータを記憶することができる。メモリは、取り外し不能メモリおよび/または取り外し可能メモリなど、任意のタイプの適切なメモリを含むことができる。取り外し不能メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、または任意の他のタイプのメモリ記憶デバイスを含む。取り外し可能メモリは、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含むことができる。メモリは、コントローラの内部にあってもよい。コントローラはまた、サーバまたはスマートフォンなどの、電子モジュール120内に物理的に配置されていないメモリからデータにアクセスし、その中にデータを格納することもできる。
【0037】
センサシステム128は例えば、1つまたは複数の圧力センサを含む1つまたは複数のセンサを含むことができる。1つまたは複数の圧力センサは気圧センサ(例えば、大気圧センサ)、差圧センサ、絶対圧センサなどを含むことができる。センサは、微小電気機械システム(MEMS)および/またはナノ電気機械システム(NEMS)技術を使用することができる。センサシステム128は、瞬間的な圧力読み取り値を電子モジュール120のコントローラに提供するように、および/または、時間にわたる総計圧力読み取り値を提供するように構成されてもよい。
図2及び
図3に示すように、センサシステム128は、吸入装置100内に存在してもよいが、流路119の外側に留まってもよい。したがって、センサシステム128は、吸入装置100内の複数の大気圧を測定するように構成することができる。
【0038】
装置100内(例えば、頂部キャップ102内またはハウジング104内)の大気圧は、装置100が使用されていない時、装置100の外部の大気圧と同じまたは同様でありえることが理解されるだろう。しかしながら、ユーザがマウスピース106から吸入すると、ユーザの吸入により、装置100内の大気圧は低下しうる。逆に、マウスピース106への呼気は、装置100内の大気圧を上昇させうる。両方の場合において、装置100内の大気圧は、装置100の外部の大気圧とは異なりうる。したがって、吸入または呼気に関連する特定のパラメータまたはメトリックは、吸入または呼気から生じる大気圧の変化を比較することによって決定され得る。
【0039】
電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128から圧力測定値に対応するシグナルを受信することができる。コントローラはセンサシステム128から受信したシグナルを使用して、1つまたは複数の気流メトリック(例えば、ピーク流量、ピーク流量までの時間、吸入されたボリューム、吸入持続時間など)を計算または決定することができる。気流メトリックは、吸入装置100の流路119を通る気流のプロファイルを示すことができる。例えば、センサシステム128が0.3キロパスカル(kPA)の圧力変化を記録する場合、電子モジュール120は、この変化が流路119を通る約45リットル/分(Lpm)の空気流量に対応することを決定し得る。
図7は、様々な圧力測定に基づく、空気流量の例を示す。
図7に示される空気流量およびプロファイルは単なる例であり、決定された流量は、吸入装置100およびその内部構成要素のサイズ、形状、および設計に依存し得ることが理解されるであろう。
【0040】
気流メトリックは、吸入/呼気の平均流量、吸入/呼気のピーク流量(例えば、達成される最大吸入)、吸入/呼気の体積、吸入/呼気のピークまでの時間、および/または吸入/呼気の持続時間のうちの1つまたは複数を含むことができる。空気流量メトリックは、流路119を通る流れの方向を示すこともできる。すなわち、圧力の負の変化はマウスピース106からの吸入に対応することができ、圧力の正の変化は、マウスピース106への呼気に対応することができる。気流メトリックを計算するとき、電子モジュール120は、環境条件によって引き起こされるあらゆる歪みを除去または最小限に抑えるように構成することができる。例えば、電子モジュール120は、気流メトリックを計算する前及び/または計算した後、大気圧の変化を考慮するために「ゼロアウト」することができる。1つまたは複数の圧力測定値および/または気流メトリックは、タイムスタンプされ、電子モジュール120のメモリに格納されうる。
【0041】
電子モジュール120のコントローラは、例えば、吸入装置100がどのように使用されているか、および/または、使用が薬剤の全用量の送達をもたらす可能性があるかどうかの評価の一部として、センサシステム128から受信されたシグナルおよび/または測定された気流メトリックを、1つまたは複数の閾値または範囲と比較することができる。例えば、測定された気流メトリックが特定の閾値よりも低い空気流量での吸入に対応する場合、電子モジュール120は、吸入装置100のマウスピース106から吸入がなかったか、あるいは不十分な吸入があったと決定することができる。測定された気流メトリックが特定の閾値を超える空気流量での吸入に対応する場合、電子モジュール120は、マウスピース106から過剰な吸入があったと決定することができる。測定された気流メトリックが特定の範囲内の空気流量での吸入に対応する場合、電子モジュール120は、吸入が「良好」であるか、または送達される薬剤の全用量をもたらす可能性が高いと決定することができる。上述のように、電子モジュール120は、LEDなどのインジケータを含むことができる。インジケータは、吸入装置100の使用に関するフィードバックをユーザに提供するように構成することができる。したがって、一例では、気流メトリックが良好な吸入に対応するか、または吸入なしに対応する場合、LEDが照明するか、または色を変化させることができる。気流メトリックは外部デバイスを介して(例えば、部分的にまたは全体的に)計算および/または評価されてもよい。
【0042】
より具体的には、電子モジュール120内の無線通信回路129は、送信機および/または受信機(たとえば、トランシーバ)、ならびに追加の回路を含むことができる。例えば、無線通信回路129は、Bluetooth(登録商標)チップセット(例えば、Bluetooth Low Energyチップセット)、ZigBee(登録商標)チップセット、Threadチップセットなどを含み得る。したがって、電子モジュール120はスマートフォンを含む外部デバイスに、圧力測定値、気流メトリック、および/または吸入装置100の使用に関連する他の状況などのデータを無線で提供することができる。外部デバイスは、受け取った情報を処理し、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して吸入装置100のユーザにコンプライアンスおよびアドヒアランスのフィードバックを提供するためのソフトウェアを含むことができる。
【0043】
バッテリ126は、PCB122の構成要素に電力を供給することができる。バッテリ126は、例えばコイン型電池のような、電子モジュール120に電力を供給するための任意の適切な電源でありえる。バッテリ126は、再充電可能であっても、再充電不可能であってもよい。バッテリ126は、バッテリホルダ124によって収容されてもよい。バッテリホルダ124は、バッテリ126がPCB122との継続的な接触を維持し、および/またはPCB122の構成要素と電気的に接続されるように、PCB122に固定されてもよい。バッテリ126は、バッテリ126の寿命に影響を及ぼし得る特定のバッテリ容量を有し得る。以下でさらに説明するように、バッテリ126からPCB122の1つまたは複数の構成要素への電力の分配は、吸入装置100および/またはその中に含まれる薬剤の有効寿命にわたってバッテリ126が電子モジュール120に電力を供給することができることを確実にするように管理することができる。
【0044】
電子モジュール120は、各々がそれぞれの電力消費レベルを有する複数の電力状態を有することができる。例えば、電子モジュール120は、システムオフ状態、スリープ状態、および/またはアクティブ状態で動作するように構成されてもよい。システムオフ状態は、電力消費が非常に少ないかまたは全くないことを特徴とすることができ、スリープ状態はオフ状態よりも大きな電力消費を特徴とすることができ、アクティブ状態は、スリープ状態よりも大きな電力消費を特徴とすることができる。電子モジュール120がアクティブ状態にある間、電子モジュールは、測定モード、データ格納/データ処理モード、通知モード、および/または接続モードなどの1つまたは複数のモードで動作することができる。電子モジュール120は一度に複数のモードで動作してもよい(例えば、モードが重複してもよい)ことを理解されたい。例えば、以下でより詳細に説明するように、電子モジュール120は、測定モードおよびデータ格納/データ処理モードで、別々にまたは同時に動作することができる。すなわち、電子モジュール120は、データを処理/格納する前に全ての測定を実行してもよく、または、電子モジュール120がデータ処理/格納を実行すると同時に、追加の測定を実行してもよい(例えば、電子モジュール120は、いずれかが完了する前に、測定モードとデータ格納/データ処理モードとの間で切り替えてもよい)。
【0045】
システムオフ状態では、電子モジュール120は、他の電力状態(例えば、スリープ状態及びアクティブ状態)と比較して最小量の電力を消費しうる。特に、電子モジュール120は、コントローラ上の特定のピン(または複数のピン)を監視するために最小量の電力を使用することができるが、センサシステム128、無線通信回路129(例えば、Bluetooth(登録商標)無線)、およびメモリなどの他の構成要素の電源をオフにすることができる。コントローラ上のピンは、スイッチ130の作動がピン上に特定の参照シグナルをもたらすことができるように、スイッチ130と電気的に接続することができる。参照シグナルは、システムオフ状態から遷移するようにコントローラをトリガすることができる。
【0046】
システムオフ状態は、吸入装置100が組み立てられまたは製造された後の、電子モジュール120の初期状態であってもよい。したがって、電子モジュール120は、装置100がユーザに送達される前、および/またはマウスピースカバー108が最初に開かれる前(例えば、ユーザによる吸入装置100の最初の使用前)、システムオフ状態であり得る。さらに、いったんマウスピースカバー108が初めて開かれると、電子モジュール120は、その後システムオフ状態に戻らなくてもよい。いくつかの例では、電子モジュール120が最初にオフ状態を出る時、コントローラがその内部クロック(例えば、内部カウンタ)をスタートすることができ、電子モジュール120によって生成される任意のタイムスタンプデータはコントローラの内部クロックに基づく相対時間とすることができる。したがって、内部クロックは、電子モジュール120がオフ状態から出るときにスタートするカウンタとして働くことができる。代替的または追加的に、コントローラは、実際の時間(例えば、2017年11月18日、EST午後4時5分)を認知している内部システムクロックを含むことができ、タイムスタンプデータは、実際の時間を含むことができる。そのような例では、その現実時間クロック発信回路を動かし、そのシステムクロックを更新するために、オフ状態においてコントローラが電力を使用することができる。
【0047】
上述のように、電子モジュール120がアクティブ状態である間、電子モジュール120は、測定モード、データ格納/データ処理モード、通知モード、および/または接続モードなどの1つまたは複数のモードで動作することができる。スリープ状態では、スイッチ130およびコントローラはバッテリ126から電力を受け取り続けることができ、コントローラはその発振回路を動作させ続け、そのシステムクロックを定期的に更新することができる(例えば、電子モジュール120が最初にオフ状態から出たときにスタートされた内部カウンタを増分し続ける)。いくつかの実施例では、コントローラは250μsごとにシステムクロックを定期的に更新することができる。
【0048】
さらに、スリープ状態にある間、コントローラは、電子モジュール120の1つまたは複数の追加の構成要素を制御するために、バッテリから電力を受け取ることができる。例えば、通知モードの間、コントローラは、データが吸入装置100上に格納され、無線ダウンロードのために利用可能であることを外部デバイスに無線で「通知」するために、通信回路129に定期的に電源を投入してもよい。通信回路129はスリープ状態にあるとき、電子モジュール120の電力消費を管理するのに適した任意の間隔(例えば、アクティブ状態中にパケットを送信することができる間隔と比較して)で、通知パケットを送信することができる。例えば、電子モジュール120がスリープ状態で動作しているとき、通知パケットは10秒毎に送信されてもよい。電子モジュール120は、他の電力状態のいずれよりも多く、スリープ状態において時間を費やしうることが理解されるであろう。したがって、吸入装置100の寿命にわたって、所与の通知レートで、電子モジュール120はスリープ状態で最も多くの電力を消費することができる。
【0049】
測定モードでは、電子モジュール120のコントローラが、センサシステム128に電力を供給することができる。コントローラは、センサシステム128に、所定の時間(例えば、60秒まで)および/またはマウスピースカバー108が閉じられるかまたは圧力の変化が検出されなくなるまで、圧力測定値を読み取らせることができる。コントローラは、電力をさらに節約するために、センサシステム128が圧力測定値を取り込んでいる間、電子モジュール120の1つまたは複数の構成要素をオフにすることができる。センサシステム128は、任意の適切なレートで圧力をサンプリングすることができる。例えば、センサシステム128は、100Hzのサンプルレート、したがって10ミリ秒のサイクル時間を有することができる。センサシステム128は、測定サイクルが完了した後に、測定完了割り込みを生成することができる。割り込みは、コントローラを「ウェイク」するか、またはコントローラに電子モジュール120の1つまたは複数の構成要素をオンにさせることができる。例えば、センサシステム128が圧力測定値をサンプリングした後またはその間に、コントローラは、圧力測定データを処理および/または格納し、測定が完了すれば、センサシステム128の電源を切ることができる。
【0050】
データ格納/データ処理モードでは、コントローラが電子モジュール120内のメモリの少なくとも一部に電源を投入することができる。コントローラは、気流メトリックを決定するためにセンサシステム128からの読み取り値を処理して、その気流メトリックをメモリに記憶することができる。コントローラはまた、読み取り値および/または気流メトリックを1つまたは複数の閾値または範囲と比較して、吸入装置がどのように使用されているか(例えば、圧力読み取り値が、吸入なし、「良好な」吸入、呼気などに対応するかどうか)を評価することができる。比較の結果に応じて、コントローラは、インジケータを駆動して、吸入装置100のユーザにフィードバックを提供することができる。上述したように、電子モジュール120は、測定モード及びデータ格納/データ処理モードで同時に動作することができる。
【0051】
通知モードでは、コントローラは、通信回路129(例えば、Bluetooth(登録商標)無線)に電源を投入して、吸入装置100からデータが利用可能であり、無線ダウンロードの準備ができていることを外部デバイスに通知することができる。通知パケットは、通知モードにあるときに、電子モジュール120の電力消費を管理するのに適した任意の間隔および任意の持続時間で送信されうる。例えば、通信回路129は、3分間、100ミリ秒(ms)毎に通知パケットを送信することができる。さらに、通知レートは、電子モジュール120の特定の条件に基づいて変化してもよいことを理解されたい。例えば、通知レートは、電子モジュール120がスリープ状態から移行し、マウスピースカバー108が開位置に移動しない場合には「低速」(例えば、パケットが10秒毎に送信される)であってもよく、一方、測定及びデータ処理/格納が行われた後は、通知レートは「高速」(例えば、パケットが100ms毎に送信される)であってもよい。
【0052】
接続モードでは、通信回路およびメモリの電源が入れられ、電子モジュール120は、スマートフォンなどの外部デバイスと「ペアリング」されうる。コントローラはメモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに無線で送信することができる。コントローラはメモリに現在格納されているデータのすべてを取り出し、送信することができる。また、コントローラは、メモリに現在記憶されているデータの一部を取り出して送信することもできる。例えば、コントローラはどの部分が既に外部デバイスに送信されているかを決定し、次いで、以前に送信されていない部分を送信することができる。あるいは、外部デバイスは、特定の時間の後、または外部デバイスへの最後の送信の後、電子モジュール120によって収集された任意のデータなど、コントローラからの特定のデータを要求することができる。コントローラはもしあれば、メモリから特定のデータを取り出し、その特定のデータを外部デバイスに送信できる。
【0053】
電子モジュール120は、マウスピースカバー108の位置および/または所定の時間の経過などの特定の条件またはイベントに基づいて、電力状態あるいは動作モードの間を遷移することができる。例えば、マウスピースカバー108を閉じ、電子モジュール120をシステムオフ状態またはスリープ状態にすることができる。マウスピースカバー108が閉位置から開位置に移動すると、スイッチ130がアクチュエートされうる。スイッチ130のアクチュエートにより、電子モジュール120は1つの状態(例えば、システムオフ状態またはスリープ状態)から別の状態(例えば、アクティブ状態)に遷移することができる。さらに、スイッチ130の作動により、電子モジュール120は、測定モードおよび/またはデータ格納/データ処理モードなどの1つまたは複数の動作モードで動作を開始することができる。例えば、
図6A~Bは、吸入装置100に関連する1つまたは複数の電力状態および/または動作モードの間で遷移するための例示的なプロセスを示す、例示的なフロー
図200を示す。
【0054】
さらに、電子モジュール120は、マウスピースカバー108がユーザによって初めて開かれる(例えば、吸入装置100をそのパッケージから取り出した後、ユーザによるマウスピースカバー108の最初の開放)前は、システムオフ状態であり得ることを理解されたい。その後、マウスピースカバー108が閉状態に戻されると、電子モジュール120は(オフ状態ではなく)スリープ状態になるだろう。ユーザが吸入装置100を使用し続けると、電子モジュール120は、例えば1つまたは複数のイベント(例えば、マウスピースカバー108の開/閉、タイムアウト時間の満了、閾値を超える圧力測定値の検出(例えば、ユーザ吸入を示す)、外部デバイスへの通知など)に基づいて、スリープ状態とアクティブ状態との間で切り替わるだろう。
【0055】
図5A~
図5Dは、吸入装置100の内部動作の一例を説明する。吸入装置100の他の実施例は、本明細書で説明される動作のサブセットを含み得ることを理解されたい。
図5Aを参照して、スライダ140の遠位端145は、主ハウジング104内に存在するヨーク118に当接するように構成することができる。マウスピースカバー108が閉位置にあるとき、スライダ140のアーム142は、スイッチ130と接触していなくてもよい。また、スライダばね144とベローズばね114とは、圧縮された状態であってもよい。ユーザがマウスピース106を露出させるためにマウスピースカバー108を開け始めると、ヨーク118は例えば、ヨーク118とマウスピースカバー108との間の機械的接続により、主ハウジング104内で上方に移動することができる。ヨーク118の上方への動きは、スライダ140を頂部キャップ102内で上方に移動させ、例えば
図5Bに示すように、スライダばね144及びベローズばね114を更に圧縮する。
【0056】
マウスピースカバー108が完全に開いた状態に向かって移動し続けると、例えば
図5Cに示すように、マウスピースカバー108は(例えば、ベローズばね114によって加えられる下向きの力によって)ヨーク118を主ハウジング104内に降下させることができる。ヨーク118の動きは(例えば、スライダばね144によって加えられる下向きの力によって)スライダ140を降下させることができ、それによって、スライダ140のアーム142がスイッチ130と係合し、スイッチ130をアクチュエートしはじめることができる。スライダ140の遠位端145がヨーク118の頂部に留まりうるので、スライダ140の下方への移動は、ヨーク118の位置によって制限されうる。
【0057】
マウスピースカバー108が開き続けると、
図5Dに示すように、スライダ140のアーム142がスイッチ130を作動させ、スイッチ130は、電子モジュール120にオフ状態またはスリープ状態からアクティブ状態へのような状態を変化させるシグナルを生成することができる。したがって、電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128が圧力測定値を読み取ることを可能にするために、起動し、センサシステム128に電力を提供することができる。さらに、マウスピースカバー108の開放によって生じるヨーク118の動きはまた、ヨーク118にベローズ112を圧縮させて、薬剤のボーラスを薬剤リザーバ110から投薬カップ116に送達させ得、その結果、薬剤が流路119に利用可能にされる。薬剤は、ユーザがマウスピース106から吸入する時、投薬カップ116から流路を通ってマウスピース106から送達されうる。
【0058】
図6A~Bは、吸入装置100に関連する1つまたは複数の電力状態および/または動作モードの間で遷移するための例示的な手順200を示す。吸入装置100に関して記載されているが、任意の吸入装置が手順200を実行することができる。手順200がスタートする時、吸入装置100の電子モジュール120は、オフ状態202にあり得る。マウスピースカバー108は閉位置にありえ、電子モジュール120が202でオフ状態にあるとき、ユーザは、マウスピースカバー108を初めて開いていなくてもよい。本明細書で言及されるように、オフ状態は、電子モジュール120による電力消費がほとんどまたは全くないことを特徴とすることができる。204において、電子モジュール120は、マウスピースカバー108が開位置に移動されたかどうかを判定することができる。マウスピースカバー108は開位置に動かされていないと電子モジュール102が判定した場合、電子モジュール120は202でオフ状態にあってもよい。
【0059】
電子モジュール120が204において、マウスピースカバー108が開位置に移動されたと判定した場合、206において、電子モジュール120はシステムアクティブ状態に入ることができる。アクティブ状態はオフ状態(例えば、およびスリープ状態)よりも大きな電力消費によって特徴付けることができる。アクティブ状態にあるとき、電子モジュール120は、測定モード、データ格納/データ処理モード、通知モード、および/または接続モードなど、1つまたは複数のモードで動作することができる。例えば、マウスピースカバー108を開くことが、スイッチ130をアクチュエートさせてもよい。スイッチ130のアクチュエートは、電子モジュール120をオフ状態からアクティブ状態に遷移させることができる。
【0060】
アクティブ状態にある間、また、マウスピースカバー108が開かれた後、電子モジュール120は、208で測定モードに入ることができる。測定モードの間、電子モジュール120はセンサシステム128に電力を供給することができ、センサシステム128に、所定の時間(例えば、60秒まで)および/またはマウスピースカバー108が閉じられるまで、または圧力の変化が検出されなくなるまで、圧力測定値を取得させることができる。
【0061】
いくつかの実施例では、電子モジュール120は、圧力測定サイクルが完了するまで、測定モードのままであってもよい。圧力測定サイクルは、所定の時間および/または特定のイベントが検出されるまで、持続してもよい。例えば、マウスピースカバー108が閉じられ、スライダ140がスイッチ130から係合解除されたとしても、圧力測定サイクルは60秒まで持続してもよい。あるいは、圧力測定サイクルが60秒まで、またはマウスピースカバー108が閉じられるまで、または圧力の変化が10秒間検出されなくなるまで、どちらが最初に来るかにかかわらず、継続してもよい。前述の条件は単なる例であり、任意の適切なクライテリアが用いられうることが理解されるであろう。
【0062】
212において、電子モジュール120は、データ処理/データ格納モードに入ることができる。データ処理/データ格納モードの間、電子モジュール120は、電子モジュール120内のメモリの少なくとも一部に電源を投入することができる。電子モジュール120は、センサシステム128からの読み取り値を処理して、吸入パラメータ/メトリックを決定し、吸入パラメータ/メトリックをメモリに格納しうる。電子モジュール120はまた、読み取り値および/または吸入パラメータ/メトリックを1つまたは複数の閾値または範囲と比較して、吸入装置がどのように使用されているか(例えば、圧力読み取り値が吸入なし、「良好な」吸入、呼気などに対応するかどうか)を評価することができる。比較の結果に応じて、電子モジュール120は、インジケータを駆動して、吸入装置100のユーザにフィードバックを提供することができる。
【0063】
手順200によって図示されていないが、電子モジュール120は、測定モードおよびデータ格納/データ処理モードで同時に動作することができる。例えば、電子モジュール120は、測定モードとデータ処理/データ格納モードとの間でスイッチする(例えば、定期的に切り替える)ことができる。例えば、電子モジュール120が圧力測定値を受信した後またはその間に、電子モジュール120は、圧力測定データを処理および/または格納することができる。
【0064】
電子モジュール120は、センサシステム128からの圧力測定値を処理し、格納するために、所定の時間、データ記憶/データ格納モードのままであってもよい。例えば、電子モジュール120は、60msまでの間、データ格納/データ処理モードのままであってもよい。電子モジュール120は例えば、50msまでを使用して、処理し、圧力測定値から気流メトリックを計算し、10msまでを使用して圧力測定値および/または気流計量をメモリに格納できる。あるいは、電子モジュール120は、コントローラが圧力測定値および/または気流メトリックを処理し、格納するのに要する時間のどれでもの間、データ格納/データ処理モードのままであってもよい。
【0065】
電子モジュール120は、216で通知モードに入ることができる。例えば、電子モジュール120は、データ処理及びデータ格納のための所定の期間が経過した後、またはコントローラがそのような処理及び格納が完了したと判断した後に、通知モードに入ることができる。通知モードの間、電子モジュール120は、データが吸入装置100から利用可能であり、無線ダウンロードの準備ができていることを外部デバイスに通知するために、通信回路129(例えば、Bluetooth(登録商標)無線)に電力を供給することができる。通知パケットは、通知モードにあるときに、電子モジュール120の電力消費を管理するのに適した任意の間隔および任意の持続時間で送信することができる。例えば、通信回路129は、3分間、100ミリ秒(ms)毎に通知パケットを送信することができる。さらに、通知レートは、電子モジュール120の特定の条件に基づいて変化してもよいことが理解されるべきである。例えば、電子モジュール120がスリープ状態から移行し、マウスピースカバー108が開位置に移動しない場合(例えば、230から216に移行する場合)、通知レートは「低速」(例えば、パケットが10秒毎に送信される)であってもよく、一方、通知レートは測定及びデータ処理/格納が行われた後(例えば、212から216に移行する場合)、通知レートは「高速」(例えば、パケットが100ms毎に送信される)であってもよい。
【0066】
218で、電子モジュール120は、外部デバイスが範囲内にあるかどうかを決定することができる。外部デバイスが、通知モード中に電子モジュール120の特定の範囲内に入らない場合、電子モジュール120は、220で、通知時間(例えば、3分)が経過したかどうかを判定できる。通知時間は、電子モジュール120が電力状態を変更する前に外部デバイスに通知し続ける期間であってもよい。通知時間が経過していない場合、電子モジュール120は、216において、外部デバイスに通知し続けることができる。しかし、通知時間が経過した場合、電子モジュール120は、222でスリープ状態に移行することができる。スリープ状態は、オフ状態よりも電力消費が大きいが、オン状態よりも電力消費が少ないことを特徴とすることができる。
【0067】
電子モジュール120は、所定の時間、またはマウスピースカバー108が閉位置から開位置に移動したと電子モジュールが判断するまで、スリープ状態のままであってもよい。例えば、電子モジュール120は、スリープ状態とアクティブ状態の通知モード(例えば、低速通知モード)との間で、周期的に切り替えることができる。例えば、224において、電子モジュール120は、マウスピースカバー108が閉位置から開位置に移動したかどうかを判定することができる。マウスピースカバー108が開位置に移動された場合、電子モジュール120は、206でアクティブ状態に入ることができる。例えば、マウスピースカバー108を開くことにより、スイッチ130をアクチュエートさせることができる。スイッチ130のアクチュエートは、電子モジュール120をスリープ状態からアクティブ状態に遷移させることができる。
【0068】
電子モジュール120が、マウスピースカバー108が閉位置に留まっていると判定した場合、電子モジュール120は、230において、スリープ時間(例えば、10秒)が経過したかどうかを判定することができる。230でスリープ時間が経過していない場合、電子モジュール120はスリープ状態に留まり、222に戻ることができる。しかし、230でスリープ時間が経過した場合、電子モジュール120は、216でアクティブ状態の通知モードに戻ることができる。電子モジュール120が230から216に遷移するとき、電子モジュール120は、電子モジュール120が212から216に遷移するときと比較して、異なる、場合によってはより遅いレートで通知することができる(例えば、100ms毎に1回に対して、10秒毎に1回など)。こうすると、電子モジュール120は、そのような通知モードの間、より少ないバッテリ電力を使用しうる。さらに、電子モジュール120は、通知時間およびスリープ時間に基づいて(例えば、マウスピースカバー108が閉位置にある間に)、アクティブ状態とスリープ状態との間で周期的に切り替わってもよい。
【0069】
218に戻って、外部デバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレット)が通知モード中に電子モジュール120の特定の範囲内に入る場合、電子モジュール120は、外部デバイスと「ペア」になり、226において接続モードに入ることができる。接続モードでは、電子モジュール120が通信回路およびメモリに電源を投入することができる。電子モジュール120は、メモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに無線で送信することができる。228で、電子モジュール120は、送信が完了したか、または外部デバイスが通信範囲外であるかを判定することができる。送信が完了しておらず、外部デバイスが通信範囲内にある場合、電子モジュール120は接続モードのままである。しかし、送信が完了した場合、または外部デバイスが通信範囲外である場合、電子モジュール120は222でスリープ状態に遷移する。
【0070】
接続モードの間、電子モジュール120はメモリに現在格納されているデータのすべてを取り出して送信することができ、またはコントローラは、メモリに現在格納されているデータの一部を取り出して送信することができる。例えば、コントローラはどの部分がすでに外部デバイスに送信されているかを決定し、次いで、(例えば、内部カウンタに基づいて)以前に送信されていない部分を送信することができる。代替的にまたは追加的に、外部デバイスは、特定の時間の後または外部デバイスへの最後の送信の後に電子モジュール120によって収集された任意のデータのような、電子モジュール120からの特定のデータを要求することができる。電子モジュール120はもしあれば、メモリから特定のデータを取り出し、その特定のデータを外部デバイスに送信することができる。
【0071】
さらに、外部デバイスに接続されると、電子モジュール120は、モジュール120に格納されたレコードへのアクセスを管理するためのBluetooth(登録商標)スペシャル・インタレスト・グループ(SIG)のキャラクタリスティックを送信するように構成されてもよい。Bluetooth(登録商標)SIGのキャラクタリスティックは、吸入装置100の製造業者名、吸入装置100のシリアル番号、吸入装置100のハードウェアリビジョン番号、および/または吸入装置100のソフトウェアリビジョン番号のうちの1つまたは複数を含むことができる。外部デバイスに接続されると、電子モジュール120は、メモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに送信することができる。
【0072】
吸入装置100は、接続モードにあるときに、吸入イベント、吸入パラメータ、圧力測定値、マウスピースカバー108イベント、エラーイベント、吸入装置の動作特性(例えば、残りのバッテリ寿命)、および/または関連するタイムスタンプ(例えば、内部カウンタに基づく)を外部デバイスに送信することができる。例えば、スイッチ130によって生成されたシグナル、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または電子モジュール120のコントローラによって計算された気流メトリックが、タイムスタンプされ、メモリに格納されうる。前述のデータは、吸入装置100に関連する様々な使用パラメータを示すことができる。例えば、スライダ140の移動がスイッチ130を「オン」と「オフ」との間で遷移させると、電子モジュール120のコントローラはスイッチ130からのシグナルを使用して、各遷移を記録し、タイムスタンプすることができる。さらに、「オン」と「オフ」との間のスイッチ130の遷移はマウスピースカバー108の位置(例えば、開または閉)に相関し得るので、電子モジュール120は、経時的にマウスピースカバー108の位置を検出および追跡し得る。電子モジュール120は吸入装置100の流路119を通る薬剤の送達を妨害することなく、マウスピースカバー108の状態を感知し、追跡できることが理解されるであろう。
【0073】
圧力測定値および/または計算された気流メトリックは、吸入装置100からの吸入の質または強度を示すことができる。例えば、特定の閾値または値の範囲と比較した場合、読み取り値および/またはメトリックは、吸入を、良好な吸入イベント、低吸入イベント、吸入なしイベント、または過剰吸入イベントなどの特定のタイプのイベントとして分類するのに使用されうる。
【0074】
吸入なしイベントは、圧力測定値および/または30Lpm未満の空気流量などの特定の閾値未満の気流メトリックと関連付けることができる。吸入なしイベントは、マウスピースカバー108を開いた後、および測定サイクル中に、ユーザがマウスピース106から吸入しない場合に起こり得る。吸入なしイベントはまた、吸気努力が脱凝集器121を作動させ、したがって投薬カップ116内の薬剤をエアロゾル化するのに不十分な空気流を生成する場合など、ユーザの吸気努力が流路119を介した薬剤の適切な送達を確実にするのに不十分である場合にも起こり得る。
【0075】
低吸入イベントは、圧力測定値および/または30Lpm~45Lpmの間の空気流量などの特定の範囲内の気流メトリックと関連付けることができる。低吸入イベントは、ユーザがマウスピースカバー108を開いた後にマウスピース106から吸入し、ユーザの吸気努力により、少なくとも部分的な用量の薬剤が流路119を介して送達される場合に起こり得る。すなわち、吸入は、薬剤の少なくとも一部が投薬カップ116からエアロゾル化されるように、脱凝集器121を作動させるのに十分であり得る。
【0076】
良好な吸入イベントは、圧力測定値および/または45Lpm~200Lpmの間の空気流量などの、低吸入イベントより上の気流メトリックと関連付けることができる。良好な吸入イベントは、ユーザがマウスピースカバー108を開いた後にマウスピース106から吸入し、吸気努力が脱凝集器121を作動させ、投薬カップ116内の薬剤の全用量をエアロゾル化するのに十分な空気流を生成する場合など、ユーザの吸入気力が、流路119を介した薬剤の適切な送達を確実にするのに十分である場合に発生し得る。
【0077】
過剰吸入イベントは、圧力測定値および/または200Lpmを超える空気流量などの、良好な吸入イベントを超える気流メトリックに関連し得る。過剰吸入イベントは、ユーザの吸気努力が吸入装置100の通常の動作パラメータを超えたときに発生することがある。過剰吸入イベントはまた、ユーザの吸気努力が正常範囲内であっても、装置100が使用中に適切に配置または保持されていない場合にも起こり得る。例えば、ユーザがマウスピース106から吸入している間に空気ベント126が(例えば、指または親指によって)ブロックまたは閉塞される場合、計算される空気流量が200Lpmを超えうる。
【0078】
任意の適切な閾値または範囲が、特定のイベントを分類するために使用され得ることが理解される。さらに、イベントの一部または全部が使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、吸入なしイベントは45Lpm未満の空気流量と関連付けられ、また、良好な吸入イベントは45Lpmと200Lpmとの間の空気流量と関連付けられうる。このように、低吸入イベントが場合によっては全く使用されないこともある。
【0079】
圧力測定値および/または計算された気流メトリックは、吸入装置100の流路119を通る流れの方向を示すこともできる。例えば、圧力測定値が負の圧力変化を示す場合、この読み取り値は、流路119を介してマウスピース106から流出する空気を示し得る。圧力測定値が正の圧力変化を示す場合、この読み取り値は、流路119を介してマウスピース106に流入する空気を示し得る。したがって、圧力測定値および/または気流メトリックは、ユーザがマウスピース106に息を吐いているかどうかを判定するために使用されることができ、これは、ユーザが装置100を適切に使用していないことを知らせることができる。
【0080】
スイッチ130によって生成されたシグナル、センサシステム128によって取得された圧力測定値および/または電子モジュール120のコントローラによって計算された気流メトリックをタイムスタンプし、格納することによって、電子モジュール120によって収集、格納されたデータが、所与の期間にわたって使用パラメータが適切であるか、または適切であるかを判定するために用いられうる。こうして、データは、過剰使用イベント、過少使用イベント、または適切使用イベントなどの他のイベントを示すことができる。
【0081】
例えば、吸入装置100のユーザは、毎日吸入装置100を介して2回分の薬剤を服用するように、医師によって処方されうる。さらに、吸入装置100に含まれる薬剤は、(安全および規制目的のために)毎日8回を超えない回数で摂取されることが承認されうる。過剰使用イベントは、電子モジュール120が24時間の間に2回を超える良好な吸入を記録した場合(すなわち、実際の投与量が処方された投与回数を超えている場合)、および/または電子モジュール120が24時間の間に8回を超える良好な吸入を記録した場合(すなわち、実際の投与量が規制によって承認された投与回数を超えている場合)に、起こり得る。電子モジュール120が24時間の間に2回未満の良好な吸入を記録した場合(すなわち、実際の投与量が処方された投与回数未満である場合)に、過小使用イベントが起こり得る。適切使用イベントは、電子モジュール120が24時間の間に2回の良好な吸入を記録する場合(すなわち、実際の投与量が処方された投与量の数未満である場合)に起こり得る。適切使用イベントは、アドヒアラントなユーザを示すことができることを理解されたい。また、処方された投薬スケジュールおよび/または最大承認投薬スケジュールは、吸入装置100に含まれる薬剤のタイプに依存し得ることがさらに理解されるだろう。さらに、イベントは、1日に2回、1週間に14回、1ヶ月に60回など、任意の適切な期間にわたる任意の適切な回数の用量を使用して定義することができる。
【0082】
電子モジュール120によって収集、格納されたデータはまた、吸入デバイス100から送達された用量の数を推定するために、および/または、薬剤リザーバ110に残っている用量の数を推定するために、使用され得る。例えば、マウスピースカバー108のオープンを通じてスイッチ130が作動されるたびに、スイッチ130によって生成されるシグナルは、用量送達イベントとして計数され得る。したがって、吸入装置100は、マウスピースカバー108が60回開かれると、60回分の投与量を送達したとみなすことができる。吸入装置100は、薬剤リザーバ110内に十分な薬剤を格納して、合計200用量など所定の合計用量を送達するように構成されてもよい。そうすると、吸入装置100は、マウスピースカバー108が60回開かれた後は、140回分の投与量が残っているとみなすこともできる。
【0083】
上述したように、薬剤の以前の用量が脱凝集器121によって適切にエアロゾル化されなかった場合および/または投薬カップ116から移送されなかった場合、ユーザがマウスピースカバー108を開いても、薬剤は薬剤リザーバ110から送達されないだろう。つまり、マウスピースカバー108の開放に基づいて用量の数を計数することは、例えば、ユーザがマウスピース106から吸入することなくマウスピースカバー108を開閉する場合、装置100によって送達される実際の用量の数を正確に反映しない場合があることが理解されるであろう。したがって、送達されたおよび/または装置100内に残存する用量の数を決定するように、電子モジュール120内の他のデータが使用され、および/またはスイッチ130からのシグナルと組み合わせられうる。例えば、用量は、計算された気流メトリックが閾値を超えるかまたは良好な吸入イベントが記録されたときのような特定の範囲内にある毎に、送達されたものとして計数されてもよい。送達されたおよび/または残存する用量の数を計算および追跡することによって、電子モジュール120は、補充イベントを特定するように構成されることができ、この補充イベントは、ユーザが新しい吸入装置100を入手することを考慮すべき時間を示しうる。
【0084】
電子モジュール120によって収集され格納されたデータはまた、モジュール120の動作に関連する様々なエラー状態を決定するために使用されてもよい。例えば、データを処理するときに、電子モジュール120は、不良データフラグ、データ破損フラグ、タイムスタンプエラーフラグなどを生成することができる。電子モジュール120は、センサシステム128から受信した1つまたは複数のシグナルが所定の範囲外にあると電子モジュール120のコントローラが判断した場合に、不良データフラグを生成することができ、これは、センサシステム128の誤動作を示す可能性がある。電子モジュール120は、コントローラのデータの巡回冗長検査(CRC)がメモリに格納されているものと一致しない場合に、データ破損フラグを生成することができ、これは、メモリの誤動作および/またはメモリ内のデータが破損したことを示すことができる。電子モジュール120は、コントローラがバッテリ126との電気的接続を失ったときにタイムスタンプエラーフラグを生成し、コントローラのシステムクロックをリセットさせることができる。コントローラのシステムクロックがリセットされると、コントローラは、最後に記憶されたカウンタ値からそのクロックを再開することができる。
【0085】
電子モジュール120(例えば、および/または外部デバイス上に存在するモバイルアプリケーション)はまた、記録されたイベントをある期間にわたって分析して、多発エラーイベントを同定することができ、このエラーイベントは、吸入装置100の適切な動作に精通していないユーザ、したがってさらなる訓練を必要としうるユーザを示す使用パターンを含み得る。例えば、電子モジュール120は、所定の期間にわたる、および/またはマウスピースカバー108の所定の開口回数にわたる、良好な吸入イベントの回数を見ることができる。多発エラーイベントは、ユーザが過去1週間にわたり2回の良好な吸入イベントしか有していなかった場合、またはマウスピースカバー108の直近12回の開口のうち6回以下の良好な吸入しか有していない場合に生じうる。前述の条件は単に例示的なものであり、任意の適切な使用パターンを使用して、多発エラーイベントを定義することができることを理解されたい。
【0086】
電子モジュール120によって収集、格納されたデータは、バッテリ126に残っている電力量を評価するために使用されてもよい。例えば、コントローラは、バッテリが所定の残量(例えば、10%未満)未満の残量を有するかどうかのような、低バッテリイベントまたは状態が存在するか否かを決定することができる。
【0087】
電子モジュール120は、吸入装置100に関連する使用パラメータを決定するために、メモリに格納されたデータ(例えば、スイッチ130によって生成されたシグナル、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/またはPCB122のコントローラによって計算された気流メトリック)を処理および分析し得ることが理解されるであろう。例えば、電子モジュール120は、吸入なしイベント、低吸入イベント、良好な吸入イベント、過剰吸入イベント、および/または呼気イベントを同定するために、データを処理しうる。また、電子モジュール120は、過小使用イベント、過剰使用イベント、および適切使用イベントを同定するためにデータを処理することもできる。電子モジュール120は、送達および/または残存する用量の数を推定するため、および、タイムスタンプエラーフラグに関連するものなどのエラー状態を同定するために、データをさらに処理できる。電子モジュール120は、1つまたは複数のLEDなどのインジケータを使用して、吸入装置100の前述の使用パラメータの一部またはすべてをユーザに通知することができる。一例として、電子モジュール120は、良好な吸入イベントを示すためにLEDを点灯させてもよく、または、低吸入イベントまたは吸入なしイベントを示すためにLEDの色を変化させてもよい。使用パラメータは、光のシーケンスおよび/または光のカラースキームの任意の組み合わせを介してユーザに示されうる。
【0088】
さらに、電子モジュール120のメモリに格納されたデータ(例えば、スイッチ130によって生成されたシグナル、センサシステム128によって取得された圧力測定値、および/または電子モジュール120のコントローラによって計算された気流メトリック)は、外部デバイスに送信されてもよく、外部デバイスは、データを処理および分析して、吸入デバイス100に関連する使用パラメータを決定してもよいことが理解されるのであろう。さらに、モバイル機器上に存在するモバイルアプリケーションは、電子モジュール120から受信したデータに基づいて、ユーザのためのフィードバックを生成することができる。例えば、モバイルアプリケーションは毎日、毎週、または毎月のレポートを生成し、エラーイベントまたは通知の確認を提供し、ユーザに教育的なフィードバックおよび/または同様のものを提供することができる。
【0089】
図8は、吸入装置302、外部デバイス(例えば、モバイル機器304)、公衆および/またはプライベートネットワーク306(例えば、インターネット、クラウドネットワーク)、ヘルスケアプロバイダ308、およびサードパーティ310(例えば、友人、家族、製薬メーカーなど)を含む、例示的なシステム300の図である。モバイル機器304は、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)スマートフォン、Android(登録商標)スマートフォン、またはBlackberry(登録商標)スマートフォン)、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、無線対応メディアデバイス(例えば、MP3プレイヤー、ゲーム機器、テレビ、メディアストリーミングデバイス(例えば、Amazon Fire TV(商品名)、Nexus Player(商品名)など)など)、タブレット(例えば、iPad(登録商標)ハンドヘルドコンピュータデバイス)、Wi-Fiもしくは無線通信対応テレビ、または任意の他のインターネットプロトコル対応機器である。例えば、モバイル機器304は、Wi-Fi通信リンク、Wi-MAX通信リンク、Bluetooth(登録商標)またはBluetoothSmart通信リンク、近距離通信(NFC)リンク、セルラー通信リンク、テレビジョンホワイトスペース(TVWS)通信リンク、またはそれらの任意の組合せを介して、RFシグナルを送信および/または受信するように構成されてもよい。モバイル機器304は、公衆および/またはプライベートネットワーク306を通じて、ヘルスケアプロバイダ308および/または1つまたは複数のサードパーティ310(たとえば、友人、家族、製薬会社など)にデータを移送することができる。
【0090】
吸入装置302は、吸入装置100の一例であってもよい。吸入装置302は、データをモバイル機器304に移送するためのBluetooth無線などの通信回路を含むことができる。データは、スイッチ130によって生成されたシグナル、センサシステムによって取得された圧力測定値、および/または電子モジュールのコントローラによって計算された気流メトリックを含むことができる。吸入装置302は例えば、プログラム命令、オペレーティングシステム変更、用量情報、警告または通知、受け取り通知などのデータを、モバイル機器304から受信することができる。
【0091】
モバイル機器304は、吸入デバイス302に関連する使用パラメータを決定するために、データを処理し、分析することができる。例えば、モバイル機器304は、吸入なしイベント、低吸入イベント、良好な吸入イベント、過剰吸入イベントおよび/または呼気イベントを同定するよう、データを処理しうる。モバイル機器304はまた、過小使用イベント、過剰使用イベント、および適切使用イベントを同定するよう、データを処理しうる。モバイル機器304は、データをさらに処理して、送達および/または残存する用量の数を予測し、タイムスタンプエラーフラグに関連するものなどのエラー状態を同定することができる。モバイル機器304は、ディスプレイ上のGUIを通じて使用パラメータを視覚的に提示するためのディスプレイおよびソフトウェアを含みうる。
【0092】
さらに、いくつかの実施例では、吸入装置300は、モバイル機器304とのペアリングプロセスを開始するためのアクチュエータを含みうる。しかし、吸入装置300は、ペアリングプロセスを容易にするための他の手段を含むことができる。例えば、吸入装置300の頂部キャップは、QuickResponse(QR)コードを含むことができる。モバイル機器304は、カメラにアクセスし、QRコード(登録商標)を読み取るためのカメラおよびソフトウェアアプリケーションを含みうる。QRコード(登録商標)は、吸入装置300に固有のBLEパスキーを含むことができる。カメラを使用してQRコード(登録商標)を読み取るか、またはスキャンすると、ソフトウェアアプリケーションは、装置300に関連するBLEパスキーを受信し、認証プロセスを完了することができ、それによってソフトウェアアプリケーションは、BLEパスキーを使用して電子モジュールと通信することができる。例えば吸入装置300が範囲外に移動し、次いで通信セッションが失われる場合、モバイル機器304は、吸入装置300が範囲内に戻るとき、BLEパスキーを使用して、QRコード(登録商標)を使用することなく電子モジュールと自動的にペアリングするように構成され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに薬剤を送達するための吸入器であって、当該吸入器は:
用量の薬剤が前記ユーザに送達されるように構成された流路を含むマウスピースと;
マウスピースカバーが前記マウスピースを露出するように動かされたとき、薬剤の用量がユーザ吸入のために前記流路に利用可能となるように、前記用量を準備するように構成された前記マウスピースカバーと;
前記流路に固定された空気ベントであって、前記吸入器の外部から前記流路への空気の流れを提供するように構成された前記空気ベントと;
コントローラと、センサと、通信回路とを備えた電子モジュールとを有し、
前記センサは、前記マウスピースを介した吸入に応答してシグナルを発生するように構成されており、
前記コントローラは、薬剤の用量を前記流路に利用可能とし、前記マウスピースを露出する前記吸入器のマウスピースカバーの閉位置から開位置までの動きに応じてマウスピースカバー開イベントを生成し、前記センサから前記シグナルを受信し、前記流路内の流量が閾値を超えることを示す前記シグナルに応答して吸入イベントを生成し、かつ、前記通信回路に前記吸入イベントおよび前記マウスピース開イベントを外部デバイスに送信するように構成されている、
吸入器。
【請求項2】
前記コントローラは、前記流路内の流量が閾値を超えていないことを示す前記シグナルに応答して吸入なしエラーイベントを生成し、前記通信回路に前記吸入なしエラーイベントを前記外部デバイスに送信するように構成されている、請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
前記コントローラは、前記マウスピースカバーの前記閉位置から前記開位置への移動に応答して測定サイクルを開始し、
前記流路内の前記流量が前記測定サイクル中に閾値を超えないことを示す前記シグナルに応答して前記吸入なしエラーイベントを生成し、
前記測定サイクルは、所定の期間、または、前記マウスピースカバーが前記開位置から前記閉位置に移動するまでのいずれか早い方まで持続する、
請求項2に記載の吸入器。
【請求項4】
前記センサは、圧力センサであり、
前記圧力センサは、前記マウスピースへの呼気から生じる吸入器内の圧力変化を測定するように構成されており、
前記コントローラは、呼気閾値を超える圧力の正への変化を示す前記圧力測定データに応答して呼気イベントを生成し、前記通信回路に前記呼気イベントを前記外部デバイスに送信させるように構成されている、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項5】
前記マウスピースカバー開イベントは、前記吸入器のリザーバから薬剤の用量が送達されたことを示す、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項6】
前記マウスピースカバー開イベントは、前記ユーザによる吸入のために前記薬剤の用量が準備されたことを示す、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項7】
前記コントローラは、前記シグナルに基づいて一または複数の吸入パラメータを決定し、前記通信回路に前記吸入パラメータを前記外部デバイスに無線で送信させるように構成されており、
前記吸入パラメータが、ピーク流量、ピーク流量までの時間、吸入量および吸入時間を含む、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項8】
前記流路に結合された投薬チャンバであって、前記マウスピースから吸入中に前記投薬の用量を前記流路に送達するように構成された前記投薬チャンバと;
前記吸入器に固有の通信パスキーを含み、前記吸入器の前記電子モジュールとの無線通信を可能にするクイックレスポンス(QR)コードとを含む、
請求項1に記載の吸入器。
【請求項9】
マウスピース、空気ベント、コントローラ、メモリ、センサおよび通信回路を備えた装置を用いて薬剤を送達するための吸入器の使用状況を検出する方法であって、当該方法は:
前記吸入器のマウスピースカバーが閉位置から開位置に移動するのに応答して:
マウスピースカバー開イベントを作成させ;
前記マウスピースカバーが前記マウスピースを露出するように移動することにより前記吸入器の流路に薬剤の用量が届くように前記薬剤の用量を準備し;
かつ、前記コントローラに前記センサを起動させ;
前記マウスピースを介する吸入に応答してシグナルを発生する工程であって、前記吸入は、前記マウスピースと前記空気ベントとの間の前記吸入器の前記流路に沿って空気を流れさせ;
前記シグナルに基づいて前記流路を通る空気流量を決定させ;
閾値を超える前記空気流量に基づいて吸入イベントを作成させ;
前記マウスピースカバー開イベントおよび吸入イベントを外部デバイスに送信する、
方法。
【請求項10】
前記空気流量が閾値を超えるか決定させ;
前記空気流量が前記閾値を超えたことの応答として過剰吸入イベントを作成させ;
前記過剰吸入イベントの通知を表示する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記過剰吸入イベントの通知は、吸入器の前記空気ベントが塞がれているか、妨げられていることを示す、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記センサは圧力センサを含み、
前記マウスピースへの呼気から生じる前記吸入器内の圧力の正の変化を測定させ、呼気閾値を超える圧力の正の変化に基づいて呼気イベントを作成させ、前記呼気イベントを前記外部デバイスに送信することをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記マウスカバーの前記閉位置から前記開位置への移動に応答して測定サイクルを開始させ;
前記測定サイクル中に前記閾値を超えない前記空気流量に基づいて吸入なしイベントを作成させ、前記測定サイクルは所定の期間または前記マウスピースカバーが前記開位置から前記閉位置へ移動されるまで、いずれか早い方まで持続し;
前記吸入なしイベントを前記外部デバイスに送信する、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
薬剤投与用吸入器の使用状況を検出するシステムであって、当該システムは:
吸入器と、外部デバイスに設けられたコンピュータ可読記憶媒体とを備え、
前記吸入器は、
薬剤の用量がユーザに送達されるように構成された流路を含むマウスピースと;
マウスピースカバーが前記マウスピースを露出するように動かされたとき、前記用量がユーザ吸入のために前記流路に利用可能となるように、前記用量を準備するように構成された前記マウスピースカバーと;
前記流路に固定された空気ベントであって、前記吸入器の外部から流路への空気の流れを促進するように構成された前記空気ベントと;
コントローラ、センサ、通信回路を備えた電子モジュールとを備え;
前記センサは前記マウスピースを介した吸入に応答してシグナルを生成し;
前記コントローラは前記センサより前記シグナルを受け取り、前記シグナルに基づいて前記流路を通る空気流量を決定し、閾値を超える前記空気流量に基づいて吸入イベントを作成させ、かつ、前記吸入器の前記マウスピースカバーが開位置に移動した後、所定の期間に前記空気流量が閾値を超えないこと、または、前記マウスピースカバーが前記開位置から閉位置に移動するまで前記空気流量が前記閾値を超えないことに基づいて吸入なしエラーを作成させ;
前記通信回路は、前記吸入イベントまたは吸入なしイベントおよび前記吸入の前記空気流量を外部デバイスに送信し、
前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記外部デバイスのプロセッサによって実行されると前記外部デバイスに、前記外部デバイスの無線インターフェースを介して前記吸入イベントを受信させ、前記空気流量が下限閾値と上限閾値の間にある場合、良好な吸入イベントを作成させ、前記空気流量が上限閾値を超える場合、前記吸入器の通気孔の閉塞を示す過剰吸入イベントを作成させるコンピュータ実行可能指令を有する、システム。
【請求項15】
前記センサは、圧力センサであり、
前記圧力センサは、前記マウスピースへの呼気から生じる吸入器内の圧力変化を測定するように構成されており、
前記コントローラは、呼気の閾値を超える圧力の正への変化を示す前記圧力測定データに応答して呼気イベントを生成するように構成されており、
前記通信回路は前記呼気イベントを前記外部デバイスに送信させるように構成されており、
前記ソフトウエアアプリケーションは、さらに、前記呼気イベントを受信し、前記外部デバイスの表示デバイスを介して前記呼気イベントの通知を表示するように構成されている、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記吸入器は、前記吸入器に固有の通信パスキーを含むクイックレスポンス(QR)コードを含み、
前記ソフトウエアアプリケーションは、前記QRコードを介して前記通信パスキーを受信し、前記吸入器と前記外部デバイスとの間の無線通信を可能とするようにさらに構成されている、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、前前記閉位置から前記開位置への前記吸入器の前記マウスピースカバーの移動に応答して測定サイクルを開始し、かつ、前記測定サイクル中に前記空気流量が下限閾値を超えない場合、吸入なしエラーイベントを作成するように構成され、
前記測定サイクルは、所定の期間または前記マウスピースカバーが前記開位置から前記閉位置に移動するまでのいずれか早い方まで持続し、
前記通信回路は、前記外部デバイスに前記吸入なしイベントを送信し、
前記外部デバイスのプロセッサによって実行されると、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記外部デバイスの前記プロセッサに前記吸入なしイベントを受信させ、前記外部デバイスの表示デバイスを介して前記吸入なしイベントの指示を表示させるように構成されている、
請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記薬剤の用量を前記流路に利用可能とし、前記マウスピースを露出させる前記閉位置から前記開位置への前記吸入器の前記マウスピースカバーの移動に応答してマウスピースカバー開イベントを作成し、
前記外部デバイスの前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記外部デバイスの前記プロセッサに、前記吸入器の前記コントローラから受信したマウスピースカバー開イベントの数に基づいて、前記吸入器のリザーバに残っている薬剤の用量数を決定させる、
請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記外部デバイスの前記プロセッサに実行されると、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記外部デバイスの前記プロセッサに、前記吸入器の前記コントローラから受信した吸入イベントの数にさらに基づいて前記リザーバに残っている薬剤の用量回数を決定するように構成されている、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記外部デバイスの前記プロセッサに実行されると、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記吸入器のコントローラから受信したマウスピースカバー開イベントの数に基づいて、前記外部デバイスの前記プロセッサに補充イベント通知を生成させるように構成されている、
請求項18に記載のシステム。
【外国語明細書】