IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルインコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ネスティングラック 図1
  • 特開-ネスティングラック 図2
  • 特開-ネスティングラック 図3
  • 特開-ネスティングラック 図4
  • 特開-ネスティングラック 図5
  • 特開-ネスティングラック 図6
  • 特開-ネスティングラック 図7
  • 特開-ネスティングラック 図8
  • 特開-ネスティングラック 図9
  • 特開-ネスティングラック 図10
  • 特開-ネスティングラック 図11
  • 特開-ネスティングラック 図12
  • 特開-ネスティングラック 図13
  • 特開-ネスティングラック 図14
  • 特開-ネスティングラック 図15
  • 特開-ネスティングラック 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116001
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ネスティングラック
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20230815BHJP
   B65D 19/10 20060101ALI20230815BHJP
   B65D 21/06 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B65G1/14 M
B65D19/10
B65D21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018496
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】伴 和夫
(72)【発明者】
【氏名】板倉 涼
【テーマコード(参考)】
3E006
3E063
3F022
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA10
3E006CA05
3E006DA01
3E006JA04
3E063AA07
3E063BA01
3E063BB01
3E063CA04
3E063CA09
3E063CA16
3E063CA24
3E063CB04
3E063CC03
3E063CC06
3E063CD09
3E063EE01
3E063FF03
3F022AA15
3F022EE02
3F022FF19
(57)【要約】
【課題】幅寸法を変更可能としたネスティングラックを提供する。
【解決手段】ベース体に立設された左右一対の前部支柱の幅方向の間隔よりも左右一対の後部支柱の幅方向の間隔を狭く形成することにより、複数のラックに関して、一方のラックの荷室に対して前方から後方に向けて他方のラックを入れ子状に嵌入可能としたネスティングラックであり、前記ベース体(1)は、左右に分割されることにより、左側の前部支柱(2L)及び後部支柱(3L)を立設する左ベース部(1L)と、右側の前部支柱(2R)及び後部支柱(3R)を立設する右ベース部(1R)を備え、左右ベース部を相互に連結手段(14)を介して連結しており、前記連結手段は、左右ベース部(1L,1R)の左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定する選択固定手段(16)を設けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と左右幅方向を規定するほぼ矩形状のベース体と、ベース体の前部に位置して左右に立設された一対の前部支柱と、ベース体の後部に位置して左右に立設された一対の後部支柱を備え、前記支柱で囲まれた空間により荷室を形成するラックであり、前記一対の前部支柱の左右幅方向の間隔よりも一対の後部支柱の左右幅方向の間隔を狭く形成することにより、複数のラックに関して、一方のラックの荷室に対して前方から後方に向けて他方のラックを入れ子状に嵌入可能としたネスティングラックにおいて、
前記ベース体(1)は、左右に分割されることにより、左側の前部支柱(2L)及び後部支柱(3L)を立設する左ベース部(1L)と、右側の前部支柱(2R)及び後部支柱(3R)を立設する右ベース部(1R)を備え、左右ベース部を相互に連結手段(14)を介して連結しており、
前記連結手段は、左右ベース部(1L,1R)の左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定する選択固定手段(16)を設けて成ることを特徴とするネスティングラック。
【請求項2】
前記左右ベース部(1L)(1R)は、それぞれ相互に対向するパイプ製の対向フレーム(9)を備えており、左右ベース部の一方の対向フレームから他方の対向フレームに向けて延長フレーム(13)を突設すると共に、該延長フレームを他方の対向フレームに摺動自在に挿着することにより前記連結手段(14A)を構成し、
前記延長フレームを摺動方向の複数個所から選択された個所で他方の対向フレームに固定するロック手段(17)を設けることにより前記選択固定手段(16A)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載のネスティングラック。
【請求項3】
前記左右ベース部(1L)(1R)は、それぞれ前後方向に延びると共に相互に左右に並行状態で配置される並行フレーム(10)を備えており、左右ベース部の並行フレームの間に中央固定部材(18)を配設し、該中央固定部材を並行フレーム(10)に固定することにより前記連結手段(14B)を構成し、
前記並行フレームと中央固定部材を相互に左右幅方向の複数個所から選択された個所で固定可能とする固定部(25)を設けることにより前記選択固定手段(16B)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載のネスティングラック。
【請求項4】
一対の後部支柱(3L)(3R)は、十文字状に交差させられた一対のブレース(4L)(4R)により連結されており、
前記一対のブレースは、それぞれ上下端部のうち一方の端部を左右の後部支柱の枢結部(26)に枢結され、他方の端部を左右反対側の後部支柱に固定するように構成され、
前記左右反対側の後部支柱は、前記ブレースの他方の端部を固定する複数の固定片(27)を該支柱の上下方向に間隔をあけて列設して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のネスティングラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネスティングラックに関し、特に、ラックの幅寸法を変更可能としたネスティングラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、倉庫等においてネスティングラック(ネステナーとも称される)が使用されている。ネスティングラックは、直接積み重ねることができない荷物(物品)を段重ねすることにより保管効率を向上させることができ、フォークリフト等でラックごと持ち上げ移動することにより、倉庫内での配置変更等が可能である。そして、不使用時には、複数のラックを入れ子状にネスティング(嵌め入れ)することにより、省スペースとして保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-99359号公報
【特許文献2】特開2012-62132号公報
【特許文献3】特開2003-170934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ネスティングラックは、ベース体の上方に荷室を形成することにより、荷物の収納に際して、荷積み状態のパレットをベース体の上に載せることにより収納作業を効率的に行えるように構成されている。
【0005】
ところで、パレットは、大小異なる複数サイズのものが使用されているため、これに応じて、ネスティングラックも大小異なる複数サイズのものが提供されている。例えば、幅寸法が1100mmのパレットに対しては、荷室の開口幅を1350mmに形成したネスティングラックが提供されている。また、幅寸法が1200mmのパレットに対しては、荷室の開口幅を1450mmに形成したネスティングラックが提供されている。更に、幅寸法が1400mmのパレットに対しては、荷室の開口幅を1650mmに形成したネスティングラックが提供されている。
【0006】
しかしながら、物流業者等のユーザにおいては、異なる複数サイズのパレットに対応できるように、常時、異なる複数サイズのネスティングラックを準備して待機させておく必要があり、高コストを強いられる問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決したネスティングラックを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明が手段として構成したところは、前後方向と左右幅方向を規定するほぼ矩形状のベース体と、ベース体の前部に位置して左右に立設された一対の前部支柱と、ベース体の後部に位置して左右に立設された一対の後部支柱を備え、前記支柱で囲まれた空間により荷室を形成するラックであり、前記一対の前部支柱の左右幅方向の間隔よりも一対の後部支柱の左右幅方向の間隔を狭く形成することにより、複数のラックに関して、一方のラックの荷室に対して前方から後方に向けて他方のラックを入れ子状に嵌入可能としたネスティングラックにおいて、前記ベース体は、左右に分割されることにより、左側の前部支柱及び後部支柱を立設する左ベース部と、右側の前部支柱及び後部支柱を立設する右ベース部を備え、左右ベース部を相互に連結手段を介して連結しており、前記連結手段は、左右ベース部の左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定する選択固定手段を設けて成る点にある。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、前記左右ベース部は、それぞれ相互に対向するパイプ製の対向フレームを備えており、左右ベース部の一方の対向フレームから他方の対向フレームに向けて延長フレームを突設すると共に、該延長フレームを他方の対向フレームに摺動自在に挿着することにより前記連結手段を構成し、前記延長フレームを摺動方向の複数個所から選択された個所で他方の対向フレームに固定するロック手段を設けることにより前記選択固定手段を構成している。
【0010】
また、前記左右ベース部は、それぞれ前後方向に延びると共に相互に左右に並行状態で配置される並行フレームを備えており、左右ベース部の並行フレームの間に中央固定部材を配設し、該中央固定部材を並行フレームに固定することにより前記連結手段を構成し、前記並行フレームと中央固定部材を相互に左右幅方向の複数個所から選択された個所で固定可能とする固定部を設けることにより前記選択固定手段を構成している。
【0011】
一対の後部支柱は、十文字状に交差させられた一対のブレースにより連結することが好ましく、その際、前記一対のブレースは、それぞれ上下端部のうち一方の端部を左右の後部支柱の枢結部に枢結され、他方の端部を左右反対側の後部支柱に固定するように構成され、前記左右反対側の後部支柱は、前記ブレースの他方の端部を固定する複数の固定片を該支柱の上下方向に間隔をあけて列設することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネスティングラックに関して、左右ベース部1L、1Rの左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定することにより、所望の所定幅BWとされたベース体1を形成することができる。このため、例えば、荷積み状態のパレットをベース体1の上に載せることにより収納する場合、ネスティングラックの機能を維持した状態で、当該パレットの大きさに適合する所定幅BWとしたベース体1を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1実施形態に係るネスティングラックを示す斜視図である。
図2】2個のネスティングラックをネスティングした状態を示す斜視図である。
図3】2個のネスティングラックを段積みした状態を示す斜視図である。
図4】ベース体を示す斜視図である。
図5】ベース体の分解状態を示す斜視図である。
図6】上下を裏返した状態でベース体の分解状態を示す斜視図である。
図7】ベース体の分解状態を示す平面図である。
図8】ベース体の組立て状態を示す平面図である。
図9】ベ-ス体の断面を示しており、図8のA-A線断面図である。
図10】ベ-ス体の断面を示しており、図8のB-B線断面図である。
図11】ベース体に対して支柱及びブレースを臨ませた状態を示す斜視図である。
図12】一対の後部支柱とブレースの関係に関して、(A)は左右ベース部の間隔が最小とされたときの状態を示す斜視図、(B)は左右ベース部の間隔が最大とされたときの状態を示す斜視図である。
図13】ベース体に組付けられた支柱に対して梁部材を臨ませた状態を示す斜視図である。
図14】継手手段に関して、支持筒部に接続筒部を接続する前の状態を示しており、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
図15】継手手段に関して、支持筒部に接続筒部を接続した状態で楔材を打ち込む前の状態を示しており、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
図16】継手手段に関して、支持筒部に接続筒部を接続した状態で楔材を打ち込んだ状態を示しており、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0015】
(全体構成)
図1に示すように、ネスティングラック(以下、単に「ラック」という。)は、前後方向と左右幅方向を規定するほぼ矩形状のベース体1と、ベース体1の前部に位置して左右に立設された一対の前部支柱2L、2Rと、ベース体1の後部に位置して左右に立設された一対の後部支柱3L、3Rを備え、ベース体1の上方で前記支柱で囲まれた空間により荷室を形成している。尚、これらの支柱は、金属製の角パイプにより形成されている。
【0016】
一対の後部支柱3L、3Rは、十文字状に交差させられた一対のブレース4L、4Rにより連結されており、左側の前部支柱2Lと後部支柱3Lの上端部には左側の梁部材5Lが架設され、右側の前部支柱2Rと後部支柱3Rの上端部には右側の梁部材5Rが架設されている。尚、梁部材は、後述するように、金属製のアングル材(断面L形の長尺材)により形成されている。
【0017】
前記ベース体1は、所定幅BWとされた枠組構造体により構成され、前記幅BWを規定する左右一対の側枠6L、6Rの下側にそれぞれ前後方向に延びる左右一対の座フレーム7L、7Rを設けている。尚、座フレームは、金属製の角パイプにより形成されている。これにより、ベース体1は、座フレーム7L、7Rを床面に接地したとき、床面と前記枠組構造体の間に空間が形成され、該空間に前方からフォークリフトのフォークを挿入してベース体1を持ち上げることができるように構成されている。
【0018】
(ネスティング)
前記一対の前部支柱2L、2Rは、左右幅方向に所定間隔FWをあけた状態で、前記所定幅BWの左右外側に位置して立設されている。これに対して、前記一対の後部支柱3L、3Rは、左右幅方向に所定間隔RWをあけた状態で、前記所定幅BWの左右内側に位置して立設されている。従って、前記間隔は、RW<BW<FWに設定されている。
【0019】
これにより、図2に示すように、複数のラックR1、R2は、相互に、一方のラックR1の荷室に対して前方から後方に向けて他方のラックR2を入れ子状にネスティング(嵌め入れ)することが可能である。つまり、図示のように、実線で示す後側のラックR1の前部支柱2L、2Rの間から後方に向けて、鎖線で示す前側のラックR2のベース体1及び後部支柱3L、3Rを進入させることにより嵌め入れ、前側のラックR2のベース体1を後側のラックR1のベース体1の上に載置することができ、つまり、ネスティング可能とされ、不使用時のラックを保管する際の省スペースに貢献する。
【0020】
(段積み)
前記一対の梁部材5L、5Rは、前記座フレーム7L、7Rの直上に位置して平行に配置されており、これにより、図3に示すように、複数のラックR1、R2を上下に段積みすることが可能とされている。つまり、図示のように、実線で示す下側のラックR1の梁部材5L、5Rの上に、鎖線で示す上側のラックR2の座フレーム6L、6Rを載置することができるので、荷物を収納した複数のラックを段積みすることにより、倉庫等における荷物の保管効率の向上に貢献する。
【0021】
(ベース体)
上記のようなネスティングと段積みを可能とするラックにおいて、図4ないし図9は、前記ベース体1の特徴的構成に関する好ましい実施形態を示している。
【0022】
上述のように全体がほぼ矩形状の枠組構造体により形成されたベース体1は、左右に分割されており、左側の前部支柱2L及び後部支柱3Lを立設する左ベース部1Lと、右側の前部支柱2R及び後部支柱3Rを立設する右ベース部1Rが形成されている。図示のように、左ベース部1Lは、左側の側枠6L及び座フレーム7Lを含んで形成され、右ベース部1Rは、右側の側枠6R及び座フレーム7Rを含んで形成されている。
【0023】
左右ベース部1L、1Rは、それぞれ相互に対向する金属製の角パイプから成る前部の対向フレーム8L、8R及び後部の対向フレーム9L、9Rと、それぞれ前後方向に延びると共に相互に左右に並行状態で配置される並行フレーム10L、10Rにより枠組形成されている。尚、並行フレームは、金属製のアングル材(断面L形の長尺材)により形成されている。
【0024】
左ベース部1Lは、側枠6Lの前端部と後端部に固着した対向フレーム8L、9Lを右ベース部1Rに向けて延長させ、前記対向フレーム8L、9Lの延長端部を相互に下側から並行フレーム10Lにより連結している。この際、前部の対向フレーム8Lは、側枠6Lから外側に突出する延長部8aを備えており、該延長部8aの上に左側の前部支柱2Lを支持するための支持筒部11aが固設され、該支持筒部に継手手段12を設けている。また、後部の対向フレーム9Lの上には、側枠6Lよりも内側に位置して、左側の後部支柱3Lを支持するための支持筒11が固設され、継手手段12が設けられている。尚、左ベース部1Lを構成する側枠6Lと対向フレーム8L、9Lと並行フレーム10Lにより形成された枠組体は、図示のように、内側に補強フレームを設けることにより剛体構造とすることが好ましい。
【0025】
同様に、右ベース部1Rは、側枠6Rの前端部と後端部に固着した対向フレーム8R、9Rを左ベース部1Lに向けて延長させ、対向フレーム8R、9Rの延長端部を相互に下側から並行フレーム10Rにより連結している。この際、前部の対向フレーム8Rは、側枠6Rから外側に突出する延長部8aを備えており、該延長部8aの上に右側の前部支柱2Rを支持するための支持筒部11aが固設され、該支持筒部に継手手段12を設けている。また、後部の対向フレーム9Rの上には、側枠6Rよりも内側に位置して、右側の後部支柱3Rを支持するための支持筒11が固設され、継手手段12が設けられている。尚、右ベース部1Rを構成する側枠6Rと対向フレーム8R、9Rと並行フレーム10Rにより形成された枠組体は、図示のように、内側に補強フレームを設けることにより剛体構造とすることが好ましい。
【0026】
(第1の連結手段と第1の選択固定)
左ベース部1Lにおける対向フレーム8L、8Rは、右ベース部1Rに向けて延長フレーム13、13を突設しており、該延長フレームを右ベース部1Rの対向フレーム8R、9Rに摺動自在に挿入して固定することにより、左右ベース部1L、1Rを相互に連結する第1の連結手段14Aを構成している。
【0027】
図示実施形態の場合、前記延長フレーム13は、下向きに開口する断面溝形とされた金属製の長尺材により形成され、尾端部を左ベース部1Lの対向フレーム8L、9Lに挿入した状態でボルト15により固定され、先端に至る延長部が右ベース部1Rの対向フレーム8R、9Rに挿入され、摺動不能となるように固定される。これにより、左右ベース部1L、1Rが連結固定され、所定幅BWのベース体1が構成される。
【0028】
この際、第1の連結手段14Aは、左右ベース部1L、1Rが連結されるときの左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定する第1の選択固定手段16Aを設けている。
【0029】
第1の選択固定手段16Aは、前記延長フレーム13、13を右ベース部1Rの対向フレーム8R、9Rに挿入した状態で摺動させ、側枠6L、6Rの間隔を調整することにより、所望の所定幅BWとなるように設定した状態で、図9に示すように、対向フレーム8R、9Rの下側から螺入することにより、延長フレーム13、13を摺動不能となるように固定するボルト17aから成るロック手段17により構成されている。
【0030】
前記ボルト17aは、対向フレーム8R、9Rの下面に固着されたナット17bに螺挿されており、ボルト17aの先端を断面溝形とされた延長フレーム13の溝底部に臨ませた状態から螺進して圧接させることにより、延長フレーム13を固定する。
【0031】
従って、図示実施形態の場合、第1の選択固定手段16Aは、ボルト17aを圧接することにより、左右ベース部1L、1Rの左右幅方向の間隔を無段階に選択可能とするように構成しているが、これに限らず、例えば、延長フレーム13に間隔をあけて設けた係止孔を選択してボルト17aを挿入することにより、左右ベース部1L、1Rの左右幅方向の間隔を段階的に選択可能とする構成としても良い。
【0032】
尚、図示実施形態においては、第1の連結手段14Aを構成する延長フレーム13、13を左ベース部1Lの対向フレーム8L、9Lに設け、第1の選択固定手段16Aを構成するロック手段17を右ベース部1Rの対向フレーム8R、9Rに設けているが、それぞれ反対側に設けても良い。つまり、延長フレーム13、13を右ベース部1Rの対向フレーム8R、9Rに設け、ロック手段17を左ベース部1Lの対向フレーム8L、9Lに設けても良い。
【0033】
(第2の連結手段と第2の選択固定)
前記第1の連結手段14A及び第1の選択固定手段16Aとは別に、第2の連結手段14B及び第2の選択固定手段16Bが設けられている。
【0034】
左右ベース部1L、1Rの相互に並行状態で配置される並行フレーム10L、10Rの間には、中央固定部材18が配置され、該中央固定部材18をそれぞれ並行フレーム10L、10Rに固定することにより、左右ベース部1L、1Rを相互に連結する第2の連結手段14Bが構成されている。
【0035】
前記中央固定部材18は、金属板により折曲形成され、中央部に断面が台形状で前後方向に延びる主骨部19が設けられ、該主骨部19の前部から両側に延びる左右一対の前翼部20L、20Rと、後部から両側に延びる左右一対の後翼部21L、21Rが一体形成されている。この際、左右方向に延びる金属製の角パイプから成る枝骨22を各翼部の上面と主骨部19の側面に溶接等で固着し、これにより中央固定部材18の剛性を確保することが好ましい。
【0036】
左側の前翼部20L及び後翼部21Lは、左ベース部1Lの並行フレーム10Lに搭載されると共にボルト23a及びナット23bから成る固定手段23により固定される。同様に、右側の前翼部20R及び後翼部21Rは、右ベース部1Rの並行フレーム10Rに搭載されると共にボルト23a及びナット23bから成る固定手段23により固定される。このようにして、中央固定部材18は、左右ベース部1L、1Rを連結固定する第2の連結手段14Bを構成しており、これにより、所定幅BWのベース体1が形成される。
【0037】
この際、第2の連結手段14Bには、左右ベース部1L、1Rが連結されるときの左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定する第2の選択固定手段16Bが設けられている。
【0038】
前記の翼部20、21を並行フレーム10に固定するボルト23a及びナット23bの構成に関して、図示実施形態の場合、図10に示すように、前記ボルト23aは、並行フレーム10の下面に固定された保持ナット24を螺挿して上向きに突設されている。図例の場合、前記ナット23bは、並行フレーム10の上方から前記ボルト23aに螺合させられるリング状の摘み付きナット(アイナット)により構成されている。
【0039】
そして、ボルト23a及びナット23bにより固定される翼部20、21の固定部25は、該翼部20、21に設けた挿通孔25aにより構成され、該翼部20、21を並行フレーム10に載置したとき該挿通孔25aにボルト23aを挿通させ、ボルトの挿出部にナット23bを締結することにより固定される。
【0040】
図示実施形態の場合、前記固定部25は、各翼部20、21において、枝骨22を挟む前後個所に設けられており、従って、4本の枝骨22の前後に位置する合計8個所に設けられている。従って、これに対応して、並行フレーム10L、10Rには合計8本のボルト23aが設けられている。
【0041】
この際、それぞれの固定部25は、挿通孔25aを左右幅方向に間隔をあけて列設し、これにより、選択固定手段16Bを構成している。図示実施形態の場合、8個所に設けられた固定部25は、それぞれ、4個の挿通孔25aを列設しており、図7に示すように、左側の翼部20L、21Lに列設された挿通孔25aと、右側の翼部20R、21Rに列設された挿通孔25aの間において、相互に対応する挿通孔(主骨部19を挟んで左右対称位置の挿通孔)を選択すると、その間隔は、最も狭い間隔W1から最も広い間隔W4まで、段階的に距離が変わるように構成されている。従って、図例の場合、4段階で距離が相違する間隔を選択することができる。
【0042】
そこで、左右ベース部1L、1Rを中央固定部材18により連結する際に、前記間隔W1に位置する挿通孔25aに並行フレーム10L、10Rのボルト23aを挿通してナット23bを締結したときは、所定幅BWを最も短くしたベース体1が形成される。そして、前記間隔W4に位置する挿通孔25aに並行フレーム10L、10Rのボルト23aを挿通してナット23bを締結したときは、所定幅BWを最も長くしたベース体1が形成される。
【0043】
(支柱の立設)
上記のように、ベース体1は、左右ベース部1L、1Rの左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定することにより、所望の所定幅BWのものを形成することができる。従って、例えば、ラックに荷物を収納する場合、荷積み状態のパレットをベース体1の上に載せることにより収納する際、当該パレットの大きさに適合する所定幅BWとしたベース体1を形成することが可能となる。
【0044】
このようにして形成されたベース体1には、図11及び図12に示すように、前部支柱2L、2R並びに後部支柱3L、3Rが立設され、左右一対の後部支柱3L、3Rにはブレース4L、4Rが架け渡される。
【0045】
前部支柱2L、2R並びに後部支柱3L、3Rは、金属製の角パイプにより形成されており、下端部の接続筒部2b、3bをベース体1におけるそれぞれの継手手段12に差し込み固着することにより立設される。継手手段12の構成及び作用は、図14ないし図16に基づいて後述する。尚、前部支柱2L、2R並びに後部支柱3L、3Rは、上端部に支持筒部2a、3aを形成すると共に継手手段12を設けている。
【0046】
十文字状に交差させられた一対のブレース4L、4Rは、それぞれ上下端部のうち一方の端部(図例の場合は上端部4a)を左右の後部支柱3L、3Rの枢結部26に枢結され、他方の端部(図例の場合は下端部4b)を左右反対側の後部支柱3R、3Lに固定するように構成されており、前記左右反対側の後部支3R、3Lは、前記他方の端部(下端部4b)を固定する複数の固定片27を該支柱の上下方向に間隔をあけて列設している。
【0047】
一対のブレース4L、4Rは、交差部分をピン4cにより回動自在に枢結していることが好ましいが、枢結の有無に関わらず、図12に示すように、後部支柱3L、3Rの間隔RWが長短相違するときは、交差角度θを変化させることにより、両支柱3L、3Rに架け渡される。
【0048】
ベース体1の所定幅BWを決定するために上述した第2の選択固定手段16Bにより選択される間隔W1~W4に関して、図12(A)は、最小幅の間隔W1が選択された場合を示し、図12(B)は、最大幅の間隔W4が選択された場合を示しており、このとき、後部支柱3L、3Rの間隔RWが相違させられることを示している。
【0049】
そこで、例えば、図12(A)に示す最小幅の場合は、小さい交差角度θ1で交差するブレース4L、4Rの下端部4bは、最下位に設けられた固定片27に固定する。これに対して、図12(B)に示す最大幅の場合は、大きい交差角度θ4で交差するブレース4L、4Rの下端部4bは、最上位に設けられた固定片27に固定する。図示実施形態では、上下方向に4個の固定片27が列設されているので、上述したW1~W4の4段階に対応して固定片27を選択することにより、常に、ブレース4L、4Rを後部支柱3L、3Rに架け渡すことができるように構成されている。
【0050】
尚、上端部4a及び下端部4bは、図11に矢印Eで図示するように、固定された挿入ピンに回動ピンを交差させた折れピン式の係止具4dを設けており、枢支部26及び固定片27の孔に係脱自在に係止するように構成されている。
【0051】
(梁部材の架設)
図13は、左側の前部支柱2Lと後部支柱3Lの上端部に左側の梁部材5Lを架設し、右側の前部支柱2Rと後部支柱3Rの上端部に右側の梁部材5Rを架設するときの状態を示している。
【0052】
梁部材5L、5Rは、前後方向に延びる金属製のアングル材(断面L形の長尺材)により形成され、平板部28aと起立部28bを備え、後端部に平板部と起立部の間を塞ぐ端部板28cを設けており、平板部28aがベース体1の座フレーム7L、7Rの直上で平行に配置され、起立部28bが平板部28aの外側に配置される状態で架設される。
【0053】
このため、梁部材5L、5Rの前端部の下面には、外側に向けて金属製の角パイプにより形成された横向き材29a固設され、該横向き材29aの先端に前部支柱2L、2Rに臨む接続筒部29bが垂設されている。また、梁部材5L、5Rの後端部の下面には、内側に向けて金属製の角パイプにより形成された横向き材30aが固設され、該横向き材30aの先端に後部支柱3L、3Rに臨む接続筒部30bが垂設されている。
【0054】
そこで、梁部材5L、5Rは、それぞれ前側の接続筒部29bを前部支柱2L、2Rの継手手段12に差し込んで固定し、それぞれ後側の接続筒部30bを後部支柱3L、3Rの継手手段12に差し込んで固定することにより、前部支柱2L、2Rと後部支柱3L、3Rの間に架設される。継手手段12の構成及び作用は、図14ないし図16に基づいて後述する。
【0055】
(継手手段による接続固定)
図14ないし図16は、ベース体1に設けた支持筒部11aに対して継手手段12を介して前部支柱2L、2R及び後部支柱3L、3Rの接続筒部2b、3bを接続固定する場合と、前部支柱2L、2R及び後部支柱3L、3Rの上端部の支持筒部2a、3aに対して継手手段12を介して梁部材5L、5Rの接続筒部29b、30bを接続固定する場合に関して、構成及び作用を示している。何れの場合も、構成及び作用は同様のものであるから、図面は、前記支持筒部11a、2a、3aを符号「a」で示し、前記接続筒部2b、3b、29b、30bを符号「b」で示しており、以下、包括的に説明する。
【0056】
支持筒部aと接続筒部bは、ほぼ同形同大の断面矩形とされた金属製の角パイプにより形成されている。支持筒部aは、矩形断面を形成する4辺のうち1辺の壁部により基準壁31を構成している。
【0057】
継手手段12は、支持筒部aに設けられており、プラグ材32と、楔部材33と、該楔部材を保持する保持金具34により構成されている。
【0058】
前記プラグ材32は、支持筒部aに挿入して溶接等で固着され、前記基準壁31の内側面から面一状態で上方に突出する支持壁35を形成している。尚、プラグ材32は、金属板により折曲形成され、前記支持壁32の両側に折曲形成された側壁の上端部に先細り状に傾斜するガイド部36を形成している。
【0059】
前記保持金具34は、金属板をほぼコ字形に折曲形成した金具本体部34aと、該金具本体部の両端から突出するブラケット部34b、34bを備え、一対のブラケット部34b、34bの間に架設した軸部37により楔部材33を保持するように構成されている。この際、前記金具本体部34aは、支持筒部aに溶接等で固着することにより固定されており、この状態で、前記軸部37が前記基準壁31の上端に臨ませられ、金具本体部34aの内側には接続筒部bの挿入空間Sが形成されている。
【0060】
前記楔部材33は、金属板を断面溝形に形成することにより、押圧部33aの両側に折曲形成された作動部33bを設け、該作動部33bに前記軸部37を摺動自在に挿通させるスロット38を開設している。この際、楔部材33は、軸部37の軸廻りに回動自在に軸支されており、押圧部33aを前記支持壁35に臨ませた回動姿勢としたとき、前記スロット38は、図15(B)に角度Vで示すように、下方に行くに従い前記支持壁35に近接するように傾斜して形成されている。
【0061】
そこで、接続筒部bを支持筒部aに接続するときは、図14及び図15に示すように、前記プラグ材33を挿入させた状態で接続筒部bの下端を支持筒部aの上端に突き合せる。このとき、基準壁31に連なる接続筒部bの接続壁39が支持壁32に重ねられる。
【0062】
引き続き、図15及び図16に示すように、楔部材33の回動を介して押圧部33aを前記接続壁39に臨ませ、この状態で、楔部材33を工具で打ち込む等、下向き移動させると、軸部37に対してスロット38が傾斜方向に摺動することにより、押圧部33aが接続壁39に圧接される。この際、図15に示すように、押圧部33aは、基準壁31と接続壁39の両者に跨る状態で圧接力を付与することが好ましい。
【0063】
その結果、押圧部33aと接続壁39と支持壁35がサンドイッチ状に緊結され、支持筒部aに対して接続筒部bが接続固定される。
【0064】
以上、ネスティングラックの構造と組立の方法について説明したが、組立の後に、前記楔部材33を引き戻すことにより、支持筒部aから接続筒部bを簡単に分離させ、ベース体1から、梁部材5L、5Rと、前部支柱2L、2Rと、後部支柱3L、3Rを分解することが可能であり、更に、ベース体1も左右ベース部1L、1Rを分解することが可能である。
【0065】
尚、本発明において、所定幅BWのベース体1を形成するために設けられた左右ベース部1L、1Rを連結する連結手段14と、左右幅方向の間隔を複数間隔から選択した状態で連結固定する選択固定手段16は、図示実施形態において、第1の連結手段14A及び第1の選択固定手段16Aの組合せと、第2の連結手段14B及び第2の選択固定手段16Bの組合せによる2種類の構成を併設した例を示したが、何れか一方だけで構成しても良いことは勿論であり、更に、これらの手段は、図示した具体的構成に限られるものではなく、種々の異なる構成を採用することが可能なことを理解されたい。
【符号の説明】
【0066】
1 ベース体
1L 左ベース部
1R 右ベース部
2L、2R 前部支柱
2a 支持筒部
2b 接続筒部
3L、3R 後部支柱
3a 支持筒部
3b 接続筒部
4L、4R ブレース
4a 上端部
4b 下端部
4c ピン
4d 係止具
5L、5R 梁部材
6L、6R 側枠
7L、7R 座フレーム
8L、8R 前部の対向フレーム
8a 延長部
9L、9R 後部の対向フレーム
10L、10R 並行フレーム
11a 支持筒部
12 継手手段
13 延長フレーム
14A 第1の連結手段
14B 第2の連結手段
15 ボルト
16A 第1の選択固定手段
16B 第2の選択固定手段
17 ロック手段
17a ボルト
17b ナット
18 中央固定部材
19 主骨部
20L、20R 前翼部
21L、21R 後翼部
22 枝骨
23 固定手段
23a ボルト
23b ナット
24 保持ナット
25 固定部
25a 挿通孔
26 枢結部
27 固定片
28a 平板部
28b 起立部
28c 端部板
29a、30a 横向き材
29b、30b 接続筒部
31 基準壁
32 プラグ材
33 楔部材
33a 押圧部
33b 作動部
34 保持金具
34a 金具本体部
34b ブラケット部
35 支持壁
36 ガイド部
37 軸部
38 スロット
39 接続壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16